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誘いと歌はひとりを嫌う

#UDCアース

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#UDCアース


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 たるらりらったー、たるらりらったー、たるらりらったったー。
 たるらりらったー、たるらりらったー、たるらりらったったー。
 歌声響かせ彼のモノはユく。歌声纏って彼のモノらはむかってユく。
 たるらり、たるらり、たるらりらー。

「UDCアース。事件を予知した世界の名前です。皆様ご存知でしょうか?」
 グリモア猟兵、煌石・庭園水晶(庭園で佇む静寂・f10825)は考えるように首をかしげる。
「私が何か、それはどうでもいいでしょう。ですので、予知の話をしましょうか」
 事件はとある街の一角。その場所では数名の少女が姿を消していると言う。現在まででその数は11人。予知をしたのは12人目となる少女が消える瞬間。
 フードをかぶった人陰が少女に話しかけ、少しの問答をした後に少女とフードの人影がが、歌いながら夜の街中に消えていく。それが今回、庭園水晶が予知した事件だ。
「その街では夜になると若い女性、少女に声をかけてどこかへ連れて行こうとするスカウトマンが何度か見受けられているようです。それが今回は関係しているのかもしれませんね。行方不明となった少女達の数が数です。警察はただの家出としているようですが、憶測推測、人の心や伝え方に鍵などかけることはできません」
 つまり現地に赴き何かしら調べれば、埃や情報は出てくるだろうと庭園水晶は微笑みながら話をする。
「行方不明の少女達が見つかればよいですが今回の皆さんの目的は、フードの人影に連れ去られる少女を何とかしてのがれさせること。その上で事件を起こしていると思わしきフードとその背後に繋がる『何か』を討伐していただくことです」
 目的が達成できるのであればどのような行動を猟兵達がとるかは、好きに選んでもいい。彼女はそう告げる。

「では、よろしくお願いします。頼もしき猟兵さん達」


阿離磨
 はじめまして。阿離磨と申します。マスター経験は初めてですが、精一杯頑張ります。

 出ている情報は、グリモア猟兵の庭園水晶が話している通りとなります。
 それでは、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『甘い誘惑』

POW   :    街を歩き回ってスカウトマンを探し出す

SPD   :    家出少女としてスカウトされる

WIZ   :    監視カメラや聞き込みでスカウトマンを特定する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


たるらりらったー、たるらりらったー。きょうはどの子を誘おうか?
 たるらりらったー、たるらりらったー。きょうもだれかと歌おうか?
 たるらりらったー、タルラリラッター?だけどおかしい、おかしいぞ?

 あれれ何かがおかしいぞ?たるらりたるらり、たるらりらー。
赤月・句穏
九条・文織(f05180)と同伴

【WIZ】高いビルの上から動かずじっと見降ろし怪しい人物を探します。
「あっ。文だっ…。」
文の探す姿を見つけて観察しようと、「っは。」首をぷるぷる振って、いけないわと相棒と違う範囲の捜索を開始
まず少女を探して、次に周囲に彼女へ接触しそうな者を探します
一人ぼっちの少女、少女ばかりの集まり、家族と一緒
怪しげな輩がいたら、UDCエージェントに借りてる携帯で連絡し合い情報共有
「…これ以上、被害を出さない方向も大事です。文、少女らしき被害者足りえる該当者がいれば、目を離さずこれを護衛してくださいませ。」
敵らしき者を把握したら少女を被害から守るように敵から遠ざけ敵を泳がせます


九条・文織
赤月・句穏(f05226)と同行する。

POWで判定する

「若い女性とスカウトマンか・・・。あたりをつけるならまずは若い女性の多そうな所かな?」
街を歩きまわり、怪しいフードの人物または若い女性に向かって話しかけている人物を探す。

「特徴のある相手だし、歌ってる可能性もあるからそれなりには見つけやすいとは思うんだけど、ね。」
他人から見て自分が不審者に映らないように気を付ける。
歌、フード、若い女性と二人組、と言った特徴と照らし合わせて周囲を捜索する。

「句穏、そちらはどう?何か情報は入った?」
UDCエージェントに携帯を用意してもらい
句穏と連絡をとりながら、お互いに情報交換する。



・九つの条と赤い月の場合

高いビルの上から、赤月・句穏(界渡りの旅行者・f05226)は街を見下ろしていた。共に行動していた大切なパートナーである、九条・文織(界渡りの旅行者・f05180)とわかれて行動していたが、街中を歩く文織の姿を空の様な青い目で見つけると、思わず声がもれる。
(い、いけないわ。文とは別の場所で、私も行動しないと)
首を振って句穏は街へとおりる。
昼と夜の境目が消えて、濃紺が空を染め出す頃。人に紛れて件の標的になる可能性のある少女を探し始める。
ひとりで歩く少女、少女達が集まるグループ、仲睦まじく家族と歩く少女。
 そんな人の流れを注意深く観察しながら、ふと句穏の耳にフレーズが聞こえた。
「たるらり、らったー」
 目を向けるとそこには大きなカバンを持ったひとりぼっちの少女が、小さな紙を持って周りをきょろきょろと見まわしていた。
「あの、どうしたの?」
句穏の言葉が自身に向けられたと理解した少女は、目をぱちくりとさせて慌てたように手で自分の口をおさえた。
「き、聞こえてました?」
「えぇ。変わった歌ね。たるら?」
「私にこの名刺をくれた人が、歌っていたんです。意味は分からないんですが、印象に残っていて」
 恥ずかしそうに少女は手の中の名刺を句穏に見せる。そっと受け取ってみると、そこには住所と電話番号、そして特に印象に残らないような名前が書かれていた。
「ここへ行くの?」
「行くかどうか迷っていて。ひとりででてきてしまったんですが、知らない人について行かない様にと言われていて」
 それなら、と句穏は柔らかく微笑んでみせる。
「そのカード。私に譲ってくれないかしら?少し、探しているものがあって」
「おねえさんが必要なら、どうぞ。私は、もう少ししたら家に戻ろうと思います」
 名刺を渡すと、少女は小さく頭を下げて人の流れの中に消えて行った。
「ひとりでここへ行ったら怒られるものね。文に連絡を取らないと」
 荷物の中からUDCエージェントに用意してもらった端末を拙くいじると、パートナーである文織にコールを飛ばした。

 時を同じく、文織も人混みに紛れ込んでいた。
「若い女性とスカウトマン、か」
 あたりをつけるならば若い女性の多い場所かと、街を歩き回りスカウトマンの特徴であるフードの人物を探すため、愛しいパートナーの色をした青と赤の目で、あたりを見回した。
 文織がひとりで周囲を確認していると、何かに見られるような、視線を感じた。反射的にそちらを見ると、白いフードをかぶった人物がたっていた。
 いつの間に、と思いながらもその人物を見ていると、フードの人物は文織に向かって言葉を放った。
「たるらりらったー!おひとりですか?」
 その声は明るくあかるく。一声でわかるのは、年若い女性である、ということだった。
「おひとりにみえるか。そちらもオヒトリか?」
「今はおひとり、たるらりら!今夜の寝床はお決まりで?」
 首を小さく傾げて、じっと向けられる視線に文織は是とも否とも答えなかった。
「もしもお決まりでないならば、こちらにお越しくださいな」
 たるらりらー、と歌いながらフードの女性はポケットから一枚の紙を取り出して渡す。受け取って見ればそれは簡単な地図であることがわかる。そして目的の場所であろう部分に大きな赤い丸がついていた。
「ここがそちらの行っている寝床というものだろうか」
「たるらりらったぁ、そのとおり!まだひらいてないけれど、ながーいはりがぐるっと3回まわる頃に、気が向いたらきてくださいな!」
 フードが外れないかと思うほど大仰に女性はお辞儀をすると、同じフレーズを歌いながら人の波の中に溶けるように姿をまぎれさせ、見えなくなった。
 地図を見ながら文織が、ふむと口の中で呟くと同時に荷物の中の端末が音を立ててブルブルと震えはじめた。
 慣れない手つきで端末を弄り、コールを受けると端末から大切なヒトの声が聞こえてくる。

「文、あや?きこえますか?」
「ん、できれば直接、姿を見て声がききたいな」
簡単な2人の挨拶を交わすと、それぞれが手にした情報を端末で伝え合い、次はどうするかと話し合いを始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

唐草・魅華音
ひとまず、攫われた人の特徴は把握。それを元に動くなら…囮を兼ねた調査が最善と見るね。不慣れな任務だけれど…最善を尽くすよ。

ラフな格好で夜の街を一人で歩くね。人気のない道をわざと使って歩き回りつつ一人でいても不自然じゃない所…夜でも空いてるコンビニ、って所があるんだっけ?そこへ向かって、たむろして喋ってそうな人を目標に、まずは少し離れた所で何気に話の内容を聞いて、行方不明の女性の噂とかを始めたら、近くによって「ねえ、その噂気になるから教えて?」って些細でもいいから情報を得られるか話しかけるよ。攫う相手らしいのと接触したら、自分の意識を保つ事だけを意識して、ワザと相手について行くようにするよ。



・音も魅せる華の場合

 唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)は人気の少ない道をあえて歩いていた。足取りは確かに、しかしそれとなく周りを見回しながら向かったのは、夜間でも明るいコンビニだ。
 店内に入ることはせず、コンビニの前にいる若者のグループに目をつけると、声が聞こえる距離で不自然にならない様にそっと話を聞きはじめる。
 若者たちの話は最近話題のゲームの話や友達関係の話など取り留めもなく話題はコロコロと変わっていく。
 このグループはあまり関係がないのだろうか、そう思い離れようとした時だった。
「この前この辺で仲良くなった女の子、全然見なくなったね」
「あぁ、タルラリさんに話しかけられていた子かな?」
 魅華音が確かめたいと思っていた話題が飛び出した。話題が変わらないうちにと、彼女はグループに近づき、声をかける。
「ねぇ、その話、気になるから教えて?」
 突然話に混ざることになったが、このグループでは珍しくないことなのか、それとも同じような雰囲気だと認識したのか、メンバーは笑いながら、いいよ、と話を続けた。
「タルラリさん、て私達が呼んでるフードの人がいるんだけど、家出したり学校をサボったような子たちに声をかけて、暇を潰せる場所を教えてくれるの」
「暇を潰せる場所?」
「うん。あ、でも、誰か場所知ってる?」
 若者のひとりがメンバーの顔をうかがうが、それぞれ首をふったり傾げたりの反応を返す。これ以上の収穫はないだろうか、と思った時、メンバーのひとりである少女が手を挙げた。
「私、この前これを貰ったよ」
そう言って少女が取り出したのは一枚の紙。内容が細かいわけでもなく、大きな文字で一文が書かれていた。

たるらりらったのあそびば、と。

そしてその隅に小さく、時間と思わしき数字が記載されている。
「その紙、もらってもいいでしょうか?」
 魅華音が尋ねると、少女は笑って了承し、紙を渡してくれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・ゆい
【SPD】
ほっほー少女連続失踪事件ってやつですなー?よくわかんないけど
わたし探したり調べたり苦手なのよね~
だから~そのフードかぶったスカウトマンに連れ去られちゃうぞ~♪
楽しそうだし♪

時間は深夜でいいの?
その連れ去られた現場の~ひと目につかないとこでのんびりスカウト待ちしようかな~
質問とかされたらこの世界に合わせてうまーく誤魔化さなきゃね
あ、警察さんとか来たら【迷彩】で隠れるよ~

フードの人来たらなーんにも知らない家出少女のフリしてついていくの♪
とりあえず真相がわかるまでずーっと言うこと聞くいい子でいるつもり
なんかバレそうになったら【誘惑】で誤魔化すね

何が起きてるのかな~ドキドキしちゃうね~♪


ベルンハルト・マッケンゼン
【POW】アドリブ、他参加者との絡み大歓迎。

先行されたイェーガー同志達の尽力により、ターゲット出現場所とタイミングは判明した。
ならば、私の取るべき役割は一つだ。即ち……サーチ・アンド・デストロイ。
敵地偵察、ロング・レンジ・リコネッサンス・パトロール、略してLRRP任務だな。
「OK, 状況は理解した。戦術的に…フッ」

獲得した地図と時間を確認し、敵の出現予測場所に急行して潜伏、待ち伏せする。

“タルラリ”が出現したらユーベルコード、影の追跡者の召喚を使用。現れたシャドウチェイサーと共にターゲットの歩みを追跡する。
「待たせたな、相棒。オーダーはハイド・イン・シャドウ。ヤツのアジトを突き止めてくれ」



・東の雲と金の炎の場合

猟兵である少女、東雲・ゆい(それ以外の何か with グリモア・f06429)と傭兵であり猟兵である青年、ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)が、人の流れる波の中ですれ違う。言葉を交わすわけでもなく、緑と青、対の眼の視線が中で交わり、それぞれが思う通りの行動をとる。
ゆいは人目の少ない場所で移動し、のんびりとその場に立った。時折街を巡回する警察が通ったが、ゆいは目敏くそれを見つけると<迷彩>を駆使して上手く観察するような目から逃れた。
しばしの時間がった頃、喧騒の少ないその場所で明るい声が響いた。
「たるらりらー!おひとりですか?」
 フードをかぶった明るい声の人物が現れ、ゆいの前で首を傾げて反応を見るように首を左右に振り始める。
「うん、おひとりなの。家出したけど右も左もわからなくって」
「たるらりらったー!それならそれなら、遊び場においで!たるらりのあそびば!」
 両手を万歳するようにあげて、フードの人物はゆいを誘う。
「いくー!」
 断る理由のないゆいは、元気な返事を返す。
 たるらりらっと、歌いながらゆいをいざなう様に、フードの人物は歩き出すと、ゆいも見失わない様にとその後に続いて歩き出した。
一度だけ、自分の後ろを振りかえって。

そのやり取りを見ていたベルンハルトの行動は迅速だった。
「OK。状況は理解した。戦術的に、な」
 ふっ、と誰に向けるでもない笑いを浮かべた後、手に入れた情報を組み合わせる。
 地図の場所と時間、そして今、目の前で動きだした、ゆいとフードの人物。
 ベルンハルトは静かにユーベルコードを使用する。
「待たせたな、相棒。オーダーはハイド・イン・シャドウ。ヤツのアジトを突き止めてくれ」
 召喚した影の追跡者にそう声をかけると、それは何も言わずに是と行動に移す。
 タルラリの後を追跡するシャドウチェイサーの五感が、ベルンハルトにも伝わり、見ているモノ聞いているモノが身体情報として流れていく。
 陽気な足取りだがしっかりと道を歩む。そして惑わすように大通りや人気のない道をふらふらと歩き、少しずつ少しずつ、『人の音』が消えていく。
 やがてたどり着いたのはとある場所。周りに建物もあり、ちらほらと灯りが灯っている。そんな場所の建物と建物の間に、地下へと続く階段があった。
 タルラリが階段を下りていくのをシャドウチェイサーとベルンハルトは、視ていた。
「なるほど。そこが敵地だな」
 みたモノを記憶し、ベルンハルトは次はどのように動くかを考えるように、一度その場を離れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黄昏の信徒』

POW   :    堕ちる星の一撃
単純で重い【モーニングスター】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    神による救済の歌声
自身に【邪神の寵愛による耳障りな歌声】をまとい、高速移動と【聞いた者の精神を掻き毟る甲高い悲鳴】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    黄昏への導き
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自身と全く同じ『黄昏の信徒』】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


たるらりらったー。たるらりらったー。たるらりらったったー。

階段を下りて、暗い地下へ足を進めると、そこにあそびばはあった。広さのあるあそびばの床は赤い色彩が広がていた。赤と茶色の混合した床。それが何かの血であることは、みる者が見ればすぐにわかることだった。そして、部屋の隅で小さなカバンを持った少女がひとり、腰を抜かしているのか動けずに座り込んでいた。
そして、わざわざ観察するように見る必要もないほど、目につくモノがあった。
白いフードをかぶった、ソレ。
 ソレは入ってきた者達を見ると、上機嫌に歌いだす。

たるらりらった、たるらりらった、たるらりらったったー。

耳障りなその歌声に其々が思う通りの行動に移ろうとする。
その中に割り込むように、タルラリさん、と呼ばれていたフードの女性が明るい声で声を届ける。
「たるらりらー!みんながおかしいおかしいって言ってたのはアナタ達ですかぁ?私達の邪魔をするなら、かえっちゃってくださいー」
 もちろん、とタルラリは言葉を続ける。
「帰れ、じゃなくて、カエレ、なんですけどねぇ」
あそびばの奥の、何かわからぬ巨大な台座の様なモノの横に立ち、傍観の姿勢を見せる。
 直接邪魔をするつもりはない、らしい。ならばと猟兵達は自分の思う通りの行動を始めるのだった。
唐草・魅華音
この場の状況を見るに…細かい目的はともかく、純粋に害をもたらす存在と見て良さそうだね。ひとまず、他の人が力を発揮できるように、生きてる人の安全の確保からはじめようかな。
目的、民間人の保護と脅威の遮断。任務、開始するね。

少女の方へ走りながら、少女に近づけないように銃を乱射。少女と敵の間に割り込んだら
「周りに気を付けて。他の人の避難誘導以外ではできるだけ動かないようにして」
と声をかけてから【機略縦横の流法】を発動。攻撃回数を増やして少女に近づく相手を銃で牽制、近づいてしまった相手には刀で倒していくように動くよ。
「お前達の遊ぶ時間は…もう終わりだよ」



・音が魅せた華の場合

(この状況……あちらは純粋に害をもたらす存在、と認識しても良さそうだね)
 ならばと、唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)の行動は早かった。
「任務、開始するね」
 白いフードを纏ったソレらに銃を向け乱射しながら、腰を抜かして動けずにいる少女のもとへと駆け寄る。
 黄昏の使徒。ソレらの名前を口にする者はいないが、敵意のあるモノであることに変わりなどない。魅華音は軽やかに使徒と少女の間に割って入り、少女に一度だけ視線を向ける。
「周りに気を付けて。他の人の避難誘導以外ではできるだけ動かないようにして」
 言葉を投げられた少女は、言葉にならない音だけを繰り返し口にしながら、こくこくと頷いて見せた。
 少女の反応は見ていない。敵の前でいつまでも別の場所を見ていれば、それは大きな隙となる。白い白い使徒の集団を見、自身のユーベルコードを発動する。
『我はこの戦場に適応し、制する……流法、機略縦横』
 その間に、使徒は手にしたモーニングスターを振り上げる。隙は大きいが、それが当たったときの威力はどれほどのものか。
 しかし、魅華音はその隙すらも読み込んでいたかのように、手にした武器を全て用い、鮮やかに、踊るように、銃撃を乱舞させる。
 撃ち出されたその攻撃は、使徒達の振り上げた複数のモーニングスターを撃ち砕き、外れた攻撃のいくつかは使徒の仮面を欠けさせた。
(これで攻勢が少しおちれば)
 そう心の中で呟くが、使徒はその白いマントローブの中から新たな武器を取り出した。
 キリがない。そう思いながら状況の確認をするために他の使徒を見た。そして、気づく。

 仮面が欠けた使徒達が、どろりどろりと赤黒い粘液となって溶け消えていく様を。

 それを見つけた魅華音は、なるほどと心の中で呟く。
「よくわかった。お前達の遊ぶ時間は……もう終わりだよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルンハルト・マッケンゼン
(使徒達を前にしてニヤリと笑う)……大軍を蹴散らし少女を救出せよ、か。
かつて戦ったオルレアンを思い出す、な。
今回は蒼髭のジル閣下はご不在のようだが、まぁ、何とかしよう。
戦術的に…フッ。
ユーベルコード“Eisernen Hand”を最大火力で使用。
破壊と混乱を巻き起こしながら、
愛用のアサルトウェポン、シュネルフォイヤーを構えて突入。
少女の前に膝まずいて語りかける。
「貴女がジャンヌか? ……まぁ、どうでも良い。とりあえず、ランデブーと行こう、か。戦術的に…フッ。」

彼女をお姫様抱っこで抱えて戦場から離脱へ。
敵の攻撃や妨害はパワーと銃弾で押しきる。
「OK, 状況は理解した。いつもの通りだ、な。」



・煌々と灯る金の炎の場合

『Leck mich am Arsch!』
 何処からか響く声の後、ドンッ、と鈍い揺れと大きな爆発音が起こり、ガラガラと天井から瓦礫が崩れ落ちる。
 何事かと使徒やタルラリが様々な方向へ視線をやる
 そんな使徒達を目にしながら、ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)はニヤリと笑って見せる。その笑顔の真意を知るものは、ここにはいない。しかし、彼の胸の中には『現代日本』でなお語り継がれる伝承がある。それを抱きながら、ベルンハルトは愛用のシュネルフォイヤーを構えて、パラパラと瓦礫の屑が落ちる室内を駆けた。

「貴女がジャンヌか?」
座り込んで動くことのできない少女に、膝をついてそう語りかける。言葉をの意味を理解できぬ少女は目に涙をためながら、困惑したように眉を寄せる。
「……まぁ、どうでも良い。とりあえず、だ」
 ぺたりと座り込んだままの少女の手を引いて立たせると、ベルンハルトはひょいっと少女を抱き上げる。それはいわゆるお姫様抱っこと呼ばれるものだ。
突然のことに驚いて。抱えられた状態で少女はベルンハルトを見るが、彼は不敵に笑って見せる。
「ランデブーというこうじゃないか。戦術的に」
 ふっ、と自分へ向けた笑いをこぼして、出口までの道を見返す。全体の敵の数は少ないないが、目的の場所までの通る道筋に使徒の数は多くはない。
「OK。状況は理解した。いつもの通り、だな」
 ならばと、彼は敵の層が薄い場所へと床を蹴って飛び込む。隙の大きなモーニングスターの振りかぶりを見せる使徒が見えれば、必要の範囲で近づき、片足を軸にして白い仮面目がけてグオンと蹴りを放つ。仮面を割られた使徒達はその場でどろりとした赤い粘液となり、床へと消えていく。
 足刀の乱舞で消えていく使徒を気にもせず、ベルンハルトは少女を腕に抱えて、戦場となる地下から離脱した。

大成功 🔵​🔵​🔵​


・ソレはいったいナニなのか

 確実に数を減らして消えていく使徒達。
 しかしそれが続いた頃、部屋の奥の台座に変化があった。
 正確には、台座の上の空間に、だ。
 室内の暗さを集めているかのようにソレは渦を描いて形成される。
 まるで宇宙にあると言うブッラックホールのように。
 その奥で、キラキラと輝く何かが見えた。
 その奥から、美しい音が聞こえた。
 その奥から、敵意が溢れていた。
 それに呼応するように、使徒達は簡単なメロディを奏でる。

 たるらりら、たるらりら、と。
オリヴィア・ローゼンタール
SPD
凡その状況は伺っています、加勢に参じました
骸の様子を見るに、どうやら人間ではないようですね
遊びと称して人に仇成す邪教、殲滅します

【属性攻撃】【破魔】で槍に聖なる炎を纏い攻撃力を増強
【守護霊獣の召喚】で呼び出した黄金の獅子に跨り敵陣に突撃する

聖槍を【怪力】で【なぎ払い】、有象無象を蹴散らす
近づいてくる者は獅子の爪牙で引き裂く(【グラップル】【踏み付け】)

精神攻撃は【呪詛耐性】【鼓舞】で耐える
モーニングスターによる攻撃は強化された【視力】で【見切り】、
槍で弾いて受け流す(【武器受け】【カウンター】)

戦いながらも奥の台座の変化を警戒し観察する
(【視力】【情報収集】【学習力】)


唐草・魅華音
※可能であれば、オリヴィアさんとの共闘希望
ひとまず犠牲が出る可能性は避けられた。あとは脅威を排除するだけだね。

私も敵陣へダッシュするね。オリヴィアさんが突撃して混乱させていると思うから、それを信じて。
そして、彼女の背後にいそうな使徒を相手にして、仮面を中心に狙いを定めて武器を振るうよ。
「オリヴィアさん、ありがとうございます……心強い人が来てくれるのって、すごく気持ちが高まるね」
「あの歌……何かあるのかな。気になる……」



・銀糸が揺れる聖槍と戦を魅せる華の音の場合

 仄暗い空間を一条の光が断つ。その一閃は数体の黄昏の信徒の仮面を迷いなく薙ぎ、斬り落とす。仮面が失われた信徒はその面を晒す前に、赤黒い粘液となって床へと崩れ落ちていく。
 オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は長柄の槍を軽く振るいなおして、態勢を整える。敵の仮面を武器で撃ち抜き、斬り捨てていた唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)は、オリヴィアの姿を見、駆け寄る。
 そして彼女の背後に近寄り、武器を振り上げる信徒に、斬ることに特化した刀を振りぬき、白い仮面を音を立てずに斬る。
 わかっていた。そう言いたげにオリヴィアは魅華音へ視線をやり、柔らかな微笑を浮かべた。
「様子を見るに、人間ではないようですね」
 声に出し確認し、赤いフレームの眼鏡の奥で金色の煌めきが灯る。
「オリヴィアさん、ありがとうございます。……心強い人が来てくれるのって、すごく気持ちが高まるね」
 その言葉をひとつ口にだし、魅華音も武器を構えなおす。
 眼前に残る白の集団。臆する必要も怯む必要もない、と。
『天来せよ、我が守護霊獣。邪悪を引き裂く爪牙となれ――!』
 高らかにうたうようなその声に呼応したのは、3メートルは超えるであろう黄金に輝く獅子。その獅子に騎乗し、オリヴィアは槍を握りなおす。
 暗い空間を照らすように、邪な闇を追いやるように、槍に聖なる炎が纏う。
「人に仇成す邪教、殲滅します」
 声が消えるより早く、黄金の獅子は変色した床を力強く蹴り、敵陣へと猛々しく突撃した。勇ましく敵に向かうその背に、何者も近づけはしないと、魅華音も追随する。
 白い敵陣の中で、戦場を彩るように、舞い、躍る、銀の絹糸と華の艶色。
 信徒が耳障りな歌声を発すれば、敵の動きは俊敏となったが、その歌声すらもはらうように槍が振るわれ、そのひと薙ぎで敵の武器と仮面が砕けていく。
 槍を振るったその隙をついて、寄ってきた信徒がモーニングスターを振り上げ叩きつけようとすれば、風のように踊る華が狙い澄まし、迷いなく仮面を撃ち砕く。
 じわじわと減っていき、赤黒い粘液になって床に溶け消えていく白い敵の集団は、やがて集団ではなくなっていく。
 敵陣の中で嵐のように武器を振るう2人だが、意識はそこだけに集中させず、戦いが始まってから変化が見えた台座も注視していた。目立つ変化は、まだ見えない。しかし渦を巻くナニカはまだそこにある。タルラリと呼ばれていたフードの人物は目の前の攻勢を見ても、歌を口ずさんでいた。
 たるらりら、と。
(あの歌……何かあるのかな。気になる)
 耳に微かに聞こえるその歌を聞きながら、魅華音は残る敵を見回す。
 モーニングスターを振るいあげ、オリヴィアへ攻撃を行った信徒だが、攻撃を見切り、卓越した槍さばきでその攻撃は受け流される。
 手にした槍の矛先を振り上げる。
 手にした刀の切っ先を振り上げる。
 色の違うふたつの煌めきは、寸分狂わず、最後に残った信徒を文字通り頭から叩き切った。
 ドロリと溶けた最後のソレは床に消えていった。

「あぁ、あぁ、大変大変!みんながいなくなっちゃった!みんながたくさんきえちゃった!」
 タルラリラッタ。白いフードの彼女はくるくると回りながら、台座の前まで躍り出た。
「だけどいいの、だいじょうぶ!もうじゅうぶんにあつまった!」
 タルラリラッタ。床を見て、台座を見て、彼女は嬉しそうに手を広げて、台座の上で蠢く渦を見た。
「これでいい!わたしのねがいは、きっとかなう!」
 声が歓喜に満ちていた。
 声に狂喜が滲んでいた。
 声は確かに狂気をはらんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『鑼犠御・螺愚喇』

POW   :    友、死にたまふことなかれ
【友を想う詩 】を聞いて共感した対象全てを治療する。
SPD   :    怪物失格
自身の【友の帰る場所を守る 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    永遠の怪
【皮膚 】から【酸の霧】を放ち、【欠損】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


・おどけて踊った道化は、舞台から転がり落ちる

 渦の前で手を広げたタルラリは、台座を『持ち上げた』
 正確には、それは台座ではなく箱、だったのだろう。その蓋を持ち上げ、中をミせる。
 中にしまわれていたのは、人間だった。人間だった、肉塊だ。
 変色していたり、赤黒く染まったりしている、その死体に、ざわりざわりと床に溶けた粘液たちが少しずつ少しずつ集まり、群がる。
 耳障りな粘液質の音、残っている骨を砕く音、ソレらが箱の中でナニをしているのか。
 やがてシンと、一瞬の静寂が訪れる。
 そして、暗い渦の中から、得体のしれぬ手のようなものが伸びたかと思うと、箱の中で塊になった赤黒い肉塊たちをずるずると渦の中へと招き、吸いこんでいく。
 やがてソレすらもおさまると、渦の中から何かが聞こえた。
 美しい美しい、綺麗な何かの声。
 その声が大きくなり、渦の中からドロドロと、ドプドプと、黒と黄色混ざったモノがあふれ出、形を成していく。

 不定形で、歪で、いくつもの黄色い球を身体に連ねた、異形の怪物。

その怪物を見て、タルラリは響くような声を発する。
「あぁ!本当だった!ねぇねぇ、アナタは『友達を返してくれる神様』なんでしょう!」
 その言葉を聞いてか、怪物がピクリと動く。
「私の願い、私の友達を返してほしいの!その為にたくさん連れてきたの!たくさん用意したの!だから私の願いをかなえて、神様!」
 高揚した声で言葉を、願いを伝えるその女性は、カミサマと呼んだその怪物の反応をまった。
 怪物はブルブルと震え、ぶしゅりと霧状の何かを顔に噴きかけた。その霧を浴びた女性は悲鳴を上げて顔を覆い、床に転がり、悶絶した。
「いたい!いたい!?なんで、なんで!?なにこれ、痛い!目が、顔がいたい!!」
 叫ぶ女性を見下ろすように、怪物は綺麗な声を漏らす。その声が言葉なのか、ただの音なのかはわからない。ただ、ただ、こう言っているようにも思えるだろう。
 オロカモノ、と。
 怪物は腕の様な太い身体で女性を部屋の隅へと弾き飛ばす。鈍い音を立てて、タルラリと呼ばれていた女性は壁にぶつかり、動かなくなる。
 そして、目の届く場所にオロカモノはいないと認識したのだろう、次いで意識を向けたのは、目の前にいる存在だった。
 怒るような、憤るような、悲しさと憐れみと様々なものが混じった、確かな敵意を、猟兵という存在に向けていた。
碧海・紗
その肉の塊は、一体何人の命を犠牲にして…結局、完成したのはカミサマとは程遠い物。
あなたも彼女も、みんな愚か…

あなたの目には、私はどう映っているのでしょう?


身体能力が増大したり、先程の彼女に浴びせた霧も気になるところ。
近距離での戦闘は…ちょっと危険、かしら。

【紫苑】を使用
花も羽も武器もしまって、まるで無防備な状態を装いましょう。
その敵意が、少しでも侮蔑の感情を含んだなら…
あなたの周りには紫陽花が咲き誇るでしょう。

敵の攻撃は【フェイント】で回避を目論みます。
羽を広げて飛んでしまうのも手でしょう。

せめて、安らかに。



・碧い海を渡る雲の場合

 闇の中に美しい金が降り立つ。黒い翼を背に生やした碧海・紗(闇雲・f04532)は静かに黒い瞳を細め、壁の近くで横たわる女性と、怪物へ視線を向ける。
 その肉の塊は、何人の命を犠牲にしたのか。今となっては正確な数などわからない、けれども目の前にいる存在は、カミサマとは程遠いなにかであるものに違いはない。
「あなたも彼女も、みんな愚か……」
 けれど、と紗は指を口に当てる。
『――あなたになら、私は酷く冷たく出来る…――』
 金の髪に咲くクレマチスの花も、背中に生える黒い濡羽の翼も姿を消す。
 そこに立つ姿はただのヒト。武器すらも手にしていない彼女の無防備な姿を見、怪物は美しい声を響かせる。
 怪物にも感情があるのだろうか。
 その答えだと言わんばかりに、怪物の周囲にふわりふわりと大きな葉が現れ、その葉を彩るように紫陽花が咲き誇る。ぶるりと震えた怪物は、女性にしたのと同じように紫陽花に向かって身体から酸を噴霧する。しかしその霧を裂くように紫陽花の花びらと葉が舞い散り、何もかもを切り裂くような刃となって、怪物の歪な身体を傷つけていく。
 悲鳴にも思えるような綺麗な声が暗闇に響き渡る。『侮蔑』の感情を含んだ故に、裂き、誇った紫陽花の刃を、歪んだ長い肢を振るい吹き飛ばす。
 傷がついた身体を震わせて、ずるりずるりと進行を始める怪物は、敵意をさらに増幅させて声を響かせる。
 その声は旋律のようにも聞こえたかもしれないが、それに意味があるのかは、わからない。
 紗はその様を見て、自身の中にある気持ちを、声には出さない言葉にした。
(せめて、安らかに)
 暗き闇を引きずる怪物に、黒い翼の天使は精美な眼差しを向けた。

 綺麗な声のカミサマは、なきやまぬ怪物のまま、まだ泣いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アンテロ・ヴィルスカ
軽快な歌を口ずさんでいた割に、何やら事情があったようだね
まぁ、俺には関係ない事だが

人の道を外れた願いや力には、手痛いしっぺ返しが付き物だが…
生きているかい、ネイティ?

先ずは【ドーピングブラッド】
傷付いた猟兵がいればその血を貰い攻撃力を
いなければ甲冑の隙間から剣で自身を傷付けて、己の血で防御力を高めよう

神が微笑めばフードのネイティも、敵のPOWで回復するかもしれないね

回復したなら囮になってもらおうか
オロカモノはまだ生きているよ?と【おびき寄せ】る
死んでいるなら、黙ってこちらに来るだろう

他の猟兵が戦っている間
【迷彩】で双剣の一つを眩ませ、不意打ちの斬撃でも見舞ってみようか

君の手の内が知りたいんでね


ベルンハルト・マッケンゼン
他参加者との絡み、アドリブ大歓迎!
【方針:POW】

怪物を見て、ニヤリと笑う。
「クルスクを思い出す、な。あの時遭遇したのは、KV-1重戦車だったが……まぁ、似たようなモノか。戦術的に…フッ。」

敵の異形や部屋の惨状は気にしない。
「あぁ、分かっている。そちらにはそちらの事情があるんだろ? だが……知ったこと、か。我等は猟兵、ただ狩るだけだ。」

まずは挨拶代わりに愛用のアサルトウェポン、シュネルフォイヤーで射撃。
柱や調度品、家具の陰に飛び込んで敵の攻撃を回避。
陰に身を隠しながら、間のタイミングを図りユーベルコード“Eisernen Hand”をカウンターで最大火力使用。

撤退はしない。味方の援護を待つ。



・銀の十字の従事者と金焔の傭兵の場合

「クルスクを思い出す、な。あの時遭遇したのは……まぁ、似たようなモノか。戦術的に」
 ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)は怪物を見てにやりと笑う。
 その後ろで黒い双剣を手にしたアンテロ・ヴィルスカ(白に鎮める・f03396)が小さく呟く。
「人の道を外れた願いや力には、手痛いしっぺ返しが付き物だが」
 ちらりと部屋の隅で動かない女性を見、口の中で言葉をこもらせる。
(何やら事情があったようだね。まぁ、俺には関係ない事だが)
『ふむ…今日はどれにしようかな?』
 アンテロは剣を甲冑の隙間に滑り込ませると、自身の身体を傷つける。己の血をもって自身の護る力を底上げし、敵を見据える。
「アンテロ。いけるな?」
「勿論だよ」
 短い問答の後、彼らはすぐに動いた。ベルンハルトはシュネルフォイヤーを手にして、怪物と辺りへ射撃をでたらめに行う。いたる所にあたる弾は跳弾し、室内に少しだけあった家具などを倒し、壊していく。
 その間にアンテロは、壁に打ちつけられた女性へと駆け寄る。生きているかどうかなどはわからない、だがもし生きているならば、と女性の様子を見る。
 酸を噴霧されて、顔のいたるところが斑にただれてはいるが、目に見える範囲でそれ以上の外傷はない。アンテロが軽く揺すれば、うっ、とくぐもった声をあげる。
(生きてはいるのか)
 確認を終えると、彼らの耳にうたごえが響く。怪物が【友を想う為の詩】をうたっている。その綺麗な声が響き渡ると、怪物の身体の外傷が消えていく。だが、それと同じように、タルラリと呼ばれていた女性のただれた顔も少しずつ治癒され、顔には傷ひとつ残っていなかった。
 ほう、とアンテロは息を付き、一度ベルンハルトと怪物の位置関係を確認する。視線に気づいたベルンハルトはそれに軽く手を振ることで、応えた。
「カミサマとやら、オロカモノはまだ生きているよ?」
 その言葉を理解したのか怪物は意識をベルンハルトから、オロカモノである女性へと切り替える。ずるずると身体を引きずって近寄ろうとした怪物は、そこで動きを止め、アンテロをミた。
 手にしていた双剣、しかしその双つの剣のうち一本しか、手にしていない。
 残りはどうした。
 その疑問はすぐに身を持って知ることになった。
 ベルンハルトの銃撃の嵐の中で、風を切る音が混ざる。おかしい。そう思った瞬間怪物の身体を暗闇と乱撃の中に隠れていた黒い剣はその刃で、怪物の身体を深々と切り裂いた。
 悲鳴を上げる怪物を一瞥し、アンテロが女性を連れてその場から飛びのく。
『Leck mich am Arsch!』
 高らかなその言葉の後、【グレネードランチャー】を手にしたベルンハルトは怪物周り、怪物以外の生命がいないことを確認し、不敵に笑って見せる。
 そしてトリガーをひき、最大の火力を凝縮した弾が撃ち出される。怪物はそれを避けることもできずに、被弾。激しい爆発音と、煙と焼け焦げる臭い。綺麗な悲鳴をあげながら、怪物は、痛い、と主張するように身体を蠢かせる。
「激しくないかい?」
「これくらいで調度いい」
 アンテロの問いに、ベルンハルトは当たり前のように笑って見せた。
「向こうに事情があろうが関係ない。我等は猟兵、ただ狩るだけだ」
 迷いなく発せられたその言葉を、かき消すように怪物の声が室内にこだまする。

 タリナイ、タリナイ。そう言うかのように、怪物は揺れる身体を引きずりながら唯一の出口にその不定形の足を使って近づき始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

唐草・魅華音
※オリヴィアさんと共闘希望
帰らぬものを願うために犠牲を増やし、最後は願おうとした存在そのものに拒否されたのか……外に出てしまったら余計大変だし、話も聞いてくれなさそうだね。悪いけど無理やりでも帰ってもらおうか。

わたしは敵を撹乱し、攻撃を引きつけるよ。【バトル・インテリジェンス】を起動させて回避性を上げて、遠距離から銃を撃ち込む・急接近したりジャンプしたりして動き回り敵の攻撃を誘いこむよ。さらに、動きから情報を読み取り、パターンの分析を行いわたしの回避と敵の隙を読み取り、他の人に伝えるね。
「犠牲の上に現れてしまった神様……愚か者でもやり直しがきく人はいるんだ……退治させてもらうよ」


オリヴィア・ローゼンタール
POW
魅華音さんと共闘
なるほど……彼女自身、呼び出そうとしていたモノの正体は知らなかった、と
種を撒けばその刈り取りをしなければならない……憐れではありますが、その結末は因果が応報したものです

獅子の召喚を解除し、【血統覚醒】
神殺しの力を解放して戦闘力を増大させる
愚か者――それは貴様にこそ相応しい
神と呼ばれるものが、私の……神殺しの前に姿を晒す愚を識るがいい!

【属性攻撃】【破魔】で槍に聖なる炎の魔力を纏う
【怪力】で聖槍を【なぎ払い】肉塊を斬り裂く(【鎧砕き】【串刺し】)

【ダッシュ】で駆け巡り、狙いを定めさせない
酸の霧を吐きかけてきたら槍で【なぎ払い】、【衝撃波】を起こして弾き返し、直撃しないように



・風に揺れるかずらと破邪の焔を纏う聖槍の場合

「なるほど……彼女自身、呼び出そうとしていたモノの正体は知らなかった、と」
「……帰らぬものを願うために犠牲を増やし、最後は願おうとした存在そのものに拒否されたのか」
 出口へと向かいだした怪物を先へ進ませまいと、唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)とオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は双璧のように並び立つ。
 怪物を呼び出した女性の結末はまさに因果応報そのものであった。だが、怪物を野放しにしておくのかと問われればそれはまったく別の話。
 オリヴィアは怪物を静かに、静かに、見据える。その金色の瞳は次第に夕焼けのように色を変えていき、やがて深紅の宝石の様に、赤に染まる。
「愚か者――それは貴様にこそ相応しい」
 聖槍に破邪の炎が魔力となって纏う。
 隣に立つ魅華音もAI搭載型戦術ドローンを召喚し、自分の身体とリンクさせる。
 眼前の怪物を、見る。武器を握る身体がふらつかぬように、肩幅に足を広げ体勢をしっかりと安定させる。構えた矛先と刀の切っ先が、わずかな灯りで緩やかな弧を描いて煌めく。
「神と呼ばれるものが、私の……神殺しの前に姿を晒す愚を、識るがいい!」
 オリヴィアは咆哮と共に床を蹴り、自身の射程圏内に怪物を捕捉する。長柄を握り、その【怪力】から繰り出される鋭く重い一閃は、肉塊の怪物を斬り裂く。
 中距離近接で攻撃を繰り出すオリヴィアより少し距離を置いた場所を移動するように動きながら、魅華音は敵のターゲットがひとりに集中にしない様に撹乱を行う。
 目の前で勇ましく槍を振るうモノ、離れた場所から刺すように攻撃を行うモノ。
 怪物の意識は一点に集中できず、ただその肉の塊である身体を斬り、削がれていく。
 魅華音は遠近両方の攻撃手段を使いわけながら、怪物の動きを注意深く観察する。
時折、酸を噴霧するが、その酸の霧はオリヴィアの聖槍から放たれる剣風の衝撃波によって、届くことなく掻き消える。
 悲しげに、怒るように、憤るように、怪物の綺麗な詩が響き渡る。足掻いているつもりなのだろうか、その詩により傷ついた身体を癒そうとしているが、その治癒よりも多くの連撃が怪物を襲う。
「犠牲の上に現れてしまった神様……愚か者でもやり直しがきく人はいるんだ」
 だから、と魅華音は一言をきり、続ける。
「……退治させてもらうよ」
 赤と紫。似たようで全く違うふたつの煌めく気迫に、怪物はじりじりと後退を余儀なくされる。忌々しいと言わんばかりに、酸を纏った歪な肢を振りかぶり叩き潰そうとするが、オリヴィアはそれを跳び避け、怪物の大きな隙をついて、矛先をその大きな肉の塊へと突きいれ、串刺しにする。
 身体を貫通された痛みからか、怪物は身体をぐちゃぐちゃと揺らして悶えるようにその槍から逃げ出ようとする。
「まだ倒れないと。なかなかしぶとい」
「外に出すわけにはいかない。無理矢理でも、ここでかえってもらうよ」
 振り払うように黄金の矛先を振りぬいた怪物だったが、すでに形を取り繕うのも困難なのだろう、貫かれた穴から、どろどろと赤黒い悪臭の粘液が垂れ、流れる。

 それでもと、怪物は美しい声をあげる。美しい嘆きをうたう。
 それが意味のある言葉と知るものがどれだけいるのか。
 怪物はただ、美しい声を響かせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

赤月・句穏
判定WIZ 九条・文織(f05180)と同伴
アドリブ可。

(カミサマ・・・?神さま。コレが・・。)
興味なさそうに目の前の敵をみます。
「私には、文織がおりますので・・。」
氷で動きを封じるか、炎を巻き上げて、文織の援護をします。
私には文織が大切なので、同情は致しません。だから、お眠りくださいませ。
「これ以上此処に留まる事は互いの為にはなりませんでしょう。――散るべき存在よ、氷結の柩にて安らげ。」

【全力魔法】で【高速詠唱】、【2回攻撃】をします。
炎を巻き上げます。
「あるべき場所へ還りなさい―。」
彼らに還る場所があるなら、せめて【祈り】ましょう。


九条・文織
赤月・句穏(f05226)と同行
連携して攻撃する。

「親しい人と共に居たいと思うのは当然の事。例え愚かだとしても、ね。
だから、私は彼女の事は否定はしないよ。」
動かなくなったタルラリにちらりと目を向け、そっと呟き。
「ただまぁ、もし次があるならもう少し上手くやるんだね。」

「しかし、彼女の愚かさから顕現したお前が愚かじゃないと、誰が言い切れるのかな?」
皮肉げに怪物に言葉を放ち、『句切』を鞘から引き抜いて。

「句穏。それじゃあ奴に一泡吹かせてやろうか。」
【剣刃一閃】を使用して。
「臨む兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く。全てを絶ち斬れ、『句切』」
刃に言霊を乗せて怪物を一閃する。



・ひとつのクギリは穏やかな文節へ

(カミサマ……?神様。コレが……)
 赤月・句穏(界渡りの旅行者・f05226)は怪物を見ていたが、その眼に興味や好奇といった色は見られない。
「私には、文織がおりますので」
 その呟きを、九条・文織(界渡りの旅行者・f05180)は耳で聞いていた。
「親しい人と共に居たいと思うのは当然の事。例え愚かだとしても、ね」
だから、と、文織は言葉をひとつ区切り、その続きを口にする。
「私は彼女の事は否定はしないよ」
 その声色に憤りや困惑の感情が含まれている様子はなく、淡々と、思う言葉を口にしていただのろう。
 ちらと、出口近くで邪魔にならない様に横たえられているタルラリと呼ばれた女性をミて、文織はそっと目を細める。
「ただまぁ、もし次があるなら――」
 ナニカの言葉を紡ぐが、近くにいた句穏にはただ文織が表情を変えずに『わらった』ように見えた。
 怪物は傷口からどろどろと赤黒い粘液を噴出しながら、ゆらりとふたりへ近づきはじめる。
「しかし、だ。彼女の愚かさから顕現したお前が愚かじゃないと、誰が言い切れるのかな?」
 身体を動かせば銀の髪が上質な糸のようにサラサラと揺れる。怪物への皮肉の言葉を放つと、文織は一振りの刀をゆっくりと抜き、構える。その刀は終わりを意味する刀。ひとつの区切りを意味する刀。
(文織がおります。私は文織が大切です。同情はしません)
 細い指で拳を握り、言葉と共に詠唱を紡ぎ、自然の現象を構築する。
「これ以上此処に留まる事は互いの為にはなりませんでしょう」
『――散るべき存在よ、氷結の柩にて安らげ』
 二重の言葉は意志と意味を持って混ざり合い、ひとつの奇跡として術に現れる。
 ソレは炎と氷。いや、炎の竜巻と氷の棺だ。意志を持って動くようにいくつもの炎の竜巻が巻き上がり、氷で封じた怪物の周りで踊りながらその身を焼いていく。
 不可思議な現象だった。だがそれでは終わらない。句穏の周りに光の文字が文節が、取り巻くように漂う。時間と足りない手数を補助するように現れたその光の文字を指でひとなでして、二回目の奇跡を呼び寄せる。
『――疾風の津波、我が声かなえるべくして汝らの力求める』
 詠唱の完了と共に文織は句穏へと視線を向ける。句穏も視線でその眼差しに応える。
「句穏。それじゃあ奴に一泡吹かせてやろうか」
「はい。いってらっしゃい、文」
 柔らかな微笑を浮かべた句穏に、小さく頷き、文織はそっと手にした刀に指を滑らせる。
「臨む兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く。全てを絶ち斬れ、『句切』」
 刃に言霊を乗せて、文織はタンッと軽い足取りで、炎に巻かれる怪物へと跳ぶ。
 句穏のおこした疾風の津波は炎と絡み合い、炎の激しさを増大させる。巻き上げられたふたつの奇跡は、炎の津波に変わり、怪物を焼きおしつぶす。
 肉の焼け焦げる臭い、怪物の綺麗な声、照らされる暗い空間。
 永遠にも一瞬にも思える激しい波が消えるころには、怪物の身体は黒く焼け焦げ、パラパラと灰炭になるが怪物はまだ動く。
 一矢報いるためにか、さいごのあがきとばかりに句穏へと近づこうとする。
 しかし、それはかなわない。
 炎の津波に紛れて、怪物の背後に立った文織は静かに刀を構えた。

「それでは、また。どこかで」

 ヒュッと風を薙ぐ音と共に刀が横一閃に光を走らせる。光が怪物を通り終える頃には、怪物の上体がずるりと落ちていた。
 ぶしゅん、ぶしゅん、と酸の霧と赤黒い粘液を吹きあげながら、美しい絶叫を響かせる。
 やがて形も、呼ばれた意味も保てなくなったその怪物ことカミサマは、どろどろと溶けていき、最後には溶けた粘液が砂の様に崩れていき白い灰になった。
「あるべき場所に――」
 句穏は怪物のさいごをみると、そっと祈りを手向けた。


 その街から家出少女が姿を消すと事件は、少しだけ減った。
 件の女性、タルラリがどうなったのか。
 カミサマとやらはいったいなんだったのか。
 『今』ではどうでもいいことかもしれない。
 今は常に過去になる。その過去からの浸食を防ぐために、猟兵が戦っている。
 ゆえに、この事件もそんな数多の戦いのひとつ

 ひとつの、ただひとつの、おはなし。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


挿絵イラスト