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エンパイアウォー⑲~慢心のコンキスタドール

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #コルテス

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「自信と慢心って紙一重なのよね。まっ、この際だから、利用できる状況は何でも利用させて貰おうかしらね。じゃないと倒せそうにも無いし」
 花形のグリモアを通して見た光景を思い起こしながら、エリス・シルフィード(金色の巫女・f10648)が笑顔を浮かべる。
 何かを企む様にも見える笑顔であることが気になったのだろう。
 集まってきた猟兵達に天使の様な笑みを向けながら、エリスが話し始めた。
「皆、侵略渡来人『コルテス』の居場所が分かったわよ。コルテスは、厳島神社の建物で高みの見物を決め込んでいたみたい。猟兵達に襲われるなんて全く想定していなかったみたいね。まあ、そこに全力で付け込まないと勝てない相手なのだけれど」
 告げるエリスのグリモアが輝き、グリモアベースの一角に、ケツァルコアトルに跨がり、高みの見物を決め込んでいる一人の男の姿が露わになる。
「煙と何とかは高いところが好きって話があるけれど、こいつに相応しい言葉な気がするわ。とは言え、その直接戦闘能力は下手したら今までの敵の中でも最強かも知れないわね。真正面から挑んだら100%返り討ちに遭うんだから」
 肩に跨がる白猫タマが、そんなエリスの言葉に、フーッ、と毛を逆立てる。
 そんなタマを宥める様に軽く喉元を撫でてやりながらエリスが静かに話を続けた。
「つまり、皆には慢心で完全に油断しきっているコルテスの不意を討って討滅して欲しいのよ。コルテスは今、戦い方を忘れているからね」
 現状は戦い方を忘れ、不意を打てば上手くすればあっさりとコルテスを倒すことが出来るだろう。
 だが、戦い方を思い出せば強烈な反撃を仕掛けてくる。
 この反撃に抗する術は猟兵達にはほぼ無いと言っても良い。
「だからこそ、普段とは全く異なるユーベルコードの使い方で、攻撃を仕掛けて欲しいのよね。そうすれば、そのユーベルコードに抗う術を持たないままにコルテスを追い込んでいくことが出来るから」
 但し当然ながら一度戦闘に入ればコルテスも学習する。
 何度も戦っていく内に戦い方を思い出し、ユーベルコードの使われ方も学習し、どんどん猟兵側が不利になっていくだろう。
「つまりコルテスを倒すには、まだ何も戦い方を思い出していない状態で如何に上手く不意を打ってダメージを与えることが出来るかどうか、それに掛かっているわ。この辺り皆で其々に工夫をして貰った方が良いわね」
 告げながら何処からともなく春風のライラを取り出し、ポロン、と爪弾きをするエリス。
 そこで何かを思い出したかの様な表情になる。
「大事なことを忘れていたわ。コルテスの乗っているケツァルコアトル何だけれど。この子は、完全にコルテスに隷属しているの。救出することは絶対に出来ないからケツァルコアトルを説得みたいな行動は無意味よ。それ以外に自分達の力を上手く生かしてコルテスの全く予想することが出来ない攻撃を叩き込んであげて頂戴ね♪」
 そう言ってエリスは天使の微笑みを浮かべたままに春風のライラを爪弾きする。
 その音色に促される様に、テレポートされようとしている猟兵達。
「最初の数回だけ自分の力で直接戦ってその土地を侵略して、それ以降は『侵略して滅ぼした世界の戦力』を利用して、安全圏から楽しく侵略と虐殺を繰り返す内に戦い方を忘れてしまった傲慢な征服者の思考の裏をつくのは、多分皆の知恵があれば出来ると思うの。だから皆、宜しくね♪」
 ――ポロン。
 エリスの春風のライラの音色に背を押され。
 猟兵達は厳島神社へとテレポートされるのだった。


長野聖夜
 ――傲慢なる征服者の裏をかけ。
 いつも大変お世話になっております。
 長野聖夜です。
 と言う訳で、此方は侵略渡来人『コルテス』戦との直接対決をお送り致します。
 尚、今回の戦いに関しましては、コルテスの特徴の都合上、基本的に1VS1での戦いを想定しております(例外は下記*をご参照下さい)。
 また、敵の特徴故にシナリオ終了達成数に達した以降のプレイングに関しましては却下させて頂きますので、どうかご了承の程を。
 下記が、侵略渡来人『コルテス』戦及び、戦争ルールとなります。
 ============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 ============================
 また、コルテスの特徴は下記となります。
 ============================
 コルテスは『戦闘の仕方を忘れて』います。
 その為、コルテスが予想できないようなユーベルコードの攻撃に対しては、一方的に攻撃されてしまいます。
 尚、戦いが進む内にコルテスは戦闘の仕方を思い出し、またユーベルコードの使い方を学習していきます(あくまでもこのシナリオ中のコルテスのみです。他のシナリオのコルテス戦の判定及び、学習には影響はありません)
 ============================
 プレイング受付期間及び執筆予定は下記です。
 受付期間:OP公開後~8月12日(月)12:00頃迄。
 執筆予定:8月12日(月)13:00~。
 それ以降のプレイング受付期間は、随時マスターページにてお知らせ致します。
 *執筆期間前のプレイング受付期間において同じ様な戦い方のプレイングが来た場合、判定の後どちらかを採用するか、連携可とあれば、2~4人の軽い連携で描写させて頂きますので、他のお客様とのプレイングの被りを気にすること無くプレイングをお送り頂ければ幸甚です。

 ――それでは、良き戦いを。
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第1章 ボス戦 『侵略渡来人『コルテス』』

POW   :    古典的騎乗術
予め【大昔にやった騎馬突撃を思い出す 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    マスケット銃撃ち
【10秒間の弾籠め 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【マスケット銃】で攻撃する。
WIZ   :    奴隷神使い
【ケツァルコアトルの噛みつき 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーザー・ゴールドマン
【POW】
ふむ。なかなか傲慢だ。
「私達コンキスタドール」というからには君の他にも同じような存在が複数いるのだろうね。
まあ、今は君だ。

オド(オーラ防御)を活性化して間合いを詰める。
コルテスが防御なり攻撃なりの挙動を取ろうとした瞬間を見切って
『サイコキネシス』を発動。
その行動を一瞬、阻害します。そして、その一瞬で十分。
全身全霊の破邪の太刀を叩きこみます。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き×属性攻撃:炎×破魔)

ケツァルコアトルの動きに関しては直感で見切って回避。
(第六感×見切り)

「さて、あまり手の内をさらすと拙いのでね。後は後続に任せよう」




 ――厳島神社屋内。
「ふむ。中々傲慢だね、君は」
「ハッ、私は寝ぼけている様だな。エンパイア人……私達コンキスタドールと姿が似ているだけの下等生物が、こんな所に迄入り込んできている幻を見ることになるとはな」
「ハハッ、私がエンパイア人で幻か。中々ユニークな発言だね」
 興味が無さそうにジロリと睨み付けてくる『コルテス』の姿にシーザーが常に纏う周囲の全身のオドが一瞬でシーザーの周囲を深紅へと染め上げていく。
(「ほぅ、これは……」)
 一瞬で最大警戒状態へと引き上げられたオドの様子に、流石に生唾を飲み下すシーザー。
 けれど飄々とした底の知れぬ態度を緩めたりはしない。
 好奇心の塊とも言うべき自分が武者震いをする程の実力を秘めた相手であることが理解出来ているからこそ、自らの震えを悟られるわけには行かなかった。
 ジリジリと間合いを詰めていくシーザーの様子を見て、心底面倒臭そうに欠伸をするコルテス。
「どうしてもやりたいのか下等生物。私は今、忙しいのだが」
「『私達コンキスタドール』か。どうやら君以外にも君の様な存在はいるみたいだね」
「私はお前に口を利いて良いなどと一言も言っていないが?」
 告げながらコルテスが瞬きをしたその一瞬の隙をつき。
 シーザーがオドをサイキックエナジーへと転化させて指を突きつけ【サイコキネシス】を解き放つ。
 目に見えぬ神速の弾丸が、一瞬だがコルテスの動きを食い止めた。
「ちっ……!」
 舌打ちするコルテスの間合いに一足飛びに肉薄、シーザーがオドの全てを深紅の破邪の炎へと変化させ、巨大な太刀と化させて振り抜く。
 ――紅蓮一閃。
 破邪の一閃がコルテスの体を袈裟に斬り裂き、強かな斬撃を与える。
「お前……!」
 虚を衝かれたその攻撃に右肩から左脇腹を斬り裂かれ、血飛沫を撒き散らしながら、ガン、とケツァルコアトルの腹に蹴りを入れるコルテス。
 ケツァルコアトルが雄叫びと共に突進し、離脱しようとしたシーザーに突進。
 直感でバックステップしたシーザーの速度に容易く追いつき肉薄するケツァルコアトル。
 そのままシーザーがオドを編み込んで作り上げた深紅の結界を易々と突き破り、シーザーに容赦の無い体当たりを叩き付けた。
「ぐっ……!」
 全身を巨大な金槌で殴りつけられた様な激しい衝撃がシーザーを襲う。
 あまりの激痛に吹き飛ばされながら喀血するシーザー。
 その勢いを利用して、その場から撤退を選んだのは賢明な判断だったであろう。
(「さて、あまり手の内をさらすと拙いのでね。後は後続に任せよう」)
 吹き飛ばされ、意識を取り戻したその場所で。
 腹部を押さえながらヨロヨロと立ち上がったシーザーは、そう思いながら誰に共無く姿を消した。
 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
【morgen】
SPD

『地形を利用』し敵から視認され難い場所を選びつつ一駒団長と共に『忍び足』にて敵の元へ
どう敵が動くかは解らぬが、団長が仕掛ける迄は俺に注意が向くよう挑発しよう
…マスケット銃の攻撃は命中率が悲惨な物だという認識がある故に
どうせ当たらぬのだろう?等、出来るならば敵のマスケット銃撃ちを誘発させる様に動いてみようか
団長が仕掛けUCを発動した様を捉えた瞬間【影渡り】
団長の影から瞬時に這い出し体勢を崩させるべく成るべく足…もしくは胴へとメイスを振るおう
『2回攻撃』にて視認を防ぐべく次いで顔を狙い目を潰したい所だが…流石にそれは無理だろうか
まあ、他の味方に繋げられればそれで、幸いだ


一駒・丈一
【morgen】


征服者に相応しいな。無礼で傍若無人なところが特にな。早々に骸の海にお帰り頂こう。


SPD重視。

敵が銃に弾を籠めるまでの「10秒の間」を利用する。

刀を居合抜きの構えのまま、
「10秒の間」で【早業】にて相手との距離を一気に詰める。
接近の最中に攻撃が飛んできたら【戦闘知識】や【第六感】を総動員して回避しながら間合いを詰める。

そして至近距離でUC【罪業罰下】を放つ。

放つ先は…敵本体だけでなくマスケット銃も含めてだ。寧ろ本命は銃だ。
銃に剣撃を与え、砲先をブレさせ弾道軌道を逸らす。

これを以て敵の裏をかき、敵に隙を生じさせ
次に控えるザッフィーロのテレポートからの攻撃に繋げるべく活路を拓く。




 ――その頃。
 戦場の近くの地形に身を潜め、その戦いの一部始終を見つめていたザッフィーロ・アドラツィオーネは途方も無い、と言った様に溜息を一つついていた。
「一駒団長。……あの威力は途方も無いな」
「ああ、実に征服者に相応しいな。まあ、最も征服者らしいと思うのは、その無礼で傍若無人な所だがな」
 ザッフィーロからの呼びかけに、一駒・丈一が答えながら介錯刀の刀身に雷光を振りかけ、その剣先を鋭く研ぎ澄ましている。
『コルテス』は今のところ、彼等の気配に気がついている様には見えない。
 だが……少しでも隙を見せれば恐らく一撃でやられるだろう。
「ふん、所詮は下等生物。さっさと尻尾を巻いて逃げていったか」
 さもありなん、と言う様に鼻で笑うコルテスの様子を見て軽く目配せをし、互いの役割を確認し合うザッフィーロと一丈。
(「どう敵が動くかは解らぬが……」)
「おい、コンキスタドール」
 柱の影からそう呼びかけ、自分への注意を引くザッフィーロ。
「……なんだお前達、まだいたのか。私は忙しいのだ。お前達の相手をしている暇など無い。さっさと私の目に入らない所へと消えろ」
「まあ、そう言うな。それとも……あれか? 俺にそのマスケット銃を当てることが出来ない程に耄碌しているから、俺と戦うのも怖い、とでも言いたいのか?」
「……なに?」
 ザッフィーロの挑発に、ピクリ、と眉を顰めるコルテス。
 その様子がまるで餌に食い付いた肉食動物の様に思えたザッフィーロがまあ、当然か、と鷹揚に頷き掛けた。
「……そうか。そう言えば、そもそもマスケット銃自体大した命中率のない代物だったな。その上、戦いの仕方を忘れたお前の様な男では、戦えないのも当然だろうな」
「言わせておけば、下等生物が……」
 呟きながらマスケット銃の火縄を点火しようと動き出すコルテス。
(「狙うは、この10秒か」)
 コルテスがマスケット銃を構え、そして点火しようとする10秒の間を、丈一は見逃さない。
 隠れていた柱の影から飛び出しながら、居合抜きの態勢を取っていた介錯刀の鍔を打ち鳴らし、目にも留まらぬ早業で一気にコルテスに肉薄する。
「ちっ……!」
 点火し、マスケット銃が射出されるよりも先に接近した丈一が介錯刀を振り抜いた。
『これにて終いだ。余罪は地獄にて禊がれよ』
 狙うは、本体ではなくマスケット銃。
 音よりも早く、けれども遅く鈍い銀閃が、コルテスのマスケット銃に迫る。
「お前……!」
 反射的にマスケット銃を丈一に向けるコルテス。
 この時、コルテスの意識からザッフィーロの事は完全に消えていた。
 ――故に、コルテスは気がつかない。
 マスケット銃を斬りつけながらもその胸を撃ち抜かれ、大きく仰け反った丈一の影から、ザッフィーロが現われたことを。
「な……何っ?!」
「一駒団長……流石だな」
「何、活路を拓くのが俺の役割だ。この程度、どうということはない」
 胸を撃ち抜かれ、ボタ、ボタ、と血糊を滴らせながら微笑し、その場に崩れ落ちる丈一に敬意を表しながら、驚愕に一瞬身動きが取れなくなったコルテスの胸に向けて、stella della seraを叩き付けるザッフィーロ。
 強烈な殴打にケツァルコアトルの上で肺を圧迫され、ゲホゲホ、と咳き込むコルテスの目に向けて、続けざまに鞭の様にstella della seraを伸ばして片目を抉る。
「ぐぅっ?!」
 苦しげに呻きながらケツァルコアトルに命じて後退し、斬り裂かれたマスケット銃を再生し、再び発射しようとするコルテス。
「……これ以上は危険だな」
 呟きながら丈一を拾い上げ、素早く近くの柱の陰に隠れて撤退するザッフィーロと丈一。
 ――パァーン!
 遅まきながら撃ち出されたマスケット銃の二射目の銃声が、辺り一帯に虚しく木霊した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

宙夢・拓未
バイクを停めて、降りて
自分の右掌をこめかみに当て
「はは……こりゃ勝てないな」
【ヴァリアブル・ウェポン】で撃って倒れる
……という演技(弾は出さない)

以降は、俺本体は死んだふりだ
とどめを刺されたら終わりだが……慢心してるなら多分問題ないだろ

【鋼鉄の相棒】でバイクに意識を移し
動かず、じっと敵の様子を観察

敵が、俺(=バイク)から視線を逸らしたら、チャンスだ!
自身を【操縦】、一気に高速で突撃。バイクの体による体当たりを仕掛ける
狙いはコルテスの上半身だ、一気に加速してジャンプして突貫する

仮に気づかれたとしても、敵の攻撃も騎馬突撃のはず
最悪ケツァルコアトルに正面から体当たりでもいい、少しでもダメージを与える




 片目を貫かれ、その瞳から血の涙を流しながらも、尚周囲への警戒を怠らないコルテスの姿を認めながら。
 宙夢・拓未が、赤い車体の愛機、Crimson-Blastを飛ばして戦場に辿り着き、戦闘態勢を整え直したコルテスから発される圧倒的な強者の気配を感じ、全身を巡る電流が、ビリビリと痺れているのを感じ取って小さく息を吐く。
 ギロリ、と未だ健在の片目で睨付けてくるコルテスから発される殺気に思わず内心でヒュゥ、と口笛を一つ吹いていた。
「お前達、まだいたか……! 今、私は少し不機嫌だ。消されたくなければ……」
 そう言ってケツァルコアトルの腹に足を蹴り入れようとするコルテスの姿を見て、拓未が恐れ戦く様に全身を震えさせながら、愛機、Crimson-Blastを停めて、その場で降りて左手を降参とばかりに挙げ、右掌を自らのこめかみに当てる。
 その掌に仕込まれているのは、銃口。
「はは……こりゃ勝てないな」
「下等生物にしては、身の程を弁えている様だな」
 銃口が拓未のこめかみに向けられていることの意味を理解したのだろう。
 コルテスが頷き、ケツァルコアトルに蹴り込もうとしていた足を止め、拓未の演技の一部始終を見守っている。
 拓未は演技と悟られぬ様、引金を引く音を、Crimson-Blastの機械音で奏でさせると同時に、どう、とその場で撃ち抜かれて死んだ振りを行ないながら、Crimson-Blastへと自らの意識を移した。
 完全に抜け殻になり、端から見れば死んでいる様にしか見えない拓未を検分するかの様に、コルテスがその様子を覗いて鼻息を一つ。
「ふん。初めからお前達下級生物はこの様にすれば良かったのだ! それがお前達にとっての当然の結末なのだから……!」
 吐いて捨てる様に叫びながら再び視線を外へと向け、Crimson-Blast……即ち、拓未自身から意識を外したその瞬間……。
(「チャンスだ!」)
 内心で口笛でも吹かんばかりの勢いでそう叫ぶと共に、自らであるCrimson-Blastをフルスロットルさせ、コルテスの上半身に向けて突進させた。
「何……下等生物の筈のお前達にその様な知的能力がある筈など……!」
 思わぬ奇襲に泡を食った表情になりながら、ケツァルコアトルの腹部に蹴りを入れるコルテス。
 ケツァルコアトルが咆哮と共に、拓未……否、今は拓未であるCrimson-Blastに向かって突貫してくる。
「構わない! このまま突っ込むぜ!」
 自らを鼓舞する様に機械音を上げて弾みをつけ、コルテスに向かって突進してくる拓未を遮る様に、ケツァルコアトルが全身全霊の力を込めて、体当たりを敢行した。
 ――バァァァァァァァァンッ!
 神竜の肉体と、深紅の宇宙バイクの壮絶なぶつかり合い。
 傾いだのは……拓未であり、Crimson-Blastでもある深紅の宇宙バイクだった。
 ――バチリ、バチリ……!
 鈍いスパーク音を上げながら、スピンして近くの壁に車体をぶつける拓未。
 だが、彼の捨て身の体当たりによる一撃は、コルテスの騎乗するケツァルコアトルに、強かな打撃を与えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨咲・ケイ
強大な力を持つが故に慢心し、
命を落とした強者は少なくありません。
貴方はどうなるのでしょう?

【WIZ】で行動します。

序盤はUCを使わずに【シールドバッシュ】や
盾の【投擲】による【2回攻撃】で攻めていきます。
敵の攻撃は【盾受け】と【オーラ防御】で凌ぎましょう。

劣勢になってきたら
「さすがは神をも隷属させる武力……。
最初から私など相手ではなかったのですね……。
ジャンケン勝負なら絶ッ~~対に負けないのですが……」
と煽り、ジャンケン勝負を持ち掛けます。
(ジャンケンを知らなければ説明)
「では、いきますよ。ジャンケン……ポイッ!」
と敵にチョキ(指先)を突き出して
【ジャッジメン・トクルセイド】で攻撃します。




 苦痛に呻くケツァルコアトルと、片目の止血を終え、おい、と軽く小突いて暴れようとするケツァルコアトルを抑え込むコルテス。
 その彼等の元に、新たな猟兵が姿を現す。
 ――コツ、コツ、コツ。
 その足音を耳にしたコルテスが、苦々しそうに舌打ちを一つ。
「ちっ、忌々しい……。今度は、何だ?」
 片目を押さえながらコルテスが認めたのは、ブラックスーツに身を包んだ一人の少年。
 その名を、雨咲・ケイ。
「強大な力を持つが故に慢心し、命を落とした強者は少なくありません」
 クイ、と軽く眼鏡を掛け直しながら、呟くケイ。
 そんな彼の姿を認めて、ハン、と笑い声を挙げるコルテスの濃厚な殺気を反射する様に、闘氣に感応し白銀の輝きをアリエルが発しているのを認めながら、では、とケイが静かに続けた。
「貴方はどうなるのでしょう?」
「下等生物が、囀りおるわ。お前達如き、私の手に掛かればどうとでもなると言う事を、その身でとくと思い知らせてやる」
 これまでに与えられた傷と屈辱。
 傲慢なるこの男は、憤怒も露わにケツァルコアトルに掛けた手綱をグイと引いた。
 先の猟兵によって傷つけられたケツァルコアトルが怒濤の咆哮を上げ、一瞬でケイに肉薄し、全てを噛み砕くその牙を向けて迫り掛かってきた。
「くっ……!」
 咄嗟にアリエルが纏っている銀色の結界の強度を最大にして、迫り来るケツァルコアトルの一撃を受け止めようとするケイ。
 だが、ケツァルコアトルの顎は、容赦なくケイに食らいついている。
(「……最初はユーベルコードを使わずに戦おうとしたのが、完全に裏目に出ましたか……!」)
 ――パリィン!
 白銀の結界が甲高い音と共に砕かれ、そのままケイの体を噛み砕かんと容赦なく食らい付く。
 それでもケイは諦めること無く、ケツァルコアトルの体内に向けてアリエルを投擲、腹部に一撃を与え、更にその指先をケツァルコアトルに向けた。
 天からの雷がケツァルコアトルを撃ち抜き微かに痺れさせるが、大きく体を囓られ、大量の出血をしているケイの意識は既に失われ掛けている。
 そんなケイへと怒声を叩き付けるコルテス。
「正面からの戦いで、お前達下等生物が私を倒せる筈が無かろう!」
「さすがは神をも隷属させる武力……。 最初から私など相手ではなかったのですね……」
 悔しげに呻きながら、その場に倒れ込むケイをテレポートの光が覆い、その場から消えていく。

 ――戦術的に見れば、ケイの完全な敗北であろう。

 だが……このケイとコルテスの死闘は、コルテスを意気軒昂とさせ、同時に周囲への注意を怠らせることになる。

 ――そして、それは……。

失敗 🔴​🔴​🔴​

ヘンペル・トリックボックス
アドリブ歓迎

……神をも貶め隷属せしめるとは、悪辣且つ高慢な征服者のようですな。紳士的ではない。実に紳士的ではない……! 慢心に溺れているのなら重畳、そのまま沈んでいただきましょう。

UCを発動、自身の姿を消し【目立たない】ように【忍び足】も併用して接敵、【暗殺】の機会を狙います。
コルテスの警戒が緩んだタイミングで、摩利支天隠形符をケツァルコアトルへと放ち透明化。戦力が急に消滅した(ように見える)動揺を突き、【全力魔法】と手持ちの土行符で相乗強化した金行符の斬撃【属性攻撃】をコルテスの急所へと放ちましょう。
一撃離脱。何が起こっているのか理解しきらない内に、透明化したまま戦場を離れます。




(「……神をも貶め隷属せしめるとは、悪辣且つ高慢な征服者のようですな。紳士的ではない。実に紳士的ではない……! それにしてもあの若者……無謀ではありますが、見事な武勇を見せてくれましたね」)
 傲慢なるコルテスへの怒りを心の内で研ぎ澄ましながら、勇敢にも正面から立ち向かった猟兵に内心で敬意を表するヘンペル・トリックボックス。
 ヘンペルはこれまでの戦いで、コルテスとケツァルコアトルの戦闘能力を図るべく、姿を消してじっと伺っていた。
 息を潜めて身を隠し、周囲の景色に溶け込む様に自らに摩利支天隠形符を張り付け、その姿を透明化させて。
 それはある意味完璧と言っても差し支えないであろう隠匿。
 気配を完全に殺したヘンペルの姿に、コルテスもケツァルコアトルもまるで気がつかず、先程の猟兵への勝利の余韻に浸り、当然とばかりに勝鬨の声を上げている。
(「これもまた、彼が傲慢であるが故に為せる事、なのでしょうね」)

 ――なれば私は、その慢心と油断に完全に付けいるのみ。

 そして……今が正にその時だ。
 状況を完全に理解したヘンペルがずっと隠れていた柱の影から飛び出し、自らに貼り付けていた摩利支天隠形符を剥がしてケツァルコアトルに向かって投擲。
(「オン・マリシエイ・ソワカ」)
 摩利支天の真言を心の内で唱えると、まるでその真言に導かれるかの様にスルリ、と符がケツァルコアトルに張り付き、ふっ、とその場で透明化して掻き消える。
「なっ……何だ?!」
 何が起こったのか全く理解が出来なかったのだろう。
 先程までの勝鬨の声から一点、動揺した声を上げたコルテスの隙を見逃さず、土行鎮星符と金行太白符を重ね合わせながら、素早く大金剛輪印を作って、自らの心臓にあて、それを唱えた。
「オンアニチマリシエイソワカ!」
 7度唱えられたそれに応じる様に2枚の重なり合った符の魔力が爆発的に高まり、全てを斬り裂く凄まじい斬撃となってコルテスの急所をズタズタに斬り裂いた。
「ぐっ……?!」
 全身から血飛沫を迸らせながらも、尚何が起きているのか分からず混乱しているコルテスに素早く背を向け、強い疲労感を感じながら、ヘンペルは離脱する。

 ――やるべき事は、やった。

 後は、他の仲間達が何とかしてくれるであろう。
 そう、信じて。
  
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブや連携も歓迎です

国の人々や…
ケツァルコアトルさん…

ご自分達
コンキスタドールさん達以外を
まるで道具や家畜の様に
扱うなんて…!

自身の槍
『プリンセスアリスランス』を
使用したUCを
故意に射程外で発動し
UCが外れたと見せかけて
UCの花びらを
【早業】【念動力】で
コルテスさんの視覚外の所で
元の武器の槍に戻し
そのまま浮遊させた槍から
光焔の槍の軍勢を出現させ
コルテスさんの死角から
慢心しているコルテスさんに
【範囲攻撃】で
無数の光焔の槍の一斉投射を
浴びせて
手痛い攻撃をお見舞いして
差し上げます!

『これまで…貴方がたに、道具や家畜の様に扱われてきた方々や、無惨に殺された方々の痛みを…少しは思い知って下さい…!』


館野・敬輔
【WIZ】
アドリブ連携可
※成功数過多になるなら却下可

随分と僕たちを舐めてくれるもんだな
2度とこの国の土を踏めない様、徹底的に斬り刻んでやる

UC使用のために黒剣の中の魂を呼び出し身に纏う

…相手は侵略者だ
今回はいつも以上に負担をかけるけど、頼むな

「地形の利用、目立たない、忍び足」で柱に身を隠しつつコルテスの背後に移動
「先制攻撃、2回攻撃、怪力、吹き飛ばし」で背後から奇襲を仕掛ける

こちらのUCを警戒してケツァルコアトルをけしかけたなら「第六感、残像、見切り、武器受け」で回避か防御
UCを黒剣の中の魂が記憶したら【魂魄記憶】発動でカウンター!!
どうだ? 自分の飼い鳥に似た輩に噛みつかれた気分は?


ウィリアム・バークリー
まともじゃない戦い方が必要なんですね。
なら、いつもの戦い方はぼくも忘れます。

宮島沖に船で移動し、そこから神社拝殿まで「全力魔法」氷の「属性攻撃」「範囲攻撃」のFreezeで氷の道を作ります。
その上を、「騎乗」した宇宙バイクで疾走。

大鳥居を抜けたら「空中戦」「念動力」でバイクごと屋根より高く跳躍します。
そのまま、落下の途中で「全力魔法」氷の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」でIcicle Edgeを下方へ乱射。
屋根を突き破って、内部に潜むコルテスを「串刺し」にしてやります。
最後は「衝撃波」を纏ったバイクに「騎乗」し「オーラ防御」を張ってコルテスに突撃です。

空からの攻撃を突撃に繋げるまで速度重視。




「……Freeze!」
(「まともじゃない戦い方が必要なんですよね、今回は」)
 右手で素早く青と深緑色の重なり合った魔法陣を作りだし、宮島沖から神社拝殿に続く、鳥居に被害が及ばない程度に角度を付けた氷の道を作りだし、宇宙バイク『ダンシング・スプライト』に搭乗してアクセルを踏み込みながら、ウィリアム・バークリーは今回の戦いの重要点についてをおさらいする。
「では、いつもの戦い方を忘れてぼくは戦いましょう」
 それが、宇宙バイク『ダンシング・スプライト』に乗り込んで角度をつけ、神社の屋根よりも高く跳躍できる様にウィリアムが準備を整えた理由だった。
「さて、この作戦が吉と出るか、凶と出るか。やってみなければ、分かりませんね」
 そう独りごちながら、戦場に向けて、宇宙バイク『ダンシング・スプライト』を疾走させるウィリアム。

 ――戦いは愈々佳境に近付きつつあった。


「キシャァァァァァァ!」
「ちっ……下等生物が、散々やってくれたものだ」
 透明化が解除され、漸く手元に戻ってきた(と、コルテスは思っている)ケツァルコアトルを手綱を使って力任せに制御し直しながら、傷だらけのコルテスが舌打ちを一つ。
 ――まさか、あの下等生物共に、これ程までにしてやられるとは。
 そう思いこそすれど、コルテスの自身の勝利への確信は揺るがない。
 先程の下等生物には苦汁を舐めさせられた訳だが、そんなものは些事に過ぎない。
 そう思い、傲然とその場で構えているコルテスに見つからぬ様、柱から柱を移動する青年が、グッ、と拳を握りしめた。
(「……随分と、僕達を舐めてくれるもんだな」)
 それは、館野・敬輔。
 完全にコルテスの不意を打つ機会こそ運悪く見逃してしまったが、それでも尚、次の攻撃の機会を狙って柱から柱を常に移動しながら、その時を待ち続けている。
 ――と、その時。
「……国の人々や……ケツァルコアトルさん……」
 空色の可愛いピナフォアドレスに身を包み、震える様な声音で言の葉を紡ぎながらきっ、とコルテスを見つめる空を思わせる青い瞳の少女が姿を現す。
 そのピナフォアドレスは、まるでお伽噺に出てくるアリスという少女の様。
 おしゃまな女の子を思わせるアリス・フェアリィハートの登場に、敬輔は微かに動揺した。
(「あんな幼い子も猟兵……か」)
 一方、見た目にはあどけない童女の様にしか見えないアリスを認めたコルテスは、一瞬、呆けた様に彼女を凝視するが、程なくして箍が外れたかの様に爆笑する。
「ハッ、ハハハハハハハッ! お前達の様な下等生物が、と思っていたが……まさか、こんな小さいのまで此処に来るとはな。 下等生物の中でも更に低級な餓鬼なんぞに用はない。さっさとこの場から立ち去るが良い」
「笑っていられるのも今の内です、コルテスさん。あなたは……許せませんから……!」
 きっ、とした表情になるアリスに、益々嘲笑を口元に閃かせるコルテス。
「許せない? お前の様な下等生物に、私が何の許しを請う必要がある? 下らない。あまりにも下らなすぎる。お前達低級な存在が、本当に私を倒せるとでも?」
「倒します……! ご自分達コンキスタドールさん達以外を、まるで道具や家畜の様に扱うコルテスさん、あなたを……!」
 アリスの瞳に宿るは、不退転の決意。
 確固たる意志を感じさせるその瞳でコルテスを睨付けながら、可憐なる光槍、プリンセスアリスランスを召喚する。
 そんなアリスの様子に嘲りの色を隠さぬままに、コルテスが騎乗するケツァルコアトルをけしかけた。
「ほれ、ケツァルコアトル、相手でもしてやれ。こんな奴相手に、私が戦うまでも無いからな」
「キシャァァァァァァァァ!」
 絶叫と共に、アリスに襲いかからんとその鋭い牙を備えた口を大きく開くケツァルコアトル。
 今にもケツァルコアトルがアリスを食らい尽くそうとした、その時。
 ――ガラガラガラガラガラガラ!
 突如として屋根を突き破った195本の氷の氷柱の槍がスコールの様にケツァルコアトルに降り注ぎ、その身を串刺しにした。
「ちっ……お前は囮か」
 上空から氷柱の槍を降り注がせながら、その前方に風の精霊達を集わせた全てを打ち砕く衝撃波を展開し、更に重力に引かれて落下する速度を伴い加速した宇宙バイク『ダンシング・スプライト』による決死の体当たりを、ウィリアムが器用なハンドル捌きで敢行する。
「その攻撃は既に知っている! やれ、ケツァル……ぐっ?!」
 以前の経験を反映し、ウィリアムの体当たりに先んじてケツァルコアトルに噛み付き攻撃を命じようとするコルテスだったが、突如としてその背中に鈍い斬撃の痛みを感じて目を見開いた。
「俺達の事を舐めた報いだ。二度とこの国の土を踏めない様に、徹底的に斬り刻んでやる」
 それは、ウィリアムの氷柱の槍と体当たりによる奇襲に対応しようとした、その隙を突いた敬輔の黒剣による大上段から力任せに振り下ろされた刃による一撃。
 ウィリアムと敬輔の支援を受ける間に、アリスがコルテスとの間に想定しているだけの距離を取った。
 その距離……凡そ、40m。
『――もの言う花たちの噂話は……あらゆる世界に広まっていくのです……』
 歌う様に呪を紡ぎ出しながら、まるで愛しいものを愛でるかの様に、優しくプリンセスアリスランスを撫でるアリス。
 アリスの手の温もりに答える様に、プリンセスアリスランスが赤いバラの花弁へと姿を変え、あらぬ方向へと飛んでいく。
 時空すらも歪ませる衝嵐を伴った赤バラの花弁達がコルテスは愚か、敬輔やウィリアムにさえも予測できない方角へ舞っていくその姿に、コルテスが笑いが止まらない、とばかりに哄笑した。
「クハハハハハハハッ! 所詮は下等生物の中の下等生物か。お前の攻撃など、私には決して通じぬ」
(「何を企んでいるんですか? アリスさん……」)
 宇宙バイク『ダンシング・スプライト』を操ってケツァルコアトルを攪乱しながら、怪訝の表情を浮かべるウィリアム。
 そうこうしている間に、全身を氷柱の槍で貫かれていたケツァルコアトルが絶叫と共にウィリアムに襲いかかろうとする。
「ウィリアム……ちっ!」
 咄嗟に敬輔がウィリアムの目前に立ちはだかり、ケツァルコアトルの大きく開かれた顎による一撃を受け止めるべく、黒剣を水平に構えた。
(「皆……今回はいつも以上に負担を掛けるけれど、頼むな」)
 祈る様に心の内で紡ぎ出された敬輔の願いに応じる様に、黒剣を白き靄が覆い、巨大な白き刃となって、ケツァルコアトルの顎を、正面から受け止めた。
 ――本来であればそれは、不可能なことである筈なのに。
「な……何?!」
「これは……!」
「ウィリアムさんのお陰だ、助かったぜ!」
 先のウィリアムの上空からの奇襲。
 この氷柱の槍がケツァルコアトルを貫いた時、ケツァルコアトルはその勢いを大きく減じていた。
 故に……敬輔が全力を尽くせば、受けきることが出来たのだ。
 もし、敬輔が連携を望まず、単独で挑む事にのみ固執していたら。
 ……この結末には、至らなかったであろう。
 ――お兄ちゃん。
「よし……行け!」
 黒剣に纏われし白き靄達がそれを記憶したと判断し、敬輔が再び力任せにその刃を横薙ぎに一閃する。
 その様は、まるで伝説にある燕返しの様。
 鏡に映った鏡像の様に、ケツァルコアトルの首が食らいつかんとコルテスに襲いかかった。
「ぐ……グゥアッ?!」
「どうだ? 自分の飼い鳥に似た輩に噛みつかれた気分は?」
 その胸に食らい付かれ、表情を苦痛に歪めさせたコルテスに不敵な笑みを浮かべて敬輔が問いかける。
 その敬輔の言葉にコルテスが答えるよりも早く。
 天空を彷徨っていた無数の赤い花弁達が、一本の光り輝く槍へと姿を変え、万障を貫き穿つ光焔の槍の軍勢を解き放ち、焔を伴った槍雨となって容赦なくコルテスとケツァルコアトルを貫いた。
「がっ……ばかなっ……」
『これまで……貴方がたに、道具や家畜の様に扱われてきた方々や、無惨に殺された方々の痛みを……少しは思い知って下さい……!』
 ウィリアムの氷の氷柱と、アリスの光焔の二重槍。
 氷と焔の混じった無数の槍の群れにその身を貫かれ、コルテスがグラリと大きく傾ぐ。
 蓄積した無数の攻撃による負傷によって、コルテスはほぼ戦闘不能に追い込まれていた。
「此処まで来れば……与えられるのかも知れません」
 光焔の槍の手応えを感じながら、悲しげな咆哮を上げるケツァルコアトルの姿を見て、何かに気がついたかの様にハッ、とした表情になったアリスの呟き。
 その呟きの意味は、ケツァルコアトルの牙を借用した敬輔も、数多の戦いを経験してきたウィリアムも何となく感じ取っていた。

 ――与えられるもの。それは……。

「この、ケツァルコアトルさんの……安らかな眠りです」
 祈りの籠められたアリスの呟きに、敬輔とウィリアムは静かに首肯し、ほぼ戦闘不能となっているコルテスを見やるのだった。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

スターリィ・ゲイジー
思い出す間に接近して魔法弾を撃つ!
…のは飛翔で距離を取られるのじゃろうな
じゃからそれを利用する

敵の突撃や銃撃に手間取ってるフリをしながら仕込みじゃ。【逃げ足】には自信がある
その間コルテスとケツァルコアトルから視線は外さず【催眠術】でこっそりとUCを仕込むのじゃ

「こやつ手綱捌きが上手すぎる。みんな『少しの間』離れるのじゃ!」
味方が巻き込まれぬよう誘導しつつ、錯乱した乗騎と騎手でバトルじゃ
理想はケツァル暴れる→コルテス振り落とされ怒りの攻撃→ケツァル反撃のシナリオじゃな
救う事は出来なくとも、ムカつく支配者を殴らせるくらいはいいじゃろ


言ってなかったけど、私も直接戦うのは好きじゃないんじゃ
じゃあの


ヨナルデ・パズトーリ
妾が言うは二つ

ケツァルコアトル、妾の伴侶と同じ名を持つ者よ
お主を解放しよう
死という形であっても、の

そして、コルテス
貴様は塵も残さず滅ぼす!
妾テスカトリポカの手で!

海と森の傍に或るという『地形を利用』
『殺気』を押さえ『迷彩』で『目立たない』様にして『暗殺』の要領で隙を伺う

隙を『見切り』UC発動
『空中戦』で肉薄し『先制攻撃』

『怪力』により振るわれる『鎧無視攻撃』で傷をつけ其の『傷をえぐる』
様に『霊距離射撃』の『呪詛』の籠った『全力魔法』を叩き込む形での
『二回攻撃』をコルテス諸共

敵の攻撃は動きを『見切り』『第六感』と『残像』で回避
当った場合『捨て身の一撃』の『全力魔法』を『カウンター』で叩き込む


オリヴィア・ローゼンタール
性根の捩れた外道めが……
その増上慢ごと叩き潰す

白き翼の真の姿を解放
【属性攻撃】【破魔】で聖槍と四肢に聖なる炎を纏う

高速で飛翔(ジャンプ・空中戦)し、高高度から聖槍を突き出し急降下
そのまま突撃すると見せかけ、ケツァルコアトルが噛み付こうとしたら【カウンター】【投擲】【槍投げ】で地面に【串刺し】にし、口内へ聖槍を叩き込む
あなたを救う手立てはありません
障害となるなら容赦はしません

乗騎を聖槍で地面に縫い付けて体勢を崩させ、【怪力】【グラップル】で殴りつける
その瞬間、掌中に溜め込んでいた【紅炎灼滅砲】の魔力を【全力魔法】で解き放つ
これは太陽神を貶めた報いと識れ
我が炎で灰も残さず焼き滅ぼしてやる


上野・イオナ
仔竜は助けられたのに親が助けられないのは辛いな。ソレに真っ先に思い付いたコルテスの虚をつく方法がケツァルコアトルを傷つける方法なんだよね。せめて直ぐに楽にしてあげるしかないのかな。
ケツァルコアトルに口を開けた瞬間突っ込んで口の中にダイブ!噛み砕かれないよう体の中に入ろう。ケツァルコアトルを内側から攻撃するふりをして【バトルキャラクターズ】コルテスの真後ろに直接召喚してコルテスをぶん殴る。後は僕が胃で溶けないようにケツァルコアトルにトドメをさして逃げる。




「仔竜は助けられたのに親が助けられないのは辛いね……」
 全身を槍に貫かれ、苦痛で暴れ回るケツァルコアトルと既にほぼ戦闘能力を失いながらも、尚、その傲岸不遜たる意志のみでケツァルコアトルに騎乗し、その動きを制御するコルテスの様子を見やりながら、何処か悲しげな表情の上野・イオナが嘆く様に囁くのに、ヨナルデ・パズトーリが言葉少なに頷き返す。
「妾達がケツァルコアトルにしてやれることは、あまりにも少ないであろう」
(「妾の伴侶と同じ名を持つ者よ……」)
 ヨナルデの口から紡がれたケツァルコアトルと言う言葉に何処か深い悲しみが漂っている様に感じられたのは、イオナの只の感傷に過ぎなかったのであろうか。
「他人から奪った物を操り、自らは高みの見物を行なうこの腐れ外道……! その傲慢事、私達が叩き潰す……!」
「知れた事……お前達等に、私がやられるものか……」
 怒気を孕んだオリヴィア・ローゼンタールの声音に応じる様に、口から血の泡を吹き出しながらコルテスが虚ろな瞳を破邪の聖槍を構えるオリヴィアに向ける。
 その様子を見ながら、まるで自らを鼓舞するかの様に咆哮するケツァルコアトル。
 その咆哮を聞きながら、スターリィ・ゲイジーがケツァルコアトルの上で見事な手綱捌きを見せるコルテスを見て、フム、と頷きを一つ。
(「こやつは既に戦いの方法を思い出している筈……じゃが、その割に動きに精彩が感じられないのは、既に瀕死じゃからじゃろうな」)
 戦いの趨勢は既に決していた。
 それでも自らの負けを認められないからこそ、コルテスはケツァルコアトルと共に、この場に存在している。
 そう考えるのが妥当だろう。
「お前達如きが、私を倒せると思うな……」
 虚ろの様にその言葉を繰り返すコルテスとケツァルコアトルに向けて、両目を鋭く細め、繊月の魔導書を捲り、相手に気付かれぬ様、静かに詠唱を行なうスターリィ。
 その仕込みが何であるのか……既に屍同然と化しているコルテスとそれに隷属し、操られるケツァルコアトルが気がつける筈も無く、ただ闇雲に突進してくる。
「こやつ手綱捌きが上手すぎる。皆、『少しの間』、気をつけるのじゃ!」
 スターリィの呼びかけに応じる様に、ただ、闇雲に突進を仕掛けてくるコルテスとケツァルコアトルの前にオリヴィアとヨナルデとイオナの3人が立つ。
 最初に大きく口を開き迫り来るケツァルコアトルの噛み付き突進を見舞われそうになったのは、破邪の聖槍と四肢に聖なる炎を纏わせたオリヴィアだった。
 オリヴィアは自分にその歯がインパクトされる瞬間を狙って、大地を蹴って飛翔、上空から聖なる炎を宿した槍を投擲する。
「……あなたを救う手立てはありません。障害となるなら、容赦はしません」
 確固たる決意と覚悟と共に、祈りを籠めて左手で十字を切り、黄金の穂先を持つ破邪の聖槍に破邪の焔を纏わせて、空中より投擲した後大地に降り立つオリヴィア。
 それは、それまでの戦いで既に傷つき甚大な傷を被っていたケツァルコアトルの瞳を貫き、その内側からその身を焼きつくさん事を欲している。
「キシャァァァァァァァァ?!」
 内側から破邪の焔で全身を焼かれ、その身を浄化される苦痛にこの世の物とも思えぬ咆哮を上げながら突進してくるケツァルコアトルを慈しむ様な眼差しで見つめながら、その軌跡を読み切ったジャガーを模した黒曜石の鎧に身を包んだ姿へと変貌したヨナルデが、太古より存在する時空を揺るがす魔力の籠められた黒曜石の戦斧の力を増幅し大上段から振り下ろす。
「妾がお主にやってやり、そして言ってやれることは一つだけじゃ、ケツァルコアトル。お主を解放しよう。死という形であっても、の」
「お前は……邪魔だ……」
 振り下ろされた黒光りする黒曜石の刃先が、ケツァルコアトルの体を叩き斬る様を見て、忌々しげに舌打ちを一つしながらマスケット銃を構え、ヨナルデに狙いを定めるコルテス。
 だが、その時……。
「そうはさせないよ」
 額に【1】と書かれたゲームキャラクター達を23体召喚したイオナが行け、と言わんばかりにゲームキャラクター達をけしかけた。
 けしかけられたゲームキャラクター達がヨナルデに狙いを定められていたマスケット銃から放たれた銃弾からヨナルデを庇い、灰となって消えていく。
(「でもこのままだと、ケツァルコアトルに止めを刺して救うことも、コルテスに一矢報いることも出来ないね」)
 消えていったゲームキャラクター達を名残惜しげに見送りながら、さてどうしたものか、と考えを巡らせるイオナ。
 と、その時。
「もう少し……もう少しじゃ……!」
 オリヴィアやヨナルデ達の攻撃の間もずっと、ケツァルコアトルとコルテス達を凝視するスターリィの叫ぶ姿が目に入った。
 ――次に備えて、一旦距離を取ったオリヴィアとヨナルデの間隙を縫って、スターリィに向かって突進してくるケツァルコアトルが、口を開き攻撃してくるその様と共に。
 得意の逃げ足で、ピョンピョンとウサギの様に周囲を飛び跳ねてその噛み付き攻撃を躱すスターリィの様子を見ながら、ポン、と脳裏にとある考えが閃き、イオナが敢えてケツァルコアトルに向かって突進していく。
「お主、何をしておるのじゃ?!」
 流石に驚きながらもケツァルコアトルとコルテスから目を離さないまま睨み続けているスターリィの呼びかけにもイオナは答えず、自ら進んでケツァルコアトルの口腔内へとダイブし、その体内の中を進軍。
「自分から、食われるためにケツァルコアトルの中に飛び込むとはな。所詮、下等生物は下等生物か」
 嘲る様に呟いたコルテスの背後でそれが起きたのは、その時だった。
 コルテスの背後に、先程マスケット銃で一体残らず焼き払った筈の、額に【1】の数字の書かれたバトルキャラクター達が現われ、容赦なくコルテスの背を殴打してきたのだ。
 既に激しい切り傷を背に負い、絶え間ない苦痛に苛まれていたコルテスが、その痛みに苦痛と驚愕を綯い交ぜにした表情となっている。
「ちっ……さっきの下等生物か!」
 程なくしてそのゲームキャラクター達が、ケツァルコアトルの体内に飛び込んだイオナの物であることを察し、イオナを仕留めるべくケツァルコアトルの背にマスケット銃を向けてその引金を引きかけるコルテス。
 ――その動作は、本人にとっては極自然な物ではあったが……例え、敵が体内にいるとは言え、自らの乗騎に対して果たして、本当にするべき事であったのだろうか?
 ――否。
「キシャァァァァァァァァ!」
 マスケット銃の弾丸を自らの背に撃ち込もうとするコルテスを、如何に隷属した乗騎としても、見逃すはずが無い。
 さも当然の様に、ケツァルコアトルがコルテスを噛み砕かんと、その鋭い牙を唸らせ、先程の猟兵達との戦いで噛み付かれ、風穴が空いたコルテスの胸の反対……即ち心臓のある左胸に向かってその牙を食い込ませた。
「ご……ゴボゥア!」
 苦しげに大量の血を吐き出すコルテスに、ふん、とスターリィが胸を張る。
「……救う事は出来なくとも、ムカつく支配者に噛み付かせる位、問題ないじゃろう」
「お……お前……お前……!」
 信じられないという様に目を見開き、ケツァルコアトルの牙が胸に食い込み、動きを縫い止められたコルテスへと、破邪の聖槍を引き戻して構え直したオリヴィアと、黒曜石の斧を大きく振りかぶったヨナルデが迫る。
「これは、太陽神を貶めた報いと識れ!」
 イオナがケツァルコアトルの体内から脱出するのと入れ替わり様に肉薄したオリヴィアが、既に身動きの取れなくなっていたコルテスに向けて掌底を叩き込む。
 その掌底に籠められていたのは、全てを焼き払う炎熱属性の極大破壊光線。
 合計、205本の全てを焼き尽くす滅びの炎がコルテスに叩き込まれ、ケツァルコアトル事焼き尽くした。
「あ、アアアアアアアアア!」
「……コルテス。貴様は……」
 全身を灼熱で焼き尽くされ塵へと姿を変えていくコルテスに向けて。
 ヨナルデが、その灰すらも残さぬ様にと、コルテスの灰の残る時空事、黒曜石の斧を振るって叩き斬った。
「塵も残さず滅ぼす! ……妾、テスカトリポカの手で!」
 既に灰と化していたコルテスが空間事歪んで消えていくのを見届けたところで、乗り手を失ったオリヴィアの極大破壊光線と、破邪の炎で全身を焼き尽くされたケツァルコアトルが鳴き声を上げて消滅していく。

 ――だが……隷属していた筈のケツァルコアトルの鳴き声は、何処か穏やかな物であった様に、イオナ達には聞こえたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月12日


挿絵イラスト