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エンパイアウォー⑱~軍神とて、斬らねばならぬ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #上杉謙信

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 車懸りの陣を抜けた猟兵たちは、ついに上杉謙信その人と対峙した。上杉謙信は十本の刀を周囲に浮かべて二刀を手にし、涼し気な佇まいをした美丈夫である。
「よく陣を抜けてここまで来たものだ。さすが決戦よりも早く私の居所を暴いただけのことはある。だがその結果、これからこうして私の相手を直接しなければならないとは、はてさて幸か不幸か」
 謙信の周囲に浮かぶ刀は、ただの刀ではない。それぞれが『水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇』の属性を帯びた毘沙門刀である。敵対する相手に応じて刀を使い分け、隙を見せたならば両手に握る二刀『アンヘルブラック』『ディアブロホワイト』が翻ることになる。
 すなわち、謙信の周囲を取り巻く軍勢が大規模な車懸りの陣ならば、十二の刀による攻防は、さながら小規模な車懸りの陣。大小二段の構えといって良いだろう。
 ――死地を抜けた先が、さらなる死地というわけだ。
「車懸り陣にて、お相手いたそう。汝らは私が食い止める。私とて、仮にも軍神とまで呼ばれた男。侮るなら、此処に首を置いていくことになると思え」
 上杉謙信は、特に何か特殊な能力などを持つわけではない。ただただ、隙が少なく、対応力があり、精神的にも落ち着いているだけの相手だ。つまり、ある意味最もやりづらく、猟兵たちの地力が試される相手とも言えよう。
 それでも、ここで謙信を倒さなければ、その所在を見つけた甲斐がない。
 猟兵たちは今、涼やかに立つ美丈夫に一撃を入れるべく、いかにすれば最善を尽くせるのか思案しながら、各々の得物を手に機を伺っている。


Oh-No
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。

 こんにちは、Oh-Noです。

 目的は上杉謙信の撃破です。
 このシナリオでは上杉謙信自身との戦いを扱います。周囲の車懸りの陣はすでに抜け、上杉謙信と対峙しているものとしてプレイングを掛けてください。
 技能に関しては何を目的としてどう使うかに重点を置いて判定します。単に「『技能名』を使う」とだけ書き連ねてあっても、およそ効果はないものとお考えください。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『軍神『上杉謙信』』

POW   :    毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:色

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シエル・マリアージュ
ここまで繋いでくれた者のため、この世界の未来のため、軍神であろうが斬る。
夢幻刀影を使い実体化させた12本の毘沙門刀の影を空中戦と誘導弾の技術で操り空から敵に先制攻撃を仕掛けて毘沙門刀を牽制して、自らはダッシュで踏み込み地上から仕掛けると見せかけ敵前でジャンプしてフェイント、空中で夢幻刀影の影の刀を足場として蹴る瞬間に衝撃波を放ち勢いをつけて敵に切りかかり刀から衝撃波を放つ残像を囮として、これまで培った戦闘と暗殺の経験で導き出した敵の死角から鎧無視の一撃を仕掛ける。
敵の攻撃には、夢幻刀影の影の刀で敵の攻撃を牽制して攻撃を見切りやすくしてカウンターで生命力吸収しながらしぶとく粘り戦い続ける。



 取り巻く陣を突破して、シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)はついに上杉謙信の目前へと歩を進めた。
「ここまで繋いでくれた皆のため、この世界の未来のため、あなたが軍神であろうが斬る。――参ります」
「その意気や良し。お相手つかまつろう」
 透明の刃を手にしたシエルに対し、謙信は黒白二刀の刀を構えた。謙信の周囲に浮かぶ十の刀、その切っ先もまたシエルを狙い蠢く。
 ――そして、十の煌めきが宙を奔った。様々な相異なる属性を秘めた十の刃は、燦々と降り注ぐ陽光の下、地面に濃い影を落としながらシエルへと迫る。
 シエルはそれらに構わず、ただ前へと走った。十の刃を掻い潜って一気に間合いを詰め、仕留める算段かと思われたが、十の刃もまた軌道を変えてシエルを追った。十の刃どころか、地面から浮き上がった、更なる十の刀影を引き連れて。
 ……いや、それら刀影は謙信によって生み出されたモノではない。シエルのユーベルコードが実体化させた影だ。十の刀影はそれぞれ元となった刀に追いすがり、絡みつき、シエルを狙う軌道を反らせた。
「……器用に戦うものだ。だが、私の元にはまだ二刀があるぞ」
 黒白二刀を振りかぶる謙信に、シエルは真っ向から迫り――、間合いに入る直前であらぬ方向へと跳躍する。
 その先には、謙信が握る黒白二刀を親とした刀影。それを武器としてではなく足場として使い、宙空で剣を振り下ろし、謙信に向けて衝撃波を放った。
 だが、これは牽制であり、本命はその先にある。衝撃波を放った直後に残像を残し、シエルは再度地上を滑るように移動して、死角から謙信に飛びかかる!
「よく動く!」
 けれど、謙信もそう安々と牽制に乗ってはくれない。衝撃波を浴びて多少の傷を受けようとも無視し、シエルの本体を追っていて。
「――!」
 シエルが放った両手剣による渾身の一撃を、交差させた黒白二刀で受け止めてみせた。直後、互いが弾かれあったように間合いをとって、刃を構える。
「なかなか良い一撃だったが……、次も同じ手が通じると思わぬことだ」
 謙信は手元に引き寄せた十の飛刀でシエルを牽制しつつ、頬から流れた血を指先で拭った。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・望
シンプルながら対処が難しい、恐ろしい相手ですね。

【果実変性・ウィッシーズラブ】を発動し、飛翔。上杉謙信の周囲を最高速で飛び回り、【空中戦】を挑みます。

【第六感】と【野生の勘】を駆使しながら、上杉謙信の放つ毘沙門刀の動きを【見切り】、回避しながら穿奏・ヴィヴーチェの【全力魔法】を込めた弾丸を使い、【スナイパー】の狙撃で上杉謙信を撃ちます。

躱しにくい毘沙門刀は【念動力】で遠隔【操縦】する機掌・プレストに銃奏・セプテットを持たせ、【援護射撃】で軌道を逸らします。

可能なら上杉謙信の至近距離から【全力魔法】の【零距離射撃】で一気に仕留めます。

彼やみんなの為にも、ここで負けるわけにはいかないのですよ。



 七那原・望(封印されし果実・f04836)は、周囲の陣を突破した勢いのままに空を飛び、謙信に迫る。望が周囲の友人たち、そして何よりも夫に対して抱く愛が、望の身体を包む魔法となって、その高速飛行を支えていた。
「彼やみんなの為にも、ここで負けるわけにはいかないのですよ」 
 構えた歩兵銃に顔をピッタリと寄せ、銃眼を覗き込む。その先に謙信の姿を捉え、トリガーを引く。その一撃は謙信が手にした刀で弾かれたが、もう一度だ。そのまま行き過ぎて、身体を傾けて旋回する。
 今度は謙信が操る刀のうち、幾本かが迎撃に上がってきた。刀はこちらの身体を斬り裂こうと、一直線に向かってくる。
 さすがに高速で飛翔する望の身体を空中で斬ることは難しいだろう。弾丸のように撃ち出して、突き刺すことを狙うのが精々だ。
(「それだって驚異ですけれど。シンプルながら対処が難しい、恐ろしい相手ですね」)
 謙信は離れた位置から無駄に撃ってくることはしない。望を十分に引きつけて、狙い撃つ。弾丸として使うには弾数が限られているせいもあるだろうが、やりにくい相手だった。
 それでも、倒さなければいけない相手だ。幾度かの小競り合いの後、望は覚悟を決めた。
 構えた精霊歩兵銃に全力の魔力を込めながら、謙信に向かって疾走する。今までより更に速度を上げて、向かっていく。トリガーもまだ引かない。遠間から撃っても、どうせ弾かれてしまうだろう。
 距離を詰めた望に向かって、幾本かの刀が撃ち出された。こちらに負けない速度で撃ち出されるそれを、直感が命じるままに身体を捻り、回避する。躱しきれない一刀は、どうにか密着させていた機械掌が握る砲で反らした。
 そして、謙信の身体が間際に迫る。意識を歩兵銃に集中させて、よく狙う。
 さらに幾本の刀の追撃。一刀を避けきれず、手傷を負ったけれど、ダメージは深刻ではない。――いける。
 トリガを引き絞った歩兵銃から、魔力が膨れ上がって放たれた。反動で大きく乱れた軌道を制御しながら、その行方を目で追う。至近距離から放たれた全力の一撃が、謙信がとっさに構えた刀に着弾し、防御の上から身体を吹き飛ばした。
 致命傷とは言えないが、それでも十分な一撃だ。望は旋回しながら、小さく拳を握る。

成功 🔵​🔵​🔴​

推葉・リア
流石は越後の軍神迫力が違うわ…あとイケメンうん

12もの属性を操る…なら私も属性を使うだけよ
『指定UC』で推しキャラをそれぞれ12属性×3、4人づつ呼んでそれぞれ得意属性の刀を対処してもらって彼らには【おびき寄せ】貰うわ

私は混戦の中私と認識しないように【催眠術】をかけて一応【呪詛耐性】と【オーラ防御】を纏い【目立たない】ように【ダッシュ】し謙信に近づくわ

さっきで呼んでいるキャラの人数はレベル分-1、残る1人は属性なんて関係のない魔の朱槍を持った狂戦士!接近すると同時に彼を呼び出して、残ってる推しキャラ全員合体させて一気に攻撃!私に気を取られてる間に【だまし討ち】を仕掛けるわ!

【アドリブ共闘歓迎】


龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎

【POW】

"焔/闇"二つの属性を有する「黒焔竜剣」による【属性攻撃】、『煉獄黒焔斬』をしたいけど
攻撃してきたら、自分にとって弱点になる属性の刀…"水"と"光"を【気合い】で避けて、他の刀は「壱式」を【武器受け】(一応、"火"の時は【火炎耐性】であえて耐える。"毒"は必ず)で防御

凌いたら、すかさず「参式」に形態変化(形態変化の際、一時的に黒い焔の姿をとる)して、刀を【部位破壊】(できるだけ、"水"と"光"を避けて、有利となる属性…"樹"と"氷"、"闇"を優先的に)

あとは、バックステップ時に「弐式」に形態変化して【なぎ払い】をしてから、「ホムラ」を【槍投げ】で【串刺し】にするよ



 龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)は、身の丈ほどもある剣を手に、上杉謙信と斬り結んでいた。己が武器の属性は『焔』と『闇』。『水』と『光』の刀は受けたくないと、敵が次々と繰り出してくる斬撃がどの刀を用いているかを見極めて、時には躱し、時には弾き、捌き続けた。
「どこまで防ぎ続けられるかな」
「凌ぎ切ったときにあなたがどうなるか、楽しみにしててよね!」
 そうは言い返すものの、とても余裕がある状況ではない。
(「流石は越後の軍神なんて異名を持つだけあって、迫力が違うわ……。あと、イケメン。うん」)
 紅音と刃を交える姿を盗み見て、推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)は感嘆のため息を漏らした。3次元未満なら推すことも考えるところだが、しかし相手は現実の敵。倒さなければならない相手だ。
「私の声に応えて、力を貸して……!」
 リアはユーベルコードを発動させて、40体強の推しキャラクターたちを生み出した。謙信が操る12振りの刀に応じて12属性の推しキャラクターを均等に、である。
「はぁ~、何度見ても、好き! 大好き! ……よし、じゃあいつもみたいに、よろしくね!」
 愛するキャラクターたちに囲まれて、上がってきたテンションのままに、リアは号令を下した。推しキャラたちは、それぞれの属性ごとにチームを組んで、謙信に向かって殺到する。
「――む。人形相手などに、やられるわけにはいかぬ」
 対する謙信は、自らの周囲に12振りの『毘沙門刀』を呼び寄せて、リア愛する推しキャラたちの一群に斬り込んできた。入れ代わり立ち代わり、違う刀を放射し、ときには握って斬撃を繰り出し、目まぐるしく属性が変わる攻撃を仕掛けてくる。
 推しキャラたちはそれに対して、少なくとも不利にはならない属性のチームを全面に押し出して対応していた。
(「ゲームだったら、属性相関が複雑すぎてクソゲーよね」)
 リアは謙信が推しキャラたちに気を引かれている隙に、謙信の近くへと飛び込んでいく。途中に、残しておいた1枠で狂戦士を呼び寄せて、自分はさらにその奥へ。
「さあ、こっちにもいるわよ!」
 自らを囮に、推しキャラたちが合体する暇を作り出す。けれど、合体するために推しキャラたちが動き出した分、謙信にかかる圧力は大きく減少した。
「いまのうちに斬ってくれる!」
「私もいるってこと、忘れてないよね!」
 しかし、ここにはもうひとりの猟兵、紅音がいた。紅音が手にする巨大剣は、黒い炎のごとく揺らめきながらその姿を大きく変えて、長大な偃月刀へと変じた。
 謙信の元へと一息に距離を詰めて、紅音は偃月刀で謙信の足元を大きく薙ぐ。
「ち、邪魔をするか」
「まだだよ、もう一撃!」
 後ろに飛び退って距離を離した謙信へ、今度は白銀の竜が変じた焔の槍を投じる。
 この間に、リアの推しキャラも準備を終えていた。斬られた分が減じているから、全キャラクターが合体できたわけではないけれど、それでも単一のキャラクターよりは遥かに強大な力を得た狂戦士が、大きく雄叫びを上げて突撃する。
 狂戦士が手にするのは魔の朱槍だ。
「とっておきの一撃、決めてきてよ!」
 主の愛が籠もった声援を受けて、狂戦士は何の属性も帯びていない朱槍を謙信へ突き出した。
 紅音が放った槍と、リアの狂戦士が繰り出した朱槍。2本の槍を捌ききれず、手傷を負った謙信は悔しげに呻いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィオリーナ・フォルトナータ
例え軍神と呼ばれる存在であろうとも
貴方がオブリビオンであるならば
倒さねばならぬことに変わりはありません
全力を、いえ、それ以上の力を以て臨みましょう
覚悟はとうに出来ております

剣に宿す破魔は聖なる力
繰り出される刀は盾で受けつつ、オーラの守りと激痛耐性でやり過ごします
力を溜めながら前へ進むことだけを考え、懐に飛び込む隙を狙い立ち回りを
フェイントを交えつつ正面から撃ち合うことになるでしょうか
好機はただ一度、おそらくはこちらが攻撃を受けた直後
僅かな隙を見出すことが叶ったならば痛みを押し殺し大きく踏み込んで
…さあ、力比べと参りましょう
渾身の力と衝撃波を乗せた捨て身の聖煌ノ剣を叩き込み
鎧の守りを砕きます



 十二の刀を携えて眼前に立つ上杉謙信は、傷を受けてもなお威風堂々としている。
 フィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)は、謙信からじっと見返されて、歩む足を止めた。
 例え軍神と呼ばれる存在であろうとも、オブリビオンであるならば倒さねばならぬ相手であることに変わりはない。謙信が紛れもない強敵であることは、こうして相対すれば嫌でも身にしみて感じるけれど……。
(「全力を、いえ、それ以上の力を以て臨みましょう」)
 怯んではいられないと、フィオリーナはゆっくりと剣盾を構えた。
「娘、この私と正面から斬り結ぶ覚悟があるのか?」
「覚悟など、とうに出来ております」
「ならば、見せてもらおう」
 言いざまに謙信は、剣呑な殺気を発しながら、浮かべた一刀による斬撃を放つ。
 フィオリーナは斜めに身を投げだして斬撃をかいくぐり、次いで放たれた一撃を盾で止め、距離を詰めようと図った。だが謙信も滑るような歩法で巧みに己の位置を変え、斬撃で牽制し、間合いを簡単には詰めさせない。
 次々と放たれる連撃を、フィオリーナは眼前に構えた盾で受け続ける。致命的な一撃だけは確実に止め、属性を帯びた刃が生み出す余波は身にまとったオーラで弾く。
(「ただ一度でいい、僅かでも隙を見出せれば――!」)
 フィオリーナは一撃を受け止めた直後、大きく踏み込んでみせた。甘いとばかりに二刀が同時に振り下ろされて来る。
 だがそれこそがこちらの誘いだ。先ほどから斬撃を盾で、堅実に受け続けてきたけれど――。
 フィオリーナは振り下ろされる二刀の下をかい潜るように、着地した足でさらに強く踏み込む。姿勢は低く、地面すれすれをまるで飛ぶかのような勢いで。
 ――もちろん、躱しきれてはいない。背中を斬られたのがわかる。
 だが、浅い。その程度の痛みでは、わたくしは止められない……!
「……さあ、力比べと参りましょう」
 盾を投げ捨て、剣に両手を添える。魔力が込められた剣が、力強く輝き出した。
 すでに謙信は手を伸ばせば触れられる距離だ。ねじった腰をバネのように翻して、握った剣先をすくい上げるように斬り上げて。
 足元から直上へ、フィオリーナは目にも留まらぬ速度で斬撃を放った。渾身の一撃が衝撃波を巻き起こし、謙信が纏う衣が散り散りになっていく。
 謙信はその斬撃に、左手に握った刀の柄を当て反らそうとした。致命傷を避けるという目的は果たされたものの、ただではすまず、左手は血まみれだ。
 即座に宙に浮かぶ謙信の刀がフィオリーナと謙信を切り離すように振るわれて、追撃は防がれた。フィオリーナも盾を拾い上げ、体勢を立て直す。

成功 🔵​🔵​🔴​

グレ・オルジャン
あんたと直接渡り合えるのは、間違いなく幸運だ
先の難敵にまみえるより早く、武に優れた奴に学べるんだから
侮りはない、死力尽くす敵と理解して心逸る
あたしの首はやらないけど
その価値もないと笑われない戦いをするよ、軍神様

グラウンドクラッシャーで隆起させた地面に
本人か得物一つ二つ噛ませ動き止めたいところ
猟兵と協力し周囲の一点にでも隙作る立ち回り
数多の剣と打ち合ううちに反応速度が上がればいいな

デュエリスト・ロウのルールで武器使用を禁じ反故の大ダメージを狙うけど
傷厭わない攻撃ぶり、あんた、本当に好い男だ
仲間と背庇い合い、残像纏って攻撃避けたら即、間隙に号火の一閃差し込んで
藍銀の風に呼ぶ狼達と数多の剣を封じよう



「ひとつ言っとく。あんたと直接渡り合えるのは、間違いなく幸運だ」
 グレ・オルジャン(赤金の獣・f13457)は野性味のある笑みを浮かべながら、謙信に声をかけた。
「先の難敵にまみえるより早く、武に優れた奴に学べるんだから」
「随分と自信があるようだな。私を前にして、学ぶとは。生き延びる前提で、話すとは」
「勘違いしないでおくれ、侮る気はないんだ」
 仕込み棍を肩に乗せ、グレは言う。
「あたしの首はやらないけど、その価値もないと笑われない戦いをするよ、軍神様」
「ならば言葉は不要。汝の技で、示すが良い」
「ああ、そうさせてもらおうかね」
 言うが早いか、グレは目前の地面へと仕込み棍を叩きつけた。力任せに斜め前方へ打ち込んだ重い一撃が、地面を深くえぐり出し、押し出された土が隆起して壁となる。 
 土壁はグレの姿を隠すほどに高くなり、二人の視線を遮った。なおもグレは止まることなく壁から飛び出し、距離を詰める。
 謙信は左右から壁を回り込ませるように、刀を放っていた。飛び出したグレの前にある刀は、その半数に過ぎない。目の前に迫りくる刃を前に再度、土壁を生む。殺到する刀のうち幾本かは、土壁に突き立ったか? それを確認する暇も惜しんで、今度は土壁を足場に空へと飛び上がった。
 ――謙信の姿はもう目の前だ。グレは脱いだグローブを謙信へと投げつけ、ユーベルコードを発動させる。
「――あんたは刀を使えないッ!」 
 対して謙信は宙に跳び上がりながら、引き絞った一刀を横薙ぎに放とうとしていた。その身体にグローブが触れたとき、課された契約がすぐに破られて、謙信がこれまでに負った傷から血が吹きだすが、なおも斬撃を繰り出す動きは止まらず――。
「……ッ!」
 真っ直ぐに放たれた剣先は、グレの身体を斬り裂いた。 
 そして、空中で交錯した二人の体が地に落ちる。
「……浅いか」
 身を起こした謙信は、グレの姿を横目で見て呟く。
「その傷を厭わない戦いぶり、あんた、本当に好い男だ」
 グレは血を流しながらも、仕込み棍を構えて、真っ直ぐに立っていた。
 死力を尽くすにふさわしい相手を得て、グレの心はますます昂ぶり燃え上がっていく――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ンァルマ・カーンジャール
上杉さん、申し訳御座いませんが貴方の戦は此処で幕引きとさせて頂きますっ!

電脳魔術により私自身の運動速度を書き換えて速度を向上させますー!
風の精霊さんにお願いし空気抵抗を減らし更に速度を上げて立ち回ります!

こちらは各属性の精霊さんで盾を生成し、上杉さんの属性攻撃に備えます!
打ち消す事は出来ぬまでも多少の威力減衰を図れれば躱せるでしょうか?
抜けてきた躱せない攻撃には電脳魔術で私自身の存在確率を下げてすり抜けていきますっ!

光の精霊さんの目くらましと残像を映し出す事でチャンスを作り、
UC《[複合接続]【量子力学制御】涅槃仏槍》で攻撃です!
引導をお渡しします!


土斬・戎兵衛
十二本もあるなら一太刀くらい分けてもらいてーもんだね

なんとか毘沙門刀を防ぎ、UCで模倣して反撃を狙おう
斬れるものは斬れば良い。土・樹・氷なんかは個体っぽい属性だし定切で斬り防ぐ
闇は【暗視】で、光も暗視と通常視力の切り替えで明順応させて【見切り】防ぐ
毒と薬は食らったら体に回る前に【早業】でその【傷口をえぐる】ことで毒素や薬効を排出
問題は斬れぬ流体、風・水、あと火か。毘沙門刀が謙信の周りを回っているなら、こちらも【残像】残す高速移動で謙信の周りを回り、苦手な属性の刀がこちらに向かないように気を付けるか
両手の黒と白は首枷を盾に

模倣ができたらその刀の属性がよく刺さる相性の毘沙門刀を攻撃、武器破壊を狙う



 ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)は、電脳魔術で底上げした身体能力を生かして、相棒の風の精霊を伴い死地を駆けていく。
「上杉さん、申し訳御座いませんが、貴方の戦は此処で幕引きとさせて頂きますっ!」
「いささかの手傷は負ったが、まだこれからよ。あまり、侮られては困るな」
 謙信は、周囲に浮かぶ刀のうち、炎を纏う一振りを手に取って、おもむろに薙ぎ払った。
「焼き尽くせ」
 刀より放たれた炎は渦を巻き、やがて燃える竜巻となって戦場で荒れ狂う。
(「十二本も持ってるなら、一振りくらい分けてもらいてーもんだね」)
 土斬・戎兵衛("刃筋"の十・f12308)は、謙信の周囲に浮かぶ『毘沙門刀』を見やって独りごちた。
 とはいえ、まずは目前に迫った焔巻く竜巻への対処だ。形を持たぬ炎となれば、斬り捨てるわけにも行くまい。幸い、戦場にはンァルマの姿もある。ンァルマとは逆の方向から謙信へと近づくように、炎の竜巻の外縁を回り込む。
 一方のンァルマは、精霊の力を借りて盾を生み出すことでどうにかやり過ごそうと試みていた。相手は炎、ならばこちらは水の精霊の力を借りて減衰を図ってみる。
「まだ熱いですが、どうにかいけますっ!」
 存在確率を下げるなどという、自分の存在が消し飛びかねないギャンブルは避けられそうだ。
 炎の竜巻を抜ければ、謙信の姿は目前だ。光の精霊を強烈に光らせて、己のユーベルコードの発動から謙信の目を反らし――。
「──諸法無我の現世なれば、涅槃寂静への理を布かん! 引導をお渡しします!」
 周囲から巻き上げた砂を一塊の槍に変え、真っ直ぐに投じた。
 同時に、逆側から戎兵衛も仕掛けた。
「上杉殿の技、十分に見せて頂いたでござる。――なれば、我が技としてお返しいたそう」
 大きく反った刀身に炎が纏わりついて、炎剣となる。振り下ろしたその刃から炎が奔り、謙信を焼かんとする。
「……ッ、小癪な」
 飛び退いて躱そうとした謙信だったが、戎兵衛の剣閃が生んだ衝撃波にバランスを崩されて、ンァルマの槍に脇腹を削がれてしまった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チトセ・シロガネ
ユー、自然現象まで操るんだネ。

使ってくる自然現象は【第六感・戦闘知識】で予測、
戦場での勘と経験で自然現象の予兆を読み解くヨ。

そしてUC【破邪光芒】を発動!
【オーラ防御】を展開して【ダッシュ・早業】で踏み込み、
発生した現象に対して相反する【属性攻撃】をぶつけるネ!
さらにフォースセイバーを握る手に【念動力】を、
地面に踏み込んだ足に【怪力】を込めて踏ん張るヨ!

どんな相手にも刃を持って踏み込んだ時ッ!
最後まで振り抜き切り裂くのがボクのスタンスネ!
それがッ!たとえッ!森羅万象でもッ!

あと、これを振り抜けたら【鎧無視攻撃】込みの【衝撃波】を発生させ、軍神にお見舞いするヨ。



 上杉謙信は幾度となくその手に握る毘沙門刀を切り替えて戦っている。今もまたそれまで握っていた一刀を空に放ち、代わりに周囲に浮かぶ別の一刀を掴んだ。
 そのまま流れるように空を斬ると、まるで切り裂かれた空間から湧き出したように天変地異が巻き起こる。
 今度はなにやら、火花が散る音がし始めた……。
「ユー、自然現象まで操るんだね」
 チトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)は天変地異の端緒を見て、何が起きるかを想定し行動を起こした。これまで渡り歩いてきた戦場での経験が、妥当な予測を可能にしている。
 放たれるのは、おそらく雷。周囲の光を吸い取るような黒い火花からして、属性は闇だろう。チトセは四肢それぞれに装備した四振りの光刃を一層激しく励起させ、謙信への距離を詰めていく。
「さあ、きなヨ!」
 ――そしてチトセの眼前で、昏き雷光が放たれた。謙信を中心として扇型に戦場を奔る雷光を、チトセはまばゆく輝く四振りの光刃で以て、斬り裂いていく。
「どんな相手にだって、一度刃を手に踏み込んだならッ! 最後まで振り抜き、切り裂くのがボクのスタンスネ!」
 膨れ上がる激しい電撃がチトセの身体を押し流そうとしても、大地を踏みしめる脚に力を込めて堪え、それぞれの手で握る交差させた二刀に力を込める。
「それがッ! たとえッ! 森羅万象の何だとしてもッ!」
 気合一閃。振り払った二刀が昏き雷光を斬り裂く。そして勢いのままに身体を半回転させ右足を伸ばし、其処にいる謙信へと右足に装備した光刃を繰り出した。
「――もらったヨ!」
 放たれた一撃は、謙信のとっさの防御の上から彼の身体を斬り裂いて、白き衣を血で染めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

火狸・さつま
流石、越後の虎とも龍とも呼ばれし軍神
けれど…あなたは、俺達が食い止める
此処に、その首、置いてって貰おうか


『早業・全力魔法』【燐火】炎の仔狐わらわら嗾け
すかさず『2回攻撃・気絶攻撃』<雷火>の雷撃落とす

敵の動き『見切り』
迫る毘沙門刀は見切りに加え『第六感』で躱し
避けきれぬのは『オーラ防御』を周囲へと幾重にも重ね展開し防ぐ
防ぎきれずとも『激痛耐性』にて凌ぐ
体動けば僥倖
すぐさま『早業・カウンター』<彩霞>で
骸の海へかえれと『呪詛』込め『衝撃波』繰り出し
『2回攻撃』斬り込めば
毘沙門刀も身をも溶かす酸纏わせた『属性攻撃・部位破壊』で『傷口をえぐる・生命力吸収』

己のが致命傷ならずとも
勝利の一手に加われれば


テラ・ウィンディア
【属性攻撃】
槍に炎
太刀に土
剣に闇

そして己自身に炎を付与!

最強たる越後の龍か

ならば竜騎士として挑まねばな!

【戦闘知識】で彼の立ち方と動きを見据

【第六感・見切り・残像・空中戦】で常に致命だけは避

車掛には
水属性の刀に対して土属性の太刀での相殺を試

あんたみたいに全部の属性を使いこなす程おれは器用じゃないが…これらでは少し意地は張りたいんでな!

致命だけは避けて少しでも長く切り結び続け

槍で【串刺し】【早業】で剣と太刀にも常に素早く切替

追い込まれる寸前まで全霊を尽
彼にも刃を繰り出させ

止めを刺される瞬間

消えざる過去の痛み発動!

これはおれを倒したアンヘルの刃だ!
謙信も刻んだ刃も再現!

斬斬斬斬斬!



「最強たる越後の龍か。竜騎士としては、あんたに挑まねばならんな!」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が、謙信に得物を突きつけて言う。
「好きにするが良い。私には同じこと」
 言い捨てた謙信は、手にした一刀でテラに斬りかかった。テラはその切っ先を寸前で見切ってギリギリで躱す。
 なおも追撃をかけようとする謙信に対し、火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)が横手から小狐の姿形をした狐火をけしかけた。謙信は即座に反応し、空に浮いた数振りの刀を繰り出して狐火を斬り裂く。
「流石、越後の龍とも、虎とも呼ばれし軍神」
 そのまま、さつまをも斬り裂こうとする刀たちを、手にした蛮刀で受けて振り払う。
「けれど……、あなたは、俺達が食い止める。此処に、その首、置いていって貰おうか」
「出来るものならそうしてみろ」
 謙信は十二振りの刀を二手に分けて、テラとさつまに差し向けた。
 さつまは、厚く守りを固めた上で謙信の懐に飛び込もうと隙を探すが、回り込もうにも振るわれる斬撃が手厚く思うようには進めない。
 一方のテラはそれぞれの属性をまとわせた3つの得物を持ち替えながら、延々と繰り返される斬撃を捌く。
「あんたみたいに全部の属性を使いこなすほど、おれは器用じゃないが……、それでも意地があるんでな!」
 隙を見ては槍を突きこむも、払われ、躱される。だがテラも大きな傷は受けていない。何かが起きれば崩れてしまいそうな危ういバランスで、一進一退の攻防が繰り広げられていた。
 空間に斬撃が重ねられていく。次第に、テラが押し込まれ始めた。
 深く踏み込まれた斬撃が、テラの肩口を切り裂く。
「これが精々か」
「――いや、ここからだぜ」
 つまらなそうに呟く謙信を前にして、テラは己のユーベルコードを発動させる。
「これは、おれを倒したアンヘルの刃だ! そして、お前の刃も返してやる! とくと味わえ……!」
 すると虚空を割り開いて、虚ろな刃が幾重にも謙信に向けて放たれた。それは数多の斬撃となって、謙信が振るう刀たちの上から圧倒していく。
 ここが好機とみて、さつまも踏み込んだ。己に降りかかる斬撃のすべてを避けきれずとも、致命に至らぬ傷ならば耐えきれると、強引に斬撃の群れを突破し、謙信の身に一撃を入れんと蛮刀を突き出す。
 ――その一撃は、謙信の背に届いた。肉を抉る蛮刀を捻じれば、さすがの謙信もその動きが鈍る。
「そこだッ! 終わりにさせてもらうぜッ!」
 虚ろな斬撃を超えて踏み込んだテラは、両手で握った太刀を袈裟斬りに振り下ろす。深く刃を刻まれて、謙信の身体から激しく血が散った。
「ぬかったか……ッ。だが、車懸りの陣が消えぬうちは、終わらぬ……ッ」
 長くこの場に立ちふさがった謙信も、数多の傷を受けてついに倒れる。
 これですべてが終わったわけではないが、一つの決着はついた。テラとさつまは大きく息を吐き、刃を収めたのだった。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


挿絵イラスト