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星彩

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●星の彩が宿る場所
 深い闇が巡る迷宮の底。
 其処にはちいさな煌めきがあった。迷宮の壁には夜空の星を映し出すかのような鉱石が埋め込まれており、僅かな光を反射して輝いていた。
 きらきらとひかる鉱石の灯はまるで宝石を鏤めたかの如く。
 しかし今、そんなささやかで美しい光景を穢すモノ達が近くまで迫っていた。

 迷宮のフロアを進む軍団を率いるのは黒き鎧を纏う騎士の怨鎧。
 それに先んじて進軍していくものは人の大きさほどの泥人形たちだ。
 災魔の騎士は現在、配下を率いて上の階層へと攻めあがってきている。このままでは非戦闘員も数多くいる学園施設に侵攻され、平和が乱されてしまうだろう。

●泥人形と黒騎士
「――というわけで、お主たちの力を借りたいのじゃ」
 愛用の箒の柄を握り、鴛海・エチカ(ユークリッド・f02721)は猟兵達に願った。
 今回の戦いはクレイゴーレムを率いる騎士の怨鎧の討伐。
 災魔達の侵攻を阻止する為、防衛に適した場所とされるのは星鉱石の迷宮フロアだ。其処はその名の通り、星のような煌めきを映す鉱石が点在する場所となる。
 迷宮内に入れば他に障害物等は何もない、広いフロアに辿り着く。
 其処までの道筋に危険はないと話したエチカは敵の詳細について語る。
「先ず戦うべきは三体の泥人形、クレイゴーレムじゃ。騎士は泥人形達に偵察も兼ねて先行させているらしいのう。すべてを相手取るのは危険極まりない。それゆえに叩くならば首魁がいないうちということになるのじゃ」
 だが、敵が三体だからといって戦いが楽なわけではない。
 泥人形は新たな仲間や配下、更には上官まで呼び寄せる能力を持っている。素早く倒さなければ際限なく敵が増えて対処のしようがなくなるだろう。
 厄介じゃのう、と呟いたエチカは溜息をつく。
 クレイゴーレムとの戦いが終われば、いずれフロアに首魁も姿を現す。其方はたった一体だと予測されているが、強敵であることは間違いない。
 気を引き締めるべきだと語ろうとしたエチカだが、ふるふると首を振って言い直す。
「まあよい。どーんと行ってばばーんとやれば大抵のものは片が付くのじゃ!」
 誰かの真似をしているのか、表情をころりと変えた少女はくすくすと笑う。
 災魔に立ち向かう猟兵の気概があれば敵ではないと話したエチカは信頼の眼差しを仲間達に向けた。

●星のお茶会
「それから、もし良かったらなのじゃが……」
 そして、全てを話し終えたエチカは猟兵達を手招き、或る提案を投げかける。
 戦場となる星鉱石の迷宮を見てどうしても行きたくなった場所がある。そう告げた少女はとある店について語り出す。
「実は近頃、良い店を見つけてのう。『スターリーナイト』という喫茶店があってな、其処に皆で行きたいのじゃ。戦いの労いと言ったところかの」
 それはアルダワ魔法学園世界にある、ちいさなカフェらしい。
 店名が示す通り、内部は星月夜――つまり星の多い夜めいた装飾で彩られている。
 天井には淡い光を宿すシャンデリアに星が吊り下がったモビール装飾。
 床は天鵞絨織の敷物、窓辺は金糸で星が刺繍された夜色のカーテン。テーブル席やカウンターにはちいさな天球儀が並ぶ。
 人気メニューは星型苺のケーキとスターベリーのタルト。
 飲み物も珈琲や紅茶に加えて、大人向けのオリジナルカクテルやノンアルコールドリンクもある。また、お持ち帰り用に流星型のクッキーやチョコレート、星を模した金平糖の詰め合わせなども売っているようだ。
「どうじゃ。行きたくなってきたのではないか?」
 ふふん、と胸を張ったエチカは猟兵達に期待の眼差しを向けていた。
 そして、不意にはっとしてぶんぶんと首を振る。
「け、決してチカが行きたくて仕方がないからお主らを巻き込むわけではないのじゃ。ひとりだと緊張するからなどという理由ではないゆえ、勘ぐるでないぞ!」
 分かったか、と人差し指を向けて注意したエチカだが、本音が漏れ出ているのは明白だ。そうして少女は一息つき、皆に告げる。
「さあて、楽しい時間を過ごす為にも頑張るかのう。いざ、いざなのじゃ!」


犬塚ひなこ
 今回の世界は『アルダワ魔法学園』
 侵攻してくる災魔達をフロアで迎えうち、撃退することが目的となります。

 第一章はクレイゴーレム三体との戦闘。
 第二章はボスとの決戦。戦闘に適したフロアなので罠等はありません。
 第三章では星モチーフのカフェでゆったりとした日常を過ごせます。

●三章について
 カフェの雰囲気はOPの通りです。
 上記メニュー以外もありますので、これが食べたい・飲みたいというものがあればご注文ください。喫茶店メニューっぽいものならご用意できます。
 戦闘に参加しなかった(できなかった)方も遠慮なくどうぞ。
 お誘いあわせの上での参加も大歓迎です。その際はお互いにIDやお名前の指定、またはグループ名を明記してご参加ください。

 呼ばれない限りはリプレイには登場しませんが、鴛海・エチカもカフェに行きたがっているようです。もし良ければお声がけください。
 その他、お好きな形で皆様の思うままに楽しんで頂けると幸いです。
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第1章 集団戦 『クレイゴーレム』

POW   :    上官を呼ぶ
自身の身長の2倍の【クレイゴーレム】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    仲間を呼ぶ
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【クレイゴーレム】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    配下を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【クレイゴーレム】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カチュア・バグースノウ
ご褒美が楽しみね!
なんにしろさっさと敵を倒してしまいましょ

前衛、攻撃手、または守り手でいくわ!
他にも戦うメンツがいれば声をかけて共闘していきたいわね

盾受けを持っているから、積極的に敵の攻撃を受けていく
盾受けの際に受けた怪我で流れた血を敵につけていくわ
足りなかったら自分で手を切って血を流す
「土だから燃えないわね」
チッと舌打ちしつつ
盾受けと攻撃を隙を見ながら戦う

攻撃する際は一番弱っているやつを狙いましょ
素早く一体一体確実に倒していくわ
増援を呼ばれたらあたしが引きつける
血をつけて一気に燃やすわ!


小日向・いすゞ
おぶしだんセンセ/f00250と一緒

終わったら、かふぇででーとなんスよね
この前のお礼をする為に、張り切っちゃうっスよ!
さあさ、センセ戦う事は得意っスよね?
あっしは後ろからセンセを応援してるっスよ!
ふれー・ふれー・センセ!

召喚されたごーれむを盾として使い、防御に徹するっス
小さいごーれむをひっつかんでよいしょっ!

余裕があれば、狐火でもりもり焼くっスよー
上は大火事、下は大火事これなーんだ?
こたえは、大火事っス!

ぽっくり下駄をコーンコン
杖で叩いて、尻尾ではたいて
ぴょんぴょん跳ねて戦うっス
センセの後方で

心情:
センセをからかうのはとっても楽しい
今日はセンセで遊べて楽しいな
勿論、ちゃんと戦闘もするっスよ


オブシダン・ソード
いすゞ/f09058と同行

カフェに行く前に一仕事だね、良いだろうとも
便利に使われている? それが『道具』の本懐だよ、構わない

そりゃまぁ、僕は戦うためのモノだけど
自分で戦うのはそんなに、ね
まぁ泣き言は良いか、働こう

集団相手だしウィザード・ミサイルを使っていこうかな
95本の炎の矢束をざっくりと狙って撃ち込む
泥人形なんでしょう? 固めて動きとめられたりしない?

数が減ったら自らの手足と器物で仕留めにいく
戦闘スタイルは軽装の剣士

上官出てきたら一旦下がる
いすゞ、ヤバそうなの来たからちょっと手伝ってよ
火、出せるでしょ?

心情:
調子の良い子だなぁと思っているけど
頼まれたら断らない性質なので好きにさせる
嫌ではない


クーヴェルシュイユ・ティアメイア
きれいね。まるでキャンディみたいなの
あれは檸檬味? こちらは、ソーダかしら
そのまたたきにちっぽけも見向きしないあなたたちは、おませでビターなチョコレートのよう
ご褒美の星喫茶をおいしくいただくためにも、まずは腹ごしらえをしないと

なの、だけれど
わんこは大歓迎。でも、わたくしのおなかにも限界はあるの
一口でぺろりといただけるかしら。うん、と
一番フォークはみんなに譲り、後背に控えて『悪食』でお怪我をいただくわ
負担のおおきなひとから順々に
ごはんは、にぎわう空気までおいしいもの。主菜まで脱落者のなきように、ね

*カラカル耳/雀羽/ベタ鰭
*行動のほかはご参考まで。おいしくわたくしをお料理してね
*相席ごはんも歓迎


ミハル・バルジライ
此の麗しい景観が無粋な闘争に穢されるのは忍びない。
土塊の一片も残さぬように。

疾く始末を付ける為には集中的に確実に屠っていく必要が有るだろう。
他の猟兵達と連携し、一体ずつ的確に仕留めるよう心懸ける。
仲間等を召喚された場合も先ず狙うのは元凶たるクレイゴーレムから。
攻撃された際は極力見切り躱すよう努めるが、受身に回る心算は無い。
短期決戦には攻勢あるのみ。
躊躇を知らぬ死霊達が相手を務めよう。

人の心を持たない泥人形ならば、拷問具にも死霊にも怖れなど抱くまいな。
負の感情を覚えること無く逝けると思えば、哀れと感じずに済む点だけは幸いかも知れん。



●漆黒の侵攻
 憾みの黒い渦を抱き、騎士の怨鎧は往く。
 それは骸の海に捨てられた筈の過去の残滓。其処には志などはなく、ただ世界に破壊を齎し、滅亡に導く為に動くだけの躯。
 意思を持たぬ泥人形を従え、黒騎士は唯々進み続ける。
 それらを迎え撃つのは世界に選ばれし者――猟兵達。
 邂逅の刻は、近い。

 迷宮の奥、何処かから僅かに射し込む陽を反射する鉱石のひかり。
 其れは星の輝きにも似ていて、まるで真昼に夜空を視ているかのような不思議な感覚と光景を創り出している。フロアの入口から辺りを見渡し、ミハル・バルジライ(柩・f07027)は銀の双眸を緩やかに細めた。
「此の麗しい景観が無粋な闘争に穢されるのは忍びない」
 それゆえ、土塊の一片も残さぬように。
 奥から聞こえるのは泥人形が近付いてくる足音。
 ミハルが胸の前に手を翳せば、傍に死霊が現れる。其々に騎士と蛇竜の形を取った魂はミハルの前に立ち塞がるよう布陣して敵に剣と牙を向けた。
 ――往け。
 ミハルが囁くように命じると、死霊達が敵に向かって奔る。だが、此方を敵だと認識したらしい泥人形達も戦いの体勢を取っていた。
 即座に仲間を呼んだクレイゴーレムの後方から新たな敵が現れる。
 迫る死霊を防ぐ為に立ちはだかったそれらは蛇竜の牙を受け止め、騎士の刃を弾き返した。疾く始末を付ける為には集中的に確実に屠っていく必要が有る。
 しかし、敵も斃されまいとする思考があるらしく、呼び出された者達が元凶たるゴーレムを守っている。だが、ミハルは冷静に死霊達に合図を送った。
 次の瞬間、巻き付いた蛇竜が数体を同時に締めあげ、騎士は泥人形の側面へ回って刃を振り下ろした。
 躊躇を知らぬ死霊達は泥人形を圧し折り、真っ二つにして完膚なきまでに潰す。
 それでも怯まぬ敵は新たな仲間を呼び、此方に対抗する。
 されど其の方が好都合だとミハルは感じた。
「人の心を持たない泥人形ならば、拷問具にも死霊にも怖れなど抱くまいな」
 其処には怖れも痛みも何もない。
 負の感情を覚えること無く逝けると思えば、此方とて哀れと感じずに済む。その点だけは幸いだとしてミハルは死霊達に更なる攻撃を願った。
 戦っているのは己ひとりではない。
 ミハルが向けた視線の先には、共に戦う仲間達の姿があった。

●土と焔
 星めいた鉱石の色を見れば、後に控える星喫茶への思いも募る。
「ご褒美が楽しみね!」
 黒い斧を携え、カチュア・バグースノウ(蒼天のドラグナー・f00628)は駆け出した。狙うのは仲間を呼び出すクレイゴーレム。
 しかし、既に敵は配下を呼び出している。往く手を阻む配下を横薙ぎに振るった斧でいなし、吹き飛ばすカチュア。その雪のように長い髪が刃を振るう度にしなやかに揺れる。
「流石に多いわね。なんにしろさっさと敵を倒してしまいましょ!」
 だが、可憐な白花めいた外見に対してカチュアの動作は豪快そのもの。
 迫り来る泥人形からの一撃を斧で受け止め、力のままに押し返して弾く。そして、カチュアはその勢いに乗せて刃を振り下ろした。
 先ずは一体。そして、二体目。
 配下泥人形を蹴散らしたカチュアは前に進み、本体を狙ってゆく。だが、前に出たことで周囲の敵の注目が一気に彼女へと向いた。
 振るわれたゴーレムの腕がカチュアの左腕を掠め、僅かなかすり傷をつくる。
 しかし、それとて好都合。
 傷口から滴る赤い雫を用い、武器に血の力を宿したカチュアは紅蓮の炎を解き放った。確かに衝撃は与えたが、敵は思うようには燃えてくれない。
「土だから燃えないわね」
 舌打ちをしたカチュアは別方向から来る敵の気配を悟り、斧で殴打の一撃をしかと受け止めた。だが、前に出ているカチュアだからこそ更に気が付いたことがある。
 最奥に控える泥人形が怪しい動きをしていた。
 そして、その直後――配下や仲間とは一線を越える、巨大なクレイゴーレムが戦場に顕われた。あれが上官だと判断したカチュアは纏わりつく小さな配下を蹴り飛ばして破壊し、周囲の仲間に呼び掛ける。
「あたしが引きつけるから、皆は仲間を呼ぶ奴を狙って」
 そして、カチュアは一直線に駆ける。
 相手は自分の二倍はあろうかという巨躯の泥人形。されど怯まず、恐れることもなく、カチュアは斧を振るいあげた。
「血をつけて一気に燃やすわ!」
 その青き瞳に宿るのは果敢さと勇猛さ。
 決して負けはしないという思いと共に、戦場に放たれた炎は紅く迸った。

●檸檬と曹達の彩
 きらきらひかる星の粒、煌めくいろはキャンディのよう。
 月めいた金の彩に薄く色付いたあれは檸檬味、透き通った青を映すこちらは曹達の味かしら。ちいさな星めいた輝きに眸を緩めた後、クーヴェルシュイユ・ティアメイア(乃・f01166)は視線を前に向けた。
 フロアに現れた泥人形達は無感情に、ただ目の前の敵――猟兵である自分達を壊さんとして戦いを挑んできている。
「あのまたたきにちっぽけも見向きしないあなたたちは、そうね」
 土色の躰と黒スグリのような真黒な空洞の眼。そして妖しく光る瞳。その姿を暫し見つめたクーヴェルシュイユは自分の口許に指先をあて、浮かんだ思いを口にする。
「おませでビターなチョコレートのよう」
 カラカルの獣耳がぱたりと軽く伏せられ、甘い声が落とされた。
 ご褒美の星喫茶をおいしくいただくためにも、まずは腹ごしらえ。けれど、と辺りを見渡したクーヴェルシュイユは戦場の様子を確かめる。
「わんこは大歓迎。でも、わたくしのおなかにも限界はあるの」
 一口でぺろりといただけるかしら、と首を傾げる間にも敵の数は増えていく。
 其々を相手取る仲間達は増援に対して果敢に立ち回っていた。それなら、と彼らの後背に控えたクーヴェルシュイユは手にしたフォークを掌の上でまわす。
 彼女が向けた眸の先には泥人形からの突撃を受け、衝撃を受けたカチュアがいた。
「そのお怪我をいただくわ」
 発動したユーベルコードは、悪食――モンストロ。
 くるくると宙を舞うフォークは仲間の痛みを抽出し、クーヴェルシュイユの手の中に戻る。そして、いただきます、という言葉と共にカチュアに治癒の力が巡った。
 クーヴェルシュイユがするべきことはひとつ。こうしてまた、誰かが怪我をすれば同じように痛みをいただいていくだけ。
 ごはんは、にぎわう空気までおいしいもの。
 だから主菜たる猟兵、仲間達にひとりの脱落者のなきように。
 クーヴェルシュイユは戦場を見守り、皆の背を支え続けることを心に決めた。

●狐と剣と燃ゆる焔
 煌めき続ける星の鉱石は戦いの光景を映す。
 他の仲間が巨大な上官ゴーレムを相手取っている最中。オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)と小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)は、際限なく現れる配下泥人形を蹴散らしていた。
「泥人形なんだよね。固めて動きをとめられたりは……うん、するね」
 いける、と口にしたオブシダンは剣の切先に力を集中させる。そして魔力の焔で作りあげた矢を放てば、貫かれた敵が次々と地に伏していった。
 配下はちいさく力もないが、如何せん数が多い。
 それでもいすゞは嫌な顔ひとつせずに応戦、もといオブシダンを応援していた。
「ふれー・ふれー・センセ!」
 しかしそれだけではなく、いすゞはオブシダンの矢が捉えきれなかった個体に目掛けて狐火を放っている。それは言うなれば良い所取りであり、傍から見れば前線に立つオブシダンが便利に使われているようにも見える。
 だが、それこそが『道具』の本懐。
 敢えてこの状況を受け入れているオブシダンの背を見遣り、そして剣の切先に視線を移したいすゞはちいさく笑んだ。
「終わったら、かふぇででーとなんスよね。張り切っちゃうっスよ!」
 この前のお礼をする為に、と意気込んだいすゞは白狐の杖を握る。
 そのとき、オブシダンの横を擦り抜けたゴーレムが襲い来た。それを跳躍で躱したいすゞは、落下と共に杖の一撃で敵を穿つ。
 軽快な下駄の音が響いたことで、逃した敵をいすゞが避けたのだと察したオブシダンは振り返らずに答えた。
「ああ、カフェに行く前の一仕事だね。そう思うと余計に負けられないな」
 とはいえ、そう簡単に敵は片付けられそうもない。
 此方が数体斃す度に本体であるゴーレムが仲間を呼ぶ。小さいものは一撃で屠れるが一体ずつへの手数が要り、本体と同じサイズの仲間は倒すのに手間がかかる。
 そして、今まさにオブシダン達に迫っている巨大な上官は更にその上をいく。
 おそらく二体目の上官が呼び寄せられたのだろう。
 太く強靭な腕が振りあげられる。それが自分に向けて下ろされようとしているのだと察したオブシダンは咄嗟に後退した。
 一瞬後、それまで彼が立っていた所に風圧の衝撃が散る。
「いすゞ、ヤバそうなの来たからちょっと手伝ってよ」
 狐娘の所まで下がったオブシダンはその名を呼び、此方に向かってくる上官ゴーレムの動きを窺う。すぐに次の一手が自分達を襲うだろう。
 ちょうど先程のミニ泥人形を倒し、尻尾ではたいて退けたいすゞも危機を察する。
 その瞬間、上官ゴーレムが地面を殴りつけた。
 砕けたフロアの床が四方に散らばり、オブシダンといすゞに降りかかる。
「わ、っと。危ないっスね」
 咄嗟にちいさなゴーレムを盾にしたいすゞの耳が低く伏せられた。オブシダンも身を翻すことで岩の雨を何とか避け、反撃に入る。
「火、出せるでしょ? 合わせて行くよ」
「はーい、もりもり焼くっスよー」
 オブシダンの呼び掛けに調子よく答えたいすゞは、一拍おいてから魔力を練り上げた。そして、剣の周囲から焔の矢が解き放たれる瞬間に合わせて狐火を迸らせる。
 ゴーレムの身を幾本もの炎矢が貫き、その周囲に火が舞い躍った。
「上は大火事、下は大火事これなーんだ? こたえは――」
 いすゞは下駄をコーンコンと鳴らし、泥人形を見上げる。
 そして、火と共に投げかけられたなぞかけの答えを紡がんとしてオブシダンといすゞが同時に口をひらいた。
「大火事だね」
「大火事っス!」
 その言葉の直後、上官ゴーレムが激しい炎に包まれる。
 燻りながらも燃えあがる焔は敵の身を地面に伏せさせた。これで脅威は去り、後は本体へを狙って更なる反撃に移っていくのみ。
「今日はセンセで遊べて楽しいな。それじゃあ、どんどん火を付けていくっスよ!」
「遊んでるわけじゃないんだけどね。まあいいか」
 いすゞが明朗にからからと笑う様子にオブシダンは軽く肩を竦める。
 それでも不思議と居心地は悪くない。そうして、二人が戦場に放ってゆく炎はふたたび重なる。この先に巡る時を思い、強く、熱く――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

シル・ウィンディア
うわぁ、おっきいなぁ…
でも、戦いは大きさで決まるものじゃないこと
教えてあげるよっ!

二本の光刃剣『エレメンティア』と『六源和導』を構えて
スピードを生かして攻撃するね
基本はヒット&アウェイで、一撃を加えたら深追いせずに離脱を図るよ

相手が三体もいるから、周りにも気を配って…
隙を見つけたら、エレメンタル・ファランクスで一体へ集中砲火っ!
この魔法なら、流石にいたいでしょっ!

撃ち終わったら、その場に残らず移動するよ
大きなゴーレムと合体ゴーレムの攻撃は回避
小さなゴーレムがたくさん出てきたらエレメンタル・ファランクスで相殺

回避が間に合わない場合は、二本の光刃剣を回転させて
シールドとして使って防御するよ


五條・桜花
美味しいお菓子のために私頑張ります!
桜の乱舞で小型のクレイゴーレムを一掃しましょう
雪月f03400と息を合わせてまいります
大物狙いが得意な貴方ですがここは私に合わせてくださいね


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
ほわあ〜…綺麗な場所だなあ…まるで天体観測しにきたみたいだな!
…景色を楽しみたかったけど、そういうわけにも行かぬようだな…ちゃんと仕事せねば!

ここは迅速に倒すために、素早く近付いて不意打ちを行うぞ。
あらかじめ『トリニティ・エンハンス』で風の魔力により状態異常力を高める。
最初は隠密状態で近付いた後、一気に【ダッシュ】で距離を縮め、【先制攻撃】+【属性攻撃】(氷)+【2回攻撃】を使用。相手よりも先に氷の属性攻撃を行い、手数で攻めることによって確実に凍らせることを狙う。凍らせて仲間を呼ばせないように阻害したいのだ。

動きが鈍ったなら、で相手の懐に潜り込み、『雪娘の靴』を打ち込み大ダメージを狙うぞ!


叶・雪月
どちらかというとサポートよりじゃないんだけどな俺は
同行者の桜花f03321と一緒のほうに向かう
さてぶん回すほうが性にあってるがこれでも御神刀って言われてたんだぞ
いざ参る
時にあれだ、この後の菓子は割り勘だよな?


リヴィエラ・サヴェレント
喫茶か、良いね。僕も是非行ってみたいな。
でもまぁその前に一仕事しないとね?
みーみーと鳴く僕の使い魔、コロンも一緒に連れていくよ。
女性に反応したら踏んで押さえるから安心してね。

今回の相手はゴーレムか。
拷問には向いてない相手だね。まぁ仕方ないけど、確実に一体ずつ潰していこうかな?
仲間を呼ぶ事があるみたいだし注意しないとね?
硬そうだし鎧無視攻撃とか通用するのかな?とりあえず拷問道具で攻撃は加えるけど……
凌遅の千剣で基本的に攻撃するね。
UCは攻撃も強化もできる百年のリヴィエラ。
僕の醜さが現れた攻撃だから使いたくないけどね。
「ゴーレムって苦しむのかな?……まぁいいや、さっさと終わらせて先へ進もう。」


シエラ・アルバスティ
同【神月・瑞姫】

「喫茶店で美味しいケーキあるって、みぃちゃん!」
「任せて! いくらでも食べさせてあげるからね!」

ふふふ…至福の時が約束された!
死んでも生き返って見せるよ!
鉄則、みぃちゃんを守る事を第一に!

このゴーレムを倒すには……乾かして砕く
乾かせば増殖はし辛い筈、と言う事で【勇者召喚】で大量の火トカゲを召喚するよ!
敵味方判別するくらいの知性はある筈

「私の可愛いトカゲ勇者たち、ゴーレム登り開始だよ!」

炎の【属性攻撃】で『天狼牙』は扱う
私は【ダッシュ】から乾いた敵を砕き
いざという時は天狼牙を投げる。重さをゼロに近づけ、投げる瞬間に重くする荒技!
『エーテル・ストリングス』の電撃も使える時に使う!


神月・瑞姫
同行【f10505】

ケーキ?
ケーキが食べられるの?
シエラおねーちゃん
みぃ食べたいなぁ
ダメ?
わぁい、ありがと
みぃがんばる

んと最初はゴーレムさんなんだね
すっごく増えちゃうの…
おねーちゃんどうしよ
え、乾燥させて砕く?

うん、みぃ分かった
【フォックスファイア】で援護するの
(シエラおねーちゃんを前衛に
後衛から17の火【属性攻撃】で強化した狐火を連発
小型のや額に1って書いてるのは弱いみたいだから
集合させず1つの狐火で5体くらい貫通して倒せるよう軌道を操る
上官や額の数字が大きいのは狐火を集合させた大火球をお見舞いする

…倒せなくてもこれだけ撃てば炎で乾燥するよね?
わ、ほんとに砕いちゃった
おねーちゃんすごい!


ユヴェン・ポシェット
星鉱石か。
このような場所はとても落ち着くな。それに…美しい輝きだ。同じ石でも俺などより ずっと、な。

…しかし、クレイゴーレムな。
増えるのは確かに厄介だ。
増える前に倒していくには、集中攻撃で一瞬で確実に仕留めていくのが良いと思うのだが、どうだろうか。まあ…周りに合わせて行動させて貰おう。

ロワ(ライオンライドの黄金の獅子)、お前の力を借りたい。今回も共に戦ってくれ。
そして、ミヌレ(槍)、やるぞ。


暗峠・マナコ
まぁ、とてもとてもキレイな喫茶店があるのですね、とても良いことを教えていただきました。ふふ、エチカさんとご一緒に行くことが出来たら、よりキレイな思い出も一緒に頂けそうですね。とてもガンバロウって気分になってきました。

この泥のキレイでない方々は、すばやく倒すことが求められるのですね。
ふむ、では確実に仕留められるように、【ガジェットショータイム】で有効なガジェットを召喚してみましょう。相手は泥なので、降雪機などで雪で相手を冷やし凍らせて、固まらせて動きを止める、なんてことが出来れば、合体も阻止できればバンバンザイではないでしょうか。雪像も出来て少しテンションがあがります。


ライラック・エアルオウルズ
素敵なカフェ、というのは大変執筆向きの場所でね。
……僕の作品の為にも、貴方達には御退場願おうかな。

【WIZ】(2回攻撃・見切り)
中々ゴーレムというのも興味深いけれど、彩が足りない。
『薔薇のあやまち』を発動して、ゴーレムに攻撃を。
此処でダメージを与えられたら幸いだけれど、
避けられても"二回目"の攻撃の足しになるから良しだ。

配下を呼ばれたら(仲間のサポートでも)、
二回目として『花の歌声』を発動。
花の行く先に本体・配下を指定して、
少なくとも配下だけでも一気に消滅させたいものだね。
相手の攻撃には見切りで極力避ける様にするよ。

……うん。土には花を、中々素敵な光景だ。
僕も良い作品が書ける気がして来たよ。


立花・桜華
まずはゴーレム達を倒しちゃおう
皆で連携して確実にかつ素早く倒していくよ!

【ゴーレムとの戦い】
敵の攻撃は重そうだね。スピードで翻弄するよ!
シーブズ・ギャンビットを用いて高速戦闘を行う
投擲用ナイフを敵へ投擲して攻撃し、身軽になることで更なる加速を行う
先制攻撃とダッシュを用いて敵に一気に接近し、ダガーで切り裂く
敵の攻撃のタイミングを第六感や野生の感を残像によるフェイントを用いて攻撃を回避しつつカウンター狙い
持ち前の怪力による一撃を叩き込み鎧砕き!返す刃で2回攻撃を狙う
配下を呼んだ場合は、衝撃波を用いて一気に吹き飛ばす
範囲攻撃持ちの仲間がいたら発動までサポートをするよ


シュクルリ・シュクルグラッセ
【WIZ】
ゴーレムの一団。ミレナリィドールの私とは似通った存在かもしれませんです。
最も、マスターの最高傑作である当機と、過去の残滓では比べるべくもありませんですが

それでは、まずはゴーレム排除と参りますです

【情報収集】【学習力】により味方と戦闘する敵のユーベルコードを調査・把握。
【ミレナリオ・リフレクション】により、邪魔な小型ゴーレムの排除に動きます
構成トレース完了。ユーベルコード再現機構を起動しますです
再現したゴーレムをぶつけて敵と相殺、味方が敵へたどり着く道を作ります

迅速に打倒しましょうです
星鉱石の迷宮より、星型ケーキが私を待っています!
さぁ、速く! のんびりしている暇はありませんですよ!


彼者誰・晶硝子
望むものが切実であれ純粋であれ、怨みは不幸を呼ぶものよ
無辜のひとたちに、身勝手な不幸は降り懸からせない
だって、こんなに美しいのだもの
美しいものは、簡単に手を触れてはいけないの

そうね、何より倒し残しに仲間を呼ばれるのが厄介だろうから、確実に一体ずつ倒していくわ
より多い仲間が狙う個体に集中的に全力魔法を叩き込んで、迅速に仕留めましょう
一体倒し終えれば弱った個体、特に仲間を呼ぼうとしているものから確実に

最後まで油断しないでいきたいけれど、討伐し終えたならば傷付いた仲間を生まれながらの光で回復してあげたいわ
今回は攻撃に専念したけれど、やっぱりわたしは、ひとを救いたいから


シャルファ・ルイエ
学園に向けて侵攻してきているなら、止めない理由はないですよね。
良い喫茶店のお話もお聞きしてしまいましたし、どーんといってばばーんと済ませてしまいましょう。

せっかくの綺麗な場所なので、あまり壊したくないですね……。
戦いが長引くと周囲に被害が出てしまう可能性もありますし、クレイゴーレムは増えてしまう様なので、【鈴蘭の嵐】を『全力魔法』と『範囲攻撃』を利用して放って、増えるより先に一気に散らしてしまおうと思います。
花弁で敵を囲んで視界を奪えれば、隙が出来て他の人の攻撃に繋げられることもあるかもしれません。攻撃は『オーラ防御』で凌ぎます。

どうあれ、ここから先へは行かせません。


朽守・カスカ
ふふ、地に眠る星空か…
とても綺麗な迷宮だけど
見惚れている暇はなさそうだね

手早く片付けてしまわないと
どんどん増えて、手に負えなくなってしまう
幸いなことに慈悲をかける必要もない相手だから
心赴くままに、破壊してゆこう

【ガジェットショータイム】
さて、今回はどんなものができるかな。
土塊から生まれたゴーレム相手に有効なもの?
土の強度を落とすなら乾燥だろうか?
それとも、杭打ち機のようなもので、無理やり穿つのだろうか?

ふふ、もしわからなくても、切ったりするようなものではないだろうから
取り敢えず、殴ってみれば分かりそうだ
囲まれないように気をつけて戦うとしようか

…最近の私は、少し乱暴になってるような気がしてきたよ



●桜と硝子
 望むものが切実であれ純粋であれ、怨みは不幸を呼ぶ。
 怨鎧の騎士が宿すであろう空虚な恨みを思い、彼者誰・晶硝子(空孕む祝福・f02368)は星めいたひかりを抱く瞳に敵を映す。
「無辜のひとたちに、身勝手な不幸は降り懸からせない。だって――」
 こんなに美しいのだもの、と示したのは星鉱石のフロア。
 敵の侵攻を許せばこの場も穢され、石壁ごと壊されてしまうかもしれない。
「美しいものは、簡単に手を触れてはいけないの」
 敵にそう告げた晶硝子は腕を伸ばして指先に魔力を紡いだ。極光めいた虹色の光が周囲に取り巻いたかと思えば、それらは土の刃となって宙に舞う。
 刃達はちいさな配下ゴーレムを見る間に打ち砕いていった。
 だが、その間にも後方の主体泥人形が絶え間なく仲間を呼んでいく。すぐに近付くことは出来ないが、それならば確実に一体ずつ倒していくだけ。
 制御しきれなかった土の刃が突破され、泥人形が晶硝子に突撃せんとして迫る。
 晶硝子とて接近に気付いていたが、避けるにも新たな魔力を紡ぐにしても僅かに間に合わないだろう。痛みと衝撃を覚悟するほかない。
 だが、身構えた晶硝子に敵が襲い掛かるよりも速く、ひとつの影が舞い込んだ。
「させないよ!」
 瞬時にゴーレムが打ち砕かれ、地に崩れる。
 それは銀の髪をなびかせた立花・桜華(羅刹のシーフ・f05787)の一閃だった。上着を脱ぎ捨てて身軽になった疾さを活かし、仲間を敵から守った桜華は明るく笑う。
「大丈夫だった? これだけ数が多いなら連携していかないとね!」
「ええ、協力していきましょう」
 桜華の言葉に晶硝子は頷きを返し、二人は同じ敵を見据えた。
 投擲用ナイフを敵へと放った桜華に合わせ、晶硝子は全力の魔法を叩き込む。一体、また一体と敵が壊れていく様は圧巻。
 桜華はしなやかかつ機敏な動きで以て敵を翻弄し、ナイフで一気に数体の敵を切り刻む。崩れる土が脆くなったところへ更に晶硝子が魔力の刃を打ち込むことで敵を屠り、本体への道を作っていく。
 即席のコンビながらも息はぴったり。
 戦いやすいよ、と笑んだ桜華の声に晶硝子も同じ意思を示した眼差しを返した。
 だが、次の瞬間。桜華に向けて泥人形が突撃してくる。
 おそらくあれは仲間を呼ぶ三体のうちの一体だ。
「――気を付けて」
「わ……!」
 晶硝子が呼びかけるも、泥人形の腕が桜華を捉える方が速かった。重い一撃が桜華の身を打ち、鈍い痛みが身体中を駆け巡る。
 油断はしてなかったのに、と体勢を立て直した桜華は痛みに顔を顰めた。
 そうこうしているうちに新たな一撃が放たれる可能性もある。晶硝子はすぐさま己の内に眠る聖なる光を顕現させる。
 淡い癒しの光明は桜華を包み込み、痛みを和らげていった。
 これだけ敵が多い現状、攻撃に専念すべきだとは分かっている。だが、目の前に苦痛を受けた仲間がいるのに放ってはおけない。
 それも桜華は一度とはいえ自分への攻撃を防いでくれた、いわば恩人だ。晶硝子はいつでも癒しと攻撃を行えるよう身構え直し、そっと告げる。
「やっぱりわたしは、ひとを救いたいから。君を支えさせて」
「もちろんだよ! じゃあ、このまま確実にかつ素早く倒していこう!」
 身体が回復していく心地を感じ、桜華は礼の代わりに片目を瞑って見せた。そして、次はくらわないと心に決めて、眼前の敵が振るった一撃を躱す。
 もうこれで敵が打って出るタイミングは把握できた。
 桜華は敵を翻弄するように身軽に戦場を駆け、ナイフを投げつける。一瞬、敵の気が其方に向いたがそれはフェイント。対応する暇も与えずに敵の懐にまで潜り込んだ桜華は刀を抜き放ち、鋭い一閃で斬り込んだ。
「今だよ、やっちゃって!」
「わかったわ。先程のお返しね」
 桜華が身を引き、後方の晶硝子に視線を送る。その意図を理解した晶硝子は魔力を練り上げ、土の波動として顕現させた。
 そして、激しい波となって迸った衝撃はクレイゴーレムの身を完膚なきまでに砕く。
 これで仲間を呼ぶ泥人形が一体倒れた。
 それでもまだまだ、と顔をあげた桜華は構えを直し、晶硝子もフロア内に多く点在する敵に視線を向ける。
 戦いは未だ終わらない。
 二人の眼差しは激しい戦いが巡る戦場に確りと向けられた。

●穿つ一閃
 此処を地に眠る星空と表わせば、不可思議な心地が巡る。
 ふふ、と幽かな笑みを咲かせた朽守・カスカ(灯台守・f00170)は天上めいた天井を映していた眸を下ろし、敵を見遣った。
「とても綺麗な迷宮だけど、見惚れている暇はなさそうだね」
 共に戦う仲間達が次々と泥人形を潰しているとはいえど、その数は更に膨れ上がっていく。呼び出された配下を倒さねば本体とも呼べるゴーレムには辿り付けず、攻撃すら届かないままだろう。
「手早く片付けてしまわないと、これ以上にどんどん増える、な」
 手に負えなくなってしまう前に、と掌を上に向けたカスカ。今回はどんな武器が出るだろうかと口にした彼女の手の上に現れたのは鋼鉄製の大槌だ。
 しかし、よくよく見れば打撃面には発射口のような空洞がある。おそらく槌を振るうことで勢いが付き、高威力の杭が撃ち放たれるのだろう。
「なるほど、杭打ち機とハンマーの合わせ技だね」
 へんてこガジェットの可笑しさに薄く口許を緩めたカスカは、地面を強く蹴った。
 どのような武器であろうと戦うに不便はない。
「取り敢えず、殴ってみれば分かりそうだ」
 近くの敵に狙いを定めたカスカはおおきく腕を振るい、杭打ち槌をひといきに振り下ろした。先んじて射出された杭が泥人形の躰に喰い込む。そして一拍遅れて槌による打撃の衝撃が敵の身を更に穿った。
 それによって敵が伏し、崩れ落ちる。だが新手の接近に気付いたカスカは即座に身を翻してその場から離れた。敵が一撃で崩れるとはいえ囲まれては不利になる。
「力任せに戦えるね、これは」
 別の標的を見据えたカスカはふと感じる。
 どうしてか最近の自分は少し乱暴になっているような気がしてきた。以前の戦いにて、斬れば分かると豪語していた少女の言葉を聞いた影響だろうか。
 そして、カスカは杭で敵を壁に打ち付け、槌部分で泥人形達を薙ぎ払う。
 それらは苦しむ様子などみせることなく崩れ落ち、消えていく。幸いなことに慈悲をかける必要はない相手だ。
「心赴くままに、破壊してゆこう」
 カスカが振るったガジェットの狙いは正確無比に、対する敵を穿っていった。

●甘い時間の為に
「美味しいお菓子のために私頑張ります!」
 五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)は大いに意気込んでいた。
 敵はどんどん呼び寄せられ、広い迷宮のフロアを埋め尽くさんばかりだが、桜花の闘志はその程度で脅かされるものではない。
 何故なら、この戦いの後には素敵な星喫茶のひとときが待っているからだ。
「ここは私に合わせてくださいね」
「どちらかというとサポートよりじゃないんだけどな俺は。分かったぜ」
 桜花の呼び掛けに応えたのは傍らに立つ、叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)だ。彼は大物狙いが得意だと分かっているが、今回のように敵の数が多い戦場ならば話は別。
 頷いた雪月に先んじて桜花が力を紡げば、聖なる傷跡から桜の花弁が舞う。
「行きます!」
「いざ参る」
 桜の乱舞が道を作るかのように前方に広がり、其処に続いて駆けた雪月が神霊体の力を解放した。刃が泥人形を薙ぎ、花の奔流が敵を包み込む。
 桜の花道に刃の煌めきが合わさることで、光が敵を屠ったかのように映った。
 それによって往く手を邪魔する小型ゴーレムが次々と倒れ、桜花は前を往く雪月の背を見つめた。
 衝撃波を放つ刃で斬り込み、薙ぎ倒す雪月の姿は頼もしい。
「この調子でいきましょうね」
 花を散らして応戦する桜花は双眸を細めて呼び掛けた。すると雪月は不意に振り向き、刃で敵を斬り裂きながら問う。
「時にあれだ、この後の菓子は割り勘だよな?」
 一瞬の間。首を傾げた桜花も敵に向けて刻印の力を解き放ちつつ答える。
「どうでしょうか。戦果次第ですね」
 告げた言葉は曖昧に、それでいて少しだけ悪戯っぽく聞こえた。
 そして、戦いは更に巡っていく。

●火を征するもの
 戦いの中でケーキに思いを馳せる者は此方にも居る。
「喫茶店で美味しいケーキあるって、みぃちゃん!」
「ケーキ? ケーキが食べられるの? シエラおねーちゃん、みぃ食べたいなぁ」
「任せて! いくらでも食べさせてあげるからね!」
「わぁい、ありがと。みぃがんばる」
 そのやりとりは迷宮に潜る前、シエラ・アルバスティ(自由に生きる疾風の白き人狼・f10505)と神月・瑞姫(神月の狐巫女・f06739)が交わしたもの。
 シエラは愛らしい少女がおねだりをしてくれた様子を思い返し、口許を緩める。
「ふふふ……至福の時が約束された! 死んでも生き返って見せるよ!」
 そう宣言して己を奮い立たせるシエラは今、襲い来るゴーレムの突撃を果敢に受け止めて耐えていた。
 その理由は勿論、後ろに控える瑞姫を守る為だ。
「鉄則、みぃちゃんを守る事を第一に!」
「すっごく増えちゃうの……おねーちゃんだいじょうぶ? どうしよ……」
 守って貰えているとはいえ、いつまでもシエラ任せだけではいけないことは瑞姫にもちゃんと分かっている。そうしている間にも呼び寄せられていく配下ゴーレムは徐々に瑞姫とシエラを取り囲んでいった。
 しかしシエラは取り乱さず、冷静に瑞姫に告げていく。
「このゴーレムを倒すには……乾かして砕くことね」
「え、乾燥させて砕く? うん、みぃ分かった」
 泥となった土は水分を蒸発させれば脆くなる。こくりと頷いた瑞姫は妖狐としての力を発動させ、幾つもの炎を解き放っていった。
 それに合わせてシエラが腕を大きく掲げ、己がイメージした勇者――大量の火トカゲを周囲に召喚してゆく。
「私の可愛いトカゲ勇者たち、ゴーレム登り開始だよ!」
 召喚主の呼び掛けと共に火蜥蜴がゴーレムに纏わりつき、瑞姫の炎によって脆くなった箇所を突き破っていく。
 取り囲まれていた状況は打破され、二人の周囲に余裕ができる。
「わ、ほんとに砕いちゃった。おねーちゃんすごい!」
 瑞姫はほっとした気持ちを抱き、近付いてくるちいさなゴーレムをよく観察した。合体を行うらしき敵が動く前に焼き尽くせばいいと知った瑞姫は遠慮なく狐火を放つ。
 瑞姫の力は対象を焼き焦がし、シエラに襲い掛かる前に敵を崩した。
「みぃちゃん、一気に蹴散らすよ!」
 援護をお願い、と伝えたシエラは天狼牙を構えてひといきに駆ける。一時的に炎の属性を宿らせた刃が振るわれ、重い衝撃が敵を真っ二つに両断した。
 だが、其処に新たに現れたのは瑞姫よりも大きな体躯のゴーレムだ。
 敵が合体したのだと察した少女は白月めいた刃を持つ薙刀を振るいあげ、妖力を最大限に解放した。
「みぃだって、やるよ」
 次の瞬間、敵に見舞われたのは勢いよく迸った大火球。
 それによってゴーレムが揺らぎ、シエラと瑞姫から逃げるように身体を逸らした。逃がさない、と追い縋ろうとしたシエラだが配下の泥人形が往く手を阻んだ。
 瑞姫は火蜥蜴達と共にシエラに纏わりついた敵を散らしながら、巨大ゴーレムが逃げた方にいる仲間達へと願う。
「逃がしちゃったからおねがい。みぃたちの分まで……」
「こっちの小さいのは全部倒すから、よろしくね!」
 シエラも仲間に呼び掛けて足元の泥人形を蹴り飛ばした。
 此処にいるのは自分達だけではない。この戦場には他にも頼もしい仲間達が居る。
 瑞姫とシエラ――信頼を宿した二人の視線がフロアの先に向けられた。

●共に戦うということ
「大丈夫だよ、任せてっ!」
 仲間からの願いを受け止めたのは、それまで果敢に戦い続けていたシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)だ。
 元気よく答えたシルは合体ゴーレムを迎え撃つべくして二振りの剣、エレメンティアと六源和導を構えた。素早く敵の間近まで距離を詰めたシルは一気に魔力を放つ。
 四属性の魔力砲撃が真正面から敵を穿った。
 すぐに敵との距離を取ったシルは改めて敵の大きさを確かめる。上官ゴーレムほどではないにしろ、小柄なシルからすれば敵はかなり巨大だ。
 うわぁと思わず声が零れたが、それはシルが怯んだからではない。
「おっきいなぁ……でも、戦いは大きさで決まるものじゃないこと、教えてあげるよっ!」
 そして、力強い宣言が辺りに響き渡った。
 大きな腕を振るった敵からの一撃を避け、シルは再び砲撃動作に入る。すぐ近くには増援を呼ぶ本体がいることをシルは知っていた。
 だが、この敵を倒さなければ本体への攻撃を邪魔されてしまうだろう。
「この魔法なら、流石にいたいでしょっ!」
 火・水・風・土。
 其々の属性魔法が絡み合うようにして重なり、すべての力が標的を貫いた。
 されど未だ敵は力を残しているようだ。ひとりでは厳しいかもしれないと感じたシルは周囲を見渡す。すると、後方から獅子の咆哮が轟いた。
「助太刀しよう」
 黄金の獅子と共に颯爽と現れたのはユヴェン・ポシェット(クリスタリアンの竜騎士・f01669)だった。飛び掛かった獣の爪が泥人形の腕を斬り裂き、右腕を封じる。
 更にユヴェン自身が突き放った竜槍がゴーレムの胸元を貫いた。
「ありがとう、助かったよっ!」
 シルが明るく礼を告げるとユヴェンは首を振り、当たり前のことだと視線で示す。共に戦おう、という意思を込めた視線を送ったユヴェンは竜槍のミヌレを握り直した。
「増えるのも合体するのも確かに厄介だな」
 クレイゴーレムを見遣ったユヴェンは黄金の獅子、ロワの背を撫でる。
 これまで散々、増えた敵と戦って来た故に未だ落ち着くことはできていなかった。これほどに綺麗なのに、とユヴェンはフロアを見渡す。
 星色にひかる鉱石は今も輝いていた。
 邪魔をするものさえなければ此処で暫し、その光を眺めていても良かっただろう。ユヴェンはロワと共に果敢に立ち向かいながら言葉にしない思いを胸に抱いていた。
(「――美しい輝きだ。同じ石でも俺などよりずっと、な」)
 だが、それはただ裡に秘めるのみ。
 戦い続けるユヴェンは放った竜槍で敵の動きを縫い止め、シルに合図を送る。
「これなら倒せるね。行くよ!」
 ユヴェンの援護を受けて敵の死角に回り込んだシルは光刃の剣と精霊剣を振りあげ、両手をクロスさせる形でひといきに下ろした。
 十字を描いた刃の軌跡はゴーレムを一瞬で穿つ。そして、倒れた泥人形は最初から何もなかったかのように消滅していった。
 だが、未だ終わったわけではないことは分かっている。
 これで本体のクレイゴーレムへと攻撃を仕掛けられると察した二人は新手が来る前にと駆け出した。
 仲間を呼び続ける泥人形まで数歩。
 慌てたかのように身構えたゴーレムはふたたび配下を呼び寄せていく。ちいさなゴーレムが周囲に出現し、シルに纏わりつき始めた。
 しかし、シルはそれらを振り払う為に二本の光刃剣を回転させる。
「こっちは引き受けたから後はよろしくねっ!」
 シルは剣の動きで敵を退け、まるで盾で防御するかのように立ち回った。そして、小泥人形を散らしていくシルはユヴェンに後のことを任せた。
 先程は違う仲間から信頼を預けられた。それならわたしも、と仲間に思いを託したシルの眼差しは真っ直ぐだ。
 少女からの視線を受け、ユヴェンは本体ゴーレムを瞳に映した。
「ロワ、お前の力を見せてやれ。そして、ミヌレ――やるぞ」
 獅子に力を貸して欲しいと願った彼は竜槍にも呼び掛ける。差し向けた切先が星鉱石の煌めきを反射した。
 たとえ己にあのような美しい輝きがなくとも、信頼には応えよう。
 獅子と敵の距離が一瞬で縮まり、咆哮と共に鋭い爪が標的を引き裂いた。ユヴェンに近付こうとする配下はシルがすべて薙ぎ払ってくれている。
 ユヴェンは大きく傾いだクレイゴーレムの喉元に狙いを定めた。
 それが急所であろうとなかろうと、首と胴体を引き剥がせば動きは止まるはず。
「終わりだ」
 短い言葉が落とされた刹那、竜槍が敵の喉元を深く抉った。
 これで二体目の敵が倒れた。
 ユヴェンは視線を、シルは笑顔を互いに向けた後、残る敵の数を確認していく。
 決着はもうすぐ。そんな予感がふたりの中に巡った。

●百年の血と花の歌声
「中々ゴーレムというのも興味深いけれど、彩が足りない」
 自分を取り囲む配下泥人形を見渡し、ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は肩を竦めた。
 ライラックが指先を鳴らせば赤白混じるペンキが周囲に広がる。
 それは女王の薔薇の様に辺りを塗り潰し、ライラック自身にも力を宿した。告げた言葉通り、彩が足りぬ相手に色彩の波を振り撒いた彼は地面に崩れ落ちたゴーレムを見下ろす。
 数で対抗する泥人形達。仲間が本体を倒していることに影響されているのか、敵が増えるペースは明らかに落ちていた。
 このまま油断しなければ勝てると踏んだライラックはふと思いを馳せる。
「素敵なカフェ、というのは大変執筆向きの場所でね」
 星の彩を宿す喫茶店で作品を書く未来を想像したライラックは顔をあげ、此方に襲い掛かって来る新手に目を向けた。
「……僕の作品の為にも、貴方達には御退場願おうかな」
 静かに告げた言葉と共に薔薇の名を抱く得物を振るう。するとふたたび広がった赤と白の軌跡が土色の泥人形を塗り潰した。
 其処に影が落ち、一拍遅れてリヴィエラ・サヴェレント(百年のリヴィエラ・f05984)がひらりと着地した。どうやら彼は他の泥人形を倒した後に残骸を蹴って跳躍し、ライラックの援護に訪れたようだ。
「喫茶か、良いね。僕も是非行ってみたいな」
 彼の言葉が耳に入っていたらしく、リヴィエラも星喫茶への思いを巡らせた。
 その傍には紐で繋がれた彼の使い魔、コロンも控えている。みーみーと鳴いて女性陣が戦う方に行きたがっているらしいが、リヴィエラは使い魔を踏み付けて制した。
「コロン、大人しくしてて」
 そしてリヴィエラは此方に近付いてくる通常体の泥人形に視線を向ける。
 あれは本体ではないようだが、倒しておかなければいけない物だろう。ライラックとリヴィエラは頷き合い、同じ標的に狙いを定めた。
「小さいのは脆かったけどあれは硬そうだね。通用するかは分からないけど……」
 兎に角、攻撃するだけ。
 そう呟いたリヴィエラが枷と一緒にコロンを投擲した刹那、身構えたライラックもトランプを模した金の栞を放った。
「――動くな」
 ライラックによる理不尽な裁判のルールが宣告され、リヴィエラの拘束具が敵を縛り付けた。しかし泥人形は抵抗しようとして暴れる。
 その瞬間、ルールを破ったゴーレムに鋭い衝撃が与えられた。苦しむような様子は見られないが相手は確実にダメージを受けている。
「拷問には向いてない相手だね。まぁ仕方ないけど」
 その様子を何処かつまらなさそうに見遣ったリヴィエラは敵との距離を詰め、凌遅の千剣を振るう。重なった刃が肉を削ぐかのように土を削り、崩れた破片が散った。
 だが、拘束を解いた泥人形はリヴィエラを狙って腕を伸ばす。
 みー、とコロンが危機を報せるが完全に避ける暇は与えられなかった。振るわれた腕がリヴィエラの頬を掠め、風圧がその身を襲う。
 痛、とリヴィエラからちいさな声が零れ落ち、体勢が崩れた。
 追撃を加えんとして迫る泥人形の動きに気付いたライラックは媒介具を掲げ、それを無数のリラの花弁に変える。
 宙を舞った花は奔流となり、ゴーレムを包み込むように覆った。
 その間に立て直したリヴィエラは軽く溜息を吐き、力を紡ぐ。本当ならば自分の醜さが現れた攻撃だから使いたくはなかった。
 けれど、と背に腹は代えられぬとしたリヴィエラは呪われた鉄杭を解き放つ。
 刹那、杭は泥人形を真正面から貫いた。地に刺さった鉄杭は辺りを魔力が宿る血の海に変え、少年は伏した敵を見つめる。
「苦しむ感覚なんてないのかな。……まぁいいや、さっさと終わらせて先へ進もう」
 すぐに視線を逸らしたリヴィエラの見遣った先には、本体が新たに呼び出したちいさなゴーレム隊が集って来ていた。
「……うん。土には花を、地には血を。中々素敵な光景だ」
 僕も良い作品が書ける気がして来たよ、と口にしたライラックは彼と共にもう暫し共同戦線を張ることを決める。
 本体に近付けぬならば只管に配下を散らすだけ。
 行くよ、とリヴィエラが告げた声に頷き、ライラックはふたたび花の奔流を迸らせた。

●星を視るには未だ早く
「ほわあ~……」
 菫色の瞳を瞬かせ、ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)は深く深く息を吐いた。
 続いていく戦いは目まぐるしいもので、倒しても倒しても新たなクレイゴーレムが戦場に現れる。幾ら風の魔力を巡らせて自らを強化しようとも疲弊は蓄積していた。
 まるで終わりのない環の中で廻り続けるかのような戦い。
 このまま仰向けに寝転べば、星鉱石の煌めきがたくさん見られるだろうかとヴァーリャはぼんやりと考えた。
 きっと天体観測をしにきたみたいに綺麗な光景が瞳に映るはず。
 だが、目の前に敵が迫ってきている今、此処で倒れ込むなど以ての外。
「そういうわけにも行かぬようだな……ちゃんと仕事せねば!」
 本体を狙って迅速に、と思えど配下や仲間が絶え間なく呼ばれる現状、なかなか近付くことができない。
 それでも、各所では既に二体の本体ゴーレムが倒されているようだ。
 当初よりも敵の数が少なくなってきたと感じたヴァーリャは一気に配下の泥人形を屠ることを決めた。
 突撃してくる個体を後退することで避け、即座に身を翻す。
 追いかけて来れぬほどに距離をひらけば後はヴァーリャの思うがまま。
 纏う風の魔力で素早く駆け、敵に気付かれぬうちに距離を縮める。そして、氷の力を宿したチェーンソー剣――メチェーリを振るい、ひといきに敵を薙ぎ倒す。
 それだけではない、まるで氷の上を滑るようにしてヴァーリャは更に駆動剣を振りあげてもう一体の敵へと刃を減り込ませた。
「まだまだ、止まらないぞ!」
 二体、三体、四体と次々に敵を蹴散らしたヴァーリャは本体までの路を斬り拓く。
 敵も配下を呼び続けるが、此方の殲滅速度の方がはやい。
 ヴァーリャは本体までの距離を一気に詰め、相手が対応するよりも疾く蹴撃を見舞った。しかしそれはただの蹴りではない。雪娘の靴の名を冠する鋭い一閃だ。
 靴裏に精製した氷のブレードがゴーレムの身を削り取る。蹴った勢いで宙で回転したヴァーリャが着地すると、その周辺の床が凍り付いて氷面となった。
 クレイゴーレムの足元が凍り付いたことその動きは僅かに阻まれている様子。
 それにより敵の動作が鈍り、ヴァーリャは高らかに呼び掛けた。
「今がチャンスなのだ!」
 星鉱石がひかるフロアに少女の声が響き渡る。それと同時に凍り付かせた足元の氷が音を立てて割れた。
 しかし、それはきっと――この戦いの終わりが始まることを告げる音だ。
 
●雪色に染める
 その声が耳に届き、暗峠・マナコ(トコヤミヒトツ・f04241)は顔をあげる。
「ふふ、今がガンバリ時ですね」
 手にしたガジェット、冷却用雪玉射出ハンドガンで周囲の敵を撃ち抜いたマナコはヴァーリャの声が導くままに前へと駆けた。
 それまで配下を減らすことに専念していたマナコにとって、本体を倒す隙が生まれたのは実に好都合だ。
「この泥のキレイでない方々の相手も疲れてきていましたので」
 丁度いいです、と囁くような言葉を落としたマナコは斬り拓かれた道を辿り、敵との距離を縮めた。本体を守る形で襲い来る配下泥人形も居たが、雪玉を撃ち放つことで排除していく。
 偶然に重なった玉が雪だるまのような形を成したことに目を細め、マナコは戦いの後に巡る時間に思いを馳せた。
「とてもとてもキレイな喫茶店、楽しみです」
 良いことを教えて貰えたものだと感じていたマナコの心は弾んでいる。
 もし、誘ってくれた少女と共に行くことが出来たらならば、よりキレイな思い出も一緒に頂けそうだとも思う。それに――。
「こんなにキレイな場所なのですから、キレイでないモノで汚すのは許せません」
 刹那の間だけ見遣った天井には星色の鉱石が輝いていた。
 僅かな光の混じる漆黒の双眸を緩めたマナコは銃口をクレイゴーレムに向け、真正面から雪の弾丸を撃ち放つ。
 見る間に土色の体躯が白に染められ、雪で固められていく。
 マナコは更に敵の頭上に目掛けて雪の銃弾を幾つも放っていった。それは空から舞い落ちる雪のように――というには少しばかり大きかったが――降り注ぎ、泥人形を更に白い色に塗りかえた。
「凍らせて、固まらせて動きを止めて、雪像も出来てバンバンザイです」
 巨大な人型雪像のようになったクレイゴーレムが動き辛そうに身体を捻る。しかしその動きはかなり鈍い。
 此方に向けて泥の腕が振るわれたが、マナコは紅いドレスを翻して避けた。
 だが、距離を取ったことによって敵の間にちいさな配下ゴーレムが割り込む。そう簡単に二撃目は入れさせてくれないと感じたマナコはこのまま後方から攻撃を仕掛ける隙を窺うことにした。そして、マナコはガジェットの銃口をしかと敵に向ける。
「カクゴしてくださいね」
 あと僅かで敵の命も終わるだろう。
 そう直感したマナコの眼差しは決して、泥人形から外されることはなかった。

●花が導く終幕
 クレイゴーレム達との戦い、その終わりは確実に近付いている。
 シュクルリ・シュクルグラッセ(ガーディアンドール・f10278)は後方に下がったマナコに代わり、その隣を擦り抜けて駆けた。
 見据えるのはゴーレムの一団。それらは創られた戦闘人形だ。
「あなたたちは、私とは似通った存在かもしれませんです」
 シュクルリはこれまで戦って来たゴーレムに対して浮かんだ思いをぽつりと零す。
 ミレナリィドールたるシュクルリには人形である彼らが自分とまったく違う存在だとは思えなかった。しかし、だからといって容赦はしない。
「――尤も、」
 今まで見てきた敵の動作から次の動きを予測したシュクルリは掌を前に掲げる。大きな腕を振るった小型ゴーレムがその身を穿とうとしたが、彼女は襲い来る力を一瞬で相殺した。
「マスターの最高傑作である当機と、過去の残滓では比べるべくもありませんですが」
 そして、排除します、とシュクルリが告げた瞬間。
 クレイゴーレムと同じ姿をした幻影が現れて往く手を阻む敵を薙ぎ払った。
 奥に控える本体は更に仲間を呼ぼうとしたが、シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)が放った鈴蘭の嵐が動きを阻む。
 シャルファもまた、果敢に敵と戦い続けてきたひとりだ。
「学園に向けて侵攻してきているなら、止めない理由はないですよね」
 万が一にでも自分達が押し負けて進軍を許せば、魔法学園で生きる人々に危険が及ぶ。それだけは絶対に阻止しなければならない。
 それに、折角の綺麗なフロアをこれ以上の騒乱に巻き込みたくはなかった。
「どーんといってばばーんと済ませてしまいましょう」
 これまでも散々に攻防を繰り広げたが、シャルファの力は有り余っている。それは共に戦う仲間――今で云うならば並び立つシュクルリが居るからだ。
 良い喫茶店のお話もお聞きしてしまいましたし、と双眸を細めたシャルファの髪がなびき、其処に咲く霞草が微かに揺れる。
 シュクルリはその花が綺麗だと感じた。薄く笑んだシュクルリはあの花を散らさぬ為にも頑張ろうと胸中で誓う。
 そして、二人は左右からゴーレム本体を挟撃する形で布陣した。
 周囲にはまだ配下や敵の仲間、上官達が何体か残っているが其方は他の猟兵が相手取ってくれている。だから、あと少し。もう少し――。
「迅速に打倒しましょうです。星鉱石の迷宮より、星型ケーキが私を待っています!」
「はい、ケーキの為にも」
 シュクルリが意気込む声にシャルファが答え、刹那の間だけ視線が交わされた。
 そうしてシャルファはウィルベルの杖を傾ける。硝子製の鐘がりんと鳴り、杖は鈴蘭の花となって戦場に嵐を満たしていった。
 花の舞が敵の視界を塞ぐ中、シュクルリはドリルランスを構える。
 展開された切先がゴーレムに差し向けられた刹那、シュクルリは床を蹴りあげた。
「さぁ、速く! のんびりしている暇はありませんですよ!」
 逸る思いを槍に載せ、少女は突撃する。全力で打ち込んだ一閃は敵の身を抉るように突き崩していった。反撃が来るかもしれないと察したシュクルリはさっと身を引き、敵と数歩分の距離を取る。
 其処に後方の仲間からの援護が飛んできた。
 ゴーレムの腕に深く喰らい付いたのはミハルが放つ死霊の蛇。
 そして、マナコのガジェット銃撃とヴァーリャによる氷の追撃。更にカチュアが敵の前に颯爽と躍り出て、振るわれた拳を受け止めた。
「さあ、今の内よ!」
「お怪我はちゃんといただいて、わたくしが治すから安心して」
 カチュアが呼び掛け、その痛みを癒していくクーヴェルシュイユもシャルファ達に視線を送る。
 今こそが絶好の好機。
 シャルファとシュクルリは自分が最期を与える役割を与えられたのだと感じた。仲間から託された思いに応える為にも、力を揮う時は今しかないだろう。
 シュクルリが駆け、ふたたびドリルランスで以て敵の脚を貫いた。これでもうゴーレムは身動きすら取れないだろう。
 ――これ以上はもう、星鉱石の迷宮を穢させはしない。
 シャルファが杖ごと腕を高く掲げれば、涼やかなベルの音が戦場に響き渡った。
「どうあれ、ここから先へは行かせません」
 言の葉と共に放たれた花の嵐は最期を飾るべく、辺り一面を純白の彩に染める。
 そして、泥人形は力なくその場に倒れた。

●掃討と到来
 こうして本体たるゴーレム達がすべて屠られた。
 やりましたですね、と笑んだシュクルリは槍を下ろし、シャルファも乱れていた呼吸を整える。
 これでもう泥人形が増えることない。
 後はこのフロアに残っている残党を狩れば先陣は倒し尽したことになる。
 警戒は解かぬまま、カチュアとクーヴェルシュイユが側面に視線を向けると、其処には上官ゴーレムと戦う者達の姿があった。
 リヴィエラとライラックが其々の攻撃を放つ中、いすゞが敵の注意を引く。
 いすゞは力任せに両腕を振るう上官泥人形の足元を擦り抜け、股下を潜り抜けて攻撃を躱した。そして、後は任せたとばかりにオブシダンにひらひらと手を振る。
「頑張れ、頑張れ、センセ!」
「まったく調子の良い子だなぁ」
 オブシダンはいすゞを追うゴーレムに刃を向け、跳躍した。落下の勢いでひといきにその片腕を斬り落としたオブシダンは近くに居たカスカを呼ぶ。
「トドメは譲るよ。僕も鼓舞するからさ」
「任されたよ。次の一撃で決めて見せようか」
 腕がなくなり体勢を崩したゴーレムに向けて杭打ち槌を振るった。射出された機械杭はひとかけらの容赦もなく敵を貫き、その動きを完全に止める。
 一方、晶硝子と桜華も雪月や桜花と合流して残党を狩っていた。
「君もオウカっていうんだ。わたしもなんだよ!」
 桜華は桜花と並び立ち、同じ響きの名前同士であることに親近感を覚える。ええ、と頷きを返した桜花もまた不思議な心地を感じていた。
 偶然の縁もあるものだと呟いた雪月は素早く敵の側面に回り込み、太刀を振るう。
「やはり貴方の剣技は見事ですね」
「これでも御神刀って言われてたからな」
 桜花が紡いだ賞賛に雪月は頷きを返した。そして桜花は華の乱舞を、桜華はナイフを投擲して一撃で敵を葬っていく。
 晶硝子は流れるような仲間達の連携に自分も続こうと魔力を紡ぎ、全力の一撃を解放した。近くの数体を消し飛ばした晶硝子はフロアを見渡して敵の数を確認する。
「残りはあと少し、十体ほどね」
 晶硝子の声にこくんと頷いた瑞姫は狐月の名を抱く薙刀を握り締めた。
「みぃ最後までがんばるね」
「みぃちゃんが頑張るなら私だって!」
 シエラも更に意気込み、敵に向けて天狼牙を横薙ぎに払う。瑞姫もシエラに合わせて刃を振るい、次々とミニゴーレムを撃破していった。
 ユヴェンも竜槍で敵を貫き、即座に切先を引き抜いて新たな敵を薙ぎ払う。
「六体、五体……これであと四体だ」
「欠片も残さず掃討してやろう」
 ユヴェンが屠った敵の更に後方、僅かに残る敵にミハルの視線が突き刺さった。最早、彼らには死霊によって斬り伏せられる運命しか与えられていない。
 そして、ミハルの攻撃に続いたシルが最後の一体を捉え、光刃剣を振り下ろす。
「やっと終わったっ! これも皆で頑張ったからだね!」
 シルは仲間達に向けて明るい笑顔を浮かべた。
 斃されたゴーレム達は骸の海へ還っていくかのように消滅していく。
 リヴィエラの使い魔、コロンも勝利を喜ぶが如くぴょんと跳ねる。その勢いとどさくさに紛れてシルにじゃれつこうとしたコロンをリヴィエラが制止した。
 何故かその表情は神妙だ。
「静かにしてね、コロン。向こう側から変な音が聞こえるんだ」
 耳を澄ませたリヴィエラと同じく、ライラックもフロアの奥に注意を向ける。
「何かが近付いてくるね。……黒騎士の御出座しかな」
 ライラックが予想を呟くと、その言葉を聞いた仲間達の間に緊張感が巡った。

 自然と誰もが声と息を潜めた。
 辺りに一瞬の静寂が満ち、重々しい空気が流れる。
 星色の鉱石が淡く光る中、地下フロアに続く階段から金属が擦れあう硬質な音が聞こえてきた。まるでそれは死者の呻きのような悍ましい響きを孕んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『騎士の怨鎧』

POW   :    戦鎧の妙技
【縦横無尽の剣閃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    闘鎧の秘技
【自身に刻まれた戦闘経験から的確に】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    魔鎧の禁忌
【魔核の稼働制限を解除。超過駆動状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●騎士の怨鎧
 漆黒の騎士は、重い音を響かせながら現れた。
 携えた刃は身の丈もありそうなほどの剣。風も吹いてないというのに漆黒のマントが揺れる様は不気味としか表しようがなかった。

 かの存在は騎士の鎧が災魔として蘇り、形を成したものだ。
 その過去がどのようなものだったのかはこの場の誰も知らない。戦鎧に闘鎧、または魔鎧。どう呼んだとしても相応しい禍々しさと強靭さが感じ取れる。
 此方を敵だと認識したらしき騎士の怨鎧は剣を抜き、殺意を放ち乍ら身構えた。
 その姿からひとつだけ分かることがある。
 それは、彼がこの世界に災厄を齎すだけのモノだということ。
 そして――それが猟兵として滅ぼすべき存在だという事実だ。
オブシダン・ソード
いすゞと連携
強敵っぽいのが出たね、食前の運動にはちょっときつくない?

引き続き剣士として戦闘
まともにやると分が悪いので、仲間の援護を重視
左手から炎の魔法も使う

武器受けはできるだけしない
しないんだけどなぁ

あー、道具として、庇ってもらうのは本末転倒なんだよね
…わかった。バラバラに戦うよりはこっちの方が良さそう
一応聞くけど、剣は使える?

これから、『僕が君の剣になる』
そう、僕を持って戦って
簡単には壊れやしないから、ね?

僕も君も、両方無事に終わらせる事を考えよう
難しくはないよ、一発当てさえすれば、後は僕が斬ってやる
さあ行こうか、お節介な相棒どの

刀身に色々ついててこそばゆい

UC使用で真の姿:黒耀石の剣に変化


小日向・いすゞ
引き続きおぶしだんセンセと一緒
お腹が空いてる方が糖分は美味いっスからねェ

センセに攻撃が当たりそうならば庇うっスよ
だってセンセの得物は器物
ソレが壊れるとセンセは死ぬっスよね?
あんな攻撃を喰らって割れられた日にゃ
誘った手前夢見が悪いっス

癒式符もあるっスし
あっしは折れたくらいじゃ死なないっスから

そーう来たっスかー…
…マー
得意じゃないっスが頑張ってみるっスよ
あっしの手の中で壊れないで下さいっスよ…

御呪い程度に符を貼り
破魔の力を与えよう

管狐、コレに取り憑くっス

さ、行くっスよ
あっしを心配させてくれる相棒サン!

センセを握って戦うっス
符と管狐で攻撃を庇いたい所

跳ねて駆けて剣で受けずに済むように
攻めて、攻める!


五條・桜花
雪月(f03400)と同行です
関係性のイメージは祖父と孫っぽい

行きますよ、雪月
あなたご希望のデカブツですよ

私は癒し手として立ち回ります
我が花よ、傷を癒せ

支援役って地味ですけど重要だと思うんです
攻撃手が全力を出し切るために私は私ができることをやる
それにね癒し手だからって攻撃しないなんて思わないでください
ほら、後ろがお留守ですよ
雪月が注意を引いているところに奇襲と参りましょう

私の甘味のために手加減しませんよ


叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫っぽい

おう行くか桜花
こう斬りがいのあるいい奴じゃないか

俺は前に出させてもらうぞ
我が刃の塵になってもらおうか

後ろは気にせず行かせてもらう
背中は任せた、桜花
っていっても飛び出してくるんだろうけどな

1対他になるなら連携は重要
他の攻撃手とあわせるぜ
硬い部位もあわせて攻撃すれば多少はダメージいくだろうさ

甘味は自腹で買えよー


彼者誰・晶硝子
残念ね、そこまでの想いがあるのなら、きっと他のことも成せたでしょうに
それとも怨みは、希望を成すことはできないのかしら
祝福を与えることは、できないのかしら

嗚呼、何てつよい怨嗟の念
此度は生まれながらの光で回復に専念しましょう
たくさんが傷付くのならわたしも多くを癒す
深く傷付くのなら動けなくなろうと尽くし癒すわ
癒しを与え祝福を祈る
それこそがわたしの存在する意義なのだから
決してぬかりはしない

だからと言って足手纏いにはなりたくないから、自分の疲労具合も把握しておかなくては
まだ戦況も佳境になる前に疲労で動けなくならないよう、調整したいところ
もう少しで倒せるくらいになったなら、躊躇はしないで援助したいけれど


ライラック・エアルオウルズ
おや、想像以上に禍々しいのが来たね。
……だけど、貴方には凄く想像力が掻き立てられる。
うん。御一つ、御相手願おうか。

【POW】
(技能:時間稼ぎ・かばう・見切り・投擲・だまし討ち)
やれやれ、あんなに大きな剣を振り回されたら危ないな。
『奇妙な友人』を発動後、
友人の霊による騎士への攻撃と共に翻弄を。
騎士の攻撃を避ける為の時間稼ぎと、
仲間や自身への攻撃を庇うのを御願いするよ。

とは云え、友人にばかり御任せする訳にもいかない。
騎士が翻弄されている隙に栞を投擲、
再度「動くな」とルールを提示してダメージを狙う。

……貴方の物語をその口から聞けないのが残念だけれど。
ああ、その御陰で想像の余地があるというものだ。


暗峠・マナコ
キレイな場所にふさわしくない耳障りな音が聞こえたかと思えば・・・。
叶うのならば、ゆったりとしたキレイなオルゴールの音色でも奏でで欲しいものです。
とはいえキレイでないモノが相手なのは、良いものです。躊躇しなくてすみますから。

見たところシュッとされていて素早い動きをしそうですね。
それであれば、【レプリカクラフト】で【仕掛け罠】を作りましょう。
足と腕を拘束するような仕掛けで、すきを作りましょう。
私の仲間のキレイな方々であれば、その一瞬で十分だと信じております。
ああ、ご安心を、【仕掛け罠】ならば極めて精巧に作れるので、この場にふさわしいキレイな造形の仕掛けにしますね。


ミハル・バルジライ
例え無惨な過去に囚われていようと酌量の余地は無い。
綺羅の帳落つ此の刑場に命の影を刻んで逝け。

戦鎧の妙技に備え、彼我の距離を応変に保つよう留意。
構えや前動作から使用する技を推測出来れば他の猟兵へも注意喚起を。
見切りを駆使し叶う限り長く戦の庭に立てるよう努めて。
魔鎧の禁忌が使用された場合は標的を集中させぬ為、猟兵達の動きを鑑みて遅速を制御するよう協力を仰ぐ。

攻撃の際はフェイントを交え咎力封じを以て。
鎧に秘した怨念ごと、縛り抉り滅してやろう。
空気さえ黒く染めるような其の姿、迷宮の煌きに浴す価値は有るまい。


神月・瑞姫
同行【f10505】

速く動くと狙われちゃうんだね
みぃ、もともとトロいけど…
よく転ぶんだよね(泣
うん
分かった

わっ
騎士さん
みぃを守ってくれるの?
ありがとなの

シエラおねーちゃんは得意の足の速さで
【魔鎧の禁忌】を引きつけてくれる…
なら
みぃは【闘鎧の秘技】を使わせない
いくらおねーちゃんが速くても先読みされたら
勝てないもんね
【忍び足】で気配を消して
得意の封印術【神月封縛符】で動きとユーベルコードを封じるよ
みぃの【破魔】力を込めた大量のお札…当たって!【祈り】

おねーちゃんが鎧をボコボコにするまでぎゅーって縛り続けるの
【時間稼ぎ】は得意なの
逃がさないよ

おねーちゃんが怪我してたら生まれながらの光で治してあげる


クーヴェルシュイユ・ティアメイア
指のさきを浅く切って、UCを愛用のフォークに使うわ
*変身したこの子、どんなかたちだったかしら。たいへんでなければ教えてね
ここまでおあずけだったもの。メインディッシュは、ごいっしょさせてね
こなたへと迫る攻撃は、武器にかじらせて相殺できないかしら
みんなと連携をとりつつ。隙があれば、がぶっ、といくわ

ねえ
わたくしは、きみになにがあったかなんて、わからないわ
だからね。わたくしは、わたくしにできることをするよ
きみの哀しみも、痛みも……怨み憎しみも、そのすべて
きみという糧を過去にして、生きてくの

いただきます

*カラカル耳/雀羽/ベタ鰭
*行動のほかはご参考まで。おいしくわたくしをお料理してね
*相席ごはん、大歓迎


シエラ・アルバスティ
同【神月・瑞姫】

鉄則:みぃちゃんは必ず守る

「みぃちゃん、走って狙われないように気を付けてね。援護は任せるよ!」

【勇者召喚】で敵と対を成す見た目の剣と盾を構えた銀色のナイトを召喚、瑞姫の護衛を任せるよ
ナイトは鎧だけで動く知性体。性格も騎士の鏡

【ダッシュ】【残像】で敵を翻弄
『ザ・クロノス』も駆使して縦横無尽の剣閃でさえ避けてみせる
移動と共に『エーテル・ストリングス』で敵を縛りあげると同時に放電
隙が出来たら『天狼牙』で突きの構えを取り、重力をゼロから最大へとシフトしながら【クレイジー・アトモスフィア】の羽を散らして【捨て身の一撃】の【穿孔滅牙】で衝突し一気に貫く!

「みぃちゃんとの甘い一時の為に!!」


シル・ウィンディア
大きな騎士様か…
すごいプレッシャーだけど…

だけど、ここで退くわけにはいかないのっ!
後ろには、護るべき人達がいるからねっ!!
さぁ、勝負だよっ!

初手からいきなりエレメンタル・ファランクスで攻撃
接敵する前に、少しでも削らないとね
それ以降は、光刃剣と精霊剣の二刀流で立ち回るよ

動く時は、【空中戦】も利用して
三次元機動で相手を翻弄するように動いて
隙を見せたら斬りつけるね

妙技が来たら、剣をクロスさせて光刃を全開で放出
盾代わりに使って少しでも被害を抑えるよ

相手が、暴走モード(魔鎧の禁忌)を使用して来たら
回避重視で行動するね
相手の剣が当たりそうなら、思いっきり相手に踏み込んで
切っ先を受けないように動くよ


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
ここで敵の首領が登場というわけか…。うむ、相手にとって不足はないな! ここで討ち取ってみせるぞ!

がむしゃらに挑んでも勝てなさそうな相手だ、【第六感】による直感で敵の攻撃を回避しつつ、攻撃の隙を狙い確実に【2回攻撃】+氷の【属性攻撃】を叩き込むぞ!
ダメージがあまり通らない状況が続くor敵が超耐久力状態になった場合、『血統覚醒』を発動。
【先制攻撃】+氷の【属性攻撃】+【2回攻撃】による攻撃を行った後、【ジャンプ】+『雪娘の靴』を組み合わせ、急所を氷の刃で切り裂く!

少々無茶かもしれんが、ここで決着をつけねばならないからな! ここでとっておきを使わせてもらうぞ!


シャルファ・ルイエ
あの大きな剣、まともに当たったら大怪我をしてしまいそうですね……。
強い敵の様ですし、他の人達との協力は必要だと思いますから、先ずは敵から距離を取って攻撃の間合いの外から相手と周囲を観察します。
攻撃が来た時には避けるか、駄目なら『オーラ防御』を。
その上で、癒し手が少ない様なら『歌唱』で【シンフォニック・キュア】を使いますね。
癒し手が足りていないなら、そのまま癒すことに専念しますけど……。
癒してくれる人が他にもたくさん居た時には、敵が回避行動を取っていない時を狙って、『歌唱』と『全力魔法』であの大きな剣に向けて【星を呼ぶ歌】を歌います。
剣が壊せれば、きっと攻撃の威力も半減すると思うんです。


ユヴェン・ポシェット
硬そうだな、あの鎧。
倒すのはなかなか骨が折れそうだ。
というのも…まぁ、此方が1人であれば、の話だがな。
此方には頼りになる者たちが多くいる。油断は禁物だが、いける気がするな。

相手の範囲攻撃は、攻撃に入る前に何らかの動きがある筈だ。そこをうまく見極められれば距離をとりダメージ軽減できると思うのだが。

…ほう、あの状態になると速い動きに反応するのか。ならば、これはどうだ?
(ボールを思い切り投げる)

これ(ボール)で遊ぶのが好きな奴ら(動物たち)が多いからな。持ち歩く様にしているのだがまさか、これが使えるかもしれないとはな。
ボールの速さで敵の注意を引き、その隙を突いて槍で攻撃。

ミヌレ、今だ。奴を貫くぞ。


朽守・カスカ
どうにも厄介な相手が続くね
でも、相手は一体限りだ
油断しない限り、皆がいるんだから負けることはないさ

縦横無尽の剣閃も
奥の手の超過駆動状態もしっかりと対策を立てて
連携を取らないと手痛い目に合いそうだね

ふふ、それにこの後に待つお茶会のためにも
下手に怪我を負うことはできないからね

【ガジェットショータイム】
攻めるというより、遠い間合いから
邪魔をするような道具が有効だろう

アンカー付きの鎖を打ち出すだろうか
それとも、鎧を溶かす酸を出すようなものだろうか
少しずつでもしっかりと邪魔をして
その動きを阻害させよう

ふふ、相手は理性を失っている相手だ
早い動きに釣られるなら
わざと撃ち出して隙を作るから
とどめは皆に任せるよ


リル・ルリ
*アドリブ、他PCとの絡み歓迎

「美しい星が観られるときいたんだ。穹ではなく迷宮に煌めく星と甘美に咲く甘味の星が」

ふわり尾鰭を翻し
けれどその前に、怨念に塗れた君を乗り越えなくてはいけないんだね

「君の為に歌ってあげる――その黒い思いも浄化できるといいね」

【野生の勘】を活かして敵の行動……とりわけ攻撃の危険を察知して距離をとっておくよ
僕は皆のお荷物にはなりたくないから

「敵はとても強い様子
でも皆だって、強いよね」

【歌唱】を存分に活かして【サウンドオブパワー】…星の煌めきと導き、心奮い立たせ諦めぬ強さをうたう鼓舞の歌を歌い、支援するからね

「大丈夫さ、君はまだ立てる。まだ闘える―だってとても強いのだから」


海月・びいどろ
まさに闇の色、夜の漆黒
星々が眩く感じられるだろうね

未知数なその強さ、ボクにも教えて

エレクトロレギオンで海月型兵器を召喚
技能のフェイク、時間稼ぎの恩恵あれば儲けモノ
海月を囮に陽動作戦を決行してみるよ
ふわふわ漂う姿から素早く操って、敵の注意を引き付けられるように
理性を無くしてくれたなら
次々海月を引き連れよう

その隙に他の猟兵たちとも共闘できれば心強いけれど
この闇を抜ければ、周りの星たちも更に明るく照らすだろうから



●対峙の刻
 鎧の騎士から感じられるのは殺意のみ。
 他の感情は読み取れず殺戮の意思が見て取れるだけだ。それ以外のものはなく、過去の残滓は目の前の障害を排除する為だけに動く。
 迷宮の壁に宿り、煌めき続ける星鉱石のいろとは違って、怨鎧の黒騎士はただ漆黒を映し出すだけの存在。
 リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)は揺蕩う月光めいた尾鰭をふわりと翻し、迷宮に佇む騎士を見つめた。
「美しい星が観られるときいたんだ」
 穹ではなく迷宮に煌めく星と甘美に咲く甘味の星が。けれど――。
「その前に、怨念に塗れた君を乗り越えなくてはいけないんだね」
「未知数なその強さ、ボクにも教えて」
 リルの言葉に続けて口をひらいた海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)も黒騎士に語りかける。
 びいどろがプリズムの眸に映したのはまさに闇の色、夜の漆黒。
 星々が眩く感じられるような黒も、今は斃すべきもの。
 ヴァーリャは気を引き締め、床をしっかりと踏み締める。
「ここで敵の首領が登場というわけか……。うむ、相手にとって不足はないな! ここで討ち取ってみせるぞ!」
 どれほど相手が強くとも必ず勝ってみせる。ヴァーリャの気合いにオブシダンといすゞが頷き、敵を見つめた。
「強敵っぽいのが出たね、食前の運動にはちょっときつくない?」
「お腹が空いてる方が糖分は美味いっスからねェ」
 剣を構えるオブシダンは軽く頭を振り、傍らのいすゞを見遣る。するといすゞは何でもないことのように軽く首を傾げ、ぽっくりと下駄を鳴らす。
 殺意を受け止め、桜花と雪月も身構えた。
「行きますよ、雪月。あなたご希望のデカブツですよ」
「おう行くか桜花。こう斬りがいのあるいい奴じゃないか」
 並び立ち、敵を見据えるふたりの心構えは十分。小物相手ばかりだった先程と比べれば、雪月の気概もかなり強くなっている。
 晶硝子も漂う負の感情を受け、目深に被ったフードの奥から敵を見つめた。
「残念ね、そこまでの想いがあるのなら、きっと他のことも成せたでしょうに」
 怨みは、希望を成すことはできないのかしら。
 祝福を与えることは、できないのかしら。
 浮かぶ疑問めいた思いに答えるものはこの場には居ない。晶硝子の眼差しが向けられる先、黒騎士は剣に力を込めた。
「キレイな場所にふさわしくない耳障りな音が聞こえたかと思えば……」
 マナコはすぐに攻撃が来ると察して仲間達に合図を送る。それを受けたライラックも警戒を強めた。
「おや、想像以上に禍々しいのが来たね。……だけど、」
 ――貴方には凄く想像力が掻き立てられる。
 創作意欲が湧くよ、とライラックが口にした刹那。
 巨大剣が振りあげられ、黒騎士がその刃を横薙ぎに振るった。
 剣閃は衝撃波となって広がり、荒れ狂う。その矛先は特定の誰かに向けられたわけではなく、無差別な刃となって縦横無尽に戦場を駆け抜けた。
「わ……っ!」
 シルは襲い来る衝撃を既の所で躱して後退する。大きな騎士様か、と呟いたシルは戦場に満ちる空気に気圧されそうになった。
「すごいプレッシャーだけど……でも、ここで退くわけにはいかないのっ! さぁ、勝負だよっ!」
 だが、気を引き締めたシルは光刃の剣を差し向け返す。
 シエラは衝撃波の痛みに耐え、背に守った瑞姫の無事を確認した。彼女に傷がないことに安堵を抱いたシエラはそのまま敵を見据え、剣と盾を構えた銀のナイトを周囲に召喚していく。
「みぃちゃん、走って狙われないように気を付けてね。援護は任せるよ!」
 剣と盾を構えた銀の騎士に瑞姫の護衛を任せ、シエラは攻勢に入った。
「わっ、騎士さん。みぃを守ってくれるの?」
 ありがとなの、と周りの騎士にお礼を告げた瑞姫はシエラにもこくんと頷く。転ばないように、皆の足を引っ張らないように、とちいさな気合いが瑞姫の中に巡った。
 シャルファとユヴェンも何とか衝撃波を避け、騎士と一定の距離を保っている。
「あの大きな剣、まともに当たったら大怪我をしてしまいそうですね……」
「硬そうだな、あの鎧」
 シャルファは剣を、ユヴェンは鎧を、其々の点に着目した二人は敵の手強さを身をもって知った。しかし、ミヌレが変じた竜槍を構えたユヴェンの瞳に宿る意思は揺らいでいない。
「倒すのはなかなか骨が折れそうだ。というのも……まぁ、此方がたった一人であれば、の話だがな」
「はい、その通りです。わたし達はひとりきりじゃありません」
 シャルファはこの場に立つ仲間達を思い、戦い抜く意思を固めた。
 指のさきを浅く切ったクーヴェルシュイユは愛用のフォークに血を滴らせる。それはこの先に巡る戦いへの誓いにも似て、其処に力が巡ってゆく。
 途端にフォークは形を変え、その切先が更に枝分かれした鋭利な刃となった。
「ここまでおあずけだったもの。メインディッシュは、ごいっしょさせてね」
 戦いを食に譬えたクーヴェルシュイユは淡く笑む。
 カスカは敵と此方を見比べ、数の上では猟兵が有利だと話す。
「どうにも厄介な相手が続くね。でも、相手は一体限りだ。油断しない限り、皆がいるんだから負けることはないさ」
 あの攻撃からして固まって戦うのは不利しか生まない。
 カスカをはじめとしてこの場の誰もが散開して戦うべきだと悟っていた。四方、足りぬのならば八方でも九方でも良い。
 戦場に舞った剣閃の衝撃に耐えたミハルもまた、同じ考えに至っている。
 あの騎士も何時かの過去に沈んだ亡き幻影なのだろう。しかし、例え無惨な過去に囚われていようと酌量の余地は無い。
「綺羅の帳落つ此の刑場に命の影を刻んで逝け」
 ミハルが静かな言の葉を落とすと同時に仲間達が其々の方向に散り、漆黒の鎧を取り囲む布陣を取った。
 そして、猟兵と黒き騎士の戦いが始まりを迎える。

●花と刃
「――我が花よ、傷を癒せ」
 先程受けた衝撃波の痛みを祓うべく桜花は桜の祈りを発動させる。
 戦場に幻の光輝く桜の花弁が舞い、雪月の身を静かに癒していった。僅かな疲労が桜花の身体に廻るが、未だそれは無視できる程度。
 後方支援を彼女に任せた雪月は大きく踏み込み、黒騎士の眼前まで迫る。
「我が刃の塵になってもらおうか」
 後ろは桜花がいるから気にせずとも良い。それ故に自分はただ前に出るだけだと己を律した雪月は刃を大きくる振るいあげた。
 放たれるのは、月下氷雪。我が刃に斬れぬものなし、と斬り放たれた一閃が騎士の鎧を鋭く穿った。
 しかし、甲高い衝突音が響いたのみで傷は付けられていない。
 敵が秘める力は強大だ。地道に、かつ確実に斬っていくことが勝利への道なのだろう。すぐさま身を翻した雪月は敵からの反撃に備える。
 彼の予想通り、戦鎧は先程と同じ全周囲への妙技を解き放ってきた。
 それを身体全体で受け止めた雪月は背面に意識を向ける。幾ら自分が痛みを受けようとも背には桜花がいるゆえに、懸念は微塵も無かった。
「背中は任せた、桜花。っていっても……」
 飛び出してくるんだろうけどな、と雪月が予想した次の瞬間にはもう、後方から桜花が駆け抜けて来ていた。
「癒し手だからって攻撃しないなんて思わないでください」
 雪月の影から死角を突いて回り込んだ桜花は華の嵐を巻き起こし、黒騎士に攻撃を仕掛ける。そして、花弁が敵の視界を一瞬だけ塞いだ。
 その隙に桜花が後方に下がり、代わりに雪月が前に出る。そして、己が力を与えた刃を振るって黒騎士の身を激しく斬り裂いた。
 かの鎧が傷付くことなかったが、確かな手応えはある。
「硬い部位もあわせて攻撃すれば多少は効くだろうさ」
 雪月は周りに意識を向けて他方から攻撃を仕掛ける他の仲間達を見遣った。
 彼らだけではなく、傍には桜花も居る。
 雪月からの視線と意志を受け取った桜花は書を構え、凛とした眼差しを向ける。
「私は私ができることをやります」
 だから、と雪月の背を見つめた桜花は決意を言葉にした。
 敵はこれだけの人数を一度に相手取ることをものともしない強さを誇っている。それでも、勝てない相手ではないと信じた二人は果敢に戦っていく。

●管狐と君の剣
 剣閃の衝撃波は激しく、鋭い痛みを与えて来る。
 たった一振りであれだけの威力なのだから、もし真正面から斬り合うことになったとしたらひとたまりもないだろう。特に剣自体が自分自身であるオブシダンにとっては致命的だ。
「あの剣とまともにやりあうのは分が悪いね」
 オブシダンは左手で陣を描き、其処から魔力で作り上げた炎矢を放つ。
 黒騎士に向かって幾重もの矢が飛翔していく中、いすゞも狐火を放った。矢の何本かは鎧を掠めたが、炎は刃で断ち切られて消滅してしまう。
 御し難い相手なのだと改めて実感したいすゞは下駄で床を蹴り、高く跳躍した。その直後に更なる衝撃がそれまで彼女の居たところに飛んできた。
 先程のオブシダンの呟きを聞いていたのか、いすゞは彼の傍に着地して告げる。
「センセに攻撃が当たりそうならば庇うっスよ」
 何故なら、彼の得物は器物そのもの。
 それが壊れたならばオブシダンは死を迎える可能性が高い。
 対する騎士の刃は、剣一本では到底太刀打ち出来そうにないほど強靭だ。
「あんな攻撃を喰らって割れられた日にゃ夢見が悪いっス」
 だから次は自分が前に立つと宣言したいすゞに対してオブシダンは少し困ったように眉尻を下げ、剣を軽く掲げてみせた。
「あー、道具として、庇ってもらうのは本末転倒なんだよね」
 かといって無理をするのもさせるのも本意ではない。
 黒騎士へと更なる焔の矢を解き放ちながら、オブシダンは「……わかった」と口にして決断した。
「どうしたっスか、センセ。あっしは折れたくらいじゃ死なないっスよ?」
 癒式符もあるっスし、いすゞはと指先で挟んだ符を示す。
 するとオブシダンは人間体から剣を、つまり己自身をそっと離した。途端に人の身体が消え失せ、彼は真の姿である黒曜石の剣だけの存在となる。
「バラバラに戦うよりはこっちの方が良さそう。一応聞くけど、剣は使える?」
 ――僕が君の剣になる。
 頭に直接響くような言葉と共に、いすゞの目の前に黒曜の剣が浮かんだ。
「そーう来たっスかー……マー。頑張ってみるっスよ」
 得意じゃないっスが、とひっそり付け加えたいすゞは剣の柄を握る。それでいいと感じたオブシダンは少女の掌が自分を包む感覚に身を委ねた。
 剣としての本懐は誰かと共に戦うこと。
「そう、僕を持って戦って」
「あっしの手の中で壊れないで下さいっスよ」
「簡単には壊れやしないから、ね?」
 言葉を交わすも、何故だか自分と会話しているかのようだ。今はそう、いすゞとオブシダンは言葉通りの一心同体めいた状態。
「管狐、コレに取り憑くっス」
 いすゞは管狐を呼び寄せてオブシダンに破魔の力を宿す。くすぐったいな、と零したオブシダンは刃に新たな力が巡っていくことを感じていた。
 力を共有した今、きっとあの黒騎士の刃にだって負けない力があるはずだ。
「さ、行くっスよ。あっしを心配させてくれる相棒サン!」
「さあ行こうか、お節介な相棒どの」
 刃を手にし、手にされ、二人は漆黒の鎧騎士に立ち向かってゆく。
 共に往けば何だって怖くはない。触れあう部分に熱が宿った気がして、二人はしっかりと敵を見据えた。

●光とプリズム
 黒騎士が放つ淀んだ念は重く、息苦しさを感じさせるほど。
「嗚呼、何てつよい怨嗟の念」
 晶硝子は纏わりつくような空気を払うべくして魔力を紡いだ。鉱石を含む迷宮壁が呼応するように光り輝き、星めいた光を宿す土の奔流が敵に襲い掛かる。
 其処に合わせてびいどろが海月型兵器を召喚した。
 ふわり、ふわり。泳ぐように素早く敵に向かっていく小型兵達。その一体ずつが騎士に衝突しては消滅していく様を見つめ、びいどろは次の手に備える。
「少しでも、時間稼ぎできるかな」
 びいどろの狙いは絶え間ない攻撃を行うことで隙を作ること。
 敵の注意が一瞬、海月達に向けられる。しかし騎士はそれを操るのがびいどろだと察したらしく、刃の切先を此方に向けた。
 はっとしたびいどろは咄嗟に身構えたが、相手が動く方がはやい。
 あの剣は当たらずとも一振りが衝撃波となって此方に届く。思わず目を瞑ったびいどろの身を、そして周囲の仲間達を、鋭い刃の残影が容赦なく斬り裂いていく。
 だが、その痛みはすぐに取り祓われることになる。
 びいどろの身を包むのは晶硝子が放つ聖なる光。柔らかく、やさしい光明がびいどろのプリズムめいた身体に反射して煌めく。
「たくさんが傷付くのならわたしも多くを癒すだけ。だから、大丈夫」
 安心して、と晶硝子から掛けられた言葉は心強い。
 うん、と頷いたびいどろも敵の攻撃を恐れることなく、新たな海月をつくりだして応戦していった。
 迷宮の鉱石は尚も薄く光っている。
 晶硝子の援護を受けながら戦うびいどろはそれらが自分達を応援してくれているかのように感じていた。それに、黒と焔の色を宿す晶硝子の姿も眩い光のひとつ。
「頑張るから、支えてね」
 びいどろは彼女に信頼めいた思いを抱き、自分を奮い立たせる言葉を落とす。
 尚も敵からの攻撃は全周囲の猟兵を薙ぎ倒さんとして振るわれていた。避けようにも避けられぬ一撃もあったが、怖気付くわけにはいかない。
 少年の声を聞き、晶硝子も決意を抱く。
 誰かが深く傷付くのならば、たとえ自分が動けなくなろうと尽くし癒すだけ。
 癒しを与え、祝福を祈る。
 ――それこそがわたしの存在する意義であり、此処に立つ意味。
「決してぬかりはしないわ」
 晶硝子はふたたび聖なる光の癒しを放ってびいどろや仲間を癒してゆく。じわじわと身体に負担がかかっているのは理解しているが、未だ戦える。
 びいどろは後方の晶硝子の様子を気に掛けながらも兵達を放って敵の注意を引き続けた。そして、囮となった海月を騎士が剣で薙ぎ払う。
 その一瞬を見逃さず、びいどろは呼び掛けた。
「今、だよ。お願い――」

●騎士は怨嗟に軋む
 海月型の兵が薙ぎ払われる最中、ライラックはその声を聞き留めた。
「御一つ、御相手願おうか」
 仲間の機兵が作った死角を縫って駆けたライラックは射程距離まで距離を詰める。おいで、とライラックが傍に呼び寄せたのは親愛なる友人の霊。
 夜のナイフを振り翳た友人と共に攻撃を仕掛けたライラック。彼に合わせて、同じく仲間の呼び掛けを聞いたマナコが回り込み、仕掛け罠を床に設置していく。
 ライラック達の攻撃によって、鎧がぎしりと軋む。
「叶うのならば、ゆったりとしたキレイなオルゴールの音色でも奏でて欲しいものです」
 マナコは耳障りなキレイではない音に対して軽く肩を落とした。
 しかし、叶わぬことだともはっきり分かっている。騎士が奏でるのは死を導く剣戟か、怨嗟が交じる金属の音だけ。
 罠が発動した瞬間、騎士の足と腕が拘束される。脆い鉱石の槍が阻むだけの罠はきっと即座に解除されてしまうだろう。
 だが、マナコは知っている。
 自分のキレイな仲間達、猟兵である者なら隙は一瞬で良い、と。
「場は整えましたから、さあ」
 どうぞ、とマナコが言い終わる前にライラックは次の一手に移っていた。期待通りにたった一瞬で敵の隙を突いたライラックは死霊に目配せを送る。
 友人が掲げるカンテラの炎が見る間に黒騎士の鎧を包み込み、熱を宿していった。マナコも更なる攻勢に移る為に罠を作り上げる。
 それは迷宮に眠る星鉱石を模したものだ。極めて精巧に作られた鉱石罠が次々と壊されていくのは忍びないが、本物の迷宮の壁が壊されるよりは良い。
 マナコの援護はちいさな隙を数多に作っていく。
 ライラックは親愛なる友人に時間稼ぎをして欲しいと願い、自らはトランプを模した金の栞を取り出した。
「――動かないでくれるかい」
 そして、栞を投擲したライラックは罠と霊に翻弄される騎士にルールを突き付けた。多くの猟兵に囲まれて攻防を繰り広げる現状、動くなという決まりは守れるはずがない。
 理不尽な裁判は執行され、騎士鎧に多大な衝撃が巡る。
 だが、騎士は罠も痛みもすべて纏めて振り払った。マナコは、まあ、と口にして敵の強靭さに幾度か瞬く。
「シュッとされているだけあって素早い動きもできるのですね」
 されどそれも予想していなかったわけではない。
 幾度罠が、そして攻撃が弾かれようとも、自分達は力を揮い続けるだけ。
 マナコは仲間の攻撃の機を作る為の罠作りを止めず、ライラックも友人と共に敵に狙いを定める。
「キレイでないモノが相手なのは、良いものです。躊躇しなくてすみますから」
「そうだね、物語においては悪い騎士は斃れるものだから」
 マナコの落とした言葉にライラックが答え、二人は続く戦いへの思いを強めた。

●互いに尽くす力
 戦場を駆けるシエラの残像が揺らぎ、騎士の目を欺く。
 果敢に戦う彼女の目的は何も変わらない。ただ、真っ直ぐなまでに決めた思い。
 ――みぃちゃんは必ず守る。
 その意志の元に立ち回るシエラは翼風の衣を纏い、相手を翻弄していく。翼を飛散させることで寿命を削りながらも、自らが攻撃に当たらぬよう動く。
 身を以てして庇うのも悪くはない。しかし、今は召喚した勇者騎士に防護を任せている。それにもし自分が倒れてしまうと瑞姫を守るものがなくなってしまう。
「これでも、喰らえ――!」
 シエラは精霊槍を突き放ち、風の力を鎧に送り込んだ。
 その素早さで敵を引き付けるシエラの姿を見守り、瑞姫は魔力を紡いでいく。
「おねーちゃん、すごく頑張ってる。なら、みぃは……」
 敵は先程から幾度も此方の攻撃を避けていた。それならばあれを封じてしまえばいい。そう考えた瑞姫は周囲を舞う霊符の一枚を手に取った。
 目を瞑り、祈った瑞姫は手にした符を起点にして大量の札を一気に解き放つ。
「みぃの力を込めたお札……当たって!」
 懸命な思いと共に巡った符が騎士に迫り、あと少しで届く。だが、すぐに封じの力に気付いた敵は床を蹴ってその軌道から外れた。
 わぁ、と思わず少し慌てたような声を零してしまった瑞姫だが、たった一度ではあきらめたりはしない。
 前方ではずっとシエラが自分を守る為に戦ってくれている。
 彼女に報いる為に、そして一緒に楽しい時間を過ごす為に、挫けている暇などない。あどけない瞳に自分なりの信念を映した瑞姫はぎゅっと掌を握り締めた。
 シエラは宙を舞い、素早さを駆使して騎士と渡りあっている。
「みぃちゃん、大丈夫?」
「うん、おねーちゃんも気をつけてね」
 時折、此方を気にしてくれるシエラに感謝と応援の眼差しを向けた瑞姫はしっかりと敵を見つめる。そして、忍び足で死角まで回り込んだ。
 符を指先で挟んだ瑞姫は狙いを定める。
 シエラが果敢に舞っているのだから、今度こそ。真剣な思いを裡に巡らせた瑞姫は意を決する。
 その瞬間、神月封縛符が黒騎士の鎧に纏わりつくように命中した。
「逃がさないよ。ぎゅーって縛り続けてあげるね」
 やっとつかまえた、と双眸を細めた瑞姫は敵の動きを見事に封じる。はふ、と荒い息が零れ落ちるのはその力が幼い寿命を削っているがゆえ。
 しかし、瑞姫は力を解除しようとはしない。
 シエラは今こそチャンスだと感じて、限界を超えた速度に乗せて得物を振るった。
 刹那、その一閃は鎧を貫く。
 それは戦局を揺らがせるような、重く深い一撃だった。

●漆黒の禁忌
 騎士の動きが封じられ、場の空気が変わる。
 四属性の魔力砲撃を放って敵の力を削っていたシルも、殺戮型フォークを振るって衝撃を捌いていたクーヴェルシュイユも、戦況が変化したことをはっきりと感じ取っていた。
「そろそろデザートのころ、かしら」
 今までは此方が僅かに騎士に押される場面もあった。
 だが、今は騎士の方が猟兵によって押され始めているではないか。
「良い調子だねっ! 護るべき人達の為にも、まだまだ負けないからっ!!」
 シルの裡にあるのは力なき人々のこと。
 どんな状況にあろうともシルの思いは強く、揺らぐことはなかった。そしてシルはふたたび騎士の妙技が放たれると悟って剣を構える。
 刹那、斬撃の波がクーヴェルシュイユ達を襲った。
 シルは胸の前でクロスさせた刃と刃でそれを受け止める。光刃を全開で放出して威力をいなしたのだが、あまりの衝撃に少しばかり後方に押されてしまう。
 しかし、シルは負けずに前に踏み込んだ。
 そのちいさな身体は気を張っていなければすぐにでも吹き飛ばされてしまいそうだというのに、シルは果敢な姿勢を崩さない。
 すてきね、と口にしたクーヴェルシュイユは雀羽をはためかせ、彼女に合わせて攻撃を放とうと決めた。
 そして、シルもクーヴェルシュイユに援護を任せて駆け出す。
「行くよっ!」
「ええ。がぶっ、といかせてもらうわ」
 シルの声が響き渡り、其処から激しい魔力砲の奔流が解き放たれた。眩い属性の光が騎士の動きを捉えた瞬間、クーヴェルシュイユがフォークを振り下ろす。
 彼女の血を受けて凶悪な殺戮食器となった切先が鎧の胸元を貫いた。さくり、と料理を突き刺すかのように柔らかく喰い込んだ刃が鎧に穴をあける。
 黒騎士はそれを振り払う為に剣を振るった。
 クーヴェルシュイユは身を引いて刃から逃れる。闘魚めいた鰭がなびく中、シルは精霊剣と光刃剣を携えて追撃に走った。
 交差した二振りの刃で鎧の体勢を崩し、シルは身を翻す。
 此処までは優勢。だが、敵はもっと何か得体の知れない力を秘めている気がした。シルは警戒を強めて決して油断しないよう気を引き締める。
 そして、シルの予感は当たっていた。
「見て、何か来るよっ!」
 シルが騎士を示すと、魔鎧が怪しい空気を纏い始める。隠されていた魔核から念が渦巻き、禁忌の力が顕現していった。
 超過駆動状態に入った敵はどうやら無差別攻撃に入ったらしい。
 クーヴェルシュイユは敢えて動きを止め、ねえ、と騎士の怨鎧に呼び掛ける。
「わたくしは、きみになにがあったかなんて、わからないわ。だからね――」
 骸の海から蘇ったそれは、いつか何処かの過去の残滓。
 もうその物語を知る術も識る由もない。でも、だからこそクーヴェルシュイユの裡に湧き上がる思いがある。
「わたくしは、わたくしにできることをするよ」
「わたしも最後まで戦い続けるよ!」
 行きましょう、とクーヴェルシュイユが告げた言葉にシルが大きく頷いた。
 そして、戦いは更に激しさを増してゆく。

●搦め手攻防
 此処までの戦いでも殆ど無差別に衝撃波が放たれてきた。
 だが、魔鎧に念を纏った騎士の動作はこれまで以上の機敏さで猟兵を狙い始める。敵の力と耐久力が増した雰囲気を感じながら、ユヴェンは動きを見極めようとした。
「油断は禁物だが、いける気がするな」
 敵の攻撃手段が変わったとはいえ、ユヴェンには負ける気は微塵もない。
 何故なら、此処まで共に戦った者達は誰も未だ倒れてはいない。そのうえ自分も含めた全員が勝利の為に動いているからだ。
 シャルファは巡る戦いの中で癒し手として回復に徹していた。
 星鉱石の迷宮に響き渡るシャルファの聲は黒騎士から響く軋んだ音よりも強く、戦う者達の背を支える力となっている。
「このまま癒すことに専念して皆さんのお力になります」
 シャルファの歌唱は実に頼もしい。
 ユヴェンも、頼む、と告げて竜槍を振るっていった。先程までは攻撃の動作を読むことが出来ていたが、騎士の動きは予測の付け難いものに変わっている。
 それに加えて剣戟は速く、後退したユヴェンに迫る程のスピードで刃が振るわれていた。切先が身を斬り裂き、ユヴェンはちいさな声を落とす。
「……っ」
「大丈夫ですか? 今すぐに癒しますから堪えてください」
 暴走状態に入った黒騎士の一撃は重く、ユヴェンの身体には激しい痛みが巡っていた。シャルファはすぐに歌を紡いで彼や、他に傷を受けた者達を癒した。
 傷の痛みが和らいでいくことに感謝を示し、ユヴェンは双眸を鋭く細める。今の一撃はただ衝撃を受けただけではない。或ることに気付く切欠を与えてくれた。
「……ほう、あの状態になると速い動きに反応するのか」
 無差別、とはいっても敵はより速い動きをする者に狙いを定めているようだ。現に支援に徹するシャルファに攻撃の矛先は向かず、戦鎧の妙技も放たれる頻度が少なくなっているのだと感じられた。
 シャルファも同様のことに気が付いており、其処が付け入る隙だと感じる。
「何かで気を逸らせればいいのかもしれません」
「ならば、これはどうだ?」
 するとユヴェンが動物用に持ち歩いているボール取り出し、それを思い切り投げ放った。予測通り、騎士は素早く舞うボールに狙いを向ける。
 ボールは無残に叩き潰されてしまったが悪い作戦ではない。感情がなく無機質だからこそ取れる作戦にシャルファは少しだけくすりと笑む。
「やりましたね」
「これで遊ぶのが好きな奴らが多いからな。まさか、これが使えるとは」
 幸いにもボールはまだいくつかある。ユヴェンは再びそれを投げることで敵の注意を引いた。そして次はその隙を突き、死角から槍を振るう。
 そして、シャルファも攻勢に入った。
 歌唱に乗せた全力魔法で狙うのは騎士が扱う大きな剣。攻撃の意思を乗せた歌に導かれ、天上から降る流れ星は刃に衝撃を与えた。
 だが、その一閃は剣を壊すまでには至らない。
「失敗してしまいましたか。でも、剣が壊せれば、きっと――」
 それでも諦めはしないと決め、シャルファは再び攻撃の機会を窺った。
 ボールに武器狙い。搦め手もまた、ひとつの戦い方なのだから。

●歌と鼓舞
 縦横無尽の刃を放ち、尚も暴走を続ける鎧騎士。
 戦いが始まってどれほどの時間が経っただろうか。一瞬だった気もすれば、長い間戦っている気もする。
 カスカとリルは肩を並べ、互いの無事を確かめあった。
 疲れていないと云えば嘘になる。けれど、この身体が軋んだとしても戦い続ける覚悟がカスカの裡にあった。
「この後に待つお茶会のためにも、下手に怪我を負うことはできないからね」
 強敵に対して重視すべきは仲間との繋がり。
 それゆえにリルとカスカは互いに密な連携を取れる相手として認め、共に敵に立ち向かっていた。
「そうだね。この場の煌めく星も、甘やかな星も外せはしない」
 元気付けるようなカスカの言葉にリルも答え、この後に続く時間を思う。
 もし、自分達が騎士を止めることが出来なければ平穏が乱されてしまう。それゆえに迷宮を突破させることだけは赦してはいけない。
 カスカはへんてこガジェットを取り出し、敵との距離を取る。
 先程から用いているのは鎖を撃ちだして相手の動きを阻害する射撃機だ。通常の弾丸と違って絡み付く機械鎖は的確に、そして相手の攻撃範囲に入らずに済む距離を保って戦える。
「少しずつでも、しっかりと邪魔をしてやろう」
 カスカの攻撃は決定打にはならずとも阻害としては大いに役立っていた。
 リルも同じ援護側。積極的な攻撃には移らず歌による癒しを担っている。
「敵はとても強い様子。でも皆だって、強いよね」
 玲瓏たる銀細工の歌声は励ましの旋律となって戦場に揺蕩う。
 剣が振るわれる度、前線で闘う仲間の血が散る。暴走する騎士は猟兵達の身を容赦なく抉り斬っていった。
 その姿から決して目を逸らすことなく、リルは謳い続ける。
 そして幾度も攻防が巡る中、不意にカスカに危機が訪れた。撃ち放った鎖が剣で受け止められ、騎士がそのままそれを絡め取って刃を引いたのだ。
 途端にカスカの身体が敵の方に引き寄せられ、ふわりと浮いた。
「……!」
 このままでは引き摺られる。思い切ってガジェットを手放そうかと考えた矢先、体勢が崩れる。そして其処に騎士が放った剣閃が舞った。
 大きな衝撃がカスカの身に巡ったと察し、リルは花唇をひらく。
 星の煌めきと導き、心奮い立たせ諦めぬ強さ。それらをすべて籠めた歌を謳いあげるリルは鼓舞の言葉を送る。
「大丈夫さ、君はまだ立てる。まだ闘える――だってとても強いのだから」
「ああ、平気だよ。キミが……キミ達がいるから」
 リルの歌を聴いたカスカは立ち上がり、呼吸を整えた。その言葉はリルだけではなく共に戦い続ける仲間達にも向けられている。
 そうして、リルとカスカは顔をあげた。
 幾ら超耐久力を得ているとはいえ、重ねられる攻撃によって騎士の鎧は壊れはじめている。きっと、この先に巡るのは勝利しかない。
 そう信じて向ける眼差しには揺るぎない意志が宿っていた。

●穿つ一閃に思いを乗せて
「――亦、来るぞ」
 剣閃の兆候を感じ取り、ミハルは周囲に呼び掛ける。
 これまで以上の破壊力を孕んで放たれる剣は何としてでも避けねばなるまい。巡り続ける戦いの中、彼我の距離を応変に保つことで攻撃の機を読んできた。
 そんな彼の言葉だからこそ信じられると感じ、ヴァーリャは身を引く。ミハルの声によって剣閃を躱すことができたヴァーリャはちいさな安堵を抱いた。
「がむしゃらに来る相手とはいえ、こっちもがむしゃらじゃいけないな!」
 敵は無差別に攻撃を行っている為、少しでも油断すれば多大な被害を生み出されてしまう。だからこそ機を読み、適度な距離を取って戦うのが得策。
 ミハルの見立てでは、そのときに一番素早く動いている者に狙いが向いている。
「集中されぬよう遅速を制御して欲しい。出来るだろうか」
「もちろんだ!」
 注意喚起と願い出を受けたヴァーリャは大きく頷き、敢えて速度を落として駆けた。そして自分から矛先を逸らすと、真紅の瞳を覚醒させる。
 血の力でその身をヴァンパイアに変え、ヴァーリャは精霊剣を振りあげた。
 そして、黒騎士に斬りかかった彼女は氷の魔力を叩き込む。そしてミハルがひといきに咎封じの器物を投げ放てば、枷が騎士の腕を絡め取った
 だが、それはすぐに弾き飛ばされる。
 されどヴァーリャが追撃を放つことで大きな衝撃を与えた。再び注ぎ込まれる氷の力が敵の身を凍り付かせ、鎧を急激に冷やす。
 其処にミハルが召喚した死霊達が群がり、鎧を穿った。
「鎧に秘した怨念ごと、縛り抉り滅してやろう」
 ミハルの放った死霊は囮代わりとなり、騎士は亡霊達に向けて刃を振るう。その間に他の仲間達が攻勢に移り、次々と敵に打撃を与えていった。
「なかなか手強いな!」
「首魁たる過去の亡霊為らばそれも必至だろう」
 僅かに呼吸を乱したヴァーリャは敵の攻撃を避ける為に跳躍し、ミハルの傍らに降り立つ。大丈夫か、と視線を向けたミハルに頷きを返した少女は身構え直す。
 共に戦い、並び立つことの心強さ。
 ミハルもヴァーリャも口にしないまでも仲間という存在に頼もしさを抱いていた。
 そして、ミハルは敵の動きを封じる為にふたたび咎の力を放つ。枷に轡、拘束縄。間髪容れずに解き放たれていくそれらは黒騎士の剣を縛った。
 それにより剣閃が封じられる。
 好機だ、と告げたミハルからの眼差しを受け止めたヴァーリャは地面を蹴りあげ、高く高く――天井近くまで跳んだ。
「少々無茶かもしれんが、ここで決着をつけねばならないからな!」
 敵の頭上、靴先に魔力を巡らせれば瞬時にトゥーフリ・スネグラチカの靴裏に氷のブレードを精製される。
 狙うのは氷の刃による急所を狙った蹴り。
「ここでとっておきを使わせてもらうぞ!」
 鎧の急所は間接の繋ぎ目。出来るのならば――首!
 ヴァーリャは落下の勢いに乗せて全力の魔力を解放する。そして、刃を絡め取られて上手く動けぬ黒騎士の喉元目掛け、刃を押し込んだ。
 その瞬間、首と胴体が引き離され、怨鎧の兜が地面に転がった。

●怨嗟の終幕
 首は討ち取られた――ように見えたが、その中はがらんどうだった。
 騎士の真の姿はただの鎧。
 鎧の中にあるのは人の身ではなく、渦巻き続ける怨嗟の念のみ。
 だが、ユヴェンは怯まない。オブリビオンであるのならば、どのような形であっても驚きはしない。鎧は兜に腕を伸ばし、元の形に戻ろうとしている。
 ならば今こそが最期を導く為の絶好の好機だ。
「ミヌレ、今だ。奴を貫くぞ」
 竜槍の名を呼んだユヴェンは大きく踏み込み、鎧兜を拾い上げようとしていた腕を貫いた。それによって片腕が消し飛び、甲高い金属音が響き渡った。
 よろめく黒騎士は完全に体勢を崩されている。しかし尚も其処に満ちる淀んだ念は弱まっていなかった。
 如何してか、晶硝子の裡には哀れみにも似た思いが揺蕩っていた。
「まだ、あんなにつよい念があるなんて。終わらせなくてはね」
 仲間と共に癒しを担い続けていた晶硝子は疲弊している。それでも、彼女を静かに奮い立たせている根源は祝福たれと祀られたモノだったから。
 その役目を果たす為、晶硝子は生まれながらの光で迷宮を照らした。
 うん、と晶硝子の声に答えたびいどろも終わりを見据える。
「この闇を抜ければ、周りの星たちも更に明るく照らすだろうから」
 此処まで来てもびいどろの行うことは変わらない。理性を無くした黒騎士に向け、次々と海月を解き放っていくだけ。壊されても新たなものたちを引き連れ、囮にしていくびいどろは仲間達を見遣る。
 其処には息を切らせた瑞姫の姿があった。
「みぃちゃん、無理はしないで。もう大丈夫だから!」
 これまでずっと、少女は闘鎧の秘技を封じ続けていた。シエラは瑞姫の頑張りを認め、もう解除していいと告げる。
 ちいさく首を縦に振った瑞姫は封じの魔力を解き、代わりに光を紡いでいく。
「おねーちゃんも怪我してる。待ってて……」
 ふわりとやわらかな光が生まれ、シエラの痛みを和らげていった。
 ありがとう、と礼を伝えたシエラは広げた羽を散らし、敵の真上へと飛ぶ。捨て身の一撃を覚悟した彼女が放つのは穿孔滅牙。
「みぃちゃんとの甘い一時の為に!!」
 自らが傷付くことも厭わず、衝突して一気に敵を貫けば闘気が爆発する。周囲の壁を破壊しながらの突撃は黒騎士の力を大幅に削り、その身を揺らがせた。
 禍々しい空気が色濃くなる。
 傾ぎながらも剣を取った騎士の念は、死を目前にしていても強く巡った。
 オブシダンを握るいすゞは一瞬だけその空気に気圧されそうになる。自らが傷付くのが怖いからではない。手にした刃の彼が折れることだけが唯々、厭だ。
「僕も君も、両方無事に終わらせる事を考えよう」
 その気持ちを察したのか、オブシダンはいすゞの裡に呼び掛ける。
 これまで、いすゞは跳ねて駆け、衝撃を剣で受けずに済むように立ち回っていた。だが、今はもうそんな必要はない。
「センセ……」
「難しくはないよ、一発当てさえすれば、後は僕が斬ってやる」
 いすゞが頭を振ろうとしたが、オブシダンは力強く告げた。其処で漸くいすゞは真正面から剣を交える気持ちを固める。
「分かったっス! 攻めて、攻めて、兎に角攻めるっスよ!」
 彼がそう云うのだから間違いはない。二人で放つこの一閃が、この一撃が、最後を齎す一手になるように――。
 そして、振るわれた黒曜石の剣は騎士の剣と衝突する。
 鍔迫り合う刃と刃。
 光が弾けて火花が散る。
 次の瞬間、黒騎士の剣が真っ二つに圧し折られた。
「やりました。お二人のお蔭です」
 刃が折られたのはシャルファが解き放った歌唱から成る、星を呼ぶ歌の力だ。シャルファはずっとこの機を狙っていた。仲間の剣が敵の剣に衝撃を与えた瞬間に星の魔力を注げば、きっと攻撃の威力を削ぐことが出来る。
 その思いは今、遂げられた。
 マナコは皆で繋いだ連携に眸を瞬かせた後、双眸を細める。
「キレイな方々のキレイな一連でした。では、私も――」
 そして、マナコは仕掛け罠を作り出す。未だ敵は斃されるに至っていない。それならば自分はまた援護に入るだけ。
 煌めく鉱石めいた罠が周囲に仕掛けられ、敵を阻む。先程まで同じく作る隙はひとときで十分だとマナコは信じている。
 その願い通り、シルが刹那の間に敵の真横に回り込んだ。
「ここだねっ!」
 光刃剣と精霊剣がクロスされ、その刃は一気に斬り放たれる。シルの一閃が見事に決まったことを確認し、桜花と雪月も打って出る。
 先ず雪月が前に出て注意を引き、桜花が奇襲めいた後方からの攻撃を放つ。
「ほら、後ろがお留守ですよ。私の甘味のために手加減しませんよ」
 敵にそう言い放った桜花が放つ花弁はひらりひらりと舞って戦場を彩った。雪月も氷雪の剣閃で以て敵を斬り裂き、口をひらく。
「甘味は自腹で買えよー」
 軽口が叩けるのは勝利を確信しているが故。
 この面子で、この仲間達が集っている今、負ける未来などもう視えない。
 ライラックは身動き出来ぬ黒騎士を見遣り、軽く肩を落とした。
「……貴方の物語をその口から聞けないのが残念だけれど。ああ、その御陰で想像の余地があるというものだ」
 言葉にした思いに嘘はない。
 その物語を描いてみるのも悪くないとしてライラックは奇妙な友人に攻撃を願った。カンテラの火が鎧を紅く照らし、炎が周囲に舞う。
 カスカも終わりが近いと感じてガジェットを構えた。
 相手は理性を失っている。速さに釣られるのならばそれを利用するだけ。わざと鎖を撃ち出したカスカの一閃に黒騎士が反応する。
「とどめは皆に任せるよ」
 そして、カスカが鎖をガジェットから切り離せば、絡み付いたそれが敵の脚を縛り上げた。リルは一度だけ瞼を閉じ、祈るように囁く。
「君の為に歌ってあげる――その黒い思いも浄化できるといいね」
 奏でるのは透き通った歌声。
 仲間達に力を与える旋律は星鉱石のフロアにやわらかな心地を残す。
 そして、リルからの鼓舞を受けたミハルとヴァーリャは頷きを躱した。ミハルは冷ややかな眼差しを敵に向け、再度咎を封じにいく。
「空気さえ黒く染めるような其の姿、迷宮の煌きに浴す価値は有るまい」
「恨み続けるなんて苦しいことなのだ!」
 だから、終わらせる。
 其々の思いは違っても目指す最後は同じ。ミハルの枷が敵の自由を奪う中、ヴァーリャが放った氷刃の蹴撃が敵を貫く。
 クーヴェルシュイユは殺戮と捕食を司るフォークを手に、騎士の眼前に向かう。
「きみの哀しみも、痛みも……怨み憎しみも、そのすべて」
 裡に抱く思いを言葉に変え、クーヴェルシュイユは刃を大きく振りあげた。
 過去から蘇った残滓であっても、その躰は頂くに相応しいもの。クーヴェルシュイユは薄く笑み、死に瀕する騎士を見つめた。
「きみという糧を過去にして、生きてくの」
 ――いただきます。
 甘やかな声が落とされた刹那、騎士の鎧は真正面から貫かれた。

 黒き念が四散して鎧は塵のように崩れ落ちる。
 最期の叫びも、断末魔も落とすことなく、オブリビオンは完全に消滅した。
 こうして猟兵達は勝利を手に入れた。迷宮に淡く輝く星色の鉱石達の煌めきはまるで、そのことをささやかに祝福しているかのように見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お茶のひと時』

POW   :    ケーキと紅茶を楽しむ。

SPD   :    ケーキ以外のお菓子と飲み物を。

WIZ   :    お持ち帰りのお菓子をお買い求め。

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●スターリーナイトへようこそ
 戦いを終えた猟兵達を待っているのは喫茶店での至福の時間。
 星鉱石の迷宮を出た者達も、地上で彼らの帰りを待ち侘びていた者にも等しく、楽しい時間は訪れる。
 天井にはきらきらと煌めく星色の灯り。
 夜色の窓掛けに揺らめく金糸の星。淡い魔力の光を受けて廻る天球儀。
 ゆるりと過ごすのに十分な、居心地の良さが此処にはある。
 あたたかな飲み物でほっとひといきつくのもよし。仲の良い者同士でお喋りに興じるのもよし。甘いケーキやチョコレートを楽しむのもよし。此処には居ない誰かに思いを馳せて土産を選ぶのだって自由。

 誰と何をして過ごすかは君次第。
 星と過ごすひとときがどうか、穏やかなものでありますように――。
雨宮・冬華
わぁわぁ、綺麗です綺麗なのです。ここでお茶ができると聞きました。えっとね、えっとね、おすすめの…スターベリーのタルトと、チョコレートくださいな。
あとねあとね、色味の綺麗なノンアルコールカクテルが飲みたいのです。星にちなんだもので、蒼いものがあったらいいな。奈津の海の夜に見る星空みたいなやつとかあったら素敵素敵。
エチカさんとよかったらお話ししたいのです。どんな旅をしてきたの?何がお好き?初めましてのご挨拶から、そんな他愛のない話をできたら嬉しいな。
んー…どれも綺麗で美味しそうなのです…追加注文…うーん…(がま口とにらめっこ。その後食欲と見た目に負ける。いただきます)


ペチカ・ロティカ
わあわあ。とってもきらきらなのね。

感嘆、そしてはっと気付くと自身のランタンの光を絞る
代わりに瞳にきらきらをともして

噂を聞いて、ひとりでも来てみてよかったの。
のんびりしたら、お土産探しに行こうかしら。

お茶にしようか、それともここにしかなさそうなものがいいか。なんて悩みつつ

いいえ、でも、それはあとで、探しながら考えればいいの。

今は― ゆったりと天井を見上げて
ペチカとは違う、寄り添いあうような輝きたちに、胸をむずむずとさせながら
無自覚に、口元を緩ませたり

※アドリブ・絡み歓迎
そういえばここのお話をしてくれたひと、ペチカとよく似た響きのお名前だった、ような?


ライラック・エアルオウルズ
【POW】
(ケーキを味わいながら、執筆へ)

「成程、此は中々……いや、とても美味しい」
スターベリーのタルトと珈琲を一口味わえば、
思わずタルトを突く手が止まらずに。
――うん。困ったな、全くペンが握れない。
暫しは諦めて甘さと苦さを堪能しつつ、
店内の美しい装飾や耳に聞く賑やかさを楽しもうか。

堪能し終えたら、ペンをそっと取って。
……黒騎士と星空、か。
じわりと広がる想像に、こそりと笑み。
僕にしては執筆内容が御伽めいてしまうけど、
きっと中々悪くは、ないはず。
どうせなら、勝手に彼に添える物は、
色彩溢れる幸せな物を想像したいからね。
なんて、 紙上に物語を書き出そう。


伊兵・ミカ
持ち帰ろうかな…
いつもお世話になってるバイト先の先輩と上司さんにお土産を

あーいいなここ先輩好きそう
一緒に来るのはごめんだけど、教えてあげようかな
いやだって先輩好みじゃないし(頭ぶんぶん)

上司さんは、お茶会好きな人だから
お茶菓子喜びそうかなって

えーと、すいません
流星型クッキーと金平糖ください
へぇ、可愛いな
綺麗だし。…すいません、もう一つずつ追加でお願いします

もう一個は、俺用(ほっこり)

…先輩も好きそうって言ったけど、上司さんのほうが好きそう、かな?
二人に教えようっと

へへ、滅多に俺がいいお店教えることないから珍しいって驚くかな


神月・瑞姫
同席【シエラ】

ふわぁ…キラキラなの
エチカおねーちゃんが言ってた通りなの

ん、今日はシエラおねーちゃんと楽しむの
先に座っていいの?
えへへ、ありがとなの

美味しそうなのいっぱい…何にしようかな
星型苺のケーキは欲しいなぁ
みぃね
クリスマスで初めてケーキ食べたの
甘くておいしかったの
エンパイアにはこんなお菓子なかったの
どれも食べるの初めて
お姉ちゃん
このシュークリームとかアップルパイとかも頼んでいい?
タルト?美味しいのかな
みぃもみぃも一口ちょうだい
わーい、ありがと
おねーちゃんもみぃの食べてみてー(スプーンで食べさせ

白くない金平糖…不思議…宝石みたいなの
食べるのもったいなくなっちゃうの
ありがとなの
おねーちゃん


シエラ・アルバスティ
同席【神月・瑞姫】

「見てみてみぃちゃん! す、凄い…お星様ワールドだぁ」

テンション上がって緊張で声が上擦りつつ入店

「わ、私達二人きりですっ!」

みぃちゃんに先に席を譲ろう!
自分怪しくないかなとか思いつつキョロキョロ周りを見渡すよ
ヨシっ! と気合を入れ直しメニューをみぃちゃんに見せる

そっかそっか~初めてっていいよね(悦
どれでも好きなだけ好きな物を頼んでね、お姉ちゃんに任せといて!

メニューを見るみぃちゃんを見て顔が蕩けそうに…はなぢでそう
私はスターベリーのタルトと紅茶をみぃちゃんの分と共に注文!

そしてケーキを分けあう至福の時
幸せで死んじゃいそう(昇天)

金平糖こっそり買って後でみぃちゃんにプレゼント!


彼者誰・晶硝子
……わぁ、話にはきいていたけれど、素敵
星鉱石の迷宮は神秘的なうつくしさで、この喫茶店は童話にでも出て来そう
きっととても、愛されているお店なのだろう

こんなお店で過ごす時間は、しあわせにひたれるに違いない
だから少し、店内を見て回りたい
けれど、おいしいしあわせはお持ち帰りにしましょう
……お土産を選ぶ時間もまた、しあわせに違いないわ

ううん、それにしても、まよってしまうわ
ひとのたべものは、たべないから……どれがおいしいのかしら
いえ、きっとどれもおいしいのだろうな
店員たちにおすすめを聞いてみたりして、手に取ったのは
星を詰めたような、きらきらの金平糖
これをあの空に撒いたとしても、きっとうつくしいのでしょう


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
疲れたー!動きすぎてお腹減ったのだ…! もちろん、腹の虫を抑えるためにいっぱい食うぞ!

俺はメニューの端から端まで、片っ端から頼んでケーキ全種類、他のお菓子も全種類コンプリートするぞ。紅茶は〜…おまかせするのだ。
どれも見た目が可愛くて、美味しそうなものばかりだ…食べるのがもったいないが、腹が減っている今の俺には食べないという選択肢はないのだ…!
(無意識の【大食い】技能発動、甘いものに目がないのでいっぱい食べます)

うふふ…やっぱり食べてる時が幸せなのだ…(うっとり目を細め)


リル・ルリ
*アドリブ、他PCとの絡み歓迎

「すごい、本当に星穹の下にいるみたいだ」

煌めく星灯に廻る天球儀を不思議そうに眺め、その煌めきに感動
ご機嫌に尾鰭が揺れる
初めて見るものばかり。勿論ケーキも
どんなものなのだろう?
擽られるのは好奇心
誰かとお茶できるならご一緒したいけれど

「これがけーき。星型苺…ふふ、あの子みたいで可愛いな」

小さな友人の姿を思い出して微笑む
そう、カスカもケーキ食べているかな?
一緒に戦えて嬉しかったから挨拶をしよう
一口食べれば幸せの味
嬉しくなってあっという間に平らげて
チョコレートもあるの?他のももっと食べてみたい

笑顔が溢れる空間
話し声が歌のようで心地よい
歌いたくなる心地良さだね
守れてよかった


海月・びいどろ
……星が、こんなにも近い。
ぽかんと惚けてしてしまったのは、仕方が無いの。

データとして電子の海を漂ったけれど
こうしたところに足を運ぶのは、はじめて。
いろんなものが甘くて、いい匂いがする。
…気が、する。

先程の戦いをまなうらで反芻した後
穏やかな輝きを不思議な気持ちで眺めていた。
その中に、エチカ(f02721)の姿を見たならば
声をかけてみようかな。

ねえ、エチカ。
時間が許すのなら、少しだけ。
…カフェって、慣れていなくって。

キミは何が好き? 気に入ったものは、あった?
ボクは…あまり『食べたこと』がないから
一緒に同じものが食べたいな。

もし戦いの中でお世話になった人がいたなら
その人にもお礼が言えると、いいな…


暗峠・マナコ
最高のご褒美を教えていただきありがとうございます、エチカさん
仲間にも教えてさしあげたいですが、言葉では伝えきれないと思うので
この感動を分け与えられるお土産を探してみましょう。

この闇色をした星型のクッキーはキレイですね。
ひと目だけだと私の肌みたく真っ暗ですが、光に当てるとまぶしてあるお砂糖がきらきら輝きます。
こちらの夜色の紅茶もキレイですね。
星型のティーパック、お茶は星のない宇宙の様に真っ暗ですが、カップにいれると光が反射してまるで宇宙を飲んでいるようです。

自分だけだと一見真っ黒なものばかりになってしまいそうなので、他の方にお尋ねしたいです。
ごきげんようキレイなお方、なにかオススメはありますか?


小日向・いすゞ
おぶしだんセンセと

あっしも剣握って戦うハメになるとは思わなかったっスよー
あ、えちかセンセ、お疲れっスー
あっし頑張ったから褒めて欲しいっスー

え?
何か言ったっスか、センセ?

確かにキラキラしてるっスね
こういう店はあんまり縁が無いから緊張するっスね

くく、と笑って
まーかせて欲しいっス
あっしが、手取り足取り(財布取り)でーとのお作法をお教えするっスよー
この表のここからここまでっス!
センセが奢ってくれるっスから!

や、やっぱり多いっスねー
…けふ

…前から言ってみたかったンスよね
人のお金で

エチカセンセ、一緒に食べないっスか?

わっ
あっし眼の前でデート相手が女の子口説き始めるの初体験~
このたらし男ー、唐変木ー
罵倒する


オブシダン・ソード
いすゞ/f09058と

君を相棒と呼ぶことになるとはねぇ
苦戦させられたけど最後の一太刀は良かった。どうせだから君にはこの調子で――
ねえ、聞いてる?

きらきらしてるのは好きだよ僕。エチカは良い店を知っているね
紅茶と、そのスターベリーのタルトという奴を注文
…ああ、そういえばデートってしたことないな
どうすれば良いんだい、いすゞ?

なるほど、奢りか
ところで君、既に苦しそうだけどそんなに食べれるの?
…そうか。エチカ、勿体ないから一緒に食べてやって欲しい

消化はもちろん、美味しいから喜んで手伝う

後はカスカにも一声かけておきたい
元気そうで何よりだ。君ともまた組みたいものだね、ふふふ

浮気者みたいなことしてる自覚はない


東雲・咲夜
わぁ…!話に聞く何倍も綺麗なお店やなぁ
うち占いが趣味やねんけど、こないに神秘的な場所でカードはん引かせてもろたら
感受性も的中率も上がりそうやわ

…とと、つい見惚れてしもた
今日はお土産買いに来たんやったね
うちの大好きなお星さまのお砂糖菓子
色も味もラッピングもぎょうさん揃ってはって
あれこれ目移りしてしまうの…うぅん、どないしよ、どないしよう~

(一頻り考えあぐねて)
…よぅし!うちはこの、お花の飾り紐がかいらしい苺味の小袋にしましょ
ほんで、双子の弟のえっくんのお土産には
黒くてすたいりっしゅーな網籠に入った柚子味

金平糖を一粒一粒食べるんは
甘ぁいお星さまの夢を見てるみたいに心地ええの
早う帰ってお茶にしましょ


シャルファ・ルイエ
お疲れさまでした!
ということで、エチカさんにも声をかけて一緒に皆さんとお店に繰り出したいです。無事に終わって何よりでした。
お店の雰囲気も素敵ですし、メニューも色々あって悩みます……。
ケーキとタルト、どっちも気になりますけど、どちらか選ぶならスターベリーのタルトでしょうか。
他に迷ってる人がいるなら、半分ずつで交換するのもいいかもしれません。
あ、でも、交換こは迷ってる人がいないなら無理には勧めない様にします。
エチカさんは注文は何にします?
飲み物は、せっかくなのでノンアルコールドリンクのお勧めを選んでみたいです。
のんびりケーキとお茶を楽しんだら、お友達にクッキーと金平糖をお土産で買って帰りますね。


クーヴェルシュイユ・ティアメイア
おしゃれな喫茶店って、わたくし、だあいすき
モティーフになぞらうこだわりの飾りつけは、
お菓子のお味を、いっそうにひきたててくれるもの
それにね、ぼうっと海の底へとおちながら眺める景色に似て
体がふわふわ浮いて、吸い込まれちゃうような星空も、すき

あのひとはね、ほろ苦かった
だからご褒美は、うんとあまあいものが食べたいな
星苺のケーキに……そうね、檸檬のいろを見てかしら
シュガースティックで魔法をかけて、レモンティーもいただきたいきもち

エチカちゃん、すてきなお店、みつけたね
わたくしにもグリモアはあるけれど、故郷は「コンコン」ばっかりだから、
よそのお店を探すの、へたっぴなの
よければまた、おすすめ、教えてほしいわ


朽守・カスカ
星空を掬って散りばめたような店内にランタンの灯は眩しいから落として

星辰の菓子達から
スターベリーのタルトを選び
ミルクたっぷりのカフェオレと共に
テーブルを確保

オブシダン君に声を掛けようとしたら
いすゞ君とでーと?のようで
邪魔をしないように
でも、目が合えばひらひらと手を振って御挨拶

リル君も一緒にどうかと声を掛け更に見渡せば
幾度と見かけた背の高い御仁(ミハル君)やエチカ君
こうして話すのは初めてだけど
折角の機会だからとお誘いしよう

実は、あまり多くを食べられなくてね
もし、良かったら少しシェアしないかい?

そんな事を言うけれど
理由はなんでもいいんだ
ボクは、人が好きなようでね

ふふ、この星空は綺麗でとても楽しい、な


ミハル・バルジライ
こうした場には全く馴染みが無いが、偶には己に休息と褒美を与えてやるのも良いだろう。

甘味を摂る習慣も無いことは些か悔やまれるが、一先ず珈琲を。
空席を探す折、カスカ(f00170)と目が合えば有難く誘いに応じる。
彼女の手元と比べてみれば、成程、星月夜の下では黒い儘の湖面は無粋かと
ささやか乍ら倣ってミルクの天の川を架けよう。

相席者の話に耳を傾けることも、他愛の無い相槌を打つことも中々新鮮で面白い。
同じ時間を過ごす機会を示してくれたお陰だな、とカスカへ感謝しつつ。

此の店の空気の所為かも知れないが、戦の庭を離れて仰ぐ星の灯は殊に温かく見える。
いつかまた、と願いは心中に仕舞って。


ユヴェン・ポシェット
あの迷宮も心地良い場所だったが、この店も雰囲気が良い場所だな。
『スターリーナイト』か、鴛海は良い店を教えてくれてありがとう。

洒落た飲み物や菓子があるが、何か頼むか………(暫く考えて)……いや、珈琲を頂こう。
ミヌレ、お前も頑張ってくれたからな、何か食べるか?
焼き菓子くらいなら食べられそうだな。
…金平糖、気になるのか。

では、お土産用に金平糖一つと、もう一つここで食しても構わないか聞いてみるとするか。

良い思い出になりそうだ。


五條・桜花
雪月(f03400)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

甘いもの♪甘いもの♪
とりあえずお持ち帰りを確保するのですよ

そう今この瞬間に食べられる量は決まっていても、持ち帰ればその数倍は食べられる!
持ち帰りは偉大です!
ふふふ、ここは私は選びません
魔法の言葉知ってるんです
そう、全種類ください♪
あ、荷物の多さは今回荷物持ちもいるので大丈夫ですから……多分

……雪月、なんですかその目は
見慣れた行動なのですからいいではないですか
お酒に合いそうなチョコレートとかお裾分けしてあげませんよ?!
ブランデーと相性がいいこれとか!
ちゃんと知らべておいたんですからね貴方の好みのも

選び終わった後は、店内限定メニューも挑みましょう


叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

人は好物を目の前にすると時に獣になる……うん、名言だな
理性の鎖から解き放たれた少女は己が手の黄金と引き換えに甘美なる誘惑を手にする
現実逃避しても怒られないと思う
同行者が大人買いをしているその横でこうなるのを

桜花、お前、何度見ようが慣れないからな
後、お前ば当たり前のように俺を荷物持ちにするんじゃないぞ
まったく、……まさかそのキャリーケースとかってまさか、まさかなのかお前!

お、ブランデーにあうチョコだと?
それは興味深い
自分用に少し買い求めていこうか

……頼むから、店内では胃薬いるほどは食うなよ?



●銀と夜明けと星の彩
 此処はほんのりと薄暗いけれど、辺りには淡い光が揺れていた。
 やさしく巡り落ちる夜の帳のような静かな心地は見ているだけで落ち着く。
「わあわあ。とってもきらきらなのね」
 ペチカ・ロティカ(幻燈記・f01228)は店内を見渡して、不意にはっとした。折角の星が瞬く世界、自身のランタンの光は少し眩しい。そっと光を絞ったペチカはランタンの代わりに瞳にきらきらをともした。
 お茶にしようか、それともここにしかなさそうなものがいいか。
 そんなことをゆるりと悩みつつペチカは天井を見上げた。けど今はそれより――。
「いいえ、でも、それはあとで、探しながら考えればいいの」
 自分とは違う、寄り添いあうような輝きたちに胸がむずむずする。
 無自覚に口元を緩ませたペチカはひとり、暫し星色の光景を楽しんでいく。
 其処にふたりの少女の話し声が聞こえてきた。
「えっとね、えっとね、おすすめの……スターベリーのタルトと、チョコレートくださいな」
「チカはハーブティーじゃ。そうじゃな、今日の気分はカモミールかのう」
 その声は雨宮・冬華(薄暮の魔女・f00232)と鴛海・エチカ(ユークリッド・f02721)のもの。同じテーブルに座るふたりは注文を決め、改めて周りを眺める。
「わぁわぁ、綺麗です綺麗なのです」
「ふふ、冬華も気に入ったか。何せこのチカが選んだ場所じゃからの!」
 冬華が目を輝かせる隣、エチカは得意気だ。
 その様子を見ていたペチカが気になったのは時折聞こえる一人称。そういえば、あの口振りからすると彼女が皆をこの喫茶店に誘った本人のようだ。
「――チカ?」
「なんじゃ?」
 ペチカが首を傾げてみせると、その声を聞き取ったエチカも揃って首を傾けた。聞こえちゃったかしら、と少し驚いたペチカの様子を見遣った少女は冬華を呼ぶ。
「冬華、行くぞ。彼方のテーブルに突撃じゃ!」
「いいのかな。……いい、みたい?」
 どうやらペチカがおひとりさまだと察したエチカはお節介にも自分達の輪に誘う心算のようだ。そうして、殆ど押しかけた形でテーブルは三人の席になる。
 それから暫く。
「なるほど、お主の名はペチカというのか。チカと似ておるのう」
「ペチカと、よく似た響き、なんだかふしぎね」
「じゃあ、ペチカさんとエチカさん。二人はどんな旅をしてきたの? 何がお好き?」
「ふふーん、チカはのう――」
 少女達は話に花を咲かせ、其々のことを語る。
 甘いケーキの味と香り豊かなお茶から漂うあたたかな湯気。
 それらを囲むのは銀細工の煙管に人形の魔女、夜明け色のランタンの少女達。交わす言の葉は星が煌めく淡いひかりにも似て、ふわふわとした心地をくれた。
 からん、と冬華のグラスの中の氷がちいさな音を立てる。
 夏の海の夜に見る星空のようなドリンクは透き通っていて、この味に合う違うケーキが食べたくなってきてしまう。
 口許に手を当てた冬華はメニューブックとがまぐち財布とにらめっこ。
「んー……これも綺麗で美味しそうなのです……追加注文……うーん……」
「悩ましいのう。しかし、この悩みこそ……」
「贅沢、というものかしら」
 エチカがくすくすと微笑み、ペチカも双眸を緩やかに細めた。
 星光の煌めきが導く食の誘いに負けた冬華は追加のケーキをもうひとつ頼む。そして、少女達も紅茶のおかわりを願った。
 ――いただきます。
 それから少し後。ふたたび重なった少女達の声は、甘やかな心地を宿していた。

● 紡がれる物語
 お茶を楽しむ少女達の声を背に、珈琲のカップを傾ける。
 程好い苦みの後に口に運ぶのはスターベリーのタルト。フォークを突き刺せば、さくりとちいさな心地好い音。熟れた果実が零れぬよう掬ってもう一口。
「成程、此は中々……いや、とても美味しい」
 ライラックの手には本当ならペンが握られているはずだった。
 しかし今はどうしてもタルトを突く手が止まらず、困ったなと呟きが零れ落ちる。
 されどどちらも中途半端では締まらない。
 暫し執筆は諦めて、今は甘さと苦さを堪能する時間。ライラックはゆっくりとそれらを味わい、店内の美しい装飾を眺め、時折耳に届く賑やかな笑い声や雰囲気を楽しむ。
 星型のベリータルトが乗せられていた皿はいつしか空になり、店員が飲み物のお代わりを持ってきた。香り豊かな珈琲を楽しんだ後、ライラックは不意に呟いた。
「……黒騎士と星空、か」
 カップを置き、ライラックは天井を見上げる。
 星鉱石の壁とは違うが、きらりと光るちいさな星の飾りが美しく思えた。
 あの迷宮に居た時間を思い返せば、想像がじわりと広がっていく。こそりと笑んだライラックは共に戦った者達を思い起こし、ペンを握った。
「僕にしては、きっと――」
 執筆内容は御伽めいてしまうだろう。けれど、中々悪くはないはず。
 先陣を切って戦う泥人形達に、漆黒の色を宿した騎士。
 あれらはこの世界にとっての異物であり相容れないものだった。
 それでも、どうせなら。勝手だとは思えど、闇だけを抱いた黒騎士の彼に添える物は色彩溢れる幸せな物がいい。
 あの騎士がいつかの過去に騎士たりえた物語を紙上に記そう。
「なんて、ね」
 創作意欲を胸に、思索を巡らせたライラックは薄く笑む。
 そして、紙の上を軽快に走るペン先が紡ぐ物語は――。

●誰かを思う贈り物
 煌めく星のカーテンが揺れる先、ショーケースの前。
 体に宿した朱い宝石が硝子に反射し、少年は僅かに眼鏡の奥の双眸を細めた。
「あーいいなここ先輩好きそう」
 伊兵・ミカ(PigeonBlood・f05475)はバイト先の先輩と上司に持ち帰る土産を選ぶ為、この店に訪れていた。一緒に来るのはごめんだけど、と先輩への感想を呟いたミカはぶんぶんと首を振る。
「いやだって先輩好みじゃないし」
 うん、と自分に言い聞かせたミカはケースの中を改めて覗き込む。
 上司さんはお茶会が好きな人。
 だから茶菓子が喜びそうだと考える。それならばとミカが選んだのは――。
「えーと、すいません。流星型クッキーと金平糖ください」
「ただいまご用意しますね。贈り物ですか?」
「はい、お土産に。ラッピングとかは……」
「できますよ。お待ちください!」
 店員に注文をして暫く、ミカの手には蒼星のリボンと彩紙に包まれた可愛らしいお土産が渡っていた。
「へぇ、可愛いな。綺麗だし」
 予想以上のものにミカは暫し考え、すいません、ともう一度店員を呼ぶ。
 もうひとつずつ追加を、と告げたミカに店員は満面の笑顔を返して、てきぱきとお土産もといミカ用の包みを用意していった。
 ほっこりとした気持ちを抱きながらミカは包みを眺め、二人のことを考える。
「……先輩も好きそうって言ったけど、上司さんのほうが好きそう、かな?」
 まだ味は分からないけれど、きっと美味しいに違いない。
 帰ったらこの店のことを二人に教えて、話してみようとミカは心に決めた。
「へへ」
 きっと二人は驚くかもしれない。
 滅多に俺がいいお店教えることないから珍しい、と。そのときの顔や言葉を想像するとくすぐったくて、そして――何だか、心があたたかくなる気がした。

●ふたつの星
「わぁ……! 話に聞く何倍も綺麗なお店やなぁ」
 星の天幕の下に居るような心地を覚え、東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)は双眸を緩く細めて辺りを見渡した。
 咲夜の趣味は占い。こんな神秘的な場所でカードを引けば的中率も上がるはず。
 感受性も上がっていく気がして、咲夜は何度か満足そうに頷いた。
「……とと、つい見惚れてしもた」
 今日はお土産を買いに来たんやったね、と目的を思い出した咲夜はショーケースを覗き込んだ。
 ケーキにタルト、チョコレート。様々なものが並んでいるが狙いはひとつ。
 咲夜が見つめるのは大好きなお星さまの砂糖菓子だ。
 色に味にラッピング、どれもたくさんの種類が揃っていて目移りしてしまう。
「……うぅん、どないしよ、どないしよう~」
 一頻り考えあぐねる咲夜は真剣そのもの。けれど、それが楽しいひとときだったりもするのだから悪いことばかりではない。
 そして、咲夜は決断する。
「よぅし! うちはこの、お花の飾り紐がかいらしい苺味の小袋にしましょ」
 まずはこれを、と店員に願った咲夜は次のものを選んでいく。
「ほんで、えっくんのお土産には黒くてすたいりっしゅーなこれ!」
 それからこれ、と咲夜が選んだのは網籠に入った柚子味の金平糖セット。これでお茶菓子が揃ったと喜ぶ彼女の笑顔は快い。
 ふたつを並べて、持ち帰り用の可愛らしい手提げ袋に入れて貰った咲夜は少しだけ名残惜しく感じながらも店を後にした。
「早う帰ってお茶にしましょ」
 ひとりだけでは味わえない心地を、ふたりで楽しむために。
 金平糖を一粒一粒食べればきっと甘ぁいお星さまの夢を見てるような時間が訪れるから。逸る気持ちを抑え、咲夜は帰路を辿る――。

●甘い幸せと星彩の金平糖
 ぐうぐう、きゅるきゅる。
 お腹の虫が鳴く可愛らしい音が何処かから聞こえたと思えば、これまた愛らしい素直な声が店内に響く。
「疲れたー! 動きすぎてお腹減ったのだ……!」
 その声は、たくさん戦ってすっかりお腹がぺこぺこなヴァーリャのもの。
 席に案内され、ソファに身体を預けたヴァーリャがこれから行うことはただひとつ。お腹の虫を抑えるためにいっぱい食べること。
「じゃあ、メニューの端から端まで、ぜんぶ!」
「えっ、は……はい!」
 豪快なヴャーリャに店員が驚いた顔をするが、その注文が本気なのだと知り表情を引き締める。そして、片っ端から頼まれたケーキと菓子が全種類、ヴァーリャの座るテーブルに並んだ。
 其処に通り掛かったのは店内を見て回っていた晶硝子だ。
「……わぁ、話にはきいていたけれど、素敵」
 星鉱石の迷宮は神秘的なうつくしさだったが、この店はまるで童話の世界。
 そろそろ何かを選んで持ち帰ろうかと考えた晶硝子が踵を返せばふわりと外套がなびく。そのとき、晶硝子はヴァーリャのテーブルに気付いた。
「これがしあわせの光景なのかしら」
 色とりどりの菓子やケーキが並べられた光景は可愛らしくも圧巻。
 晶硝子からの視線に気が付いたヴァーリャは首を傾げる。どうかしたのかと問うような眼差しが返って来たことで、晶硝子はそっと声を掛けた。
「どれもおいしそうだと思って。でも、ひとのたべものは、たべないから……」
 よくわからなくて迷っていた、と話す晶硝子にヴァーリャはぱっと表情を輝かせる。それならと名案を思い付いたらしい。
「だったら、俺が食って美味しさを教えるのだ!」
「それはすてきね。きっとどれもおいしいのだろうけど、全部はむずかしいもの」
 一緒に食べようといわないところがヴァーリャらしさだ。晶硝子は快く、寧ろ歓迎してその提案を受け、ソファ席の向かい側に座った。
 ヴァーリャはフォークを手に取って、先ずはどれを食べようか視線を巡らせる。
「どれも見た目が可愛くて、美味しそうなものばかりだ……。食べるのがもったいないが、腹が減っている今の俺には食べないという選択肢はないのだ……!」
 そして、いただきます、と言葉にして最初に放り込んだのは苺のケーキ。
 甘酸っぱい味とクリームの甘さが広がり、ヴァーリャは目を細める。生来の大食いを発揮していく彼女は甘いものに目がなく、口いっぱいに頬張る勢いでケーキを平らげていった。
 その様子を見つめる晶硝子は彼女の表情だけでおいしさが伝わってくる気がして、暫し甘い食事の光景を見守っていた。
「うふふ……やっぱり食べてる時が幸せなのだ」
 うっとり目を細めるヴァーリャは言葉通りの幸福を感じている。
 あれだけ幸せそうなのだから、と感じた晶硝子はふと浮かんだ思いを言葉にした。
「……お土産を選ぶ時間もまた、しあわせに違いないわ」
 そうして、晶硝子が気に留めたのは或る甘味。
 お任せで頼んだヴァーリャの紅茶の傍ら、お茶請に添えられていた金平糖だ。それが店のショーケース前に瓶詰めで置かれていることを知った晶硝子はそっと決める。
 あれをくださるかしら、と願えばすぐに店員が晶硝子の手元にリボンで包装されたちいさな小瓶を用意してくれた。
 ヴァーリャの気持ちの良い食べっぷりを眺めながら、晶硝子は天井で揺れる星色の灯りに瓶を透かして見る。
 星を詰めたような、きらきらの金平糖。
「きっと……これをあの空に撒いたとしても、きっとうつくしいのでしょう」
 夜空に似た天蓋を仰ぎ、晶硝子はそっと想像を巡らせた。

●星はすぐ傍に
 晶硝子が瓶を透かして見る姿を見つけ、びいどろは手を振る。
 宝石の彩を宿す彼女の姿は夜色の店内によく映えた。少し離れた席から振り返された手に目を細めたびいどろは、視線をそっと天井に向ける。
「……星が、こんなにも近い」
 ぽかんと惚けてしてしまったのは仕方が無い。本物ではないつくりものだと分かっていても、綺麗だと感じる心は嘘ではないから。
 これまで、びいどろはデータとして電子の海を漂ってきた。
 けれど、だからこそこうしたところに足を運ぶのははじめてだ。
「いろんなものが甘くて、いい匂いがする。……気が、する」
 感覚をまだ上手く捉えられないびいどろは、先程の戦いをまなうらで反芻した後、暫し星彩の穏やかな輝きを不思議な気持ちで眺めていた。
 そして目をあければ、エチカの姿が視界に入る。
「む、お主は確かびいどろじゃったか」
「……うん。ねえ、エチカ。時間が許すのなら、少しだけ」
 付き合って、と告げたびいどろに少女は快い笑顔を向けて頷いた。こっちじゃ、とびいどろを手招いたエチカは自分のテーブルに案内していく。
「さあさ、何か頼むかのう」
「キミは何が好き? 気に入ったものは、あった?」
「ふふ、よくぞ聞いてくれた。チカはハーブティーが好きで気に入っておるぞ」
 お主はどうじゃ、とエチカが問い返すとびいどろは首をふるふると横に振った。エチカが不思議そうに首を傾げる中で彼は口をひらく。
「ボクは……あまり『食べたこと』がないから、一緒に同じものが食べたいな」
「そうかそうか、ではチカが教えて進ぜよう。ヒトの食事は面白いのじゃ!」
 その一言で理解したエチカは胸を張ってみせる。
 電子の存在と創られた人形。一見はヒトに見えてもそうではない二人は少しだけ似ている。視線を合しあった少年と少女は隣同士でメニューを覗き込んだ。
 それから暫し、星海の魔女によるヒトの食事講座が開催される。
 そのことはびいどろ達だけが知る、ささやかなひとときの記憶だ。

●甘い時間と星の欠片
「ふわぁ……キラキラなの」
「見てみてみぃちゃん! す、凄い……お星様ワールドだぁ」
 二人掛けのソファ席の傍、瑞姫とシエラは天井を眺めていた。其処から視線を下ろしていけばゆらゆらと揺らぐモビールや、煌めく金糸のカーテンが見える。
 案内されたのは落ち着いた片隅の席。
 天井から吊るされたやわらかな薄手のカーテンは自由に下ろしても良いらしく、二人だけの空間を作ることも出来る様子。
「わ、私達二人きりですっ!」
 シエラの裡にはハイテンションと緊張の両方が同居している。
 声が上擦りそうになりながらもさっと片手を出して、シエラは瑞姫に席を譲る。
「先に座っていいの? えへへ、ありがとなの」
 ふわりと礼を告げる瑞姫がちょこんとソファに座る姿がもう可愛い。それだけで天にも昇れそうな気持になったシエラだったが、はっとして自分も向かいの席に座った。
 自分が怪しくないかとキョロキョロ周りを見渡すが、特に問題はなさそうだ。
 ヨシっ! と気合を入れ直したシエラはメニューを瑞姫に見せ、何でも選んでいいと告げて見守る。
「美味しそうなのいっぱい……何にしようかな」
「おすすめは星型苺のケーキだったよね」
「うん……。みぃね、クリスマスで初めてケーキ食べたの」
 甘くておいしかったの、と去年のことを思い出して目を細めた瑞姫。彼女曰く、サムライエンパイアにはこんなお菓子はなかった、と。
「そっかそっか~初めてっていいよね」
「おねーちゃん、このシュークリームとかアップルパイとかも頼んでいい?」
 悦に入りながら少女の可愛らしいお話を聞くシエラは幸せいっぱい。少しだけおずおずと覗うように問いかける瑞姫に胸を張り、シエラは蕩けた笑顔を見せる。
「お姉ちゃんに任せといて!」
 そうして、瑞姫は気になるものを、シエラはスターベリーのタルトと紅茶を頼むことに決めた。テーブルに甘味が運ばれてくる様を見つめる瑞姫の姿もまた愛らしい。
 それから始まるのはケーキを分けあう至福の時。
「タルト? 美味しいのかな。みぃも一口ちょうだい」
「はい、みぃちゃん」
「わーい、ありがと。おねーちゃんもみぃの食べてみてー」
「幸せで死んじゃいそう……」
 瑞姫がタルトを一口ねだれば、シエラは一番おいしそうな部分を取り分けて差し出してやる。ぱくり、と美味しそうに頬張った瑞姫がお返しをくれる光景は幸福以外の何と表せるだろうか。
 それから後、シエラはこっそり購入しておいた金平糖を瑞姫に贈る。
 今日の思い出にと手渡された甘い星。
 じっと掌の上の包みを見つめた瑞姫は白くない金平糖に不思議な気持ちを抱いた。宝石みたいな欠片は食べるのもったいなくて、きっと暫くはずっと持っているだろう。
「ありがとなの、おねーちゃん」
「みぃちゃんのためだったら何だってするからね!」
 心からのお礼に笑顔を返すもシエラは幸せ過ぎて昇天寸前。
 これもすべてあの戦いがあったからこそ。
 共に戦い、護り、紡いだ絆とご褒美。一緒にいる時間が何よりの宝物だと感じて、シエラと瑞姫は暫しの甘い時間を過ごした。

●お持ち帰りの幸せ
「甘いもの♪ 甘いもの♪」
 桜花が楽しげに、そして嬉しそうに覗き込むのは店内のショーケース。
 店でのひとときも楽しみたいが、今はひとまずお持ち帰りを確保するとき。
「そう今この瞬間に食べられる量は決まっていても、持ち帰ればその数倍は食べられる! 持ち帰りは偉大です!」
 瞳を輝かせる桜花の後ろには、頬を掻いて彼女を見守る雪月の姿がある。
「人は好物を目の前にすると時に獣になる……うん、名言だな」
 理性の鎖から解き放たれた少女は己が手の黄金と引き換えに甘美なる誘惑を手にする――なんて、それらしい言葉を並べ立ててしまう雪月は現実逃避中。
 しかしそれも今は赦される。
 何故なら、桜花は今から恐ろしくも偉大なことを行おうとしているのだから。
「ふふふ……」
 微笑む桜花は指先をショーケースに向け、その端を示した。そして――。
「私は選びません。魔法の言葉知ってるんです。そう……」
 全種類ください♪
 そんな言葉と共に端から端まですべてのケーキや焼き菓子を指差していった。少しばかり店員に心配されたが、荷物の多さは問題ない。今回は雪月という荷物持ちもいるので大丈夫、と桜花は軽く胸を張った。
 だが、後方から感じるのは突き刺さるような視線。
「……雪月、なんですかその目は」
「桜花、お前……」
「見慣れた行動なのですからいいではないですか」
「何度見ようが慣れないからな。当たり前のように俺を荷物持ちにするんじゃないぞ。まったく。……まさかそのキャリーケースとかってまさか、まさかなのかお前!」
 少しばかり辛口の返答をした雪月は途中ではたと気付いて愕然とする。
 そう、そのまさかである。
 雪月は付き合っていられないとばかりに肩を竦めたが、桜花がその反応を読んでいないわけがない。
「お酒に合いそうなチョコレートとかお裾分けしてあげませんよ?!」
 ブランデーと相性がいいこれとか、と桜花が商品を指差すと雪月が顔をあげた。
「お、ブランデーにあうチョコだと?」
「ちゃんと調べておいたんですからね貴方の好みのも」
「それは興味深い」
「でしたら、ついでに運んでくださいね」
 にこりと笑みを向けた桜花の方がやや上手だったらしい。仕方がないかと今回は諦めた雪月は持ち帰りの品を買い終えた桜花についていく。
「では次は店内限定メニューにも挑みましょう」
「……頼むから、店内では胃薬いるほどは食うなよ?」
 そうして、案内されたテーブル席で彼女がどれほどの甘味を味わったのか。
 それは共に過ごした雪月だけが知ることだ。

●ビター&スウィート
 流れ星が落ちるように揺れ、天井に煌めきを映す飾り。
 その上で淡く光る照明の灯りをテーブルに並べられた天球儀が反射する。
「おしゃれな喫茶店って、わたくし、だあいすき」
 カウンター席に腰かけ、クーヴェルシュイユは自分の周囲を見渡した。指先で天球儀に触れてみればくるりと緩やかに星飾りが開店する。
 モティーフになぞらうこだわりの飾りつけは、お菓子の味をいっそうにひきたててくれるもの。ねえ、と甘い声を落としたクーヴェルシュイユが目を向けた先、その手元には星苺のケーキがひとつ。
 今が心地好いのは、ぼうっと海の底へとおちながら眺める景色に似ているから。
 体がふわふわ浮いて、吸い込まれてしまうような星空。そんな光景も好きだと感じて天井を見上げたクーヴェルシュイユはそっと息を吐いた。
 そして、カラカルの耳をゆるりと伏せた彼女は思い返す。
「あのひとはね、ほろ苦かった」
 だからご褒美は、うんとあまあいものが食べたい。
 そう思って頼んだケーキは想像以上のやさしい甘さを秘めている気がした。其処に檸檬のいろを見たクーヴェルシュイユはカウンターの向こうに声を掛ける。
 暫くしてから出されたのは蜜色の紅茶。
 シュガースティックで魔法をかけて、レモンティーに甘さを宿したクーヴェルシュイユ。その隣にひょこりとちいさな影が顔を出す。
「ほう、なかなか良い組み合わせじゃのう」
「エチカちゃん?」
 どうやらエチカは紅茶を頼んだクーヴェルシュイユが気になっていたようだ。
 すてきなお店みつけたね、と此処を教えてくれたことに礼を告げれば、エチカはふふんと得意気に笑った。そして、二人は暫し話に花を咲かせる。
「わたくしにもグリモアはあるけれど、故郷は「コンコン」ばっかりだから、よそのお店を探すの、へたっぴなの」
「噂のコンコンコンか。チカは其方に馴染みがないゆえ気になるのう」
 同じ猟兵同士、クーヴェルシュイユとエチカは互いの世界の話について語った。
「よければまた、おすすめ、教えてほしいわ」
「勿論じゃ! そのかわり、クーヴェルシュイユもチカに色々教えるが良いぞ」
 ふふ、と微笑みが重なる。
 それからもう少しだけ、ふたりが紡ぐ憩いの時間が流れていった。

●ご褒美は甘い星
 あの迷宮も心地良い場所だったが、この店も雰囲気が良い。
 スターリーナイトという店の名を改めて見遣り、ユヴェンは店内に踏み入った。
 いらっしゃいませ、と迎える店員の声と共に視界に広がったのは深い夜のような穏やかな紺色と、其処に煌めく淡い洋灯の明かり。
 ユヴェンが案内された席に腰を下ろせば、その隣に竜のミヌレが座る。
 槍として彼と共に戦ったミヌレもまた、先程までの戦いの功労者のひとり。ユヴェンはその頭を軽く撫でるとメニューに目を遣った。
「洒落た飲み物や菓子があるが、何か頼むか………」
 暫し考え込んだユヴェンはケーキやタルトの欄を眺めていたが、軽く首を振ると先ずは飲み物を頼もうと決める。珈琲を頂こう、と一先ず注文をしたユヴェンはミヌレの方にメニューブックを持っていってやった。
「ミヌレ、お前も頑張ってくれたからな、何か食べるか?」
 竜にメニューは読めないかもしれないが傍らに添えられた可愛らしいイラストは分かるだろう。焼き菓子くらいなら食べられそうだな、とマドレーヌを指先で示すユヴェンだが、ミヌレは違うものをじっと見つめていた。
 その視線の先に会ったのは持ち帰り用の瓶詰め砂糖菓子。
 前脚でてしてし、と金平糖の絵を示したミヌレはどうやらこれが欲しいようだ。
「……金平糖、気になるのか」
 では、とそれを褒美に与えることにしたユヴェンは店員を呼ぶ。
「はい、お呼びでしょうか!」
「土産用に金平糖一つと、それから……もう一つここで食しても構わないだろうか」
「そちらの仔にですね。でしたら珈琲と一緒にお持ちしますね」
 店員はユヴェンとミヌレの遣り取りを見ていたらしく、快く注文を受けた。
 そうして暫く、珈琲のカップと一緒にちいさな星型の皿に盛られた金平糖がテーブルに並べられる。その傍には勿論、小瓶の金平糖もあった。
 金平糖をかりかりと齧るミヌレはとても寛いでいる様子。
 見守るユヴェンもカップを傾けて珈琲を一口。
「良い思い出になりそうだ」
 それは自然に零れた心からの言葉。
 ユヴェンは緩やかな時間が流れていくことを感じ、淡い心地に身を委ねた。

●宇宙色と銀河色
「お疲れさまでした!」
 星月夜を思わせる店の中、シャルファの明るい声が響く。
 元気よく乾杯はできないまでもカップは重ねられる。かちり、とちいさく聞こえた音は心地好く、まるで星の囁きのよう。
「無事に終わって何よりでした」
「そうじゃのう、皆の力あってこその解決じゃった」
 戦いを思い返すシャルファに同席したエチカも満足そうに頷く。今、このテーブルに集っているのは二人にマナコを加えた計三人。
 元はシャルファとエチカだけだったのだが、お土産を探すマナコを二人が呼び止めてテーブルに誘ったのが現状だ。
 ごきげんよう、とたおやかに二人に挨拶を告げた後、マナコは淡く笑む。
「最高のご褒美を教えていただきありがとうございます」
「チカも共に来てくれる者が居て嬉しいのじゃ!」
 マナコが礼を告げるとエチカは言葉通りに嬉しそうに笑んだ。シャルファもつられて微笑み、不思議な居心地の良さを感じる。
 そしてシャルファはメニューを眺め、エチカも迷い始める。
「色々あって悩みます……。ケーキとタルト、どっちも気になりますね」
「それほど量は食べられぬからのう。究極の選択じゃ」
 メニューには手書きの可愛らしいイラストが添えられていた。マナコも一緒にメニューを覗き込み、指先で或るものを示す。
「この闇色をした星型のクッキーはキレイですね」
 それはダークチョコレート味の焼き菓子。
 ひと目見ればマナコの肌のように真っ暗に見えるが、まぶされた砂糖がこの店の星彩や外の光に照らされるときらきらと輝くに違いない。
「むむむ、何だかマナコがチョコレートに見えてきたぞ」
「ふふ、素敵ですね。……よし、決まりました。スターベリーのタルトにします」
 エチカが呟くと、シャルファがおかしそうに笑った。そして注文を決めた彼女に続き、マナコもお土産兼今の時間を楽しむものとして紅茶を頼む。
「こちらの夜色の紅茶もキレイそうです。こちらにしてみましょうか」
「あとはカクテル風のドリンクと……エチカさんは注文は何にします?」
「ううむ、ではチカは苺のケーキにするかの。分けあいっこするのじゃ!」
 そんな会話を交わしながら三人は緩やかな時を過ごしていく。
 そして、運ばれてきたのは色とりどりの甘味と飲み物。
 マナコが選んだ紅茶は星型のティーバッグで、お湯にとかせば星のない宇宙のような真っ暗な色を映す。けれどそれはカップにいれると光を反射して、まるで宇宙を飲んでいるようにも思えた。
 スプーンでくるくると宇宙に砂糖を混ぜ込むマナコの傍ら、シャルファは透き通ったブルーが美しいドリンクを覗き込んでいた。
 テーブルに並ぶ彩は様々でそれを眺めるだけで何だか楽しくなってくる。
 けれど、マナコは自分が選ぶものが黒ばかりになってしまうと感じていた。其処で彼女はシャルファに問い掛けてみる。
「キレイなお方……シャルファさん。なにかお土産にオススメはあるでしょうか?」
「ええと、おすすめですか。クッキーと金平糖なんてどうでしょうか」
 自分も友達に買って帰ろうと思っていたと話したシャルファが指をさしたのは店内のショーケース。
 黄色い星のアイシングクッキーと色とりどりの金平糖の瓶詰。
 その様々な彩はまるで、此処に集った人々が宿す色のように思えて――三人は笑みを交わし、穏やかな心地を暫し楽しんだ。

●はじめてのデート
 夜色のカーテンが淡く揺らめき、金糸の星が煌めく。
 運ばれてきた紅茶の湯気が天井にふわりとのぼっていく様をぼんやりと見つめてから、オブシダンは目の前に座る少女に目を向けた。
「君を相棒と呼ぶことになるとはねぇ」
「あっしも剣握って戦うハメになるとは思わなかったっスよー」
 いすゞはぱたぱたと椅子の下で脚を揺らしながらオブシダンを見つめ返す。思い返していたのは迷宮での戦いのこと。
 少々危うい場面もあったが自分達は今こうして寛いでいる。
「苦戦させられたけど最後の一太刀は良かった。どうせだから君にはこの調子で、」
 オブシダンはいすゞに対しての労いと展望を語ろうとする。だが、その言葉は途中で遮られてしまった。
「あ、えちかセンセ、お疲れっスー」
「おや、いすゞではないか」
「あっし頑張ったから褒めて欲しいっスー」
「うむ、よく頑張っておった。賞賛に値するのじゃ!」
 途端に始まるいすゞとエチカの和気藹々とした会話。機を逃して少女達の会話に割って入れなかったオブシダン隙を見計らい、少し諦め気味に問い掛ける。
「……ねえ、聞いてた?」
「え? 何か言ったっスか、センセ?」
「にゃはは、何じゃオブシダンもいたのか」
 振り向いた二人の反応に肩を、もとい剣鞘を軽く落としたオブシダンは溜息を吐いた。しかし、仲良く喋る少女達の姿を見ているのも悪くはない。
 頼んだタルトが運ばれてくる中、オブシダンはふと思い至る。
 そういえば、これはデートだったのだと。
「ああ、そういえばデートってしたことないな。どうすれば良いんだい、いすゞ?」
 するといすゞは、くく、と笑って掌を胸に当てた。
「まーかせて欲しいっス。あっしが、手取り足取りでーとのお作法をお教えするっスよー。とりあえず追加注文で、この表のここからここまでっス!」
「いすゞ、それはちと無理では……」
「なるほど、奢りか」
「大丈夫っス、センセが奢ってくれるっスから!」
 思わずエチカから突っ込みが入るが、オブシダンは妙に納得してしまっているし、いすゞはお構いなしだ。
 その結果、どうなったかというと――。
「や、やっぱり多いっスねー……けふ」
「……そうか。エチカ、勿体ないから一緒に食べてやって欲しい」
「やはりのう。仕方ないのじゃ、エチカに任せるがよいぞ」
 お腹を押さえたいすゞの前にはまだケーキが残っていた。しかし、前から人の金でこれがしてみたかったと話した彼女は満足気。魔性の妖狐だ。
 エチカも奢りとあれば遠慮はなく、オブシダンもいすゞの残したケーキをひょいと口に運んでいく。そんな中、オブシダンは見知った姿を見つけて手を振った。
「やあカスカ、元気そうで何よりだ。君ともまた組みたいものだね」
「ああ、またいつか縁が重なったら、だね」
 ふふふ、と笑んで見せたオブシダンにカスカがひらひらと手を振り返す。
 だが、それを見ていたいすゞが尻尾をふわりと揺らした。
「わっ、あっし眼の前でデート相手が女の子口説き始めるの初体験~」
「ふむ。オブシダン、お主……」
「このたらし男ー、唐変木ー」
 デートの間に少女がひとり割り込んでいるのはともかく、いすゞは半ば冗談混じりの罵倒を並べていった。しかし当の本人は不思議そうに首を傾げている。
「……?」
 この男、剣であるからして仕方がないのだが、やや無自覚。
 彼がいすゞ達の言葉の意味に気付くまで、まだ暫しの時間が掛かりそうだ。

●星の煌めき、ひとの輝き
 淡い笑みを零し、カスカは奥のテーブルに歩いていく。
 彼等が交わすやりとりはカスカにも冗談とからかい交じりのじゃれあいだと分かったし、とても微笑ましい。また、と告げてオブシダン達から離れた彼女が向かうのは別の仲間の元。
 其処にはリル、そしてミハルの姿がある。
 この二人もまた、共に戦った者達だ。言葉にするならば戦友というものだろうか。
 ぐるりと店内の内装や飾りを見て帰って来たカスカを隣の席に迎え、リルも改めて天蓋やランプを見渡す。
「すごい、本当に星穹の下にいるみたいだ」
「静穏の夜、その最中に居るようだ」
 瞳に映るのは煌めく星灯に廻る天球儀。
 リルが思いを言葉に変えるとミハルもゆっくりと辺りを見遣った。
 珈琲のカップを手にする彼にとって、こうした場には全く馴染みが無い。しかしあれほどの戦いを終えた後だ、偶には己に休息と褒美を与えてやるのも良いと考えた。
 リルとカスカ、ミハルが直接言葉を交わすのは初めてだが皆同じ戦場で戦った者同士だ。それに、こういった場所で過ごすならば誰かと共にいるのも悪くない。
 特にミハルが纏う漆黒のいろは印象深い。
 名を問えば、彼はミハルだと答え、カスカ達も其々に名乗った。
 まるで深い夜のようだとリルが告げると、ミハルは静かに目を閉じて礼を告げる。カスカもこの場に溶け込むような落ち着いた黒に目を細め、手元のカフェオレをスプーンで掻き混ぜていく。
 ミルクをたっぷりのカフェオレを見たミハルは口許を薄く緩め、そうか、と頷いた。
「成程、星月夜の下では黒い儘の湖面は無粋か」
 そして、ミハルは珈琲にミルクを混ぜ込む。
 それは宛ら昏いだけの空に天の川が架けられたかのようで、リルは幾度か瞬いた。リルもカスカに倣ってカフェオレを頼んでいたが、何もかもが初めてのものばかり。
 好奇心が擽られている様子のリルをカスカが微笑ましげに見つめる。
「ふふ、楽しそうだね」
 こちらまで嬉しくなってくるような気がして、カスカは仲間と過ごすこのひとときの居心地がとても良いと感じた。そうして、彼女達のテーブルに注文したタルトとケーキが届けられる。
「お待たせしましたのじゃ!」
 しかし、訪れたのは店員ではなくちいさな少女だった。
「エチカか」
「うむ、此方の席に間違って届いたのでな。ゆえにチカが運んできたのじゃ」
 ミハルが如何してこのようなことをしているのかと問うとエチカは得意そうに胸を張る。どうやら褒めろと示しているらしい。成程、と納得したミハルは戯れに手を伸ばし、少女の魔女帽子を軽く撫でてやった。
 するとエチカは満足気な表情でカスカ達に手を振り、またのう、と告げて別のテーブルへ駆けていく。
 その姿を見送ったリルは目の前の皿に向き直り、淡く微笑む。
「これがけーき。星型苺……ふふ、あの子みたいで可愛いな」
 思い出したのは小さな友人の姿。
 リルがフォークを手に取ると、カスカがそっと提案を投げかけた。
「実は、あまり多くを食べられなくてね。もし、良かったら少しシェアしないかい?」
「いいのかい?」
「甘味を摂る習慣は無かったのだが、そうだな。相伴に与ろうか」
 リルが嬉しそうに問い返し、ミハルも折角の申し出を断るまいと答える。どうやら運ばれてきたものの中には甘さが控えめの茶菓子も交ざっているらしい。
 そして、不思議な縁で繋がったお茶会が幕あける。
 相席者の話に耳を傾けることも、他愛の無い相槌を打つこともミハルにとっては新鮮で面白いもの。同じ時間を過ごす機会を示してくれたお陰だな、と感じた彼はカスカへの感謝を抱いた。
 戦の庭を離れて仰ぐ星の灯は殊に温かく見える。
 いつかまた、と生まれた願いは心中に仕舞い、ミハルは今を愉しむことを決めた。
 一口食べれば幸せの味。
 甘い心地とちいさな安らぎの時間。
「チョコレートもあるの? 他のももっと食べてみたいな」
 初めての味と幸福感にリルが笑み、カスカもお茶の時間を大いに楽しんでいく。そして煌めく星灯の天蓋を見つめた彼女は、心からの思いを紡ぐ。
「ボクは、人が好きなようでね。この星空は綺麗でとても楽しい、な」
 その声にミハルとリルも頷きを返してゆっくりと過ぎていく時間に身を委ねた。
 見渡せば、笑顔と笑い声が溢れている。
 話し声が歌のようで心地よく、リルは花唇をそっとひらいた。
「歌いたくなる心地良さだね」
 ――守れてよかった。
 平穏の中で感じる思いは穏やかで、星彩が煌めく空間にやさしく満ちていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日


挿絵イラスト