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エンパイアウォー㉔～飛び交う武器の群れを越えて～

作者：旅野文師

　グリモアベース、

『信州上田城の上杉軍が撤退したっ!!』
『上杉軍主力部隊…越後から関ヶ原に向けて進軍開始っ!!』
『現在上杉の本拠地、春日山城が手薄になってる…何か有力な情報が掴めるかもしれないっ!!』
『…だが、各地の戦況も慌しい…サポートできるグリモア猟兵もいないぞっ!!』
『数日が勝負だっ!!…連絡回して動けるグリモア猟兵かき集めるぞっ!!』

「はい…猟兵の皆さん…お集まり頂いてありがとうございます」
　なんか疲れた感じで泉・星流（人間のマジックナイト・f11303）は集まった猟兵達に挨拶をした。
「もう本当に戦争が始まるとグリモア猟兵は大変でね…普通の依頼なら自分が予知とか感知とかした依頼の事だけ考えればいいんだけど、戦争ともなるとあちこちの戦況の変化とか気にして、グリモア猟兵同士顔を突き合わせて色々相談して…」
　なんか愚痴りだしたぞコイツ…、
「まぁ、その辺の話を聞いてもらう為にみんなの事呼んだわけじゃないから、依頼の話に入らせてもらうね…」
　グリモアの力を込めた箒を放り投げると、箒が地に魔方陣を描き出してその中にエンパイアにある城の一つが映し出された。
「上杉軍が関ヶ原に進軍しているという情報が入って色々と調べたところ、現在ここは最低限の警備の兵を残すのみとなっているらしい…で、みんなにはここを制圧して場内の探索をしてほしい」
　春日山城の情報を最初に調べたグリモア猟兵によると『戦争に関わる情報や品物が手に入る可能性アリ』…と猟兵達に告げて…、
「僕も春日山城の話を持ちかけられてグリモアの力を使ってみたところ、こんな光景が浮かんだ…」
　魔方陣の画像が切り替わり…刀や槍がふよふよと浮いている光景が映し出された。
「上杉謙信の『毘沙門刀』に感化された武器達らしく、兵というよりは一種の防衛装置って考えた方がいいかもしれない…」
　星流は魔方陣の画像を消すと転送の準備にはいりつつ、
「『毘沙門刀』に感化された武器…なだけに一筋縄じゃいかないかもしれない、でもみんなならきっと何とかしてくれるって…僕はそう思ってる」

第1章 集団戦 『兵器百般』

POW   :    騒霊カミヤドリ 【纏っている妖気の色が血のような赤】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。 SPD   :    ひとりでに動く武器 【念動力で浮遊すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【自身が持つ武器としての機能】で攻撃する。 WIZ   :    武器の知恵 技能名「【武器攻撃】【武器受け】【戦闘知識】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。 イラスト：童夢 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

春日山城の一角…そこには『一兵たりとも姿が見えなかった』
いくら城の警備が手薄と言っても限度がある…しかし『兵』の代わりに『刀や槍』の武具の数々が右往左往していた。

そんな武具がピタリと動きを止め、ある方向を警戒し始めた。
不可思議な力で動く存在だけに『気』や『魔力』などの気配に対しては敏感なのだろうか？
武具の数々はやってくる猟兵達に対して臨戦態勢に入った。






「グリモア猟兵の皆はマジでお疲れさんだな…んじゃ、その分俺達も頑張りますか！」
　大型バイク『ライドラン』に乗って姿を見せたアーサー・ツヴァイク（ドーンブレイカー・f03446）は【フルスピード・スカイドライブ】を発動させると、【騒霊カミヤドリ】を発動していた一部の武具達を引き連れて、その場から離れて行った。

「今日も一日一ヒールっ！　コトトです！」
　黒猫型の生放送動画撮影＆配信用ドローンに自分と春日山城を映しながら、コトト・スターチス（バーチャルネット辻ヒーラー・f04869）は『ことなまっ☆』を配信し始めた。
「今日、僕はサムライエンパイアという世界に来ていて、ここ春日山城の攻略に挑戦してみようと思ってます…お兄ちゃんたち、そしてがんばってくれてるグリモア猟兵のみなさんのためにも、ぜったいに勝ってお城にたどり着いてみせますねっ！」
　そう言うとカスタム武器『メイス+９』片手にコトトは武具達の群れに突っ込んでいった。

「春日山城の攻略は一般猟兵にとっても一大事… 微力ながら参加させて頂きます」
　【Ms.Yesterday】を発動させ、一部の技能レベルを高めつつ鈴木・志乃（生命と意志の守護者達・f12101）は『光の鎖』を手にしてゆっくりと武具達へと歩みよっていった。


「これだけ引き離せればいいか…」
　アーサーは『ライドラン』を大きく旋回させると、そのままついてきた武具達の群れに突っ込んでいった。
　アーサーの接近に気付いた武具達はすかさず散開…ライドランの突進の衝撃波に煽られつつ攻撃を回避…した後、数本の刀が互いの柄頭を合わせるように集まり、風車のような陣形？を取ると回転しながらアーサーへと襲いかかった。
「なっ！？」
　武具達の攻撃に一瞬驚きを隠せずにいたアーサーだったが、我に返るとライドランを操り素早くその攻撃を回避した。
「…話には聞いていたが、予想以上の攻撃だったぜ…」
　上杉謙信の毘沙門刀に感化された武具だけに『車懸かりの陣』まで使ってきた。

　そして『車掛かりの陣』は他の猟兵にも牙をむいていた。
　アーサーに引き付けられなかった武器達は残りの猟兵達を分断し、それぞれを中心に周囲を旋回しながら囲み、時に刀や槍が襲い掛かり…時に弓や火縄の矢弾に狙い撃たれていた。

「相手はポルターガイストのようなものですか…生憎、私も幽霊なのですよ…念動力比べと参りましょう」
　志乃は【念動力】を発動させた。
「浮遊している状態すら崩せるなら話は早いのですが、そうは問屋が卸さないでしょうね」
　そう呟くと、周囲の石ころ…そして自ら創り出した【呪殺弾】で弓や火縄を攻撃して破壊
　刀や槍は【第六感】で【見切り】…『光の鎖』による【ロープワーク】で作った網で絡めとり…そのまま締め上げることで破壊した。

「ふええええぇぇぇぇっっっっ!!!!!!!!」
　戦場に気が抜ける悲鳴が響き渡った。
　コトトは序盤は敵の行動パターンを【情報収集】することを優先したのだったが、

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

結果的に追い込まれる形となり、刀や槍や矢弾が飛び交う中を必死に【見切り】ながらも回避していた。
「お兄ちゃんたち、ちからをかしてくださいっ！」
　その声とともに、『ことなまっ☆』に書き込みされていたコトトへの応援メッセージが文字通りコトトの力となった。
「反撃開始ですっ!!!!」
　カスタム武器『メイス+９』を握る手に力がこもり、自分に襲いかかって来た刀を『ぱこ～～～～ん♪』とお空へ【吹き飛ばし】た。
　『ここからは僕のターン』と言わんばかりに、応援メッセージで動きがよくなった事による【残像】を駆使しつつ、襲い来る…また逆に自分の方から討って出て、『コトトちゃん…襲ってきた武器を葬らん（ホームラン）』（あるお兄ちゃんの書き込みより抜粋）

　再び場面はアーサーへと切り替わり
『ガキーンッ!!…ガキーンッ!!』
　上空ではアーサーと刃の風車と化した刀が何度も交差し激突…ときに刀はアーサーの突進に合わせてばらけては周囲から襲い掛かり、再び刃の風車と化してはアーサーに襲い掛かるを繰り返していた。

　そして決着のときが訪れた。

『バキイイイイィィィィーーーーン!!!!!!!!』
　何度目かの激突か…刃の風車を形成していた一本が折れた。
「…時間が掛かったが…どうやら俺の粘り勝ちのようだな…」
　アーサーは【怪力】による【部位破壊】…結果として『武器破壊』になったが、残りの刀もすでに刃こぼれが酷く、折れるのは時間の問題というところまできていた。
「俺の勝ちだ…」
　武器達は折れた刀を捨て、刃の風車を形成しなおしてアーサーに襲い掛かったが、まとめて叩き折られる結果となった。




「おお、武器だ！シャルね、武器好きなんですよ」
　清川・シャル（ピュアアイビー・f01440）は周囲に浮いている武器達を見るなり、その気持ちを隠すことなく喜んでいた。
「…とか言ってる場合ではないですね。制圧しないとですもんね。一気に攻めましょうね 」
　気持ちを切り替えてシャルは『ぐーちゃん零』と『そーちゃん』を手に武器達へと向かっていった。

　真白・白夜（多重人格者のサイキッカー・f10864）は戦場に到着すると、ユーベルコード【オルタナティブ・ダブル】を発動、内に秘めた残忍な自分を実体化させると…
「行くよ！」
『ただの鉄くずにしてやるぜぇ！』
　…と、二人で武器達に向かっていった。

　新たに現れた猟兵達に武器達は反応して素早く取り囲んだ。

「動けなければいけるのでは？」
　シャルは『ぐーちゃん零』で弾道を操りつつ武器達にマヒ攻撃を放った。
　発想そのものは悪くはなかった…が、いくら意思を持っていると言っても相手は器物…単純なマヒ攻撃は通用しなかった。

「目に見えるものは、全部撃ち落とす！」
　真白（主人格）は『ハンドガン・改』を使い、動く武器達に陣形を整える暇を与えずに素早く狙い撃ちにしていった。
「通用しないものは仕方ありませんっ!!」
　シャルは気を取り直して、真白（主人格）が狙い撃ちにし、弾き飛ばされたり地面に落ちた武器を『そーちゃん』の棘を回転させ、武器が壊れるまで殴り続けたり、思いっきり振り回した事による衝撃波で武器達を吹っ飛ばす事によりトドメを刺していった。

『ギリギリギリギリ……メキメキメキメキ……』
『…苦しんでいるのが分からねぇのが残念だな』
　真白（残忍）は拷問具で拘束して一体一体確実に…時に串刺し…時に締め上げて砕くことによって武器達を破砕していった。
　その隙を狙って弓や火縄が彼を狙った…が
『俺はここだぜ…』
　武器達が狙い撃ったのは残像…本体は素早く移動…そして武器の残骸を叩きつけて、彼を狙い撃った武器は『グシャリ』…と壊された。


　こうして猟兵達の活躍により、刀や槍は折られ…弓や火縄は破砕され…この戦場は陥落した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年08月13日