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エンパイアウォー㉒~天麩羅・雪風

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 暮明を照らすは群青。
 殺戮を渇望せし贋作。
 振るえば氷雪。宿すは怨嗟。
 其れは只々、其の時を待ち続ける――。


「皆さん。風魔忍法隕石落としの件、お疲れ様でしたっ……!」
 猟兵達の前で、マリベル・ゴルド(ミレナリィドールの人形遣い・f03359)がぺこりと頭を下げる。
「隕石落としを迅速に阻止できたおかげで、徳川家の忍びである『服部忍軍』が風魔小太郎に仕える『風魔忍軍』の拠点を突き止めることに成功しました……!」
 これは大戦果ですよ、と、マリベルも思わず声色に力が入る。
 さて、敵陣の拠点を突き止めた服部忍軍はそこを襲撃しようとしている。
 が、ここで思わぬ問題が発生した。
「どうやら拠点の中には強力なオブリビオンが複数いるみたいなのです……」
 服部忍軍は風魔忍軍に勝てるよう準備をしているが、オブリビオンは完全なイレギュラー。このままでは服部側は壊滅必至である。絶対絶命。
「勿論負け戦にするわけにはいきません。なので、皆さんは服部忍軍に同行し、服部忍軍が風魔忍軍と戦っている間にオブリビオンたちを倒してほしいのですっ」
 猟兵達がオブリビオンを蹴散らすことができれば服部忍軍を含む此方の勝利は間違いない。マリベルはそう付け加えて説明を続けつつ、近場にあったホワイトボードにオブリビオンの特徴をせっせと書き始める。
「拠点にいるオブリビオンたちは、一般人を虐殺することを只々渇望する妖刀……それのヤドリガミ、が変化したものですね。なおのこと放ってはおけない存在です」
 どうやら模倣刀のようなのだが、決して鈍らではないだろう。「寒気」がするような妖気を纏っているため、それを利用した攻撃を放っている可能性がある。妖刀と銘打たれているだけあって「呪い」の類も使用してくる場合もあるだろう。ただ振り回してくるだけの鈍らではないので注意が必要だ。
「皆さんならきっと倒してくれるとボクは信じています。どうか、服部忍軍を救ってください。宜しくお願いします……!」
 そう締めの言葉を言った後に、マリベルは再び猟兵達に頭を下げた。


こてぽん
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 初めまして。新人マスターの「こてぽん」と申します。宜しくお願いします。
 服部忍軍は風魔忍軍に対しては対応できますが、オブリビオンを相手取ることはできません。彼奴らを討ち取れる猟兵の助力を服部忍軍は欲しております。
 服部忍軍の命運は猟兵の皆様にかかっているといっても過言ではありません。
 皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『模倣刀『偽村雨』』

POW   :    雹刃突
【呼び起こした寒気】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    怨呪流血斬
自身に【過去の被害者の怨念】をまとい、高速移動と【止血し難くなる呪い】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    氷輪布陣
【氷柱】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を凍らせて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:ボンプラム

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴木・志乃
昨夜(別人格)、下がってて
負の感情相手なら私(志乃)が出る

暮明這いずる群青の贋作
怨霊ヤドリガミか何かか、これは……
同士徳川家光の為にも……参る

UC発動
※全ての攻撃と防御に祈り、破魔、呪詛耐性を付与※

こちらは歌唱の衝撃波でどこに隠れようが全方位攻撃させてもらう
祈りと破魔の全力魔法を籠めて、その怨念と呪いをなぎ払おう

物理攻撃は第六感で予測し見切り、手持ちの光の鎖で武器受けした後早業念動力とロープワークでそのまま縛り上げる
絶対に逃がさん
なんならその武器は念動力で取り上げよう

必要に応じて周囲の器物を念動力で巻き上げ攻撃と防御に転用する

オーラ防御常時発動
呪詛耐性で呪いが弱まると良いんだけど……



 服部と風魔、両者の合戦の火蓋が切って落とされた。大きな屋敷内ではそこかしこで刃と刃がぶつかり合う音が鳴り響く。
 当然、奴らも動き出す。服部軍の一塊に迫りくる怨嗟の妖刀『偽村雨』。怨念が人の形となり、服部を死角から殺戮せんと天井裏からゆっくりと這いずっている。服部軍は風魔との戦いに夢中で、その独特な寒気に気付いていない。ただし、ただ一人を除いて、だが。
「そんなところに隠れても無駄だよ」
 天井の下から声が聞こえた時には時すでに遅し。歌唱による衝撃波……いわゆる『音のさざ波』が天井を突き破る。衝撃にたまらず、潜んでいた1体が落下してきた。
「――ァガ、ガ、ギ」
 怨念で構成されているが故に、破魔と呪詛耐性は非常によく効く。彼の全身および刀から焼け付くような匂いと煙が上がっているのがその証拠だろう。聞くもおぞましい怨嗟のうめき声をあげながら刀を手に持ち、起き上がろうと見上げる。
 目の前には、煌く光の鎖を宙に浮かばせこちらを見下ろしている1人の猟兵、鈴木・志乃(生命と意志の守護者達・f12101)。
 偽村雨は状況を理解したのか、すぐさま臨戦態勢をとろうと起き上がりざまに刀を振り上げようとする。だが、その切っ先はその場で立ち続ける彼女の寸でのところで止まった。
 光の鎖が彼女の目の前を通り、それが刀を防いだのだ。その煌きは妖刀ごときでは決して破ることは敵わず。
 偽村雨は青色の怨念を身に纏い、俊敏な動きで距離をとった。続けざまに刀から群青色の放射光を志乃めがけて乱射する。放射光のように見えるがそれは酷く禍々しい。呪いの類だろう。目にもとまらぬ速さで刀を振るって群青色の呪詛を放ち続けるが、その悉くが志乃の目の前で薙ぎ払われる。わずかに届きそうな攻撃ですら、未来予知と呼ぶにふさわしい『第六感』で読み、弾く。
 歌を紡ぎながら鎖を振るい続けるその姿は美しさと勇敢さが融合し、さながら戦場で舞い踊る戦天使の如く。
 さすがに分が悪いと判断したのか――それとも――彼からしたらひどく『眩しく美しい』姿に恐れおののいたか、偽村雨は思わず一歩足を退いて逃亡の態勢を取ろうとする……のだが――。
「絶対に逃がさん」
 返す刀で村雨の腕に絡みつくは無数たる輝き……その鎖である。鎖はそのまま刀の先まで巻き付き、完全に刀の動きを封じたところで――志乃はそのまま鎖を引っ張って引き寄せる。
 立て続けに四方から鎖が投射され、偽村雨の動きを完全に拘束したところで、志乃は周囲に落ちている刀や鋭い器物を念動力で宙に浮かした。
「その怨念と呪いをなぎ払おう」
 浮かべた切っ先の全てに光が宿った。それは彼女の強い願いに呼応して煌き輝く。
『その願い、きっと守ってね』
 そんな言霊が戦場に響いた瞬間、贋作の全身に『妖刀ではなくなった刀たち』が突き立ち、淀んだ怨念は宿した光によって一寸たりとも消滅したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

政木・朱鞠
模倣刀『偽村雨』達にも彼等なりの遺恨があるとは思うけど…混乱と血を求めるだけのために刃を振るうならば絶対に許すわけには行かないよね…。
未来を呪いで満たさせないために、戦禍をもたらした咎はしっかり償ってから骸の海に帰って貰うよ。

戦闘【SPD】
相手は多勢だけど一体一討で妖刀達に対応して行くよ。
ミスをすれば呪付きの斬撃を貰うリスクは有るけど『忍法・狐龍変化身』を使用して真の姿の足部分を再現して、仮初めだけど回避に特化した強化状態で迎え撃つよ。
獲物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】で防御を緩めて【傷口をえぐる】→【生命力吸収】で模倣刀『偽村雨』を絞め潰してダメージを狙うよ。

アドリブ連帯歓迎


草野・千秋
風魔忍軍の居場所、突き止められましたか
なんとしてでも服部忍軍の皆さんの代わりになり
風魔の魔の手からお守りしなければ
それもヒーローで猟兵の矜恃だ
この断罪戦士ダムナーティオー、いきますよ!
変身!
村正、かつては名刀を誇った様ですが
模倣刀など恐れる事はありません!


勇気をもってこの戦いに挑む
戦闘序盤は2回攻撃とスナイパーと範囲攻撃をメインに当てていく
UCも発動させ敵戦力を削っていく
敵体力がある程度削れたら前線に出て接近戦に挑む
怪力パンチキックをお見舞いしてやるぞ
敵の攻撃は第六感でかわして
避けられない場合武器受け、盾受けで耐える
仲間の皆さんが攻撃されそうならかばう



 服部、風魔の激突から数刻。『火遁』などといった忍術が使用されているにもかかわらず、屋敷に火の手が上がらないのは寒気を帯びた『奴ら』の仕業だ。
「ウ……ゥウ……」
 悲嘆の念がこもったうめき声をあげ、群れをなして戦場へと歩み続ける模倣刀『偽村雨』。
 しばらく前まではバラバラな行動が目立っていたのだが、先程の猟兵との戦いで危険を察知したのだろう――彼らなりに考えた結果である。
 その様子を、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)が上方から見下ろしていた。ちょうどこの辺りは3階まで吹き抜けの構造。最下層を歩いている偽村雨たちを狙撃するにはもってこいである。
「断罪戦士ダムナーティオー、いきますよ! 変身!」
 悪を駆逐する。その強い想いと共に装甲を纏った。『ordinis tabes』を構えて照準を敵群に合わせ、即座に引き金を引いた。
「畳み掛けます!」
 轟音、爆発、地を揺らすほどの衝撃。一射ごとにほぼ同時に放たれる二発の弾丸が偽村雨たちを穿ち、避けられたとしても着弾した瞬間の爆発――それによる面制圧で吹き飛ばされる。
 散り散りになり統制を失った彼らに襲いかかるは、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)。この時を待っていた。『一体一掃』ができる瞬間を。
「骸の海に帰って貰うよ――抑えし我が狐龍の力……制御拘束術第壱式にて……強制解放!」
 未来を呪いで満たさせないために、戦禍をもたらした咎はしっかり償ってから――足部分を強化状態にした彼女は韋駄天の如く。床を捲るほどの速度をもって孤立した偽村雨の一体に迫り、拷問具『荊野鎖』を繰り出す。 スパイク付きの鎖が見事に偽村雨の着用している防具の隙間に入り込み、そのまま締め潰していった。彼が内包する怨念……その瘴気が無害な生命力に変換され、鎖を伝って朱鞠に吸収されていく。
 枯れ果てた偽村雨の成れの果てを捨て、続けざまに鎖を次の個体に繰り出して一体一体を着実に倒していく。斬撃を稀に掠りはするものの、生命力吸収のおかげでダメージの蓄積はない。
 不意に、死角から偽村雨の別個体が怨念で加速した速度で朱鞠に切迫する。
「させませんよ!」
 刹那、偽村雨が横っ面を殴られ、紙のように吹き飛ばされて壁に激突。衝撃は収束せず――そのまま貫通して壁を何枚も破壊していく。狙撃を終えたダムナーティオーは既に近接戦闘に移行すべく戦場に降り立っていたのだ。振るった右拳が熱量で煙をあげている。
「助かったわ」
 朱鞠はダムナーティオーに微笑み、締め潰していた敵を投げ捨てて得物を構え直す。
ダムナーティオーも朱鞠に笑顔で応え、敵陣に向き直った。
「さて……お前たち、『悪』を駆逐する。1人残らず!」
「私を味見したい? やってみなさい。捉えられるものなら、ね」
 2人の偽村雨に対する宣告は、既に大打撃を受けている奴らからしたら『死刑宣告』に等しかった。数刻の後に、服部軍の一角で歓声があがったのは言うまでもない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リアナ・トラヴェリア
…よし、一気に片付けるよ!
いろんな攻撃はお守りで防いで一気に勝負をつけよう!

ドラゴニアン・チェインで偽村雨を捕まえて振り回して別の相手にぶつけちゃおう。そのまま怯んでいるうちに突き刺して攻撃!
剣を引き抜く時は刃をギザギザにしてダメージを増やすよ。

まだまだ私達には戦わなきゃいけないところがあるんだ、あなた達だけに構っていられない!
剣で打合う瞬間に、刃を鈍くして相手の刀を破壊するよ!
刀のヤドリガミなら弱点をむき出しにしているのと一緒だから!

氷の攻撃が来たのならエレメンタルブレイドに炎を纏わせて薙ぎ払うよ。
そのまま床に投げて相手の優位も打ち消しちゃう。

急いでるんだ、これで終わらせてもらうよ!


シエル・マリアージュ
「斬り合いがお望みなら、私とこの白花雪がお相手しましょう」
愛刀の白花雪を抜いて夢幻刀影で白花雪の影を実体化して手数を増やし破魔の属性を付与、周囲に殺気を放ち敵を誘う。
敵を侮っているわけではないので、戦闘中は暗殺の経験と第六感で不意打ちを警戒しながらオーラ防御で防御を高めておく。
敵が仕掛けてきたら、残像によるフェイントで敵を惑わしながら戦闘知識で数手先まで考えながら囲まれないように立ち回り、屋敷の中という地形を利用したり敵を盾にして数の不利を補いながら、2回攻撃や衝撃波による薙ぎ払いで複数の敵を相手取り、傷は生命力吸収で補いながら敵の攻撃を見切ってカウンターに繋げて積極的に攻撃を仕掛けていく。



 服部風魔合戦も佳境。猟兵たちのめざましい活躍により、『偽村雨』たちの刃が服部に届くことはほとんどなかった。このままだと服部の圧勝であろう。
 それを理解していないほど敵も馬鹿ではない。『偽村雨』と風魔が集合しだした。少しでも服部軍に被害を与えようと戦力を一点集中させる算段だろう。
 『偽村雨』を先頭と後方に二分して置き、服部軍の中枢部分へ突撃していく風魔軍の前に、リアナ・トラヴェリア(ドラゴニアンの黒騎士・f04463)が軽やかに降り立つ。
「……よし、一気に片付けるよ!」
 彼女が立ち塞がっても止まる気配をみせない敵軍。
 先頭をひた走る『偽村雨』にリアナは右手を突き出し、ドラゴンオーラを勢いよく放った。竜の顎を模したそれが『偽村雨』の1体に食らいつき、赤熱して爆発する。
 周囲を吹き飛ばすほどの爆風、その中心部にいた『顎に食らいつかれた偽村雨』が耐えられるはずもなく、妖刀を残して身体が崩壊する。
 続けざまにリアナがその妖刀にオーラの鎖を放ち、二者を繋ぎ合わせた。
「使わせてもらうよ!」
 そのまま鎖を振り回し、鎖つきの妖刀が敵陣を紅の花に染め上げる。それを止めようと迫りくる別の『偽村雨』にそのまま妖刀を投げつけた。
 驚いてそれを弾き返すのに刀を振り上げ、『一手』使ってしまったのが運の尽き。そのままリアナが懐に潜り込み、自身の持つ黒剣を突き刺す。
 剣をねじって力をこめるリアナ。すると黒剣に漆黒の棘のようなものが生える。ギザギザになった刃をそのまま蹴りつけながら引き抜き、敵陣に吹き飛ばしていく。
 背後から斬りつけようとする別の『偽村雨』に返す刀で振り向きざまに黒剣を振るい打ち合う。鋼と鋼のぶつかるような、硬質な音が響き渡り――妖刀がへし折れた。
 自由自在に形を変化できる黒剣は、このときは刃を『鈍く』している。いうなれば鈍器に近しい存在。衝撃に弱く刃こぼれを起こしやすい刀にとっては天敵に等しいだろう。
 聞くもおぞましい声をあげながら、前方にいた最後の『偽村雨』が寒気を呼び起こし刀に纏わせる。巨大な氷の刃となったそれを、リアナめがけて叩きつけんと大上段に振るった。
「急いでいるんだ! これで終わらせてもらうよ!」
 即座に黒剣からエレメンタルブレイドに得物を切り替え、それに炎を纏わせる。氷の刃にぶつけんと横に薙ぎ払った。
 竜の息吹の如き熱量……業火を帯びた剣は氷の刃を溶解させ打ち払い、粉砕する。そのまま剣を床に投げ、辺り一面を灼熱地獄へと変化させていった。
 それにより大きく戦線を退かざるを得ない風魔軍。だがこれに負けてしまうと自軍の敗北は必至。なんとかラインを引いて持ちこたえる算段なのだろう。
 だがこの戦線に存在する猟兵はリアナだけではない。
「……!?」
 『偽村雨』の1体の首が文字通り『吹き飛んだ』。その余波で白雪が辺りを舞う。
 倒れて消滅した首無しの『偽村雨』。その背後にはシエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)が立っていた。屋敷内の物陰に隠れて機を伺っていたのだ。
 叫び声をあげながら斬りかかる別の『偽村雨』に自身の得物である『白花雪』をかすらせ、刀筋をずらす。
「斬り合いがお望みなら、私とこの白花雪がお相手しましょう」
 大瀑布の如き殺気を叩きつけられた周囲の敵が、群がるようにシエルに迫りくる。
 待ってましたと言わんばかりに白花雪を振るい、白い吹雪のような衝撃波が周囲を薙ぎ払う。それにひるんだ隙に白花雪に『影』を纏わせる。
「影なるものよ。我に仕えよ」
 白花雪に『影』が重なる。そのまま近くにいた『偽村雨』にそれを振るうと、一拍遅れて『影』の刀も繰り出される。
 負けじと『偽村雨』も寒気を纏い、氷の短刀を幾つも作り出して対抗せんとする。
 だが氷の短刀は一撃で砕かれてしまうが、白花雪の影がこの状況で砕かれることはまずない。手数で勝負するにしてもいずれ限界はきてしまう。
 対抗する手段を間違えた『偽村雨』は瞬く間に切り刻まれ、霧散する。
 シエルは敵陣を斬りながら走り抜け、作られかけていた包囲網を素早く抜けていく。
 不意に風魔軍の1人を吹き飛ばし、繰り出される妖刀。風魔軍の雑兵を巻き込んだ一撃は、まさに窮鼠猫を嚙む、と言うにふさわしいだろう。
 常人ならば当たってしまう攻撃……だが、シエルは暗殺の経験による『知識』と第六感による『魔的な勘』で既に読み切っていた。
 突き出された妖刀に驚くことなく、冷静にオーラ防御で逸らして身体を捻り、回避する。さらにその刀筋に沿うようにシエルが『偽村雨』の懐に潜り込み、一閃。
 たたらを踏んで一歩退いた『偽村雨』の『さらに一歩先』まで潜り込み、白花雪を深くまで突き刺していく。
「それは残像ですよ」
 真上から『偽村雨』がシエルを斬りつけんと飛び降りざまに刀を振るうも、彼女の『残像を利用したフェイント』に見事に引っかかった。そのまま首を落とされ、白雪に散っていく。

 さて、そうこうしているうちに火の手が敵陣に深く入り込み、リアナとシエルの挟撃という形が成立していく。前方後方ともに逃げ場を失った風魔軍は撤退すら許されず文字通り『全滅』した。
 多少なりの雑兵の逃亡がもしかしたらあったかもしれないが、軍としての体裁は保てないだろう。
 猟兵たちの獅子奮迅の活躍により、この時を以て拠点にいた風魔軍は敗北し――服部軍が勝利することとなった。
 服部軍全員が――勝ち鬨をあげた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月13日


挿絵イラスト