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エンパイアウォー㉔~春日山の隠密

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●春日山城
 剣戟の響き、轟く喊声。
 慌ただしさを増した城の中を、梁の上を音もなく駈ける小さな小さな姿。
 それは干戈に燃える城内を逃げまとう、ネズミの姿などでは無い。
 影を、闇を駈ける小さな小さなカラクリ人形。
 城を飛び出し木陰の合間を縫って、黒刃が迫り――。

●グリモアベース
「センセ達の活躍で信州上田城から撤退した上杉軍が、関ヶ原へと主力を向かわせている事が解ったっスよォ!」
 ぴょんと跳ねた小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)は、ころころと喉を鳴らして微笑んで、猟兵達を見渡して。
「そういう訳で、センセ達には上杉軍の本拠地である越後――春日山城を攻めて貰うっス!」
 城攻めっスよ、城攻め! ともう一度跳ねて、いすゞは狐尾を揺らした。

「ま、ま、ま。堅城と謳われる春日城っス。勿論、センセ達だけで落として欲しいとは言わないっス! 大事の前の小事と言うでしょう。そういう訳で、今日ここに集まってもらったセンセ達には、からくり忍者軍団の対応して貰いたいンスよ!」
 敵を迎え討つ先は、忍者達は城から飛び出した先。木々の生い茂る森だ。
 からくり忍者達は、一体一体はそこまで脅威では無い。
 しかし放っておくと城攻めの為に戦う兵や猟兵達を暗殺せんと、正に暗躍を行うであろうと予知には顕れている。
「敵は小さくとも、城を落とすという大きな仕事の第一歩っス! さあさ、センセ達なら簡単なお仕事でしょうけれども、今回も張り切って頼んだっスよォ!」
 コンとぽっくり下駄を響かせて。
 指先を狐のように立てたいすゞの掌の中で、光が膨れ上がり――。


絲上ゆいこ
 いつもお世話になっております、絲上ゆいこ(しじょう・-)です。
 今回は、十数体いるからくり忍者軍団を倒して頂くシナリオとなっております。

 あまり沢山採用できそうにありませんが、さくさくっとお返し出来るようにがんばります!

 また、このシナリオは「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオです。頑張って下さい!

  それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしておりまーす!
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第1章 集団戦 『からくり忍者軍団』

POW   :    からくり・自己犠牲術
【死角から超高速で接近し、忍刀】による素早い一撃を放つ。また、【壊れたパーツを破棄する】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    からくり・自己複製術
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【からくり忍者】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    からくり・麻痺拘束術
【麻痺毒の煙幕爆弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖】で繋ぐ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

五条・巴
七結と(f00421)

城攻め、ちょっとばかりワクワクしてしまうのは仕方ないよね。
ふふ、そうだね。歴史の本の中へ、行ってみよう。

凄いね、この絡繰。器用な人達がいるんだなあ。
ふうん、毒まで・・・。
つくづく七結と一緒でよかったと安心できるよ。でも、七結も気をつけてね。

僕はそれ程器用では無いからね、城も君らも壊すよ。
"薄雪の星"
風を纏った弾丸は小さな台風
撃った周りも掘崩す

七結が舞い易いように其れらの関節を動けなくなるまで狙おう。
僕らの前に立ち塞がるものは退かす。

君らの時代もそろそろ終わりだ。
紅の先に見える美しい碧
特等席をありがとう、七結。


蘭・七結
トモエさん/f02927

城落としですって、トモエさん
まるで歴史の御本のようね
なんだか、心が踊ってしまうの
ぼうっとしていては、終わってしまうわ
では、張り切って。参りましょう

まあ、からくりのニンジャだわ
ひとつひとつが、毒を扱うのね
手にするは『彼岸』と『此岸』を冠す双刀
トモエさんが毒に蝕まれないように
周囲の空気を斬り裂いてなぎ払うわ
ナユは毒使いだもの
毒への耐性はひと並み以上よ
ご無事かしら、トモエさん
ナユへのご心配も、どうもありがとう

さて、名残惜しいのだけれど
そろそろ終幕といきましょうか、トモエさん
あなたもよく知る、星の彩よ
美しい〝あお〟をご覧あれ
からくりには、伝わらないでしょうけれど
〝ほうき星の涙〟



●天然の要害
 遠く響く鯨波が、寄せては返す。
 そびえ立つ天守は山壁の更に上、呼び出された森よりはまだ遠く。
 春日山山頂に築かれた春日城は、天然の要害を備えた難攻不落の城として知られる。
 主力の軍勢が不在だとしても、その城の堅牢さは変わらず保たれているだろう。

 ぬるい風が微かに木々と、あかいあかい牡丹を揺らす。
 耳を澄ましていた蘭・七結(戀一華・f00421)が、その唇を微笑に綻ばせて。
「トモエさん。城落としだなんて、まるで歴史の御本のようね」
「うん。なんだかちょっとばかりワクワクしてしまう響きだよね」
 笑みを返す五条・巴(見果てぬ夜の夢・f02927)が、小さく頷いた。
「ええ、なんだか心が踊ってしまうの。ぼうっとしていては、終わってしまうわ」
「ふふ、そうだね。歴史の本の中へ、行ってみようか」
 瞬間、木陰より小さな影が飛び出した。
 その気配に七結が白刃を掲げると同時。彼女の首筋を狙って、一直線に落ちてきた小さなからくり人形。
 澄んだ音が響き。
 七結が首筋に上げた白刃によって、黒刃を弾かれたからくり人形は警戒も顕に後方に大きく飛び退いた。
「まあ、からくりのニンジャだわ」
「ふうん、凄いね。器用な人達がいるんだなあ」
 攻撃を防いだ事を当然かのように、おっとりと瞳を細めた七結はからくりを見下ろして。
 高貴な白花が綾取られた銃を構えた巴が少しばかり感心したかのような声を洩らした。
「――!」
 からくり忍者はキリキリと小さなゼンマイの音を洩らして、黒刃を構えたまま。間合いを取ったまま詰める事無く、玉を地へと叩きつける。
「まあ」
 ぴりりと肌をひりつかせるその煙の感覚は。
「これは、毒ね。……だめよ、ナユは良いけれど――」
 毒使いである七結は、ある程度の毒であれば耐える事もできようが。
 ――トモエさんを毒に蝕ませる訳には、ゆかないもの。
 両の手に構えた『彼岸』と『此岸』を冠す双刀。
 灰髪が大きく跳ね、両腕を舞のように大きく振り放ち。
 毒煙を遮る形で七結が振るった刃筋は、毒煙ごと空気ごと全てを薙ぎ払う風と成る。
「ご無事かしら、トモエさん?」
 勢いに後方へと弾き飛ばされ、強かに身体を打ち据えられるからくり忍者。
「つくづく七結と一緒でよかったと安心できるよ……。でも、七結も気をつけてね」
 一瞬で立ち上がった忍者を迎え討つ形で、七結の銃が狙うは忍者の関節。
 その途端、黒刃を構えて木陰より降り落ちてきたのは、もう一体のからくり忍者だ。
 気配を感じた巴は、その上空を確認する事も無く弾を叩き込む。
 渦巻く旋風。
 からくり忍者たちに叩き込まれたのは、風の力を纏った弾だ。
 放たれた小さな風は、一瞬で台風の様に膨れ上がり。
「僕はそれ程器用では無いからね、申し訳無いけれど……、城も君らも壊すよ」
 枝を撓らせ、木々を軋ませ。敵ごと天然の要害たる崖を削る風の渦。
「ナユへのご心配も、どうもありがとう」
 紫の瞳を揺らして軽く跳ねた七結は、淑やかに淑やかに。
「――さて、名残惜しいのだけれど、そろそろ終幕といきましょうか」
「うん、僕らの前に立ち塞がるものはすべて退かそう」
 ――君らの時代もそろそろ終わりだ。
 弾をもう一発叩き込む巴は、彼女の言葉にこくりと頷き。
 白刃を携えた七結がその掌を前に掲げると、ふう、と二振りの刃へと息を吹きかけた。
「あなたもよく知る、星の彩よ」
 『彼岸』と『此岸』が解け、蕩けるように。呪詛を纏う勿忘草、破魔を纏う霞草。
 花弁が風に飲み込まれて、ほうき星が尾を引いた。
「――美しい〝あお〟をご覧あれ」
 そんな事、からくりには、伝わらないでしょうけれど。
 白と碧の花弁を纏った風は、二対のからくり人形を裂き砕き。
 揺れる、揺れる、あかいあかい牡丹の花。
 紅の先は、星の如く舞う美しい碧。
 ねえ、こんなに美しい光景。
「ふふ。特等席をありがとう、七結」
「どういたしまして、トモエさん」
 巴が小さく首を傾ぐと、七結の睫毛が瞬きに揺れ、笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルル・ミール
からくり忍者と森でバトル…手強い予感でいっぱいですけど
サムライエンパイアのため、えいえいおー!です!

隠れてこっちを伺ってるかもですね…?
位置を探れるないか野性の勘を
息を殺して耳を澄まして
見つけたら風の属性攻撃による全力魔法
ガッチリぎっちり捕縛チャレンジです!
捕まえられたら御の字というやつですね
失敗しても姿が見えればそれも御の字!
【あの日の絆】で喚んだゴリラ先生に前へ出ていただいて
私は後ろから引き続き風属性魔法で全力支援
風で捕まえたり石を飛ばしてぶつけたり

他忍者さんの存在
煙幕爆弾
一人なら大変だったと思いますけど先生も一緒です
一人が動けなかったらもう一人が!
力を合わせてウホホと倒していきましょう!


御堂・茜
御堂茜、御堂家より援軍として着陣致しました!
かの春日山城を我が手で攻める時が来るとは…
御堂、感動に打ち震えております!

敵は忍の者にございますか
死角に潜むという事は
逆に見える範囲からは来ないという事ですねッ!
これよりUC【絶対正義】モードを起動します!

理性無くとも御堂には悪の気配を暴く
このミドウ・アイと!
【野生の勘/第六感】がございます!
振り向けばそこに悪ッ!
超高速で動く忍者様を
【気合い】をこめた【怪力】で一刀両断です!

その際【衝撃波】も同時に放ち
大破させてやりましょうとも!
加速すればするほど敵は不利!
一気呵成に攻め立てるのです!

終わってみれば
まあ、愛らしい忍者様でしたのね…
ですが悪は悪ですッ!



 ドラミングはパー。
 アックス&ウィザーズで先生とあの日結んだ絆、あの日の教えは今もココにある。
 屈強な肉体を持つゴリランドのゴリラの霊の後ろ。
 ――隠れてこっちを窺っているようですね。
 橙色の髪からぴんと立った獣耳はぴくぴくと警戒に揺れ。
 どんぐりみたいなまん丸い藤色の瞳で、辺りをぐりぐりと見渡すルル・ミール(賢者の卵・f06050)。
 気配はする、しかし、姿は見えない。
 ルルが瞬きをしたその瞬間――。
「そこの黒き者! 悪ですねッッッ!? 我が刀の錆になりなさいッッッ!!!」
「ぴゃっ!?!?!!?!?」
 すぽーんと木陰から飛び出したのは御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)だ!
「な、なななな、なんですかっ!? 誰ですかッッ!?」
 驚いたルルは、ゴリラ先生の後ろに隠れて耳をぴーんと立て。
 質問にも聞く耳を持たぬ、その姿。
 茜は既に最初からフルスロットル・アグレッシヴ・ジャスティス・モンスターなので、ユーベルコードを漲らせて速く動く物と悪っぽいものを全て成敗する、無差別正義攻撃馬鹿と化している。理性は失った。
「正義の名のもとに成敗致します……ッ!」
 うわ言のように正義を繰り返しながら、茜がその正義の狂刃ジャスティスミドウセイバーでゴリラ先生をブチ叩こうとした――その瞬間!
 きり、きり、きり、軋む歯車の音。
 混乱に乗じて真後ろから飛び出して来た、からくり忍者の気配!
「!」
 動くものに超反応した茜は、一瞬で踵を返して反転(より速く動く物に反応してしまうので)!
 そしてそのまま地面をぎゅっと踏み込んだ体勢から上半身を引き絞り、勢いと膂力の全てを籠めた大太刀をからくり忍者に叩き込むッッッ!!
 結構な勢いで叩き込まれた刃は、からくり人形をずんばらり。
「まぁッ! 名乗りが遅れて申し訳ございませんッッ!!!」
 何かを斬ってちょっと満足したのであろう。
 理性を失っているなりにハッと桃色の瞳を見開いた茜は、ばらばらとバラけた部品を蹴っ飛ばしてルルへと振り返った。
「わたくし、御堂家より援軍として着陣致しました御堂茜にございますッッ! それはそうとしてそちらの黒い方は悪ですかッ!?!?!?!」
「ご、ゴリラ先生は悪いゴリラじゃないです!!!!!」
 勢いにひゃっと驚いたように肩を跳ねたルル。
 ウホホとドラミングを見せるゴリラ先生。ウホウホ、ウホホ。
「……!」
 そのドラミングには理性無き茜も、言葉では無くその心に『正義』を見た。
「ウホホ……ウホ! わたくしったら……! 失礼致しました、そちらの方は確かに正義の心を持ち合わせているようですねッッ!!」
 ピョーンと頭を下げた茜の背へと迫る――『悪』の気配!
「……あっ、お姉さん……!」「ウホホホ! ウホ!」
 ルルが瞳を見開くと同時に、ゴリラ先生が一気に地を蹴って。
 忍者が投げ込んだ毒煙弾を、逆方向に投げ飛ばし。
「危ないですっ!」
 硝子ペンの形をした杖をルルが空中に駆けさせると、碧の魔法を綴った。
 魔力を帯びた風が旋風を生み、ぐるんと逆方向に弾き飛ばされるからくり忍者。
「悪・即・斬ッッッ!!!!!!!」
 跳ね飛ばされたという事は、加速したと言う事。
 半ば自動的に反応した茜が、一気に地を蹴って肉薄すると正義の刃を大上段より振り下ろし。
 同時にゴリラ先生が握りしめた両の拳。
 地を爆ぜさせん勢いで飛んだゴリラ先生は、強靭な鋼の筋肉を軋ませてその拳を追撃に叩き込んだ!
「やりましたっ! 力を合わせてウホホと一気に2体も倒しましたよー!」
「ウホ! ウホウホ!」
 ルルがわぁいと微笑んだ瞬間、はたと瞳を瞬かせた茜。
「……まぁ、愛らしい忍者様でしたのね……」
「!? お姉さん話が通じるように!?」
 ついに正気を――。
「ですが悪は悪ですッッッ!! 悪は滅びる!!!! 正義は勝つッッッ!! ご唱和くださいませッ!?」
「あっ! やっぱり通じてないっ!?」
「ウホウホウホホ!!」
 ――それでも、助け合える仲間がいる事は助かるものなのです。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

矢来・夕立
よりによって森の中とは運のない…
いえ、オレではなく。向こうが。
《忍び足》に格好の土地です。きっと同じコト考えてるんでしょうけど。

森の木々に紛れて移動。
移動しがてら、あちこちに『封泉』を配置しておきます。
コレ、要は小型の爆弾です。

武器や兵装は、「攻撃だけにしか使ってはいけない」というものではない。
今回は虚仮脅しです。

状況が整い次第、爆発させる。
…近くで炸裂音がしたら警戒しますよね?
少なくとも『完全な脱力状態』ではなくなる。
…というワケで、こちらが本命です。
《暗殺》【紙技・冬幸守】。
コレで手の内はばれちゃうんで、以降は白兵戦に切り替えていきます。
一匹も逃しません。忍者の厄介さはよく知ってるので。



 ざわざわと揺れる、木の葉。
 枝ぶりの良い樹の上で背を幹へと押し付けた矢来・夕立(影・f14904)は、折った千代紙をぷうと膨らせて。
 そのままソレを地面へと投げ捨て転がし、辺りを窺う。
 会敵した者たちもいるのであろう、そこかしこで感じる戦い気配。
 眼鏡の奥で揺れる朱色に、長い睫毛が影を落とす。
 しかし、選りに選って森の中とは運のない……。
 気配を殺して音も無く地を歩く彼――夕立は忍術『紙技』を以て『式紙』を繰る忍者である。
 そして生憎な事に、敵も忍者だ。
 この様に忍ぶ場所の多い『森の中』で戦うとは『運のない』なんて、潜んでいる敵も考えている事であろう。
 枝から枝へ飛び移る夕立、木の葉が揺れるのは風にだけ。
 敵の位置を探りながら『封泉』を作っては、地へと転がす。

 ――コレは、任意のタイミングで爆発する事の出来る式紙。
 要するに小型時限爆弾だ。
 そろそろ良いだろう。

 敢えて音を立てて地に降り立った夕立は、無警戒を装って草を掻き分けて歩き出す。
 その瞬間。
 カッ飛んできた手裏剣を軽いサイドステップで避けた夕立は、その気配へと横目で視線を投げかけた。
 いち。
 に。
 さん。
 手裏剣を投げてきたソイツをたっぷり3秒睨めつけた夕立は、瞬きを一度。
 きり、きり、回る歯車。
「……!」
 遠隔では部が悪いと踏んだのか、黒刃を鈍く光らせて忍者は一気に距離を詰め。
 立ったままの夕立は、そのまま掌をパンと鳴らした。
「近くで炸裂音がしたら警戒しますよね」
 彼の問いかけと同時に、森のそこかしこで炸裂音が弾ける。
 それは『封泉』が破裂した音だ。
「武器や兵装は『攻撃だけにしか使ってはいけない』というモノでは無いでしょう?」
 敵は脱力をする事で、攻撃を無効化する能力を持っていると予知では言っていた。
 近くで炸裂音がすれば、警戒――少なくとも『完全な脱力状態』ではなくなるだろう。
「つまりは音を利用した、虚仮威しという訳です」
 丁寧に説明を重ねながら、なにも在りませんようと言うように両手を上げた夕立。
 その瞬間。
 羽織った外套から、ばらばらと折紙の蝙蝠がこぼれ落ちた。
「――という訳で、こちらが本命です」
 からくり忍者に殺到する、蝙蝠の群れ。群れ、群れ。
 式紙の蝙蝠は忍者を裂き、潰し、喰らう。
「……」
 忍者の手の内もバレてしまえば対策をされて、二度目が効果を顕す事はよっぽどの間抜け相手で無い限りはそう多くは無い。
 倒れる忍者を顧みること無く、視線を木の上へと向けた夕立。
 いち、に、さん。
 素早くもう一体隠れていた忍者へと蝙蝠を叩き込むが、蝙蝠を避けた忍者がダメージを受けた様子は無い。
「――白兵戦に切り替えさせて頂きます」
 姿を大人しく顕したからくり忍者に、身を低く構えた夕立は脇差の柄へと手を這わせ低く呟いた。
「まあ、ウソですけど」
 刹那。
 忍者の足元に転がっていた『封泉』が爆ぜ、忍者の半身が弾け飛ぶ。

 『封泉』を全部爆発させたとは言っていないし、虚仮威しだけで攻撃に使わないとも言っていない。
「一匹も逃しませんよ、忍者の厄介さはよく知ってるので」

 忍者のタチの悪さは、折紙付き。
 それは夕立が誰よりも、一番良く知っている事だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雅楽代・真珠
絡繰なの
そう
僕も人形遊びは得意だよ

僕の刃たち
『主命』をあげる
蹂躙しておいで
如月の腕から降りて宙に浮かぶ
如月が前に立ち客人達へ一礼
皐月は僕の隣

皐月が触れれば絡む鋼糸を広範囲の木々に張り巡らせ
皐月自身が狙われれば小刀でカウンター
如月は絡めた忍者や近付く忍者を一体一体粉砕していく
そして瞬時に僕を庇える距離を常に保つ
遠くの敵は鋼糸で首を落としたり小刀を投擲
僕は強化と引き換えに移動が遅いから
動かず高みの見物
誘惑してあげてもいいけどね
高く付くよ?

忍刀と僕の間に挿し込まれる小刀
死角を狙ったの?
駄目だよ
皐月は暗殺が得意なのだから
可愛い僕に見惚れていると
首を掻かれてしまうよ

きさらぎたちの目が赤い内は怖いんだ


花剣・耀子
ははあ、城攻め。
良いわ。後顧の憂いを祓いましょう。

城の中よりは良いけれど、こうも遮蔽が多いと厄介ね。
相手は忍者だもの。
四方天地どこから来ても良いように、心構えだけはしていくわ。

此方に仕掛けてきた攻撃は、咄嗟に剣で斬り払うように。
初撃が致命傷にならなければそれで良い。
近接なら言わずもがな、飛び道具ならその方向を確認しましょう。
位置取りが悪ければ鋼糸を張って木々を渡り、
忍者の居た辺りすべてを巻き込むように【花嵐】
時間を掛けている暇がないのは、お互い様よ。

嵐を呑めるものなら呑んで御覧なさいな。
防がれたなら、もう一度、二度、三度、何度でも。
おまえたちを斬り果たすまで、続けるだけだわ。
逃してあげない。


ロカジ・ミナイ
あれまぁ、ちいちゃくてかわいい忍者だこと!
手懐けて持って帰ったら女子たちへのいい土産になりそうだねぇ
…壊しちゃうけどねぇ

からくりってのは叩くと壊れる

出ておいで僕のかわいい大蛇共
無駄に七本も八本もぶら下げてる首じゃあなかろうに
鞭みたいに首を叩きつけてバラバラペシャンコにしてやりな
えっ?別に喰ってもいいけどさ…消化に悪そう

ノルマは目に見える分
動くものがいなくなるまで、褒美の寿命はお預けだよ

しかしまぁ、大きさが違うからね、
搔い潜ってきた分やら噛み付いてきた分は僕も担おう
機械ってのは、棒(擂り粉木)で叩けば言う事聞くのよ
それか壊れる

クク、気持ちがいいねぇ、許された破壊行為ってのは!



 小さな敵は、ちょこまかと鞠のように跳ねては退く。
「――城の中よりは良いけれど、こうも遮蔽が多いと厄介ね」
 呟く花剣・耀子(Tempest・f12822)は、機械剣を振るって斜め下より跳ね跳んできた忍者を切り結ぶ。
 忍者は構えた苦無でその刃を防ぐと、一気に後退して。
 その身を木陰に隠し、ヒット・アンド・アウェイ。
「……もう」
 なんとも面倒な敵だと瞳の碧を眇め、ヤエガキに伸ばしたその瞬間。
「あれまぁ、ちいちゃくてかわいい忍者だこと!」
 からからと笑う声が背より響いた。
 耀子が声の方を見やれば、岩に腰掛けたロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)の煙管よりゆらゆらと煙が揺れている。
「どうだい、あのからくり。手なづけて持って帰ったら、良い土産になりそうだと思わないかい?」
「思わないわね」
 視線すら合わせずにぴしゃりと言い放った耀子に、ロカジは脇よりカッ飛んできた忍者を大切な大切な擂粉木で片手でいなしながら、両肩を上げて。――そして、その横をすり抜けて行くしゃんとした身なりの男に、姫抱きをされた人魚を見た。
「ふぅん、僕も人形遊びは得意だよ」
 鈴を転がす様な声。
「僕の刃たち、主命をあげる。――蹂躙しておいで」
 雅楽代・真珠(水中花・f12752)が使用人人形――如月より飛び降りて、ふうわり宙で尾を翻せば、如月が深々と礼を一つ。
 淑やかに後を付いてきた女中人形――皐月は、真珠の隣で脚を止めて、スカートを翻してカーテシーを。
「どうも」
「へぇへぇ、どーも。こりゃぁ、なんとも丁寧に」
 丁寧に挨拶をする真珠の人形たちに、思わず軽いお辞儀をする耀子とロカジ。
 しかし今は戦闘中。
 もちろんからくりの忍者だって、猟兵達のペースに簡単には飲まれてくれはしない。
 三人が挨拶を交わす間に、死角より飛び降りてきたからくり忍者が二体。
 その黒刃を交わし――、彼らの狙いは新たな闖入者だ。
 一瞬で踵を返した皐月が人ならざる動きでその瞳を紅く揺らがせて、構えた小刀でその一体を弾き返す。
「……ッ!」
 蒼の瞳でもう一体の刃を捉えた耀子は、地を一気に蹴って、真珠へと落ちてきた敵を斬り払う。
「やぁ、愛らしい人魚さん。アンタは土産にちいちゃくてかわいいからくりはどう思う?」
 ゆるーい足取りで立ち上がったロカジは、弾かれ飛んできたからくり忍者を擂粉木で地へと叩き落しながら、首を傾ぎ。
「そう。たしかに可愛いかもしれないけれど、うちには人形も可愛いものも間に合っているよ」
 とくに僕は世界で一番可愛いからね、なんて真珠はふうわりふわり宙で尾を揺らし。
 駆けだした皐月はきょろりと赤い瞳をロカジに注意深く向けたまま、鋼糸を張り巡らせはじめる。
「そうかい、そうかい。そっちのあかーい瞳のおっかない人形も睨んでいる事だ。そろそろ壊してしまおう」
 なんたってこのからくり共は、いくら可愛くたって敵なのだから。
 からくりってぇのは、叩くと壊れる。
 しかし、こいつらは少しばかり頑丈にできちゃいるようだねぇ。
 ならば。
「――出ておいで、僕の可愛い大蛇共」
 ロカジの呼びかけに、ぞろ、と七つ首の大蛇――オロチがとぐろを巻いて姿を顕し。
「さぁさぁ、無駄に七本も八本もぶら下げてる首じゃあなかろうに。バラバラペシャンコにしてやりなよ」
 次がれた声掛けには、大口を開いた大蛇が彼の足元に転がった一体の忍者を噛み砕く。
「……えっ、別に良いけれど」
 えぇ、食べるの?
 消化に悪そうなんてロカジは瞳を眇めて、まぁいいや。煙管を一口呑み。
「あいよ、それではノルマは目に見える分。動くからくりがいなくなるまで褒美の寿命はお預けだよ、オマエたち」
 軽い狐の号令に大蛇が鎌首を擡げ、14も在る瞳をぎらぎらと輝かせてからくり達を睨め付けた。

 女中人形の張り巡らした鋼糸によって、随分と動きを制限された忍者達。
 人魚の主をいつでもかばえる距離を保ちながら、からくりを斬り、握り潰し、粉砕する使用人人形達。

 彼らの張った鋼糸を足場に、耀子は器用に跳ねる。
 猟兵達が現れたことで、試作機である補助機構を使う機会を減らして貰えた事は、まあ組織にお願いする事が一つ減って良かった。多分。
 暴れる大蛇と同じ名を持つUDCを核とする機械剣を唸らせて。
 かっ飛んで来たからくりを今度こそ真っ二つに裂きながら、からくり共が潜む森を耀子は睨め付ける。
 ああ、見えている。
 見えていないが、見えている。
 そこに、いる。
「時間を掛けている暇がないのは、お互い様よ。――逃してなんてあげないわ」
 後顧の憂いを祓っておきたいものでしょう。
 ――嵐を呑めるものなら呑んで御覧なさいな。
 花を散らす嵐の具現、それが耀子。
 耀子と彼女の振るう、刃の力だ。
 樹々ごと、空気ごと、仲間の張り巡らした鋼糸も、もちろん敵も、全て飲みこんで。
 大きく一歩を踏み込んだ耀子は、袈裟斬りに白刃を駆けさせた。
 その場で踏みとどまって、逆袈裟にもう一発。
 伐採される樹々。

 慌てて飛び出してきた忍者は、大蛇の顎を叩き込まれてバラバラぺしゃんこ。
「クク、気持ちがいいねぇ、許された破壊行為ってのは!」
 わるーい顔でロカジは笑む。
 こんなに森を荒せば、地元ならまあまあ怒られるものだ。
 その混乱に乗じて。
 ぷかぷかと浮くばかりで動かぬ――使用人達の強化の代償で動けぬ真珠へと一迅の狂刃が迫り。
 くるり、と振り向く真珠。
「可愛い僕に見惚れてしまったの?」
 りんと響くのは、緊迫感の全く無い声音。
 傾げられた首筋を狙った一太刀を弾いたのは、皐月の小刀であった。
 赤い瞳を奔らせて。
 返す手で忍者の素っ首を断ち切ると、スカートを翻した女中人形は何事も無かったかのように。
 淑やかに淑やかに主の傍へと侍る。
「……駄目だよ、きさらぎたちの目が赤い内は怖いんだ」

 嵐が呑み込んだ森は、荒れ果てて。
 隠れる場所なんて、これで無いでしょう?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

終夜・嵐吾
あや君(f01194)と共に

あや君、敵はからくり忍者じゃって
小さくてすばしっこそうじゃが……見つけて燃やしてしまえばええかの!
では、森を燃やさぬようにしつつ、派手に参ろうか
残しては面倒そうじゃし、ひとつたりとも逃さぬようにしよか

あや君情報をもとに聞き耳たてて、物音に注意しつつ見つけたらばすぐさま狐火で追いかける
よう狙って、燃え上がれと幾重にも重ねて

逃がさんよ、わしから逃れてもあや君もおるからの!
やはりこう、燃えるの見るとテンションあがるの!(尻尾揺らし)

攻撃受けて動きが阻害されても、手足使って戦うわけでもないから問題ない
繋がる鎖伝って炎を駆けあがらせ姿消えるまで燃やし尽くすまでよ


浮世・綾華
嵐吾さん(f05366)と

――出た、考えることをやめた嵐吾さん
ふふ、はぁい。派手にネ、おっけーおっけー

木によっと登って捜索
あ、一瞬見えた
嵐吾さん、割と近くにまだいそう

嵐吾さんの炎から逃げてきた奴を鬼火でしっかり仕留める
残念だったな?どっちにしろ、お前ら燃えるしかねーから
分かる。嵐吾さんの狐火も相変わらず綺麗デスねえ

爆弾は鬼火で相殺
煙は扇で仰いで払う

麻痺で動けない嵐吾さんを助けようとするも
関係ないとばかりの行動に、足を止め

(――流石。やっぱ、すげーな)
……そんじゃ、俺は俺でやらせて貰いマスよっと
後ろからも迫ってくるものがいたならば
気配を察して後方に鍵刀を刺しくるり
抉るように地面へ縫い留め、嗤う



 ぬるい風に遊ばれる灰青は柔らかに揺れ。
 琥珀の瞳で注意深く森の中を見据える終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、その整ったかんばせの上で獣耳を大きく張っている。
「うむー、あや君。敵はからくり忍者じゃって」
 その整った面差しは浮世・綾華(千日紅・f01194)へと振り向いてへにゃっと笑った瞬間、とても馴染みやすいものへと一気に転じ。
「ふ、とても小さくてすばしっこそうじゃが……。見つけて燃やしてしまえばええかの!」
「――出た、考えることをやめた嵐吾さん」
 黙っている間はどこか近寄りがたい様子だった嵐吾も、ふかふかと尾を揺らしだした今となっては表情も理論もゆっるゆる。
 しかしやることとしては大きく間違っている訳でも無い訳で。くすくすと肩を揺らして、綾華は笑った。
「では探してみましょうネ、……っと!」
 笑いながらも綾華は樹の幹に手を伸ばして、一気に踏み込み。
 目にも留まらぬ早業とはこの事であろう。樹に登った彼は、ぐうるりと周りを見渡した。
 その視線の端に駆けた、小さな小さな黒い影。
「あ、向こうに一瞬見えた……かな? 嵐吾さんー、割と近くにまだいそーだよ」
 綾華の指差す先を見上げ。おお、とその表情を笑み栄えさせた嵐吾はうむうむと頷き。
「いざ、いざ! 森を燃やさぬようにしつつ。ひとつたりとも逃さぬように、派手に参ろか!」
「ふふ、はぁい。派手にネ、おっけーおっけー」
 ゆるーく相槌を打ちながら頷く綾華。
 警戒に獣耳をぴんと立てた嵐吾は、狐火を侍らせる。
 敵を探しているのは、からくり人形とて同じ事。
 彼らが近寄って来る衣と樹々の擦れる音を拾えば、ぴぴぴと揺れる嵐吾の耳。
「そこじゃ!」
 音もなく駆けた狐の炎が、先程綾華の指差した方向へと叩き込まれ。
 炎に撒かれたからくり忍者は、ぴゃっとその身体を跳ねさせながらも煙弾を投げ込んで、一気に踵を返した。
「逃がさんよ!」
 立ち上る毒の煙は、一瞬で膨れ上がり。その煙幕の中でも、鋭く響いた嵐吾の声。
 一瞬でぴりと痺れ始めたその身体も、ビリリと内側から奔る電気に似た痛みも関係無いと。
 ぎゅっと腕を引けば、更に狐炎を幾重と重ねて大きく膨れ上がらせる。
「それにわしから逃れても、あや君もおるからの!」
 ――流石。やっぱ、すげーなぁ。
 毒に撒かれ、身体も痛むだろうに。それでも尚も踏み込む嵐吾の姿に、内心舌を巻く綾華。
 そして……その彼が自分へと信頼を寄せてくれている事も、理解をしている。
 一気に樹を蹴って飛び跳ねて、綾華は笑う。
 ――そんじゃ、俺は俺でやらせて貰いましょうか!
「その通りなんだよネー。残念だったな、どっちにしろお前ら燃えるしかねーから」
 大きく腕を振って。毒の煙を、闇と黄金連なる扇で一気に仰ぎ払い。
 逃げようとした忍者の進路へと、飛び降りて回り込んだ綾華の掌の上で、解ける得物。緋色の鬼火と化した得物。
 弧を描いて跳ねた炎が、煙弾と一体のからくりを喰らい焼き尽くす。
「やはりこう、燃えるの見るとテンションあがるのー!」
「分かるー」
 敵を一体屠って、一瞬緩む空気。
 しかし、背後に感じた気配に二人が振り向いた瞬間。敵へと落とされた、その視線は凍てつく程。
 即座に反転した綾華が、矢の如く地を蹴って。
 一息に穿ち放つ、鍵の刀。
「――燃え尽きよ!」
 その刃に抉るように地面へ縫い留められた忍者の身体を、膨れ上がった狐炎は言葉通り燃やし尽くす。
「……あっ!? いたい! あや君、あや君!? わし今、身体がすっごいビリビリしとるのじゃが!?」
「嵐吾さんの狐火は、相変わらず綺麗デスねえ」
 敵を始末すれば、また緩む空気。
 嵐吾がわちゃわちゃする横で、綾華は朱色の瞳を細めて、笑った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
やることはとてもシンプルだな
敵からくり忍者軍団の撃滅を遂行すればいいわけだ
多数を殲滅する手段は持ってるぜ?
からくりに美しさを感じる機構があるのかは分からんが
死ぬ間際に綺麗なもんを見られるんだ
咽び泣いて喜んでくれ

『Execute』、セットアップ
範囲決定─対象決定、マーク完了
コア部分を特定…では、処刑を始めようか
コア部位を一撃でぶっ壊す電子の花びら、ゆっくり味わえよ?
お前らの最後の景色ってやつだ

奴らが使う麻痺毒の煙幕爆弾については、機動力で回避
こちとらハイテクノロジー忍者と言っても過言じゃない
地形を利用した三次元の動きだってお手の物
俺を地に落とそうなんざ万年速い
修行が足りなかったな、三流…なんてね


遙々・ハルカ
《人格:トヲヤ》

掃討すればいいのだろ
戦闘知識と地形の利用を活用し周囲を把握
自身を隠せそうな場所や逆に敵が攻めに使いそうな道筋を留意
だまし討ちや先制攻撃、暗殺などは俺にとっても得手
ならば後はどちらが強いかだろう

アサルトライフルによる銃撃を主軸に
人が当たればただ死ぬが、人以外に当たればその身を侵食し殺す
生憎、俺の使う弾はそういうものだ

死角からの攻撃は既に予測が付いている
これは己の体積が減るようであまり好きでないが…
《泥塗れの小鴉》なら、振り向く必要さえ無い
撃たれ溶け落ちて死ぬか、こちらへ向かい溶け落ちて死ぬか

小鴉をすり抜けようと、クイックドロウの零距離射撃で死ぬだけだ
それ以外の路は用意していない



 ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は勝利を絶対とする。
 今回の任務は、敵からくり忍者軍団の撃滅の遂行。
 敵がさほど強くない前提でやることがシンプルならば、戦士では無い少年にだって多数を殲滅する手段はある。

 遙々・ハルカ(DeaDmansDancE・f14669)……否。
 いつもの張り付いたような笑みが見えぬ彼はハルカでは無い。
 仏頂面でアサルトライフルを構える彼は、ハルカの別人格――トヲヤだ。
 木の上でこちらを睨めつけていた忍者の頭を撃ち抜いたトヲヤは、次に敵が現れる場所を予測する。
 敵に囲まれている事は、理解している。
 しかし、その方が好都合だと。『敢えて』トヲヤはその身を広場に曝け出していた。
 結局は――自ら手を下さずとも、どの様な手段でも。
 掃討をすれば良い訳だ。

 ヴィクティムに接続された電脳接続デバイス上に、幾つもの文字列が羅列されている。
 演算、演算、演算。
 ――Killing Program『Execute』、Setup。
 ――範囲決定、――対象決定。
 コア部分を特定、――マーク完了。
 この場所は敵共にバレちゃァ居ないだろう。
 なんたって、アサルトライフルをぶっ放す彼が、その身で敵をひきつけてくれているのだから。
 しかしこちらからすりゃァ、隠れている敵の位置なんて演算をすればその反応でモロバレだ。

 ――からくりに美しさを感じる機構があるのかは分からんが、死ぬ間際に綺麗なもんを見られるんだ。
「では、処刑を始めようか」
 ……咽び泣いて喜んでくれ。
 実行されたプログラムによってヴィクティムの得物が解け、電子の花弁と変換され行く。
 からくりにプログラムは無い。
 いいや、その構造自体がプログラムと言えようか。
 ならばそのコアたる中核を潰してやれば――。

 駆ける花弁はまるで、花火のようにきらびやかであった。
 花弁に貫かれた瞬間にカラクリ達が動きを止めて、とさとさとその身体を地へと落とす虐殺にも似た光景。
「へ、修行が足りなかったな、三流……なんてね」
 軽く笑ったヴィクティムがその姿を、トヲヤの前に表したその瞬間。

 背後より現れたのは忍者の援軍であった。
 投げ込まれる煙玉に、ヴィクティムは跳ね退いて距離を取る。
 ――彼が一人であれば。
 煙玉の毒を避けて放置するだけならば、ヴィクティムの動きで十分であっただろう。
 しかし、今は仲間がいる。
 投げ込まれた毒の煙弾は、トヲヤの立つ広場に広がり始め――。
「――チ」
 アサルトライフルを構えたトヲヤは、煙玉を投げ込んだ忍者の額を貫くと同時に。
 その身より顕した、数多の小鴉を放つ。
 ライフルの弾は貫いた先より忍者の『中』を喰らい侵食し。
 煙玉も、毒の煙幕も。
 汚泥に沈む小鴉は、まるごと蕩かせて地へと崩れ落としゆく。
 全て溶け落ちる、零れ落ちる。泥濘に沈み、眠る。
 元よりトヲヤは、それ以外の路は用意していないのだから。

「おーっと、悪い悪い。しかし流石の手腕だな」
「……いや」
 ヴィクティムの謝罪に言葉少なに首を振ったトヲヤは、森の先を見据えたまま。
「もう一度、先程の攻撃はできるか?」
 視線を合わせる事も無くぽつりと呟く。
「……オーケー」
 言外に敵の波が、もう一波来ると滲ませたトヲヤはアサルトライフルをリロードし。
 こっくりと頷いたヴィクティムは、その唇に笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白波・柾
絡繰り忍者か……
確かにこ奴らは放置しては置けないな
ひとつ残らず殲滅をしていこう

『からくり・自己複製術』が厄介だが
脱力状態にさせなければいいのだろう?
防御態勢などをとらせれば、脱力など無防備なことはできまい
「殺気」を放ち「範囲攻撃」「目潰し」を使って
刀の一刀で「なぎ払い」つつ「衝撃波」を起こして防御態勢をとらせよう

その隙に「鎧砕き」「鎧無視攻撃」「傷口をえぐる」を添えた
【千刃の鋩】で一斉にダメージを与えていこう

自分が攻撃を受けそうになったならば「オーラ防御」で防御しつつ
「カウンター」で「咄嗟の一撃」を放ち「シールドバッシュ」で反撃しよう


花咲・まい
【POW】
城攻めとは! いいですねえ、胸が躍りますですよ。
とはいえそれほど大事であれば、確かに小事も忘れてはいけませんです。
料理でも下準備は大事と申しますですからね。

然らば、私も微力ながら助太刀をば!
集団戦になりますですから、根気強く参りましょう。
【悪鬼饗宴】を使えば、どんなときも元気いっぱいに戦えますですよ。
忍者軍団は素早いですから、しっかりと彼らの戦い方を見切り、情報収集しながら立ち回らなければですね。
『夜叉丸くん』を使えば、範囲攻撃や薙ぎ払いもできますから、集団戦でも敵に翻弄されずに動けそうですよ。

あとはやはり、近場にいる方と連携できればそれが一番かと!
*連携、アドリブはご自由にどうぞ



 エンパイアを狙うオブリビオン・フォーミュラ織田信長を討つが為。
 まずは主力が出払って、手薄となった上杉謙信の本拠地である春日城を落とす。
 ――ここに集まった猟兵達は、決して春日城の本丸を攻めるが為に集った訳では無い。
 本丸を攻める仲間達の為に。
 忍を引き付け、排除するという役割の為に、この場に集まった猟兵達は動いている。

 大事の前の小事。
 とても大きな事を成すが為の、大きな事。
 大きな事を成すが為の、小さな事。
 その下には更に沢山の小さな事が重なって、事を成しているものだ。
「城攻めとは、胸が踊りますですが……。料理でも下準備は大事と申しますですからね!」
 お料理にしたって、そうだ。
 臭み抜きを怠ればいくら食感が良くとも、その匂い一つで料理すべてが台無しになってしまうかもしれない。
 巴形の薙刀を構えた花咲・まい(紅いちご・f00465)と、白波・柾(スターブレイカー・f05809)は背中合わせ。
「確かに些末な敵とは言え、こ奴らは放置してはおけないな」
「はい! 然らば、私も微力ながら助太刀をば!」
 まいはいつもの元気なお返事、笑顔で朗らか。
 その彼女が先程からむしゃむしゃ食べている、今日の日替わりおやつはおいしいチョコドーナッツ。
 もちろんまいだってふざけている訳では無い。おいしくおやつを食べれば食べる程、彼女は強くなるのだ。
 ざくざくクランチチョコがおいしいです!
 ストロベリーチョコドーナツには乾燥ベリーも乗っていたし、そちらも楽しみですよ!

 まいとは打って変わって。
 殺気を隠す気も無い柾は、橙の双眸で注意深く木陰の先の気配を睨めつけていた。
 その瞬間。
「――来るぞ!」
 木々の合間よりこちらを窺っていたからくり忍者達が、膠着状態に痺れを切らしたかのように。
 膨れ上がった殺気が一直線に柾を狙って、矢の如く鋭く降り落ちて来た。
 見えている攻撃にあたってやる義理も無いと。
 防御壁を展開すると黒刃に掠ることも無く、星をも屠る大太刀を横薙ぎに振るう柾。
 しかしからくり達も、ただ薙がれるが為に自滅覚悟の突撃を行った訳では無い。
 自滅覚悟の突進は、次の刃を届けるが為のはったりだ。
 仲間のその身を盾に。猟兵達の首を狙って飛び降りてくる、第二陣。
 防御壁を柾は重ねるが――。
「はいっ、『見えています』です!」
 それでも、それでも。
 おやつを食べて元気いっぱいのまいは、ようく見ていた。
 降り落ちてきた第二陣。
 忍者の構える黒刃に向かって、薙刀を逆袈裟に振り上げて。
 まいは忍者達が落ちきる前に、迎え撃ち薙ぐ!
「そのまま――合わせてくれるか?」
 柾が問いかけひとつ。応えを聞く前にその体に力を巡らせれば、彼の周りに顕れたのは数え切れぬ程の鈍色に輝く刃だ。
「はーいっ。がんばりますです!」
 もちろん、共闘している相手の願いを断る訳も無い。
 こっくり頷いたまいは、ストロベリーチョコドーナツの最後のかけらを口に放り込み。
 そのまま軽く踏み込めば、漲る力は地が軋ませて亀裂が生む。
「えーいっ!」
 薙ぎ払われた衝撃より立ち上がろうとする、忍者達の前へと恐るべき疾さで回り込んだまいが、上半身の筋肉をぎゅっと引き絞って。
 円を描く様に、薙刀を振るい放つ!
「――避けてくれるなよ」
 薙ぎ払われた勢いで強かに空中に投げ出された忍者たちへと降り注ぐは、柾の呼んだ鈍色の刃の流星群だ。
 投擲用の刃が、からくり忍者たちを砕き、刺し、貫き、縫い止め――。

 ……大事の前の小事。
 とても大きな事を成すが為の、大きな事。
 大きな事を成すが為の、小さな事。
 その下には更に沢山の小さな事が重なって、事を成しているものだ。
 ――猟兵達のこの勝利は、必ずや春日城を落とすが為の大切な『小さな』一歩となったことであろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月14日


挿絵イラスト