エンパイアウォー⑲~謙遜は栄誉に先立つ
海に浮かぶクスノキの赤い大鳥居。その上に何かが止まっている。それは蛇のようであり、鳥のようでもあった。
さらに上に何者かが騎乗している。傲岸な目つきで眼下の神社を見下ろしている。
「エンパイアの蛮族が作った物にしてはなかなかだな。コンキスタドールたる私が使うにはギリギリ合格、といったところか」
彼の名はコルテス。織田信長が率いる第六天魔軍将が一人だ。
どこまでも不遜であった。神社の屋根に向かって唾を吐くと、ゆっくりと髭を撫でる。
「此処には三人の女神が祀られているらしいが、姿が見えんな。まあいい、後で引きずりだして跨ってやろう。このケツァルコアトルのようにな」
コルテスは薄笑いを浮かべ、奪った宝物の目録に目を通す。他者の戦いにまるで関心はないようだ。
だが、海に浮かぶ鳥居の上にいる彼を隠す遮蔽物はなく、周囲にも気を払わずに略奪物の吟味に集中しているのはあまりにも不用意であった。
「皆さま、お集まりくださりありがとうございます。魔軍将の一人、コルテスの居場所が判明しました」
スペースノイドのシャーマンであるデナーリスが、作戦の概要を説明する。
場所は厳島神社。海の上に建立された美しい神社だ。
「コルテスは侵略して滅ぼした世界の戦力をずっと用いており、久しく自分の力で戦っていません。だからなのか戦闘の仕方を忘れているようです」
これは猟兵にとって有利に働く。予想できないようなユーベルコードの攻撃は大きなアドバンテージを得られるはずだ。
「魔軍将は強敵です。予想が出来る攻撃やわかりやすい攻撃では不利であるばかりでなく、強烈な反撃を受けるでしょう」
猟兵それぞれの能力を活かしてどう戦うか。戦術的な工夫が必要だ。
「また、コルテスが乗騎とするケツァルコアトルには隷属の呪い、そしてコルテスが死ぬと自身も死ぬ呪いが掛かっていいます。油断なさらぬようお願いします」
今この時点でケツァルコアトルを助ける手立てはない。
コルテスの被害者であるのに救えないとは。無力さを感じる気持ちを深呼吸で払い、デナーリスは深々と頭を下げる。
「来るべき未来を守り、世界に生きる人々に取り戻せるかは皆さま次第です。どうかよろしくお願いいたします。」
そう言って送り出すのだった。
神田愛里
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
いらっしゃいませ。初めましての方もそうでない方もこんにちは、神田愛里と申します。
今回はエンパイアウォーにおいて人を人とも思わない傲慢な侵略者、コルテスを打ち破るシナリオになります。
コルテスは『戦闘の仕方を忘れて』います。
そのため、ユーベルコードを用いた彼にとって予想外となる攻撃を行うのが効果的です。
その他詳細はオープニングにて確認をお願い致します。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
第1章 ボス戦
『侵略渡来人『コルテス』』
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POW : 古典的騎乗術
予め【大昔にやった騎馬突撃を思い出す 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : マスケット銃撃ち
【10秒間の弾籠め 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【マスケット銃】で攻撃する。
WIZ : 奴隷神使い
【ケツァルコアトルの噛みつき 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:シャル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
烏丸・都留
アドリブ共闘可
「存在ごと浄化してあげるわ……」
UC:天空神の裁き:自身や見方等へ加害行動を向けた対象は索敵認識外から致命的攻撃を受け、根元から浄化される。
上記を発動後、後方の隠密状態のCICから統制するリレイユニットで効果延長したアサルトユニットα(多数)により十数キロ以上離れた場所からスナイプで「鎧無視攻撃、鎧砕き、破魔」を行い注意を逸らした上で、隠密状態で近づいたアサルトユニットΓ(二千機)が「鎧無視攻撃、毒使い、呪詛、呪詛弾」等による「暗殺」を行う。
迎撃されても加害行動回数分UCの効果で認識外からの反撃が行われるので、どちらに転んでも撃退は可能。
運次第では、浄化で囚われてる神の開放も……
ラザロ・マリーノ
ううむ、強いのか弱いのか判らん奴だな。
とはいえ実力は間違いないだろうし、こっちをナメてくれてるってんなら、有難く乗っからせてもらうか。
事前に自分の血液を抜いて、輸血用の血液パックに詰めておく。
コイツを奴の手元まで運ばないといけねぇんだが…普通に渡すか。
とりあえず武具の類は全部外して、こっちの世界の服を着ていく。
礼儀作法の心得はねえんだが、出来るだけ畏まった振る舞いで、神に捧げものをするようにコルテスに渡すぜ。
奴が血液パックを受け取ったら【竜の血】でウェルダンになるまで焼いてやるぜ!
戦いって感じはしねえが「兵は詭道なり」って言うし、まあいいか!
※アドリブ・連携・ギャグ・負傷描写歓迎
よほどコルテスは戦争の成り行きに関心が無いのだろう。奪い取った宝物を眺め、自らの審美眼にかなわぬ物は真下の海に捨ててしまっている。
そこに、ラザロ・マリーノが歩み寄ってきた。
麻色の狩衣に、袴を履いた、此処エンパイアでは神職のみならず武士や貴族が神事に用いる服装だ。
「なんだ、ここの神官か?貴様のような奴が私に何用だ」
「俺…じゃなくて私達で協議したところ、おま、いや、あなた様のような方こそこの神社に祀る新たな神となっていただきたいと御座いますで候です」
ラザロは笏を持って恭しくお辞儀をする。実のところ、だいたい大抵の問題は暴力で解決すると考えている彼の言葉遣いも作法もかなり間違いが多いのだが、エンパイアの文化に興味がないコルテスにはまったく見抜けなかった。
「ふむ。まあそれくらいであればいいだろう」
神になって欲しいと言われて悪い気もしない。コルテスは鷹揚に返事すると、漆の盆に載せられた輸血パックを掲げてきた。
「さすればこちらをお受け取り下さい」
(私が前に滅ぼした国も心臓を捧げる風習があったな…野蛮人に共通なのか?)
コルテスは盆を受け取り、眺めている。その時。
空気を切り裂く音と共に、盆が砕けた。血液パックが割れ、中の血がコルテスとケツァルコアトルを浸す。
複数の狙撃。コルテスは辺りを見回すが敵を認知できない。
答えは遠くにあった。
生体型宇宙戦艦のヤドリガミである烏丸・都留がCIC(戦闘指揮所)で指揮したアサルトユニットαから狙撃したのだ。
CICは瀬戸内海を隔てた向こう側、伊予国にある。このような遠くからの攻撃を慢心の侵略者がどうして予想し得ようか。
「存在ごと浄化してあげるわ……」
都留はCICから計画通りに次の一手を行う。
大量の隠密型アサルトユニットΓが知られずに近づき、呪詛を込めた射撃を浴びせかける。
ケツァルコアトルを上昇させ、回避にうつるコルテス。その瞬間、烏帽子の下にあるラザロの顔が笑ったのを見逃さなかった。
「こっちをナメてるから引っかかるんだ!燃えちまいな!」
コルテスにかかっていた竜の血が一斉に燃え上がる。
「下郎!謀ったな!」
ケツァルコアトルを降下させ、ラザロを押しつぶそうとするが彼は海に逃げ込んでなんとか回避する。
すると、都留のユーベルコードの影響で、どこからかまた狙撃が飛んできてはコルテスを傷つける。
「くそ、どうなっておるのだ!」
海水でも炎は消えぬし、呪詛だけでなく浄化の力もコルテスを苦しめる。
予想できぬ攻撃に怒声しか返せないのだった。
大成功
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ルルティア・サーゲイト
【共闘:f03411】
手伝え、オブリビオンスレイヤー=サン。お主こういうの得意じゃろ。妾も妾が得意な手で仕掛ける。
騎馬突撃対策は相方に任せよう。策はあるようじゃ。
妾は大鎌を構えて騎手を狙う。すれ違いざまの斬撃、妾の身に馴染んだ一撃じゃ……まあ、ブラフなんじゃが。大鎌の遠心力は距離を詰めるのに使うが手前で空振りしてフェイントをかける。
そこから仕掛けるのはこのLDSよ。まさか女子が脚で投げ技狙ってくるとは思うまい。しかも、今日は肌色貼り付け下着。はいてない(偽装)で視線は頂きじゃよ。
「世界を股にかけているのが貴様だけと思うな、文字通りにな!」
フォーネリアス・スカーレット
【共闘:f03155】
分かった。どの道オブリビオンは全て殺す。
騎兵突撃を止める手段は古来から一つ。パイク、長槍だ。柄をしっかり地面に付けて構えればどんな大質量の騎馬だろうが自身の突撃力で串刺しになる。当然、対オブリビオンパイクは無尽の鞘に入っている。これをしっかり構える。奴にも手伝わせる。
だが決定打にはなるまい。僅かでも足を止められれば重畳。腰の刀に手をかけて、翼を切り落として落馬を狙う……と、でも思わせておこう。
正解はそこから半身を捻って繰り出す蹴り、その踵に仕込まれている楔打ちだ。近接戦闘に蹴りを混ぜる事自体は良くある。だが、踵に打ち杭は予測できるか?
「死ね、ただのオブリビオン」
「手伝え、オブリビオンスレイヤー=サン。お主こういうの得意じゃろ。妾も妾が得意な手で仕掛ける」
ルルティア・サーゲイトが相方の手を引っ張っりながらいうと、ニンジャのような呼称をされたフォーネリアス・スカーレットは引っ張られた手をはずしてうなづいた。
「分かった。どの道オブリビオンは全て殺す」
しかし此処まで連れてきて断るもなにもないだろう、とフォーネリアスは手にした無尽の鞘から6メートルほどの長さのパイクを取りだした。
「パイクか」
「そうだ、お前も持て。柄をしっかり地面に付けて構えていればどんな騎馬も串刺しだ」
「妾には重いのじゃが…あと鞘より大きくないか?」
「重くないと突っ込んでくる大質量を支えられん。細かいことは気にせず握っていろ」
文句を言うルルティアにフォーネリアスが言い返していると、上空からコルテスに声を掛けられる。
「私も暇ではないのでな。お喋りが終わるまで待ってられんのだよ」
言い終わるや、上からの突撃。
向こうから突っ込んでくれるならちょうどいい、とばかりにパイクを構える二人。
コルテスは急降下突撃し、互いがぶつかると思われた。だが、
「おお、思い出した。あれはパイクか。下等種族にしては考えてきたものだな」
パイクの穂先の直前でピタリと停止する。そして上昇に切り替えようとする。
そうはさせじとばかりにフォーネリアスは腰の刀に手をかけて飛び上がる。
ケツァルコアトルの羽を斬る気か。コルテスはケツァルコアトルを横にスライドさせて予想される斬撃を避けようとする。
「そうはいかんのじゃ!」
棒高跳びのようにパイクをしならせ、ルルティアがさらに高く飛びあがる。手には身の丈以上の大きさを持つ巨大鎌。
「単純な技だ」
コルテスは薄ら笑いと共に軽く半身を仰け反らせて大鎌の縦振りを躱す。
だがそれは彼女のブラフ。縦の遠心力に任せて身体を回転させてきた。
次の攻撃がある。コルテスはとっさにケツァルコアトルを上昇させようとしたが、上昇がピタッと止まる。
下を見れば、首にフォーネリアスの踵と、そこから伸びる小型パイルバンカーが突き刺さって動きを止めていた。
刀が届かぬと見れば足技に切り替えてくるところまでは見えていたし簡単に想像できた。しかし、そこに杭が仕込まれているのは予想外であった。
「死ね、ただのオブリビオン」
彼女の楔打ちで移動できないコルテスはルルティアの技から逃れられない。
コルテスの頭を張りのある太ももが挟み込む。歳若の女子が股を広げて挟もうとするとはそう予想できるものではない。
硬い髭が柔らかい肉をチクチクさせるが構わずルルティアは後方に体を回転させる。
肌色貼り付け下着のクロッチがコルテスの鼻先に当たる。はいてないように見える偽装は種々への配慮。
「世界を股にかけているのが貴様だけと思うな、文字通りにな!」
挟み込んだまま後ろ向きに宙返りし、一気に落下し叩きつける。これが彼女のルルティア・デンジャラス・シュタイナー。
色々と危険な大技は神社の海に大きな水飛沫をあげた。
大成功
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ウィルバー・グリーズマン
コルテスには興味がありませんが、ケツァルコアトルには興味があります。神を痛め付ける機会は中々ありませんからねぇ
どのみち死ぬのならば一緒でしょう?
予想外の攻撃ですか
【ダブルカウンター】を発動して、相手の攻撃を待ちましょう
噛み付きを防御する方法は幾らでもあります
魔術[戦闘知識]をフルに活用して、『タイムクリエイト』で敵を低速化、口に潜り込み、『マッドネスソーン』で牙を粘着化させて開けなくする
『シャドウプラン』で口内の影の中に入って、躱す
『フラッシュボール』で目を眩ませて狙いを逸らす等
防御を終えたら、その攻撃を[カウンター]です
魔本の悪魔による超越魔術の一撃、受けてみなさい
デモンズ・フレア……!
ウィルバー・グリーズマンはケツァルコアトルに興味があった。そして関心をもたれていないコルテスは、彼の自分を見る視線の違いに気づいていた。
「なんだ、お前は負け犬の神が珍しいのか」
「ええ。神を痛め付ける機会は中々ありませんからねぇ」
「だが、売るつもりはない。そもそも無理なのだからな」
「知ってますよ。コルテスが死ぬとケツァルコアトルも死ぬ呪い。そしてここで倒される。どのみち死ぬのならば一緒でしょう?」
コルテスはケツァルコアトルの腹を蹴ると、空中に飛びたつ。
「くだらん戯言だ。なら大好きなコイツの餌にしてやろう」
旋回からのダイブ攻撃。だが降下中、強い光に目がくらんで彼を捉えることができない。
ウィザードたるウィルバーは、膨大な魔術知識の中からフラッシュボールを用い、目くらましに使った。
初撃を避けられても反撃はこない。コルテスはケツァルコアトルを反転し再びダイブさせてウィルバーを噛み砕こうとさせる。
しかしコルテスは相手を甘く見ているので気が付いていない。タイムクリエイトの影響で反転した時には既に速度が落とされていることに。
おかげでタイミングが測りやすい。うまくケツァルコアトルの顔が近づいてきたタイミングでマッドネスソーンを発動できた。
コルテスにはケツァルコアトルの口がウィルバーを丸ごと噛み潰すと思われた。
だが粘着化を発生させる魔術は牙を変化させ、顎に癒着させた。
口は開けず、飛び込む勢いもない。ただ顔で彼が盾代わりにした魔本を押した程度。
無力化した一瞬はカウンターの好機。
「魔本の悪魔による超越魔術の一撃、受けてみなさい。デモンズ・フレア……!」
ウィルバーは手にする魔本を振り上げ、本の一番硬い部分である背を使ってケツァルコアトルを横殴りにする。
接触した箇所から広がった大きな白い火球が弾け、ケツァルコアトルと騎乗するコルテスをまとめて吹っ飛ばし、厳島神社の一角に叩きつけた。
瓦礫をまき散らしながら立ち上がった騎手の目には、甘く見た自分と使えない下等な神への怒りがこもっていた。
成功
🔵🔵🔴
夜暮・白
うーん。知的、かあ。盗むんじゃなくて創ればいいのにね。
まずはこっそり近付こうっと。【朧月のまじない】で空中から音もなく回り込むよ。
立ち位置で不利を取らないよう、最低限の観察で[情報収集]したら[先制攻撃]の銃撃です。さあ。大振りな動きじゃ猛禽は捕まらないよ。あとは瓦礫や宝物に飛翔能力を与えて浮き上がらせて、妨害しつつ追撃します。
強力な一撃を狙いたいけど、思ったより早く動きに慣れてきちゃったかな。タイミングを見て瓦礫を飛ばし視界を奪って撤退です。ついでに宝物も[盗み]回収するよ。
僕が昔集めてた『たからもの』は、帝国の襲撃で失くなっちゃったんだよね。まだ間に合うものは放っておけないよ。
リューイン・ランサード
何だろう?この人(コルテス)の言葉を聞くと、とても不愉快になる。
これ以上、この人の犠牲者が出る前に速やかに倒そう。
真正面からの攻撃や他の人と被る攻撃は危険なので、UCで透明になり、【忍び足ならぬ忍び翼、目立たない、空中戦】で音を立てないよう密やかに翼で空を飛び、コルテスの背後に忍び寄る。
コルテスやケツァルコアトルに気付かれないよう、【第六感】を信じて失敗に繋がる行動は避ける。
そして、コルテスの背中に【闇の属性攻撃】を込めたエーテルソードを突き立てる!
同時に【過去のトラウマの傷口をえぐる、精神攻撃】を行い、彼の精神をズタズタにします。
普通はこんな事しないけど、この人にはこれでも甘いくらいです!
「ふん、肝心な時に使えぬ駄神だ……」
猟兵達の攻撃でケツァルコアトルは境内の浅瀬に半身を浮かべて動かなくなってしまっていた。
コルテスは痛む首を手で抑えながらケツァルコアトルの背を蹴とばして罵倒する。
リューイン・ランサードはその様子を、存在希薄化のユーベルコードで透明になって見ていた。
心に湧きたつ不快感。何だろう?その答えをリューインが口にするには語彙が不足していた。どの表現を用いても不愉快な気持ちを正しく表現できるようには感じなかったのだ。
これ以上、この人の犠牲者が出る前に速やかに倒そう。
翼を広げ、気付かれぬように回りこもうとする。
リューインの動きを夜暮・白が観察していた。
白の目的は宝物の回収にあった。白が昔集めていた『たからもの』は帝国の襲撃で散逸していた。自らの過去と合わせて心中に感じるものがあるのだろう。
彼の動きに合わせるのが得策。考えをまとめ、まじないを唱える。
「神霊さん。お空に招いてくださいな」
乗騎が失われたのでは自ら歩くしかない。不機嫌な顔で歩くコルテスの上を一羽の梟が通過した。
だがコルテスはこの世界の生物に関心がない。月色の梟に何の興味も示さなかったのは致命的なミスであった。
発砲音が一発。
コルテスは被弾した頭を押さえ、真上の梟を睨め付けた。
その手には杖。いや、杖に似せた銃、乱鐘機杖。
「鳥風情が!」
コルテスがマスケット銃を撃ち返す。銃弾は白の羽を掠め、即座に次弾が飛んでくる。
(こ、これはまずいかな?)
共に飛ぶ幻蛾に鱗粉をまき散らせ、崩れたばかりの建物から木材の瓦礫を飛ばして何とか射線を遮りながら後退する。
「逃がさんぞ!」
大声をあげてコルテスは走り、目の前を飛ぶ邪魔な幻蛾を握りつぶした。
だが、その蛾はまぼろし。ぎゅっと握ってかき消した瞬間。
「追わせません!」
背中を突き抜け、胸からルーンソードが飛び出す。
後ろからリューインがエーテルソードを突き立てたのだ。
「普通はこんな事しないけど、この人にはこれでも甘いくらいです!さあ、自らの過去に苦しみなさい!」
属性は闇。トラウマを呼び起こす精神攻撃が込められている。
「ぐっ……」
エーテルソードが引き抜かれると、その場に両膝をつき、苦悶の表情となるコルテス。しかし、リューインには単に肉体の痛みに苦しんでいるようにしか見えなかった。
「なっ…精神攻撃が効いてない?!」
「ふん、お前のような小僧にはわかるまい。だが教えてやろう。私は今までの行いを何ら恥じらいもしなければ後悔もしておらぬ。善だろうが悪だろうが、突き抜けてこそ英雄と呼ばれるのだ。この私のよ…う…にな……」
倒れた瞬間に波の泡のように大気の中に消えていったコルテスを呆然と眺め、動けないリューインに白が声をかけた。
「やったね!僕の方もほら、コルテスが集めていた宝物がこんなに!」
白が指さす方には、仏像や屏風などが山と積まれて集められていた。
こうして猟兵たちの手によって、厳島神社とエンパイアの財宝は守られたのであった。
成功
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