エンパイアウォー㉕~日輪の玉を取り戻せ!
「皆の尽力で、10日を待たずにまずは全部の『苦難』を防げたね。お疲れさん!」
戦争が始まってから、ずっと戦況を気にしていたという各務・瞳子(七彩の聴き手・f02599)は、ホッとした笑みを浮かべて見せた。
軍神上杉謙信を始め、第六天魔軍将の所在も続々と判明している現状、戦いはこれからどんどん熾烈になっていくだろうが、1つ1つの戦果を喜ぶ事も大切だろう。
「でな……富士山を噴火させようとした虐殺渡来人『コルテス』の陰謀を阻止した事で、同時進行しとった『霊峰富士に眠る太陽の力を盗み出し、持ち帰ろうとしていた』オブリビオンの動きを、グリモアが報せてくれるようになったんよ」
コルテス配下のオブリビオン達は、富士の火口近くに儀式場を設け、富士に眠る太陽の力を『霊玉』に変えた。強制噴火の目が無くなった現状、オブリビオンはその霊玉を奪って撤退しようとしているようだ。
「霊玉がコルテスの手に渡って仕舞えば、もっとえげつない悪事を企てるに違いないんよ」
逆を言えば、この霊玉を奪い返して富士山に戻せば、コルテスも大規模作戦を行えなくなる筈。
「そやさかい、霊玉を持ち逃げしようとしとるオブリビオンをぼたくりこかして、霊玉を奪い返してきたってな!」
要は、富士山の火口から下山しているオブリビオンを迎え撃ち、撃破すればよい。
「敵の名前は、善神『禍津日神』。見た目は可愛らしい女の子やねんけどね」
その昔、人々の悪意によって焼き討ちにされた大神社に祀られていた神であるらしいが、具体的な所は判然としない。だが、『善き神』であったのも今は昔。存在しているだけで周囲に悪意を振りまき、惨禍を巻き起こす禍神となり果ててしまった。
「背中の鳥居も使って攻撃してくるようや」
富士山は火山故に、6合目を過ぎれば緑もまばらとなってくる。ごつごつとした溶岩が冷えた塊があちこちにごろごろある一方、ともすれば足首まで埋まる黒土は、油断をしていると足を取られて山肌を転げ落ちかねない。7合目手前から岩場が始まり、足場が悪い中、山頂から降りてくる敵を見上げる形で迎撃する事になるだろう。戦い方にも注意が必要だ。
「ちなみに、禍津日神は注連縄を張った浮遊岩に乗って降りてくるさかい、転倒させるとかは厳しい思うで」
何だかズルイが……元が神だけに、頭が高いようだ。
「上手い事、霊玉を取り戻せたら……ちょっと大変やけど、富士山の火口から投げ入れて欲しいんよ」
どうやら、一定時間の後、霊玉はマグマに変化してしまうようだ。
「富士五湖辺りに沈めても『ちょっとした水中爆発』が起きるくらいやさかい、まあええんやけど……森に放置したり人里に持ち込むと、山火事とか家屋が吹き飛ぶとか、災害になったら大変やん? 最後まで、きっちり面倒見たってな」
柊透胡
こんにちは、柊透胡です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
エンパイアウォー3作目。今回は「㉕富士の霊玉奪還戦」です。富士山でもう一仕事、侵略渡来人『コルテス』の企みを、徹底的に潰していきましょう。
霊玉を擁して富士山を下山してくる敵は「善神『禍津日神』」。一見、可愛らしい巫女少女ですが、中々の曲者。浮遊する大岩に座して移動しているので、色々とズルイ感じです。
戦場は、富士山7合目辺り。急斜面の岩場での戦いとなります。滑落&落石注意。戦い方に工夫が必要でしょう。
上手く霊玉を奪還出来ましたら、富士山頂の火口から投げ入れるのがベターです。何れマグマに変じてしまいますので、在るべき処に還して下さいね。
それでは、猟兵の皆さんの熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『善神『禍津日神』』
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POW : 禍津葬砲
【召喚した鳥居から人々の悪意、憎悪、怨恨】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 式神ノ舞
レベル×5体の、小型の戦闘用【式神】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : これはアナタが辿る道
【連立する千本鳥居】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
イラスト:天和
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠宮古・橙華」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
二天堂・たま
富士山を噴火させる要であった霊玉は、太陽の力が込められているのか。
太陽……なんとも不思議な縁を感じる。まぁ今はそんな事を言っている場合ではない。
ともかく禍津日神の神とは確か災厄と不条理を司る神だったかな。
富士山の噴火の引き金としては非常になっとくの人選(神選?)だ。
ワタシはUC:ピヨの波動で大量に現れる式神を倒す。
数も強さも侮れないが、一撃受ければ消滅するのが弱点のようだからな。
接近されても“ケットシーの肉球”による攻撃は出来るが、相手の得意な間合いを許す前に制したいものだ。
富士山はサムライエンパイアの人達にとって大切な霊峰。
悪用させるわけにはいかん。
霊峰富士7合目――急斜面の岩場に立つ猟兵らは、一応に頂きの方を凝視する。富士に眠る太陽の力を霊玉に換えて盗み出した、オブリビオンを迎え撃つべく。
(「太陽……なんとも不思議な縁を感じる」)
小首を傾げるのは青灰の毛並のケットシー、二天堂・たま(神速の料理人・f14723)。1人(というか1匹というか)、少し離れた位置に陣取る。
(「富士山を噴火させる要であった霊玉は、太陽の力が込められているのか」)
正確には、否。富士山噴火の儀式の要は、ケツァルコアトルという竜神の子だった。
今回の霊玉は、噴火の儀式と併行した別の作戦だ。虐殺渡来人「コルテス」の次なる企みの動力源となるのだろう。
「……む?」
考察の内に、たまは「影」を認める。存外速いスピードで下山している模様。すぐに、注連縄を巡らせた浮遊岩に乗った巫女の少女と知れた。
「禍津日神……確か、災厄と不条理を司る神だったかな」
一説には穢れを祓うとして、祀る神社も少なからず。だが、迫り来る少女神は、寧ろ災禍を振り撒く存在となり果てた。
――――。
あちらも猟兵を認めたか。俄かに殺気立つや、大量の式神をばら撒く。その数、100や200では下るまい。
だが、たまは慌てず騒がず。徐に、大きく息を吸う。
(「数も強さも侮れないが、一撃で消滅するのが弱点のようだからな」)
ぴよーっ!
十分に引き付け、気合いを放つ。その名も、常識を塗りつぶすピヨの波動――忽ち、式神の大群はハラリと掻き消えた。その実、無差別攻撃なので、本格的に戦闘が始まると使い勝手に困るが、敵の出鼻を挫くには大いに有効。
大いに小柄の胸を張り、たまは禍津日神に言い放つ。
「富士山はサムライエンパイアの人達にとって大切な霊峰。悪用させるわけにはいかん」
(「さて、相手の得意な間合いを許す前に制したいものだが」)
――尤も、神威の域は、たまのピヨの波動の射程より遥かに広かったりするのだけど。
成功
🔵🔵🔴
真白・白夜
いくら外見が子供だろうと、オブリビオンに容赦はしません
【空中浮遊】を利用して、飛行しながら戦闘を行います
お前だけの専売特許じゃない!
敵が式神を召喚してきたら、オルタナティブ・ダブルを使用、残忍な人格を出現させ、共闘します
「行くよ!」
『俺はガキでも容赦しねぇぜ!』
式神は僕がハンドガン・改からの【誘導弾 スナイパー クイックドロウ】で排除し、排除後はもう一人の人格を【援護射撃】で援護します
俺は、コンバットナイフでボスに【フェイント 串刺し 傷口をえぐる マヒ攻撃 毒使い】でダメージを与えつつ、毒とマヒで苦しめてやるぜ
攻撃は【オーラ防御】で防ぎ、防ぎきれなければ【残像】で回避します
アドリブ&協力OK
雨音・玲
「空は―君だけの専売特許ってわけじゃねぇよ」
『月夜の烏』で両腕を烏の翼に変え
『スカイステッパー』と「空中戦」の応用で空を駆けながら
一気に登って行きます。
隣で寄り添うように飛ぶ愛鳥の「八咫」が一鳴きすれば
召喚と樹海から合流した烏の群れで富士の空が黒く染まります。
「集まってくれて助かるぜ、悪りぃなちょっと働いてくれっか?」
『式神ノ舞』に対し、『群れなす黒影』を使うことで
烏の群れの数での攻撃で式神たちの封殺を狙います。
最大の目的は、意識を烏達に誘導しつつ
『スキルマスター「スティール」』で霊玉を奪取することです。
その為なら、ある程度のダメージはやむを得ないものとします。
「……」
会敵1番の式神ノ舞を防がれ、禍津日神は顔を顰めた。だが、浮遊岩から降りる気配もなく、巫女装束の袖をゆるりと翻す。
シャラン、シャラン――。
右手の神楽鈴が冷ややかに鳴るや、数多の式神が再び少女神を中心に渦を巻く。
「空は――君だけの専売特許ってわけじゃねぇよ」
威勢のいい啖呵とバサリと羽ばたく大きな音。岩陰から飛び出したのは、両腕を鳥の翼に変じた雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)だ。
「同意です。それに、いくら外見が子供だろうと、オブリビオンに容赦はしません」
続いて、真白・白夜(多重人格者のサイキッカー・f10864)が姿を現す。その長身は、飛行までは至らずともふわりと宙に浮いている。やはり、足場の心配はなさそうか。
睨み合う事暫し――玲に寄添うように、羽ばたいていた愛鳥の八咫が高らかに鳴く。忽ち集結する鳥の群れが、富士の上空を黒く覆っていく。
「集まってくれて助かるぜ。悪りぃな、ちょっと働いてくれっか?」
ほぼ同時、白夜の傍らに人影が滲み出る。
「行くよ!」
凛とした掛け声に、もう1人の白夜はコンバットナイフを手にニヤリと嗤う。
シャラン、シャラン――。
鈴の音に操られるように躍る式神を、玲が喚ばった鳥の大群がついばみ、ハンドガン・改を構える白夜の早撃ちが次々と落とす。
シャラン、シャラン――。
だが、式神の数はまだまだ多い。玲の群れなす黒影も只の鳥ならば、1体ついばむ間に殺到されて返り討ちも少なからず。白夜ももどかしげに眉根を寄せる。
『俺はガキでも容赦しねぇぜ!』
そんな式神の壁を強引に貫き、コンバットナイフが閃いた。
――――!!
マヒ毒に濡れた刃を自在に扱う白夜の別人格は、戦闘の愉悦に唇を歪めている。
そして玲とて本命は、禍津日神自身――更には、彼女が擁する霊玉だ。
(「何処だ……?」)
スキルマスター「スティール」を駆使すれば、霊玉の奪取も可能の筈。
「……っ」
会心の一撃を繰り出すべく禍津日神の様相を探る玲。襲い来る『鳥居』の攻撃を、歯を食い縛って耐える事暫し――。
アハハハッ!
高らかに哄笑する少年の一撃は、フェイントめいて。漸く式神を一掃した白夜本人の援護射撃が禍津日神を惑わせたその時。
「よっしゃ!」
黒き疾風翔けるが如く――一気に飛び退いた玲の腕の中には、確かに熱帯びた不思議な玉が抱き込まれていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鈴木・志乃
人格名『鈴木・志乃』で参加
昨夜に起こされたから何だと思ったけど、納得
神の娘、志乃がお相手致しましょう
……参ります
※全ての攻撃に祈り、破魔、呪詛耐性を付与※
可能な限りの早業でUC発動
その呪詛どころか貴方の感情まで根こそぎ奪って魅せましょうとも
代償は私の人格(オブリビオン含む世界への愛)だけど
……もうとっくの昔に、この心は一つの願いに捧げてるの
だから、迷わない
光と化したら普通の攻撃は出来ませんね
第六感で攻撃を見切り、念動力で落石と光の鎖を操り武器受けします
そのまま敵に諸々ぶつけなぎ払いカウンター
ロープワークで縛り上げましょうか
オーラ防御常時発動
一体昔はどんな神様だったのかな
……どうか安らかに眠れ
「な……!?」
初めて、禍津日神の面に狼狽が浮かぶ。
「返せ!!」
霊玉を奪われた憤りが響き渡り――浮遊岩の行く手を、鈴木・志乃(オレンジ・f12101)が遮る。
「昨夜に起こされたから何だと思ったけど、納得」
静かな呟きは、何故か、よく聞こえた。
「神の娘、志乃がお相手致しましょう」
「……神の娘、だと? 禍津日神たる私に向って、おこがましい!」
怒りに震える少女神の周りに、幾つもの鳥居がそびえ立つ。
――――!!
迸るのは、人々の悪意、憎悪、怨恨。大神社すら焼き討ちする程の昏き情念が、一帯を葬らんと。
「その呪詛どころか貴方の感情まで、根こそぎ奪って魅せましょうとも」
だが、志乃の表情は変わらない。金の眼差しは、さざ波1つ立たぬ凪のよう。
「……参ります」
――光に、変じた。
それは、鈴木・志乃としての人格の半分を代償に、敵の意思も感情も奪い尽くす運命の問い掛け。
(「……そうだね。かつての私は、オブリビオンさえも含む世界を愛していた。だけど……ごめん、神様。あたしはこの絶望を希望に変えたい」)
もうとっくの昔に、志乃の心は1つの願いに捧げている。だから……迷わない。
「小癪な!」
光と化した志乃の頼りは、五感の外に在る感覚。荒れ狂う禍津葬砲を自ら編み上げた光の鎖で弾き、念動力で礫を操り式神を撃ち抜いていく。
そうして、悪しき情念すらも奪い尽くし、光の鎖は少女神を捕え、縛り上げる。
「あ……あ……」
見る見る、禍津日神の表情から色が抜けていく。シャランと神楽鈴が落ち――浮遊岩から崩れ落ちた御神体は、富士の岩場に叩きつけられる前に失せていた。
富士山7合目から頂きまでまだ相当の距離はあれど、空飛ぶ者には然したる障害ではない。
火口に霊玉を還してくると、翼羽ばたかせる猟兵を見送り、生身に戻った志乃は独りごちる。
「一体、昔はどんな神様だったのかな」
己の空虚を抱え込む心地で、彼女は神失せたばかりの岩場にそっと膝を突く。
――どうか安らかに眠れ。
大成功
🔵🔵🔵