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総てを統べるモノ

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●世界の誰よりもあいしているきみのために
 ーー見慣れたセカイ。
 石壁がむき出しのこの部屋は暗く、冷たく、残った感性や理性も凍らせる。
 最後にこの部屋にヒトが訪れたのはいつだったか。昨日? 一週間前? それとも10年前だろうか。
 まぁいいや。君が幸せなら。
 僕の代わりに、太陽の下で笑ってくれているなら。
 ーーあぁ、でも……。また君の笑顔が見たかったな。
「……サーシャ」
 君は今も、太陽に負けぬほどの笑顔でいてくれているだろうか。

●不安定な予知
「うーん……、うぅん?」
 片方の手でペンをくるくると弄びながら青景・黒影(くるりくらり・f00707)は唸っている。
 どうかしたのか。猟兵が話しかけると珍しく眉間にシワを寄せた顔がキミたちを見上げた。
「あー、キミたちか。うん、ちょっとね……。至急って言えば至急なんだけど、この分かりにくい予知をキミたちに伝えていいものか……。」
 どうやらなにかを“視た”が、それが不安要素のあるものだったらしい。
「キミたちだって、しっかりとした情報を得てからお仕事したいだろ?」
 それは確かにそうだが。しかし『至急』なのだろう?
「うん、じゃあ……不明点の情報は現地調達ってことで。」
 勿論。もとよりそのつもりだ。


 猟兵らが各々、書きなぐられたメモに目を通していく。
 書いては消して、また書き直すを繰り返した紙はぐしゃぐしゃで、それでも読み取れた文字はいくつかあった。
『ダークセイヴァー』『なにかに支配された村』『石造りの冷たい部屋』『サーシャ』
 なるほど、ひとまずダークセイヴァーのある村で支配者のことを調べるのが良さそうだ。
「最終的には村を牛耳ってる支配者を倒すことになると思うんだけど、不明点の多いお仕事だ。くれぐれも無理をしないでね。」
 村の場所は完璧に分かるので、そこまでの移送はできるとの事だ。
 ーーそれにしても。
「お前がそんなに仕事熱心なヤツだとは知らなかった。」
 誰かが言った冗談に、アオカゲは不器用に笑って応えた。


樹志岐
 明けましておめでとうございます。マスターの樹志岐です。
 救われる命があれば奪われる命がある。今回はそんな依頼です。
 以下、本シナリオの詳細です。

●シナリオクリア条件
『なにかに支配された村を救う』

●第一章 『冒険パート』
 なにかに支配された村にて情報収集を行います。
 この村も、他の地域と同じようにオブリビオンの支配の恐怖にさらされている……と、思われるので簡単には情報をくれないでしょう。
 頑張ってください。

●第二章『潜入パート』
 支配者の敷地内に侵入します。
 第一章の情報収集次第ではなにか起こるかもしれません。

●第三章『ボス戦』
 支配者たる者との戦闘になります。

●青景の予知メモ
 ダークセイヴァー なにかに支配された村 石造りの冷たい部屋
 サーシャ 誰も知らない 差し出されたモノ

 最後になりますが、本シナリオは後味が悪くなる可能性が十二分にあります。
 その点、ご理解とご容赦いただいた上でご参加ください。
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第1章 冒険 『恐怖支配からの解放』

POW   :    熱心に説得する、武勇を示す

SPD   :    敵の偵察を察知して対処する、卓越した技量を示す

WIZ   :    人心を掌握する、勝利への道筋を示す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ネムネ・ロムネ
■何が起きてるのか、誰に支配されてるのか、まずは糸口を探らないと、です。
誰かが石造りの部屋に囚われて居る、ネムはそう感じたのです。サーシャさんの代わりにと言う線も捨てられませんですね。無理な捜索は両名の命を脅かす結果になってしまうかもしれないですね。出来るだけ隠密を心掛けながら探索するのですよ。
■オブリビオンに追われる子供を演じるのが良さそうです。UCの使用は控え、武器の携行も避けたほうが良いですね。
子供のフリをするのは癪ですけど、この際仕方ないのですよ。村人に保護を求めて内部から事情を探るとするのです。同業者にもバレないように。
■「だ、誰か助けてください!」「一体、何が起きてるのです…?」



●The Fatefull Day
 ーー血歴237年◯月×日
 ーーこの日、私たちの村に可笑しなやつらがやって来た。

「だ、誰か助けてください!」
 村の中央に位置する広場にて、見慣れぬ少女が声をあげた。
 何事か。仕事をしていたものは手を止め、往来は足を止め、屋内に居たものは窓を開けて訝しげにその様子を見ている。
 聞けば母親と出掛けている際、何者かの襲撃を受けて母とはぐれてしまったらしい。
「手紙を町に運ぶ鳩を放ったのです。助けがくるまで、ネムをここに居させてほしいのです。」
 ネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)は震えながらも頭を下げる。
 その様子はまるで『自分達と同じだ』と村の者たちには映るだろう。
「わかった、じゃあ俺のとこにこいよ!」
 一人の体格のよい男が声をあげた。
「俺はアリスタルフ。アーリャでいいぜ。よろしくな。」
「は、はい。ありがとうございます……。」
『またアーリャのお節介が始まった』『まぁ、アリスタルフさんがいいならいいか。』
 その光景に村人たちはぶつぶついいながら元の役目を果たすため持ち場に戻っていく。
「領主様に見つからないようにな。」
 最後の一人が声かけると何事もなかったかのように日常が再開される。
「え、えっと……ここではその、ヴァンパイアの支配はうけてないのです?」
「いや?俺らの領主様はヴァンパイアさまさ。」
「……?」
 一体どういうことだろう。『ヴァンパイアに支配されている』と言いながらもその暮らしぶりは支配を受けているようには見えないのだ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヌル・プラニスフィア
<ヌル>
なにかに支配された村、か。さてどうしたものかな。

村人に警戒心を抱かれても困る。世界観に違和感ない服装を心がけるとしよう。

<別人格:モノ>
まずは俺!【オルタナティブ・ダブル】で別人格【モノ】が情報収集!
ヌルはぶきっちょだし村の人とお話しするなら俺でしょ!
にぱーって笑顔で仲良くなれたらいいなぁ。皆の情報収集もやりやすくなると嬉しい!

<ヌル>
あぁ、そちらは任せた。その間俺は敵の偵察を探る。村人に聞き込む連中がいれば偵察も出てくるだろう。騙し討ちの応用でこっそり探るさ。もし見つけたら【モノ】に伝えて仲間へ情報共有だ。可能ならそのまま尾行したいところだ。さて、うまくいくといいが。

アドリブ絡みOK



●Multiple peronalities move
「こんにちは!」
 声をかけられた村人は怪訝な顔で振り返った。
 この世界の人間には珍しいだろうやや色黒の顔立ち。つまり余所者だと警戒心を露にする。
 ヌル・プラニスフィア(星屑天象儀・f08020)……の、別人格たる彼、モノはそれでも笑みを絶やさず言葉を続ける。
「俺、商人なんだ。各地を渡り歩いて、物を仕入れたり売ったりしてる。ねぇ、ここはどんなとこ?」
 どんなところか? そう聞かれれば村人たちは顔を見合わせて、
「何もないところさ。あるとしたら領主さまの薔薇園かね。」
「薔薇園?」
「そう。領主さまは薔薇を大層愛でていらっしゃってね。私達は薔薇の世話をすることで領主さまから恩情を賜っているのさ。」
 村人達が怯えている様子があまり感じられないのは、『恩情』あっての事だろうか?
「あとは最近、女の子が来たっけなぁ。アリスタルフさんとこにいるが、あの子もあんたと似た感じがしたな」

●少し、あるいは大分前の話。
 別人格たるモノを見送ったあと、ヌルは別行動を開始した。
 人目につかないように、木陰や物陰から身を潜めて村の様子を窺う。
「不思議な村だな。」
 ポツリと言葉を漏らす。
 ダークセイヴァー世界の人々はオブリビオンの支配に怯え、集落の外は異形の物の縄張りとなっていて外交などあったものではない。
 そう、資料で読んだはずなのに。
『この村は平和だ』と断言できるほどに、よくも悪くも何もない。
「……ほかに、何かあるとしたら。」
 村人が吸い込まれるように消えていく薔薇園。そしてそこに聳える塔。
 猟兵らが目指すべきはそこなのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

リネット・ルゥセーブル
随分とまた、不確かな話だ。
まあ良いか。この世界で確かなものなど静寂ぐらいしか在りはしない。

さて、仕事だ。
まずは支配の直接的手段を確認するとしよう。
SPDを使う。

マントを使い【目立たない】よう物陰に隠れつつ、
出歩いている不審な影を探す。
発見し次第そのまま【追跡】。
ただ暗がりや建物内等に進んでいくなら、追跡は一時中断し、
そこまでの移動ルートを地図上にプロットする。
敵の戦力が解っていない以上、今仕掛けるのは得策ではない。

誰かが襲われるだろうが、一番最初は見の構えだ。
何を以て支配し、何を搾取するのか。それを突き止める。

……人死にに遭えば呪われる。
十分情報が集まれば肉壁程度にはなろう。



●The caster
「やれやれ、随分と不確かな情報だ。」
 夜闇に顔を隠すように、マントの襟をたててそう愚痴を漏らしたのはリネット・ルゥセーブル(黒ずきん・f10055)だ。
 まぁいい、この世界には『静寂』以外に確かなものなど存在しないと、『呪い遣い』の彼女は知っている。
 ならば静かに。素早く。情報を確かなものにするとしよう。
 木を隠すなら森の中。黒ずきんはひとり、闇の中。
 目を凝らして探すのは、こんな夜に出歩くような『不審な人影』。
 夜風が身に沁みるようで、体を震わせたそのとき。一件の家から体つきのいい男が出てきた。
 手に布でくるまれた“何か”を抱え、足早にどこかに向かう男を、リネットは追跡する。
 気付かれぬよう、細心の注意をはらって。
 右を曲がり、突き当たりを左に。すぐにまた左に曲がって真っ直ぐ。
 その先にあったのは一面白の薔薇に埋め尽くされた薔薇園で、男はギイギイと音の鳴る古びた扉を押して中に入っていった。
 後をさらに追うには暗闇のなかが一番だろう、が、自分一人だけではどうすることもできないのも事実。
 手持ちの紙にこの場所までのルートを書き込んで、今晩はお仕舞いにしようか。

 少しあと、リネットは手ぶらの男が薔薇園から戻ってきたのを見届けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

雷・春鳴
はぁ……。
怯えきった村の様子に、溜息が漏れてしまうな。

村人の不安に感情が引っ張られそうだけど、村の隅の樹に寄り掛かって ユーベルコード【影の追跡者】である蜂を召喚。村とその周囲に放ち、村人の会話を傍聴して情報収集と、村の周囲の偵察を兼ねる。村人同士の会話なら警戒心なく情報が漏れるんじゃないかな?

もし情報が得られたなら、他の猟兵に接触して情報を共有してみよう。同じく情報収集してる人が、村人と言い争いになってたりしたら仲裁に入って『催眠術』をかける。UDCエージェントの技能だ。手助けくらいはできるかも?

不安なのは俺も解るから、さ。落ち着いてよ。
俺達 力になるから……。

アドリブ絡みOKです。



●Dark blue bee
 青に蒼を重ねて、そこに一滴の墨汁を垂らしたような景色。
 何時もよりもより濃く見えるその空気に、何度目かのため息をついた。
 それでも仕事はこなさねば。自ら進んで受けたものなら尚更。
 雷・春鳴(青を憂いて・f11091)は【影の追跡者】たる蜂を召喚する。
『顔見知り』、あるいは『同僚』の調査で村には薔薇園があることは知っていた。
 花に誘われた蜂ならば、警戒されることなく情報収集ができると踏んだのだ。
 まずは村の周囲。
 南側に畑。村の中央には広場があり、それを取り囲むように家が立ち並んでいる。
 北側には巨大な薔薇園が広がり、薔薇園のさらに先には豪奢な建物が建っていた。
(きっとここがヴァンパイアのすみかだね、……さて。)
 どこかに立ち話をしている村人はいないものか。探してみるがなかなか見つからない。
「……あ、」
 ようやく見つけた村人は薔薇園から急ぎ足である建物に向かい、乱暴に戸を叩いた。
「どうしたんだ、おばさん。」
 建物の中から聞こえるのは男の声。体格はわりとしっかりとしており、健康とは言いがたいが特別不健康というわけでも無さそうだ。
「どうしたんだ、じゃないよ。“薔薇がそろそろ枯れる”。次を早く用意しろって領主様からお達しだよ」
 それを聞いた男の顔がみるみる悪くなっていく。
「わかってる、わかってるさ。“薔薇が枯れる前に、どうにかする”と伝えてくれ。」
 ここの村人は薔薇が枯れることを恐れている。何故だろうか。
 それ以上会話はなく、情報を得ることができなかったが……、
 扉が閉まる寸前、春鳴は感じた。
 こちらを琥珀の瞳が見つめていることを。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ジロー・フォルスター
物事には理由がある
青景の予知からして…通常の支配方法じゃ無いのか?

住民にも心の中で警戒し慎重に行く

・行動
知人から聞いて村に来た医師となり変装して潜入
診察を名目に一人ずつ医術を施しながら話を聞こう

聖者の気配で信頼を得る
外の目が無い場所で世界知識、情報収集、コミュ力、言いくるめで情報を聞き出し、辻褄が合うか確認するぜ
子供からも話を聞こう

「どうだ、この村は。吸血鬼には狙われちゃないか?」
「ああ……サーシャって知ってるか?具合はどうだ?」

違和感があれば理由を探り、拒否反応なら名前を間違えたと誤魔化す

休憩中に『動物と話す』で村の動物達にも当たってみる
「(小声で)知ってる事を教えてくれ。お礼に餌やるから」


星宮・亜希
例え何があろうと吸血鬼を滅ぼす事は猟兵の、そしてこの世界で生まれ育った存在としての使命です…そこに多少の犠牲があろうとも
この世界の【世界知識4】や【情報収集5】には自信があります、故郷ですから
一軒一軒周り熱心に説得します、何かに支配されているって事はつまり誰かに苦しめられていたり敵が潜んでいても何らかの違和感を覚えていたりするって事ですからね
「突然の訪問驚かせてすみません。私は吸血鬼を討つ為に来ました。どうかこの村を救うためにも力を貸していただけないでしょうか…!」
っていくら私がオラトリオでもこれじゃあ怪しい人ですね。近くに敵が湧いてくれれば戦って証明でもできるんでしょうが…

POW
アドリブ歓迎



●Saints Doctor&Oratorio With Grimoire
 ーー血歴237年◯月△日
 ーー今日は領主様の恩恵に与かれる日でもないのに賑やかな日だった。その訳はーー、

 純白の翼を背に、闇に屈しないといった表情の少女と、半分ヴァンパイアながら、誰よりも清く正しくあろうとする男。
 ジロー・フォルスター(現実主義者の聖者・f02140)と星宮・亜希(双星の守護天使・f00558)。この二人の登場で村は大騒ぎだった。
 何せ少女はヴァンパイアを討つために来たと言い、男は村人をタダで治療してくれるというのだ。騒ぎにならないはずがなかった。
「ちょ、ちょっと退いて!」
 二人を中心にできた人混みを掻き分ける村人が一人。
 がっしりとした体格と人懐こい顔をした男は自分を村長代理、アリスタルフと名乗った。
「お二人からの申し出は願ってもない事です。でも、領主様がいなくなってしまったら俺らはどう生きていけばいいのかわからない。
 路頭に迷ってしまうわけです。それに……領主様を倒す、ですって? あなたたちは何者なんだ?」
 村人らが猟兵を完全に信用するには、些か材料が不足しているのだ。
 ……一か八か、かけてみるしかない。
「サーシャ、って知ってるか?」
 周囲がざわついた。『なぜそれを。』村民たちの視線が突き刺さる。
「私たちは猟兵と呼ばれる者です。皆さんと同じように、支配者に苦しめられている村を救ってきました。
 そしてこれからも、救っていって、この世界を支配者の脅威に怯えない世界にしたい。」
「俺も亜希も、この世界で生まれ育った。この世界の理不尽をよく知ってる。
 だから、世界を救える力を得た今、一人でも多くのそういった人たちを救いたい。『サーシャ』も、あんたらもだ。」
 信頼してくれとは言わない、ただ、一時『信用』してほしい。
 その言葉に、一人の中年女性が答えた。
「サーシャは、……アレクサンドラは『薔薇になるはずだった』の。」
 隣の男性が女性を止めようとするが、言葉はなお続く。
「この集落は領主様の薔薇のためにあるの。私たちは薔薇になるために生かされているの。ナザールはサーシャの代わりに『薔薇になった』のよ」
「失礼、『薔薇になる』とは?」
 ジローが問うと、答えようとした女性をアリスタルフが制止した。
「ここでは領主様に聞こえるかもしれない。俺の家へどうぞ。皆がなにも言い出さないってことは、皆『助けてほしがってる』んだ。そうだな?」
 誰もなにも言わない。それが最大の肯定だというのは明らかだった。

 通された客間で語られる言葉はーー.

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『血の薔薇園』

POW   :    大胆に行動

SPD   :    慎重に行動

WIZ   :    アイテムや特技を活用

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●“薔薇になる”
 村長代理のアリスタルフことアーリャは猟兵らを招き入れ、適当な椅子を勧めた。
 部屋の隅でストーブの薪が燃え、パチリとはぜる音が響く。
 薄めのコーヒーを人数分淹れ、戻ってきたアーリャはゆっくりと語り出した。
「この村は、領主様の薔薇を維持するために存在している。村民の仕事の殆どは薔薇の世話だ。」
 こちらは文字通り、本物の薔薇の世話だと彼は付け加えた。
「領主様の薔薇は特別だ。『人の魂を喰らって咲く。』魂が残っている限り、夜でも昼でも、咲き続ける。
 “薔薇になる”とは薔薇が食らう魂を差し出すということなんだ。」
 言い換えればそれは“生贄”と言うことになるのだろう。
「サーシャは薔薇になるはずだった。それを『身代わりになったバカな男がいる。』それだけの話だ。
 でも今の薔薇はもう長く持たない。……あなたたちが、本当に俺らを助けてくれるなら……、頼む。」
 どうか、薔薇が枯れる前に。
「義弟(ナザール)も救ってくれ……」
 頼みというよりも、祈りに誓いその言葉はキミたちにどう響いただろう。
 ーー斯くして、世界は動き出した。
ジロー・フォルスター
…そういう事かよ
じっと考えて大胆に決断する

「1人ずつ犠牲にして、差し出して、永らえてたんだな?」

事実を突きつけた上でもう一度答えを聞く
村人たちを否定も肯定もしない
聞きたいのは一人一人がこの先どうしたいかだ
真綿で首を絞められ続けるか、もう誰も犠牲にしない未来を選ぶか

後者の時は次の行動を取る

「次の薔薇が見つかったと言ってこい。俺が薔薇をやる」

勘違いするなよ、自己犠牲じゃない
先にナザールの元へ行く手段だ

新しい薔薇は同じ場所に連行されるだろう
予め傷をつけ他の猟兵の為にガイド用の血の雫を残す

幸いオーラ防御も各種耐性もある
生まれながらの光でナザールを癒して待ってるぜ

「あと少しだ…死ななきゃ何とかなるんだ」


ネムネ・ロムネ
■村長の家に保護されて良かったのです
これで情報はかなり手に入りました
ですが、まだ最悪の状況には変わらねーのです
ナザールを救うまで派手に動く訳には…
察するに他の猟兵も何人か潜り込んでますですね
■ネムが、薔薇になるのですよ
と村長に提案してみましょう
母はきっともう助かっていない、ならばせめて人々の役に立ってから母の元に逝きたい、と。
だからネムを薔薇園の先へと案内するのです
ナザールの元に潜入して、彼を救い出さないといけませんですからね
まだ領主の怒りも買いたくないのです
もし猟兵にネムの正体がバレて無いようなら、道中の護衛をお願いする体で説得してみるですよ
護身用に拳銃をスカートの中に携行して行きましょう



●薔薇を、二輪
 つまり、と、最初に声を上げたのはジローだった。
「1人ずつ犠牲にして、差し出して、永らえてたんだな?」
 その問いかけにアーリャは答えない。
 否、『答えることができなかった』。答えることも、答えないことも、その問いを認めている事になると気付いていながら。
「なら、どちらか選べ。真綿で首を絞められ続けるか、もう誰も犠牲にしない未来か」
「そりゃ……!」
 決まっている。もう家族のような人たちを失いたくない。
 それはみんな、同じ思いだ。『自分が薔薇に選ばれなくてよかった』ではない。『次は自分の身内かもしれない』と怯える恐怖は嫌だ。
「そうか」
 短く答えて頷いたあと、ジローはアーリャにこう言った。
 “次の薔薇が見つかったと言ってこい。”
「まってください!」
 猟兵が集まる部屋の奥から飛び出したのは決断に待ったをかける声。
 そこにはアーリャに保護されていたネムネの姿があった。
「それなら、ネムが薔薇になるのですよ。」
「なっ……」
 驚きの声を上げたのは果たしてどちらだったか。
「だって、ネムちゃんはお母さんを……」
「きっと母は助かっていないでしょう。ならネムは、せめて良くしてくださったみなさんの役に立ってから逝きたいのです。」 じっと自分を見つめる視線に、アーリャは分かりやすく動揺しているのが見てとれた。
 しかしネムの意思は強く、子供にそのような役目を任せられるものかとジローも譲らない。
「……わかった。なら」
 迷いに迷った末、アーリャは二人にこう告げた。

 日の当たらない苔むした石畳を、ふたつの人影が進んでいく。
「まさか『二人とも行け』、とはなぁ……。」
「……はい、ネムも予想外でした。」
 道中交わす言葉は少なく。視線を交わすこともなく。 
 サングラスの奥に相手への憎悪を隠して。
 ひらり、舞うスカートに殺意と真実を隠して。
 少女と青年は薔薇を摘みに、薔薇に成りに進む。
 薔薇園へ至る門をくくれば、外からは薔薇の生け垣に阻まれて見えなかった石造りの塔が姿を表した。
「さぁて、神への献身(ナザール)をちゃちゃっと果たしてくるか!」
「足を引っ張らないでくださいね、オジサン。」
 冷めた少女の返答に内心苦笑いで答えて、ジローが、次いでネムネが塔へと入っていく。
 『至る道は残した』。きっとあとから心強い仲間たちが来てくれるだろう。
 ……ところで。
「もしかして、ネムネもイェーガ……」
「はて、なんのことでしょうか。何を言ってるのか皆目さっぱりこれっぽっちも分かりません。」
 一先ず、そういうことにしておこう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヌル・プラニスフィア
救ってくれ、か。…これは救いになるのだろうか。

■別人格:モノ
またもやオルタナティブ・ダブルでモノが大活躍!
可能なら村人から問題の薔薇の場所、建物内部の構造、または石造りの部屋について確認するよ!
その後は雷(f11091)のサポート兼情報の共有手段としてついていく。よろしくね雷くん!
誰かいれば仲間が動きやすいように時間稼ぎしていくよ。

■ヌル
俺は別行動だ。騙し討ちの応用で慎重にこっそり探索。スナイパーの目があれば暗くても困らないだろう。
村人から情報が無ければ薔薇があるのは予知より地下室だと予想。入り口を探し、薔薇が確認できれば仲間に通達する。
…薔薇から魂を解放できればいいんだがな。

アドリブ絡みOK


雷・春鳴
人の感情で 祈りほど 複雑で鮮明な青はない。
苦しい。押し潰されそうで。だから できることなら、救いたい。

▼慎重に動ける程器用じゃ無いからヌル(f08020)の人格 モノと共に、囮を兼ねて大胆に行動しよう。彼の底抜けに明るい所は…苦手だけれど。

隠れる事はせず、自分たちに注意が向く事で身を隠した他の猟兵達が動きやすくなるといい。
探索は勿論、誰かいるなら接触。不快感を与えない程度の『コミュ力』くらいは持ってるさ…。特別な薔薇や生贄の場所の情報を入手出来れば幸運だ。

見張り等と戦闘が発生したら派手めに暴れよう。
UDCや体術で牽制し援護はモノがしてくれる。

不安は拭えない。皆の健闘を祈るよ。
アドリブ絡み 可



●貴方にクリスマスローズを
 ーー人の感情で、祈りほど複雑で鮮明な青はない。
 そう語ったのは春鳴だ。心優しい彼は人の痛みを人一倍強く感じているのだろう。
 できることなら救いたい。そうこぼした彼にモノが力強く頷いた。
「じゃあ先ずは情報収集だ! 『急がば回って一休み』『千里の道も十歩から』ってな!」
「……『急がば回れ』『千里の道も一歩から』、ね。」
「あれっ?」
 そうだったっけ? 首をかしげるモノに春鳴ははぁ、とため息をついた。
 しかしモノが自分やヌルの苦手とする情報収集に適した性格をしているのは事実だ。此度も頼るしかないか。
「じゃあ、よろしく……」
「任せろ!」

「おや、商人さんじゃないか。……いや、いまは私たちの『キボウさん』かね。どうしたんだい?」
 外に出ればモノが最初に村に入ったときに話しかけてきた村人がこちらにはなしかけてきた。
 明るい性格のモノを大層気に入ったらしく、何でも協力すると真っ先に名乗り出た人物である。
「おばさん! ききたいことがあって。」
「あたしにかい?」
 モノがあれこれ情報を聞き出すなか、村人の視線はちらちらと春鳴の方へ向いていて、春鳴は首をかしげた。

 ーー、
「すごいな……、」
 感心した。性格によるものがあるとはいえ、ここまで情報を聞き出せるとは。
 情報提供が、次第に世間話となり、最後にはお節介になりかけたときは焦ったが、つまりはそれほど信頼を勝ち得たということだ。
 排他的な集落が多いこの世界において、これはすごいことなのだと思う。
 モノは手にいれた情報を一度仲間に伝えに行った。自分の手元にあるのはそれを複写したメモだけだ。
 薔薇園には塔がある。見回りは居ないが、一日に二度ほど『領主様』が薔薇を愛でに館から出てくるらしい。
 そして塔には“薔薇”を監禁する部屋がある。
 螺子の階段を昇っていった先、塔の頂上にその部屋はあるという。
 最後に村人は春鳴を見て「うちの娘の婿に」と言ってきたのには驚いたが、それはそれ。
 さて、もうそろそろ『領主様』が薔薇を愛でにいらっしゃる時間だ。

 一方。
 春鳴が自分の別人格たるモノを苦手に感じていることをヌルは知っていた。
 それでも彼とモノを組ませたのは、きっとちょっとしたお節介で、あるいは気まぐれだったのかもしれない。
 ともあれ、これが春鳴にとってプラスになることを願ってのことだった。
「さて、このあたりでいいか。」
 身を隠すには絶好のポジションをとり、そこから敷地内を見やると、春鳴とモノが何者かと対峙する様子が見えた。
 先制攻撃を仕掛けてやろうか。
 使うのは不本意だが……、マスケット引き金に指をかけて。ーー

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユース・アルビトラートル
【WIZ】
 とりあえず、今までの情報を纏めたものには目を通したけれど……こんな言葉があるね。「邪なる平和は、戦争より邪悪なり」って。特段の事情があり、領主様に従うしかない状況は推測として考えられるね。

 通気孔にでも潜んで、屋敷内の人の話を聞いてみようかな。ボクフェアリーだし、ちっこいし、人の話を聞くのは得意だし。【情報収集】だね。
 ただし、話し手がペテン師の可能性もあるから、何かと矛盾する点や確認の術に乏しいことなどはしっかり記録しておこう。

 ……あと、領主様というのは何故そうも薔薇に執着するのか。ここも気になるね。ひっそりしっかり追求していこう。


リネット・ルゥセーブル
……成程。
多少のプロセスの違いこそあれ、要するに人身御供で保っているわけだな。
そしてただ生贄を捧げるのではなく、できるだけ長く生き永らえさせる必要もある、と。

この前の晩に見た、あの男が持っていき、おそらく建物内に置いてきた『モノ』、大凡想像がついた。まずは建物へと向かうとしよう。

SPDを使用し、極力音を立てず、宵闇に紛れ【目立たない】ように行動。
道中は既に作っておいたマップを使い、安全なルートを選定し進んでいく。
また、【クライミング】を併用し、金属扉等の音を立てやすいものは回避しよう。

できれば正面突破する面々とは別行動をしたいところだ。その方がお互い助けになるだろう。



●何人(ナンピト)も裁かれねばならぬ
 白い髪に黒の衣服を見に纏い、夜闇に紛れて進む影があった。
 よく見ればそれは二人いる。
 一人はリネット、もう一人はフェアリーのユース・アルビトラートル(妖精界の法曹枠・f03058)だ。
 ナザールと呼ばれた男を助けること。過程は違えど、目的はおなじだった。
 リネットの調べた内容を元に、二人は難なく敷地内に入ることができた。
「ここから先は」
「わかってる、別行動だね。」
 リネットは薔薇の元へ。ユースは領主の身辺を探りに。
 ふわり、身体をうきあがらせた妖精はスルリと通気孔の中へと潜り込んでいった。
 こういうとき、小さな体は便利だと思う。日常生活では踏まれやしないかヒヤヒヤするが。
 さあ、正面から踏み込む予定の猟兵らと鉢合わせにならないようにしなくては。
 ならば館から塔を見たときにみつからない影を昇るしかない。
「また、影か。」
 ふっと嘲笑ぎみに笑う。
 構わない。呪いを扱う以上、日陰を歩くことには馴れている。
 人知れず、薔薇摘みに出掛けるとしよう。

「さて、と。」
 いま通気孔に潜り込みたてのユースは人通りの多そうな廊下の影に身を潜めて辺りをうかがう。
(“領主様”が薔薇に固執する理由も、調べておかなきゃね。)
 そう、彼が調べるのは『薔薇のこと』。
 領主のヴァンパイアが薔薇にご執心な理由があれば、それも手がかりになると踏んでいた。
 廊下を行き交うーー仕事中の制服なのだろうかーーよい身なりの村人たちが一斉に端に避け、頭を垂れる。
 凍りついたような空気の中。かつかつと足音を響かせて男が、次いでドレスを身にまとった女が廊下を歩いていく。
(多分、男の方が領主……、じゃあ女の人の方は……?)
 見つからぬよう注意を払いつつ身を乗り出して様子を窺う。
「“新たな薔薇の用意ができた”と朝方、アリスタルフめが来た。今の薔薇はもう終わりだな。」
「そう、で、ございますか。」
「貴様との契約は“薔薇が枯れたなら婚姻を受ける”……ようやく貴様を私の妻に出来るわけだ。なぁ、アレクサンドラ?」
 声をあげそうになって、思わず口を押さえる。大丈夫、まだ気づかれていない。
「貴様に最期の別れを告げる機会をあたえてやろう。共に来い。」
「……仰せのままに。旦那様」
 行かねば。
 ヴァンパイアよりも早く薔薇の元へ至り、いや、猟兵たちに早くこれを伝えなくては。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●世界の誰よりも愛しているキミの為に。(或いは幕間の物語)
ーー血歴218年◯月□日
「あいつと結婚したい、だってぇ!?」
「あぁ。……だめ、かな?」
 その日、ヴァンパイアに支配されていたある村はちょっとした大騒ぎだった。
 村長の娘に求婚をした男がいたのだ。
 気弱で頼りなく、力もない。そんな搾取される側の代表といってもいい、そんな男が、だ。
「お前なんかがあいつを幸せにできるのか?」
「できる! してみせる!」
 声を荒げる男に、娘の兄に当たる男は条件をだした。
「なら男気を見せてみろ。そうしたら認めてやるさ。」

ーー血歴218年◯月×日
「ほう、これは美しい娘だな。さぞかし麗しい薔薇が咲くことだろう。」
 最悪だ。よりにもよって、彼女が“次の薔薇”になるなど。
 本当は怒りたい。彼女の頬に触れるその手を払いのけて掴み掛かりたい。
 けれど相手はここの領主で、自分達は搾取される側で。
 これは今までずっと、続いてきたことだから仕方ない。
「まってください!」
 震える彼女の肩を抱いた領主が、薔薇園へ連れていこうとする。
 何十年かに一度、いつものこと。それに待ったをかける愚かな男がいた。
「僕が……、僕が薔薇になります。だから彼女は許して、見逃してください。」
『ほう、』とおもしろい玩具を見つけた子供のような目で男を見るヴァンパイア。
「いいだろう、貴様が来い。」
「ナザール!」
 どうして、なんであなたが! 悲痛な叫びに、数日前に彼女に求婚をした男は笑って答えた。
「世界の誰よりも愛している君のためなら、僕は何だってできる気がするんだよ。サーシャ。」
 サーシャと呼ばれた彼女がその後、ヴァンパイアの妻として館に招かれたことを、男は知らない。
 領主の後ろにつく、いまにも泣き崩れてしまいそうな表情の女性の名前はアレクサンドラ。
 ーー一般的に呼ばれる愛称は、“サーシャ”。

「これは、一体どうしたことか。」
 冷静を装う領主の声には僅かながらの怒りが感じ取れた。
 無理はない。“新しい薔薇”として差し出された存在は、自分の統治を否定する『敵』であったのだから。
 許さぬ。赦さぬ。
「謀ったなアリスタルフ!! 貴様らも! アレクサンドラも! 総て!! 消し去ってくれるわ!!!」
 吼える姿は領主ではなく、オブリビオン、ヴァンパイアとも違う。
 これはただの『獣』だ。災厄を振り撒く獣。
 さぁ猟兵よ、武器をとれ。身を引き締めろ。
「獣狩りの時間だ」
ユース・アルビトラートル
 如何なる悪法も奪えぬ権利があり、そのひとつこそ抵抗権。こうなれば審判者の役も無し、ひとりの猟兵として対応するよ。

 兎に角、戦闘になるならさっさと隠れちゃおう。直接戦闘は得意じゃなくても、場の支配なら得意だから……「行為を、実行時点まで遡及して無効とする魔法」。使うべきところでこっそりあのユーベルコードを使おう。
 正直すごく卑怯くさいけれど、隠れながら戦闘状況を見られそうなところから……少なくとも味方猟兵に対しての攻撃は、できる限り【取消し】させてもらうよ!それに、最初からなかったことにされたら誰でも怯むさ。多分。

 万一見つかったら……イヤだけど木槌で殴り合ってでも抵抗するよ。


ジロー・フォルスター
ネムネ(f04456)と協力

悪くない
度胸のある嬢ちゃんだ

「まさか薔薇になる酔狂がもう一人いるとはな」

事態が動くまでに医術と聖痕でナザールの治療をする
運がよきゃサーシャが先に来るかもな
二人を『静寂の廃聖堂』を使って中へ匿う

「いいか。生き延びてサーシャを笑わすのがあんたの仕事だ」

・戦法
『血の道しるべ』は残した
他の猟兵もすぐ来るだろう

「薔薇の求人に『猟兵不可』と書かなかったのが敗因だな!」

攻撃は見切り、武器受け・カウンター・地形の利用で避け身を守る事を最優先
オーラ防御と激痛耐性を維持し傷は聖痕で癒す

く…足手纏いにはなれねえ
嬢ちゃんを信頼して退くが…死ぬなよ
退く時は血の道標を逆に辿り援軍に道を教える


ネムネ・ロムネ
出ましたね
ナザールさん。こういう輩と交渉をする時はどうするべきなのか、教えて差し上げましょー

さて、いきます。

ジローさん(f02140)と協力するのですよ
ジローさんがナザール達を癒やし、護り、避難させる為の時間をネムが稼ぎます
UCを使用し、常に吸血鬼の前に立ちはだかるのです
奴は一人で複数を対象取るUCを保有してるのです
極力相手の標的になれる形態のスーツになると良いのですが
もしナザール達が標的になりそうなら銃で先制し、気を引くのですよ

まだですかっ!長くはもたねーですよ!なにやってんですか!

もしも無事に全員を救う事が出来たら、ナザールにネムの持つ拳銃を一つ渡しましょう

誰かを守りたいなら強くなれ、です



●枯れた薔薇はなお凛とそこに咲く
 舞台は整い、役者も揃った。
 ならばあとはなにを成す? 幸福へと至る終演へ向けて、猟兵(ヤクシャ)がすべきはーー、

「……い、……おい、……おい!」
「……ぁ、」
 ぼんやりと生気のない目が呼び掛けたジローを捉えた。
 ひどい顔をしている。だが、まだ『生きている』。ならば、救える。
「もう少しの辛抱だ。それまで耐えろ。いいか、生き延びてサーシャを笑わすのがあんたの仕事だ。それまでくたばってくれるなよ?」
「なにを、いって……あんたたちは……?」
 驚いた表情を浮かべ、猟兵らを見るナザールに、ニヤリと笑って答えた。
「なぁに、ただのお節介焼きさ。」
「カッコつけてる場合じゃねーのですよ! オジサン!」
 ネムネはユーベルコード、【鋼のコルセット】を使い、ヴァンパイアの【マサクゥルブレイド】を堪え忍んでいる。
 が、オブリビオンと呼ばれるものは基本的には猟兵が複数人で挑まねば倒せぬ相手なのだ。
 ネムネがいくら手練れであったとしても、防戦一方ではいずれ押し負ける。
 ならばどうすればよいか?
「『守る対象を安全地帯に避難させればいい。』……そうだな、ネムネ」
「わかってるならさっさとやれです!」
 まったく、この娘には口の聞き方を教える必要がありそうだ。
 困ったように笑いながら、避難場所となる空間へナザールを誘う。
「安心しろ、中は安全だぜ。誰もいないけどな。」
「させるかァ!!」
 ヴァンパイアの顕現させた剣が一斉に動き出す。狙うはジローだ。
「させるか、はこっちの台詞だよ!」
 どこからか聞こえた小さく、それでいて大きく響き渡る声。
 ともすれば踏み潰されてしまいそうなほど小さい少年の、大きな信念を込めて放つユーベルコードは、行われた行為を『実行時点まで遡及して無効とする魔法』。
 即ち、ジローに向けられた刃は“跡形もなく消え去る”
 これだけ時間を稼げれば十二分だ。
 自身のユーベルコード【静寂の廃聖堂】にナザールを避難させられれば、あとは心置きなく、この独裁者と遊べるというものだ。
「小癪な……、貴様らは何者だ!」
 先程から何一つ自身の思うようにいかないヴァンパイアが腹立たしげに問い質す。
「ボクらは猟兵。そして『私』は法の番人だ。貴殿は権利を無視している。
 如何なる悪法も奪えぬ権利があり、そのひとつこそ抵抗権。」
「抵抗する権利だと? そんなものをあれらが持ち合わせているとでも? あれは総てワタシのものだ。ワタシの所有物だ。
 貴様らは家畜や奴隷、庭先の石に自己主張権を与えているのか? 馬鹿馬鹿しい。」
 ふん、と笑うヴァンパイアに「でしょうね」と返したのはネムネだった。
「だからこれは奴隷戦争……革命なのですよ。革命は旧体制が負けると相場が決まってるのです。
 ねぇ、そうでしょう?ジローさん。」
「あぁ、全くもってその通りだな、嬢ちゃん。」
 その声はヴァンパイアの“背後から”した。
 月の光を反射して煌めく短刀を振り下ろすのと、ヴァンパイアが振り返るのはほぼ同時で、つまりその攻撃をヴァンパイアは回避することができなかった。
「薔薇の求人に『猟兵不可』と書かなかったのが敗因だな」
 冷たい石造りの床に人のものとは思えぬ血痕ができる。
「……おのれ、おのれおのれおのれ! 猟兵ァァァァァ!!!!」
 凶器を受け、狂気を表すその様に同情や憐れみの情は不要であることを猟兵らは再確認した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リネット・ルゥセーブル
ナザール、喜べ。君は立派な呪い遣いだ。
その傲慢な呪い<おもい>は君の怨敵に届いたようだ。
……頼むから死んでくれるなよ。これは私にも御しきれるか解らない。

真の姿を解放する。
それは身体を黒くぼやかし、背格好は見たこともない、どこかの薔薇によく似た形になるだろう。

ゆらり、ゆらりと、敢えて足取りは重くしつつ、【呪詛】を唱えながら接近する。
攻撃は【フェイント】【第六感】【見切り】および『絶望の福音』を活用して避けていく。
ある程度動きが解ってきたら『悪魔の保証書』も活用しようか。
更に当てづらくなることだろう。

いつかその願いを踏みにじった筈の影に迫られるのは、さぞかし【恐怖を与える】ことだろうな?

アドリブ可


ニコ・ベルクシュタイン
遅参にも程があるな、大変失礼。
黒幕が登場したとあっては捨て置けぬ、我が力が幕引きの一助とならんことを。

共に戦う仲間が居る場合は互いの立ち位置に気を配り
時には声を掛けて常に有利を取れるよう心掛ける

【時計の針は無慈悲に刻む】にて攻撃を
時刻みの双剣の切っ先を敵に向け狙いを良く定め、連撃を叩き込む
「2回攻撃」が有効そうならば再攻撃も狙っていきたい

【サモンシャドウバット】の反撃は、狙われた対象が自分なら他の味方が戦いやすいように敢えて誘導する動きで対抗し、
他の味方が狙われたなら可能な限りのフォローと注意喚起をする

物語は、ハッピーエンドで終わるのが好きなのだ。
その為にも、悪役には御退場を願いたい。



●笑う呪い使いと大きな古時計
 呪い使いは笑っていた。
 笑っていたのだ、と思う。
 何故ならばその声色はいつにも増して“人間らしかった”から。
「……頼むから死んでくれるなよ。これは私にも御しきれるか解らない。」
 ゆらり、揺らめく炎のような足取りで少しずつリミッタをはずしていけば、そこにあったのも“薔薇”だった。
 どこかで見た懐かしい、それでいて初めて見た珍しさを感じ、狂気のうちのヴァンパイアはそれに惹かれていく。
「薔薇……あぁ、その薔薇は……ワタシのもの……いや、ワタシのものに……!」
 正気であることを完全に放棄してしまったかのようにリネットの方へ誘われる。
 それは彼女の【呪詛】によるものか、それとも別の要因か……ヴァンパイア自身にも、勿論猟兵にもわからないが。
「【時計の針は無慈悲に刻む(ルースレス・クロックワークス)】」
 時刻みの双剣がヴァンパイアに傷を付ければ、カチリ、と音がしたような気がした。
 続けてもう一度。先程の傷を抉るように放った一撃にヴァンパイアは吼えた。
「遅惨にも程があるな、大変失礼。」
 ユーベルコードを使用した災に僅かにズレたメガネを直しながらニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は一礼する。
 その仕草は徹頭徹尾、一寸の狂いも許されないといった圧を感じるが、それ故にわかることもあるのだろう、例えば
「そこのお前。二歩ほど後方に下がりなさい。」
「言われなくても。それから、別に一歩半でも構わないがな。」
 まぁ、いうとおりにしてやろう。リネットが二歩後ろに下がると、其所にヴァンパイアの攻撃の流れ弾が飛んできた。
 リネットは僅かな未来視ができ、ニコもまた、経験則から危険を予測できるようだ。
 これから訪れる未来を、予測できる二人。
 彼女らは互いに目を見合わせてから、敵に向き直った。
「俺は物語はハッピーエンドで終わるのが好きなのだ。」
「だろうな。そのために、私や君がすべきこと。それはーー、」
「「バッドエンドの主(アクヤク)には、ご退場願おうか。」」
 リネットが視て、攻撃をなかったことにし、ニコが猛攻を仕掛ける。
 ヴァンパイアの体力を少しずつ、確実に削っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヌル・プラニスフィア
力に力を返すのは不本意だが、俺に出来るのはそれくらいだ。
…優しい言葉や、表情が出来るなら俺も…

■モノ
非戦闘員を保護か、すでに仲間が保護してるなら戦闘のサポートをするよ!戦いは苦手だけど皆が怪我するのはもっと苦手だからがんばるよ!

■ヌル
確実に領主だとわかる、仲間の行動の妨げにならない、この2つを満たすなら先制攻撃で領主を狙い撃つ。
その後は攻撃の合間を縫うように援護射撃。敵が体制を整える暇を与えたくないからな。
■真の姿
隙を見て弾丸の形の時限式爆弾をヤツの体内に撃ち込む(UC攻撃)。予想外の衝撃で息つく暇を与えはしない。
これを撃つ間は瞳が赤くなるかもしれないが…まぁ、些細なことだ。

アドリブ絡みOK


雷・春鳴
獣狩りの時間。
それはいい。誰かの感情に揺らいだり、気遣いも優しさも要らない。エージェントとして、対象を視認した途端 感情が削ぎ落とされていく。元より こちらの方が幾分得意だ…その事に 少しばかり憂鬱になりながら。

▼吸血鬼へ攻撃
真の姿を解放(蜂の巣のような六角の痣が侵食するように浮き出る)
【ブラッド・ガイスト】を発動。刻印の一部を体内から引きずり出し、棘のついた車輪のような鈍器を生成。抉り、潰して、潰して、潰す事に特化した。

必要な力は振り上げる時のみとは言え、車輪は重く、一振りが大きい。機動力にかけるが『捨て身の一撃』の要領で敵の懐へと躊躇いなく踏み込み続ける。

「来なよ、喰らってやる。」



●共存者、二人。
 濃い茶色の瞳が見据えた先。マスケットから放たれた弾丸がヴァンパイアの鼻先を掠めていく。
「ぬっ……、!?」
 驚き目を見開くヴァンパイアにしてやったり、とモノは笑い、春鳴はもはや何度目かもわからぬため息をついた。
 余計な感情を向けなくて済む分、その方が気楽でいい。そんなふうに思ってしまう自分に向ける感情は嫌悪や憂鬱と言ったものなのだろう。
「モノ、ヌルは?」
「ん? そーだなー。チクチク、ボーンってかんじ?」
「なるほど。」
 わからない。が、ユーベルコードを使うつもりなのだろう。多分。きっと。ならば、
「俺の『真の姿』、見せてやる。潰される覚悟はできたか、ヴァンパイア」
「潰す、だと。それはお前の方だ。忌まわしき猟兵風情が。」
 対峙する二人は互いに相手を冷ややかな視線でみやる。
 最初に動いたのは春鳴の方だ。
 蜂の巣のような六角の組合わさった紋様を浮かび上がらせた、真の姿。
 ユーベルコード【ブラッド・ガイスト】の力でその一部から棘の生えた車輪のような武器を召喚し、それを構える。
 振り上げることに一苦労するその鈍器は、相手に隙を与えてしまい、下手をするとこちらへのダメージとなるだろう。
 故に、これはまさに『捨て身の一撃』。
 一発、二発、とそれを振り下ろす。
 それに合わせて遥か遠く、絶好の狙撃ポジションから【嘘と噂の工芸品(ウソトウワサノデスパレート)】で生み出した時限式の弾丸を放つ。
 その瞳もまた、真の姿の影響で赤く染まっているが、そんなことは些末なことだ。
「う、ぐぅ……! この程度でかったつもりか! まずは狙撃手から潰してくれよう」
 ヴァンパイアのユーベルコード、【クルーエルオーダー】は血でかかれた誓約書。
 血を流すものーーこの場合はヴァンパイア本人だがーーがいれば発動は容易だった。
「我が血の元に告げる。『狙撃手たる猟兵よ、姿を現すがいい』これを受けぬ場合、貴様には相応の報いが在ろう。」
 一見無視できる要求。しかしこれを受けなければ報い(ダメージ)を負う。
 さて、どうしたものか?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヌル・プラニスフィア
姿を表せ、へぇ、そうか。
_オマエ、俺が怖いのか。


引き金を引く。やめはしない。移動もしない。身を抉る痛みなど気にもしない。
援護射撃でもない、隙を作らない銃弾でもない、奇策でもない。策もない。
撃って、撃って、撃ちまくって、腹のなかに沸き上がる衝動を弾丸に変えて。

_悪い癖だ。…殺し合いを面白いと思わせたのはお前だ。
その分 キッチリ 殺されろ。

■行動
姿を表さず真っ向勝負の撃ち合いを行う。
第六感で急所だけは外し、可能な限り撃ち続ける。
これは悪癖だと自覚しており、故に銃を持つのは気がのらない。

血塗れで優しい言葉もないだろ、ナザール達は仲間に任せる。そういうのは得意じゃない。

(2回目失礼します)(良ければ)


アレクシア・アークライト
 はじめまして、ヴァンパイア。そして、さようならよ。

 貴方の念動力と私の念動力、どちらが強いかしらね。
 貴方が誓約書や刀剣を操るというのなら、悉くを叩き落して、その全てを潰してあげるわ。
 それと、貴方は“見える”ものを動かさなくちゃいけないようだけど、こっちの攻撃は音も光もないわよ? 果たして貴方に躱せるかしら?(2回攻撃、念動力、サイコキネシス)

 もしあいつが近づいてきたら中空に逃げるけど、それでも近づいてきたら強烈な一撃をお見舞いしてあげるわ。(空中戦、グラップル、捨て身の一撃、全力の一撃)

 綺麗な薔薇園ね。
 だけど今、私の力で全部吹き飛ばしてあげる。
 絶望を抱いて死になさい。



 結局のところ、ヌルが出した答えは『NO』だった。
 その身に走る痛みに臆することなく、引き金を引き続ける。
 それはほかの猟兵を援護するわけでも、ヴァンパイアの攻撃を妨害するためでもない。そもそも策などない。
 ーーあぁ、なんて『楽しい』んだ。
 ただ自分が楽しむために。
 薔薇のような、血のような、赤く染まった瞳でオブリビオンを見つめ、撃ち続けた

●Bon soir&Au revoir
 カツリ、靴音が響き渡り、新たな来訪者が現れた。
 赤い髪に紅い瞳。白い肌が赤を、赤が白い肌を際立たせている。
「こんにちは、ヴァンパイア。いえ、今はこんばんはかしら。まぁそんなことはどうでもいいわね。」
 来訪者こと、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)の周囲は念動力を扱うのに適した空間を作り出している。
「さようなら。悉くを叩き落して、その全てを潰してあげるわ。」
 目には目を、歯には歯を。相手が剣を操るのなら、こちらも念力を使ってそれを阻むまでのことだ。
「ふん、ただの人間ごときが私に敵うとでも?」
「もちろん。貴方が持っていないものを、私たちは持っているから。」
 アレクシアは挑戦的に笑う。『あなたに果たして、それがわかるかしら?』と。
 それはヴァンパイアの自尊心を傷つけるのには十分な挑発だった。
 彼方よりこちらに向けて弾丸を打ち込むモノ等、気にしている暇はない。
 【マサクゥルブレイド】で複製された剣の一本を握り、他の物は念動力で操りながらアレクシアへ攻撃を仕掛ける。
 しかし念動力を支配する場の力はアレクシアの方が一回りも二回りも格上だった。
 ヴァンパイアは実体化した剣を操らねばならないのに対し、彼女は見えざる力、【サイキックエナジー】を相手に繰り出すことができるのだから。
「ぐ……、物を操る力は貴様の方が優れていることは認めてやろう。だが……!」
 ヴァンパイアは低い姿勢をとり、石造りの床を踏み込んだ。
 念力とはすなわち、神秘の力。つまり、力業にはよわい。
 接近戦なら勝てると踏んだのだ。
 ーーだが、
 すれ違い様に放たれた一撃。
 鳩尾に食い込むようにして放たれた拳に、その場に崩れ落ちたのはヴァンパイアの方だった。
「なにか勘違いしていたみたいだけれど。私、『接近戦が苦手だなんて言った覚えはない』わよ?」
「なん、だと……」
 ふわり、スカートを翻して赤い少女が笑う。
「綺麗な薔薇園ね。だけど今、私の、私たちの力で全部吹き飛ばしてあげる。」
 嘘だ。
「だから、」
 こんな下等種にワタシが
「安心して」
 総てを統べる者が
「絶望を抱いて死になさい。」
 負けるはずがなーー、

 パァン

 遠距離から放たれた清浄なる銀の弾丸は、ヴァンパイアの胸を貫いて、領主だったものが再び動き出すことはなかった。

●いつかまた、あの薔薇園で。
「本当に、領主様を倒した……」
 アリスタルフをはじめ、村民らは信じられないといった表情だった。
 この村を統べる領主……オブリビオン ヴァンパイアは骸の海へと還っていった。
 とはいえ、またヴァンパイアが姿を現さないとも限らない。それは
明日になるか、一週間後か、何十年先か……、
「大丈夫、ヴァンパイアがまた現れても、何度でも倒しにくるから。」
 その言葉に村人は顔を見合わせて、笑いあった。

「あぁ、そうだ。もうでてきていいぞ。」
 ジローのユーベルコードで保護されていたナザールは訳が分からない、といった表情だった。
 なにか起きたのか、ヴァンパイアを倒したこの人物たちは何者なのか。その問いは、ある人物によって阻まれてしまった。
「ナザール!」
 見慣れぬ豪奢なドレスに身を包んだ、聞き馴染みのある声で自分の名を呼んでくれる、愛しい人。
「……サーシャ。」
 また会えるとは、思わなかった。
 もうすぐ魂を食らう薔薇の、養分としての役割を終えて、息を引き取る筈だった。
 あの日、君の顔を涙で汚してしまったことを今でも覚えている。
「サーシャ、笑ってよ。僕は君の、太陽みたいに笑う姿が大好きなんだよ。」
 あふれでる涙を袖口で拭きながら、きっと直ぐに訪れるであろう彼の最期に応えるべく、努めて笑って見せる。
「あぁ、……やっぱり君は太陽みたいだ。」
 それを見た、最後の薔薇は満足したような表情を浮かべーー、

 誰ともなく呟いた。「これでよかったのか、ネムにはわかりません。」
 誰かに答えるでもなく語る。「よかったかどうか、それは俺らが決めることじゃない」
 誰かが空を見上げる。「……あぁ、今日の空は清々しい青だね。」
 誰か達が相づちを打つ「お前の目にそう映っているなら」「そうなんだろうな」
 誰かが願う。「この村がまた、オブリビオンの驚異に晒されないように」
 誰かが呪う。「呪いと呪いは紙一重。きっとよい方に向かうだろう。」
 誰かは誓う。「また驚異に晒されるならば、何度でも我々が駆けつければよいだろう。」
 誰かが小さな約束を結ぶ。
「そのときは、また、この薔薇園で。」

 最後の薔薇は、静かな丘で休息をとっている。

【End】
【Congratulations!】

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月11日


挿絵イラスト