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不思議の泡の国

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 ぷく。と、海中に大きな泡が浮かんで弾けた。
 それを契機にして、次々と泡が浮かび、消え、浮かび……。
 やがて出来上がったのは泡の国。
 新たな不思議の国であった。
 生まれたてのその国は、まだ、なにもない。
 ただ、見渡す限りの青。そして、浮かび、消える泡。


「聞いて、まだ手付かずの『不思議の国』が見つかったんだよ」
 穂積・竜胆(妖狐の聖者・f09947)は嬉しそうに切り出した。
「なんでも、水の中の泡の国なんだって。涼し気で良いよね。それで、君たちにはウサギ穴を通ってやってきた仲間たちと一緒にここを開拓してもらいたいんだ」
 水中に生まれた、大きな泡の中の国。この不思議の国は、見つかったばかりだ。まだ、家もなければ道もない。ただ、ふわふわと泡が漂う世界が広がるばかり。不思議なことに、その泡が酸素を生み出しているのか、どんな生き物もそこで普通に呼吸をすることができるし、歩くことができるようだ。どんな建物を作るのか、オウガがやってきたときに備えて、どんな設備を作るのか……。全てが猟兵たちと、ウサギ穴を通ってやってきた愉快な仲間たちのアイディアで決まることになる。
「愉快な仲間たちは海にすむ生き物の姿をしているんだね。くらげとか、さかなとか! とても気のいい仲間たちだから、きっとすぐに打ち解けられるはずだよ」
 生まれたての世界を整備したら、そこで遊ぶこともできるようだ。泡の世界で何をして遊ぶのかな、と竜胆も興味深々である。
「ああ、でも……」
 竜胆はすっと目を閉じる。
「新しくできた不思議の国を察知したオウガがすぐに狙ってくる。きっと。だから、しっかり備えておくれ。……頼んだよ」


狐路ユッカ
 お世話になっております、狐路です。

 第一章では、泡の中の国を整備していただきます。
 どんなお家を作る? 施設は? オウガ対策の設備は?
 遊具なんかを作ってもOKです、楽しい世界にしましょう。

 第二章は、第一章で作り上げた国をさらに強化したり、遊んだりしていただきます。存分にお楽しみください。
 もちろん、愉快な仲間たち(水の生き物たちがいます)と遊んでもOKです。
 第三章では、この国を破壊しようとやってくるオウガとの戦闘です。
 何やら、水に関係するオウガのようですね。
 第一章、および二章で作った設備もフル活用して倒しましょう。

 それでは、涼し気な水中の泡の世界へいってらっしゃいませ。
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第1章 日常 『泡の中の国』

POW   :    遠見の道具で外の景色を観察する。

SPD   :    人が乗れる泡に乗って浮遊による観光を楽しむ。

WIZ   :    子供達と一緒にシャボン玉を作って遊ぶ。

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

宝海院・棗
「泡、泡、泡・・・素敵な場所だね!」

交流希望の住民:サメ、ウツボ、イカ、ヤドカリ

優しさの技能も活用

施設とかも泡っぽいのがいいかな(できるなら宝石みたいなのもほしいけどあまり尖ったのが住人に警戒されたときは自粛)

遊具は丸みを帯びた宝石や泡のようなブランコとか、シーソーとかを置けるかな?あと泡のプールやトランポリンみたいなのもー

照明や植物とかもほしいね。これまた丸みを帯びたランプとか街頭みたいなのとかもほしいね。渦巻きや花、蝶を模したのはどうだろ?植物も素敵なもので揃えたいね

オウガ対策は電磁フェンスとか、ケーブルで繋いだスタンガンとか、帯電式の籠とか、熱風ファンとかどうかな?相談してみようっと


リゲル・ドロワット
子供たちと一緒にシャボン玉を作って遊ぶ(WIZ)に挑戦

子供らに混ざる時にはこういうなりだと便利でよいのう。
シャボン玉か。作って遊ぶのなど随分久しぶりじゃの。
ほれ、こうするんじゃ。ゆっくり吹かんと大きくなる前に爆ぜてしまうぞ。


国の中身を作るなら何がよいかのう。家や道などはもちろんじゃが、子供が多いのであれば学校や図書館なんかもよいかもしれんな。
学ぶことはよいぞ。知識は人生を豊かにするものじゃ。賢くて困ることなどそうないしな。
惜しむらくはどちらも本が欠かせないことじゃな。本が確保できるといいんじゃが……。
他の世界から持ち込むことはできるのかのう。


神宮時・蒼
…驚愕。…泡の、中の、国、ですか。…そんな、国があるとは、驚き、です。
…触れたら、弾けて、しまわない、でしょうか…。
…それに、国を、整備する、というのも、なかなかに、緊張、します、ね。

【SPD】
泡の上に家を建てるのはどうでしょうか
人が乗れる泡があるのであれば、移動も出来そう、かな、と。
折角水の中なのですから、白を基調とすれば、水の波紋が映って綺麗になる、かも?
でも、これだとあまり大きな家は作れないでしょうか…
なかなか、難しい、ですね

オウガ対策…。…オウガが泡に触れたら激しく泡が巻き起こって居場所を知らせてくれるとか…。これくらいしか、思い、つきません、ね…。


カタリナ・エスペランサ
「やぁみんな初めましてだね! アタシはカタリナだよ、よろしくー♪」
まずは自己紹介がてら《楽器演奏》をBGMに皆を《鼓舞》《誘惑》する《パフォーマンス》を披露。UC【スカイステッパー】で時々動きを補助しながら、人が乗れる泡を使う感覚に習熟していきます。

「アタシの自己紹介はこれくらい。次はキミたちの事を知りたいな!」
一通りの演目が終われば次は《礼儀作法》《コミュ力》を発揮して愉快な仲間たちと交友を深め、鬼ごっこ辺りで遊ぶ事を提案。彼らの身体能力や泡の国の地形、移動ルートを《情報収集》(観光)して国の整備の参考にします。
既に何か作業に着手している仲間が居れば情報はそちらにも共有。

※アドリブ・共演歓迎




「泡、泡、泡……素敵な場所だね!」
 と、宝海院・棗(もち・ぷに・とろり。・f02014)が歓声をあげた。ゆらり、ゆらりと水面のきらめきが差すこの泡の世界は、どこまでも美しい。
「……驚愕。……泡の、中の、国、ですか」
 神宮時・蒼(終わらぬ雨・f03681)は、見渡す限りの青の世界に視線を巡らせる。
「……そんな、国があるとは、驚き、です」
 そして、ふと見つけた泡にそっと手を伸べた。
「……触れたら、弾けて、しまわない、でしょうか……」
 ふわん、と蒼の手に反発するように、泡は弾んで逃げてゆく。そして、集まった猟兵と海の生き物たちに少し緊張した面持ちで言った。
「……それに、国を、整備する、というのも、なかなかに、緊張、します、ね」
 すると、ヤドカリの娘がからりと笑って答えた。
「大丈夫だよ、きっと。みんなでやれば素敵な国になるはずさ」
 あっちに仲間が集まっているから、一緒にいろいろ考えてみよう、と導かれるまま、猟兵たちは海の仲間が集う場所へ移動する。


 さっそく、とばかりにカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は自己紹介がてら奏で、踊る。
「やぁみんな初めましてだね! アタシはカタリナだよ、よろしくー♪」
 海の愉快な仲間たちは、手拍子をして彼女を歓迎した。
「すごいなぁ! 軽やかに舞うもんだね」
 うねら、とタコの少年が真似るように踊り、ホタテガイは、カスタネットよろしく拍子をとって遊んでいる。踊りながら、カタリナはスカイステッパーで動きを補助しつつ、泡に乗る感覚を掴んでいった。
「上手上手! もうすっかりこの国の住民になれちゃうねえ」
 イルカの娘が、キャッキャとカタリナの周りを回る。
「アタシの自己紹介はこれくらい。次はキミたちの事を知りたいな!」
 一通りの演目が終え、カタリナは恭しく腰を折ってお辞儀をひとつ。大きな拍手のなか、にっこりと笑って見せる。すると、それぞれ愉快な仲間たちは一言ずつ自己紹介を始めた。泳ぐのが得意なイルカ、漂うくらげ、力自慢のサメに、器用なタコ。交友を深める中で、彼らの身体能力や適所がわかってくる。
「わーい! 遊んで遊んで~!」
「こら、まだ話し合いの途中ですよ」
 小さな仲間たちをたしなめる大人を制止し、リゲル・ドロワット(《大喰らい》の輩・f20915)は笑った。
「よいではないか、遊びの中で見えてくることもあろうよ。子供たちの相手はどれ、わしらでいいか?」
「ありがとうございます、おねがいします」
「わーい! おにいさんあそぼー!」
 きゃっきゃと寄ってくるさかなと亀の子供たち。
「よしよし、ではシャボン玉でもとばそうか」
(「子供らに混ざる時にはこういうなりだと便利でよいのう」)
 リゲルは、持ってきたシャボン玉液を取り出す。
「しゃぼん? なあにこれ?」
 リゲルも作って遊ぶのは随分久しぶりになる。
「こうして息を吹くんじゃ。やってみよ」
 ぷうーっ、とフグの子が思いっきり吹いて案の定しゃぼんを弾けさせ、目を丸くする。リゲルはくすくすとわらい、
「ほれ、こうするんじゃ。ゆっくり吹かんと大きくなる前に爆ぜてしまうぞ」
 ゆっくりとシャボン液を吹いて見せた。あっという間に大きなシャボン玉がふうわと浮いて飛んでいく。
「わあ! すごいすごい!」
「ぼくも!」
 きゃいきゃい、と子供たちはうれしそうに代わる代わるシャボン玉を飛ばす。
 
「じゃあ、体を動かしたい子はこっちで鬼ごっこでもする?」
 カタリナの提案に、サメの子供が大はしゃぎで乗ってくる。
「するー!」
 カタリナは子供たちと国の中を駆け回る中で、どこに交通網を敷くだとか、地形の特徴を把握していく。これを後程開発の方に回せばきっと有力な情報となることだろう。


「泡の上に家を建てるのはどうでしょうか」
 蒼は、話し合いの中でこう提案した。
「泡の上に?」
「人が乗れる泡があるのであれば、移動も出来そう、かな、と」
 なるほど、と愉快な仲間たちは頷く。
「折角水の中なのですから、白を基調とすれば、水の波紋が映って綺麗になる、かも?」
「うんうん、きっと綺麗だよ。やってみよう」
「でも、これだとあまり大きな家は作れないでしょうか……なかなか、難しい、ですね」
「移動式の家は小さめ、大きな家がいい人は固定で海底に作ればいいさ」
 いいところは全部取り入れていきたいよね、と笑うくらげに、蒼は柔らかく頷く。
「施設とかも泡っぽいのがいいかな」
「おしゃれでいいかもね」
「できるなら宝石みたいなのもほしいけど」
 棗が提案する宝石にピンと来ていないサメ。棗は自分の腕を差し出して見せる。
「ほら、こんな感じでキラキラの……どうかな」
「良いんじゃないか? 華があって。俺は賛成だ」
「遊具は丸みを帯びた宝石や泡のようなブランコとか、シーソーとかを置けるかな? あと泡のプールやトランポリンみたいなのもー」
 子供たちがたくさんいるから、せっかくだし遊具を置いてあげようという棗に、ウツボの婦人が頷く。
「そうね、きっと喜ぶわあの子たち。
「照明や植物とかもほしいね。これまた丸みを帯びたランプとか街頭みたいなのとかもほしいね」
「うんうん、夜に備えたいもんな」
「渦巻きや花、蝶を模したのはどうだろ? 植物も素敵なもので揃えたいね」
「わかめや昆布も植えていい?」
 きゃっきゃと街中の景観を想像して盛り上がる。
「家や道などはもちろんじゃが、子供が多いのであれば学校や図書館なんかもよいかもしれんな」
 リゲルの提案に、ヤドカリの青年が頷いた。
「それは良い考えだ」
「学ぶことはよいぞ。知識は人生を豊かにするものじゃ。賢くて困ることなどそうないしな」
「なるほどな、俺は考えもしなかった。やっぱりみんなで頭寄せ合って考えるといろいろ案が出るな」
 サメは感心したようにため息をつく。
「惜しむらくはどちらも本が欠かせないことじゃな。本が確保できるといいんじゃが……他の世界から持ち込むことはできるのかのう」
「急がなくても、すこしずつ文献を集めていくといいと思います。まずは箱からなんとかしていきましょう」
 僕は学校も図書館も賛成ですよ、とヤドカリは笑った。町の発展のためには知力が欠かせない、と。
「まあ、ゆくゆくのオウガ対策のためにもなるもんな」
 ああ、と蒼が声を上げる。教育での長期的な対策も必要だが、今迫る脅威に対応するための施設も必要になってくる。
「オウガ対策……。……オウガが泡に触れたら激しく泡が巻き起こって居場所を知らせてくれるとか……これくらいしか、思い、つきません、ね……」
 蒼は思案顔で不安げに提案した。おおっ、とイカの女性が感嘆の声を上げる。
「いや、十分だ。敵の位置を知るのは大事なことだからな」
「そうでしょうか、よかった……」
「そのくらいの装置なら作れそうだ。やってみよう」
 あとは? と首を捻る仲間たちに、棗が手を上げる。
「電磁フェンスとか、ケーブルで繋いだスタンガンとか」
「いいんじゃねえか? ただ、全部にそれはできねえから、主要な施設のまわりにくっつけるってなあどうだ」
 サメが答えると、棗も一つ頷く。
「あと……帯電式の籠とか、熱風ファンとかどうかな?」
「罠みてえなモンか? 使い方次第って感じだな。住民が間違ってさわっちまわない場所にうまく作れたらいい感じだと思うぜ」
「私も。熱風ファンの使い方も気になるわね」
 あれやこれやと話し合いが進んでいく。
 決まったところから、区画整理を進めていく猟兵と愉快な仲間たち。
 すこしずつ、国のカタチが出来上がっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『みんなで遊ぼう!』

POW   :    自慢の力を見せちゃうよ!

SPD   :    速さなら負けないからね!

WIZ   :    こういう時こそ知識が活きるね!

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リゲル・ドロワット
「こういう時こそ知識が活きるね!(WIZ)」に挑戦

子供たちの教育の目処が立ったのなら、次は大人たちの仕事場じゃのう。
地上のそれとはちと異なる形になるじゃろうが、衣食住のサイクルを整えるサイクルを用意したいところじゃ。
農耕……は、わかめやら昆布やらが植えられるんじゃったな。
あとは泡の外で魚を捕る漁なんかも仕事になるかもしれんのう。

猟兵になりたい子がいるのなら魔法を教えてやることもできるぞ?
くくっ、冗談じゃよ。


カタリナ・エスペランサ
「さーて、次は実践訓練としようか!」
訓練名目の遊びでもあり、遊び名目での訓練でもあり。
手空きの者、先の交流から適性がありそうだと判断した者を誘って人数を集め、提案するのはチーム対抗で何でもありの追いかけっこ。
「特に頑張った子にはご褒美もあるよ♪」
ウィンクと共に軽く《誘惑》しつつも、安全第一な事はきっちり釘を刺し。

UCは【衛生兵特級資格】を使用。
ピンチの仲間を助ける《救助活動》や有利に動ける場を整える為の《拠点防御》、上手く逃げ回る為の《時間稼ぎ》《地形の利用》といった技能を実演して見せながら愉快な仲間たちにも可能な限り伝授していきます。

ちなみにご褒美の内容は相手に合わせた手作りの《料理》です。


神宮時・蒼
…提案。…何が、あるか、わかりません、し、なるべく、丈夫な、作りに、したい、です、ね。
…何か、良い物が、あると、いい、のです、けれど…。
…そういえば、お店が、ありません、ね。
…小物や、食べ物の、お店も、作れたら、作りましょう、か。

…え、遊ぶ、の、ですか?…ボク、と…?

【WIZ】
作業中に遊びのお誘い。
ちょっとくらい、なら。
大きな、泡を、作った方が、勝ち、と。
…なる、ほど。…大きく、するには、…空気を、多く、送れば、いい、でしょうか。
…割れないよう、慎重に。
…楽しい時間も、これまで。…そろそろ、オウガの、おでまし、でしょうか




 猟兵たちは少しずつ出来上がっていく街並みに満足そうに眼を細める。
 リゲルは、おおよそこんなものだろうと次の行動へ移ることとした。子供たちの教育の目処が立ったなら、次は……。
「大人たちの仕事場じゃのう」
「そうだな、働かないと食ってけないからなぁ」
 サメの青年が頷くと、リゲルはそうじゃ、とひとつ頷き返す。
「地上のそれとはちと異なる形になるじゃろうが、衣食住のサイクルを整えるサイクルを用意したいところじゃ」
 地域の見取り図を描きながら、首を捻る。
「農耕……は、わかめやら昆布やらが植えられるんじゃったな」
「あたし、昆布大好きよ」
 ウニの頭をした女が自給自足って素敵、と飛び跳ねた。
「では、昆布を植えるのは決定じゃな」
「俺は昆布は好かんなぁ」
「あとは泡の外で魚を捕る漁なんかも仕事になるかもしれんのう」
 頭を寄せ合って、考える時間もまた、楽しい。
「ねーねー! なにしてんの?」
 タコの子供がリゲルの服の裾を引っ張る。
「ん? なんじゃ?」
「おにーさんみたいなかっこいい猟兵になりたーい! ねえ! どーしたらなれる?」
「ほう? 魔法なら教えてやることもできるぞ?」
 ほんとー!? と飛び掛ってこようとする子供を制しながら、笑う。
「くくっ、冗談じゃよ。どれ、魔法は無理でもきれいなシャボン玉でも飛ばすか」
「うん!」

「さーて、次は実践訓練としようか!」
 カタリナは軽く肩を回すと、魚の子供たちを集める。
 それは、訓練名目の遊びでもあり、遊び名目での訓練でもあり。体を動かしていれば自然と運動能力は上がるだろう。手が空いている大人も集め、先刻までの交流から適性のありそうな者を誘ってきた。開催されるのは、チーム対抗の鬼ごっこだ。
「特に頑張った子にはご褒美もあるよ♪」
 軽くウィンクをひとつ。
「わーっ! なになに!?」
「ボクぜーったい勝つ!」
「こっちだって!」
 カタリナはからからと笑い、熱くなるのもいいが安全第一だと釘を刺した。
「はーい」
「じゃあ、位置について……」
 ぱん、と手を打つと、一斉に子供たちは走り出す。
「いいよ! 追い詰められたら壁を利用して、……Uターン、上から逃げる!」
 実践してみせると、子供たちは次々カタリナの動きを真似る。流石、子供は呑み込みが早い。目覚ましいスピードでそれを会得して活かしていく。なかなか決着がつかなくなってきたのも、面白い。
 最後に残ったのは、イカがリーダーのチームだった。
「勝ったよおねーさん! ご褒美ご褒美ーっ!」
「うん! よく頑張ったね☆」
 ご褒美は手作り料理だよ、と鶏肉を取り出す。
「わー! おいしそう!」
 きゃっきゃ、とはしゃぐイカの子供たち。けれど、鬼ごっこ前に比べれば全く身のこなしが違う。訓練は成功と取って良いだろう。
「取り合いしちゃだめだよ、ちゃんとあるからね!」
「塩味がいいー!」
 楽しげな声は、泡の中に反響して、心地よく。

「……提案。……何が、あるか、わかりません、し、なるべく、丈夫な、作りに、したい、です、ね」
 思案顔で蒼は建物の設計図を引く。
「……何か、良い物が、あると、いい、のです、けれど」
「そうだなぁ、図書館、学校……あと、なんだ?」
「……そういえば、お店が、ありません、ね」
「たしかに!」
 なんだ、大事なもん忘れてたわ、とイルカの青年が笑う。
「……小物や、食べ物の、お店も、作れたら、作りましょう、か」
「それなら、私料理が得意だから任せておいて」
 タコの婦人が触手をうねら、と動かして器用さをアピールした。

「ねー! あそぼーよー!」
 蒼の背中に、ぴとっ、とクマノミの子供がくっつく。
「……え、遊ぶ、の、ですか? ……ボク、と……?」
「うん! おっきい泡を作ったほうが勝ち! あわあわ勝負だよー!」
 すみません、と大人たちに断りをいれる。
(「ちょっとくらい、なら」)
「わかり、ました……」
「まずはボクね!」
 ぷうっ、と息を吹き込んで、泡を作るクマノミ。小さなその体から作る泡は、やはりまだまだ小さい。蒼の手のひらくらいだ。
「では、ボクも……」
 蒼も、ふう、と小さく息を吐く。すると、細かい泡がぷくぷくっ、とあたりに舞った。
(「……なる、ほど。……大きく、するには、……空気を、多く、送れば、いい、でしょうか……割れないよう、慎重に」)
「あははっ、ちっちゃい~」
「もう一度、いい、ですか?」
「うんっ! もっと大きいのつくって!」
 ふー、と、ゆっくりゆっくり慎重に息を吹く。
「わ! わわわ!」
 あっというまに、蒼の顔と同じくらいのサイズの泡ができた。
 泡の上でぽよぽよと跳ねながらクマノミは嬉しそうに笑う。
「すごいや!」
 
 しかし。
 既に、蒼は察知していた。
「皆さん、……静かに」
「え?」
「……楽しい時間も、これまで。……そろそろ、オウガの、おでまし、でしょうか」
 ひたりひたりと忍び寄る影。それは、すぐそばまで迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『人魚姫』

POW   :    【自滅型UC】ヘル・ダイバー
【自身の身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【身体を、接触した存在を泡に変換する身体】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    【自滅型UC】堕水の契約
自身の【身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】を代償に、【契約した、海の魔女】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【強大な魔術を駆使する事】で戦う。
WIZ   :    【自滅型UC】懐かしき骸の水底へ
【自身の身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】【を代償に、敵対者のUCに対して耐性を獲得】【、同時に全ステータスを大幅に向上させる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。

イラスト:ひえのひろ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カタリナ・エスペランサ
「よく来たねオウガ! 歓迎の準備は整ってるよ!」
先の章2つで用意した備えを《罠使い》《拠点防御》で《地形の利用》して敵の動きを制限。もし愉快な仲間たちが居れば《庇う》技術で守りつつまずは《救助活動》で避難させます。

敵の動きは《第六感》《戦闘知識》で《見切り》、無数の《残像》で攪乱しながら《空中戦》を展開。それでも命中しそうな攻撃は《ダッシュ》の急加速で回避。

使用UCは【神狩りし簒奪者】。
まずは《衝撃波》の斬撃と《念動力》で周囲に感電被害の拡大しない弾道を確保すると同時に白雷を打ち込み、敵自身の影を変化させた縛鎖により《早業》で拘束。
間髪入れず黒炎の《範囲攻撃》に呑み込む事で敵UCを封じます。


七草・華癒(サポート)
『いいねぇ、もっと聞かせてよ。君の心からの罵声をさぁ!』
悪口、暴言の神様ですが不完全な封印により現在弱体中。
怨霊を呼び出したり言霊、呪符で戦います。
悪口、暴言は言うのも言われるのも聞くのも大好き。ドSでありドM。
気まぐれ、飄々とした性格でいつもにこにこ笑っています。笑顔で子供っぽい悪口を口にするワルガキです(ばぁか、ざぁこなど)
行動指針はとにかく面白いことを探しています。敵を倒して罵ったり死ぬ間際の恨み言、罵声などを聞きに行ったり。面白ければそれでいい迷惑な神様。
けれど悪い神様ではなく死んだら罵声が聞けなくなると言っては人助けをしたりする変わった神様です。
一人称はボク、カユさん、カユちゃん。




 ひたり、ぴた、ぴた……。水滴を垂らしながら、彼女はやってきた。
「楽しそうね……羨ましいわ……」
 人魚を模したその体。娘は、にたりと唇の端を吊り上げる。
「よく来たねオウガ! 歓迎の準備は整ってるよ!」
 カタリナは、迎撃とばかりに人魚の前に躍り出た。愉快な仲間たちは、悲鳴を上げる。
「ひゃっ……」
 ちぢこまるタコの子供に、カタリナは呼びかける。
「大丈夫! さっき遊んだ場所を思い出して! あっちに向かってみんなで逃げるんだ!」
「でも、でも!」
 おねえちゃんは大丈夫なの? と問う子供ににっこりと笑って見せた。
「大丈夫だよ。そのためにここに来たんだ! さあ、キミが誘導してみんなを守って!」
 決心したように、タコの子は頷く。
「わかった」
 こっちだ、と触手をうねらせ、仲間たちを誘導するようにタコの子は先刻カタリナと遊んでいた場所を目指して泳ぎだした。
「逃げる気? そうはいかないよ……!」
 人魚は尾びれを揺らめかせ、猛スピードで子供たちに迫る。
「よし、今だ!」
 カタリナは、待機させていた貝に合図を出した。バチン! と音がして、そこに電気の柵が現れる。
「なっ……」
 小さな仲間たちは既に柵の向こうだ。
「んっふふふ、ばぁ~か♪」
「……!?」
 人魚の背後で七草・華癒(いまはおさなきのろいのことば・f19055)が煽る。
「子供をおっかけて襲おうなんて、ザッコ……。ださぁい……」
 クスクスクス、と嘲り笑えば、人魚はいら立ちを募らせて華癒を睨みつける。
「……あたしを馬鹿にした代償、高くつくよ……!」
「へぇ? どうなるっていうのかなぁ?」
 禍々しいオーラを身に纏って攻撃力を増す人魚。だが、仕掛けてこないことに華癒は少々いら立ちを見せる。
「神って言うのは万能じゃないくせに力だけはあるんだ。だからあんまりイライラさせないでほしいな」
 ざわり、と、空気が変わる。そこに現れたのは、美しい姿を持つ青年の幻影であった。
「でないと……・ほら、ね?」
『君じゃない』
「ヒッ……」
 人魚の恐れる言葉を吐く、幻。
『僕が欲しいのは君じゃない』
「やめ、やめろ……やめろやめろやめろ!」
「仕込みは上々、この戦場はもうアタシの掌の上さ」
 カタリナは、衝撃波を人魚に向かって打ち込む。すると、彼女を守るかのように海の魔女の幻影が現れた。
「魔女、あたしを守って……」
 頭を抱えながら悲鳴を上げるように人魚は幻影に指令を出す。白雷を受けながら、魔女は轟音と共に大きな渦を生み出してカタリナへぶつけようと腕を振るった。
「させない!」
 迎え撃つように、黒炎の嵐が渦にぶつかる。激しい水と炎の衝突に、大きな爆発が起こった。しかし、それも見越してのこと。愉快な仲間たちが暮らす市街地はまだ遠く向こうだ。とりあえずは安心だろう。だが、なんとしても、ここでこの人魚を食い止めねば。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アルディス・コンスタンツィア
ふぅん、真っ青だ。不思議な国だね、主様(からくり人形)。これが海ってやつなのかな……?本で知るばかりで実物は初めて見るけど、いいものだね。いいものは、守ってあげたくなる。

お嬢さんは、自分を代償に戦うのかな……?健気だね
じゃあ、僕も犠牲を払って戦わないと失礼かな……
「あんまりこれになるのは好かないけど……。忌まわしく憎き父の血を解き放つよ」血統覚醒
主様の両腕でがっしり掴んで、岩に容赦なく叩きつける
ごめんね、これ(血統覚醒)になると自制が効かないんだ。
せっかくの可愛いお顔や可憐な身体がグチャグチャになっても許してね……?ふふ……アハハハッごめんねごめんね、可哀想なお姫様!




「ふぅん、真っ青だ。不思議な国だね、主様」
 アルディス・コンスタンツィア(母殺し・f05208)は、答えぬからくり人形を見上げて首をかしげる。
「これが海ってやつなのかな……? 本で知るばかりで実物は初めて見るけど、いいものだね」
 クラレットの瞳に、青を映して眩し気に細めた。
「いいものは、守ってあげたくなる」
 向かった先で待ち構えていたのは、禍々しい気を纏う人魚だ。アルディスは静かにその人魚に歩み寄る。竪琴を手にした人魚は、己の体の一部を泡と化しながら、渦潮を招く歌を歌った。
「ッ……お嬢さんは、自分を代償に戦うのかな……? 健気だね」
 アルディスは、身を切り刻む水の刃に眉を顰めて、そして呟く。
 ――じゃあ、僕も犠牲を払って戦わないと失礼かな……。
「あんまりこれになるのは好かないけど……。忌まわしく憎き父の血を解き放つよ」
 ヴァンパイアの血を覚醒させる。その瞳が、真紅に染まった。
「主様」
 囁くように、傍らのからくり人形に告げれば、『主様』は瞬時に人魚に肉薄する。
「ッ!?」
 娘が身を捩る暇もないまま、その鉤爪の両腕で捕らえ、すぐそばに合った巨岩に勢いよく叩きつけた。
「ぁがッ……」
 およそ娘の声とは思えぬ醜い悲鳴があがる。
「ごめんね、これになると自制が効かないんだ」
 くす、とガスマスクの下の唇をゆがめ、笑う。
 ガンッ、と、また岩に叩きつけられる音。みし、と骨がきしむ音も響いた。
「ぎゃっ……あぎっ……」
「せっかくの可愛いお顔や可憐な身体がグチャグチャになっても許してね……? ふふ……アハハハッごめんねごめんね、可哀想なお姫様!」
 鱗がきらきらと剥がれ落ち、周囲を舞う。人魚の血は不老不死といったか? アルディスは、本で読んだことをちらと思い出しながら、可哀想な姫君を笑うのだった。
 血を吐きながら、人魚姫はうめく。
「許さなッ……ぐ、ぎ……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミカエラ・マリット
真琴おねーちゃん(f22438)と。

人魚さんはオウガさんなんですか?
えほんでよんだ人魚さんとちがうからあれはニセモノですよね?

いっぱいのアワにビックリするけど。
はい、大丈夫です。ありがと、おねーちゃん。

水の中でもミカエラはハンマーぶんぶん回しちゃいます。
すこーんってなぐってペチャンコにしちゃいますよー。
あ、そっか、すぷらったはダメですよね。
アワのスキマからふいうちです。われないよーに気をつけながら。
こっちがアワになる前にいきおいでやっつけちゃおー!

キレイな海の国に、あんなコワい人魚さんはいらないですよね。
みんなががんばって作った国だもん。
たのしくくらせるよーに、ミカエラはがんばって守ります。


新海・真琴
ミカエラ(f23163)と

この世界の影朧……いや、違うね。影朧じゃない
もっと禍々しいもの、悪しきモノだ

水の中か……【戦闘知識】で、水中でも問題なく動けるよう注意しておこう
ミカエラ、大丈夫か?

勢い余って、スプラッターな三枚おろしにならないように気を付けなくちゃ
ここは平和な世界でないといけないんだしさ
でも……本気でいくよ?

泡にしようっても、そうはいかないよ
私やミカエラ接触しようとしてきたら【恫喝】で睨んで威嚇
その隙に、【破魔】を乗せたグラウンドクラッシャーだ!
隙は作った!やっちまえミカエラ!

平和で楽しい海に、物騒なモノはいらないんだよ
穏やかに暮らせるように、ね?


フクス・クルーガー(サポート)
ヤドリガミのスターライダー × ガジェッティア
年齢 20歳 女
外見 163cm
特徴
口調 女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
怒った時は 無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)

長年使われてきたトラックを核にして生まれたヤドリガミ。その持ち主に影響されたのか彼女自身も何かを届けることがやりたいことになっている。
性格はすこしお姉さん風。


戦闘時
・生身の場合、P90で射撃しながら、UC【特殊作業対応型運搬腕】で格闘&射撃。もしくはトラックの板を複製して盾の様に扱います。

・トラックに搭乗できる場合。UCで変形合体して戦うことになります。(全長3m弱です)




「この世界の影朧……いや、違うね。影朧じゃない。もっと禍々しいもの、悪しきモノだ」
 新海・真琴(薄墨の黒耀・f22438)は、人魚を見つめて呟く。
「う、ううっ、あ」
 呻きながら血を吐く人魚を見つめ、ミカエラ・マリット(撲殺少女・f23163)は小首を傾げる。
「人魚さんはオウガさんなんですか?」
 人魚なんて言ってはいるけれど……。
「えほんでよんだ人魚さんとちがうからあれはニセモノですよね?」
「そうだな」
 真琴は頷いた。
「ミカエラ、大丈夫か?」
 海の中という戦闘環境に慣れないだろうと気づかう彼女に、ミカエラは答える。
「はい、大丈夫です。ありがと、おねーちゃん」
 たくさんの泡に少し驚いたけれど、戦闘するにあたって恐れるには足らない。
「こんな人魚の物語はちょっと子供にはお届けしたくないよね」
 フクス・クルーガー(何処でもお届け! 安心のクルーガー運送!・f22299)は小さくため息をつき、【特殊作業対応型運搬腕】で人魚をつぶしにかかる。
「舐めた真似を……!」
 人魚は、己の装備武器の封印を解く。瞬時に、泡が彼女の体を包んだ。
「すこーんってなぐってペチャンコにしちゃいますよー」
 ミカエラは、水の中でも何のそのとばかりに、にゃんこあくすはんまーをぶんぶかとブン回す。
「勢い余って、スプラッターな三枚おろしにならないように気を付けなくちゃ」
 真琴が苦笑した。
「ここは平和な世界でないといけないんだしさ」
「あ、そっか、すぷらったはダメですよね」
「好き勝手言ってる場合じゃないわよ!」
 人魚は泡の中から躍り出て、ミカエラに襲い掛かる。
「泡にしようっても、そうはいかないよ」
 ぎろり、と真琴の瞳が人魚を見据える。その睨みに、人魚は一瞬動きを止めた。
「ざんねん、そうはさせません」
 ひるんだすきに……アワのスキマからうちます。と、ミカエラは反動をつけたハンマーを思いきり人魚の腹部めがけて振りぬいた。
「こっちがアワになる前にいきおいでやっつけちゃおー!」
「ぅぐ、っ、がッ、あああっ」
 真琴が握る斧がうなりを上げる。美しい桜の装飾に似つかわしくない音を立て、人魚の尾びれを強かに打った。
「ひ、ぃいいああぁあ!」
「隙は作った! やっちまえミカエラ!」
「はーいっ!」
 もはや人魚にこの攻撃から逃れるすべはない。もがく人魚に、フクスのP90――短機関銃が火を噴いた。
 次の瞬間。脳天から叩き割るように、ミカエラの振り上げたハンマーが直撃。人魚は声もなく、潰えるのであった。その姿は泡と散り、跡形もなく消える。

「平和で楽しい海に、物騒なモノはいらないんだよ。穏やかに暮らせるように、ね?」
 真琴が見つめた先には、海の仲間達がいた。
「キレイな海の国に、あんなコワい人魚さんはいらないですよね」
 どうせなら優しくてかわいい人魚さんがいい。集まってきた魚たちはそう言って笑う。
「みんなががんばって作った国だもん」
 守り抜けて良かった。とミカエラは改めて海の中の庭園を見回す。
 そこは、限りない青。
 美しく揺蕩う世界に、愉快な仲間達が穏やかに暮らす街。
 脅威を退けた安堵を胸に、猟兵たちはそっとこの地を後にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年10月25日


挿絵イラスト