エンパイアウォー⑱~智謀の軍神
古来より関ヶ原は交通の要所であり、サムライエンパイアにおいても変わりの無い。
中山道の宿場が存在し、東海道との合流地点も然程遠くない位置に存在している。
此度の戦争は江戸より島原を目指す故に、軍勢が避けて通る事は出来ない場所なのだ。
「皆さんの頑張りにより、関ヶ原にて待ち受ける上杉謙信の所在が判明致しました」
戸辺・鈴海(味覚を求める来訪者・f00008)は猟兵たちの活躍も讃えつつも、神妙な面持ちで依頼を告げる。
それだけ軍神と呼ばれる上杉謙信の力が強大だという事であろう。
「上杉軍は謙信が得意とする車懸かりの陣を、多数のオブリビオンを従えて布陣しています。車懸かり陣というのは謙信が居る本陣を中心に、円形に配置された部隊が回転する事によって絶えず攻めたてる事が出来る陣形ですね。例えるならば、常に出来立ての料理が提供され続ける様なモノでしょうか」
一瞬だけ顔が緩む鈴海であったが、直ぐに真剣な表情へと戻る。
「車懸かりの陣の利点の一つとして、自軍側は戦う面子を入れ替える事によりインターバルに休息を挟む事が出来る点があります。謙信は強大なオブリビオンですから、回復する暇を与えては攻略するのは不可能……つまりは車懸かりの陣を破った上で謙信も倒すという事が必要なのです」
これまでの相手で配下のオブリビオンを自らの手足同然に操る統率力のある存在が居たであろうか。
張り詰めた緊張感の中、鈴海は今回の依頼内容を説明し始めた。
「今回の依頼は車懸かりの陣を抜けたタイミングでの攻撃、つまりは本陣の上杉謙信との直接対決です。陣形突破は他の猟兵たちが試みますので、謙信を倒す事だけ考えて頂ければ問題御座いません」
つまりは謙信との対決する猛者を募集するという意味だと鈴海は補足する。
相手は強大なオブリビオンという事もあり、謙信との戦闘についても注意深く説明していく。
「謙信は車懸かりの陣を統率しておりますので、先制攻撃能力は持ち合わせておりません。しかし個としても非常に高い戦闘能力を持ち合わせているので、油断は一切許されないと思ってください。得物は12本にも及ぶ毘沙門刀で全てに属性が付与されており、相手の戦い方に合わせて巧みに活用してくるでしょう。因みに属性は左下から時計回りに氷・風・樹・土・水・光・火・薬・毒・闇、右手にアンヘルブラックで左手にディアブロホワイトとなってます」
やけに丁寧に図解しながら属性解説していく鈴海、これだけ沢山の属性があれば伝える事も大変だった。
刀の種類が豊富である点をある程度想定して戦わないと、苦戦は免れないであろう。
それを軍神と謂れた存在が扱うのだ、生半可な攻撃では太刀打ちするのは不可能である。
「これぞ正に皆さんの力の見せ所となるでしょう、軍神の智謀を超える猟兵の実力を見せつけてやってください」
猟兵たちに対して勢い良く拳を突き出す鈴海に対し、皆一様に力強い表情で応えるのであった。
銖梨
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
さてさて、今回は意味深な登場をした謙信公と戦って頂くシナリオです。
文武両道という言葉が実にお似合いな相手です、その辺を念頭に置くのが宜しいでしょう。
オープニングでも触れておりますが、謙信は先制攻撃を致しません。
それでも強大な相手となっておりますので、戦い方を考えて行動する様にしてください。
尚、陣を敷いている配下については「⑦軍神車懸かりの陣」のシナリオでのみ戦闘可能なのでご注意願います。
暑い夏が続いておりますが、皆さんの熱いプレイングをお待ちしておりますね。
第1章 ボス戦
『軍神『上杉謙信』』
|
POW : 毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
イラスト:色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月夜・玲
グリモアだけじゃなく【Q】についても知ってるなんて、博識だね。
それだけ厄介な敵って事かな?
相当な手練れみたいだし、なかなか楽しそうじゃん
さてと、それじゃあやろうか軍神
私だって、それなりの使い手の自負はあるよ!
●戦闘
《RE》Incarnationを抜剣して【神器複製】を使用し複製を48本精製
数には数で、対抗してあげようじゃない!
48本の複製を『念動力』でバラバラに複雑な軌道を取って攻撃させる!
いかに軍神といえ、この数を捌ききれるかな?
こっちだって速度には自信があるんだから!
放射してくる毘沙門刀は手持ちの剣で対応
『オーラ防御』で発生させたオーラの盾でまずガードしてから『武器受け』して受け流す!
本陣にて指揮を執っていた上杉謙信は、猟兵の接近を感じ取り立ち上がった。
毘沙門刀を手に取り戦闘態勢となった所に、月夜・玲(頂の探究者・f01605)の姿がある。
「君は随分と博識だね、私たちにとってはそれだけ厄介な敵という訳だけど」
「それは此方も同じ事、前以て私の居所を暴いてくるのだからな」
対峙するだけで分かる強敵の感覚を前に、玲は思わず口元を緩めてしまう。
「ほぅ、随分と余裕ではないか。私も舐められたものであるな」
「そういうのじゃないよ。さてと、それじゃあやろうか軍神」
はぐらかす様にする玲だが、内心では楽しみで仕方が無いのだ。
軍神と呼ばれるほどの相手である、戦いに対する気持ちは最高潮という訳だった。
「12本の毘沙門刀を操るっていうんなら、数には数で対抗してあげようじゃない!」
玲の謙信へ対する対抗策は単純明快なモノであった。
抜剣した《RE》Incarnationを神器複製の力を以って複製させる、その数は実に4倍の48本。
その全ての剣に念動力を用いて攻撃するというモノだ、相当な技量が必要な技であるのは間違いない。
「如何に軍神とはいえ、この数を捌ききれるかな?」
「笑止、この程度では私の速さには到底……むっ」
謙信の顔がほんの一瞬ではあるが歪む、僅かではあるが足を斬られていたのだ。
戦闘による高揚感がなせる業であるかは分からないが、玲は自らの技のキレがすごぶる調子が良いのが分かっていた。
念動力で動かしている全ての剣が、まるで別々の人間が握っているかの様に見える動きで操れている。
「思った以上にやるではないか、ならば此方も相応の対応を行わねばなるまい」
「私だって、それなりの使い手の自負はあるさ。負けてなんていられないよ!」
高速移動する謙信から放たれる風の毘沙門刀を、オーラ防御で効果を軽減させながら手持ちの剣で受け流す玲。
負けじと走る玲から放たれる念動力による斬撃を、回転する毘沙門刀を用いて次々と弾き飛ばす謙信。
戦いは熾烈な攻防により両者にダメージを与えていく、徐々に切り傷が増えていく中その瞬間は訪れる。
謙信が間髪入れずに放射した毘沙門刀が玲の身体を貫いた、その衝撃により思わず吹き飛ぶ玲。
「ぐっ、私に此処までの判断をさせるとは……」
しかしながらそれは止む無く選択した行動であったのだ、謙信の身体には実に6本の剣が刺さっている。
長期戦に対する懸念から早期の戦闘終了を決断したが、その代償はあまりにも深い。
急いで傷を癒すべく、玲が気が付く前に謙信はその場を離脱した。
一部始終を見ていない彼女ではあるが、残った血の量を見れば恐らくどうなったかは分かるであろう。
彼女は速さで負けたのではないのだと。
大成功
🔵🔵🔵
白澪・彩葉
越後の龍。毘沙門天の化身。
軍神、上杉謙信。敵にとって不足はありません。
貴方を討ち倒せなければその先に待つ信長を討つなど夢のまた夢。
この世界の人々を守るため、私たちは負ける訳にはいきません。
【WIZ】
属性と自然現象の組み合わせ。
強風の中に刀を忍ばせた台風のような怒涛の攻撃が予想できますね。
貴方が十二の刀を扱うのなら、私はそれ以上の数をもって立ち向かいましょう。
妖刀血桜をユーベルコードに使用。
無数の刃をもって軍神の刀を受け止めさせ、
強風に舞う桜に紛れるようにしながら無銘刀に呪詛をのせて攻撃を放って行きましょう。
生前の貴方は正義の士と聞いています。
ですが今の貴方に、かつての正義があると言えますか?
簡易な応急処置を身体に施した上杉謙信前に、白澪・彩葉(夢の終わり・f19166)が立ち塞がる。
「あなたが越後の龍、毘沙門天の化身ですね」
「如何にも、私の名は上杉謙信」
「軍神、上杉謙信。敵にとって不足はないでしょう」
この関ヶ原を抜けなければならない、此処で謙信を討ち倒さねば甚大な被害は避けられぬであろう。
更には信長を討つ事などは夢のまた夢なのだ、その事を彩葉は深く理解していた。
サムライエンパイアの世界を守り、世界の人々を守る為には負ける訳にはいかないのだ。
「貴方が十二の刀を扱うならば、私はそれ以上の数を以って立ち向かいましょう」
彩葉は自らの刀である妖刀血桜に舞い踊る桜華の如くを用いる事により、無数の幻影の桜が周囲に舞い始めた。
その間を縫っていくかの様にして進み、無銘刀による斬撃を仕掛けにかかるも謙信は難無く回避する。
「この時期に桜が見れるとは風情な事もあるものだ、しかし攻防一体の手であるのが分かっては意味が無い」
謙信は樹の毘沙門刀をかざして、その効果を発動させる。
周囲の草や根が著しく急成長して伸びる事により、見えるモノも見えぬモノも絡み付いて無力化された。
「なっ、そんな強引な手を……」
自然現象を攻撃に乗せる事を想定していたのもあってか、彩葉の反応が一歩遅れてしまったのだ。
草が育って悪くなった視界が急に開けた時、そこには謙信の姿が見えた。
しかしそれと共に彩葉の意識は遠くなる、どうやら致命傷を受けてしまったのであろう。
彼が何を考え思って戦っているかは分からない、かつて正義の士と称えられた者の背中が遠ざかっていく。
彩葉は謙信に語りかける事も叶わず、そのまま意識を手放すのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
神薙・焔
いろいろな属性を持った刀、でも当たらなければどうということはないわ。
むしろ大事なのは属性に合わせた刀の動きの性質に合わせた対処、光ならまっすぐ高速で、毒や闇なら属性を振りまいて来る。
こちらを狙ってくる高速弾は小さく動いて、軌道を変える誘導弾は大きくかわす、派手なバラ撒きや回転は惑わされそうになるけど基本的には動かなければ当たらない、よく見て向かって来るものだけを避ける。追い詰められる前にリスクを取って大きく切り返すのも重要ね。
そして、追い詰められそうなら被弾前にBOM!【殲剣執行】コレ大事。
要するに弾幕系シューティングゲームの応用よ、軍神さんは何やら物知りのようだけど、ゲームは知らないかしら?
「この動き、出方を探っているのとはまた違う様だが……」
ガトリング弾を毘沙門刀で薙ぎ払う上杉謙信は、相手をしている猟兵の行動にどことない違和感を覚える。
彼女は主武装であろうガトリングガンを放ってきてはいるが、攻撃から意図を感じ取れないのだ。
変わっているとすれば戦い始めてからほとんど立ち位置を変えていないところだが、視界の開けた場所であり別に気になる程度ではない。
だとすれば攻撃を誘っていると考えるしかないが、自ら窮地を作る必要はあるのかが甚だ疑問であった。
「それを望むのであればまぁ良かろう、全力でお相手する事に変わりは無いからな」
攻めに転じるべく毘沙門刀の力を解放しようとする謙信、実質的な戦いの火蓋は今改めて着られるのだった。
「やっと動く気になったのね、待ってたわよ」
神薙・焔(ガトリングガンスリンガー・f01122)は謙信が毘沙門刀の放射体勢に入った事に気付き集中力を高めていく。
12本の毘沙門刀による放射は属性毎に特性が異なるであろうと考えた焔は、一旦攻撃を止めて謙信が用いる属性に注力した。
彼がまず選んだのは氷の毘沙門刀、細かな氷のつぶてが濃密な弾の雨となって襲う。
焔はその場から動く様子がない様に見えたが、軽くステップを踏んで僅かに跳ねるだけの動きで僅かな隙間を縫っていた。
効果が薄いと感じた謙信は火の毘沙門刀に持ち替えて放射する、炎の道筋が滑らかな軌道で焔へと進んでいく。
すると今度は一気にダッシュをする焔、追いかける炎は勢いを減らしていき霧散する。
「属性毎に特徴のある強力な放射だけど、当たらなければどうということはないわ」
「ほぉ、ならば私も当てなければなるまい」
光の毘沙門刀を手に取った謙信は、焔の周りを高速移動しながら放射を行っていく。
直線的な光を左右に身体を動かしながら避けていく焔だが、動ける範囲が非常に限定されている。
走り出そうものなら撃ち抜くと言わんばかりの光の雨が多方向から放たれていくのだ。
そしてその光は徐々に焔が動ける範囲を狭めていく、超人的な攻めによりまるでひかりに包まれるかの様にも見える。
最早被弾は免れないであろう絶体絶命のピンチ、逃げ場は無く完全に捕捉され誰もが諦めがつく様な瞬間。
――しかし。
そんなタイミングであるにも関わらず、焔の口元はにやりと動いたのだ。
彼女の心臓部から高熱の焔が火柱となり巻き上がる、これは放射による爆発ではない。
「なにっ、まさかこんな狙いをっ」
強力な焔は周囲を焼き払う、高熱と衝撃波が防御を取ろうとする謙信を弾き飛ばす。
更に追撃するかの様に飛んでくる火が謙信を幾度も貫いていく、かなりの有効打を与えただろう。
高速移動をしてた相手に対し全方位攻撃は有効だ、それもタイミングまで計算していたのだある。
思わず地に膝をつく謙信に対して、焔は自信たっぷりな眼差しで言い放つ。
「……要するに弾幕系シューティングゲームの応用よ。軍神さんは何やら物知りの様だけど、ゲームは知らないかしら?」
成功
🔵🔵🔴
上泉・祢々
さて、相手は12本の刀対するこちらは四肢のみ
となれば差を埋めるのは技の冴えですか
これまでの鍛錬を試すとしましょう
両手の刀は腕の動きを注視すれば動きは読めます
となれば注意すべきは浮かぶ刀の方
燃えたり凍ったりしていますし極力振れない方向で
動きを見切り緩急をつけた歩法を駆使して回避に専念
避けきれない物は仕方ないので拳以外で受けます
多少の傷は必要経費、まずは動きを見切ります
両手の刀は振りに合わせて刀身の腹目掛けて手足を使って攻撃を逸らす
こういう使い方はしたくないですが仕方ないですね
動きを見切った宙に舞う刀を誘導し殴り飛ばし蹴り飛ばし隙を作ります
できた隙に身体を滑り込ませその偉そうな顎を蹴りあげます
上泉・祢々(百の華を舞い散らす乙女・f17603)は毘沙門刀を構える謙信を前に深呼吸した。
相手は12本の刀を操るのに対して、自らの武器は己の四肢のみ。
その優位を埋める為には相当な技量を要する、しかし祢々の戦意は衰えない。
「これまでの鍛錬の成果を試すとしましょう」
「武器を持たずかかってくるか、だが手加減はしないのが礼儀。全力を以ってお相手致そう」
上杉謙信は二本の毘沙門刀を握り、祢々へと対峙してきた。
まずは手元の剣から鋭くも綺麗な軌道の剣筋が祢々を襲う、それを完全に見切り回避する。
そして間髪無く浮かぶ毘沙門刀の内の一つ、土の毘沙門刀の力強い一撃が襲う。
全てを回避するのは難しいと悟っていた祢々は、太ももに浅い切り傷を作りつつも弾き飛ばす。
避けてばかりでは形勢は不利になる一方である事から、祢々は両手の毘沙門刀の刀身の腹側を幾度も狙い謙信の手数を最小限にとどめた。
剣と拳による組手といえば妙であるが、まるで修行の一環でもあるかの様な光景が広がっている。
「こういう使い方はしたくないですが仕方ないですね」
身体に傷を作りながらも毘沙門刀の軌道を徐々に見極めていった祢々は勝負手に出た。
周りに浮かぶ毘沙門刀の内の8本を一瞬の内に、その拳と脚で弾き飛ばしたのだ。
毘沙門刀の隊列に乱れが出るのを祢々は見逃さない、謙信の懐まで肉薄してその顎を一気に蹴り上げる。
「ぐっ……」
「ふんっ、その偉そうな頭をふ……っ」
しかし祢々も残った毘沙門刀の斬撃を浴びる、痛み分けといったところだろうか。
成功
🔵🔵🔴
月鴉・湊
まさか軍神と殺る羽目になるとはね。
正々堂々、いざ尋常に勝負させてもらおうかね。
そちらが12本の刀を使うならこちらもその数を用意させて貰うよ。
UCを使用し分身したかのように見せかけ、12人の幻を出現させる。
本物は透明化し、軍神の隙を伺う。
まあ、軍神程の使い手だ。
直ぐに見破られるだろう。しかし相手は俺の獲物が刀だと思っているはず。そこで離れた距離から血の糸で刀と奴を絡めとり、軌道の読めない銃弾を撃ち込む。
悪いな。これが俺の正々堂々なんだ。
「いやはや、まさか軍神と殺る羽目になるとはね」
頭に片手を当てながら飄々とした反応を見せる月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)、まるで道端で有名人に出会ったかの様なノリである。
名が広く知れ渡っている相手の中でも、強者であると判断するには十分過ぎる知名度であるのは確かだ。
「ふむ、次は妖刀使いか……」
「正々堂々、いざ尋常に勝負させてもらおうかね」
上杉謙信が毘沙門刀を構える、それに呼応するかの様にして湊も妖刀「影楔」の切っ先を向けた。
「その数の刀を相手するなら、此方も相応の攻め手を用意させてもらうよ」
湊の姿が歪んだかと思うと、毘沙門刀の数と同じだけの分身が現れる。
これで刀の数も対等となる上に、手数は上回れるという状況となったであろう。
分身の内の二人が謙信に斬りかかるも、その剣筋は空を斬る。
「数を増やしたとしても、その程度の業では私を捉える事は出来まい」
高速移動により中々連携が出来ないでいる分身たちを翻弄していく謙信。
光の毘沙門刀による放射が謙信に迫っていた分身を至近距離から貫き霧散させる。
畳みかけてこないところを見て、謙信は湊が持久戦で仕掛けてくると読んだ。
分身を破壊してもダメージは無いとなれば、なるべく時間を稼いでくるのではないかという判断である。
ならば術を打ち破るのを急ぐべきであるのは必然、謙信は一気に分身たちへと詰め寄った。
そしてアンヘルブラックとディアブロホワイトの力を一気に放射させて、周囲の分身を纏めて薙ぎ払う。
本物と偽物の区別があろうと一網打尽にすれば無関係だと、圧倒的な力を以って示したのだ。
「小細工は通用せん、一気に畳みかけさせてもらう」
「残念、そのタイミングを待ってたよ」
「な、なにっ」
謙信の身体が血の糸にて拘束されている、その先にはほくそ笑む湊の姿があった。
これこそが湊の狙いであった、己の戦闘スタイルを刀を得物としていると読み違えさせる事が肝だったのだ。
刀での攻撃範囲に相手を集中させる事により、相手に隙が出来るタイミングを遠方から見計らっていたのである。
「悪いな、これが俺の正々堂々なんだ」
黒厳炉「宵月」から軌道の読めぬ銃弾が放たれ謙信を貫く、その姿が見えなくなりその場には血濡れた地面が残った。
かなりの有効打を与える事に成功してであろう、それは精神的にも大きなダメージではないだろうか。
大成功
🔵🔵🔵
秋山・軍犬
理知的な謙信さん
お宅の富子さんのメンタルケアお願いします
貴方ならできる!(迫真)
戦闘前に飯食ってフルコースゴールデンからの
黄金の厨房発動
調理とは食材を調和させること
謙信の12属性は全て調理によって調和する
故に、防ぐ避けるではなく
黄金の厨房による音速の調理(料理+見切り+早業)
で使い捌き属性の調和を試みる
火・水・氷>基本、料理に使う
薬>薬膳 毒>河豚の卵〇の糠漬け!
土・樹>大地の恵みって素敵、あと叫花鶏
光・闇・風>干物作成、漬物を暗所で寝かせるよ
過去・未来>つまり時間経過、タレを熟成出来るよ!
上手くいけば、12属性全てがお互いを引き立て高めあう
対謙信用フルコースの出来上がり!(料理+属性攻撃)
激闘が続く関ヶ原の地にて、これ以上にないのどかな光景が展開されている。
「理知的な謙信さんなればこそっす」
「いや、アレは私の手にも負えぬ」
「いやいや、そこをどうにか。貴方なら出来る!」
「誰が好き好んで、アレと積極的に関わらねばならぬか」
秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)は戦いの前に腹ごしらえを行っていた。
本日の戦場飯は牛カツ重の様だ、肉厚なヒレ肉のカツが実にジューシーに仕上がっている。
しかし上杉謙信は食事の邪魔をする事もなく、隣で茶をすすりながら沢庵を食べて話に付き合っているではないか。
それでいて食事中の話題は、日野さん家の富子さんの頭がどうにかならないかという内容だ。
互いに冗談やお世辞なのか本音なのか分からないラインで話を続けている。
これから戦いを行おうとする同士には到底考えられない時間を過ごしているが、それも軍犬の食事が終わるまでだ。
ご馳走様の挨拶と共に、二人の戦いの火蓋も点火される事となった。
「最大火力でお相手させてもらいます、……フルコースゴールデン・オーラキッチン!」
軍犬の周辺の空間が歪み、野外スタジオかと錯覚する様な厨房が構成されていく。
腹ごしらえもバッチリと行った軍犬の身体は黄金のオーラに包まれており、厨房全体が神秘的ともいえる様な空間へと昇華しているではないか。
「謙信さん。あんたの攻撃、調理させてもらうっす」
「面白い事を言う者だな。お相手させて頂こう」
取り出した包丁を研いで臨戦態勢を整える軍犬に対し、謙信は毘沙門刀を構える。
選ぶは土の毘沙門刀、関ヶ原に出張してきたキッチンを土に還すと言わんばかりである。
謙信による一閃が軍犬の厨房を切り裂いた、しかし当人もキッチン用具も傷付いた様子は無い。
「毘沙門刀の力を捌くか、大した料理人であるな」
「褒めても料理はお安くしないっすよ」
口元にほんの僅かに笑みを浮かべる二人、そして此処から攻防は加速していく。
手数を重視して代わる代わる属性を変えて攻撃を仕掛ける謙信だが、どの属性も調理の糧へと使用されてしまう。
捌いた属性を次々に料理していく軍犬が、まるで厨房に複数いるかの様に見えた。
強大な力はそれだけ効果的に活用出来れば強い、しかし扱いを待ちかえれば一瞬にして崩壊する危険も孕んでいる。
それを承知で全ての属性を受けきる軍犬、渾身のフルコースを完成させて謙信へと提供したのだ。
「料理を前にして足が止まるとは……」
どれも普通であればかなりの時間を要する一品ばかりではないか。
白米に汁物は勿論の事、鯵の干物に漬物が瞬時に出来上がっていた。
更には濃厚なソースがかけられた肉厚のローストビーフ、葉と土で包み焼きにした鶏料理も並んでいる。
中でも目を見張るのはひっそりと並んでいる魚の卵であった。
越後の国からは近い加賀の国にて見た事がある料理、記憶を辿る限り瞬時に提供出来る品物ではない。
恐る恐る箸をつけて一口、その刹那に謙信の顔は瞬く間に強張ったのだ。
「河豚の子糠漬け、謙信さんの力で毒抜きした特製の一品。ごゆるりとご賞味くださいな」
全属性が共鳴するフルコースによる攻撃は、確実に謙信の胃袋へと届いたであろう。
大成功
🔵🔵🔵
大神・零児
アンヘルブラックにディアブロホワイト、銀河帝国にいた過去と未来のアイツらか
激痛耐性・電撃耐性・毒耐性・狂気耐性・氷結耐性・呪詛耐性・火炎耐性で氷・火・薬・毒・闇・風に耐える
(風は空気中物質の摩擦を誘発しそれによる放電現象を発生させるため電撃耐性・激痛耐性、薬は毒にもなるため毒耐性、闇は狂気耐性・呪詛耐性、水は高圧噴射で刃物になるため激痛耐性と低温化では凍るため氷結耐性)
それ以外の属性にはUCによる敵の意識・思考への反応と戦闘知識・第六感・野生の勘による直観的反応で対処
マルチグレネードはナパーム、土を分解する化学薬品、光を遮断・吸収する霧を発生させる仕様にで使う
(メカニック・武器落とし・衝撃波)
(アンヘルブラックにディアブロホワイト、銀河帝国にいた過去と未来のアイツらか……)
大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は毘沙門刀の内の二振りに対して、過去の戦いで討ち果たした敵の名を冠している事に勘付く。
上杉謙信には他のオブリビオンと異なる何らかの違いがあるのやもしれないが、今から戦いを行う身では考察する為の時間的余裕は正直無い。
物事には偶然は存在しない、零児の懸念は当たらずとも遠からずといった所ではなかろうか。
「戦いを前にして何故難しい顔をしている、かかってこないのか」
「ふんっ、敵に言われる筋合いは持ち合わせていないな」
だが現時点では推測を確証へと導く要素を持ち合わせていない、直接問いただしても応えてはくれぬだろう。
零児はマルチグレネードを手に、徹底的に毘沙門刀の攻撃軽減を重視した。
己の耐性や知識を総動員させ、毘沙門刀からの放射によるダメージを最小限に抑えていく。
全属性に耐性がある訳ではない為、危険を察知すれば無双の意識から野性の感をフル活用して回避を行う。
グレネードもナパーム弾を用いて延焼効果があり、加えて化学分解が可能なチャフを発生させる特別仕様だ。
謙信は零児の動きを見ながら周りを移動しつつ、次々と属性を変えては放射を続けていた。
土煙が段々と視界を奪っていく激しい攻防であったが、暫くの後に戦況に変化が訪れる。
「……ぐっ」
先に膝を付いたのは零児であった、片脚に完全に力が入らなくなっており骨ごと靭帯を持っていかれたのだろう。
対して謙信には有効打をもらっている様子は無い、自傷効果による疲労が微かに見える程度だ。
攻防のバランスが明らかに守りに寄っていたのだが、攻めに転じるタイミングもなく押し切られてしまったのである。
謙信の攻めは苛烈であったのは認めざるを得ない、肩を大きく上下さえながら近付くその姿を睨め付けるしかない。
そして横薙ぎの一閃と共に腹へと激痛が走り、零児の意識はそこで無くなった。
苦戦
🔵🔴🔴
グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ共闘歓迎】
さて、皆が必死になって搗いた餅を掻っ攫うようじゃが。上杉謙信、平らげさせてもらおうかの!
UCは攻性電脳妖精多重召喚。一体一体は大したものじゃないが速度が速く何より数が多い。『コインフリッパー』で防御も高く、当たれば電撃による【属性攻撃】と【マヒ攻撃】で泥沼が如く動きが鈍ってお陀仏じゃ。まぁ刀にはほとんど効かんじゃろうが、本体を討てれば問題ない。そしてわし自身は『ランドメイカー』から鋼材をばらまき即席の防御壁を作成、【拠点防御】しながら電脳妖精の【援護射撃】じゃ。
そして万一負けた場合に備え、手持ちの『ガジェットボールズ』を【トンネル掘り】で足元で自爆させ相打ちを狙っておく。
「さぁて、そろそろ佳境であろう。皆が必死になって搗いた餅を掻っ攫う様で悪いが……上杉謙信、平らげさせてもらおうかの!」
高らかに笑うはグルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)だ。
上杉謙信と対峙するだけで一気にファンタジー感全開の様相である。
しかし謙信はその自信と戦闘意欲に満ちた目に対し、全力で相手する構えであった。
戦いを前に風の音が聞こえてくる、そして一瞬の静寂と共に戦いは切って落とされたのである。
グルクトゥラは攻性電脳妖精多重召喚により、数千に及ぶ電脳妖精を召喚し謙信へと突撃させた。
対しての謙信は妖精の対処に追われる事となるが、毘沙門刀で剣舞を踊るかの様な動きで次々と妖精を凪いでいく。
電脳妖精はコインフリッパーで頑丈さを補っているのだが、謙信にとってはお構いなしの様子だ。
電撃による属性攻撃は樹の毘沙門刀を中心に扱って吸収させているのが見て取れる。
その間にグルクトゥラはランドメイカーから、多数の鋼材を実体化させて即席の防御壁を生成させた。
電脳妖精の攻撃を支援するのに、防御壁の間から援護射撃を幾度も仕掛けるも謙信のリズムを崩せずにいる。
「多数を捌くは私の得意とする所、数だけの攻めは通用しない」
いつしか電脳妖精が数えられる程までその数を減らしていた、無双宣言を2回行える圧倒的な力だ。
謙信はいつしか毘沙門刀を持ち替えていた、そしてその土の毘沙門刀を大きく振りかぶった。
その力は地面を潜る土竜の如き軌道を描いて、通り道の地面が隆起しながら進む。
狙いは言うまでも無くグルクトゥラであり、防壁の下をくぐり抜けた攻撃が付きささった。
「む、無念……じゃ」
ガジェットボールズで狙った自爆も、先程の一撃で地中が耕されており届かない。
軍神の強大な力を目の当たりしたグルクトゥラは、爆炎に包み込まれたのであった。
失敗
🔴🔴🔴
ユウキ・スズキ
「貴殿、かの軍神上杉謙信殿とお見受けする。貴殿の軍との戦は、指揮官として学ぶ物多き物でありました。さて……直接のご教示を乞うと致しましょうか」
相手が属性攻撃の連続で来るなら、最初から当たらなければ良い。
UC起動
見切り、情報収集、第六感、戦闘知識、視力、暗視、世界知識、学習力、地形利用に空中戦
最悪は激痛耐性と気合いで耐え、持ちうる技術の全てを総動員して回避しつつ、隙を見て銃撃による武器の無力化を狙う
「ですが、我々とて未来を生きる者。貴殿に牙を剥く御無礼をお許し頂きたいッ!!」
全ての武器の無力化、あるいは、相手が隙を見せるまで時間を稼ぎ、当てられると判断した段階で一斉発射による本体への攻撃に移る。
ユウキ・スズキ((元米国陸軍)少尉・f07020)は上杉謙信に対し、遠くまで通る筋の通った声で言い放つ。
「貴殿、かの軍神上杉謙信殿とお見受けする。貴殿の軍との戦は、指揮官として学ぶ物多き物でありました」
「我が軍の車懸かりの陣を抜けてきて私にも挑むか、中々に欲深き者だな」
「意地の悪い言い方はおやめください、直接のご教示を頂ければ非常に有難く」
「……良いだろう、授業の対価は決して安くは無いが」
双方の意思の合意が取れ互いに距離を取る、実戦による戦闘訓練が始まったのであった。
それは速さと速さのぶつかり合いであった、もしここに一般人がいたとしたら景色以外に何も見えぬであろう。
己の脚力と素早い刀の動きを見せる謙信、超人的は反射速度と経験から多次元軌道を見せるユウキ。
属性により異なる放射は初見では完全回避とまではいかない、徐々にユウキの身体には紅い染みが増えてゆく。
それでもユウキもただではやられない、適切な射撃タイミングを徐々に見極めていく事により幾つかの毘沙門刀を謙信の手から弾いている。
高速戦闘な上に障害物も無い場所であり、謙信も地面に刺さった毘沙門刀を回収する行動には出ていない。
先の口上からは考えられぬレベルで死力を尽くした決闘であるのは間違いない、己の限界を超えた戦いなのだ。
そしてその決着は訪れる、二人は奇しくも同時に足を止め最大出力の攻撃を放つ選択を選んだのだった。
「素晴らしい覚悟である、感服させられた」
「恐れ多きお言葉感謝奉る、此度は貴殿に牙を剥く御無礼をお許し頂きたい」
アンヘルブラックにディアブロホワイトによる同時放射は、ユウキの肩と腰を貫いていた。
一方のユウキが持ちうる全ての火器による一斉射撃も、謙信の全身に行き渡っている。
この経験がユウキの人生にどう影響するかは分からない、それは何時か分かる日がくるであろう。
どちらからともなくその場に崩れ落ちる、何処からか法螺貝の音が聞こえた気がした。
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
ナポレオンの幻想を纏い、彼の指揮した軍勢の幻想を召喚。
騎馬砲兵の機動力を活かし移動と鋭い砲撃を繰り返して波状攻撃をしかける空飛ぶ砲兵戦術。
急所となりうる一点へと向けて集中砲火を浴びせる大砲兵戦術。
そうして出来た綻びに向けて行う騎兵突撃。
そして、消耗した物資を即座に補給する輜重部隊。
各隊と戦術を緻密に連携させる彼の軍略をここに再現し、軍神『上杉謙信』を攻略するわよ。
ああ、そうそう『地球舐めるなファンタジー』バフの夢想で軍勢のファンタジー要素への抵抗力や対応力を強化しておくわ。
上杉謙信から少し離れた場所で、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)がゆっくりと歩を進めてゆく。
その不可思議な存在感からか警戒して毘沙門刀を構える謙信だが、アリスは特に意に介する様子は無い。
風の音が流れるのが聞こえてくる程の沈黙、ほんの刹那の間が引き延ばされていくかの様な感覚。
先に動いたのはアリスであった、彼女が言葉を紡ぐと自身が幻想に包まれると共に多数の軍勢が召喚される。
それはかつて西洋にて絶大な強さを誇った大陸軍であり、今もなおその知名度は高い存在だ。
「陣を敷いた軍隊を以って挑むか、中々に面白い事を考える者も居るものだな」
瞬時にして現れた軍勢に対して関心の声を上げる謙信、意外性が戦いに対する高揚感へと繋がっているのだろうか。
片や召喚された側の相手はたった一人の武士である、拍子抜けを通り越して困惑するのも致し方無い。
「んもぅ、堅物過ぎるわね。世界の為に戦う事は、自国の為に戦うのと同義だって教えてあげる」
彼の軍勢が強かった理由の一つに自国への忠誠心の高く士気が旺盛であった点がある。
その部分を補うのにアリスが用いたのは、地球舐めるなファンタジーの夢想であったのだ。
疑念や動揺は戦力低下に繋がってしまいがちである、そこで彼女なりの対策を講じてみたのだろう。
多少強引な方法でもあるが処方としては効果的であり、戦闘準備が粛々と進められている。
こうして関ヶ原の地にてナポレオン軍と上杉謙信の戦いが始まったのであった。
アリスが纏うは幻想であり、忠実に大陸軍を再現している訳ではない。
長所をしっかりと残しつつも、自己解釈による強化をしているちゃっかり者仕様だ。
「規律の取れた隊列、我が車懸かりの陣に引けを取らぬな。そして運んでいるのは大砲であろうか」
ナポレオンは元々砲兵士官であり、優れた砲兵技術を切欠に歴史の表舞台へと躍り出た自分である。
当時の戦争は火力の軸となる砲兵が大事な要素を担っており、アリスも理解した上で軍を指揮しているのだ。
「一切合切容赦しないわよ、今日のわたしはそういう気分だから」
軸となる固定式の大砲台に騎馬兵が引っ張る移動式の砲台、更に陣と共に運ばれる砲台による波状攻撃が襲いかかる。
砲弾が飛んでくる角度が目まぐるしく変わる為、謙信は防戦しながら攻めるタイミングを計るしかなかった。
アリスが敷いた陣形はあからさまな罠に見える箇所以外に綻びが見当たらない。
だが攻めあぐねていると旗色が悪い、多少は強引に突破しようと毘沙門刀の構えを変えた。
多少捌けなくとも火力重視で敵軍にダメージを負わせる選択に出るが、それこそ彼女の狙いに合致する。
「その分厚い陣を一気に叩き……ぐっ!?」
「部隊連携ってのは初めての経験かしら、こういう事も出来るのよ」
謙信は背後から吹き飛ばされた、後方にまで騎馬部隊が回り込んでおり突撃を食らったのである。
多数の指揮官を配置する事により緻密な連携が可能となり、攻撃から補給までが規律立った行動が可能となるのだ。
意図しないタイミングでの前進をする事となった謙信、せめて一矢を報わんとアリスへと目掛けて突進する。
しかしそれを阻むかの様に、砲台によるブドウ弾が至近距離で謙信へと炸裂した。
「偽りの軍隊に負けるとは……無念なり」
「愉しい経験だったでしょ、今度会える時があればもっと色々と教えてア・ゲ・ル💖」
異国の軍勢との戦いはこうして終焉を迎え、軍神は骸の海へと還っていった。
貴重な経験もオブリビオンにとっては恐らく無意味であろう。
それでもなおこの戦法を採って戦ったアリスは、何を考えるのであろうか。
大成功
🔵🔵🔵