6
エンパイアウォー⑱~越後ノ龍ハ、一睡ノ夢ヲ見ルカ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #上杉謙信

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦争
🔒
#エンパイアウォー
🔒
#魔軍将
🔒
#上杉謙信


0




●関ケ原本陣
「……なるほど、やはり猟兵というものは侮れぬな。」
 越後の龍がその目を見開く。見つめるその先に、未だ敵はあらず。しかし、その男は見えぬ寄手を、まるでその場にいるかのように見据えていた。
「我が好敵手の復活は叶わなかった。だが、其れを阻止した猟兵と相対するとなれば……我が心に曇りなどあろうものか。」

●毘沙門天
 軍神『上杉謙信』との戦闘を目前に控え、猟兵達はセゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)より伝えられた情報を思い出していた。

 第六天魔王『織田信長』の居城、魔空安土城へ向かう幕府軍は、最大の難所である関ヶ原に集結。ここからは関ヶ原で幕府軍を待ち受ける信長軍を突破し、さらに山陽道、山陰道、南海道の3手に別れて進軍することになる。しかし、そこに立ちはだかるのは、魔軍将の一人である上杉謙信だ。めまぐるしくその形を変える超防御型攻撃陣形『軍神車懸かりの陣』によりその行く手を阻んだが、猟兵達はその戦線を掻い潜り、敵将の元へとたどり着いた。あとは敵将の首を討ち取るのみというわけだが――。

「これまでの強敵とは異なり、先制攻撃はしてこない。だが、そう易々と勝たせてくれる相手ではないということは肝に銘じておけ。」

 セゲルの言っていた通り、謙信は単体としての戦闘力もさることながら、その後押しをしているのが猟兵達が潜り抜けてきた『軍神車懸かりの陣』だ。巧みな采配と隊列変更により自分自身の蘇生時間をも稼いでいる。つまり、謙信自身と上杉軍、どちらも制圧しなければ撃破には至らないというわけだ。

「まぁ、お前さんたちなら心配は無用だろう。必ずや、越後の龍とやらを討ち取ってこい。」


弐呉崎
 どうも、弐呉崎です。
 戦闘シナリオは久々な気もしますが、どうぞ宜しくお願い致します。

=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。
=============================

 なお、執筆開始は土曜日意以降となる予定です。プレイングの執行等にはご注意ください。また、一度マスターページをご確認いただければ幸いです。お知らせ等は随時そちらにてご案内させていただきます。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
57




第1章 ボス戦 『軍神『上杉謙信』』

POW   :    毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:色

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

烏丸・都留
アドリブ共闘可

「物量で押し潰してあげるわ……」

UC:雷冥威武で、全装備は味方攻撃時に治癒効果のある雷光を付与、機動力44倍、攻撃回数9倍に強化。

車懸かりの陣の先頭で戦闘を行う部隊に、アイテールの護衛隊(超回帰能力で損傷しても即座に修復)を同数以上召喚し侵攻を止め、それ以外の攻撃型ユニット:8万機以上で、全周囲から包囲殲滅攻撃。隠密型ユニット:2千機は直接遠距離攻撃型部隊を優先的に攻撃し、リレイユニットで全戦場を監視しながら司令官が行動を起こそうとする時を直接狙い行動阻害撃滅する。
ガードユニット:2万機は自身と味方の防護。
自身は余剰機との即時配置転換も考慮し後方で隠蔽状態CIC内で状況管理。


月夜・玲
ふぅん?
何やら訳知り顔のようで…まあ、なんだっていいさ
君がどんな叡智を持っていようとも、打ち破ってみせるさ
それが猟兵ってものだからね
いざ勝負!

●戦闘

【I.S.T.起動】を発動

《RE》IncarnationとBlue Birdの二振りを抜剣して、それ以外の装備をパージして身軽になって攻撃を開始だね

素早さを活かして敵の高速移動に対抗しつつ、二刀流による『2回攻撃』で謙信へと何度も連撃を加えてあげる

この一撃、神速に届かせ必ず君を斬る!

毘沙門刀は放射された軌道をよく見て、直撃しそうな攻撃は剣で『武器受け』してガード

浅そうであれば、『オーラ防御』で発生させたオーラの盾で軌道を逸らして対応

●アドリブ等歓迎


梅ヶ枝・喜介
おれァ運が良い!
かの有名な御仁と一太刀交えられるってんだから、剣士の冥利に尽きる!

他のみんなは世の為人の為に来てるのかもしれねェ。
ちくっとばかし悪いと思う!ごめんな!!

それでもやっぱし心踊るのよ!剣に生きると決めたのだもの!

其処許!関東管領は名高き上杉謙信どのとお見受け致す!
某は猟兵にして剣士!梅ヶ枝喜介!
いざ尋常に手合わせ願いたく!

木刀を大上段へと構え!肚の底に覚悟を沈める!
おれァ元々才能無しだ!
だからひとつの事だけをバカになって研ぎ澄まし続けた!

この一刀!某の生涯の総て成!
覚悟ォッ!!

その集大成!火の構え!
防御も回避も頭に無い!肉も骨も切らせっちまえ!
ただ一太刀に総てを込める!

とどけッ!!


コルチェ・ウーパニャン
ぐえーどうしよどうしよ! 勝てるのかな!?やれるのかな!?
……他の皆も頑張ってくれてるんだし、
やれるだけのこと、するしかない、かも!

属性ってきっと、毘沙門刀がツカサドってる的なことだよね?
コルチェスナイパーだから、シールをピカリブラスターから射出してペッターン!
割引属性シールで使おうとする毘沙門刀を封じちゃう!
えへへー、いうなればデフレ属性!ってとこ!かな! 
デフレはコルチェ、難しくて分かんないけど、
ごジマンの毘沙門刀のお値段はとってもおやすーくなっていると、コルチェ、思いまーす!
……コルチェでも、対抗できるくらいに!

さあ来ーいケンシンさん!
ピカリブラスターがキュルルーンってしちゃうぞー!!



●龍の目覚め
「其処許!関東管領は名高き上杉謙信どのとお見受け致す!」
 本陣に響き渡るのは、若き剣客の高声。それを待ちかねていたかのように、その場に坐する一人の男――越後の龍がその眼を開く。
「某は猟兵にして剣士!梅ヶ枝喜介!いざ尋常に手合わせ願いたく!」
 相手はオブリビオンとはいえ、名のある剛の者。これ幸い、剣士冥利に尽きると、梅ヶ枝・喜介(武者修行の旅烏・f18497)は嬉々として名乗りを上げる。
「来たか。やはり猟兵はどうにも強いらしい。とはいえ、我が兵も簡単に引き下がるものではないはずだが、我が軍の追走が見受けられぬようだな。……これはお主の策謀か?」
 辺りを見渡すと、一人の猟兵とその周囲に配置された物体が目に映る。烏丸・都留(ヤドリガミの傭兵メディック・f12904)と彼女の放ったユニットだ。
「そうね。生憎、私のドローンやユニットがあなたの軍を抑えているわ。助けを求めるつもりなら……諦める方が賢明よ。」
 都留の放ったユニットの総数は10万にも届くほどだった。人に御せるような数ではない。宇宙戦艦のヤドリガミたる彼女だからこそ可能なのだろう。アイテールの護衛隊をはじめとして、攻撃や隠密等のユニット、その大半は上杉群を抑えるために割かれてはいるが、監視やガードユニットなど、今この場にも数万単位のユニットが残っていた。
「あなたも物量で押し潰してあげるわ……悪く思わないことね。」
「なるほど、多勢に無勢とはまさにこのことよな。だが――。」
 ――一閃。謙信の周囲に漂う一振りの刀が、雷鳴を轟かせながら周囲を薙いだ。都留により猟兵の周囲に配置されていた二万にも届く防護用ユニット、その一部が一斉にショートする。
「所詮は人に及ばぬ絡繰り。数だけを揃えたところで、我が剣の前では意味をなさぬ。」
 どれほどのユニットが削られただろうか。だが、都留がその状況に動揺する様子はなさそうだ。
「思っていたより気が短いのね。でも、短慮が過ぎると足元を掬われるわよ?」
 すると、無事であったはずのガードユニットも帯電を始める。しかし、それらのユニットは謙信ではなく、突然猟兵達へと攻撃を行った。しかし、痛みはない。むしろ、ここまでくる間に受けた傷が癒されていくようだ。
「後方支援は万端よ! だから安心して行きなさい!」
 彼女の言葉を皮切りに、関ヶ原の決戦。その戦い火蓋が切って落とされた。各ユニットたちが、その性能を増しながら謙信の周囲、そして猟兵達の周囲へと散開していった。そして、都留自身は隠蔽状態CIC内で味方の支援のために状況管理を始めるのだった。

●毘沙門天と韋駄天
「いざ勝負!」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は戦闘開始直後からI.S.T.を起動し、謙信に向けて走り始めた。
I.S.T――神器と似て非なる得物のうち、《RE》IncarnationとBlue Birdの二刀を残し、他の装備がパージされ、辺りへと散らばる。枷の外れた玲は、急速にその速度を増していく。立ち止まる必要などない。勢いのまま玲は二刀による連撃を繰りだした。何度も何度も。しかし――
「早いな。だが、早いだけでは私を崩すことは出来ぬよ。」
 玲は謙信へと肉薄するも、12対2という数の差はそう簡単には埋まらない。刀以外をパージした彼女にとって、直撃は致命的だ。当然、都留のユニットからの支援はあるわけだが、否が応でも攻撃を防がざるを得ない。剣で受け、オーラの盾でいなす他ないのだ。
「反則に近い速度ね。こっちはぎりぎりだっていうのに涼しい顔してるようだし……」
 しかし、これ以上彼女に手放せるものはない。今の速度がトップスピードだ。そんな彼女の速度に難なく対応する謙信。彼もまた毘沙門刀の力により、更にその速度を増していた。そして、玲が武器受けをしたわずかな隙。そこに再び、手に持つ二刀を振るう。決して早い太刀筋ではない。だが、それを防ぐ以外には今の彼女に選択肢はなかった。その一撃は重く、身を軽くした彼女は容易に弾き飛ばされる。この戦いの中で発生した最も大きな隙。かの軍神がそれを見逃すはずはない。
「残念だが、ここまでのようだな。」
 バラバラであった1毘沙門刀が一手に収束する。まるで天変地異とも呼べる混沌の嵐が、そこには渦巻いていた。
「さらばだ、女剣士よ。あの世で甲斐の虎との斬り合いでも楽しむといい。」
 上段に構えられた刀が振り落とされる。その時だった。

 ペチャリ。

 何かが張りつくような奇妙な音。瞬間、先ほどまでそこにあったはずの混沌はその姿を消した。
「えへへー、いうなればデフレ属性!ってとこ!かな!デフレはコルチェ、難しくて分かんないけど」
 それは、コルチェ・ウーパニャン(マネキンドールのピカリガンナー・f00698)により放たれた割引シール。敵の能力を値引くことのできるそのシールが、刀の持つ属性を封じたのだ。
「ほう、刀がまとまったとこを狙うとは……お主はそれなりの切れ者ようだな。」
「え!?そんなことあるかな!?いやないかも。ただコルチェは……他の皆も頑張ってくれてるんだし、やれるだけのこと、するしかない、かも!って思っただけだよ!」
 自身がある訳はない。だが、
「さあ来ーいケンシンさん!ピカリブラスターがキュルルーンってしちゃうぞー!!」
 毘沙門刀がコルチェへ向けて放たれる。しかし、属性を奪われたそれらには先程までのキレはなく、そこに都留の防御支援が加われば、早打ちにはさほど自身がある訳ではないコルチェでも対応が可能だ。コルチェは迫る刀の一部を一つ一つ的確にピカリブラスターで撃ち落としていく。属性を封じられるということは謙信のユーベールコートをほぼ封じてしまうことに等しい。それを察知した謙信は、先ほどまで玲に向けていた矛先の大半をコルチェへと向けられていた。それが玲が切り込む最大の好機であることは明白だった。乱れた呼吸を整え、I.S.Tを握る手に力が入る。
「この一撃、神速に届かせ必ず君を斬る!」
 もはや彼女の身を軽くできるものなど何もなかったはずだ。だが、その速度は先程よりも確実に速く、鋭い。彼女が自らから外したものは、迷いか。それとも恐れか。戦場をかけるその姿はさながら韋駄天の如し。先程までは届くことのなかった剣戟。それがついに、かの軍神の体を捉え、切り裂いた。

●只この時のために
 好機はさらなる好機を生み出す。都留の攻撃ユニットと隠密ユニット、そして監視用のリレイユニットが謙信を牽制し、それに合わせてコルチェがシールを交えながらピリカブラスターを乱射する。しかし、そんな猟兵達の中に混じり、思案する男が一人。
(他のみんなは世の為人の為に来てるのかもしれねェ。ちくっとばかし悪いと思う!ごめんな!!)
「それでもやっぱし心踊るのよ!剣に生きると決めたのだもの!」
 剣士――喜介は2尺3寸ほどの打刀を振り上げる。防御も回避も彼の頭には無い。己を顧みずに肉どころか骨すら断たれる覚悟をもって、謙信への距離を詰めていく。当然、謙信はそれに気づいている。だが、その隙を突く余裕など、今の謙信にはあるはずもない。やがて、謙信へと肉薄する間合いまで到達する。
「この一刀!某の生涯の総て成!――覚悟ォッ!!」
 その一太刀に総てを込める。才などない。今ここにあるのは、今その時を切り開くための研鑽の集大成――火の構え。愚直に研ぎ澄まし続けた一刀が謙信へ向けて振り下ろされる。
「とどけッ!!」
 咄嗟に受け太刀に入る謙信。手元の刀以外は他の猟兵の対応に追われ、手出しはできない。刀と刀が触れ合うその瞬間、周囲は轟音と共に砂煙に包まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五曜・うらら
【ひらりうらら】
ほお、12本の刀を操る……いいですねっ!
私も7つの刃を操る者、修行の半ばなれど……
いずれそれを超えて見せましょう!
いざ尋常に、勝負ですっ!
ひらりさん、よろしくお願いしますねっ!

宙を舞う刀の数では負けていますが、二人で合わせればこちらが上ですっ!
あえてこちらは、攻撃の際に刀にこめた殺気を隠さずに振るいます!
謙信も達人、動きは読まれるでしょうがこれが布石となるのですっ!

ここぞという好機には一部の刀をひらりさんにお預けし
殺気による先読みを封じ、惑わせます!
それに合わせて月華双影刃での斬撃や
預けた刀をこちらが手にしての一撃を狙いますっ!
ふふ、毘沙門刀も私のものとしてしまいましょうかっ!


黒鋼・ひらり
【ひらりうらら】
上杉謙信ね…流石に私でも分かる…敵に塩を送る義の人、だっけ
とは言え生憎今の私にとってはただの悪…あんたの目論見ぶっ潰したげる

御大層な刀、沢山浮かべてるようだけど…流石にこれは私の磁力でも弾けないかしらね(※効くならやる)
…うらら、半分任せるわよ

うららの念動五刀流に併せ、斧槍や投剣…転送した武器を駆使し毘沙門刀に対抗
咄嗟に目の前に転送した斧槍でガード、斧槍や投剣を磁力反発で射出して迎撃…次々使い捨てにして攻撃を凌いでくわ

チャンスが来ればUC発動
今迄の攻防で使い捨て、周囲にばらまかれた磁性体…私やうららの武器…磁力操作で諸共纏めて…ありとあらゆる方向から一斉掃射でぶち込んでやるわ!



●十二対七
 猟兵達の視界が晴れたとき、そこにあったのは、片膝をつく軍神の姿だった。痛烈な一撃により、手持ちの二刀が歪み、腕に痺れは残る。胸の傷も相応の痛手ではあるが、刀を振れぬほどではないようだ。謙信の毘沙門刀を猟兵が押返し始めていたそんな折に、車懸かりの陣を突破してきた新たな猟兵が二人現れる。
「あれが上杉謙信ね……流石に私でも分かる……敵に塩を送る義の人、だっけ。」
「ほお、12本の刀を操る……いいですねっ!」
 黒鋼・ひらり(鐵の彗星・f18062)と五曜・うらら(さいきっく七刀流・f00650)だ。義を重んじると言われた上杉謙信。その名は猟兵達の間でもやはり有名なようだ。
「とは言え、生憎今の私にとってはただの悪……あんたの目論見ぶっ潰したげる。」
「どうやら、猟兵というのは例に漏れず威勢がいいようだな。しかし――」
 ふと、うららへと目を見やる謙信。
「――私の毘沙門刀に類するものに見えようとはな。」
 そこにあったのは、【さいこきねしす】によって動かされる5本の刀――念動五刀流の原理は異なるものの、謙信の周囲に漂う毘沙門刀に近い。
「えぇ、私も驚きです。しかし、まだまだ修行の半ば故に操れる刃は7つ。けれど、いずれそれを超えて見せましょう!」
「生憎だが、修行をする時を与えるつもりはない。貴様らはここで果てるのだ。」
 謙信は再び刀を握る手に力を籠める。先の戦闘で確信していた。謙信とて、猟兵相手に油断する余裕などないのだ。その視線に込められた殺気に対して、うららも殺気で返す。
「いざ尋常に、勝負ですっ!」
 うららは謙信に向けて駆けだした。寸刻、互いの刀同士が擦れ合い、火花が散り、金切り音にも似た剣戟音が戦場に響く。敵の12刀に対し、うららは7刀。当然、彼女だけでは毘沙門刀を捌き切ることは出来ない。だが、その不利を補うのがひらりの役目だ。斧槍【ミーティア】や投剣【アステロイズ】、転送された武器を駆使して、うららへと向かう刀の数を減らしていた。その後押しとなっているのが、彼女の操る磁力だ。自身にの周囲には磁場を作り、毘沙門刀すらも弾いていく。それが金属であるならば、自身の思いのままに操ることも難しくはないはずだ。しかし――
「軌道は逸らせられる。でも、制御下には置けないみたい。……うらら、そっちの半分は任せるわよ。」
 そう言いながら、磁力の反発により斧槍と投剣を射出し続ける。迫りくる刀剣を弾く度に、それらはひらりの周囲だけではなく、謙信、そしてうららの周囲へと散らばっていく。そんな様子にかまうことなく、二人は鍔迫り合いをと斬り合いを続けていた。
「悪く無い太刀筋だが……わかりやすいな。」
 戦い始めた時から、うららは殺気を放ち続けていた。格下であれば、その殺気だけで気圧される者もいるだろう。だが、相手はかの軍神である上杉謙信だ。逆にその殺気があだとなり、攻撃が見透かされてしまっていた。攻撃の来るタイミングがわかってしまえば、いなす事は容易い。謙信は好機を逃さず、その火力をもってうららを弾き飛ばした。
「流石に強いですね……ますますその毘沙門刀欲しくなりました。必ずやもらい受けます。」
「それは無理な相談だ。7本程度の刃すら満足に御せぬ者に、私の刀は扱えぬよ。」
 今、彼女の傍に漂っている刀3本。残る2本は毘沙門刀に弾かれたのか、ひらりの傍に横たわっていた。だが、それこそが二人の狙いであり、謙信の裏をかくための一手だった。転がる一本と刀が宙を舞うと、謙信めがけて放たれた。彼女の磁力により急加速した刀が謙信へと迫る。

ガキンッ

「おしい。やっぱり早いわね。」
 毘沙門刀の力による高速移動。それはほんの僅かな移動ではあったが、刀の射線からはずれ、容赦なく叩き落された。だが、ひらりにより生み出されたほんのわずかな隙。それをうららは見逃さなかった。瞬間、刃が閃耀する。しかし、放たれたのは刀ではなく蹴りだった。だがその一撃は、謙信の左腕を容赦なく切り裂いた。
「なるほど、仕込み草履とはな。……そして、殺気を消したか。」
「やっと手傷を負わせられましたね。とはいえ、月華双影刃で仕留めるつもりだったんですが……流石の速さです。」
 だが、二人にとってこの一撃は足掛かりにすぎない。謙信の周囲を取り囲むのは、ひらりがばら撒いた武器の数々。そして、うららの手には再び舞い戻った一本の刀――名を雫という。
「残念だけど、今までの攻撃はこのための布石よ。」
「この刀の刀身を見た者はいない。それがどういう意味なのか……あなたにならわかりますよね?」
 謙信から僅かながらに笑みがこぼれる。それは絶望からくる狂気か、あるいは――
「諸共纏めて…ブッ飛ばしてやるわよ!!!」
 武器の雨が降り注ぎ、一振りの刀が毘沙門天の化身を薙いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ゼット・ドラグ
「上杉謙信か、お前も信玄と同じとこに送ってやるから、二人で仲良くしな」
アテナと参加。
さて、軍神と呼ばれた謙信が相手ならばそれ相応の刀を抜かないと失礼だな。
【ドラゴンチェイサー】の背部、尻尾のような部分を引き抜く。
「鬼神絶斗丸。サムライエンパイアの刀匠から得た業物だ。いざ、勝負!」
刃渡り凡そ70cmの打ち刀を片手で持ち謙信に突撃。
走りながら12本の刀を動きをよく読み、命中率が高い刀は【咄嗟の一撃】で弾くように防御。
攻撃力が高い刀は【怪力】と【咄嗟の一撃】を合わせて防御。
回数の多い刀は左手の甲から刃を発射して撃ち落とす。
全ての刀を突破したら突進力と怪力と両手持ちによる三点加速式の居合切りを放つ。


アテナ・アイリス
ゼット・ドラグ(f03370)と一緒に。

ゼットとは、初めて一緒に戦うわね。相手は強敵の様だから、お手並み拝見させてもらうわよ。
剣が12本もあるのね。でも、どんなに剣を用意しても当たらなければいいだけの話よ。
普通の攻撃は【武器受け】をつかって防御して、特殊攻撃は、【守護女神の煌めき】をつかって、相手の攻撃を見切ってかわす。
上杉謙信に近づいたら「アーパスブレード」と「クラウ・ソラス」の二刀流で【2回攻撃】を組み込んだ連撃技で攻撃する。
いくわよ、ゼット。連携して挟撃するわよ。ワザと隙を作って上杉謙信の気を引くから、あとは任せたわよ。
あなたの力、見せて頂戴!

アドリブ・大好きです。



●竜断ち
 謙信は毘沙門刀で守りを固め切り払い何とか凌いだ。高速移動も併用し致命傷は避けたものの、体の所々には投剣が刺さり、腹にも大きな切り傷を受けた。だが、猟兵の猛攻が止まることは決してない。再び現れた新手の剣客――ゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)とアテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)だ。
「あなたが上杉謙信ね。」
「……だとしたらどうする?」
「本人なら切り倒すのみ。お前も信玄と同じとこに送ってやるから、二人で斬り合いでもして仲良くしな。」
 そんなゼットの言葉に、突如、声を上げて笑い出す謙信。
「何がおかしい?」
「今ここに己と肩を並べ、抗う者がいるというのに。どうしてあの世などに行けようものか。」
 求めるものは名誉でも、地位でも、土地でもない。ただその男が求めたのは好敵手。彼は認めたのだ。目の前の猟兵達が相対するに不足はなどない、倒すべき敵であると。
「なるほど、思っていたよりも戦バカだった……という感じね。」
 ゼットはドラゴンチェイサーの背部に手を伸ばす。その尻尾のような部分から引き抜かれたのは、刃渡り凡そ70cm程度の打ち刀。軍神と呼ばれる相手に振るうに相応しい、彼はそう考えたのだ。
「鬼神絶斗丸。サムライエンパイアの刀匠から得た業物だ。……いざ、勝負!」
 例に漏れず、ゼットとアテナは謙信への距離を詰め始める。謙信は毘沙門刀の射出をもって迎え撃った。既にダメージを追っている謙信は、その攻撃に精細さに欠いていたが、毘沙門刀連斬によりその命中率を高めた。たとえ満身創痍であったとしても、万に一つも外すことはない。だが、急接近する刀にも、ゼットが止まることはない。不意に鬼神絶斗丸を振り上げた。金属同士がぶつかり合う音と共に毘沙門刀が地面に転がる。だが、飛来する刀は一本のみではない。ゼットが握る刀にも力がこもる。そして、刀を持たぬ左手の甲を前方へと突き出した。そこから無数の刃が放たれ、毘沙門刀を迎撃していく。うち漏らした刀がアテナに迫るも、彼女はアーパスブレードとクラウ・ソラスの二刀をもって、その攻撃を受け流した。
「この程度であれば、なんとかなりどうだけれども……そう、簡単にはいかないわよね。」
 弾いたはずの剣が再び宙を舞う。先ほどよりも速度を増したそれが二人に迫る。だが――
「ゼット、左後方よ!」
 たとえ、どんなに素早く相手の弱点を突こうとも、当たらなければ意味はない。アテナは【守護女神の煌めき】による啓示によって、毘沙門刀の挙動を見切っていた。やがて二人は謙信へと肉薄する。アテナは携える二本の剣で連撃を繰り出す。しかし、相手は12刀流。そう易々と攻撃を通してはくれない。辺りに剣戟音と風切り音のみが響き、有効打にはなかなか至らない。
「先鋒の女剣士ほどの速度はあらぬな。この程度では、私には到底届かぬぞ?」
「そうね……でも、私にはもう一本の剣があることを忘れてはだめよ。」
 謙信の背後に立つのはゼット、アテナとの挟撃だ。先ほどまでアテナと並走していたはずだ。彼はそのまま走り抜け、踵を返して謙信へと突進していた。だがそのことを気に掛ける余裕は、猟兵達を相手取り続けていた謙信にはもはやなかったらしい。
「あとは任せたわよ。あなたの力、見せて頂戴!」
「おう!竜殺しの力ぁ!見せて!やるぜええええええええええ!」
【一刀竜断 頭落とし】――突進力と持ち前の怪力、そして両手持ちに切り替えられた三点加速式の居合切り。竜頭をも落とす一撃が越後の龍へと放たれた。

ズッ――ザシュッ。

鈍い音と鋭い音とが入り混じる。先ほどまでそこにあったはずの二本の腕が地面へと転がる。そして、胴を貫く一本の線。両腕と共に鮮血が迸る。
「見事な連携だ。さぞかし厳しい鍛錬を積んだのであろうな。」
「……?いいえ、彼と組むのは初めてよ。」
 アテナの応答に再び声をあげて笑い始める謙信。なるほど、これだから戦は面白い。
「だが、車懸かりの陣があれば私は不滅。次の私に会うときは、果たして、そううまくはいくかな?」
「仮に出会うことがあったとしても、その時もまた切り伏せるのみだ。」
 なるほど、男の言葉に偽りはないのだろう。ならばその時を今ひとたび、骸の海で待つとしようか。

 こうして猟兵達は、かの軍神上杉謙信――越後の龍を討ち取った。現世の去り際、彼が最後に残したのは恨み顔ではなく、むしろ晴れ晴れした笑顔だったそうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月13日


挿絵イラスト