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エンパイアウォー⑱~毘沙門天よ、御照覧あれ!~

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #上杉謙信

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●関ケ原・上杉軍本陣陣幕
「幕府軍との決戦より前に、居所を暴かれるとはな。グリモアの予知は躱せたと思っていたが、流石は信玄を【Q】で阻んだ者達だ」
 素直に賞賛の言葉を呟く男。だが涼やかな表情で、冷静かつ冷徹な思考を浮かべるその男こそ、毘沙門天の化身と謳われる、軍神『上杉謙信』だ。
「……信長達はグリモアを知らぬ。安倍晴明でさえ【Q】は知らぬ。彼らは、私が食い止めるのが最良だろう」
 そう言って、自分の麾下である上杉軍に号令を発する。関ケ原に進軍してくる幕府軍をすり潰す為に。猟兵達を返り討ちにするために。軍神は今、動きだす。
「我が力、我が軍の力、それはすなわち『人軍一体』。車懸かりの陣にて、お相手致そう」
 上杉謙信が率いる軍はまるで一個の生命体のように、うねりを上げて幕府軍に迫ろうとしていた。

●グリモアベース・ブリーディングルーム
「皆、よく戦ってくれておるのー。今回は関ケ原にてあの上杉謙信を発見できたので、その報告じゃのー」
 エンパイアウォーも序盤が過ぎ、ついに関ケ原まで到達しようとしているところで強敵を発見し、その姿を電脳ウィンドウで映し出すグリモア猟兵・メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。
「この真っ白な大地が関ケ原になるけど、このままじゃと幕府軍の血で赤く染まりそうじゃけー、猟兵諸君には上杉謙信を叩いて欲しいんじゃのー」
 そう言って説明を始めるメイスン。上杉軍はオブビリオンの軍勢で、この軍勢が敵陣に突入し、まるで全軍が風車の如く回転しながら、最前線の兵士を目まぐるしく交代させるという、まさしく超攻撃的でありながら、防御や回復の機会も与える戦法である。これは上杉謙信の超越的な指揮能力あってのこそだが、厄介なのは上杉謙信自身の傷も回復させる隙を与えてしまうことである。つまり上杉謙信を完全攻略するには、上杉謙信と車懸かりの陣、両方を打倒する必要があるということだ。
「そして、今回皆が対応するのは、上杉謙信本人というわけじゃのー。魔軍将の一人、強敵なのは間違いないのー」
 軍勢の指揮をしている影響か、先にユーベルコードを撃ってくることはない。だが能力は特筆している。武器は12本の毘沙門刀で、各々の属性は「水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇」、さらに両手には「アンヘルブラック・ディアブロホワイト」というかつての銀河帝国幹部の名が入った刀も保有しており、その属性をフルに使った攻撃を仕掛けてくるということで、隙が少ない相手になっている。
「じゃけど、倒せん相手ではない。織田信長まで一直線に進むために、何としても倒して欲しいのー」
 そう気合が入っていない表情で呟きながら、転移を開始するメイスン。戦場では負け知らずを恐れられた上杉謙信。その軍神に敗北を突きつけるべく、猟兵達は戦いへと挑む。


ライラ.hack
 正直、女性説もあるらしい、衆道に染まった謙信公です。
 どうも、こんばんわ。ライラ.hackです。

 今回は織田軍魔軍将の一角、越後の軍神『上杉謙信』がご相手でございます。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●車懸かりの陣
 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。

●軍神『上杉謙信』
 今回は先制攻撃の能力はありません。思う存分自分の能力を叩きつけてください。
 ただし魔軍将の一角である上杉謙信は強敵には変わり有りませんので、ご注意ください。

 以上となります。それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『軍神『上杉謙信』』

POW   :    毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:色

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

備傘・剱
この手の知将に小細工は通用しないってのが世の常って奴だ
ならば、正々堂々、真正面からやり合うのみ

呪殺弾・衝撃波・誘導弾・生き人形の一足りないの攻撃は全部、謙信へのけん制、迎撃に充てる
防ぎきれない攻撃に対して、オーラ防御を致命傷になりえる所を重点に強く張り、それおも抜けてくる攻撃は武器で受け流す

ある程度、接近したら、衝撃波と呪殺弾は目くらましに使い、誘導弾を謙信の背後に回り込ませ、奇襲をかけさせる
相手がそれにかまわずバックステップでかわすようならば、自分と謙信をオーラ防御で包み込んで懐に飛び込み、黒魔弾発動、重い一撃を与える

こちとら、命がけで一撃入れる位の覚悟してきてる
その後は…どうなるだろうな?



●毘沙門天の化身は動じず
 関ケ原にて席巻している上杉軍。その超防御型攻撃陣形「車懸かりの陣」の猛威は幕府軍とて無事には済まない。軍団を指揮している上杉謙信は冷静に、かつ冷徹に采配を振るうのみである。だが毘沙門天の化身とて、予測ができるであろうか。自慢の配下が眼前にいるにも関わらず、自身の命を狙う刃が迫ろうとしていることに。
「この手の知将に小細工は通用しないってのが世の常って奴だ」
 そういって正々堂々と姿を現したのは、備傘・剱(絶路・f01759)。色黒の肌は軍神の威圧を感じ取っており、チリチリと焦げ付く感覚がする。だがそれも悪くないと不敵に笑う。
「ならば、正々堂々、真正面からやり合うのみ」
「先の利点を敢えて捨てるか。戦略的には失点、ではあるが戦う者としては悪くはない」
 覚悟を決めた劔はフォトンガンドレットから呪殺弾・誘導弾を発射、さらには衝撃波も放つ。そして僕でもある妖怪一足りないも放ち、攻撃回数の勝る上杉謙信への対抗策とする。
 それに対する上杉謙信の攻撃は苛烈を極める。呪殺弾は「光」の毘沙門刀により浄化され、誘導弾は「水」の毘沙門刀により流水が放たれ叩き落とされる。衝撃波も「土」の毘沙門刀が発生させた土壁により防ぎ、妖怪一足りないも「炎」の毘沙門刀によって燃やされる。
 そして残りの毘沙門刀が容赦なく劔へと殺到する。その容赦ない六刀に対して、劔は全神経を使って回避を試みる。最初の一刀を躱し、二刀を避け、三刀を武器で躱し、四刀をオーラで防御し避ける。そして五刀は肉を抉り、六刀が脇腹を抉るも、上杉謙信との距離を詰める。
「こちとら、命がけで一撃入れる位の覚悟してきてる!」
 その覚悟の行動が上杉謙信と今の劔の距離だった。再び呪殺弾と衝撃波を放つ劔。そしてそれを上杉謙信は同様の行動で阻む。だが振り向いた劔は誘導弾は弧を描くように、上杉謙信の背後を襲うように放っていた。だが背後に目があるかのように意志を持った水が誘導弾を叩き落とす。
 だがその防御の間に劔は上杉謙信の懐に飛び込む。そして最後の切札を放つ。それは能力「黒魔弾(ルイン)」。腕内の宇宙船外工作モジュールを過剰起動させ、破壊力を増幅させた漆黒の魔弾。上杉謙信と言えども、これを直撃を食らえばただでは済まないという一撃。
 それを上杉謙信は咄嗟に回り込ませた「土」の毘沙門刀で受ける。鈍くも重い音が響き渡る。漆黒の弾と土色の刀身が衝撃を与え続けた結果、もたらしたのは両者の破壊だった。黒魔弾がはじけ飛んだ後、「土」の毘沙門刀は粉砕され、跡形もなく消滅していく。
 自身の自慢の愛刀の消滅。その結果をもってしても上杉謙信の表情は崩れることはない。だが内心は敵への賞賛に溢れていた。
「我が毘沙門刀最硬を誇る一刀、『土』を砕くとは見事。故にその技に返礼しよう」
 そして切札を出しきった劔に対して放たれた容赦ない残り九刀の斬撃。そして両手に持ったアンヘルブラックとディアブロホワイトの剣技であった。あっという間に肉体を切り刻まれ、ボロ雑巾と化す劔。
「グハッ……!」
 かなりの手傷を負いながらも、致命傷は何とか避けた劔。そしてこれ以上の戦闘行為は不可能と判断し、離脱を開始する。それを追いはしない上杉謙信。彼の目的は侵入者の排除ではない。あくまで指揮官としての役目を尽くすのみである。
「猟兵、いや武人よ。また貴殿とはやりたいものだ」
 そう不敵に笑う上杉謙信に、深手を負いながらも劔は重苦しくも嗤う。それは戦いを経て得られた何かがなした感覚故だったのかもしれない。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シーザー・ゴールドマン
他の魔軍将と比べての毛並みが違った存在の様で興味深いね。
とは言え背景を饒舌に語るような者でもないだろう。
倒すしかあるまいね。

オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
オーラセイバーを剛柔自在の剣術で振るって戦闘。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)など
数合打ち合って力量、間合いを把握。
右手のオーラセイバーによる斬撃を囮に『バベルの消失』の籠った拳を打ち込む。

敵POWUC対策
謙信本人と宙を舞う毘沙門刀の動きを見切り、オーラ防御が砕かれる刹那の間を利用して回避あるいは受け流してカウンターに繋げる。
(空中戦『空間把握的な意味合』×見切り×第六感×オーラ防御×カウンター)



●毘沙門天の化身は冷徹であれ
 侵入者を退けた後、上杉軍の指揮を再開した上杉謙信。その姿勢はまさしく武将であり、軍神そのものであった。その姿を見て、ある意味惚れ惚れとした表情を浮かべるのは、ダンピールのシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)だ。
「他の魔軍将と比べての毛並みが違った存在の様で興味深いね」
 他の魔軍将とは違い、あくまで武将としての立ち位置を崩さない献身はシーザーとしては興味の対象であった。だが上杉謙信はその理由を語ることはないだろう。敵に対して向けられるは毘沙門刀のみである。
「とは言え背景を饒舌に語るような者でもないだろう。倒すしかあるまいね」
「優雅かつ、苛烈な戦気を持つ者よ。この毘沙門天の化身が相手となろう」
 オーラ防御のオドを活性化して戦闘態勢へ入るシーザー。そして一本減った毘沙門刀をシーザーに殺到させる上杉謙信。あくまでオーラ防御は万が一の為のもの、本命はオーラセイバーを振るっての打ち合いである。剛柔自在の剣術で、飛んでくる毘沙門刀に対抗する。
 属性を持った毘沙門刀に対して、オドの防御オーラで何とか凌ぐシーザー。もちろん9の斬撃が同時に襲い掛かってくる中でシーザーでも捌き切れない、躱しきれない部分もあることもあって、無傷ではいられない。だがダメージが蓄積していく中でも毘沙門刀の動きを見切り、力量、間合いを把握を徐々に把握していく。
「小手調べは終わりか?ならば来るがいい」
 そしてそれに応えるように上杉謙信の毘沙門刀がシーザーへと襲い掛かる。軌道を予め予測し、属性の力を想定した間合いを測って回避、超合理的な動きで超人的な斬撃を躱していくシーザー。そしてついにそのオーラセイバーが上杉謙信に届く間合いまで近づく。
「お気に召したかね、軍神?」
「ああ、素晴らしい動きだ」
 シーザーの渾身の力を込めた斬撃が上杉謙信の身体へと振り下ろされる。だが手に持ったアンヘルブラックの刀でそれを防ぐ。細腕にも関わらずシーザーの力を微動だにせず受けきる上杉謙信。そしてそのオーラセイバーをいなし、ディアブロホワイトで返しの一撃を放つ。
 しかしながらそれすらもシーザーの思惑だった。ディアブロホワイトの白刃をギリギリのところまで引きつけ、皮一枚のところで凌ぐ。そして込められた拳を解き放つ。能力「バベルの消失(デウス・イーラ)」の魔力を込められた一撃。超高速かつ大威力の一撃が上杉謙信の心臓に向かって放たれ、そして貫く。
 シーザーは確かなる手ごたえを感じた。しかし次の瞬間、上杉謙信にひびが入り崩れていく。何かがおかしい、と思ったシーザーは崩壊する欠片を見る。それは、氷であった。そして氷の上杉謙信が崩れた瞬間、氷気を纏う毘沙門刀が目の前に現れる。
 そのシーザーより距離の取った場所で、本物の上杉謙信が語りかける。
「毘沙門刀『氷』の奥の手、『身代わり氷像』。代償は消失であるが、今は手傷を負うわけにはいかぬ身でね」
 そして毘沙門刀「氷」は跡形もなく粉々になって消滅する。その自慢の愛刀を見送った上杉謙信の反撃が始まる。今度はシーザーに見切られた軌道を変化させ、より苛烈な斬撃が襲い掛かる。
「ふむ、これは不利のようだ」
 毘沙門刀を一本折ったことと、この程度の手傷で済んでいることを合理的に考えたシーザーは撤退を決断する。深追いは思わぬ反撃を生む。上杉謙信ともあろう人物から同じ手は通じるとは思ってもいない。それに猟兵は自分だけではない。それはこれから攻撃を仕掛ける仲間への信頼でもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・刀也
越後の龍、甲斐の虎と同等の大将。相手にとって不足なし!
俺は天武古砕流後継者!御剣刀也!!いざ尋常に勝負!!

連斬は第六感、見切り、残像で避ける、もしくは日本刀で弾くなどしながら距離を詰めて、捨て身の一撃に全てを込めて斬り捨てる
車懸かりは第六感で高速移動先を予測し、見切りと残像で回転する方向に身体を流し、受け止めるのではなく、流れに身を任せるようにして滑り込むように接近し、捨て身の一撃で斬り捨てる
天変地異は発動されたら制御も難しいので、自滅する可能性もあるが、そんな詰らないことはせず、自滅など待たず謙信を斬りに行く
「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。さぁ、越後の龍よ!真っ向勝負と行こうぜ!」



●毘沙門天の化身に迫る剛撃
 上杉謙信が率いる上杉軍が隊列する関ヶ原の地。その異様なる闘気に包まれた戦場の中で、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は燃え滾る戦気を昂ぶらせていた。相手は名高き越後の軍神、並ぶ事なき名将でもある上杉謙信なのだ。戦意が最高潮になるのも無理はないことである。
「越後の龍、甲斐の虎と同等の大将。相手にとって不足なし!俺は天武古砕流後継者!御剣刀也!」
 故に刀也も逃げも隠れもせずに堂々と名乗りを上げる。勝利の為を考えるならば、それは愚行とも言える行為。だがそれが戦士の流儀というべきか。上杉謙信もそれを理解しているのか、気持ちの良い闘気に応えるべく、強烈なる覇気を繰り出し、口を開く。
「魔軍将が一人、上杉軍総大将・上杉謙信である。御剣殿、来るがいい。我が毘沙門刀がお相手致そう」
 毘沙門刀が減ろうとも、上杉謙信の脅威は一向に衰える気配はない。甘く見積れる相手ではないことは重々承知の上、故に刀也は前へと出る。
「いざ尋常に勝負!」
 上杉謙信に近づく為に大地を蹴り、疾駆する。迎え撃つ上杉謙信は、浮遊する八刀を操作し、斬撃を繰り出す。対する刀也はその軌道をギリギリまで見極め、流れに身を任せて回避する。だが同時に飛んでくる斬撃を見切りのみで回避できるものではない。武器の日本刀で弾いたりもするが、属性の炎が体を焼き、水や風が体を引き裂く。そんな傷を負いながらも、致命傷は避け、上杉謙信に接近する。
「勇敢である。だがそう何度も近寄らせるほど、芸はないことはない」
 猛進する刀也を尻目に、上杉謙信は「樹」の毘沙門刀を地面に突き刺す。すると養分を得たのか、猛烈なスピードで樹木が地面から成長し大樹となる。枝葉が刀也に襲いかかり、その巨木は上杉謙信への壮絶な壁となる。
「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。さぁ、越後の龍よ!真っ向勝負と行こうぜ!」
 だが困難な壁こそ越え甲斐があると言わんばかりに、迫り来る枝を切り刻み、巨木を切断せんと刀を構える。放つは自身の渾身の一刀。
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!」
 刀也の奥の手「雲耀の太刀」が巨木に炸裂する。持てる力を切っ先に込めた一撃は巨大なる樹木を両断。そしてその中心部にある「樹」の毘沙門刀を破壊する。
「見事。だがこれで詰みだ」
 そして上杉謙信は「火」の毘沙門刀を振り下ろし、飛び散る木片に延焼させる。そして「風」の毘沙門刀を持って突風を巻き起こし、刀也に襲いかかる。これには流石の刀也も直撃を食らってしまう。
「ぐっ!」
 ここでかなりの手傷を負ってしまい、刀也に意識が飛びそうになる。だがそれでも踏ん張り、追撃の毘沙門刀の斬撃を凌ぐ。ここまでか、という判断が過ぎるがまだ戦い足りぬという考えも捨てきれない。だがかの軍神は刀也を見透かす。
「命を無駄にするな、御剣刀也。ここで死ぬにはまだふさわしくはない」
 敵にここまで言われては、もはや戦いを続けるのは無粋。そう思い、刀也は撤退を決意する。だが毘沙門刀を叩き折り、武威を示した。まだ自分は強くなれる、そう確信した手応えを感じながら、手傷で意識が飛ばないように気持ちを強く持つ刀也であった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ウィルバー・グリーズマン
凄い回転してこっちに向かって来ますね……
しかし12属性ですか、随分と欲張りですねぇ
弱点は特にないですし、何とかなるでしょう。多分

まずは『エアウォーク』で宙に浮いて【エアカウンター】発動です
迫る毘沙門刀を『タイムクリエイト』で低速化、近接[戦闘知識]で受け止めて、『マッドネスソーン』で粘着化した地面に投げて使用不可にしたり、『ミスチーフ』で盗み取ったりして防ぎます
防いだら上記の魔術を[全力魔法]で放って、上杉謙信に直接当てるとしましょう。盗み取った毘沙門刀を投げ返したり、低速化させた所を『シャドウプラン』で作り出した影の剣で攻め込みましょう

毘沙門刀は……僕には扱えそうにないですね。全部返しますよ



●毘沙門天の化身と魔術師
 徐々にではあるが上杉謙信の戦力を削っている猟兵達。だが休む暇を与えれば上杉謙信は車懸かりの陣を用いて回復行動へと出るだろう。油断はできるはずもない。
「しかし12属性ですか、随分と欲張りですねぇ。弱点は特にないですし、何とかなるでしょう。多分」
 そう上杉謙信の周りに浮かぶ毘沙門刀を見ながら、魔術師であるウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)は魔本『アルゴ・スタリオン』をめくりながら飄々とした態度を崩さない。その姿勢に上杉謙信はというと、涼やかな笑みすら浮かべている。
「何とかできる、そう口にしたか。面白い、では何とかしてみせよ」
 その言葉を挑戦と受け取った上杉謙信は毘沙門刀車懸かりを発動させる、浮遊する七刀と両手の毘沙門刀が回転を始め、対峙するウィルバーを切り刻まんと準備を始める。鋭意なる殺意に肌がチリつくものの、魔術師ウィルバーがやることは変わらない。
「凄い回転してこっちに向かって来ますね……しがない魔術師ですが、よろしくお願いしますよ、軍神」
 シルクハットを脱ぎ、一礼をすると、ページ『エアウォーク』の力にて空中へと浮く。そして能力「エアカウンター」を発動する。カウンターモードが発動し、上杉謙信の毘沙門刀の軌道を予想・回避せんと予備行動へと移る。
 「炎」と「光」の毘沙門刀が回転しながら猪突してくるのを、ページ『タイムクリエイト』の力で時間の流れを遅くして回避する。そして迫る「闇」と「薬」の毘沙門刀の軌道を読み、予め地面に貼り付けておいたページ『マッドネスソーン』を発動させ、粘着化させてその刃を絡めとらせ、一時行動不能としたりする。
「面白い奇術ではあるな。だがそれだけか?」
「いいえ、魔術師の本領はここからですよ」
 受ければまずそうな「風」と「毒」の毘沙門刀を避けつつ、ウィルバーが狙いを定めたのは「水」の毘沙門刀である。流れ切れる水に手が少し斬られたものの、近づいた時にページ『ミスチーフ』を貼り付ける。それは悪戯の魔術のページ。かつウィルバーは全力の魔術を注ぎ込んで、上杉謙信から支配権を一時的ではあるが強奪することに成功する。
「毘沙門刀は……僕には扱えそうにないですね。全部返しますよ」
 ウィルバーがこう言ったのも全力で制御しているにも関わらず、制御権の確保が難しいと察知したからだ。だが強奪に成功している今がチャンスでもある。回避した毘沙門刀が再び襲ってくる前にウィルバーは反撃に転ずる。時間の流れを遅くして、ページ『シャドウプラン』によって作られた影の剣による一斉斬撃を繰り出す。高速移動をしているとはいえ、時間自体を遅くしているので上杉謙信も完全に回避することはできず、アンヘルブラックを使って対抗する。
 そしてウィルバーは操作する「水」の毘沙門刀を上杉謙信の死角に回り込ませ、背後から攻撃しようとする。見えないところからの斬撃、しかも変幻自在の流水を伴った攻撃でもある。これで確実に攻撃が入る、と確信した次の瞬間、ウィルバーは驚愕の光景を目にする。
「自身の武器ならば、破壊できぬと?それは愚問、勝利に犠牲はつきものよ」
 ディアブロホワイトから繰り出された、まるで未来から発生したかの如き斬撃に「水」の毘沙門刀の刀身は打ち砕かれ、消滅する。一時的に奪われているとはいえ、自身の愛刀を葬ることができるとは、その行動はさすがに予想することはできなかった。
 そして上杉謙信が両刀を持って突進してくるのと、その背後から毘沙門刀が襲い掛かってくるビジョンが、「エアカウンター」によって予測できたことによって、ウィルバーは死地にいることを察知する。このままではまずい、と言わんばかりに時間の流れを遅くしている間に、危機を脱する。
「中々に達者なものよ。死地を脱するとは」
「やれやれ、軍神というのは厄介なものですねぇ」
 そう言いながら魔術師は退場する。少なくとも毘沙門刀を一本破壊したのだから、仕事は果たしたと言えるだろう。これ以上の深追いは彼にとってもリスクとなる。それは悪魔と呼ばれる側面が許さないと、囁いているのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユース・アルビトラートル
 卓越した指揮能力に隙のない12の刀……正直、ちょっと「興味」が湧いてしまうね、どんな存在なのかと。

 まず攻撃してこないのが指揮の関係なら、一発注意を引く真似をしたほうがいいね。アイテムの「木槌」なら、「とってもいい音」を出せるから、適当に叩いて注意を引こう。
 そうしたら、相手もこちらに対抗してくるはず。これを属性ごとに考えると不毛だから、「相手がこちらに攻撃を与えた」という抽象的な事実から反撃の礎を組み立てよう。そうすれば、例えばボクに1cmの切り傷を与えたなら、6cmの切り傷を返せるように、体格に応じた同害を以てユーベルコードが使える。

 ボクの知識、勇気に覚悟……軍神に通用するかどうか。



●毘沙門天の化身に挑む覚悟
 攻め手を緩めることのない猟兵。その手を変えた攻撃にさの軍神も楽な相手と言えるものは一人もいない。退けているとはいえ、毘沙門刀を犠牲にしているのだから。そして浮遊する毘沙門刀を携え君臨する上杉謙信に挑む猟兵が、また一人。
「卓越した指揮能力に隙のない12の刀……正直、ちょっと『興味』が湧いてしまうね、どんな存在なのかと」
 その完全無欠の毘沙門刀が減りつつも、隙が見えない軍神。卓越した指揮能力を発揮して、いつでも上杉軍をもって車懸かりの陣を発動してもおかしくない状況である。その姿にフェアリーの裁判官であるユース・アルビトラートル(見据えるもの・f03058)は感嘆していた。
「戦場において、生半可な好奇心は死に直結するぞ、妖精よ」
 軍神・上杉謙信の視線がユースへと突き刺さる。冷徹で氷のような冷たい瞳。だが法の番人であるユースはそれで怯むことはない。そして上杉謙信の注意をさらに引くために木槌を振り上げる。
「その指揮能力は厄介だから、一発注意を引く真似をしたほうがいいね」
 まさしく裁判の結審を告げる大きな音が響き渡る。これだけの大音量を聞かされては、上杉謙信も指揮を中断せざるを得ない。完全に注意は引けたと認識すべきであろう。
「いいだろう、まずは邪魔を排除してから采配を続けるとしよう」
 小柄なフェアリーであるユースに対して上杉謙信が選択したのは、毘沙門刀天変地異。「炎」の属性とサイクロンを合わせた炎の嵐と「風」の属性と津波を合わせた風津波の合わせ技である。この二つの暴威に対して、まともに受ければユースでもただでは済まない。
「……属性ごとに考えると不毛だから、『相手がこちらに攻撃を与えた』という抽象的な事実から反撃の礎を組み立てよう」
 そう呟き、ユースは能力「同害刑」を発動させる。この能力は一種の呪い、共有の一種と言えるべき代物だろう。炎の嵐に飲み込まれ、ユースが皮膚が焼ける。風の津波み揉まれ、身体を切り刻まれる。何も対抗していない、完全にやられている風に見えるが、上杉謙信自身はそうは思っていなかった。
「これは……」
 そう上杉謙信も、身体が火傷を負い、切り刻まれる傷を負っているのだから。例えばユースに1cmの切り傷を与えたなら、6cmの切り傷を返せるように、体格に応じた同害を以てユーベルコードが使えるというものだ。
 それを上杉謙信は今、身体でそれを味わっている。凶悪な自然災害に飲み込まれながら、意識が飛びそうになるのを奮い立たせ、能力を発動させる。
「……ボクの知識、勇気に覚悟……軍神に通用するかどうか」
 その覚悟に上杉謙信も感嘆する。自らの犠牲をも厭わぬ、その攻撃はまさしく賞賛に値するものだった。だからこそ、全力をもって返礼せねばならない。
「『薬』の毘沙門刀よ、我が傷を癒やすがよい」
 そして「薬」の毘沙門刀が上杉謙信の身体に触れる。そしてそこから見る見ると傷が癒されていく。だがすぐにユースが受けた傷が反映されていく。それを「薬」の毘沙門刀が治していく、といういたちごっこを繰り広げていく。
 それはユースの意識が喪失し、戦場外へと投げされていくまで続くことになった。だがユースは確認することはなかったが、決して無駄ではなかった。上杉謙信は癒しきれなかった傷を少なからず負うことになった。それは「薬」の毘沙門刀が力を失い、限界を超えたことに他ならなかった証明であった。
「我が愛刀をもってしても、か。見事、見事だ」
 軍神の賞賛はユースには届くことはなかったが、上杉謙信は口にすることをやめなかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

信楽・黒鴉
アドリブ・連携歓迎
UC【一刀伊勢村正其ノ身ニ祟ル殺人刀】を発動し、自身の思い描く最強の一刀にて、軍神操る十二の魔剣と相対する。
素早く距離を詰め、【先制攻撃】で【2回攻撃】を繰り出す。
謙信の攻撃は剣士の勘で【見切り】、【武器受け】で凌ぐ。
UCで作った刀が弱体化したら躊躇なく放棄、敵の攻撃に【カウンター】で割込み、その刀二振りを【盗み攻撃】にて奪取、即興の二刀流で斬りまくる。

越後の龍と斬り合えるたァ、猟兵稼業って奴は面白いもんです。
あのアンヘルブラック……以前パクって使いこなせなかった黒騎士の魔剣に似たもんを感じますね。
……今の僕なら、以前よりは使いこなせる気もします。
どれ、ひとつ試してみるかな!


チトセ・シロガネ
12本も刀を持つなんてなんというラグジュアリーな軍神ネ!
手数が多いのはなかなか厄介ヨ。

というわけで1本融通して手数を減らすネ。
光の刀なら扱いに慣れてるよ。

【第六感・見切り・残像】で飛びかかる刀は回避、または【オーラ防御】で最小限のダメージに抑えるよ。

1フレームが大切ネ、【早業】で光の刀が来るタイミングを見極め、
ヒメヅルストレートを構えて【武器落とし】で叩き落して
あとは【盗み攻撃・グラップル】で光の刀をキャプチャーネ!

ちょっとじゃじゃ馬な刀ネ。でもナイス業物ヨ。
【怪力・念動力】をフル動員させてUC【霹靂閃電】を発動!
しばらく飛びかかる刀を叩き落としてから【投擲】で軍神にお返しするネ!



●毘沙門天の化身と相反する力
「越後の龍と斬り合えるたァ、猟兵稼業って奴は面白いもんです」
「12本も刀を持つなんてなんというラグジュアリーな軍神ネ!手数が多いのはなかなか厄介ヨ」
 ついに手傷を負った軍神・上杉謙信。それにさらなる追い打ちを掛ける猟兵が二人。一人は不敵な笑みを浮かべる古流剣術使い、信楽・黒鴉(刀賊鴉・f14026)。そしてもう一人は白い肌を晒すバーチャルキャラクター、チトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)。
 二人の猟兵に対して上杉謙信が向けるのは興味でもなく、敵に対する冷徹な眼差しのみ。敵に対し、あくまで冷酷に振舞おうとするのはさすが毘沙門天の化身というべき存在か。
「じゃあチトセさん、頼みましたぜ」
「オッケーネ!そっちも頑張ってネ!」
 そう言うと黒鴉は能力「一刀伊勢村正其ノ身ニ祟ル殺人刀(カゴツルベ)」を発動させる。無敵さえも斬り裂く、自分の最強と信じる魔剣を創造し、その最強の一刀を持って毘沙門刀と対峙する。そしてチトセも二振りのフォースセイバーを構える。
「来るがいい、猟兵。毘沙門天の加護は破られはせぬ」
 そう言って六刀の毘沙門刀が乱舞し、目にも止まらない斬撃が始まる。まずは黒鴉が魔剣を持って、毘沙門刀に対峙する。さすが自身が最強と信じる魔剣である。打ち合いとなっても折れる気配すら感じさせない。死角となる箇所はチトセが見事なカバーリングを見せる。
 しかし六刀に減ったとはいえ、その斬撃は衰えるものではない。むしろ数が減ったことで精度が上がっているのではないという冴え渡りを見せる。このままではジリ貧になる、と言わんばかりだが二人に焦りはない。そして先に動いたのはチトセだった。
「軍神サン、一本融通させて貰うネ。1フレームが大切ネ!」
 チトセが狙いを定めたのは自身のフォースセイバーと似たような性質を持つと思われる「光」の毘沙門刀。その軌道を読み、目にも止まらない早業でヒメヅルストレートの撃ち落としを持ってその場に叩き落とす。そして次の瞬間、「光」の毘沙門刀の柄を握り取る。瞬間、反発するような力がチトセの腕を襲うが、チトセは笑う。
「ちょっとじゃじゃ馬な刀ネ。でもナイス業物ヨ」
 自身の怪力・念動力を総動員して「光」の毘沙門刀を抑え込む。そして発動するは「霹靂閃電(サンダークラップビート)」。掴めるものであるならば、チトセに御せぬものはない。ついに力づくで「光」の毘沙門刀を振り回し、襲い掛かる毘沙門刀を弾き飛ばす。
「まさか、膂力のみで我が毘沙門刀を抑え込むとは」
 さすがの上杉謙信もこれには驚きである。だがさらなる驚愕が軍神を襲う。チトセは黒い刀、つまり「闇」の毘沙門刀に狙いを定めていた。今自分が力で御している「光」の毘沙門刀と相反する属性、それが衝突すればどうなるか。
「ダンスの時間ネ!クローアーム、シュートヨ!」
 そして持てるすべての力をもって、「光」の毘沙門刀に投擲する。見事なスローイングは「闇」の毘沙門刀に一直線。そして衝突し、光と闇がはじけ飛ぶ。相反する力が全力で力を発揮した結果、両方の刀身は崩壊。粉々となり、塵となって消滅していった。
 その消滅の衝撃、出来た隙を黒鴉は決して逃がしはしなかった。あっという間に上杉謙信の懐に入り込み、魔剣をその身体に目掛けて振う。だが上杉謙信も負けてはいない。両手に握られたアンヘルブラックとディアブロホワイト、その両刀を持って応戦する。
 壮絶なる剣技の応酬。手数において勝る上杉謙信を、黒鴉は持前の直感と自身が信じる魔剣を持って防ぐ。攻撃に転ずることもあるが、絶技を発揮する上杉謙信によって防がれる。そして限界が訪れようとしたのは、上杉謙信でもなく、また黒鴉でもない。その魔剣であった。
(あのアンヘルブラック……以前パクって使いこなせなかった黒騎士の魔剣に似たもんを感じますね)
 弱体化して、限界を迎えようとしていた魔剣。その現状の中でも黒鴉は至って冷静であった。そしてかつての強敵との記憶が過ぎる。そしてある閃きが脳裏に走る。
(……今の僕なら、以前よりは使いこなせる気もします。どれ、ひとつ試してみるかな!)
 そして黒鴉は躊躇なく、自身の魔剣を投げ捨てる。勝機を捨てたか、と思い上杉謙信はアンヘルブラックを頭上へと振り下ろす。だが研ぎ澄まされた集中力が黒鴉の極限の真剣白刃取りを成功させる。そして取った刃を基点に、上杉謙信の持ち手に膝蹴りをし、刀を離させる。アンヘルブラックが回転し、黒鴉の手に入る。だが全力の拒絶、主の上杉謙信以外に操られまいとする毘沙門刀の意志を感じられた。
 故に黒鴉の技量を持って、猶予は一振りのみ。上杉謙信は返す刀で、ディアブロホワイトを振っている。それに合わせるようにアンヘルブラックを一閃。二刀は二人の達人の技を持って激突する。過去と未来、その属性が相反する時、二つの力は拮抗し、その先は破壊という結末を辿った。
 だが折れたアンヘルブラックを黒鴉はさらに振り抜いた。刀は折れても、意志は折れず。その信念を持って、上杉謙信の身体に一文字の傷が刻まれる。軍神の鮮血が飛び散る。冷徹な仮面を被った上杉謙信の顔に、苦悶の表情が刻まれる。
「僕もまだまだですね……」
「いやいや、十分ヨ!」
 上杉謙信がアンヘルブラック、ディアブロホワイトの両刀が消滅している隙を狙って黒鴉は前方へ逃走する。そしてそれを見事にサポートし毘沙門刀を抑え込んだのはチトセであった。上杉謙信を討ち取るまではいかなかったが十分な成果は刻んだ。あと一歩、上杉謙信を葬る為、猟兵達の詰めの一手に期待する二人であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リダン・ムグルエギ
【GOATia】
やだ、このイケメン…戦い方もスマート
キマフュの戦術、通じるかしら

アタシの葉巻等は毒煙を生むわ
離れた位置に置き散布するフェイントで薬の刃を誘い
改造済服で他刃を受け流しダッシュで接近し

「はい、笑ってー

彼とのツーショットを撮り
即離脱するわ

次に口コミ情報操作や流行操作を駆使し
加工した写真と噂を車懸かりの陣の配下にバラまくわ
軍神は遊んでるのに時間稼ぐってバカらしいよ、反逆しない?って

造反は本命じゃないわ
全ては迷彩
陣の不穏さを伝える伝令兵達を謙信の元へおびき寄せ…
その中に改造迷彩服を渡した暗殺者を紛れ込ませるための、ね

え、この作戦、写真の必要性が無い?
やーよ、イケメンとの写真撮りたかったの


クシナ・イリオム
【GOATia】
リダンの流行操作に便乗して謙信が猟兵と内通していたように見せかけてみる。
卑怯汚いは敗者の戯言。私は武士道とやらで食っていけないからね。

魔法罠即席設計で
「寛永三方ヶ原の戦いに挑むリダンの写真」と
偽の「信長による謙信粛清命令が書かれた書簡」
を大量にばらまき、謙信が信玄を葬ったように見せかけて陣営に混乱を招く。

理想は近くの部隊が造反して謙信に襲いかかること。
最低でも鎮火のために伝令とやり取りをする必要があると思うから
それらに紛れて【暗殺】を仕掛けるよ。

信玄と塩の話は私でも知ってる。
でも、戦力的に私らにそんな武士道じみた余裕はないよ。
…リダンのは必要経費みたいなものだから。



●毘沙門天の化身を超えてゆけ
 完全無欠と思われた軍神・上杉謙信。だがその身体には傷が刻まれ、12本もあった毘沙門刀はすでに3刀まで減らされている。だが凍るように感じさせる威圧感は決して衰えるものではない。最後の瞬間、その身が崩壊を迎えるまで油断はできるものではない。
「やだ、このイケメン…戦い方もスマート。キマフュの戦術、通じるかしら」
「でもやるしかない。卑怯汚いは敗者の戯言。私は武士道とやらで食っていけないからね」
 上杉謙信を遠巻きに見つめるのは、宇宙山羊族キマイラのリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)と彼女に従う暗殺フェアリー、クシナ・イリオム(元・イリオム教団9班第4暗殺妖精・f00920)。凛と佇む上杉謙信を一瞥し、まずはクシナが闇へと消えていく。
 そして肝心の上杉謙信の前にはリダン一人で対峙する。とても戦闘者には見えない風体。だが軍神と呼ばれた男は、戦場に立つ者に貴賤は全く考えない。敵であるならば、全力で屠るのみである。
「手傷を負い、愛刀は失えども、毘沙門天の化身はここにぞある。恐れなくば、我が命獲りにこい」
 そして「火」の毘沙門刀を手に持ち、残りの毘沙門刀を回転させる。毘沙門刀車懸かり、数が減ったとはいえ、上杉謙信の高速移動と合わされば脅威な技である。それに対してリダンは葉巻から毒煙を発生させる。純粋な身体能力では勝てない、ならば弄するは搦手である。
 それに対して上杉謙信は「毒」の毘沙門刀をもって毒を駆逐する毒を発生させる。「薬」の毘沙門刀があればもっとスマートにいけただろうが、先の戦いで失っている今、強引といえるやり口は仕方のないことである。そしてその間に「風」の毘沙門刀がリダンを襲う。だがリダンもただのデザイナーではない。改造済服が発する強烈な暗示、これによって上杉謙信の操作性を若干鈍らせ、それによって見事に回避。そして高速移動する上杉謙信にさらに近づくリダン。そして衝突が―――
「はい、笑ってー」
 始まらなかった。なんとリダンは咄嗟に上杉謙信との自撮りツーショット写真を撮影。さすがの上杉謙信も攻撃の意志のない行動にあっけを取られ、写真を取られてしまった。だがすぐに意識を取り戻すと「炎」の毘沙門刀をリダンに向けて放つ。だがリダンはすでに脱兎の体勢に入っており、かの刃が当たる前に上杉謙信の本陣から離脱を開始したのだった。そして他の毘沙門刀が追撃する間もなく、リダンの姿は見えなくなったのだった。
「……なんだったのだ、あれは」
 だが犠牲なく敵を撃退で来たのは僥倖であった。自身の傷も、失った毘沙門刀も「車懸かりの陣」によって時間を稼げればいずれ回復できる。そうなれば戦局はこちらに向くであろう。そう思い、上杉軍の指揮者としての仕事に戻ろうとする。
 しかし自分が統率する上杉軍の様子がおかしいことに気づく。何か動揺している様にも見えた。そしてその動揺はどんどん広がっていき、車懸かりの陣にも影響が出るかもしれないと思い始めた時だった。伝令の兵が駆け込んできて状況を伝えてくれた。
「謙信公と猟兵が内通しているとの誤報が伝わっております!」
「信長公が謙信公を処断しようとしている書簡が出回っております!」
「謙信様が信玄公を葬った噂も出回っております!」
 さすがに上杉謙信に絶対の忠誠を従っている故に造反はないが、確実に軍中で一部混乱していると伝令が報を聞き、上杉謙信はさきほどのリダンの行動の真意を悟る。
 そうさきほどの自撮りツーショット写真はリダンの策。リダンが加工した写真を能力「トレンドコンダクター・GOATia」によって増幅された流言飛語によって陣中に広める。猟兵と仲良くする主君に仕えるのは馬鹿らしい、叛逆しないかというメッセージを発信したのだ。
 さらに予めクシナが能力「暗殺技能・魔法罠即席設計」によって作成した「寛永三方ヶ原の戦いに挑むリダンの写真」と偽の「信長による謙信粛清命令が書かれた書簡」を大量にばらまき、謙信が信玄を葬ったように見せかけていたので、混乱に拍車をかけたのだ。
 だがこんなことはすぐに鎮静化できることだ。上杉謙信は絶対の存在。人軍一体は伊達ではないのだ。的確な指示を伝令に渡し、混乱の収拾に当たるように指示を出す。そしてようやく一段落できると思ったその時であった。心臓を貫く刃が、上杉謙信の身体から生えたのだ。
「な……に……」
 あまりに咄嗟のことで対応できなかった上杉謙信。そしてその背後には暗殺の刃を突きたてるクシナがいた。実はこの混乱もすべてはこの一撃の為。陣の不穏さを伝える伝令兵達を謙信の元へおびき寄せ、その中にリダン特製の改造迷彩服を渡した暗殺者を紛れ込ませるための、迷彩だったのだ。
「信玄と塩の話は私でも知ってる。でも、戦力的に私らにそんな武士道じみた余裕はないよ」
 故に暗殺という手段には躊躇もない。クシナはトドメと言わんばかりに刃を回転させて軍神の心臓をかき混ぜ、念入りに破壊する。そして壮大に吐血する上杉謙信。
「軍神と呼ばれた私が……戦場ではなく、暗殺で倒れるとは……面白い……運命、よ」
 そして最後の足掻きと言わんばかりに回転する毘沙門刀がクシナに襲い掛かる。だがこれを予期していたのか、傍に待機してたリダンが服飾師の糸を操って軌道を逸らす。そしてその隙にクシナは上杉謙信の傍を離れる。最後の攻撃も当てが外れ、微かに微笑んだ軍神はそのまま塵となって、骸の海へと還っていった。
 こうして軍神・上杉謙信は打倒された。しかし、まだ車懸かりの陣攻略なくして上杉謙信を完全に倒しきれるわけではない。それにまだ上杉謙信の力も残っているかもしれない。故に猟兵達の関ケ原合戦はさらなる激戦を帯びていくことになるだろう。

「ところでリダン、この作戦に写真の必要はなかったのでは?」
「やーよ、イケメンとの写真撮りたかったの♪」
 クシナの当然の疑問に、上杉謙信との写真を見て満面の笑みで返すリダンであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月13日


挿絵イラスト