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エンパイアウォー⑦~変幻自在の抜け忍軍・紫陽衆

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「依怙によって弓矢は取らぬ。ただ筋目をもって何方へも合力す……軍神・上杉謙信。そのような武将であったと聞いているが、敵となってもまさしくその戦法は『軍神』と言えような」
 仙堂・十来はそう言ってグリモアベースの一角、彼女の呼びかけに集まった猟兵達を見渡した。
「こたびの戦、エンパイアウォーについては既に参戦している者も多いだろう。今回は関ヶ原にて、上杉謙信の軍勢による『軍神車懸かりの陣』を突破するため手を貸してもらいたい」

 軍神車懸かりの陣、それは上杉謙信を中心に円陣を組んだオブリビオンの全軍が風車の如く回転しながら、敵へと突入させた最前線の兵士を目まぐるしく交代させるという荒業だ。
 上杉謙信であるからこそ可能な『超防御型攻撃陣形』――すなわち驚異的な統率力による乱れなき兵の運用であり、手っ取り早く言うと「敵は疲れたら引っ込んで回復して強化してコンディション最高でまた来るよ!」ということである。
 しかも上杉謙信はこの陣の中心にいて、復活時間をこれで稼いでるのでとりあえず軍勢もぶっ飛ばさないと謙信もぶっ飛ばせない。まさしく毘沙門天の加護、もしくは化身でもあると言わんばかりの強さを誇る。

「そしてこのたび上杉軍の一端を担っているのが、『模擬忍法・紫陽衆』という抜け忍達による忍び衆から派遣された一隊だ。人数にして4人、数は少なくとも精鋭であり、さらにこの陣形の効果で万全の状態で対峙することとなる」
 まず抜け忍衆という性質上、技術交流が盛んであり戦術の模倣に長けている。
 さらに防御力と回復力を大幅に強化されており、並大抵のダメージであれば耐えきることが想定される。そして耐えきればすぐさま回復される。
 防御を破るレベルの大ダメージを与えて一撃で撃破するか、回復するまでに連携して合計ダメージで倒し切るか、でないと万全の状態で戦い続けられ、こちらが撤退に追い込まれる可能性も高い。
「オブリビオンによる精鋭となれば、もはや猟兵でなければ勝機はない。どうかこの戦に勝つため、上杉軍への楔を撃ち込んでくれ」
 この戦場での一勝が、上杉謙信へ、そしてエンパイアウォーそのものへの勝利への一歩となる。
 真っ直ぐに猟兵達を見つめると、十来は深く頭を下げた。


炉端侠庵
 合戦ですね合戦!
 こんにちは炉端侠庵です。

●今回は戦争です
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●上杉謙信について
 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。

 こちらは『⑦軍神車懸かりの陣』となります。
 コンディションは最高!
 防御大アップ!
 超自動回復!
 つよい! やばい! さっすが軍神っ!
 しかも抜け忍達だから技の模倣は大得意!
 さっすが忍者強い!

 よしバフぶち抜く勢いで倒そう!
 というわけでよろしくお願いします!
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第1章 集団戦 『模擬忍法・紫陽衆』

POW   :    苦無乱舞
【レベル×1の苦無】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    我らに理解できぬ戦術なし
対象のユーベルコードを防御すると、それを【即座に理解し時には秘術で種族や体格を変え】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    我らに唱えられぬ忍術なし
いま戦っている対象に有効な【忍術が書かれた巻物と忍具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。

イラスト:倉吉サム

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月隠・三日月
敵の精鋭……強者なのは間違いないけれど、サムライエンパイアを守るためには勝たなければね

敵は防御力と回復力を強化されているとの話だ、強力な攻撃で一撃で息の根を止めたいね
ただ……私はあまり戦闘は得意ではないのだよね。まずはこちらの攻撃を当てられるよう、小細工をさせてもらうよ
暗器に麻痺毒を仕込んで(【毒使い】)投擲し、敵を麻痺させる。敵も忍、毒への耐性があるかもしれないから、複数の麻痺毒を併用しておこう。どれか一種類でも奴らに有効な毒があればいいからね
暗器を投擲する際は、敵が回避しにくいよう複数の暗器を同時に放つ
敵の動きが鈍ったら、【制限破壊・怪力無双】で己の力を高め、敵の脳天に妖刀で一撃叩き込もう



 関ヶ原――三代将軍家光の世であれば、まだ合戦の記憶も新しい。
 さらに言えば、この場所では古代にも『天下分け目の合戦』が行われている。壬申の乱、叔父と甥の戦いの舞台の1つは、当時は不破の関所が存在したこの地であった。

 今、関ヶ原は新たなる戦場となっている。
 かつてはここに至ることもなかった武将、上杉謙信の陣。
「敵の精鋭……強者なのは間違いないけれど」
 対峙する忍びの集団に、月隠・三日月は暗器の1つ、指に挟んでいた数本の針をさっと投げつけた。三日月自身もこのサムライエンパイアに生まれた忍の1人、戦闘での力不足は己も自覚してはいても、故郷を守るために戦いへと身を投じている。彼の実力を知る家族には反対され、それでも。この世界は、三日月の故郷だ。
「サムライエンパイアを守るためには勝たなければね」
 針が刺さった忍者を、三日月は己の標的と定めた。掌より短い極小の手裏剣を、素早く2本、3本、4本。その1本が僅かに標的の頬を掠め、一筋の血を流させたのみ。それでいい。それを、繰り返せばいい。
 僅かに尖った石つぶて。数センチ角の鉄の板。芯を太めの針に入れ替えたボールペン。カッターの刃。縁の鋭い粗雑なコイン。ダーツ。全身に隠した暗器を投擲し、少しずつ、僅かずつ刻んでいく。無論、僅かな傷などすぐに治ってしまう。それでいい。それで構わない。
「ぐっ……!?」
 驚異にならぬと思っていたか、三日月を意にも介さず戦っていた忍者が急に動きを止め、膝をつく。
 その瞬間だ。
 この時を、待っていた――!

 神経毒、あるいは麻痺毒。
 サソリ毒、水銀、クモ毒、グルタミン酸、テトロドトキシン、コブラ毒――そう呼ばれるものはいくらでもある。1種類でも効けばいい。
 そして毒を送り込むなら、僅かな傷で構わない。毒を塗った武器によって攻撃を続ければ、いつかは、届く。
 そのまま動くことのできぬ忍者の前で、すらりと三日月は妖刀を抜き放った。
「羅刹紋起動。制限解除――全力だ」
 ユーベルコード『制限破壊・怪力無双』。それはただ己の腕力を、筋力を極限まで高めるもの。単純なる効果であり、また戦闘の技術自体を高めるものではないが、相手が動けぬならば無論、それは。
 脳天狙った妖刀の、ただ真っ直ぐな斬り下ろし。極限まで状況を作り上げた上でのたった一撃。
 その一撃が、紫陽衆の1人を完全に葬り去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メグレス・ラットマリッジ
技の模倣ですか、私の力は知らない相手にこそ有効……乙女の秘密を好きにするのはデリカシーに欠けてますね?
知ったからには墓まで持っていってもらいますよ、お前を殺すって言ってんの!

・戦闘
警戒の薄い上空に転送してもらう・味方の背に隠れる等でUC発動の条件を満たし、防御が間に合う程度の速度で奇襲して能力をコピーさせます。
多対多の状況での睨み合いでは死角は作らないと生まれない。相手が怪しい動きをしたらそれはUC発動の前兆で、そして瞬間移動の位置は十中八九背後でしょう。
攻撃の瞬間こそ最も防御が薄くなる、タイミングを合わせて雷杖から背後に閃光を放ち、硬直に最大出力での雷杖を叩き込みます。



 猟兵達と忍び達、その戦いの隙に敵の死角となる位置へ入り込んだメグレス・ラットマリッジは、敵の死角となる位置へ瞬時に転移した。ユーベルコード『黄泉渡り』――けれどその一撃は、がしりと忍びの手甲に受け止められる。
「覚えたぞ……」
 紫陽衆のユーベルコード『我らに理解できぬ戦術なし』、その発動を可能とする条件。それは相手のユーベルコードを防御した時、すなわち今この瞬間に他ならない。
「技の模倣ですか、私の力は知らない相手にこそ有効……」
 恥じらうような乙女の瞳で小さく首を傾げるメグレス。
「乙女の秘密を好きにするのはデリカシーに欠けてますね? 知ったからには墓まで持っていってもらいますよ」
「いやその我が技の模倣は1度のみなのだが」
 そこ言っちゃっていいのか紫陽衆。
「お前を殺すって言ってんの!」
 普段は微笑みに細めることの多い目をくわっと開き、びしぃと漆黒の手斧を突きつけるメグレス。何のことやら、みたいな顔で肩を竦める紫陽衆。
 しかしその余裕の様子も納得である。なぜならば既に、メグレスのユーベルコードは1度しか使えぬとは言っても、もはや忍者の手の中にあるのだから――!
 
 ところで。
 メグレスのユーベルコード『黄泉渡り』は、その発動に特殊な条件がある。
 その瞬間移動は『相手の死角』を起点とし、『相手の死角』を到達点とする。つまりはそのどちらも相手の視界から外れることを必須とするのだ。
 この人数での戦いであれば、死角は『作らないと生まれない』。ならばその発動の予兆も、瞬間移動の到達点も予測可能である。本来の使い手であるメグレスならば、尚更――!

「ぎゃああああああ!!」
 メグレスの背後で炸裂する閃光が、ちょうどその場所に転移した忍びの目を灼く。振り返りざまに紫電を限界まで纏わせた雷杖を、彼女は全力で叩きつけた。
 己の血液を注ぐことで威力を増す電撃は、瞬間火力の絶大な増強を可能とする。
 模倣のユーベルコードを叩き込む前に地に倒れ力尽きた忍者に、有限実行成し遂げたメグレスはそっと息をつき、肩の力を抜いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日月・獏ノ進
さて、毘沙門天の化身も織田の下につきますか。
神様が魔王につくとはややこしいですね。ま、忍者や僕には関係無いですが。

そんじゃ全力で行きますか、【覚醒の計】で真の姿の幻影を纏って急上昇、
流石に上空の苦無の射程範囲外まで飛ぶとそこから一気に急降下攻撃。
カウンターの苦無を【武器受け】【見切り】【空中戦】で避けて
【魁隠】での一撃と【日月専用突撃銃】での【零距離射撃】の
【二回攻撃】で文字通り叩き潰していこうかと。

戦争とはいえ慈悲はある訳で、痛みなく倒せたならいいんですけどねー。
あ、痛くなく終れてもお礼とかはいいんですよ。本当に、本当に
てかさっさと離れないとこっちがやられそうだからとっと離れますか。


緋翠・華乃音
車懸かりの陣自体には弱点が無い訳ではない。
上杉謙信が有能だったのは陣と兵の運用方法……つまり総合的な戦略だ。


確かに強力な陣だが……馬鹿の一つ覚えの様に、それだけだといつかは敗れる。

防御や回復には連撃や一撃の威力を重視するしか無いが、技の模倣に関しては対策が打てる。
即ち――一度使用した技術を二度使わないこと。
ナイフ術、体術、剣術、銃術、柔術……ある程度の技術をある程度の水準まで体得しているからこそ出来る芸当だ。
体術一つ取っても星の数程流派や戦法がある。
同じ手が二度も通用しないのなら同じ手を使わないだけで良い。
敵の攻撃に対しては第六感で見切りを重視し、可能な限り一撃で仕留めれるよう暗殺術を駆使。



「さて、毘沙門天の化身も織田の下につきますか」
 感慨深いような、けれどあっさりとした様子で日月・獏ノ進は肩を竦めた。
 戦国の歴史を顧みれば、確かにそれは信じられぬ事件だ。かの時代に敷かれた信長包囲網において、上杉謙信はまさにその主軸の一角であったのだから。
「神様が魔王につくとはややこしいですね。ま、忍者や僕には関係無いですが」
 実際そっちの意味でも結構大事件ではある。
 毘沙門天が第六天魔王の配下になってる、とか仏教とか哲学とかそっちの研究者も口に含んだ茶を噴きかねない。
 ――さて、ともあれその信じられない茶を噴く事態とて、目の前に出てきてしまえば戦うしかないというものである。だいたいオブリビオンのせい。
 そして軍神・上杉謙信率いる車懸かりの陣――未だ崩れず、そう思えるほどの堅牢さではあっても。
「車懸かりの陣自体には弱点が無い訳ではない」
 緋翠・華乃音がすっと目を細める。ひたすらに削り取る、という猟兵達の戦術は、少しずつではあっても守りを剥がしつつあるのだ。
「上杉謙信が有能だったのは陣と兵の運用方法……つまり総合的な戦略だ。確かに強力な陣だが……」
 すらりと最初に抜き放つは漆黒のダガーナイフ、もちろん華乃音の用意はそれだけではない。周到に用意した武器、修練を積んだ体術、その扱いを定める流派や戦法にも体術一つとて星の数ほどのバリエーションがある。無論武器であれ同様だ。
 であるから、こそ。
「馬鹿の一つ覚えの様に、それだけだといつかは敗れる」
 己とは対象的な目の前の陣に呟いて、ひらりと銀の髪を揺らして華乃音は戦場へと飛び込んでいく。
「そんじゃ、全力で行きますか!」
 獏ノ進の身体が一気に成長を――遂げたかのように見える幻影。彼の真の姿を写すはユーベルコード『覚醒の計』、さらにマッハすら超える飛行と空中戦の技術をフルに活かせる能力をその身に宿して獏ノ進は飛んだ。数秒もかけず敵の苦無の射程すら逃れた上空へと到達、そこからタイミングを計り、狙いを定める。地上で繰り広げられる戦を見定める。

 己の知る技法をひたすらに駆使し続ける。
『ある程度』まで体得した戦闘術の数があるからこそ華乃音にできる戦いであった。ナイフの次に取り出すのは剣であるのか銃であるのか、それとも苦無を持った腕を素手で受け止めるのか。その後は投げるのか極めるのか、もしくは土手っ腹に銃弾を叩き込むのか。
 一撃ごとの重さは低く、倒すには至らずともその変幻自在な動きは相手の防御を、つまりは防御をトリガーとして行われる模倣を困難にする。もはや技の使い捨てとすら言えるほどの贅沢な戦いは、多くの技に触れ修練を重ねた忍者すらも翻弄する技となっていた。
 苦無の投擲は気配を察して寸前で見切る。足を止めた瞬間に銃声、読んで避けたと思った忍者の膝へと隠して投げたナイフが刺さる。
 その瞬間だ。
「よーし、行きますかっ!」
 上空から自然落下を超える速度で、獏ノ進が『落ちて』くる。迎撃に投げつけられた苦無を、軽快な音を立てて魁隠の銘持つ小刀と銃弾が弾き、残りは僅かに身を捻り軌道をほんの少し逸らした空中体術で受け流す。
 そのまま真っ直ぐに突き出した刃が重力加速すら超えた速度を全て乗せて腕まで通らんと突き刺さり、そこに押し付けられた突撃銃が零距離の銃声を浴びせる――おそらくかの紫陽衆は、何が起きたのかすら完全には理解できなかったのではないだろうか。
「痛みなく倒せたならいいんですけどねー。あ、お礼とかはいいんですよ。本当に、本当に」
 返事はないただの屍だ。
 いやまだ仲間の忍びは残ってはいるが。
「てかさっさと離れないとこっちがやられそうだし、とっとと離れますか」
 再び速度を活かして獏ノ進が離脱、その間に華乃音もまた体勢を整え、次の相手へと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

村崎・ゆかり
上杉・謙信が指揮する軍神車懸かりの陣か。よくも破綻しないものだわ。
あたしの相手は、忍者ね。まともそうな相手でよかった。
それじゃ、村崎・ゆかり、陰陽師。お相手仕る!

執金剛神降臨と巫覡載霊の舞で戦うわ。
あたしの薙刀に合わせ、執金剛神に金剛杵を振るわせる。乗せるは「衝撃波」「なぎ払い」「範囲攻撃」「2回攻撃」「破魔」。
ユーベルコードなのは召喚術式だけで攻撃は違う。どうするの?
さあ、一人ずつ確実に息の根を止めましょう。

執金剛神には「かばう」役割も期待してる。まあ、あたしの動きに合わせるだけだけど。

「全力魔法」炎の「属性攻撃」の不動明王火界咒を決め技に。

忍者の苦無は「全力魔法」の「オーラ防御」で防ぐわ。



「上杉・謙信が指揮する軍神車懸かりの陣か……よくも破綻しないものだわ」
 村崎・ゆかりが心底感慨を受けて言うのも頷ける。陣形そのものを指揮する能力も無論ながら、この車懸かりの陣を構成するオブリビオン達もあまりに多彩なる顔ぶれ。それも含めて上杉謙信の並外れた統率力をはっきりと表している。
 今回相手取るのが忍者――割とまともそうな相手でよかったと安堵するゆかりである。確かに能力的には曲者と言える相手だが、そもそも外見から「軍神さんそれどこから拾ってらしたんですか」と言いたくなるような相手もだいぶたくさんいるのは確かだ。
「それじゃ、村崎・ゆかり、陰陽師。お相手仕る!」
 すらりと薙刀を抜き放ち、己の対峙する忍びに突き付ける。返事代わりか投げれらた苦無を目の前にオーラを込めて展開した真言の魔法陣が弾く。金属とオーラがぶつかりあう硬質な音が響いて戦いの開始を告げた。

『オン ウーン ソワカ――四方の諸仏に請い願い奉る。其の御慈悲大慈悲を以ちて、此の時此の場に御身の救いの御手を遣わしめ給え!』
 ユーベルコード『執金剛神降臨』、甲冑を纏い金剛杵を執って仏法を守る存在を召喚し、己の身に重ねて戦いを共にするよう願うもの――さらにゆかり自身は金色に輝く神霊となり、薙刀もその装飾に豪奢を増す。
「ユーベルコードなのは召喚術式だけで、攻撃は違う。どうするの?」
 そう、召喚を行うユーベルコード、そのものを防御することはできない。あとはゆかりの動きに合わせ、通常に攻撃として執金剛神はその武を振るう。
 それでも、相手となる忍者は不敵に笑んだ。
「ならば、『我らに唱えられぬ忍術なし』」
 懐から取り出した巻物をさっと広げると、攻撃を時には食らうのすら構わずひたすらに読み込んだかと思えば納得したようにぽいと投げ捨てる。その後に残ったのは煙玉、何の変哲もない――そう、見えた。
 違う、と気付いたのは勘か、それとも破魔の力が対すべき『魔』を感じ取ったのか。煙玉に描かれた鶏、蛇、豚――それは最も根本的な3つの煩悩、『三毒』を象徴する動物だ。
 そう、陰陽道を構成する要素の中でも仏道、その根源を突き妨害するものだ。真っ向から受けてはいけないもの、そう察したゆかりは、急ぎ符を手にとった。強い呪や魔力を込めた白紙のトランプ、それに加えるは不浄を灼く炎の力。
『ノウマク サラバタタギャテイビャク――』
 投擲された煙玉から己は距離を取りながら、素早く符を投げ炎をぶつける。燃え上がる煙玉から漏れる煙を僅かでも吸い込まぬよう息を止めた。執金剛神の体が壁となり、さらに不動明王の力を借りた炎の浄化があったとしても、ゆかり自身の戦い方に効くよう調整されたユーベルコードの影響力は読めない。
 呼吸を止めたまま、さらにばらまかれる苦無をオーラの盾で防ぎつつ連撃を加える。衝撃波と破魔の力を宿して一気に攻め込む。長引けばそれだけ不利、そして――白紙のトランプは、一枚ではない。
「っ――!」
 声を上げる間すらなく、絡みつく炎に呑まれた忍びに重ねてゆかりが衝撃波を乗せた薙刀を真っ向から振るう。執金剛神もまた同じ軌道の衝撃波を重ね連撃と為す。
 炎の消えた場所に、僅かな塵だけが舞った。それが、この陣に身を投じた紫陽衆達の完全なる最期となった。

 軍神車懸かりの陣の一小隊、紫陽衆部隊――撃破!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月13日


挿絵イラスト