4
迷宮経由、スノウフィールドまで

#アルダワ魔法学園

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園


0




●生徒は課題中
 機械仕掛けの薄暗い迷路が、延々と続いている。
 ほのかな灯りがまたたく中で、魔法学園の生徒達がせっせとバリケードを築いていた。
「厳しい戦いだけったけど、何とかなったね!」
「ぷにぷに鳴きながら仲間を呼んだときは、どうなることかと思ったけどねー!」
 足下には、甘い香りのするスライム達が、ぼこぼこに殴られた結果、きゅうっとやられて伸びている。
「この調子で、次も頑張ろうね」
 迷宮の弱敵でも、勝利は勝利。やられた傷は痛いけど、花の蜜でできたスライムたちの、甘い密はおいしいかった。
「次の相手を倒せば、念願の歯車が手に入るんだよね?」
「さっさと歯車を手に入れて、月末にまでに降雪マシーンを完成させるぞー!」
 おー! と皆で握り拳を持ち上げる。

 ――ここからきっかり10分後。巨大なオブリビオンにバリケードごと蹴散らされ、この学生達は全滅する。

●迷宮逆侵攻
 グリモアベースに集まった猟兵達に、以累・ナイがぺこりと頭を下げる。
「来てくれてありがとう。いつものアルタワ魔法学園で、みんなの力が必要な事件が起きているんだよ」
 ナイには目も口もないけれど、口調からは、深刻そうな雰囲気が伝わる……気がする。
「学園迷宮は、みんな知ってる? そこの深い階層にいるはずのオブリビオンが、手下と一緒に階層を上がってくるの。突破される前に、敵を食い止めてほしいんだよ」
 ただし、問題が一つある。
 学生の一部が、このオブリビオンを倒すために、無謀にも迷宮に入ってしまったのだとのこと。
「生徒達は、『降雪マシーン』をつくろうとしているんだって。そのために必要な歯車をオブリビオンが持っているとかで……。でも、わたしの予知どおりなら、生徒達は『蜜ぷに』には勝てるんだけど、その次に来る『フロアボスだったオブリビオン』に殺されちゃうの」
 ぶるるっと黒い体を震わせて、ナイは口元できゅっと手を組んだ。
 オブリビオン討伐が第一の目標。それと共に、生徒たちを全員無事に帰れるようにしてほしい、と。

「これから行く先は、生徒達が『蜜ぷに』に奮闘している真っ最中だよ。『蜜ぷに』は弱いから、みんなでカッコよく蹴散らしちゃえばいいよ!」
 手を出さずとも学生達はどうにか勝利するけれど、生徒たちの代わりに戦って、彼らの信頼を得たほうがいいだろうと、ナイは言う。
「『蜜ぷに』に勝ったら、フロアボスだったオブリビオンがお出まし。もともと宝物殿のガードをしていたオブリビオンだから、結構な強敵だと思うよ」

 それからね、と最後にナイは声を明るくする。
「オブリビオンを倒したら、『降雪マシーン』が完成するから、雪での遊び心地を確かめる実験に協力してほしいって言われるはずだよ。実験協力と言っても、たくさんある雪でめいっぱい遊べばいいだけだから。気軽に楽しんできてねー」


海乃もずく
 こんにちは、海乃もずくです。
 舞台はアルタワ魔法学園です。
 敵と戦って生徒を助けてから、生徒たちが試作した降雪マシーンを使って雪野原で遊ぼう、というお話になります。

 1章はの集団戦、2章がボス戦、3章が日常編の雪遊びです。
 3章は全員描写、1、2章も可能な限り描写したいです。
 途中参加も大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

 アドリブ量、同伴希望、複数人描写、個人描写の希望について、プレイングに書いていただければ極力対応します。その他ご要望があれば何でも。
 ではでは、よろしくお願いします。
28




第1章 集団戦 『蜜ぷに』

POW   :    イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユノ・フィリーゼ
イスルギ(f10042)と行動

あの子達、取込んだ花によって色や香りが違うのかな
とても気になる、触って…食べて…何でもない。先を急ごう

ライオンライドを使い素早く迷宮の奥を目指す
いち早く学生達の元へと彼を導く目となるよ

響くイスルギの声は慣れっこ
…大丈夫、安心して。君達を助けにきたんだよ
立ち尽くす学生達を安心させる様
そっと微笑み怪我がないか確認した上で事情説明

…この人よりずっと強くて怖い災魔がこの先に、いるんだ
だから、ね。危ないから先に学園へ戻っていて?
必要な物は私達が集めるから

笑顔でそう告げれば"父親代わり"の隣を
ライオンと共に颯爽と駆け敵を捕らえ

お喋りする前に手を動かしたら?そう、彼に伝える様に


十握・イスルギ
ユノ(f01409)と行動

若者たちの勇気や好し
故にその命、守らねば

頭を使うのは苦手でな
ユノ、お前さんが頼りだ
迷宮の先で学生たちを発見したら
不肖、十握・イスルギ!貴殿らに助太刀致す!
恫喝じみた大声を張り上げる
蜜ぷにも学生も怯んで動きを止めれば
巻き添えにせず済むだろう

貴殿らはよく戦った
あとは拙者たちに任されよ
学生をさりげなく後退させ
目立つ体躯でバスターソードでも振り回そうか
…ここは"格好良い"と思われた方が良いのだろう?
どうせなら"娘"にもそう思われたいが
なあ、ユノ。
問うも返事はなく
獅子と駆けていく背を見つめ
…まあ、今は戦闘が第一だな

香りや味も気になるが
敵に情けは無用であろう
【灰燼拳】で仕留めよう


泉宮・瑠碧
蜜ぷに…花の蜜で出来ているのか
花からという面で見ると、僕は好きだな
…何か可愛いとも思うし
…とはいえ、生徒達を放っておく訳にもいかない
何より、命にも関わる

確か、聞いた予知では怪我をした生徒も居たか

デバイスを開放して
シンフォニック・キュアで歌唱
猟兵もだが、生徒達も治せる様に
目標の為に頑張る行程の唄を

生徒達へ
怪我をしていない者は勿論、怪我が治った者も
まだ負傷している者が居れば手助けをして共に下がって

目的の物は教えてくれたら確保してくる
ついて来るのなら
危険がない様に離れて後から来た方が良いと思う

侮る訳ではなく
色々な物を作り出せる君達は凄いと思う
僕には出来ないから
それが出来る君達の手助けをさせて欲しい



ぷにぷにぽよぽよと跳ねるスライムは、パステルオレンジ、ライムグリーン、スカイブルーに、ライトパープル、いずれも優しい色ばかり。
 小花を散らし、甘い匂いをただよわせ、3匹4匹と寄ってくるだけなら、きっとかわいらしい光景だろう。
 ――そう、あくまで少数ならの話だ。
『『『ボクタチダッテヤレルプニーーーーーッ!!』』』
「うわあああああああ! また増えた!」
 大量の蜜ぷにに押し潰され、むせるほどの甘い匂いに包まれれば、アルタワ魔法学園の生徒達でも「かわいいねー」なんて、のどかなことは言っていられない。

「はァーーーーーーッ!!」
 その時。
 ――裂帛の気合いが暴風を巻き起こし、甘い香りを一掃した。
 続く拳の一撃は巌のごとく。
 ひとかたまりの蜜ぷにが、ぷにーーーっと鳴きながら吹き飛ばされ、ぽよん、ぽよんと跳ねていく。
「不肖、十握・イスルギ! 貴殿らに助太刀致す! 貴殿らはよく戦った、あとは拙者たちに任されよ!」
 数十の蜜ぷにが全て吹き飛び、すっきりと見通しがよくなった、迷宮廊下の中央。
 よく鍛え上げられた体躯の男が、突然のことに硬直した生徒たちと目を合わせ、力強く笑う。
「困難を乗り越え、危地へと立ち向かう勇気、実に好し! 故にその命、守らねばな!」
 十握・イスルギ(欠けた剣・f10042)の張り上げた大声は迷宮内部によく響き、蜜ぷにの表面がぷるぷるとさざなみ立つほどだった。
 イスルギから少し遅れ、ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が黄金のライオンに乗って追いついてくる。
「イスルギ、先行しすぎ。行くのはいいけど、急に走り出さないで」
「すまん、体が勝手に動いてな! そこはユノ、お前さんが頼りだ」
「そこで頼りにされても……まあいいけど」
 ふぅと嘆息してみせたユノは、生徒たちの視線に気づき、藍色の瞳を和らげた。そっと微笑みかける。
「……大丈夫、安心して。君達を助けにきたんだよ」
「ユノ、先に行っておるぞ! 若者たちのことは任せた!」
 生徒達に向けて、というよりも、蜜ぷにを威圧するように高々と宣言したイスルギの声の大きさに、何人かの学生が反射的に身を縮める。イスルギの大声に慣れっこのユノは、走り抜けていくイスルギを横目に、手早く学生たちの状態を確認していく。
「けがをした人はいる?」
「こいつ、さっきから血がとまらなくて」
「その傷、僕が治すよ」
 学生の言葉に応じたのは、淡青色の髪を束ねた年若いエルフ、泉宮・瑠碧(月白・f04280)。
 瑠碧に続き、続々と現れる救援に、生徒達の間に安堵の空気が流れた。

 瑠碧から紡がれるシンフォニック・キュアの歌声は、小さなピンブローチによって増幅され、風の精霊に運ばれ、彼らの傷を癒していく。傷が治るだけでなく、心の底から頑張る気持ちがふつふつとわく歌声だった。学生達だけでなく、近くで共に戦っている仲間達にも、その効果は届いているだろう。
「これでよし。君達は十分に頑張った。あとは僕達にまかせてくれないか。目的の物は、教えてくれたら僕達が確保してくる」
 瑠碧の言葉に、ぽつぽつと反論の声があがる。
 助けてもらったのはありがたいが、自分達でも勝てる相手だった、『転校生』の手を借りずともこの先に進んでみせる、と。
 そんな彼らに、ユノがおもむろに口を開く。
「ずっと強くて怖い災魔がこの先に、いるんだ」
 ……あの人よりずっと強くて怖い相手が。信頼まじりの、それでいて冗談めかした口調でつけ加え、遙か前方で獅子奮迅の活躍を見せるイスルギを示し、言葉を続ける。
「だから、ね。危ないから先に学園へ戻っていて? 必要な物は私達が集めるから」
「ついて来るのなら、危険がない様に離れて後から来た方が良いと思う」
「……君達がそう言うなら……」
 場の中心らしい生徒が頷いたことをきっかけに、同意の声が広がっていく。 

 再び黄金のライオンにまたがり、イスルギのもとへと駆けていくユノを、瑠碧は学生達と共に見送った。
 イスルギの気合いの声が響くたび、こんもりと盛り上がっていた蜜ぷにの山はなだれを起こし、ぷにぷに鳴きながら崩れていく。
(「蜜ぷに……花の蜜で出来ているのか。花からという面で見ると、僕は好きだな……何か可愛いとも思うし」)
 ……とはいえ、命に関わる相手というなら、共存という訳にもいかない。
「さあ、もう少し下がろう。ここはまだ危険だから」
 瑠碧の促しに、男子生徒の数名が進み出た。腕に覚えもある、自分たちも戦闘に加わりたい、と。
 言葉を選びながら、けれどきっぱりと、瑠碧は彼らを押しとどめる。
「君達の力を侮る訳ではない。色々な物を作り出せる君達は凄いと思う。僕には出来ないから、それが出来る君達の手助けをさせて欲しい」

 ――最前線では、蜜ぷに相手に無双するイスルギが、バスタードソードを振り回している。
「イスルギ、さっきから前に出すぎ。はりきりすぎ」
「おう、来たか! いや、ここは『格好良い』と思われた方が良いのだろう?」 
 どうせなら"娘"にもそう思われたい――と言いたげなイスルギの横を、ユノはライオンと共に颯爽と駆け抜ける。
 お喋りする前に手を動かしたら? そうとでも言いたげな"娘"の後ろ姿を、しばし見つめて――。
「……まあ、今は戦闘が第一だな」
 独りごちたイスルギも、甘い香りのするスライムの中へ、灰燼拳の豪快な一撃を叩き込んだ。
『『ボクタチダッテヤレ……ぷにぃぃぃっ!?』
 イスルギとユノを取り囲んでいた蜜ぷにが、一撃を受けるごと、山がけずり取られるように崩れていく。
(「この子達、取込んだ花によって色や香りが違うのかな。触って……食べてみたら……」)
 そんな思考が、ユノの脳裏をちらりとよぎった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
なんか見てると癒されるね。瞬(f06558)の料理レシピに蜜ぷにはなかったね。レシピに書き加える為にも退治頑張ろうか。数だけは多いみたいだからね。奏(f03210)も今回は攻撃メインで。掃討に力入れないと無限に増殖しそうだからね。

まあ、アタシには【2回攻撃】で竜牙で斬っては投げまくるしかないんだけどね。塵も積もればなんとやらで。仲間呼ぶ前に即急に数を減らすよ。


真宮・奏
おお、可愛いぷにぷにが沢山・・・でも数が多過ぎますね。多くの人が埋まっちゃうと大変なので何とかしませんとね。ちなみに専用の料理レシピを持っている瞬兄さん(f03210)は蜜ぷになるものは初めて見るそうで

とにかく数が多いので更に増える前にトリニティエンハンスで攻撃力を増やして、【属性攻撃】と【2回攻撃】で数を減らしていきますね。因みに火の属性で攻撃すると香ばしい甘い香りがするのでしょうか?


神城・瞬
ふむ、蜜ぷになる甘味は僕の料理レシピにありませんね。興味はありますが、増殖して埋まってしまうほどの甘味は遠慮したいかも。申し訳ありませんが、人を埋めてしまう前に対処させて貰いますね。

響母さん(f00434)と奏(f03210)が蜜ぷに達をちぎっては投げして無双している間に【高速詠唱】で【全力魔法】で氷晶の矢を【範囲攻撃】で降り注がせて纏めて敵を凍らせますね。敵はさながらシャーベットになってしまうかと。



廊下の床から天井までを埋め尽くす蜜ぷにが、積み重なってぎっちりとそそり立っている。増えすぎて、廊下いっぱいになった蜜ぷには、ぎちぎちに詰まって動けなくなりながらも、どんどん仲間を増やしていて。

「おお、可愛いぷにぷにが沢山……でも数が多過ぎますね」
 少し離れたところから、片手を目の上にかざし、真宮・奏(絢爛の星・f03210)が歓声をあげる。真宮・響(赫灼の炎・f00434)も、積み重なってそそり立つ蜜ぷにタワーに笑みを浮かべる。
「なんか見てると癒されるね。色もきれいだし、いい匂いもするね」
 色とりどりの蜜ぷには、花のスライムだと言われている。倒されると体が崩れ、元の姿である花の蜜へ戻ることから、迷宮攻略者のオヤツとも言われている――つまり。
「瞬の料理レシピに蜜ぷにはなかったね?」
「ふむ、蜜ぷになる甘味はありませんね」
 響の問いかけに、神城・瞬(清光の月・f06558)は少し考えて頷いた。義母の言うとおり、この蜜ぷに、お菓子づくりの材料にぴったりかもしれない。しかし……。
「確かに興味はありますが、増殖して埋まってしまうほどの甘味は遠慮したいかも」
「数が多いのは困りますね。多くの人が埋まっちゃうと大変なので何とかしませんとね」
 義兄の冷静なコメントに同意し、奏も眼前の蜜ぷにウォールを見上げた。
 押し合いへし合いする彼らは、まだまだ増え続けている。
「じゃあ、レシピに書き加える為にも退治頑張ろうか」
 響が腕を大きく振り回しながら、一歩前へ踏み出した。
「数だけは多いみたいだからね。奏も今回は攻撃メインで」
「はい、響母さんも気をつけて」
 奏と響は同じ動作で、それぞれの剣を構える。2つの剣がまばゆい光を放つ瞬間――。
『イザ、ボクラノラクエンヘ!』
 数を増やしすぎて均衡を崩した蜜ぷに達が、なだれるように3人の頭上へと降り注いできた。

「仲間呼ぶ前に即急に数を減らすよ。掃討に力入れないと無限に増殖しそうだからね!」
 響のブレイズフレイムが赤く輝き、薄暗い迷宮内部を明るく照らし出す。光に群がるようにわらわらとやってきた蜜ぷには、あまりに数が多すぎて、波が押し寄せてくるかのよう。
「この一撃は竜の牙の如く!! 喰らいな!!」
 ユーベルコード『竜牙』を使い、響は次々と蜜ぷにを切り捨てていく。
『ぷにーーーっ!?』
 刃に触れた蜜ぷには、ソフトキャンディに熱したナイフを差し込むように、どんどん両断されていく。しかし、2回攻撃で手数を増やしても、数で押してくる蜜ぷに達の勢いはなかなかおさまらない。
「とにかく数を減らさないといけませんね」
 奏はユーベルコード『トリニティ・エンハンス』で自身を強化。炎、水、風の三属性の魔法を重ねると、構えたブレイズセイバーがぼうっと青く輝いた。
「響母さん、援護します!」
 響と奏、2人が抜群の連携で剣を叩き込むごとに、蜜ぷに達は甘い香りを強くしながら床へと散らばっていく。あっという間に床はシロップで満たされた。
「響母さん、奏、少し下がってください――」
 瞬の掲げる杖に魔力が集束していき、それに伴って冷気が広がっていく。氷の水晶のように透き通った杖が、光を反射してキラリと光った。
「申し訳ありませんが、人を埋めてしまう前に対処させて貰いますね」
 瞬が告げると同時、杖を起点に100本近い魔法の矢が空中に浮かび上がる。掲げた杖を振り下ろした瞬間、ドドドッと空気を切り裂く音と共に、氷の矢が蜜ぷに達へと降り注いだ。
『『ぷにッッッッ……!!』』
 貫かれた蜜ぷに達はピキピキッと凍りつき、凍りついたまま形を崩してポロポロとこぼれていく。
 目の前にあった蜜ぷにの壁がごっそりとなくなり、半分凍った状態の蜜ぷにシロップが残される。
「さながらシャーベットですね」
「火の属性で攻撃していたら、香ばしい甘い香りがしたんでしょうか?」
 瞬と奏は真逆のような、よく似たようなことを呟いて、顔を見合わせ笑み交わした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

玄崎・供露
……あー、なんだろ。すっげェ安心する。メイキュウ依頼は好きだぜ、俺

……侮ってるって訳じゃなくてな。こっち貶めるような悪意を感じない相手は戦ってて嫌じゃ無い。

戦ってて嫌じゃってのは良いな。こういうのばっかなら良いのに。……ま、被害はなるたけ抑えるよ

……早く、ボスとやらの面も拝んでみたいもんだな

相手の召喚行動に合わせてユーベルコード「軍勢跋扈」を発動する。とくに相手のWISに対しては合体させる前にすかさず発動する。

合体すると強くなるけど数は減る……よな。数が減ればこいつらも合流して当たれる。優位性は保てると思うぜ

※ダメージ描写、戦闘兵器の描写、連携やアドリブなど大歓迎ですのでご自由にお願いします


シル・ウィンディア
か、かわいい…。
これを相手するのは、ちょっと気が引けるけど…
でも、これも災いの元になるなら、ここで仕留めるしかないよねっ!

『エレメンティア』と『六源和導』を結合させて、ダブルブレード状態
(前後に光刃が出ている形態)にして
ヒット&アウェイを心がけつつ
舞うように、両刃剣で複数を纏めて相手にしていくよ

ほらほら、鬼さんこちらっ!
でも、囲まれないように注意して動くね

合体ぷにが現れたら
【高速詠唱】と【全力魔法】の
エレメンタル・ファランクスで
呼び出されたぷにを撃ち抜いていって
本体にもダメージがいくように撃っていくね

さすがに100本の魔力砲は全弾回避されることは無いでしょ



「か、かわいい……」
 シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は、ぱっちりつぶらな瞳の蜜ぷにと、真正面から見つめ合っていた。
 ほにゃ、と蜜ぷにが笑った。ふわふわと小さい花が舞う。
「おい、ここに何しに来たか忘れてねえか?」
 こいつら片付ければあらかた終わるぜ、と冷めた声をかけるのは玄崎・供露(テクノマンサー・f05850)。
 シルは名残惜しげに、大きなグミのような、柔らかいオレンジ色をつんとつついた。
「これを相手するのは、ちょっと気が引けるけど……でも、これも災いの元になるなら、ここで仕留めるしかないよねっ!」
 ぷに? と疑問符を飛ばしながらこちらを見上げる蜜ぷに達をみると、ちょっぴり罪悪感がわくけれど。
「ほらほら、鬼さんこちらっ!」
 『エレメンティア』と『六源和導』の両刃剣をひらめかせ、シルは舞うように密ぷにの間を駆ける。一撃入れては距離をおき、再び距離を詰めて、切って、跳んで、切って、くるりと回って、詠唱につなげて――。

「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ……。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」

 ユーベルコード、エレメンタル・ファランクス。シルが放った100発の魔力砲撃が、蜜ぷにの群れを直撃する。
 蜜ぷに達は対抗すべく、額に数字のついた仲間をわらわらと呼び込む。
 これこそ仲間の声に応じて現れる蜜ぷにの仲間、友情パワーぷに!
 ミンナキテクレタプニー、と嬉しそうな歌うような声が広がる中、――供露が、動いた。

「させるかよ。――対象確認。蹂躙しろ」

 ユーベルコード、軍勢跋扈(レギオンレイド)。
 蜜ぷに1体に対して、供露の戦闘兵器は5体。物量には物量を。膨大な蜜ぷにには、膨大な火力を叩きつける……!
 自律可動式の戦闘兵器は、それぞれ隊伍を組み蜜ぷにを追尾、あるいは砲火を集中。甘い匂いはたちまち火薬の臭いに覆いつくされ、ぐずぐすになるまで容赦なく攻撃を加えていく。

「……あー、なんだろ。すっげェ安心する」
 ぷに、ぷにぃ……と鳴きながら崩れていく蜜ぷにを前に、しみじみと供露が呟いた。
 ここまで楽勝とはいえ、戦いの場にはいささかそぐわない言葉に、シルは首を傾げる。
「安心って?」
「侮ってるって訳じゃなくてな。こっち貶めるような悪意を感じない相手は戦ってて嫌じゃ無い。戦ってて嫌じゃ無いってのは良いな。こういうのばっかなら良いのに」
 ぽーんとまた、蜜ぷにが向かってくる。すかさず供露の軍勢が斉射。ここまで数を減らしてしまえば、合体する余裕もないだろう。
「……メイキュウ依頼は好きだぜ、俺」
 供露は迷宮の奧に視線を転じる。
「……早く、ボスとやらの面も拝んでみたいもんだな」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネレム・クロックワーク
皆様、ごきげんよう
いくら可愛らしい姿形をしていても、あれは、敵
あれらの退治は、わたし達猟兵にお任せを
皆様はどうか、後ろに下がっていてくださいませ、ね

【WIZ】
ぷにが合体して強くなるなんて、何だかどこかで聞いた話、ね
世界は広いのだから、きっと、どこの世界でも良くある話なのね

【高速詠唱】と【全力魔法】を【祈り】に乗せて【星の鍵】を使用
星の鍵を開けて、星属性の【属性攻撃】を込めた煌めく星の流星を降り注ぐ、わ
80本分の流星で仕留めきれなかった相手には【目立たない】位置から【WIZ】の通常攻撃で追撃
通常攻撃にも【高速詠唱】と【全力魔法】を乗せて、猛追する、わ

※アドリブ、複数人描写可能です


トゥール・ビヨン
アドリブ歓迎
複数人描写OK

行こう、パンデュール。魔法学園の生徒達を助けに!
パンデュールに搭乗して戦闘へ

蜜ぷにが仲間を呼び、生徒達が囲まれピンチになったところへ駆けつけパンデュールに搭載されたアームドフォートからの【フルバースト・マキシマム】の一斉掃射で敵を掃討
残った蜜ぷに達はパンデュールの武装ドゥ・エギールで薙ぎ払ってしまおう【なぎ払い3】

大丈夫?怪我は無いかい。

敵が片付いたらパンデュールから降りてきちんと顔を見せて挨拶をしておこうかな



ほぼ全ての蜜ぷにが掃討され、猟兵達がほっと息をついたころ。
 あらためて全員の無事を確認しようとして、学園の生徒達は顔を青くしていた。
 ――さっきまで一緒にいたはずのに、見当たらない仲間がいる。

 学園迷宮を走る女生徒が2人。1人は半泣き、もう1人は唇をきゅっとかみしめて。後ろから、わらわらわらと蜜ぷにの一団が追いかけてくる。つないだ手は離さず、でも、もう走れない。
 救援の手が到着したのは、そんなギリギリの時だった。
 
「今、声が聞こえたよ、その階段の先! 行こう、パンデュール! 早く助けに行かないと!」
 彼女達にとっての希望――力強い声が響くと同時、大型機械の駆動音が鳴り響いた。
 超常機械鎧「パンデュール」。トゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)が搭乗する、全長2メートルの超常機械は、あっという間に女生徒たちと蜜ぷにの間に割り込んでくる。
「パンデュール! フルバースト・マキシマム!」
 トゥールの声が再び響き、固定砲台アームドフォートが一斉に蜜ぷにへと照準を向ける。パンデュールに装着された砲台が火を噴き、蜜ぷにを蹂躙。

 手を繋ぎあったまま、へたり込む女性のすぐ隣、こつりとブーツの音がした。
「ごきげんよう。間一髪でしたが、間に合ってよかったです、わ」
 ふわりとココアの香りを連れて、ネレム・クロックワーク(夢時計・f00966)は柔和な笑みを彼女達に向ける。
「あれらの退治は、わたし達猟兵にお任せを。しばらく、後ろに下がっていてくださいませ、ね」
 コチコチと時を刻むアンティークの懐中時計にわずかの間視線を落とし、次いでネレムは大人の背ほども積み上がった――あるいは、ここまで減らすことができた――蜜ぷに達を見上げる。
「ぷにが合体して強くなるなんて、何だかどこかで聞いた話、ね」
 ネレムの高速の詠唱で織りなされる星のきらめきは、光を帯びた流星となり、蜜ぷにを撃ち抜く。それはユーベルコード、星の鍵、シューティングスター。
 同じ色が4つ揃ったから……ではなくても、ぱつん、ぱつんと音を立てるように破裂し、壊れていくとりどりの色。
「世界は広いのだから、きっと、どこの世界でも良くある話なのね」

 打ち漏らしのないよう、初撃で取りこぼした蜜ぷにも、パンデュールの双刃ドゥ・エギールが薙ぎ払い、残りはネレムの魔法が確実に落としていく。
 時計職人見習いの青年と、懐中時計のヤドリガミである少女の攻撃は、一撃一撃が丁寧で、時を刻むように正確で。

 動く蜜ぷにがいなくなり、パンデュールの駆動音がとまる。胸部ハッチがばかりと開いて、そこから身長25センチほどの――フェアリーの青年が顔を出した。
「大丈夫? 怪我は大したことはないようだけど、一応、仲間に見てもらおう」
 トゥールの姿が予想と違っていたのか、きょとんとした表情になった女生徒達を見て、ネレムがことりと首を傾げた。

 このフロアにいた蜜ぷには掃討され、生徒達の無事は確保された。
 そして――次の相手がやってくる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『トレジャリーガード』

POW   :    ロケットパンチ
【剛腕】を向けた対象に、【飛翔する剛拳】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    コアブラスター
【胸部からの放つ熱線】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    マジックバーレッジ
【自動追尾する多量の魔力の弾丸】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【絶え間ない弾幕】で攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ズシン、ズシンと重い足音が迷宮の壁を震わせる。
 一歩進むごとに、小さな配管が踏みつぶされ、こすれた壁が削れる音がする。

 本来は迷宮下層にしかいない、魔導技術と蒸気機械の粋を集めた魔導ゴーレム。それが、オブリビオンになったもの。
 魔導ゴーレムである本質は変わらず、意思も感情も持たず。しかし的確な戦況判断と、人への悪意、そして破壊欲求は持ち合わせている。
 天井につくほどの巨体、頑丈なボディ。高出力の熱線、武装による物理破壊力も、それぞれが極限まで突き詰められた技術の極み。

 確かにこれでは、生徒達だけではひとたまりもなかっただろう。
 これを倒せば降雪器の部品が手に入るのかはともかく――この敵を上の階層へ行かせたら、きっと大変なことになる。
ネレム・クロックワーク
ようやくおでまし、ね
ごきげんよう、魔導ゴーレムさん
危険な存在の貴方を、此処で必ず討ってみせる、わ

【WIZ】
なんて厄介な攻撃を仕掛けてくるのかしら、ね
でも敵が動く前に、動きを封じることが出来れば、活路は見出だせる筈

【高速詠唱】を最大限に活用
【全力魔法】を【祈り】に乗せて、動きを封じる【七星の鍵】を最高速で放ちます
煌めく七つの星の星群を解き放ち、星属性の【属性攻撃】を混ぜた星の加護で動きを封じる、わ

動きを封じた後も【高速詠唱】【全力魔法】を【祈り】に乗せた通常攻撃(【WIZ】の魔法弾)で追撃
通常攻撃には【マヒ攻撃】を織り込んで、動きを封じていられる時間を引き伸ばす、わ

※アドリブ、複数人描写可能です


泉宮・瑠碧
ゴーレム…造られた身で、意思も感情も無いとはいえ
悪意と破壊欲求だけは根付いているのか…
造られた君が悪いとは思わないが
止めさせて貰う、すまない

主は消去水矢で相殺を狙う
命中が高かったり、一撃が辛そうだし
何より範囲攻撃は早めに止めなくては

第六感も使って
攻撃の使用部位や動きも見ていれば
ある程度は次の攻撃の予測も出来るだろう
そうすれば射る箇所も絞れる筈

相殺し切れなくても
先に狙われた対象に気付けば注意は出来る様にしておく
自身への攻撃は見切りも使用
自動追尾へは水矢か手近な配管等を投げ
爆風回避で後ろへ跳んで下がるぞ

他に回復手が無く
深手の者が居る時は優緑治癒


アドリブ、描写人数はお任せ
書き易い方でお願いします


シル・ウィンディア
さっきのぷに達と違って、大きくて強そうなゴーレムだね
でも…
ここで退くわけにはいかないっ!
後ろには、護る人達がいるからっ!!

さぁ、勝負だよっ!

初手、いきなりヘキサドライブ・ブーストで魔力限界突破っ!
ここからは、加減無しで行かせてもらうよっ!

平面だと捕まりそうだから
【空中戦】も利用して、3次元機動でゴーレムを翻弄しつつ
ヒット&アウェイで二刀流の光刃剣で攻撃を仕掛けて行きますっ!
スピードもパワーも、さっきとは大違いだからねっ!

スピードは、変速をして、単調にならないように行動をします
捕まったら、このモードでも正直抜け出せるかわからないしね…
だから、動き回って、捕まらないようにするのっ!



「ようやくおでまし、ね。ごきげんよう、魔導ゴーレムさん」
 ネレム・クロックワーク(夢時計・f00966)はチョコレート色の瞳を細め、涼しい表情でトレジャリーガードの巨体を見上げる。
 外装はいかにも固そうな魔道金属。巨大なゴーレムの2本の足と2本の腕は短めで、寸胴な体躯の内には動力源と思しき炉が燃え盛る。激しい蒸気と、高温の熱気が渦巻き、室内の湿度と温度を急激に跳ね上げた。
「さて、どこから切り崩す?」 
 誰にともなく言いながら、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は水精霊の杖を構える。瑠碧を中心に水の精霊が集い、周囲の熱を少しだけ下げた。
「さっきのぷに達と違って、大きくて強そうなゴーレムだもね。スピードもパワーも、さっきとは大違いだろうね!」
 緊張をみなぎらせて答えるシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)の全身から、膨大な魔力が放たる。シルは一、二、三歩の助走をつけて、大きく地面を蹴って跳躍、壁際から天井へ、トレジャリーカードの頭上へと。
「一筋縄じゃいかないだろうけど、でも……ここで退くわけにはいかないからねっ! ここからは、加減無しで行かせてもらうよっ!」
 シルの背から、二対の光の翼が伸びる。同時に膨大な魔力を集積させ、凝縮、そして爆発へ。ゴーレムの蒸気を逆流させるほどの魔力暴走が、シルを中心に吹き荒れて。
「さぁ、勝負だよっ!」

 初手から魔力限界を突破。まばゆい光の翼で宙を駆け、空中戦を挑むシルと共に、二刀の光刃剣が蒸気を切り裂く。変則的な動きで相手の手をかいくぐり、光の弧を描いた刃はトレジャリーガードの肩口へ叩き込まれ、ガリガリと金属を削り込みながら胸元まで。
「気をつけろ、シル、目の前だ」
 瑠碧の警告が鋭く響く。
 攻撃と離脱を繰り返すシルを、魔力の銃口が捉える。――次の瞬間、一斉に放たれる大口径の弾丸。弾幕の嵐をシルはぎりぎりのステップで回避する。
「まだまだ、だよっ! わたしには、護る人達がいるからっ!!」
 ゴーレムの周りを大きく旋回するシル、その動きを追う魔力弾の砲口は、次のユーベルコードが装填済みで。
 その時。

 ――蒸気の中を突っ切り、水の軌跡を描いて飛ぶ矢。続く詠唱は、凜とした強さをたたえて。
 「……其れは木の葉、其れは流れる一点、其れは一矢にて散り得る」
 
 瑠碧の消去水矢(アクア・イレイズ)は、ユーベルコードを相殺するユーベルコード。砲口に命中した矢は、次の瞬間、大量の水を吹き出しゴーレムの片腕部分を吹き飛ばした。
「お見事です、わ」
 一部始終を見ていたネレムが、賞賛の言葉を口にする。事前の予測が必須の反応速度――第六感によるものでもなければ、瑠碧の行動は手遅れになっていただろう。
「間に合ってよかった。あれは一撃が辛そうだし、何より範囲攻撃は早めに止めなくては」
 瑠碧は再び精霊弓に矢をつがえる。水の精霊の力を借りて、次に射るべき場所に狙いを定めて。
(「ゴーレム……造られた君が悪いとは思わないが、止めさせて貰う、すまない」)
 造られた身で、意思も感情も無いとはいえ 悪意と破壊欲求だけは根付いている――その性質を思えば破壊せざるを得ない。瑠碧は目につく流れ弾を次々と射落としていく。

「それにしても、なんて厄介な攻撃を仕掛けてくるのかしら、ね」
 ネレムが落とした呟きが、瑠碧の注意を引いた。後ろを振り返らずに問いかける。
「有効な手に、心当たりが?」
「少しでも動きを封じることが出来れば、活路は見出だせる筈」
 ネレムはふわりと両腕を広げる。わずかに首を傾けて、目を伏せ。魔力をその腕に抱きしめるように、ゆるやかに両手を組んで祈りの姿勢へと。
 ひそやかな詠唱が、廻る星々を形づくって。
「冱ゆる、夜の星標」

 ――地下深くなはずの迷宮が、その一瞬、高々とした宵空に満たされて。
 煌めく七つの星々が、星の属性を伴って降り注ぐ。高速詠唱の魔法弾が流れる星々に続き、光の戒めとなってゴーレムの駆動部を貫き、……動きを徐々に鈍らせていく。
「動きを封じていられる時間は、できるだけ引き伸ばす、わ。さあ、今のうち、です」

 ゴーレムの動きが鈍るそのタイミングに、シルと瑠碧は、手持ちの攻撃手段を惜しまず打ち込んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
相対するのは2度目だけど、相変わらずごつくて物騒なもの抱えてるね。力入れて臨む必要がありそうだ。本気で行くよ(真の姿を解放。黒髪金眼になり赤いオーラを纏う)

ロケットパンチとコアブラスターへの対処を奏(f03210)、マジックバーレッジへの対処を瞬(f06558)に任せ、【目立たない】と【忍び足】で敵の攻撃目標から逸れながら敵に接近し、【先制攻撃】で竜牙を叩き込むよ。【2回攻撃】出来たら上出来だね。もし、接近戦で攻撃を受ける戦況になったら【フェイント】した上で【武器受け】【カウンター】で対抗するよ。


真宮・奏
2度目ですが、あの堅そうで当たると痛そうなもの持っているのは、見慣れませんです・・・学生さん達の安全の為にも気合い入れてぶっ壊しますよ!!(真の姿解放。黒髪金眼になり青いオーラを纏う)

トリニティエンハンスで防御力を強化して、【オーら防御】【盾受け】【武器受け】でロケットパンチとコアブラスターを受けきって見せますよ!!【おびきよせ】を使ってでも、攻撃をこちらに向けさせます。いざとなれば【拠点防御】を併用しますね。余裕があれば、【族生攻撃】【2回攻撃】で腕を切断することを狙ってみますね。


神城・瞬
蜜ぷにの先には硬くて物騒な奴ですか・・・幾ら相対しても、一目で危険と分かりますね。本気で行きますよ。(真の姿解放。両目が赤くなり、銀髪になる)

僕はマジックバーレッジの対処を。【高速詠唱】で【全力魔法】で大量の氷晶の矢を生み出し、多量の弾丸にぶつけて相殺。弾幕を張る勢いで。【2回攻撃】も併用して絶え間なく撃ち続けますね。もし自分の方に攻撃が行くような事があれば、【見切り】で対処。



トレジャリーガードの破損部から、燃料オイルがこぼれるように、炎がボタボタと落ちていく。
 破損部分が増えた分、戦場を熱する蒸気や炎の漏出が激しく、もうもうとした水蒸気が時に視界を遮った。
「蜜ぷにの先には硬くて物騒な奴ですか……相対しても、一目で危険と分かりますね」
 神城・瞬(清光の月・f06558)は愛用の杖を握りしめ、蒸気でかすむ視界の中、攻勢に出るタイミングを見極る。
「相対するのは2度目だけど、相変わらずごつくて物騒なもの抱えてるね」
「私も2度目ですが、あの堅そうで当たると痛そうなもの持っているのは、見慣れませんです……。でも、学生さん達の安全の為にも、必ずやり遂げます!」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)の言葉に、真宮・奏(絢爛の星・f03210)が熱心に頷いた。響は振り返り、娘の言葉を首肯する。
「そうだね、ここは力を入れて臨む必要がありそうだ。本気でいくよ」
 『本気』で。
 ――その言葉が何を意味するか、響も、瞬もわかっている。
「気合い入れてぶっ壊しますよ!!」
「僕としても、手を抜くつもりはありません」
 響と奏、2人の瞳は、ともに紫から金へ。髪は茶から黒へ。そして響は赤いオーラを纏い、奏は青いオーラをまとう。
 瞬の髪は金から銀へ、赤い瞳はひときわ強いものに色味を変えて。
「さあ、行くよ! ここから先は手は惜しまず、できるところから崩していくからね!」
 響の声を合図に、真の姿になった3人は別々の方向へと散開する。トレジャリーガードを囲むように。

 トレジャリーガードの前に飛び出したのは、奏。
「私はここですよ、狙えるものなら狙うといいです、受けきって見せますよ!!」
 その言葉に応ずるように、ゴーレムの剛腕が射出。
 ロケットパンチは奏を真正面から捉える。剣で受けとめ、踏ん張れたのは一瞬のこと、奏の体は大きく吹き飛び、壁へ激しく叩きつけられた。
「奏!」
「まだまだです!」
 瞬が顔色を変える中、崩れるレンガ壁と共に落下した奏は、口元の血をぬぐい立ち上がる。
 奏自身のユーベルコードで防御力の底上げを図っていても、真正面から敵のユーベルコードを受ければどうなるかは、覚悟の上。
「その程度ですか? 私は全然いけますよ!」
 拠点を築き防御を固める間はないが、エレメンタル・シールドをかざし、白銀の鎧を青いオーラで強化し、奏は身構える。そこへ多量の弾丸が、魔力を帯びた猛烈な攻撃となって降り注ぎ――。
「それは僕が対処します」
 瞬のユーベルコード、氷晶の矢が弾幕を張るようにぶつかり合う。ユーベルコードの性質から相殺とまではいかないが、何割かは空中で四散し、氷と炎が宙にきらめいた。
「……っ!」
 残った弾丸はそれぞれが空中で弧を描き、一番近い目標である奏に自動追尾で襲いかかる。金の瞳に決然たる色を浮かべ、直撃の苦痛に身を折りながらも、真の力を解放してある奏は、その場をどうにかしのぎ切る。
 だめ押しの一撃をと、ゴーレムが重心を移動させる、そのタイミングで。

「奏、よく持ちこたえてくれたね!」
 目立たず移動していた響が、ゴウッと赤いオーラを燃え上がらせた。ゴーレムの背後から放つのは、決定的な一撃。
「この一撃は竜の牙の如く!! 喰らいな!!」

 ユーベルコード、竜牙。ブレイズフレイムに真の姿で得たパワーを乗せ、響は思い切り振り抜いた。
 ギギギギッ! と剣のきっ先が鎧の薄い部分を破砕し、ドラゴンの噛みつきのように胸部を粉々にかみ砕き、内部の繊細な駆動部に致命的な打撃を与える。
「このまま、たたみかけるよ!」
 勢いをつけて剣を引き抜き、同じ場所に打撃をもう一度。膝をつくゴーレムに巻き込まれないように後方へと跳躍し、響は奏と瞬の元に向かう。
「奏、いくら壁役を任せたといっても、少し無理をしすぎだよ」
「確かに、ここまで受けるときついですけど。でも、もう一、二回はいけますよ」
 娘を気遣いながらも戦意は変わらず高いままの響と、相当な負傷をしつつも強気に返す奏と。
 瞬は軽く息をつく。
「2人とも、無茶はほどほどに」
 ――猪突猛進な気のある2人を護りたくはあるのだが、時にその難しさを実感する。瞬は気持ちを切り替えようと、まだ動きを止めないゴーレムへと視線を転じた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

玄崎・供露
(マスクでくぐもった口笛の音)ふうん、あれがボスか。中々良い面構えしてんじゃんよ、なァ?

パーツ剥ぐんであればあんまぶっ壊さんほうが良いのかね、取り敢えず動きが鈍ったら「ハッキング」かけて機能停止を狙ってみる。まあそこまで追い詰める必要がある訳だが……


そうだな……あのでかい腕、ロケットパンチに対してこのユーベルコードで受けて返してやんよ。「刻印」フル稼働で魔術障壁重ねた上でなら正面から受けきれる。「激痛耐性」あるしな

借用分はダメ押しの一撃かコアブラスター防御のために使う


※アドリブなどご自由に、借用したユーベルコードは瞳の前に作った魔法陣から放たれます


トゥール・ビヨン
こいつが降雪器の部品になるのかな?
念のために、出来るだけパーツを解体するように攻撃してみよう。

いくぞ、パンデュール!

敵の攻撃に注意を払いながら、盾受けと武器受けを使い分けて魔導ゴーレムの近くで戦っていく

敵が大きく攻撃動作を見せたら、その隙を突いてプログラムド・ジェノサイドで先ずは腕の付け根を狙って切り落としてみよう

両腕が落ちたら次は両足、最後にボディも部品に遣える程度にバラバラにしてしまうよ

戦闘が終わったら、パンデュールから降りて、ゴーレムの残骸を調べてメカニックと武器改造の腕を見せながら降雪器の部品にならないか確かめて見るよ



「……ふうん、あれがボスか。中々良い面構えしてんじゃんよ、なァ?」
 ヒュウ、と吹かれた口笛がくぐもって聞こえるのは、玄崎・供露(テクノマンサー・f05850)の口元がマスクで覆われているからだろう。
 魔導のゴーレムは上半身に大きく縦の亀裂が入り、破損部から炎と蒸気をシュウシュウとばらまくが、まだ動力停止には至っていない。
 ゴウッと風が舞い上がる。数度の特攻から戻ってきたトゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)が、供露の近くで一時停止し、超常機械鎧「パンデュール」のハッチから顔を出した。ふぅと息をつき、目視でゴーレムの状態を確かめる。
「あと少しだね。本当にあいつが降雪器の部品になるのかな?」
「まァ、パーツ剥ぐんであれば、あんまぶっ壊さんほうが良いいんだろうけどなァ」
 供露は小型タブレット型の電子魔術板を見て、舌打ち一つ。
「まだだめだ。ハッキングかけるなら、もう少し追い詰めて動きを鈍らせて……めんどくせェな」
「多分、壊してから解体したほうが早いよね」
 そう言ったトゥールは、「パンデュール」のハッチを閉じる。
「行くぞ、パンデュール!」

 トゥールの超常機械鎧「パンデュール」はトレジャリーガードへと距離を詰める。うなりと共に振り下ろされるゴーレムの巨大な腕を、盾と武器で受けとめる。ガァンという金属音と、シュウシュウとこぼれる蒸気。ゴーレムの動きは最初に比べるとかなり鈍い。
「まずは腕!」
 ポジション、タイミング、角度、相手の動き、全ての条件を整えて、トゥールが発動するユーベルコードは――プログラムド・ジェノサイド。
 パンデュールの肘と膝の関節部分から、実体を持たないエネルギーの刃が現れる。精密な動きから繰り出される、目にもとまらない超高速連続攻撃は、トゥールが事前にプログラムしたもの。
 先刻から積み重ねていたダメージに加え、関節の脆い部分を集中的に狙われて、ついにゴーレムの右腕が落ちる。ゴトンという重い音。
「次は反対の腕、それから足だ、パンデュール。部品に使える程度にバラバラにするよ」
 トゥールが次の狙いを定めようとした時、腕が落ちたばかりのゴーレムの肩口で大爆発が発生した。爆風が瓦礫と共に飛び、パンデュールの体制を崩す。そこに繰り出される、ゴーレムの剛腕。

「もう一つの腕は、俺が受け持ってやんよ」
 供露はロケットパンチの前に飛び出す。プラス、マイナス、ヘックス、スクリュー、体内の刻印をフルで機動。幾重にも重ねた魔術の障壁が、空中でゴーレムの剛腕パンチと衝突、激しく拮抗する。プラズマ状のエネルギーが激しく散り、まばゆい光が目を眩ませる。

「防いだからにはこっちの番だ。自分の攻撃、自分でくらいな。――『自業自得だ』」 

 ユーベルコード・二度手間(ダブルクリック)。
 供露に刻まれた刻印に感応し、魔術障壁とぶつかり合っていたはずのロケットパンチの剛腕が180度向きを変える。そのまま先刻までの持ち主に命中、容赦のない一撃となって、ゴーレムの身体を後方へとよろめかせる。
「もう一発、ダメ押しだ」
 供露の瞳の前に魔法陣から現れる。そこから召喚されるのは――借用したロケットパンチ、トレジャリーガード自身のユーベルコード。
 重ねられたロケットパンチが、バランスを崩したゴーレムの腹部へと、再度のめりこむ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユノ・フィリーゼ
イスルギ(f10042)と行動

…とんだ迷宮の守護者もいたもの、ね
物騒なお人形さんにはこのまま眠って貰おう

力ではかなわなくても、…速さならどう?
見切りや地形を利用しながら攻撃と回避の繰り返し
高所からの攻撃が見込める時には、
スライディングによる急降下の一撃と衝撃波で
足の間接を崩せないかも狙ってみる

ちょっとイスルギ前に出すぎ…!
嗚呼もう、一撃でも致命傷に成り得る可能性だってあるのに
全く世話の焼ける…ッ!

イスルギや他の猟兵達に気を取られているその瞬間を利用し、
狙いを定めゴーレムへと花蝕庭園を放つ
少しだけでも時間を稼ぐ足止めになればそれでいい

長くは持たないから、早く片付けて
…出来るでしょ、"お父さん"?


十握・イスルギ
ユノ(f01409)と行動

む。親玉のご登場か
先程のぽよぽよした輩のようになぎ払う…のは、難しそうだな
相手にとって不足なし!
彷徨える巨躯の絡繰よ、拙者たちがお相手致そう

まずはお手並み拝見
拳が届く距離まで接近を図る
攻撃されようが構わんさ
なに、多少の痛みには耐性があるものでな

しかし…飛び道具か
おいそれと近付けん

ユノの助けを借りて
バスタードソードを放り出し
懐に飛び込めたら
怪力でがっちりと相手を掴み
気合いを目一杯に込めた【灰燼拳】を叩きこんでやろう
宝物殿の守護者であったことに敬意を込めて
…はは、矢張り"娘"の前で格好をつけたいだけかもしれんな



「……とんだ迷宮の守護者もいたもの、ね」
「親玉はやはり、先程のぽよぽよした輩のようになぎ払う……のは、難しそうだな」
 ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)の言葉に、十握・イスルギ(欠けた剣・f10042)が頷く。
「相手にとって不足なし、まずはお手並み拝見といこうか!」
 しかし、イスルギがそう言って、それまで構えていたバスタードソードを放り投げたものだから、ユノは大きく目を見ひらいた。
「ちょっとイスルギ……」
「なに、多少の痛みには耐性があるものでな。飛び道具は厄介だが、ここで行かずば何も始まるまいて」
 ユノに向けて力強い笑みを向け、イスルギは、拳の威力を高める数珠を握りしめる。この先、頼りになるのは己の拳ひとつ。
「彷徨える巨躯の絡繰よ、拙者たちがお相手致そう!」
 とめる間もなく、イスルギは辺りを圧する口上と共に、真っ直ぐにトレジャリーガードへと走り込んでいく。懐近くへ、敵の攻撃がやすやす通る場所まで。
「嗚呼もう、一撃でも致命傷に成り得る可能性だってあるのに全く世話の焼ける…ッ!」
 言いながらユノも走り始めている。迷宮の壁を伝う蒸気の配管を駆け上がり、大きく回り込んで、死角をついてスライディングによる一撃。追尾される弾丸を回避し、銀の長剣を掲げ、風と共に空を舞うように。そのまま高所から駆け下りて、足の関節を目がけて切りつける。
「力ではかなわなくても、……速さならどう?」
 度重なる損傷により、まばらになった弾幕がイスルギを狙っている。それはさせじと、ユノはユーベルコードの詠唱を紡ぐ。

「我が命を糧として、 ――満ちて、咲け」

 ゴーレムの膝関節から、ユノ自身の生命力で育つ花が咲く。また一つ、もう一つと咲けば、トレジャリーガードの動きは鈍くなり、弾幕もみるみる薄くなって。
「長くは持たないから、早く片付けて ……出来るでしょ、"お父さん"?」
 ユノの言葉に、イスルギは口角を上げた。
「無論だとも。“娘”の信頼とあれば、何を置いても応えよう!」
 少しだけでも、時間を稼ぐ足止めになれば――ユノの意を正確にくみ取ったイスルギは、怪力を活かしてゴーレムをがっちり掴み込む。

「宝物殿の守護者であった者よ、その歩みもここまでだ! この地で眠ってもらうぞ!」

 気合いを込めたイスルギの灰燼拳は、トレジャリーガードの胸部を完全に打ち砕き、動きを止める決め手となった。
 前のめりに倒れ込むゴーレムは、炎と蒸気を激しく周囲にまき散らし、シュウシュウという音を立てながら動かなくなっていく。

 熱気が冷め、くずおれるゴーレムを見守りながら、ユノは隣にやってきたイスルギを軽くにらむ。
「だから、前に出すぎだと、何度言えば……! あそこまで無茶をする理由はない、でしょう」
 相応に傷を負った状態で、イスルギはぽりぽりと頭をかいた。
「……はは、矢張り"娘"の前で格好をつけたいだけかもしれんな」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『雪で遊ぼう!』

POW   :    特大雪だるま、雪像、かまくら、大物も細工物もお手のもの!(遊び方は一例です)

SPD   :    スキー、スノーボード、早さを活かしたウインタースポーツ!(遊び方は一例です)

WIZ   :    雪合戦や、雪面へのお絵かき、雪に埋めるアイスキャンディー、雪活用法あれこれ。(遊び方は一例です)

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●救出成功
 本当にありがとうございます、と助けられた生徒達の代表が深々と頭を下げる。
 ……残りの生徒達といえば。
「使える部品を探せーーー!」
「まず歯車だ! それっぽいヤツを何でも集めろ!」
「ねえこっちのパーツも使えない? あっその水銀こぼさないで! もったいないよ、まだ使えるよ!」
 何やら大フィーバーしていた。
 猟兵の中にも、降雪器の部品探しに協力している者もいる。メカニックと武器改造の技術も含め、猟兵の知識や技術は、生徒達に大歓迎だった。
 笑顔の生徒達が、猟兵に言う。
「おかげで、ようやく降雪マシーンを完成させることができるよ。よければ降雪機能の実験も、つき合っていってくれよ!」

●そんなわけで。
 魔法学園の地上にて。
 なだらかな斜面と、斜面に続く広々とした広場に、どっさりと雪が積もっている。現在の積雪は1.5メートル。
「要望があればもっと降らせることもできますし、降らせっぱなしにもできます。雪が降る景色もなかなかきれいですよ」
 降雪マシーンは無事に完成し、あとは初期性能を試す――つまり、新雪で思い切り遊ぶだけ。
 自分の適性や、能力とかは一切関係なく、ただ好きなように過ごしてくれればいいという。雪を使ったことなら、何をしても構わない。何なら眺めているだけでもいい。食べ物や、飲み物の持ち込みも可能だし、スキーやスコップなど、道具の貸し出しなども行っている。
 降雪マシーン製造に加わった生徒達も皆その場ににいるので、手伝いの手が欲しければ声をかけてもいいだろう。

「思う存分遊んでください。きょうは雪原が貸し切りになった、そんな感覚でいてもらえればと」
十握・イスルギ
【加賀宮神社】で参加

ユノに手引かれ雪原へ
ふむ…こうして見ると圧巻だな
学生たちの技術は確かなものだ

ああ、佳い景色は分かち合う者が多いほど良い
気にするな、巫女長殿
オレはオレの役目を果たしただけ
誇らしげに笑んで右目の古傷をなぞり
ユノの活躍も見せたかったぞ

何やら雪と格闘し始める巫女長殿を微笑ましく見つつ
休んでいるユノの傍へ
…先程は無理をさせたな。大丈夫か。
お前さんの助けがなかったら危なかった

ん?何だユノ
何か言ったかと言い終わる前に雪玉が直撃
………はは。今のは良い球筋だったぞ
きららも遠慮はするな、どんとこい。

娘たちと過ごす時間は矢張り格別だ


加賀宮・きらら
【神社】で参加

ああ、一面真っ白…なんて美しい景色でしょう
ときめく心抑え二人に向き直り
お二人共、戦いお疲れ様でした
イスルギ様はまた、傷だらけになられて…
(私がもっと強ければお力添えできたのですが…)
ユノ、風邪を引いたら困ります。
せめて襟巻きをぐるぐる巻いてあげましょう

そうだ、雪うさぎを作りましょう
姉のような存在のユノに少しでも癒しをと
一生懸命頑張るけれど
…ど、どうしても美しくならないっ
少しの歪みも許せなくて
必死にぺたぺた

ハッと顔を上げると
雪玉直撃のイスルギ様…な、なんてこと
ええっ?私も?
サッと雪うさぎを隠しつつ
も、もうっ、そんなことを言われても困りますっ…!!
でも、ユノが楽しそうで、良かった


ユノ・フィリーゼ
【神社】で参加

降り注ぐ雪の魅せる景色の美しさ
きららも一緒に来られて本当に良かった
ね、イスルギもそう思うでしょう?
微笑み揺らし二人の手を引き雪原へ

積もった白の絨毯にそっと腰下ろし、少しだけ一休み
巻かれた襟巻きに埋もれつつも、まなこはしっかりと二人に
どこかぎこちない手付きで何かを作る親友
それを笑顔で見守る父親代わりの彼
そんな二人を見ているとほわりと心があたたかくなる

うん。あの時のイスルギは、確かに格好良かったかも

……何も言ってない。こっち見ないで
握った雪玉を彼の顔目掛け思い切り投げつけ精一杯の照れ隠し
さ、休憩はお終いね

ほら、きららも一緒にやろう?イスルギに雪玉あてるゲーム
負けた方が今日の食事当番ね



●雪景色と雪うさぎ
 雪に覆われた空間は、照り返す陽光にキラキラと小さな輝きを放っている。
「ああ、一面真っ白……なんて美しい景色でしょう」
 加賀宮・きらら(雲上の蹄音は美しく・f09813)は耳と尻尾をさわさわと揺らし、白い頬を紅潮させて、雪の世界に見入っていた。きららの手を引くユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)は、反対の手で十握・イスルギ(欠けた剣・f10042)の手を引いている。
「きららも一緒に来られて本当に良かった。ね、イスルギもそう思うでしょう?」
 そう言ってユノが見せる微笑みは、先刻の戦闘時とは違ううち解けたもので、イスルギの表情も、自然と穏やかなものになる。
「ああ、佳い景色は分かち合う者が多いほど良い」

「……こうして見ると圧巻だな。学生たちの技術は確かなものだ」
 イスルギの言葉どおり、3人が足をとめた場所は、降り積もった雪が一面に広がる、景色のいいところで。
 比較的温かな日差しのさす場所で、白の絨毯を少しだけ踏み固めて、腰下ろして一休み。
「お二人共、戦いお疲れ様でした。イスルギ様はまた、傷だらけになられて……」
 身を削るような激しい戦いがあったこと、自分がもっと強ければ力添えもできただろうと、きららは力及ばぬ我が身を思い、目を伏せる。
「気にするな、巫女長殿。オレはオレの役目を果たしただけ」
 そんなきららに、イスルギは誇らしげに笑んで、右目の古傷を指でなぞった。
「ユノの活躍も見せたかったぞ」
「さぞ大活躍だったのでしょう、ぜひこの目で見たかったです」
 ――実際その場にいたら、見るどころではなく、心配のほうが勝ったかもしれないけれど。
 こうやって優しい時間を過ごせるのだから、今は、それだけで。

 ユノは、顔の半ばが埋もれるぐらいの襟巻でぐるぐる巻き。きららが巻いたそれは、風邪を引いたら困るからとのことで。
 そのきららは、さきほどから雪を固めて、何かをせっせとつくっていた。
 きららと、きららを優しい目で見守っているイスルギ。2人の姿を見ていると、ほわりとユノの心も温かくなる。
 きららの手の中にいるころりとした雪うさぎは、とっくに完成にも見えるけれど、まだお眼鏡にはかなわないらしい。どこかぎこちない手つきで、ぺたぺたと雪をつけたり、削ったり。

「……先程は無理をさせたな、大丈夫か。お前さんの助けがなかったら危なかった」
 いつの間に傍らに来たのか、小さく声をかけてくるイスルギを、ユノはじっと見る。ユノの口が開いて、閉じて、――何かの言葉を言いかけて。
「……」
「ん? 何だユノ」
 何か言ったか、と続けようとしたイスルギに、ぽふりと雪玉をぶつけた。
「……何も言ってない。こっち見ないで」
 次の雪玉をきゅっと握ったユノの頬は赤い。数歩距離をとり、今度こそ顔面めがけて、雪玉を投げる。
「………はは。今のは良い球筋だったぞ」
 突然何かが始まったことにおろおろするきららの腕をとって、ユノは楽しそうに笑う。完成直前の雪うさぎは、安全なところに移して。
「さ、休憩はお終いね。ほら、きららも一緒にやろう? イスルギに雪玉あてるゲーム。負けた方が今日の食事当番ね」
「ええっ? 私も? も、もうっ、そんなことを言われても困りますっ……!!」
「きららも遠慮はするな、どんとこい」
 楽しそうなユノを見ていると、きららも笑顔になる。イスルギにとっても娘たちと過ごす、格別な時間。

 ……。
(「――あの時のイスルギは、確かに、格好良かったかも」)
 言の葉ひとつ、雪の中。
 白い景色に、ふわりと溶けて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネレム・クロックワーク
生徒の皆様が、お元気そうで何より、ね
それにしても、降雪マシーンは素晴らしい発明、だわ
わたしも、ガジェッティアの端くれ
降雪マシーンにも、雪にも、実は興味があったのよ

ふわもこのコートを着込んで、いざ、雪原に
一面に真っ白な雪と新雪の踏み心地は、まさに感動もの
雪って素敵……! 素敵、ね!

ところで、雪遊びの定番は、雪合戦、なのかしら?
遊び方を教えて貰えると、嬉しい、わ
……なるほど、中々奥深い、遊び、なのね

あ、雪玉が……、上手に作れない、わ
四苦八苦して作った雪玉は、明後日の方向へ
むむむ……、でも、わたし、避けるのは得意、よ
上手に投げられなかった分、華麗に避けてみせる、わ

※アドリブ、複数人描写大歓迎です


泉宮・瑠碧
おお…
雪は人の手で降らせる事も出来るんだな
マシーンとの事だが、魔法みたいだ
…凄いな、目標達成だ

えと、この雪は食べても大丈夫なのだろうか
飴を作りたいのだが

サトウカエデの樹液…メープルシロップ、か
それをよく熱して
綺麗な雪の上に幾つかの棒状に垂らして暫し
冷えて固まってきたら完成

雪は口にしない方が良いのであれば…
雪の上に天板でも置いて作るか

くるっと棒で取り
…うん、美味しい
良ければ生徒達にも配ろう
好みはあるだろうから、無理はせずに

それと…
生徒達は遊ばなくて良いのか?
実験ではあるだろうが、交代ででも息抜きはして良いと思う
見ている事位なら僕でも手伝えるからな

凄い機械を作ってくれて、遊ばせてくれて、ありがとう


玄崎・供露
【WIS】しみじみと雪景色を楽しんでいると雪合戦に巻き込まれてムキになって参加する


(眩しいものをみるような、何とも言えない表情で雪が降るのを眺めている)…………真っ白、だな。銀世界っつーんだっけな、これ。中々どうして綺麗じゃねェか。

成功報酬には十分だな、良いものを見れた。これだけでわりと価値があるな……(雪だまのぶつかる音)

……今雪ィ投げたの誰だおい、正直に名乗り出れば三倍返しですましてやる

はっ、そっちがその気なら買ってやんぞオラァ!!後悔してもおせえからなぁ!?

※アドリブ等大歓迎です


真宮・響
お、無事に降雪マシーンが完成したようだね。何よりだ。奏(f03210)がキラキラした目で「特大ゆきだるま作りたい!!」と言ってるので、3人で作ろうか。瞬(f06558)、こういう力仕事は男手が必要だよ。分かってるね?


奏と二人してはしゃぎながら雪をせっせと運び、特大雪だるまを作成。後ろで苦笑している瞬を引っ張って来て、仕上げの雪だるまの頭にバケツを載せる作業をやらせる。大きく作り過ぎたものだから、私と奏では頭に手が届かないのでね。瞬の出番ってことだ。ガタイの大きさには自信あるだろ?


真宮・奏
皆さんの協力で素敵な雪原が出来ました!!これだけの雪があれば、やる事はただ一つ、特大雪だるまを作る事でしょう!!(目をキラキラ)さあ、瞬兄さん(f06558)も一緒に作りましょう(瞬の手をぐいぐい)

響母さん(f00434)と私の手にかかれば、物凄い大きい雪だるまを作れることでしょう!!(響と奏の背を越える雪だるまが出来る)仕上げは瞬兄さんがやってくれるよね?(物凄いキラキラした目で瞬にお願い)


神城・瞬
その見事な雪原は皆さんの努力の結果ですね(にっこり)さて、この雪原で何をするかですが・・・特大雪だるまですか?それは・・・(渋い顔)はい、一緒に作ります(響と奏に押し切られた)

私が手伝わなくても、響母さん(f00434)と奏(f03210)なら特大雪だるま作れそうですが・・いささか大きすぎる雪だるまですね。しょうがない、頭にバケツ乗せる役は僕やりましょう。上手く2人に乗せられた気がしないでもないですが。



●特大サイズの雪だるま
「お、無事に降雪マシーンが完成したようだね。何よりだ」
「はい、皆さんの協力で素敵な雪原が出来ました!!」
「皆さんの努力の結果ですね」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)が感心したように雪原を見渡せば、真宮・奏(絢爛の星・f03210)はぐっと拳を握り込んで頷き、後ろから続く神城・瞬(清光の月・f06558)もにこりと笑う。
「さて、この雪原で何をするかですが……」
「これだけの雪があれば、やる事はただ一つ、特大雪だるまを作る事でしょう!!」
 瞬が言い終わる前に、紫の目をきらっきらさせながら奏が宣言した。そして、にこにことそれを見守る響。
 ……まあ、こうなる気は薄々していた。
 義母と義妹がこれだけ楽しそうなら、瞬も否という理由がない。
「さあ、瞬兄さんも一緒に作りましょう!」
「こういう力仕事は男手が必要だよ。分かってるね?」
 奏に手をぐいぐい引っぱられながら、瞬はこれからしばらく、雪だるまをつくり続ける覚悟を決めた。

 始めに作るのは小さな雪玉。それを雪原の上でコロコロと転がす。最初は軽く転がせるけど、雪玉が大きくなるにつれ転がす手応えは重くなり、雪玉はどんどん大きくなっていく。
「とても大きい雪だるまができますよ、楽しみですね、瞬兄さん、響母さん」
 童心に返ったかのようにはしゃぐ奏の姿を見るのは、瞬にとっても悪くないものではあるのだけれど。
(「私が手伝わなくても、響母さんと奏なら、特大雪だるま作れそうですが……」)
 雪だるまの頭部分は響が転がし、胴体の部分は奏が転がして。2人ともはしゃぎながら雪の玉を転がし続ければ、奏の胸元ほどもある、大きな雪玉が2つできあがる。
「あとはこっちの頭を、胴体に乗せれば完成です!」
「張り切って大きくしすぎたかな、銅の上まで持ち上げるのが大変そうだね。でも、アタシと奏なら何とかなるだろう」
 予定より大きくなった雪玉はかなり重いが、響と奏の2人なら、さほど難しい作業ではない。
 ――ほどなく、雪原の中央には、響と奏の背を越える、巨大な雪だるまが姿を現した。
 
「……いささか大きすぎる雪だるまですね」
 途中から完全に見守り側に回っていた瞬は、形の整った雪だるまを見上げる。
「仕上げは瞬兄さんがやってくれるよね?」
 かつてここまでのおねだりはあっただろうかというキラキラした瞳で、瞬に迫る奏。
「大きく作り過ぎたものだから、私と奏では頭に手が届かないのでね。瞬の出番ってことだ。ガタイの大きさには自信あるだろ?」
 瞬が渡されたのは、雪だるまの頭の上にかぶせる帽子がわりのバケツ。
「……しょうがない、やりましょう」
 上手く2人に乗せられた気がしないでもないですが、と苦笑をしながらバケツを受け取り、背伸びをして腕を伸ばす。雪だるまの頭の上、安定のいいところにバケツを置いて、バランスを見ながら配置。
「やはりバケツが小さすぎた気がします」
「つくった雪だるまが大きくなりすぎたからね。これはこれで、愛嬌があっていいんじゃないか?」
「ついにできましたね、瞬兄さん、響母さん」
 大喜びの奏を見ていると、これでよかったという気持ちになれる。瞬の口元にも、自然と笑みが浮かんだ。

「もう一つつくりましょう、瞬兄さん。まだ時間に余裕はあります!」
「……えっ!?」

●メープルキャンディーと雪合戦
 ふわふわもこもこのコートを着込んだネレム・クロックワーク(夢時計・f00966)が、両手を広げ、雪原の中央でくるりくるりと回っている。
「雪って素敵……! 素敵、ね!」
 一面の雪野原は全てが新雪。きゅっきゅっと足の下の踏み心地は他にない、まさに感動もの。空を見上げて、光にきらめき舞う雪片へ手を伸ばす。
「降雪マシーンは素晴らしい発明、だわ」
 ネレムとてガジェッティアの端に連なる者、降雪マシーンにも、雪にも、興味は尽きない。
 機械が作り出す雪に抱く感歎の念は、泉宮・瑠碧(月白・f04280)も同じこと。
「雪は人の手で降らせる事も出来るんだな。マシーンとの事だが、魔法みたいだ……凄いな、目標達成だ」
「…………真っ白、だな」
 玄崎・供露(テクノマンサー・f05850)も、眩しいものをみるような、何とも言えない表情で舞う雪を眺めていた。
「銀世界っつーんだっけな、これ。中々どうして綺麗じゃねェか」
 降ったばかりの雪をすくうと、意外と軽く、ほろほろと崩れていく。それを見つめる、供露の赤い瞳がやわらいだ。
「成功報酬には十分だな、良いものを見れた。これだけでわりと価値があるな……」

「見るだけどなく、雪にはこんな使い方もあるが、どうだろうか」
 そう言った瑠碧が、供露へと差し出した、黄金色をした棒状のもの。
「……キャンディー?」
「そう、サトウカエデの樹液…メープルシロップ、か。それをよく熱して、綺麗な雪の上に垂らし、冷やし固めたものなんだ」
 これをつくるために、きれいな雪を降らせてもらったから、食用には問題ないとのこと。
「よければ一つ、どうかな。好みはあるだろうから、無理はせずに」
「……あ-、俺は」
 言いかけた供露の側頭部を――いびつで大きい雪玉が、見事な勢いでヒットした。
「わぷっ」
 完全に油断していた瞬間にやられて、バランスを崩した供露が尻餅をついた。むくりと起き上がった供露の目が据わっている。
「……今雪ィ投げたの誰だおい、正直に名乗り出れば三倍返しですましてやる!」
「あ、ごめんなさい、ね。そちらに投げるつもりはなかったの、よ」
 生徒達に一から教わりながら雪合戦を始め、雪玉をうまくつくれない、と頑張っていたネレムは、今度は雪玉投げに四苦八苦していた様子。全然違う方向に投げていたはずが、何がどうなって供露にぶつかってしまったのやら。
「でも、避けてくださってよかったの、よ?」
 くすくすと楽しげに笑う、からかい半分のネレムの言葉に、雪まみれになった供露が猛然と立ち上がる。
「はっ、そっちがその気なら買ってやんぞオラァ!! 後悔してもおせえからなぁ!?」
「供露、彼女も故意にやったわけでは……」
 瑠碧の言葉も聞き流し、供露は雪玉をぎゅぎゅぎゅっと握り込む。目的地は一つ、雪合戦の激戦地。
 走り出した供露を見送り、瑠碧は降雪マシンの調節を続ける生徒達へ、メープルシロップの飴を配る。自分も口に含めば、ひんやりとした、優しい甘さが口の中に広がっていく。――うん、美味しい。
「君達は遊ばなくて良いのか? 実験ではあるだろうが、交代ででも息抜きはして良いと思う」 
 雪遊びの光景を目の前に、何人かがそわそわしていたのは、瑠碧が気にするところだったので。
 そして、この機械は誰かがついていなきゃ、という言葉も、瑠碧の予想の範疇内。
「見ている事くらいなら、僕でも手伝えるかな」
 凄い機械を作ってくれて、遊ばせてくれて、ありがとう。瑠碧がそう言葉を続けると、生徒達が照れくさそうに笑って答えた。
 ――こちらこそ、危ないところに来てくれて、みんなを助けてくれて、ありがとう。

「わたし、避けるのは得意、よ。上手に投げられなかった分、華麗に避けてみせる、わ」
「上等だ、決着つくまでやめねェからな、泣かしてやるから覚悟しとけよ!」
 楽しそうなネレムの言葉に、ムキになりつつも楽しそうな供露の宣戦布告。
 学園の生徒達も雪合戦に加わって、各陣営の人数が増えるたび、飛び交う雪玉の量がどんどん増えていく。
 ……まだしばらく、雪野原で過ごす時間は続くだろう。勝負がつくまで、遊び疲れるまで。

●また会う日まで
 降らせた雪を片付けて、猟兵達からたっぷりとフィードバックをもらい、生徒達は大喜びで学園に戻っていった。
 今回の指摘内容をもとに、もっと完成度の高い装置を目指すという。
 猟兵達も帰途につく。今日の戦いを終えて、明日の戦いのために。オブリビオンと戦う日々は、まだまだ続いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月10日


挿絵イラスト