1
エンパイアウォー⑨~スタイリッシュソードバトル

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦争
🔒
#エンパイアウォー


0




「よっしゃ皆! スタイリッシュに蹴散らすぞ!!!!」
 ナンシー・アラタメが、拳を突き出して叫んだ。

●山陽道熱波地獄
 時は夏のサムライエンパイア。
 『第六天魔王』織田信長を撃滅すべく居城魔空安土城へ向かう幕府軍は最大の難所関ヶ原へと集結した。
 しかし彼らが進む先に待ち構えているのは三つの強大なオブリビオン軍団。
 安土城へ一万以上の兵士を到着させることができなければ魔王信長による悪夢の時代が始まってしまうだろう。

「ぐぬう……なんて暑さ……」
「し、死ぬ……」
 山陽道を進む幕府軍の兵士たちは、降りかかる真夏の猛暑に今にも倒れそうだった。
 熱中症対策が大事なのはどの世界でもかわらんのじゃろう。
 彼らは身体を冷やしつつ水をとりつつせっせと道を進むのだが……。
 彼らはまだ知らない。
 これが侵略渡来人コルテスによって仕掛けられた熱波地獄の罠だということに!
 夜間35度を記録するこの猛暑は熱波の儀式による発熱現象であり、このままでは平均気温はまさかの50度。兵士はおろか作物さえも死に絶え、あたりは文字通り地獄と化すだろう。
 彼らを助けることができるのは、勿論――!

●霊玉を砕け
「そう、俺たちしかいない!」
 所変わってグリモアベース。ナンシー・アラタメは今にも自分で突っ込んでいきそうな勢いで叫んだ。
「この熱波は『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』を使った儀式によって生み出されている。
 こいつをぶっ壊せば俺たちの勝ち。壊せなければ負けだ。兵士たちは気温50度の世界で倒れることになるだろう。
 幸いにも山陽山中に切り開かれた儀式ヤグラを発見した。ここへテレポートで乗り込んで、儀式を行なってるオブリビオンたちを片っ端から倒せばいい。シンプルだな!」

 儀式を行なっているのは長州藩を素材にコルテスが生み出したという『女剣士』である。
 勿論長州なんでみじんも知らないし興味ももたないコルテスである。彼がいい加減に骸の海から引っ張り出した女剣士に長州の面影も魂もない。
 しかしコルテスの手下というだけあって相当の強さがあるはずだ。
「コルテスの野郎は熱波で兵たちを殺すだけでなく南米風土病をまき散らして民を抹殺しようってハラらしい。そうはさせねえ。俺たちのファイトを見せてやろうぜ! つまり――」
 拳を突き出し、ナンシーは今度こそ言い切った。
「スタイリッシュに蹴散らすぞ!」


空白革命
シナリオ目的はシンプル。
『女剣士』たちを片っ端から倒しまくり、最後に儀式に使われている霊玉を破壊すればクリアです。
女剣士は瞬間移動と斬撃を用いたスピードタイプの剣士です。
これに対し、どれだけスタイリッシュに倒せるかというチャレンジをプレイングにぶつけてみましょう。
スタイリッシュに倒せれば、あなたの勝ちです!
=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
394




第1章 集団戦 『異国の少女剣士』

POW   :    跳躍飛翔
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
SPD   :    縮地法
【瞬間移動】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【至近距離からの斬撃】で攻撃する。
WIZ   :    憑呪宿奪
対象のユーベルコードに対し【その属性や特性を奪い取る斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:ちーと

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

二天堂・たま
瞬間移動持ちの剣士か。
突然目の前に現れてシュババ!と切りつけてくるタイプなのだろう?
“来る”と分かっていれば怖くはない…むしろ“カモ”だな。

予めボビンケースの糸をまき散らして罠を張り、相手が瞬間移動して来られる場所を狭めておく。
そして目の前に飛び込んできたらこの自慢の肉球で“てしっ”と倒してくれよう。
ワタシの肉球は悪意や殺意を浄化する魔性の肉球…。
そう、ねこ(ケットシー)の肉球は偉大なのだ!(シュババ)


形代・九十九
……悪いが、相手が女だろうと侮るつもりはない。
おまえたちの専横を許せば、この世界の誰かが傷付き、嘆き、苦しむことになるのだからな。
……故に、狼藉はここまでだ。おまえたちは徒花のごとく、ここで派手に咲いて散っていくが良い。……せいぜい悪く思え。

ユーベルコード:抜けば魂散る氷の刃を発動。
瞬間移動で回り込む奇襲攻撃を、身に纏った時間をも凍結させる冷気の結界にて阻害し、その動きをスローモーションに変えていきながら、群がる女剣士たちを【残像】を伴う高速移動ですり抜け手にした長刀と、【念動力】を流して強化した操り糸による【ロープワーク】にて拘束し、次々と鮮やかに斬り捨てていく。

アドリブ・連携歓迎。


ユキ・スノーバー
スタイリッシュに攻めろーっ!って事だったから、ぼくお得意のスタイリッシュいっちゃうぞーっ♪

華吹雪でしゅーっと地面を凍らせてつるっつるー!
ついでに吹雪が目眩まし効果…あ、熱波で溶けて蜃気楼っぽくなっちゃう感もある?
それはそれで幻影っぽくて、残像だーっ!って出来るから結果オーライって方向でいくから大丈夫っ!
カッコよさは臨機応変にも対応出来るって事だって学んでるんだよー(ウインク)
まあ、最後は容赦ないアイスピックでサクッとフィニーッシュ!って爽快感で駆け抜けちゃう!
時間かけてる場合じゃないから、サクサクっと撃破していくに限るんだよーっ
あつはなついとかって言っちゃうぼくだけど、涼しさをお届けバッチリ!


黒鵺・瑞樹
アレンジ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

暑さだけでなく風土病までばらまくつもりだっていうのか。
さっさと倒した方がいいな。

【存在感】を消し【目立たない】ように移動、そのまま【先制攻撃】で【奇襲】【暗殺】のUC菊花で攻撃。代償は寿命で。
さらに動きの制限【マヒ攻撃】、かつ【傷口をえぐる】でよりダメージ増を狙う。
一撃離脱の動きで確実に倒し、数を減らしていく。

相手の物理攻撃は【第六感】【見切り】で回避。
回避しきれなものは黒鵺で【武器受け】からの【カウンター】を叩き込む。
それでも喰らってしまうものは【激痛耐性】でこらえる。

さてどこまでスピード勝負をできるだろうか。


ラプラス・ノーマ
すたいりーっしゅ。
おーけぃ、べいべー任せときな!

さてさて?ご機嫌麗しゅう、マドモワゼル?
サクッと死んで、骸の海に帰ろうぜ
なに、ミチシルベはあたしさ
なんたって、カミサマだかんね!

生憎と、身のこなしには自信あってさ
くるり、ふわり
舞うように攻撃を回避
さて、動きも理解したし、攻撃に転じよう
袖から無数のダガーを出して、投擲
っと、まだ余力あったか
斬撃はダガーで受け流して

ほぇー、これが
これが噂の玉。
……イタズラ心がむくむくわいて
袖の中から似たようなものを出して、ジャグリング
あっはっはっ
本物がっ!
どれだろー!


燈夜・偽葉
許せませんねコルテスのやつ!
邪魔してやるのです!

空戦ですか、いいでしょう
付き合ってあげますよ
黄昏の太刀(サムライブレイド)を携え
「剣よ、嵐を臨みて」を使い、空中で斬りかかります
念動力で残り8本の刀も操作しつつ
敵の動きを見切り、確実に当て
囲まれてもなぎ払い、範囲攻撃や衝撃波を駆使

敵の攻撃は視力で見切り、第六感や戦闘知識で感知
残像、フェイントを交えて回避
避けられなくても武器受けからカウンターで斬り裂きます


ルク・フッシー
「う…おおおっ!」
テレポートで敵陣のど真ん中に現れ、【ドラゴニアン・ブラッド】を発動しながら、翼を広げる勢いで集まってきた敵をなぎ倒します

「せえい!やあーっ!」
ポールアームの要領で大筆を振り回し、相手の剣や斬撃を武器受けしながら【風属性】の塗料を撒き散らします

瞬間移動や空中ジャンプは厄介ですが、突風で動きが乱れた所に大筆の打撃で打ち上げ【空中戦】に持ち込みましょう

相手が1箇所に集まるようなら、ボクは翼で飛び上がり敵集団に向けて塗料放出ビーム砲撃を行います!

霊玉は大筆を力いっぱい叩きつけて壊します
壊れたら爆発とかしそうなので、速やかに飛翔して離れ、遠くから現場の様子を見てそのまま飛び去ります



 ヤグラを中心にひざまずく少女たち。
 白い神に異国の服。腰の鞘に収めた西洋剣。
 そんな彼女たちはふと、異質な気配に顔を上げた。
「ふうむ、ふむ……なかなか大層な儀式をしているな」
 ふさふさしたネコ。もとい灰色毛皮のケットシーが顎の毛を撫でながら大地へと降り立った。
「しってるしってる! ボンオドリ! ボンオドリだよねこれ!」
 彼の後ろからぴょこんと顔を出し、手を上げてぶんぶん振るユキ・スノーバー。
 可愛い雪だるまのように見えるが、彼はれっきとしたテレビウムである。
 さらさらとしたペーパーディスプレイににこにことした表情を映し出し、雪結晶のエフェクトを画面内に降らせている。
「おいおい早速愉快な動物園みたいになってるぜイェーガー」
 オモチャのナイフを人差し指でしゅこしゅことやりながら、ラプラス・ノーマが彼らとは反対側に現われる。
「さてさて?ご機嫌麗しゅう、マドモワゼル? サクッと死んで、骸の海に帰ろうぜ。
 ミチシルベはあたしに任せな。なんたって、カミサマだかんね!」
 ニッと笑うラプラスに、少女たちが一斉に剣を抜いた。
「剣をとる少女、か」
 からからと奇妙な音を立て、茂みの中から現われる形代・九十九。
 恐ろしく長い太刀の柄に手をかけると、身体の回転を使って軽やかに抜刀した。
「無論、造形で侮るつもりはない。ここで見逃せばこの世界の大勢が死に絶え、生き残ったものが傷つき、嘆き、苦しむことになる。故にこう述べよう」
 刀がきらりと陽光をはね、九十九は作られたまぶたを半分まで閉じた。
「……せいぜい悪く思え」
「そういうことなら、混ぜて貰おうか」
 かすむ空間の中から現われた黒鵺・瑞樹が、腰にさげた刀をすらりと抜いた。
 刀身には美しい波紋がはしり、照り返した光が地をはしった。。
 瑞樹はそのまま腰の後ろに片手を回し、奇妙な構えで半歩踏み出す。
「まってください、私も行きます!」
 空に突然現われた炎の中から、燈夜・偽葉が飛び出してきた。
 くるりんと宙返りをかけて土の上に着地すると、空から同じく降ってきた何本もの刀が土へと突き刺さっていく。
「コルテスのやつ、夏を更に暑くするとか許せませんね! しゃべり方もなんだかむかむかしますし!」
「う」
 続いて、ルク・フッシーがカラフルな絵の具の水たまりから飛び出すように現われた。
 つるつるとした鱗に覆われたむっちり肉質のドラゴニアンである。
 絵筆を取り出し、剣士たちへと身構える。
 イェーガーによる包囲網が、この短い間にできあがった。
「…………」
 ぐ、と全身に力を入れる少女たち。次の瞬間――唐突に激戦は始まった。

 一斉に瞬間移動をかける少女たち。
 九十九の眼前へと現われた少女は剣で彼の首をはねた――つもりであった。
 しかし。
「瞬間移動など、あまりに『遅い』」
 九十九の姿は少女の背後にあった。
「――!」
 振り向いて剣を繰り出す少女。しかし剣は空を切り、九十九の声がまた背後から聞こえた。
「狼藉はここまでだ。おまえたちは徒花のごとく、ここで派手に咲いて散っていくが良い……」
 再び振り向いて剣を繰り出そうとする少女。
 だが、そこで違和感に気づいた。腕と足が凍り付き、まるで動かなくなっていたのだ。
 無理にひねった足はばきりと折れ、少女は地面に転倒する。
「何が起こったのかも理解できないか」
 九十九は少女の目の前に現われ、刀を少女の首元へと当てた。
「時間を凍らせ、お前の斬撃を止めた。そしておれの風が触れるたびにお前から熱は喪われ、凍り付いていく」
 この暑さには丁度いいだろう?
 九十九はそうとだけ言って、完全に凍り付いてしまった少女を太刀によって破壊した。
 一方で、たまへと迫っていた少女は彼の小さな身体を大上段から真っ二つにしようと剣を振り下ろした……が、振り上げた筈の剣はそのまま何かに固定され、それ以上振り下ろせなくなっていた。
 蜂を捕まえる蜘蛛糸がごとく、たまの眼前に予め巡らされていたカーボンワイヤーが剣を巻き取り、固定してしまったのだ。
「速さに慢心したな? 来ると分かっていれば恐くなどない。言ってみれば、そう……『カモ』だな」
 たまは毛並みの良い顎をふかふかと撫でながら、少女へと歩み寄った。
 危険な気配を察知し、剣を手放して飛び退く少女。
 だが、それで逃がすたまではない。
 地面に片手をついたかと思うと、凄まじいスピードで少女の眼前へと急接近。
 意趣返しとばかりに跳躍し、腕を高く振り上げた。
 攻撃の予備動作。少女は反射的に防御の構えをとるが……それがいけなかった。
 たまの繰り出す肉球が『てしっ』と少女の腕に当たり、衝撃を放つ。ただの衝撃ではない。少女から殺意や悪意を吹き飛ばす衝撃である。
「そう、ねこの肉球は偉大なのだ!」
 少女は衝撃をまともにうけ、ぐらりと気を失った。

 瞬間移動で速攻をかけるはずだった対象は、九十九とたま……に加え、実は三人いた。
 しかし少女は瞬間移動したにもかかわらず対象の瑞樹を見失っていた。
 詳しく説明されなければわからなかったろう。
 彼がこれ見よがしに抜いた刀の光が少女の視界にちらついたほんの一瞬、光に紛れるように瑞樹は姿を隠していたのだ。
 どこにいる。少女がきょろきょろと周囲を探し始めてから一秒足らず。彼女の背後に現われた瑞樹が、黒いナイフによって少女の背を切りつけた。
 攻撃を受けてなお、もう見失うことはない。少女は瞬間移動によって一度離脱すると再び瑞樹の頭上へ現われ斬撃を繰り出した。
 が、その攻撃を読んでいたかのごとく瑞樹は頭上にナイフを翳していた。
 黒く大ぶりなナイフが、少女の剣を受け止める。
「背後をとられた後は上。まるで教科書通りの奇襲だな。『主』には遠く及ばない」
 くるくると回転し、着地をかけようとする少女。その間合いを一瞬にして埋め、瑞樹は九倍の連続斬撃を繰り出した。

 瞬間移動で速攻をかけていたその一方で、他の少女たちは大きく跳躍し、空中を蹴る立体機動によって攻撃を仕掛けてきた。
「熱いときにはひえひえだよー!」
 対するユキは地面にアイスピックを叩き付け、猛吹雪を引き起こす。
 空中を跳ねていた少女は吹雪にバランスを失い、転落。
 地面になんとか着地するが、雪と氷だらけになった地面でバランスを維持するのは難しかった。
「カッコよさは臨機応変にも対応出来るって事だって学んでるんだよー」
 ユキはパチンとウィンク映像を流すと、周囲に巨大な雪結晶を生み出した。
 それを手裏剣のごとく次々に投擲。
 少女は剣を振ることで雪の手裏剣を破壊していくが、投擲に混じって飛びかかってきたユキまでもを破壊することはできなかった。
「フィニーッシュ!」
 アイスピックが少女の剣にぶつかり、ばきんと刀身を破壊する。
 その衝撃のまま少女を派手に吹き飛ばし、ユキはフィニッシュポーズをとった。
 一方こちらはラプラス。
「生憎と、身のこなしには自信あってさ」
 立体軌道によって上下左右の区別無く飛び回り斬撃を繰り出す少女を相手に、ラプラスは踊るように斬撃を回避していった。
 どころかユキの作り出した凍った地面を利用し、フィギュアスケートのような動きでくるくると回り出す。
「キミの攻撃はそれで終わりかな? このままだと、あたしの一人勝ちになっちゃうけど……」
 少女は宙返りをかけると、ラプラスの頭を叩ききるかのように剣を打ち下ろしてきた。
「うーん」
 ラプラスは素早く逆立ちすると、スケート靴のブレードによって少女の剣を受け止めていた。
「ごめんね。やっぱり一人勝ちみたいだ」
 その姿勢から軽業師のように跳躍すると、隠し持っていたダガーを投擲。
 『なぜか』少女の全方位から飛んできたナイフが、少女の全身に次々と突き刺さっていった。
「――!!」
 一方、声にならぬ声をあげて空を舞うルク。
 彼が持っていたドラゴンとしての姿を晒し、血のように真っ赤な翼を羽ばたかせた。
「せえい! やあーっ!」
 取り出した大きな絵筆を繰り出すルク。
 空中を跳ねる剣士はそれを剣で受け止め、吹き飛ばされた衝撃を空中ブレーキで和らげた。
 更に空中を蹴り、飛びかかる少女。
 対するルクは絵筆で大きな×印を描き、空中に固定された×印のペイントによって少女の斬撃を弾いた。
「なるほど、空中戦に持ち込むわけですね……いいでしょう!」
 その様子を見ていた偽葉が剣のうち一本を抜き、空を跳ね回る少女へ狙いをつけた。
「――『剣よ、嵐に臨みて』」
 小さく詩を口にし、両手でしっかりと柄を握り込む。
 すると彼女は激しい風に包まれ、ふわりと空に浮き上がった。
「受け止めきれますか。黄昏色の嵐の刃を」
 まるで弾丸のように飛んだ偽葉を、少女は咄嗟の反転によって迎撃した。
 いや、迎撃しそこねたと言うべきだろう。
 偽葉の打ち込んだ剣こそ受け止めることができたものの、彼女の待とう風が少女の腕や足を細かく鋭く切りつけ、全身からぱっと花を咲かすように血を噴き出させた。
 今の偽葉は触れただけで鉄をも切り裂く刃の群れであり塊なのだ。
 剣を取り落とし、落下していく少女。
 一方でルクは大きく飛び上がり、大きな筆を振り上げた。
「――!」
 真っ赤な染料が球体となって膨らみ、ルクが筆を振り込んだと同時にビーム砲撃のごとく発射された。
 水圧によって吹き飛ばされていく少女たち。
 ルクは無人となったヤグラの頂上に着地すると、霊玉を力一杯たたき割った。

 この短くも激しい戦いによって、コルテスの計画した熱波作戦はひとつ破壊された。
 だがこれは戦いの終わりではない。
 コルテスとの……そして織田信長との戦いに向けた、着実な一歩なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月10日


挿絵イラスト