エンパイアウォー⑦~たぬたぬ大回転~
●狸たちはぐるぐる回るようです
関ヶ原。
かつて徳川幕府の初代将軍となる徳川家康は、この地での大戦で勝利を挙げて、江戸に幕府を起こしたという話である。
その地に再び舞い降りる戦の空気。
江戸の徳川幕府の軍勢を待ち構えるのは、越後の軍神、上杉謙信の大軍勢。
しかしその兵たちは人間ではない。魑魅魍魎も妖怪化生も何でもありの異形の軍勢である。
そして、その最前線の一角。
「謙信様の勝利のために、頑張るタヌー!」
「「タヌー!」」
ケットシーより二回り大きいくらいの体格をした二足歩行の妖怪狸が数匹、鎧兜を身に着け刀や槍を手に持って、気合を入れていた。
一匹の狸が首を傾げつつ、リーダーと思しき刀を持った一匹に声をかける。
「車懸かりの陣、もう一回練習するタヌ?」
「練習するタヌ!練習しないと本番でも使えないタヌ!」
そう告げた狸たちが、ぐるりと円形に陣を組む。そして。
「タヌ!」
「タヌ!」
刀で斬っては一つ隣に、槍で突いては一つ隣に。
先頭に立つ狸が攻撃したら左隣の狸が前に出て、それの繰り返しでぐるぐると時計回りに回る狸が五匹。
その後方で体格の小さな子狸たちと一匹のパンダが、やんややんやと太鼓をたたいて応援していた。
●夢の形なら異世界の予知も出来るようです
「見慣れぬ世界だとしても、やることは変わらないか。仕事の時間だ、先輩たち」
両手に抱えた箱型のガジェットから投影した、自身の見た夢そのままの映像を停止させつつ、イミ・ラーティカイネン(夢知らせのユーモレスク・f20847)は真剣な眼差しで猟兵を見た。
サムライエンパイアで行われている、徳川幕府と織田信長のぶつかり合い「エンパイア・ウォー」も、いよいよ中盤戦というところ。
一人の損害もなく十万の軍勢を関ヶ原まで送り込んだ幕府軍は、軍神・上杉謙信の軍とぶつかることとなる。
映像を巻き戻し、冒頭の草原の映像を映しながら、イミはゆっくりと口を開いた。
「この草原には、敵の大軍勢が陣取ってこちらの軍勢を待ち構えているわけだが、風車のように回りながら前衛を次々に入れ替える陣形でぶつかってくるようだな。
損害を受けても後ろに下がればその間に傷を回復させられるし、態勢も整えられて、再び前に出てくる頃には万全の態勢が整っている。
まったく、嫌になるくらいによく出来た陣形だ」
眉間にしわを寄せながら、イミはため息をついた。
しかしため息をつきたくなる理由もわかる。軍神車懸かりの陣の恐ろしさは今まさに彼の口から説明があった通り。一撃で大ダメージを与え、敵の防御力を打ち破ることが出来なければ、すぐに後ろに引っ込まれて回復されてしまうのだ。
撃破するためには、何とかして敵に大ダメージを叩きこむ術を考えなくてはならない。
「それで、今回俺が夢に見た敵は……」
話しながら、記録した映像を再生するイミ。そして「それ」の姿が見えたところで、映像を一時停止する。
ガジェットを高く掲げて、後ろの面々にも見えやすいようにしながら、イミは言う。
「タヌキだ。鎧兜を身に着けたタヌキだ」
名を狸兵団。妖怪狸の雑兵たちで、かつて狐との戦争で滅んだものがオブリビオンとして復活したものだそうだ。
武器はその手に持った刀や槍。それを手に手に突撃してくる。また仲間がやられた恐怖心を抱くことによって遠距離にも届く集中砲火を浴びせてくる。
そして防御バフの一環として、子狸応援団を召喚して太鼓を演奏することで、武器や防具をパワーアップさせることも出来るようだ。
可愛い。そして何故かパンダが混じっている。可愛い。
ちょっとだけほんわかした空気になるのを、イミが鋭い口調で制する。
「可愛いからって攻撃の手を止めるなよ、先輩たち。今回は状況が状況だ。敵への情けは俺たち全員の負けに繋がると思え」
そう、可愛さに攻撃の手が鈍ってはいけない。これは戦争なのだから。
そこまで話すと、イミは投影した映像を消した。代わりに箱から浮かぶ上がるグリモアを光らせて、彼は告げる。
「さあ先輩たち、鍛えた腕の見せ所だ。俺をがっかりさせないでくれよ?」
屋守保英
こんにちは、屋守保英です。
関ヶ原に到着し、いよいよ中盤戦というところでしょうか。
頑張りましょう、皆さん。
●目標
・狸兵団×5体の撃破。
●特記事項
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
最前線の上杉軍は、『防御力アップ&自動回復(特大)』の効果を得た、最高のコンディションで襲いかかってきます。並大抵のダメージでは、耐えきったうえで回復してしまうでしょう。
敵の防御を撃ち抜くような大ダメージの攻撃で、一体づつ確実に撃破していくようにしましょう。一撃で撃破できなかった場合は、回復する前に連携攻撃等で撃破できないと、元の木阿弥になるかもしれません。
●戦場・場面
(第1章)
見通しのいい広々とした野原です。
軍神車懸かりの陣を構成する狸兵団が、戦闘を入れ代わり立ち代わりさせながら攻撃してきます。
特記事項にある通り、狸兵団には強力なバフがかかっているため、強力な一撃で撃破する必要があります。
それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『狸兵団』
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POW : 狂乱野鉄砲
【仲間がやられた恐怖心】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【弓矢や火縄銃の集中砲火】で攻撃する。
SPD : 狸兵団突撃
予め【突撃陣形を組む】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ : パンダ混じりの狸囃子
戦闘力のない【子狸応援団(何故かパンダがいる…)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【戦場に響く賑やかな太鼓の音】によって武器や防具がパワーアップする。
イラスト:綾智
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鈴木・志乃
※人格名『昨夜』で参加
なんて面妖な戦術……
本当に困った、私と志乃には今回有利な技がない
それでもやるしかないならば
志乃の技を借りましょう
UC発動
260体の兵士で何が何でも各個撃破致します
逃げようとするなら第六感で動きを見切り、手持ちの光の鎖を念動力ロープワークで各個縛り上げ捕らえましょう
タコ殴り? 何のことですか?
狸囃子は厄介ですね
気持ち程度かもしれませんが、歌唱の衝撃波で可能な限り邪魔してやりましょうか
念動力でスピーカーを空に飛ばします
まったくリズムもメロディーも違うやたらにノリノリな曲を……
え? 戦場には似つかわしくない?
知りませんね
私自身は鎖で狸を縛って殺します
狸には何故か恨みがあるもので
ルドルフ・エルランゲン
※絡み、アドリブばっちこい!
軍神上杉謙信の車掛かりの陣ですか。攻防一体、戦利に叶った布陣ですね。
正攻法な布陣、なればこそ虚を突く甲斐があるというもの。
■詭道の計(wiz)
事前に知育玩具や絵本、携帯ゲーム機、おかしなど、子狸たちが喜びそうな物品を準備、子狸の元に盛大にばらまく。
楽しいから一緒に遊ぼうと声をかけ、戦場から注意を背けさせる事で、【狸囃子】の発動を阻害する。
子狸たちによるバフは抑えました。
さぁ猟兵の皆さん、タヌ公たちの陣形を突き崩してしまいましょう!
●子狸は遊びたい盛りのようです
関ヶ原に広がる、まるで冬の盛りに白銀に凍り付いたかのような草原。
底冷えするような真っ白に染まる光景でありながら、夏の盛りの燦々と照り付ける太陽が首元を焼く中で。
「猟兵たちが来たタヌ!皆の者、応戦するタヌ!子狸隊は演奏を始めるタヌ!」
「「タヌ!!」」
「「タヌ!!」」
五匹の子狸たちが円形に陣を組んではこちらに槍を向け、その後ろに召喚されたケットシーサイズの子狸と子パンダが、オモチャの太鼓を叩いて応援をやり始めた。
相対する猟兵の中で、まず先陣を切らんと前に踏み出た鈴木・志乃(生命と意志の守護者達・f12101)の主人格、仮名・昨夜とルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)は揃って難しい顔をする。
「軍神上杉謙信の車掛かりの陣ですか。攻防一体、戦利に叶った布陣ですね」
「なんて面妖な戦術……本当に困った」
オブリビオンが、それも雑兵である狸兵団が為す車懸かりの陣とはいえ、その完成度は折り紙付き。さらには統率を行う上杉謙信が控えているとあれば、その効果は十二分に発揮されてしかるべし。
悩まし気に眉間に皺を寄せた昨夜の隣で、ルドルフが自身に満ち溢れた笑みを浮かべて一歩前へと進み出た。
「正攻法な布陣、なればこそ虚を突く甲斐があるというもの」
「何か策があるのですか?」
ルドルフの笑みに昨夜が目を見開くと、ルドルフは一瞬だけ昨夜の方に視線を向けた。
「まぁ、見ていてください」
そして、彼は一挙に前に飛び出した。
向かってくるか、と見越して先頭の狸が槍を構える。
が。
「ふっ!」
狸の槍と切り結ぶ直前で、ルドルフは大きく身体を捻って側方に逃げた。
そのまま狸の陣の周囲を回り込むようにして、陣の後方へ。
次の瞬間だ。
「ほーら、楽しいから一緒に遊びましょう、子狸さんたちー!」
「「タヌー!?」」
ルドルフがばっと両手を広げてばらまいたのは、UDCアースやスペースシップワールドから持ち込んだ様々な知育玩具、絵本、携帯ゲーム機、お菓子、おもちゃ、などなど。
目の前に大量に降ってきた何やら面白そうな品物の数々に、子狸たちの瞳が一斉にキラキラと輝いた。
見たこともない、触れたこともない面白そうなもの、美味しそうなものに目が釘付けである。当然、演奏の手はピタリと止まったわけで。
「あっ、ちょっ、子狸たち何をやってるたぬ!応援の狸囃子はどうしたt」
「「タヌー!!!」」
異変に気付いて陣形を組む狸の最後方にいた個体が振り返った頃には、子狸とパンダはバチも太鼓も放り出してルドルフの齎した遊び道具に群がっていた。
「これどうやって遊ぶタヌ!?」
「楽しいタヌ!可愛いタヌ!」
「あまあまタヌ~」
「はっはっは、どんどん遊んでいいんですよー。
さぁ猟兵の皆さん、子狸たちによるバフは抑えました。タヌ公たちの陣形を突き崩してしまいましょう!」
「え、ええ、感謝します!」
狸囃子が止まったことで、多少はバフのかかりが悪くなったはず。ルドルフが作ってくれたこのチャンスを、逃すわけにはいかない。
昨夜はバッと腕を前に伸ばした。もう一人の人格の力を借りて、呼び出すのは夢半ばで倒れた兵士たち。その数実に260人。
その手に構えた各々の武器が、向かう先は一点だ。
「千変万化の大千世界、千千万万千軍万馬、千紅万紫の千両役者、一騎当千、千里同風!さあ皆さん、狙うは先頭に立つ狸一体です!」
「タ、タヌー!?」
陣の先頭に立つ槍を持った陣笠の狸は途端に慌てた。
防御力の上昇を抑えられた現状で、あれだけの数の敵から攻撃を受けたらどうなるか。
いかに陣の効果で防御力を上げていたとしても、あれは。
「く、来るなタヌ!来るなタヌー!」
「残念ですね、狸には何故か恨みがあるもので」
容赦なく言い放った昨夜の手から鎖が伸びて、狸を縛り上げた次の瞬間。
260の武器が一斉に、狸の小さな身体を貫き、切り裂き、穿ってみせる。
それは正しく、狸の防御を打ち破るには充分すぎる威力を持っていた。鎖に縛られ、槍玉に上げられた狸の身体は、音もなく溶けるように消えていったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
逢坂・理彦
この間戦った時はあの白い狸…いやパンダには化かされた気分になったけど今回はパンダについては勉強したから大丈夫…!
狸達の車懸かりの陣。わりとしっかりしてるんだよね…さすがは謙信公の軍ってことかな。
まぁ、陣はしっかりしてるけど…それを乱すためにもまずはUCをぶつけてみよう。
UC【狐火・穿ち曼珠沙華】
陣が乱れた所へ【なぎ払い】で斬りこもうか。
【戦闘知識】で陣形の様子もみつつ。
【範囲攻撃】や【武器落とし】もしていこう。
狸の攻撃は【第六感】で【見切り】
…うん、パンダちゃんも逃さないよー。
アドリブ連携歓迎。
禍神塚・鏡吾
技能:追跡、言いくるめ、だまし討ち
「車懸りの陣……敵ながら、美しい戦術です」
「しかし、部隊の一つひとつをとれば、つけいる隙もあるでしょう」
相手の突撃軌道を読みながら、ぎりぎりまで惹きつけて躱し、狸に疑問を投げかけます
「何故、パンダがいるんですか?」
相手の答えを得たら、照魔鏡と共に質問です
「では問題です。その子はレッサーとジャイアントどっちですか?」
一発で区別がつく簡単な問題ですが、サムライエンパイア古来の狸が、パンダに二通りあると知っているでしょうか?
相手が言い淀んだら、
「レッサーが小さい方でジャイアントが大きい方です」
と言って誘導します
子狸に混じっているなら、先入観で小さい方だと答えるはず
●パンダはパンダでありパンダではないようです
早々に一人、いや一匹が脱落してしまった狸兵団は。
「お前達が仕事をしないから、一人やられてしまったタヌ!これは没収タヌ!」
「タヌー!もっと遊びたいタヌー!」
「狸囃子をやらないなら、今日の三時のおやつは抜きタヌ!」
「タヌー!?おやつ抜きは嫌だタヌー!皆、真面目にやるタヌー!」
子狸とパンダによる応援隊を叱りつけて、狸囃子を再開させようとしていた。
そう、再開させようとしていた。子狸たちもそんなすぐに楽しい遊びを中断できるわけではない、いくら彼らが召喚されてここにいるとはいえ。
そして狸兵団の四匹のうち、一匹が子狸を叱りつけていて、残り三匹は微妙に怖気づけながらこちらに刀を向けていて。
そんな様子を見て、逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)と禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)は苦笑を禁じ得なかった。
「いやぁ……付け入る隙しかありませんねぇ」
「狸達の車懸かりの陣。さすがは謙信公の軍ってことかな、割としっかりしている……筈なんだけどねぇ……」
叱りつけがようやく功を奏して、太鼓をポコポコやり始めた子狸たちに背を向けて、円陣に戻って来た狸兵団を見て、二人はなんとも言い難い感情に支配されていた。
本当ならばもっと、統制が取れていて、油断も隙もない陣形を組んでくるはずの狸たちだったはずなのだ。
それが何とか立て直したとはいえ、あっさり瓦解してしまったわけで。
「タヌ!このまま猟兵たちに時間を与えてはいけないタヌ!突撃タヌー!」
焦りを覚えた様子で刀を構えて突っ込んでくる狸兵団の戦闘の一匹。
しかしその切っ先はぶれており、突進も速度が乗っているわけではない。躱そうと思えば容易に躱せるだろう。
そしてその隙を見過ごしてやるほど、猟兵たちは甘くも無いのであった。
「はい、残念でした」
突進の標的となった鏡吾が狸の持つ刀をギリギリまで引き付けてから、ひらりと躱す。
そして通り過ぎたところで足を止め、こちらを振り返った狸に指を突きつけた。
「何故、パンダがいるんですか?」
「タヌッ?」
その黒いつぶらな瞳を大きく見開く狸に、理彦も首を傾げつつ声をかけた。
「そうだよねぇ、君達は狸兵団なのに、なんでパンダがいるんだい?」
「タヌ……パン太は独りぼっちだったタヌ!それをボクたちが引き取って一緒に世話してきたタヌ!仲間タヌ!」
「なるほど、仲間なんですね」
言葉を引き出した鏡吾が、自身の器物である西洋鏡をふわりと自身の前に浮かべた。そこから狸目掛けて、眩い光が放たれる。
思わず目を閉じて顔を覆った狸に、鏡吾の言葉が耳に届いた。
「では問題です。そのパン太は、レッサーとジャイアントどっちですか?」
「タヌ……?」
「れっさー……じゃいあんと……?」
質問を投げかけられた狸だけでなく、後ろで聞いていた陣形を組む狸たちも首を傾げていた。もっと言えば子狸の中にいるパン太自身も首を傾げていた。
「前に戦った時はパンダには化かされた気分になったけど、今回はパンダについては勉強したから大丈夫……!」
理彦は理彦でパンダと子狸に視線を向けながら、真剣な表情で何やら独り言ちていた。
以前に相対した時にはちょっと、いやだいぶ毛色の変わった狸とも思ってしまったパンダを、今回はちゃんと見分けられるように勉強してきた理彦である。
そんな理彦がこくりと頷きながら鏡吾に同調した。
「そうそう、パンダって二種類いるんだよねー、レッサーパンダと、ジャイアントパンダ」
「えぇ……パンダはパンダじゃなかったタヌか……」
じゃあそこにいるパン太はどっちタヌ?と額を突き合わせて相談し始める狸兵団たち。
またもや隙だらけである。普段ならばこのタイミングでばっさりと切り捨てるのだが、今回は状況が状況だ。
「この陣が乱れまくっている間にバッサリ薙ぎ払いで斬り込みたいんだけどなぁ」
「やってもいいんですけれど、せめて答えは言わせてあげましょう」
そう鏡吾が零したその時に、もふもふの茶色いおててがパッと上がった。
「はいタヌ!」
「はい狸さん」
「パン太はちっちゃいタヌ!ジャイアントじゃないタヌ!従ってレッサーパンダタヌ!」
自信満々の表情で答えを言った狸。それを聞くや否や、鋭い目つきで鏡吾と理彦は視線を交わし合った。
そして無情にも真実を告げる。
「残念」
「不正解です」
「タヌー!?」
不正解、の言葉を告げると同時に理彦が降らせるのは曼殊沙華のごとき赤い杭。それを合計240本、一匹の狸目掛けて四方八方から降り注がせる。
不正解によるダメージと共に杭で穿たれた狸が、信じられないと言わんばかりの断末魔を残して、霞のように消え去っていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
落浜・語
まぁ、そうだよな?
上杉謙信がただ意味もなく数が多すぎました、なんて事はあり得ないよな。知ってた。
幸いと言うか一撃高火力なら自信あるからな。
『人形行列』を使用。
普段はなるべく広範囲に広げるんだが、今回は一点集中で。相対する前衛狸に全てけしかける。
色々撃退してきた爆発の威力は、お墨付きだからな。260体一斉爆破で高ダメージを狙う。
ついでに、爆風なんかで他のも巻き込む事ができたらなお良いかな。
次に前衛になるやつに多少でもダメージを与えられたなら、他の人に繋げられるだろうし。多分。
……ところで、狸達の陣形崩したらどうなんだろ?
アドリブ、連携可
ユウキ・スズキ
「このような形であれ、かの軍神の指揮をよもや肉眼にてお見受け出来るとは、軍属として光栄の極み…ですが、私とて指揮官の端くれ。稚拙とはいえ、我が軍の手管、とくとご覧あれ……」
どうせ戦場は変わらん、俺の戦場に御招待しよう
相手の軍は装備を見ても貧弱
だが相手はかの軍神
手を抜く訳にはいかない
まずは列車砲の掃射
射撃完了後、中隊を左右正面の3つに分けて展開
正面から戦車隊による砲撃と爆撃機の地上支援の後に一斉に突撃、一気に戦線を突破し、謙信への道を切り開く
接近戦に持ち込んだ後は、各員複数の兵で1体への集中攻撃に当たり、確実な撃破を試みる
「雑魚とはいえ手を抜くな!! ここを突破しなければ指揮官は討てんぞッ!!」
●爆発と爆撃は派手なほどいいようです
「タヌー!?またやられたタヌ!いい加減本腰入れてかかるタヌ!」
「タヌ!」
三匹になった狸兵団が仲間の尻を叩き、狸囃子の尻を叩き猟兵たちに向き直るのを、落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)はさも当然、と言わんばかりに肩をすくめた。
「まぁ、そうだよな?上杉謙信がただ意味もなく数が多すぎました、なんて事はあり得ないよな。知ってた」
「このような形であれ、かの軍神の指揮をよもや肉眼にてお見受け出来るとは、軍属として光栄の極み……まあ、統率を乱される姿は無様ですが」
ユウキ・スズキ((元米国陸軍)少尉・f07020)も語の隣で銃を構えては、小さくため息を零していた。
軍神車懸かりの陣、その陣形とそれを成す上杉謙信の統率力、指揮は見事の一言。それは間違いない、のだが。
肝心の前線部隊である狸兵団、というよりは彼らの召喚する狸囃子までその統率が及ばないのが悲しい現実だ。
防御が増強されているとはいえ装備は貧弱、意志も薄弱。ユウキの見立ては、概ね間違ってはいない。
しかし。
「ですが、手を抜く訳にはいかない。私とて指揮官の端くれ。稚拙とはいえ、我が軍の手管、とくとご覧あれ……」
「指揮に関してはこちらにもプロがいるからな。あんな狸たちなんて、物の数じゃないだろう、ユウキさん?」
「当然」
口角を持ち上げつつ語が言葉を投げると、ユウキはたった一言、短く返して一歩を踏み出した。
その一歩が、契機となる。
「タッ、タヌッ!?」
俄かに慌てだす狸たち。陣形は崩さずとも、その困惑は明らかだ。
当然だ、それまで自分たちが立っていた白銀の草原はどこにもなく、乾いた風の吹き荒ぶ荒野が足元に、視界一面に広がっているのだから。
視認できる距離にいたはずのユウキの姿も見えない。混乱する中で狸たちは、風切り音を立ててこちらに向かってくる『何か』を見た。
「これが、俺の心象風景。俺達の生きた世界。俺達が歩んだ道。ここが……戦場こそが俺の……俺達の魂の場所っ!!全軍突貫!……蹂躙せよ!!!」
ユウキの声が彼方から響いたと思えば、飛来した列車砲が狸たち目掛けて降り注いでは炸裂する。
爆風と衝撃に顔を覆った狸たちは、次いで自分たち目掛けて突貫してくる『鉄の箱』の存在に気が付いた。
土煙を上げながら猛スピードで突っ込んでくる戦車。その砲塔から次々に放たれる砲弾が、上空から飛来する爆撃機の弾丸が、まるで驟雨のように降り注ぐ。
「タ、タヌ~~~!!」
狸たちは逃げ惑った。陣形が崩れることなど最早お構いなし、何とかして砲弾や銃弾から逃れようと必死になって走り回っている。
そこに、手にそれぞれの武器を持ちながら接近してくる兵士たち。
「雑魚とはいえ手を抜くな!!ここを突破しなければ指揮官は討てんぞッ!!」
「応っ!!」
ユウキの吶喊に応えながら、兵士たちは一匹の狸に殺到して斬りかかっていった。
「タ、タヌゥゥゥ!!」
集中攻撃を受けて困惑しながら刀を振り回す狸。それに払われながらも、斬りつけられながらも、兵士たちの攻撃は止まない。
そして、ユウキの声が鋭く響く。
「第一陣、退けっ!続いて第二陣、攻撃始め!」
「はいはい、色々撃退してきた爆発の威力は、お墨付きだからな。危ないから下がっててくれよ?」
兵士たちと入れ替わるように前に出たのは語の人形行列だ。その数実に260体。それが狸にどんどん取り付いては、手に持った武器でちくちくと刺していく。
「もうっ、鬱陶しいタヌ!」
嫌がるように刀を振った狸。その切っ先が人形の一体を切り裂いた、次の瞬間。
260体の人形が一斉に爆発、狸を爆風と爆炎で包み込んだ。
小型の爆弾とはいえ、数が数だ。さらには自分の身体に取り付いた状態で爆発されては、いかに防御力に優れていたとしても耐えられるものではない。
「タヌゥゥゥ……」
力ない鳴き声と共に消滅していく狸。心象風景が消え、元の草原に戻る頃には、円陣を乱された二匹の狸が、震えながらいるばかりだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
薄荷・千夜子
車懸かりの陣……中々破るのは苦労しそうですね……
って、狸!?パンダ!?
いえ、見た目に騙されてはいけません、気合を入れて参りましょう
「そちらが狸なら、こちらは鷹ですよ!」
笛を鳴らし、UC【彗翔一閃】相棒の彗を呼びます
彗に騎乗して上空へ
彗を一撫で「我々の全力ぶつけましょうね」
言葉通り、全力で行かせてもらいますよ
[etolie montre]を構えて【属性攻撃】で炎を纏わせます
一気に上空から急降下による【空中戦】【シールドバッシュ】【捨て身の一撃】による突撃を
回避は捨てます!空からの一撃、食らってみてください!
タビタビ・マタタビ
戦だ戦だ!
ボクも加勢するよ! 謙信はこっちの事情も知ってるみたいだし、あなどれない……って。
……狸? パンダ? なんで?(自分もその場で一緒にぐるぐる回りながら)
可愛くても、生半可な攻撃は効かないのか……ならっ。
集え小ネコ騎士達! 敵陣を打ち破るために!
【ナイツオブネコチャン】で召喚した騎士達を全員合体! 名付けてネコ騎士王!
一体に狙いを定めて、一緒に剣を繰りだす!
相手も突撃を仕掛けてくるだろうけど、その分、狙いは定めやすい!
小細工なんかなし、この一撃に全てを賭けて!
(もし討ち漏らしがあったりして)他の猟兵さんと協力できそうなら、力を合わせるよ!
●狸もパンダも愛らしさには定評があるようです
「って、狸!?パンダ!?」
「……狸?パンダ?なんで?」
薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)とタビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)同じ疑問を同時に発した。
鎧兜を身につけて武器を手にした狸たち。その後ろで応援をする子狸たちと子パンダ。
これが戦場でなければ、彼らがオブリビオンでなければ、どこの動物園の触れ合いスペースかと人は思っただろう。疑問を抱く気持ちは分かる。
混乱のあまりにタビタビがその場でぐるぐる回って、軽く目を回していた。
しばし頭をふらつかせた後、きりりとした表情に戻って口を開く。
「謙信はこっちの事情も知ってるみたいだし、あなどれないね。可愛くても、生半可な攻撃は効かないみたいだし……」
「車懸かりの陣……中々破るのは苦労しそうですね……かわいい見た目に騙されてはいけません、気合を入れて参りましょう」
千夜子もまなじりを決して気合を入れる。まっすぐに敵を見据える二人に、槍を構えた狸がその穂先をこちらに向けてきた。
「例え二人だけになっても!車懸かりの陣はまだ有効タヌ!くらえタヌー!」
槍をしっかと握って、こちらに突撃してくる狸。その穂先がまっすぐに千夜子へと向かう。
「千夜子さん!」
タビタビが千夜子の前に割り込んで止めようとするが、千夜子はむしろ前に割り込んだタビタビの身体を抱え上げた。
「大丈夫です!彗、力を貸して!」
槍の穂先が千夜子に接しようかというところで、彼女は高く飛び上がった。その足元に割り込んでくるように、大きな鷹が千夜子とタビタビを背中に乗せて舞い上がる。
空へと舞い上がっていく鷹。眼下に広がる白銀と、そこに立つ狸を見下ろすようにして、千夜子はタビタビに声をかけた。
「攻撃のタイミングを合わせましょう。一旦降下してタビタビ君を下ろしますので、私がもう一度舞い上がって彗と一緒に急降下するのに合わせて、攻撃してください」
「分かったよ!」
タビタビがこくりと頷くと、大鷹は空中で回り込むようにして向きを反転、ぐんぐんと地面に向かって降りていく。
そして地面すれすれまで近づいたところで、タビタビは大鷹の上から飛び降りた。
「我々の全力をぶつけましょうね」
大鷹を一撫でしながら再び空へと舞い上がっていく千夜子をちらと見ながら、彼はその手の剣を正面に構える。
「集え小ネコ騎士達!敵陣を打ち破るために!」
「「ニャー!!」」
そして発動するのはナイツオブネコチャン。総勢30体の子ネコ騎士が、タビタビの後ろに召喚される。
勿論、このまま攻撃するのでは意味が無い。タビタビがさっと手を横に伸ばすと、子ネコ騎士は一ヶ所に集ってギュッと身体を寄せ合った。
一瞬だけ眩い光が発せられたかと思うと、その場所には一匹の、兜に「30」と刻印された巨大な猫騎士が大剣を手にして立っているのだった。
「三十体合体!名付けてネコ騎士王!」
「小癪なタヌ!」
ネコ騎士王の巨体に一瞬だけ怯んだ狸だが、再び槍を構えて地を蹴った。槍が狙う先はタビタビだ。
それを確認して、タビタビが一瞬空に視線を向ける。ぐんぐんと、大鷹の姿がこちらに迫ってくるのが見えた。
上空から高速で降りてくる千夜子が、懐中時計を変形させた盾を構えている。
頃合いだ。
タビタビが剣を構えると、ネコ騎士王も一緒に大剣を構える。
そして、二度目の突進がタビタビにぶつかる寸前で。
「空からの一撃、食らってみてください!」
「小細工なんかなし、この一撃に全てを賭けて!」
上空からの千夜子のシールドバッシュが、突進をかわしながら振り下ろされたタビタビの剣と、ネコ騎士王の大剣が。
全く同時に突進してくる狸に叩き込まれた。
その身を強く打たれ、深々と切り裂かれた狸は断末魔を上げる暇もない。力なく草地に倒れ込んで、そのままさらさらと消えていった。
成功
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フィロメーラ・アステール
「なんとも厄介な相手だな!」
ここは出し惜しみナシで全力を込めていくぞ!
巻き添えが怖いので初撃がいいかな?
【第六感】を通じ自然界とリンク!
【全力魔法】を注ぎ込むぞ!
そして【星の遊び場】を発動だ!
雷の雨を敵を降らして攻撃するぞ!
暴走しやすいのが難点だけど【気合い】で制御だ!
この攻撃にはいくつかの狙いがある!
・電気ショックで即死してしまうかも。
・仮に無事でも麻痺して陣形が乱れるかも。
・回復しても電気の強烈な痛みは何度も食らいたくない。
・轟音で号令や太鼓の音を掻き消す。耳も変になるかも。
まあ単純に雷怖いという【精神攻撃】や、閃光による【目潰し】の要素もあるかもしれないな!
これを景気よくブチ当てたい!
●自然災害はやっぱり怖いようです
「なんとも厄介な相手だな!ここは出し惜しみナシで全力を込めていくぞ!」
フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)はぐっと拳を握って宙を駆けた。
予め、周辺にいた猟兵たちには退避してもらっている。敵も残り一体、変に巻き込む心配は無いだろう。
「な、なにをする気タヌ!」
狸兵団の最後の一匹、他の狸より豪華な兜をかぶった狸が刀を構える。
既に仲間は他にいない、回復も防御力上昇も出来ない現状。あとは自らの力で何とかするしかない。
後方で子狸たちがポンポコポコポンと狸囃子を響かせる中、フィロメーラはその手を高く天に掲げた。
第六感を通じて自然界に意識を繋げ、自分の全力を注ぎこむ。自然の力を操作しにかかる。
俄かに掻き曇る空、黒雲が戦場を覆い尽くしていく。
そして。
「あたしにまかせろー!バリバリ!」
力強く告げたフィロメーラが手を振り下ろすや、黒雲から落雷が落ちた。
轟音、閃光、衝撃、電流。
狸は思わず自らの耳を塞いだ。
「ギャー雷怖いタヌゥゥゥゥ!!」
「「タヌゥゥゥゥ!!」」
狸兵団の後方で、子狸たちも姿勢を低くして震えている。
しかし雷は一発だけではない、更に言えば間隔を空けて振ってくるわけでもない。
続けざまに二発、三発、もっとたくさん。まるで雷が雨のようにどんどんと草原に降り注いでいく。
そして、一発の雷が狸の兜に轟音と共に落ちてきた。
ピシャァァァァァン!!
「タヌゥゥゥッッ!?」
恐怖と驚愕の声を上げながら、狸の身体がぐらりと後方に傾ぐ。
そこに追い打ちをかけるようにもう一発、さらにもう一発。
計三発の雷の直撃を受けた狸の身体は黒焦げだ。
そして雷雲が去っていき、元の青空が顔を覗かせた時。
狸兵団の姿も、子狸応援団の姿も、すっかり消え失せていたのである。
成功
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