エンパイアウォー㉔~攻められてる? むしろ攻め落とせ!
「みんな、朗報よ」
サムライエンパイアの戦争の影響で猟兵たちがごった返すその場所を少し避けるように、皆から見えるように配慮したのだろう用意された壇上で、純白の六翼をゆったりと動かす瑠璃凰花・未来(神避の熾天使・f13139)。
「信州上田城の戦いを制したことで、新たな予知を確認したわ。撤退を余儀なくされた上杉軍は、主力が関ヶ原に向けて移動してることから、本拠地である春日山城の防御が手薄なことが予測されてるの」
春日山城の防御が手薄な今こそ、その隙をつくチャンスに他ならない。ここでこのチャンスを逃してしまえば、次に攻め入る機会はないだろう。失敗しても同じことが言える。むしろ、今回の件を教訓により防御を強化され、二度とその機会が訪れることはなくなると言える。
逆に、ここで春日山城を落とせれば、信長軍に関する重要な情報や攻略のための物品など、得られる対価は非常に大きい。ここを攻め落とせれば、この後の戦争に大きく貢献することとなり得るだろう。
「本拠地を守ってるオブリビオンの数は大体一〇を超えるわ。細かい数はわからないけど、集団戦を想定した準備が必要よ」
戦闘は本拠地の敷地内。転送後すぐに会敵、戦闘になるだろう。その他の情報としては、空中を漂う存在であり、鈴の音は時に黄泉の国への扉を開くこともある存在だと言う。
「ユーベルコードによる攻撃の他、鈴の音色による攻撃とかの間接的な攻撃にも気をつけたほうがいいわね。それじゃ、転移門を開くわね、健闘を祈るわ」
そう言って、水晶玉を活性化。淡い黄色の輝きを放つと、展開された魔法陣から転位の為の扉が開かれた。
るっこい
はいどうも、夏バテ気味なるっこいです。OP出すと言いながら出せてないのはそれが原因だったりします。手短に行きます。
●第一章
このシナリオに成功する事で、春日山城の攻略度が5%づつ進みます。攻略度が100%になると、春日山城を制圧する事が出来ます。
詳しいことはオープニングに書きましたのでそちらを参照願います。それ以外は特にありません。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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●プレイングについて
同行者の方がいる場合は一行目にお相手さんのお名前とID、もしくはグループ名をお書きください。お名前の場合はフルネームでなくて構いません。
絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎の方、字数に余裕があればお書きいただけると助かります。ステシでもOKです。とてもとても書きやすくなります。
また省略文字もご利用いただけます。詳しくはマスターページを御覧くださいませ。
まだまだ不慣れな部分が多く拙い文章になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
第1章 集団戦
『黄泉の本坪鈴』
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POW : 黄泉の門
【黄泉の門が開き飛び出してくる炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【地獄の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 人魂の炎
レベル×1個の【人魂 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ : 後悔の念
【本坪鈴本体 】から【後悔の念を強制的に呼び起こす念】を放ち、【自身が一番後悔している過去の幻を見せる事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:marou
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アゼリア・リーンフィールド
アドリブ絡み連携歓迎
サムライエンパイアのお城は美しくて好ましいですね。ふふ、戦いとはいえちょっとわくわくしてしまいます。
到着したらすぐにユーベルコードを使用します。奇襲気味の範囲攻撃で相手の意表を突くことが狙いです。
氷による攻撃になりますが、鈴を凍らせることでそれを使用した攻撃の効果を弱めることができれば、と。
わたしの人生……いえ、神生に後悔なんてございませんのであまり心配していないのですが、他の方は違うかもしれませんから!
また、氷による寒さは動きを鈍くさせることも出来るかもしれません。
もし攻撃力が足りなかったら、お花の入ったバスケットで各個殴って攻撃していきます。
うふふ、がんがん参りますよ!
セルマ・エンフィールド
M
どうにも上杉謙信は敵の中でも色々と情報通な様子、所持している剣も気になりますし……ここを攻めておく価値はありそうですね。
隠れて奇襲や暗殺というわけにはいきませんか。では正攻法でいくとしましょう。
【氷の狙撃手】で飛ぶ敵を狙い撃ち落としていきます。近接戦闘が得手な猟兵もいるでしょうし私は出来る限り手の届きにくい上空の敵を狙いましょう。
立ち回りは人魂の炎に囲まれないように一所に留まらないように。また多少の延焼であれば氷の銃弾で火の勢いを弱めたところを『火炎耐性』を頼りに越えて炎の壁にも囲まれないようにしていきます。
鈴の音が黄泉の国への扉を開くというのであればご自由に。通るのはあなたたちだけですが。
転移の扉をくぐった猟兵達の眼前にまず入ったのは、数体のオブリビオンの姿。
それを視界に入れるとほぼ同時、いや、見てすら居ないかも知れない速さで、アゼリア・リーンフィールド(空に爆ぜた星の花弁・f19275)はそれを放つ。
フラワリング・スタッフとお花の入ったバスケットが変化。散るようにして舞ったのは、花びらのようで、しかしそうではない――
――リーン、リー。
安らかな眠りを誘う静かで澄んだ音色が、途絶える。
「奇襲は成功、のようですが……」
しかし、到着と同時に奇襲を狙った《冬に輝く幻想の花》による範囲攻撃。氷の花びらによって凍らせることが出来た個体は、たったの三体。もともと数はさほど多くはないが、聞いていた数よりもかなり少ない。アゼリアの為せる二七メートルという範囲では、それにも限界があった。
――ボッ。
何処からかそんな音が聞こえる。音のした方向を見れば――
「しまっ――」
た、と思う同時には、それはもう眼前。上がる揺らめきは、黒き炎によるものか。
だが、どういうわけか、アゼリアの身に降りかかるはずの脅威は、特になく。目の前を漂っていたそれは、鳴り響いた一つの銃声とともに眼前で消えていた。
「大丈夫ですか?」
「ええ。ありがとうございます」
扉をくぐってきたもうひとりの猟兵、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)。彼女の持つ愛銃、フィンブルヴェトの砲身からは、一筋の煙が昇る。銃口の先を見ると、屋根の上に、《氷の狙撃手》によって氷漬けにされた一体のオブリビオンが確認出来た。アゼリアが見ていた方向からずれており、完全な死角の位置。
先程アゼリアが見た黒い炎。オブリビオンの《後悔の念》だろう。しかし、アゼリアには、後悔などない。人の悪意すら許容し、思いつきで行動する彼女。そしてその身に起きる全ては、それが運命と受け入れてしまうが故に、何事もなかったのだろう。
互いに背中合わせになり、周囲を警戒する。二人の視界には、凍った合計四体のオブリビオンの姿しか見られず、他には確認出来ない。
「聞いていたより数が少ないですね……巡回しているのでしょうか?」
「いえ、おそらくは……既に集まってると思います」
セルマの言葉に、アゼリアは否定する。それは、先程聞こえていた鈴の音。それが唐突に止んだ。自身の攻撃で五体を凍らせ、止めたことが主な理由として上がるだろうが、それにしては、“静か過ぎる”。
敵の姿がわからず、相手はこちらの様子を隠れながら伺っているのであろう状況ともなれば、二人は動くことが出来ない。迂闊に動けば、出来た隙を突かれる可能性がある。
しかし、同時にその状況は非常にまずい。囲まれることを警戒するセルマに、僅かな焦りの表情が見えた。
――リン。
「――そこです!」
「え……?」
無茶を承知でこちらから動くしかないか、そう考えていた時。それは、本当に微かだった。アゼリアには聞き取れないほどのごく僅かな、澄んだ音。唐突に吹いた風に揺られ、浮遊する胴体が揺さぶられてしまったことで、鈴の中身が僅かに転がってしまったのが原因だろう。狙撃手であるセルマが、聞き逃すはずがない。
音のした方向に迷いなく放たれる、氷の弾丸。姿こそ見えないが、着弾箇所が氷結するという特性を持つその弾丸ならば、ごく小さな範囲を巻き込める。
そう踏んで放った結果、やはり、完全に凍らせることは出来なかったが、動きを鈍らせることが出来た。
それが火蓋を切る合図となり、セルマとアゼリアの周囲に現れる、無数の炎。
「やはり、こうなりますか……!」
青白く輝くその炎は、一つ一つの大きさはさほどでもないが、数が夥しい。おそらくは残敵全てが総動員し、合体なしに放ってきた《人魂の炎》だろう。
だが、どういうわけか、その炎は一つ一つの動きがひどく鈍い。
「ふふ、いくら人魂でもこの気温では動きが鈍るようですね?」
「そういえば、やけに寒いですね……」
得意げな表情のアゼリア。よく見ると、先程のアゼリアの攻撃の影響か、地面が凍りついている。注意せず歩いても滑るほどの凍り方ではないが、現在の気象を考えれば異常とも言えるその現象。
「でもこれなら、対処はしやすいです……!」
動きが鈍い炎ならば、やることは単純だ。囲まれていようとも問題はない。セルマは次々と氷の弾丸によってその炎の勢いを弱め、突破口を作るとそこからアゼリアと共に抜け出す。
「こちらの番ですね、がんがん参りますよ!」
そう言って、アゼリアは再び氷の花びらを散らせる。先の炎を出すためだろう、今はあちこちからリン、リンと澄んだ音が聞こえる。音が聞こえるならば、場所の特定も容易い。
その方向へ向かいながら、氷の花びらを飛ばせば、それから逃げるようにして物陰から出てくるオブリビオン。抵抗する意図だろう、鈴を大きく震わせけたたましい音を響かせ、アゼリアの氷の花びらを僅かに相殺するが、全てには至らず、次々凍結していく。
まんまと逃げおおせたオブリビオンも。
「逃しません!」
セルマという狙撃手を前に、逃げられるはずもなく。
「えいっ!」
最後に体の一部を凍結させられ地面に転がった一体は、アゼリアが振るったどう見ても鈍器としては柔らかすぎるであろう――しかも花びらが舞うと共にドスッという明らかにとてつもなく硬い何かで殴ったような鈍い音が響いた――お花の入ったバスケットによって倒されて終わった。
最初のと合わせ、合計十四のオブリビオンを撃破した二人。
「ここは、これで終わりのようですね」
「それなら、次に行きましょうか!」
しかし、春日山城はそこだけが全てではない。別の敵や、情報を探るべく、アゼリアとセルマの二人は、他の探索に向かった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーキー・オルコル
空を飛ぶなら得意な相手だな
城攻めか
昔を思い出すな
革命を狙って街の領主を倒そうとしてた頃をな
ま、苦い話はしない主義だ
まとめて打ち落としてやる
世界を変えたいってのは嘘じゃないしな
こっそりと城に忍び込み
あたりを確認しながら敵を探して回る
【マジックスナップ】を使い忍ばせているナイフを投げて戦う
小刻みに移動を繰り返して相手の攻撃を除けながら見つけた敵を倒していく
仲間が危ないときは助けに行く
ついでに城の中を物色
敵の情報がわかりそうなものがあったら持って帰り
投げられそうな小物があればそれも使い敵を倒していく
鈍器なら頭を狙い、刃物なら胴か翼を狙う
「戦いは空しいね
屍が積み重なるだけだからな」
にやりと皮肉げに笑う
(城攻めか……昔を思い出すな)
別所で始まった戦いの音をその耳に入れながら、目の前の城を見上げ何かを懐かしむ様子のリーキー・オルコル(ファスト・リー・f05342)。かつてのあの戦いに似ていると思ったのだろう。
だが、すぐにその思考も切り替えた。視界に入った、宙に浮くオブリビオン一体。そいつから隠れるように、物陰に潜み、そして、音もなく放たれる一つのナイフ。
――リーン。
そんな澄んだ音色が、一つ、減った。鈴の上に乗る本体にぶち当たり、見事に撃ち落とす。
耳を澄ましてみれば、近くから聞こえる戦いの音以外に、聞こえる自然のものではない音は複数。しかし、その一体を倒したことで、聞こえていた澄んだ鈴の音は全く聞こえなくなった。
(聞こえてた鈴の音は、黄泉への扉を開く以外に、仲間同士のやり取りにも使われてるって線はありそうだな)
周辺に関してだけ言えば、不気味なほどに静かになったその場所で、リーキーは一人考える。
完全に音が止んだ。それが意味するところはすなわち、この場所では侵入者を告げる合図でもあるのだろう。オブリビオン達はその侵入者を探しているのか、それとも既に見つけ臨戦態勢なのか。
何れにせよ、忍び込むのに先に一体落としたのは失敗だったと気づかされた。今ここで下手に動けば、狙い撃ちされる。
(せめて何処に隠れてるかがわかればな)
注意深く周囲を見回す。敵の姿は見られない。先の一体はたまたまこの辺りを空中から警らしていた個体なのだろう。先程まで聞こえていた音を頼りに位置を探るが、一体として見つからない。
(……物は試しか)
手元にあった小石を拾い上げる。一か八か、その思いで、あてもなく空へそれを放った。僅か〇、〇四秒というその速さで放たれる石。《マジックスナップ》の対象は目の前にある投げられそうなものであり、それこそ野球ボールサイズのものでも容易く投げられる。
その瞬間、その石目掛け、複数の炎が襲いかかった。
(なるほどな)
どうやら見つかっては居ないらしい、そう悟ったリーキーは、影から影へ、その身を移動させ、ついでにその石に放たれた炎を辿った先に居たいくつかを倒していく。
(潜入成功っと……)
うまく物陰を辿って入り込んだ城。敵の姿は見られないが、注意しつつ奥へと進む。
目についた投げられそうなものを手にしながら奥に進み、遭遇する敵はそうした目についた投げられそうなものを物陰からはなって倒していく。手にしたものに合わせ頭や胴、翼を的確に狙っているためか、抵抗されずに容易く倒せている。
「ここは……」
入り込んだ一つの部屋。誰かがそこで過ごしていそうな部屋だろう、その場所で。机の上に広げられたままの巻物を見つける。所謂書斎のような場所らしい。ちらっと内容を見ると、どうやらメモ書きのようなものらしく、敵に関する情報が乗っていた。
それを巻き、懐にしまい込みながらふっと口角を上げる。
「戦いは空しいね。屍が積み重なるだけだからな」
かつて似たような戦いを経験したことがあるからこそだろう、皮肉を込められたその言葉に、答えるものは居ない。
得るものは得た。リーキーはそれを手に、城から脱し、帰還していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ロザリア・ムーンドロップ
本拠地の守りを薄くしても私達に勝てると思われているのでしょうか
それだと何だか悔しいですね……
よーし、本拠地を潰して、私達の力を見せつけてやりましょう!
武器に【スチームエンジン】を使って破壊力アップです!
『クレセントブレイカー』につけて敵を叩けば、いい音が出る気がします!
音の攻撃には音で対処ですね!
相手より大きな音が出せるように力いっぱい叩きますよー
敵を吹っ飛ばすことができたら、他の敵がいる場所へ狙ってみましょう
つまりピンボールです! たくさん当てて撃破ポイント(自作)を稼ぎます!
後悔といえば、以前レストランでちょっと大きめのパフェを食べようかどうか迷って
結局残すのが心配で食べませんでした……
火土金水・明
「しかし、この春日山城も上杉謙信と一緒に復活したオブリビオン的なものでしょうか?。サムライエンパイアの世界の詳しい歴史は知りませんけど。」
【WIZ】で攻撃です。攻撃は、他の方に合わせて【援護射撃】にして【高速詠唱】した【破魔】の【属性攻撃】の【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『黄泉の本坪鈴』達を巻き込めるようにして纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「とりあえず、オブリビオンは骸の海に帰りなさい。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
「てやー!」
転送早々、目についたオブリビオン目掛け手にしている杖を振るいに掛かるロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)。
――リーーーン。
一際高く長い、澄んだ音が鳴り響く。
「やはり、いい音が出ました!」
三日月形の魔法石による装飾が施されるその杖には、似つかわしくない機械武装。しかし不思議と一体感のあるそれは、《スチームエンジン》によるものだ。エネルギー噴出口であろうその場所から吹き出す炎が、彼女の打撃力を大きく増加させていた。
「ってあれれ、すっごく集まってきましたよ……?」
音には音で対処、そう考えていたロザリア。だが、その一撃で倒すには至らず、寧ろ何故か集まってきたいくつものオブリビオンに囲まれることとなる。
どうやら、高く長い鈴の音は集合を意味する音のようで、集まってきたものらしい。
「それなら、こうです!」
集まってきたのなら寧ろ好都合。先程叩いた個体目掛け再びクレセントブレイカーを振おうとするが――
「っとと!?」
――思いっきり空振った。同じ手が通じるほど甘くはない。
囲まれた状況でその大きな隙。敵からしてみれば格好の獲物だ。オブリビオン達は容赦なく出来たその隙に、黒い炎を浴びせるが――
「集めてくれて感謝しますが、危機的状況というのは鑑みるべきかと……」
――降り注いだ氷の雨が、纏めてオブリビオンを散らし、その炎を阻止する。
火土金水・明(人間のウィザード・f01561)、彼女が放つ《コキュートス・ブリザード》だ。
「あ、ありがとうございます、助かりました!」
助けられたことにお礼を言いつつ、周囲を見回し次なる敵を探すロザリア。それが彼女なりの頑張り方なのだろう。
それで倒せた数は約六体、というところか。聞いていた数と比較して足りていない。
――リーン。リーン。
「今のが全てではないようですね……」
何処からともなく聞こえてくるその音に、七色に輝く杖を握る手に自然と力が籠もる。いつ次が来てもすぐに対処出来るようにと、明は警戒を強めていた。
「音は聞こえても、姿が見えないですね」
落ち着いて気配を探り、索敵する明とは対象的に、周囲をキョロキョロと見回し続けるロザリア。
――リリーン、リリーン。
再び聞こえるその音は、先程とは少し異なる音色。耳を澄ましてみれば、反響するようにあちらこちらから聞こえる。
「なるほど、そこですね!」
そう言って、迷いなくロザリアが突っ込んだ。
「あ、ちょっと……!」
その音色で位置を特定したのはロザリアだけではなかったが、彼女の行動に明は半ば呆気にとられる。
音色が聞こえた位置は、“そこだけではない”。
「てーい!」
その場所に積まれる箱の後ろを攻撃すべく、大きく跳躍したロザリア。飛んで見れば確かに、そこにいることが伺える。狙うは、その一体――
――リーーーーーン
またも一際高く長い音が鳴り響いた。
「撃破ポイント、稼ぎますよ!」
まさかその状況下で攻撃してくるとは思ってもいなかったのだろう、見事にクリーンヒットしたオブリビオンは、地面に叩きつけられるのではなく、ふっ飛ばされた。それはもう、ゴルフボールのように、鮮やかな弧を描いて。
――リリリン!
まるで慌てて鈴を振ったかのような音が別所から聞こえる。その刹那。二つの鈴の音が響いた。お世辞にも綺麗とは言えない奇妙な音。
見れば、ふっ飛ばされた個体が別の個体にぶち当たり、弾かれていた。
「ふふん!」
得意げな表情のロザリア。しかし、危険を顧みず行った行動の代償は大きい。
「はっ……!?」
気づいた時には既に遅く。目の前に現れた黒い炎を、直に視界に入れてしまった彼女。
「あれは……うー、やっぱり食べておけばよかったです……」
そこから幻視した光景は、以前行ったレストランで食べ残った大きめのパフェ。残すのが心配で食べれなかったことを悔いているらしく、主にロザリアの胃袋に大ダメージ。無慈悲に鳴り響くその音。
「ええっと……」
その炎も長くは続かない。それは、そんな様子のロザリアに戸惑いながらも、残してあった複数の氷の矢によってそれを見せていた個体を撃破した明のおかげ。
「はっ、そうでした、パフェを悔いてる場合じゃなかったです!」
黒き炎の攻撃を受けながらも我に返ったロザリアは、次なる目標に向け、駆ける。
隙を晒して攻撃を行う彼女に、寧ろ明は助けられてると言えた。隙だらけの彼女を狙って攻撃する個体が次々と出てきてくれるために、それを狙って出来る隙を突けるからだ。
「敵の位置を探りやすくしてくれてるのはいいのですが……少し心配ですね」
援護が大変だと思いながら、破魔効果もある氷の矢を次々と飛ばし、各個撃破。
「とりあえず、オブリビオンは骸の海に帰りなさい」
そうしてできた自身の隙を狙って来る個体に関しては彼女を守るオーラの加護がそれを許さず、寧ろ返り討ちで終わっていた。
結果的に、ロザリアが撃破したのも合わせ一九体のオブリビオンを撃破。それでその地域のオブリビオンの気配はなくなり、任務完了となった。
「しかし、この春日山城も上杉謙信と一緒に復活したオブリビオン的なものでしょうか? サムライエンパイアの世界の詳しい歴史は知りませんけど」
「それは違うと思いますよー?」
明の言葉を否定するロザリア。別世界であれば或いは跡地になっているかも知れないその場所は、しかし、そこは“サムライエンパイア”。後に取り壊されるなりされるかも知れないが、今はその形をしっかり残していてもおかしくはないのだ。
成功
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