エンパイアウォー㉖~余の桜吹雪が目に入らぬか!
●悪徳商人を捕まえろ
「皆様、大悪災『日野富子』による買い占め騒動への素早い対処、感謝いたします」
グリモアベースで、エルフ執事のグリモア猟兵、ヘルメス・トリスメギストスが恭しく一礼する。
日野富子の莫大な資産を用いた物資の買い占め。その謀略によって兵糧や武具などの戦に必須な品々の値段が高騰し、徳川軍は窮地に立たされたのであった。
だがそれも猟兵たちが徳川埋蔵金を回収することで速やかに解決することができた。
「日野富子は、各地の悪徳商人オブリビオンを手足として使い、物資の買い占めをおこなっていました。この悪徳商人のオブリビオンを放っておいては、今後も彼らの暗躍により様々な被害が出ると予想されます」
黒幕である日野富子を撃破したとしても、手下の悪徳商人が悪事を続けるのではサムライエンパイアに被害が出続けることであろう。
「今回は悪徳商人のひとり、悪徳廻船問屋の越後屋を捕縛することが目的となります。すでに奉行所の役人によって越後屋の悪行の数々は露見しております。あとはその悪事の証拠を突きつけて捕まえるだけなのですが……。困ったことに越後屋はオブリビオンを用心棒にしているようなのです」
越後屋自身には戦闘能力はないのだが、オブリビオンの用心棒がいるとなったら奉行所の役人の手には余る。
「そこで皆様には、この用心棒オブリビオンの排除をお願いしたく思います」
浪人や人斬りの風体をした用心棒たちの正体は、禍々しい妖刀や呪われた槍などの武具を操るオブリビオン。彼らを倒すのが猟兵たちの仕事だ。
「なお、この用心棒たちには、ひとつ弱点がございます。それは、格好いい台詞を言われると思わず怯んでしまうことです」
悪徳商人に雇われた用心棒の性だろうか。決め台詞を言われると、つい弱体化してしまうらしい。
「懐から取り出した天下自在符を見せつけてもいいですし、自分の正体を明かしてみせてもいいでしょう。それっぽいものであれば真偽はどうあれ、用心棒は信じ込んでしまい弱体化します」
これも用心棒ゆえか、口では『そんなものは偽物に決まっている』とか言いつつも、内心では『え、本物!?』と動揺してしまうようだ。
「格好いい『お約束』は、それらしければそれらしいほど効果が高いですので、ぜひ自由に考えてくださいませ」
そう言って一礼したヘルメスは猟兵たちの転送の準備を始めるのだった。
●大捕物
江戸の町に店を構える廻船問屋、越後屋。いま、数々の悪事を働いてきた悪徳商人である越後屋を捕らえるため、奉行所の役人たちがその屋敷に乗り込んでいた。
「越後屋、お前の数々の悪事の証拠はすでに出揃っている。おとなしく縛につけい!」
だが、役人たちに取り囲まれた越後屋は余裕の表情を崩さない。
「どうやら、この町での商売もここまでのようですね。こうなったら、ここは一度引き、再起を図るとしましょう。用心棒の先生方、役人の相手はお願いしますよ」
「どうれ」
越後屋の声とともに現れるのは、禍々しい武器を構えた用心棒オブリビオンたち。とてもではないが、一般人の役人が太刀打ちできる相手ではない。さしもの役人たちも浮足立つ。
だが、そこに現れるのは将軍より天下自在符を与えられた猟兵たちだ。
「ああ! あなた方は猟兵の方々! ご助力ありがとうございます。用心棒たちのお相手、どうかよろしくお願いします!」
高天原御雷
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
本シナリオは、⑤徳川埋蔵金探索行を短期間で制圧した事で発生したボーナスシナリオとなります。
オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
今回のシナリオは勧善懲悪な時代劇もののノリです。印籠を出したり、桜吹雪を見せたり、将軍様が暴れちゃったりするアレですね。
皆様もぜひ、『一度は言ってみたい決め台詞』的なものを言ってみて下さい。
格好良さ優先ですので、セリフの内容は嘘でも何でもOKです。どんなに矛盾がある設定でも、相手は悪い用心棒なので信じて弱体化してしまいます。
また、時代劇のノリなので、用心棒たちとの戦いも無双モードです。どんなふうにバッタバッタとなぎ倒すのか書いていただけると、それっぽいノリのリプレイをお返しできるかと思います。
高みの見物をしている越後屋には戦闘能力はありませんし、逃げないように役人が取り囲んでいますので、越後屋への対処は不要です。(自動的に捕縛されて骸の海に還ります)
なお、この越後屋はありとあらゆる悪事に手を染めています。役人からその証拠が提供されていますので、追求する罪には事欠かないでしょう。
こんな罪を犯しているに違いない、というノリで書いていただけば、何故か越後屋は言い逃れができませんので、色々と悪事を暴いてやって下さい。
越後屋の罪状を並べ立てた後、自分の正体を明かしたり決め台詞を言ったりして、用心棒と無双するというのが基本の流れになるかと思います。
それでは、皆様のプレイング、楽しみにしております。
第1章 集団戦
『兵器百般』
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POW : 騒霊カミヤドリ
【纏っている妖気の色が血のような赤】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ひとりでに動く武器
【念動力で浮遊すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【自身が持つ武器としての機能】で攻撃する。
WIZ : 武器の知恵
技能名「【武器攻撃】【武器受け】【戦闘知識】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:童夢
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
パティ・チャン
■心証
私もフォースナイト。人間サイズの武器や防具を(念力で)操る、似た技を持っていますし、得手も不得手も分かっています。
なれば、別のUCを使いましょう
■犯罪
大福帳の頁が飛んでいます!
証拠隠滅、でしょうか?
■戦闘
【世界知識、情報収集】で、自分の安全を保てる場所を探り、
(体躯が体躯だけに、潰されでもしたら致命的)
輝ける刀刃+【カウンター、2回攻撃、なぎ払い、属性攻撃、鎧砕き、衝撃波】を乗せて戦いましょう。
■決めぜりふ
【誘惑】乗せで
「安心しなさい!峰打ちです!」
(なお、使ってるのはイラストのとおり洋剣で、峰は無いので、ここを越後屋か、猟兵仲間に突っ込まれるかも知れませんね)
※アドリブ、連携共に歓迎
●正義の妖精騎士
「越後屋! あなたの悪事もここまでです!」
越後屋と用心棒たちの前に姿を現したのは、蒼く透き通る羽根に同色の髪と瞳をした一人の妖精。黒地の上着に赤いスカートとリボンが映える。騎士剣と盾を構えて空に浮かぶのは、フェアリーのパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)である。
「ほほう、これはこれは、なかなか可愛らしい猟兵殿ですなぁ」
身長が小さい妖精族であるパティを見た目で判断し、余裕の表情を浮かべる越後屋。
周囲の用心棒たちも、こんな小さな相手なら一捻りとニヤニヤ笑っている。
「それに……この私、越後屋が一体どんな悪事をしたというのですか? お役人様たちが暴力を振るおうとしてきましたので、この用心棒たちを呼び出しただけ。これはあくまで正当防衛でございます」
「そうだそうだ、越後屋様が悪事を働いているというなら証拠を出せ!」
あくまでシラを切ろうとする越後屋と、周囲で喚き立てる用心棒たち。
だが、もちろんパティは無策で飛び出してきたわけではない。
「悪事の証拠を出せと言いましたね? ならば、この大福帳の中身の説明をしてもらいましょう」
「ほう、私の店の大福帳ですか。見られて困るようなことは書かれていないと思いますがねぇ」
パティが取り出した帳簿を見せられても、越後屋の悪どい笑みは変わらない。
「それでしたら、この頁とこの頁の間で急に日付が飛んでいることの説明をしていただけますか?」
パティは役人に持たせた大福帳の頁をめくりながら指摘する。
「どうやら、頁が飛んでいるところで大きな入金があった様子……。ここで日野富子からの不正な資金援助があったのではありませんか?」
「ぐ、ぐぬっ……」
パティが大福帳の数カ所で似たような痕跡を指摘していくと、越後屋の顔色がどんどん真っ赤になっていく。
「明らかに悪事の証拠隠滅のため、大福帳に細工をしたとしか思えません。これが悪事の証拠です!」
ビシッと指を突きつけたパティに、越後屋は言葉を返すことができない。この沈黙こそ越後屋が自らの悪事を認めたことの動かぬ証拠であった。
「くっ、こ、こうなったら、用心棒の皆さん、あの猟兵を始末なさいっ!」
「へ、へいっ!」
開き直った越後屋が用心棒たちに指示を出す。妖刀を構える用心棒たちであるが、越後屋の悪事が暴かれた今、その力は大幅にダウンしているのであった。
用心棒たちが持つ妖刀の刀身の色が血のような赤に変じていく。それは、用心棒たちの理性を奪う代わりに超攻撃力と超耐久力を与える禍々しい呪われた力。
対するパティは手に持った理力の光を宿す細剣で、用心棒たちの妖刀に立ち向かっていく。
「そこです! 私の剣から逃れられるとは、思わないで!」
【輝ける刀刃】――それはパティの精神力を力に変え、ありとあらゆるものを両断する秘技。小柄な身体で飛び回りつつ、神速の剣を次々と用心棒たちに叩きつけていく。
蒼い軌跡が宙を駆けたあと、一瞬遅れて10人以上の用心棒たちが同時に地に倒れ伏し、骸の海に還っていった。
「安心しなさい! 峰打ちです!」
「いやいや! その剣、峰無いですし、思いっきり両断して用心棒たち骸の海に還してるではないですかっ!」
蒼白い光を放つ細剣を掲げるパティに向かって、越後屋が大声でツッコミを入れるのだった。
成功
🔵🔵🔴
エメラ・アーヴェスピア
あら、制圧の依頼…にしては、妙な注釈がついてるわね
カッコいい台詞に弱い?…また変な弱点ね
楽になる分にはいいのかしら…まぁいいわ
そろそろ、猟兵の仕事を始めましょう
カッコいい台詞、と言われてもちょっと困るわね…
この国に似合いそうなものは…UDCのデータからも調べてみましょうか
…ああ、これが良さそうね。折角だから装備もこだわってみましょうか
『出撃の時だ我が精兵達よ』
20体を適当にLv調整、装備は魔導蒸気製の刀と羽織…はさすがにないわね、借りられるかしら?
…準備は良いわね?突入後は各自の判断で斬りかかりなさい
それじゃあ行くわよ…こほんっ…御用改めである!
…少し悪ノリしすぎたかしら?
※アドリブ・絡み歓迎
●越後屋事件
「それじゃあ行くわよ……、こほんっ、……御用改めであるっ! 手向かいすれば容赦なく斬るわよ!」
越後屋に勢いよく踏み込んできた一団。先頭に立つのは陣羽織を着たエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)である。黒と赤を基調としたドレスに金の懐中時計の付いた帽子という服装の上から陣羽織を羽織った人形のような少女という、なんとも違和感満載の格好である。
エメラの後ろに控えている一団は、【出撃の時だ我が精兵達よ(メイクアサリー)】で召喚した魔導蒸気兵。こちらも魔導蒸気製の刀と、陣羽織を羽織っていた。
「ええと、お嬢さん、それは随分と時代を先取りした服装ではありませんかね?」
「あら、そうかしら。出発前にUDC組織のデータベースからお店に踏み込むのに適した服装を調べて、装備にもこだわってみたのだけれど」
越後屋のツッコミにエメラは首を傾げる。だが、この服装を統一した一団は十分に用心棒たちを威圧し弱体化させることに成功しているのだった。
「まあいいわ。そろそろ、猟兵の仕事を始めましょう。御上意よ。各魔導蒸気兵は各自の判断で斬りかかりなさい!」
魔導蒸気兵たちは、一流の魔導蒸気技術者であるエメラが自ら作成した兵器である。彼らはエメラの指示に従って自律行動し、越後屋の用心棒たちに斬りかかっていく。
「ええい、この幕府の犬どもめがっ! 用心棒の皆さん、返り討ちにしてあげなさいっ!」
越後屋の声で、数十人の用心棒たちが抜身の刀を手放す。妖気に包まれた刀は自在に宙を駆け、エメラと魔導蒸気兵たちに殺到する。これこそ、積年の怨念の宿りし妖刀の力であった。
「各兵、迎撃!」
冷静なエメラの号令により、魔導蒸気兵たちは手に持った魔導蒸気刀で空飛ぶ妖刀と斬り結ぶ。
打ち合わされる妖刀と魔導蒸気刀。だが、弱体化した妖刀など、魔導蒸気兵が振るう魔導蒸気刀の敵ではなかった。魔導蒸気刀が次々と妖刀を叩き落とし、刀身を断ち斬っていく。
「皆さんっ、指示を出している猟兵を狙いなさいっ!」
越後屋の命令により、エメラに向かって飛ぶ妖刀。
しかし、エメラに殺到した妖刀は、彼女が手に持つ魔導蒸気刀によって弾き返されていた。
「あら、局長である私が隊士よりも弱いとでも思ったのかしら? さあ、用心棒たちを一掃よ」
妖刀を叩き落された以上、武器を失った用心棒たちに対抗する術はない。
魔導蒸気兵たちに次々と斬り伏せられて、骸の海へと消えていく。
「さて、越後屋には階段からでも落ちてもらいたいところだけれど……ここ、一階なのよね」
残念そうなエメラの声が響いたのだった。
成功
🔵🔵🔴
アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可
とりあえず問答無用でスーパーヒーロー着地を決めて登場。
テメェがどんな悪事を企もうが…お天道様は全部お見通しだ! テメェみたいな悪党は…お天道様はもちろん、何より俺が絶対ェ許さねぇ!
後は用心棒相手にチャンバラしながらヒーロー形態に超変身! 左腕に仕込んだフラッシュブレードを取り出して相手の攻撃を【武器受け】したり、【怪力】で相手を鷲掴みにしてぶん投げたり、力任せに【吹き飛ばし】たりと大暴れさせてもらうぜ!
トドメは【サウザンド・フラッシュエッジ】だ。数えるのも面倒な位の剣刃で用心棒も持ってる武器も、全部ぶった切ってやるぜ!
…サムエンのノリじゃない? うるせぇ!
●スーパーヒーロー
「越後屋、テメェの悪事もここまでだ!」
「な、何者ですかっ、姿を見せなさいっ!」
越後屋の屋敷に自信に満ち溢れた堂々とした声が響く。越後屋と用心棒たちは声の主の姿を求め周囲を見渡すが、その姿を見つけることはできない。
「どこを探していやがる。俺は……ここだっ!」
二階建ての屋敷の屋根の上から声の主……仁王立ちするアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)の返事が返ってくる。赤茶色の髪と真紅のマフラーを風になびかせ、青い瞳に正義の意志の光を宿した青年であった。
「いくぜっ……とうっ!」
アーサーは屋敷の二階の屋根の上から高々と跳躍。そのまま越後屋たちの集まっている中庭の中央に、両足と右手のみで衝撃を受け止めて着地する。人並み外れた強靭な身体能力がなければ不可能な高高度からの着地は、越後屋と用心棒たちにアーサーの実力を知らしめるには十分な効果があった。
「い、いったい、どんな悪事の証拠があるというのですかっ!」
「テメェがどんな悪事を企もうが……お天道様は全部お見通しだ! テメェみたいな悪党は……お天道様はもちろん、何より俺が絶対ェ許さねぇ!」
アーサーから正義の意志の込められた言葉が発せられる。越後屋が犯してきた数々の悪事は、証拠など不要なほどに明らかなものが多かった。それを言葉だけで逃げおおせようという越後屋を許すことはできないと、アーサーの正義の心が吠えている。
「くっ、よ、用心棒のみなさんっ! この猟兵をやってしまってくださいっ!」
言葉による言いくるめが効かない相手と見て取った越後屋は、用心棒たちをアーサーに向かってけしかける。
腰から妖気を纏った刀を抜いてアーサーに斬りかかってくる用心棒たち。
「いいぜ、かかってきな! 光よりも速く……ぶちのめしてやるぜ!」
アーサーは斬りかかってくる用心棒の刀を無手で払い、その腹部に膝蹴りを決めて沈める。用心棒たちが警戒して間合いを取った瞬間、アーサーは腰のベルトを起動してヒーロー形態に変身する。
全身を真紅のスーツに包み、同色のマフラーを付けた仮面のヒーロー。アーサーが変身した姿である光の戦士ドーンブレイカーだ。
「くっ、姿形が変わったところで、所詮、虚仮威しです! 怯まず一気に畳み掛けるのですっ!」
越後屋が用心棒たちに指示を出すが、高みの見物をしている越後屋には分からずとも、ドーンブレイカーと直接対峙している用心棒たちには分かる。ドーンブレイカーへの変身が虚仮威しなどというものではないことが。
ドーンブレイカーに変身したアーサーは、用心棒たちの刀を左手の籠手から生成した光の刃で受け止めると、それを切断。刀を失った用心棒たちを人外の膂力で鷲掴みにして力任せに放り投げ、ヒーローとしての実力を見せつけていく。
「ええい、皆さん! たった一人相手に何を手間取っているのです! あの方から賜った妖刀の力で一気に倒してしまいなさい!」
用心棒たちが構える妖刀の刀身が血のような赤い妖気に包まれていく。使い手を超絶強化する妖刀の能力である。
「いいぜ、全力でかかってきな! 代わりに俺も全力で相手をしてやるぜ! アナザーフォーム、キングオブブレイド!」
ドーンブレイカーの姿が、サムライエンパイアの力を宿すキングオブブレイドへと変化する。
キングオブブレイドの必殺技【サウザンド・フラッシュエッジ】を発動するアーサー。数えきれないほどの光刃が生成され宙を舞う。それはまるで武士の魂たる刀の想念の結晶だ。
正義の想念の結晶たる光刃が、妖刀の悪しき妖気を斬り払って、祓っていく。
妖刀の力を失うと同時に、それを操っていた用心棒たちも骸の海へと消えていった。
「さあ、年貢の納め時だぜ、越後屋!」
ヒーローの活躍により、越後屋はその手勢を大きく減らしたのだった。
成功
🔵🔵🔴
マスター・カオス
フハハハ…我が名は、グランドフォースに導かれし、秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!
…とは仮の姿、その正体は、遠く混沌のちりめん問屋の隠居だ!!
越後屋よ…私欲を満たす為、名もなき盗人集団を用いての数々の下着盗難の悪行三昧許しがたい!!
さぁ、このウロボロス印籠が目に入らぬか? 控えおろう!!
時代劇的な何かの琴戦に触れたカオスは、越後屋へお裁きを下します。用心棒もあらわれて成敗の時です!さぁ、【オリュンポス戦闘員】を召喚だ。
さぁ、であえであえ!!
これにて一件落着!!
●ちりめん問屋のご隠居
「フハハハ……我が名は、グランドフォースに導かれし、秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!」
高笑いとともに越後屋に乗り込んできたのは、仮面で顔を隠した謎の人物、マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)である。正確には仮面が本体のヒーローマスクなのだが。
「ほほう、秘密結社でございますか。あいにく、当店は宗教関係の方とのお付き合いは遠慮させていただいておりまして……」
カオスの怪しい風体を見た越後屋が、営業スマイルで遠回しに追い返そうとしてくる。
だが、ここでおとなしく引き下がるようでは秘密結社の大幹部は務まらない。ここで追い返されてなるものかと、カオスの頭脳がフル回転し、ひとつの答えを導き出す。
「……という秘密結社の大幹部とは、世を忍ぶ仮の姿! その正体は、遠く混沌のちりめん問屋の隠居だ!!」
「こ、混沌の……ちりめん問屋!?」
予想外の単語の繋がりに、さしもの歴戦の商人越後屋も言葉を失う。
これまで数多の商人との駆け引きをしてきた越後屋であるが、このような意味不明な言動をする相手は初めてだったのである。
(考えろ、考えるのです越後屋……。私はこれまでどんな相手との交渉でも対等に渡り合ってきました。そう、『あのお方』とも主従の関係ではなく、あくまで対等な業務提携相手として交渉してきたのです。それが、このような意味不明な妄言を吐く者に気圧されるなどあってはならない……!)
営業スマイルを保ったまま、越後屋は自身を鼓舞する。そう、自分こそがサムライエンパイアで一番の商人なのだと。
「なるほどなるほど、混沌のちりめん問屋様でしたか。そういえばお噂はかねがね……」
(ここは話を合わせて、相手がボロを出すのを待つのが得策……)
カオスの言葉に、表面上、相槌を打った越後屋。それが悪手であったとも気付かずに……。
「フハハハ……そうか、我が混沌のちりめん問屋の勇名は、遥か遠いこの地にまで届いていたか!」
「ええ、それはもう。なんでも、扱っている商品の質が素晴らしいと評判だとか」
「ほう、アレの良さが分かるとは、なかなか見どころがあるではないか。アレは世界広しといえども、我が店でしか取り扱っていないものだが……。いかがかね、アレの感想は?」
話を合わせたがゆえに、それにカオスが食いついてきてしまったのだ。
「ええ、それはもう、そちらの問屋のちりめんは最高という噂で……」
「ちりめん? そんなもの、うちの問屋では扱っていないが……。越後屋よ、本当に我が混沌のちりめん問屋を知っているのであろうな?」
(ええー、ちりめん問屋がちりめん以外の何を扱っているというのです!?)
「い、いえ、滅相もございません。もちろん、混沌のちりめん問屋様のことは、よーく存じ上げておりますよ、ええ」
「ほう、ならば……答えられるのであろうな、我が混沌のちりめん問屋の名産品を!」
突きつけられた難問に固まる越後屋。
(これは……『あのお方』と商談したときと同じ……いえ、それ以上の威圧感! ここで間違った回答をするわけには……)
越後屋は気付いていなかった。自分がカオスの話術に乗せられて、『ありもしない正しい回答』を答えなければならない状況に追い込まれたことに。
(ええい、こうなったら、一か八かです!)
「そう、思い出しましたよ! そちらの問屋の名物は、その仮面でしたね!」
「仮面……? ほう、越後屋よ、ついに悪事の馬脚を現したな! 我が混沌のちりめん問屋では仮面など取り扱っておらん!」
ビシリ、と越後屋に指を突きつけ、断罪するかのごとく言い放つカオス。
「越後屋よ、他にもお前の狼藉の証拠は上がっているのだぞ。私欲を満たすため、名もなき盗人集団を用いての数々の下着盗難の悪行三昧、許しがたい!」
「な、何を証拠にそんなことを!」
あくまでシラを切ろうとする越後屋に、カオスは懐から取り出した印籠を突きつける。
「控えおろう! このウロボロスの印籠が目に入らぬか! 証拠であれば我が半身が一部始終を見届けてきておるわ!」
「くっ、こ、こうなったら実力行使です! 用心棒の皆さん、このご隠居を片付けてしまって下さい!」
妖刀を構えて迫る用心棒たちを見ても、カオスは余裕の態度を崩さない。
「ククク、ならば、こちらも【オリュンポス戦闘員】よ、であえであえ!」
カオスが召喚した戦闘員たちは、用心棒たちと乱戦にもつれ込み、次々と用心棒を倒していく。
こうして、さらに用心棒の数を減らした越後屋であった。
成功
🔵🔵🔴
秋山・軍犬
「此処はは自分に任せて先に…」
軍犬、それ違う
確かに一度は言ってみたい台詞だけど
越後屋、此処にいるのに役人達を何処に行かせる気なの!?
召喚した【深夜の夫婦漫才】のジョン&ナンシーの
熱いダメ出しに、マジかよと困惑する軍犬。
【前置き此処まで、こっから本番】
控えおろう、このお方をどなたと心得る!
恐れ多くも別の依頼で日野富子に腹パン(頭突き)
決めてきた猟兵、秋山軍犬なるぞ!(決め台詞:ジョン&ナンシー)
軍犬「富子さんキレッキレでめっちゃ怖かった!」(決め台詞)
そして何処からか流れ始める例の水戸〇門BGM
からの暴れん〇将軍、勝ち確処刑BGMで
用心棒を千切っては投げ無双する軍犬
(指定UC+怪力+グラップル)
●一度は言ってみたい台詞
「役人の皆さん、此処は自分に任せて先に行って下さい!」
「はっ、承知しました! 越後屋の捕縛はお任せし、我らは越後屋が逃げ出さないよう、屋敷を包囲いたします! 各班、店の表口と裏口の封鎖に専念せよ! これは天下自在符をお持ちの猟兵殿のお言葉! きっと深い考えあっての策に違いない!」
『一度は言ってみたいカッコいい台詞』の上位にランクインする台詞とともに現れた、秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)。
彼の言葉に素直に従った役人たちは、この場を軍犬に任せて店を包囲するために駆け出していった。
「ちょっと軍犬、確かに一度は言ってみたい台詞だけど!」
「越後屋を捕まえなきゃいけないのに、役人たちの援護なしで大丈夫なの!?」
軍犬にツッコミを入れるのは【深夜の夫婦漫才(グッドナイト・コメディーカップル)】で軍犬が召喚した謎の二人組、好青年のジョン&美少女のナンシーである。なお、この二人は『ハイテンションな解説や応援や漫才によって軍犬をパワーアップさせてくれる』という能力を持っているだけであり、戦うことはできない。
「ボクとナンシーは応援しかできないのに、軍犬だけで越後屋と用心棒を倒せるのかい!?」
「いや、だって、カッコいい台詞と言ったら、あれが定番じゃないっすか……」
ジョンとナンシーからの的確なダメ出しを受けて、耳と尻尾をへにょんとさせてヘコむ軍犬である。
「ククク、愚かな猟兵ですな。自ら役人たちを下がらせるとは……」
そんな軍犬を見下すような目線で越後屋が嘲笑を浮かべる。
「そちらの従者どもは戦う力は持たぬ様子。果たして、我が用心棒たちをお一人で相手できますか?」
越後屋の合図とともに、屋敷に残っていた数十人の用心棒たちが庭に姿を表す。
「ちょっと軍犬! あれを一人で相手にするなんて無茶よ!」
「そうだよ、すぐに役人たちを呼び戻そう!」
ナンシーとジョンが、自分たちを取り囲むようにじりじりと迫ってくる用心棒を見てパニックに陥りかける。
だが、軍犬だけは違った。これだけ大勢の用心棒たちに取り囲まれようとも、その瞳には闘志を宿している。それはまだ戦いを諦めていない漢の目だった。
「二人とも忘れたっすか。あの日野富子との壮絶な戦いを……」
そう、軍犬は越後屋の主たる日野富子と戦い、少なくないダメージを与えることに成功しているのだ。
軍犬の言葉にはっとなるジョンとナンシー。
「そうだな、忘れかけていたよ軍犬!」
「あの日野富子にも負けなかったのよね。それならその部下である越後屋なんて敵じゃないわ!」
ジョンとナンシーが希望に満ちた目で軍犬を見て――。
「「というわけで、軍犬、頑張って!」」
「やっぱり戦うのは自分だけっすか!」
ジョンとナンシーの応援に、軍犬はツッコミを入れるのだった。
「敵に囲まれた状況で漫才をするとは、ずいぶんと余裕ですな。ええい、者ども、かかれいっ!」
緊張感のない軍犬の様子に苛立った越後屋は、用心棒たちをけしかける。
用心棒たちは妖刀を抜き、その刀身に禍々しい怨念を宿らせ、軍犬たちに斬りかかろうとして――。
「控えおろう、この御方をどなたと心得る!」
ジョンの決め台詞の前で、用心棒たちは一斉に足を止めた。――いや、その言葉の放つ強烈な威圧感に足を止めさせられたのだ。
その用心棒たちに、ナンシーが懐から一枚の写真を取り出し、突きつける。
それは、爆炎に身を包んだ軍犬が、猛烈な勢いで日野富子に頭突きを食らわしているワンシーンであった。
「なっ、その浮世絵は……」
写真を見た越後屋が驚愕の表情を浮かべる。
「恐れ多くも、日野富子の腹に頭突きを食らわせるほどの実力者、秋山軍犬よ! 一同、頭が高い! 控えおろう!」
「はっ、ははーっ!」
ナンシーの言葉に、越後屋と用心棒たちは思わずひれ伏してしまう。
あの日野富子に爆炎頭突きを食らわせるなんて恐ろしいことを実行できる人物がこの世界にいるなど、考えられないことだったのだ。
「富子さん、キレッキレでめっちゃ怖かった!」
軍犬のこの言葉が、日野富子と直接対決してきたことの何よりの証であろう。
だが、これでおとなしくなる越後屋ではなかった。
「くっ、この程度のことでわしの野望を邪魔させてなるものか! ええい、そんな浮世絵、偽物に決まっておるわ! 者ども、その恐れる必要はない! そやつらを斬り捨てい!」
越後屋がヤケになって用心棒たちに命じると、用心棒たちは妖刀を握り直し、再び軍犬、ジョン、ナンシーを取り囲む。
「なら、しかたないですね」
「軍犬、懲らしめてやりなさい!」
「ええーっ、自分っすか!?」
ジョンとナンシーに戦いを託された軍犬。役人もいない今、戦えるのは軍犬だけなのだ。
軍犬は仕方なく重い腰を上げ……。
「女将を呼べい!」
カッコいい決め台詞とともに、【フードスペシャリテ・フルコースモード】を発動する。
軍犬の言葉と同時に、割烹着姿の料理人達によって越後屋の庭に江戸の一流料亭の料理の数々が運び込まれてくる。
「おおっと、軍犬の得意技、『フードスペシャリテ・フルコースモード』が発動したーっ! 軍犬が事前に手配しておいた料理が運び込まれてきます!」
「料理は……江戸蕎麦、天ぷら、江戸前寿司、刺し身、鰻、穴子、どじょう、牛鍋、田楽、桜鍋などがズラッと並んでいますね! これはゴージャス!」
ジョンとナンシーが状況の解説を始める。
「さあ、おあがりよ!」
「いただきます!」
料理人に勧められるままに、軍犬は運び込まれた料理を口に運び、一心不乱に食べ始めた。
「説明しましょう。フードファイターである秋山軍犬は、戦闘中に食べた料理の質と量に応じて戦闘能力が強化されるのです」
「そして、今回の料理は海鮮が豊かな江戸ならではの料理を始めとした、江戸名物の数々。質と量について文句の付けようもありません!」
「お高かった料理代は越後屋へのツケなので、お金の心配もありません!」
「なっ、なにを勝手に人の店に代金をツケているのですか!」
お金に煩い越後屋は、勝手にツケを払わされることになり怒り狂うが……その間に軍犬が料理を食べ終わった。
運ばれた料理を完食した軍犬。
閉じられていた瞳をカッと見開く。
「これは……うーまーいーぞー!」
軍犬の叫びとともに料理の美味しさに感動した全身の細胞が潜在能力を活性化させる。瞳からは金色に光る光線を放ち、全身の筋肉は数倍に膨れ上がっている。これこそ、フードスペシャリテ・フルコースモードによって開放された軍犬の真の力なのだ。
「ええいっ、用心棒たち、はやく叩き斬ってしまいなさい!」
越後屋の指示で襲いかかってくる用心棒たち。
だが、真の力を発揮した軍犬の敵ではなかった。
ジョンとナンシーが流すBGMを背景に、用心棒たちを千切っては投げ、千切っては投げする軍犬。妖刀を正面から掴み、それを素手でへし折っていく。
軍犬が腕を一振りするたびに数を減らしていく用心棒。
用心棒たちが全滅するのに、それほど時間はかからなかった。
「「これにて、一件落着!」」
「あ、それ、自分の台詞……」
ジョンとナンシーに決め台詞を取られて、がっくりうなだれる軍犬であった。
●江戸町奉行所
数日後――。
役人たちに捕らえられた越後屋は奉行所のお白州に座らさせられ、その町奉行から罪状を述べられていた。
「……以上、余罪数百件。越後屋よ、そなたの行った罪、相違ないな?」
越後屋に向かって確認の言葉をかける町奉行。
だが、越後屋の顔には余裕の表情が浮かんでいた。
「はて? お奉行様。私は品行方正な一介の商人です。そんな大それたことを企むわけがないではないですか」
「ほう、シラを切ると申すか。ならば、証拠の数々はどのように申し開きいたす?」
「それは私の商売をよく思わない者の陰謀でございましょう。こういう商売をしていますと、思わぬところで逆恨みされることもありますゆえ」
越後屋は飄々とした態度で町奉行の挙げた罪状を否定する。自白がなければ決定的な証拠にならないと分かっているがゆえの余裕だった。
「ほほう、ならば、お主の罪の一部始終を見たものを呼ぶとしよう。皆様をこちらへ」
「なっ、あなた方は……!?」
越後屋の瞳が驚愕に見開かれる。
町奉行の言葉でお白州へと現れたのは、先日、越後屋で大捕物を演じた猟兵たちだったのだ。
「越後屋よ。上様直々に発行なされた天下自在符をお持ちの猟兵方……その方々に刃を向けることは重罪であることは知っておろう。この方々こそが、お前の犯した最大の罪の証人よ」
「ぐ、ぐぬぬ……」
こうなっては、もはや越後屋に申し開きをする術は残されていなかった。
「沙汰を申し渡す! 越後屋、お主は日野富子の企みし陰謀の全てを白状せよ!」
「なっ!? そ、それは……それだけは……! ぐわあああっ!」
その瞬間。悪徳商人オブリビオン越後屋は、情報を口に出すことなく骸の海に消えていった。
「ふむ。やはり、日野富子の手下からは有用な情報は得られぬようになっておるか……。致し方ない」
嘆息した町奉行は、猟兵達にむかって背筋を正すと、改めて礼を述べる。
「猟兵の方々。今回の事件へのご協力、ありがたく存じます。少なくともこれで越後屋によるさらなる悪事は防ぐことができました。第二第三の越後屋がおるかもしれませんが……。皆様なら、またご協力くださると信じておりますぞ」
町奉行を筆頭に、役人たちからの感謝の言葉を受け、猟兵たちは帰途につくのだった。
大成功
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