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エンパイアウォー㉓~屍人の群れを駆逐せよ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●奥羽武士の奮闘
「弓部隊、放て!」
 号令とともに、ずらりと一直線に並び、弓を構えた奥羽の武士達が放った矢が鋭く飛んでいく。その先には、指揮官を失った水晶屍人の群れ。統率を失ってはいるが、本能のまま人を襲おうと彷徨い続けているのだ。
 解き放たれた矢がいくつかの水晶屍人を屠っていく。しかし、その数は数百体はいるだろうか。一度の攻撃では数を減らすこともままならない。
「次、鉄砲隊、構え!」
 一定の距離を取りながら、奥羽の武士たちは休みなく攻撃を続ける。ある程度距離が詰まれば、また距離を取り、決して近寄らせはしない。
「うかつに近づけば、あいつらの攻撃で俺たちまであいつらの仲間にされてしまう。それだけは絶対に避けなければ」
 こちらが被害を受けるだけでなく、敵を増やしてしまうことにもなる。だからこそ、どれだけ時間がかかろうともこういった安全な方法で敵を一体一体倒していくしかないのだ。
「よし、撃てー!」
 鉄砲隊の弾丸が水晶屍人のいくらかを貫く。これだけの敵を駆逐するのにどれほどの時間がかかるだろうか。できることならば幕府軍の援軍として馳せ参じたいところだが、この状況ではそうも言っていられない。
 奥羽の武士たちの顔には隠しきれない疲労と焦りが滲んでいるのだった。

●グリモアベースにて
「皆さんの活躍のおかげで、水晶屍人を統率していたオブリビオンたちを短期間で撃破することができました」
 ありがとうございます、とユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)はグリモアベースに集まった猟兵たちに深々と頭を下げる。
「ただ、指揮官を失った水晶屍人がまだかなりの数残っています。ご存じの通り、水晶屍人に噛まれると噛まれた人間も水晶屍人になってしまいます。そのため、現地の武士のみなさんは遠距離からの攻撃を余儀なくされています」
 安全に敵を倒すには時間がかかるがこの方法しかない。
「そこでみなさんに、この残った水晶屍人の群れの掃討作戦を手伝ってきていただきたいのです」
 猟兵であれば、噛まれて水晶屍人になってしまう心配もない。統率を失った水晶屍人は猟兵の敵ではない。だが、とにかくその数が多いので、一体残らず殲滅することが大切だ。
「素早く水晶屍人を掃討することができれば、奥羽の武士の皆さんも、幕府軍の援軍として力になってくれます」
 今回の作戦ではこちらも数が重要になってくる。援軍を得ることはこれからの進軍において有益なことだろう。
「皆さんの活躍で生まれた援軍を増やす機会でもあります。素早く水晶屍人を蹴散らしてきてください。よろしくお願いします」


湊ゆうき
=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 このシナリオに成功する事で、1000名の奥羽武士が幕府軍に合流して戦力が増加します。
=============================
 こんにちは。湊ゆうきです。
 迫りくる水晶屍人の群れをがんがん倒しちゃってください。水晶屍人は強敵ではありませんが、数百体ほどいます。効率よく、確実に倒してください。無双するチャンスです。
 なおフラグメントは冒険となっておりますが、水晶屍人との集団戦となりますので遠慮なく戦ってください。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 冒険 『水晶屍人掃討戦』

POW   :    多数の水晶屍人の群れに飛び込み、体力の続く限り暴れまくる

SPD   :    群れから逃げ出そうとする水晶屍人を発見し、逃がさないように掃討する

WIZ   :    策略を駆使して、多くの水晶屍人を逃がさずに殲滅できる状況を作り出す

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ラモート・アンゲルス
やることは変わらないですね。戦いを始めるです。

奥羽諸藩の武士の方々に協力してもらうです。
UC【主の守護者】で敵味方の影を従え、【祝福の加護】で味方を強化するです。
私自身はUC【階位上昇】【階位突破】【天使降臨】で六枚翼の天使に姿を変えて先陣を切って戦うです。六枚翼はキリシタンからすれば最高位の天使だと気づいてもらえるですが、そうでなくても士気を上げることは出来ると思うです。
私を信じて進むです。私たちに勝利はあるのですから。


鈴木・志乃
人格名【鈴木・志乃】で参加

昨夜に叩き起こされたから何が起きたかと思ったよ
……納得、これは私が葬らなきゃね

空に陣取る
祈り、破魔の力を籠めた全力魔法の歌唱の衝撃波で邪なる全てをなぎ払うよ
私はそういう生命体の埒外だからね

人の世の幸福を見守る為、神に造られた光の思念体
呪詛を祈りに変える不思議な生き物
それが私

さぁ、骸の海におかえり
大丈夫、痛くないようにするから
これ以上現世に無理に留まる必要は無いんだ
最期の想いは私が見届ける

はぐれそう、又逃げる個体は第六感で察知
念動力で絶対逃がさない
一人にさせない 置いていかない

ダメだよ 必ず還す
……存在してるだけで人を呪うなんて悲しいから

安倍晴明
待ってな


尾崎・ナオ
雑魚の掃討戦、だぁいすき!
いよっし!暴れましょうかね!

水晶屍人って言ってしまえばゾンビだよね。で、猟兵は噛まれても問題なしっと。それなら、ちょっと前衛に出ようかにゃ~。普段は後衛なんだけどね、数も多いし、中央でドンドン暴れちゃおう!

「さあ!可愛いナオちゃんのオンステージ!その腐った瞳に焼き付けてね☆」
【指定UC】で高速移動。猫のような低空姿勢で戦場を駆ける。
手には二丁拳銃。猟兵の中でも鍛え抜かれた【クイックドロウ145】で早打ちをするよ。
移動も見えず、数分の1秒で発射される弾丸、お前達の目には見えまい!

同じ拳銃を複数所持。弾丸も大量にあるけど、無くなったらお気に入りのナイフで行こう♪


アカネ・リアーブル
連携歓迎

死を撒き散らす水晶屍人
これを放置しては、後の大きな禍根となります
奥羽武士の皆様、アカネも加勢いたします
ここで倒してしまいましょう!


まず最優先として奥羽武士の皆様に向かう水晶屍人を撃破
皆様を守りながら数を減らしましょう
安全圏かつ武士の皆様の射程に入るまで倒しましたら、囲い込みです

2回攻撃、なぎ払いを駆使して広がろうとする水晶屍人を一ヶ所に集めます
集まりましたら茜花乱舞で一息に攻撃
広範囲への攻撃で倒してしまいましょう
奥羽武士の皆様、今です!

殲滅が確認できましたら、勝利の舞をひとさし。
この勝利は、猟兵だけでは掴めませんでした
この戦い、皆様の力も重要となります
どうか、お力をお貸しくださいませ


加賀宮・識
一気に蹴散らせそうな数ではない、か…慎重にいく

POW

周りにいる仲間達の動きを確認しつつ、武士達にも気を配り
後方にいるのを確認する。
巻き込んでは冗談にならない

前線で戦っている仲間達の邪魔にならないよう一声かけ、ブレイズフレイムを放つ

放った焔から逃れた敵がいたら
【野性の感】【第六感】【早業】【2回攻撃】を絡め
暗月鎖で仕留める


早くここを鎮静化させ
武士達の力になればいいんだが


ビスマス・テルマール
噛まれて水晶ゾンビになると言うのは……このまま映画にでも出来そうな内容ですけど

洒落にならないですね

●POW
今年の水着コンテストで仕立てて貰った水陸両用鎧装『オーマグロ』を転送するUC

『ナメロード・オーマグロ』を攻撃力重視で発動

陸戦での試験運用を兼ねて
派手に暴れましょうか。


集団の所にご当地キック用ビスマスブレードで『オーラ防御』を纏いつつ飛び込み

黒鮪キック

後はUDCアースの房総のご当地グルメなめろうラーメン入りの
蒼鉛式ご当地ビーム砲を一体目に『零距離射撃』で押し当て

そこから押し流す様に『範囲攻撃』で『2回攻撃』で巨大な獲物を振り回す様に『なぎ払い』を繰り返し一掃を


※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●天使の祝福
 グリモアベースから転送された猟兵たちが見たのは、数百体の水晶屍人とそれを遠方から攻撃する奥羽武士たちの姿。説明で聞いていたとはいえ、この数を遠距離から全て撃破するのには相当の時間と人手がかかってしまうに違いない。
「死を撒き散らす水晶屍人……これを放置しては、後の大きな禍根となります」
 噛まれた相手を同じ水晶屍人にする敵に対し、アカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)は事の重大さを感じ、大きく頷く。そして疲弊しながらも戦い続ける奥羽武士たちに向かって力強く声をかける。
「奥羽武士の皆様、アカネも加勢いたします。ここで倒してしまいましょう!」
 戦場に現れた猟兵たちの姿と、彼らが手に持つ徳川の紋所が刻まれた天下自在符を目にした武士たちは、おお、と沸き立つ。猟兵たちの活躍は彼らの耳にも十分届いているようだ。
「皆様には決して近づけさせません」
 そう言ってアカネは奥羽武士へと近づく水晶屍人の撃破に向かう。
「相手が水晶屍人であろうと、やることは変わらないですね。戦いを始めるです」
 オラトリオのクレリック、ラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)がそう呟き、白剣を構える。幼い少女に見えるラモートだが、ある概念が肉体と自我を持った存在であり、外見と違って中身は成熟している。ただ、言葉遣いは少々子供っぽくたどたどしい。
「奥羽諸藩の武士の方々にも協力してもらうです」
 ラモートの白剣が光を放つと、光が当たった奥羽武士や水晶屍人の影が地面からゆらりと立ち上がる。
「影どもよ、主人の元を離れ従え」
 影だったものはその主と同じ姿をして同じ武器を携えていた。奥羽武士の影は弓矢や銃を。水晶屍人の影は武器こそ持たないが、その戦闘能力はそのまま引き継がれているようだ。
「なるほど、数には数ですね」
 舞薙刀で水晶屍人を蹴散らしていたアカネが頷く。とにかく数が多いので、敵味方問わず影を味方にして戦う作戦はこの状況で有効だろう。
 影の奥羽武士は噛まれて水晶屍人になる心配もない。戦闘能力は影となったものを代償として比例するため、そこまでの強さは見込めないが、それでも噛まれて水晶屍人になる心配のない影は至近距離からも攻撃が可能だ。そして水晶屍人の影もラモートに従い、同じ水晶屍人を攻撃する。
「この祝福持って討つべき敵を討ち取れ」
 翼を持つ天使の如きオラトリオの少女の祝福に、奥羽武士たちの士気も上がる。
 アカネもまた、ラモートの祝福の加護を受け、水晶屍人たちを一体一体撃破していく。影たちの動きも確認しつつ、水晶屍人が広がっていこうとすれば、舞薙刀でその足元をなぎ払い、徐々に一箇所に集めていく。
「あかねさす、日の暮れゆけば、すべをなみ、千たび嘆きて、恋ひつつぞ居る」
 優雅な舞とともに和歌を紡げば、茜の花びらが一箇所に集まった水晶屍人たちを一斉に攻撃する。
「奥羽武士の皆様、今です!」
 その言葉に、武士たちも弓矢と鉄砲で集まった水晶屍人たちを一網打尽にする。
 かなりの数の水晶屍人を倒したが、それでもまだ数多くの敵が残っている。
「私を信じて進むです。私たちに勝利はあるのですから」
 ラモートの言葉に、奥羽武士たちが威勢のいい声で応える。
 翼を持つ少女二人に導かれ、武士たちの顔から疲労の色は消え、士気を高めて目の前の敵に向かうのだった。

●祈る者、抗う者
「昨夜に叩き起こされたから何が起きたかと思ったよ……」
 鈴木・志乃(オレンジ・f12101)は眼前の光景に思わずそう呟いた。メイン人格である志乃の意識が途切れた時、その間憑依しているのが昨夜である。常々エンパイアに漂う強烈な怨念を察知しては強制起床する志乃。昨夜が叩き起こした理由はこの戦場に渦巻く無念のせいだろう。水晶屍人たちは指揮官を失った今もなお、何かを求めてさまよい続けている。
「納得、これは私が葬らなきゃね」
 力強くそう言い放ち、オラトリオの翼を広げ、空へと舞う。
 祈りと破魔の力が籠められた歌声が衝撃波となって邪なる存在――水晶屍人たちをなぎ払っていく。魔改造しまくったマイク【魂の呼び声】が歌声を響かせ、その威力を増幅する。
「人の世の幸福を見守る為、神に造られた光の思念体。呪詛を祈りに変える不思議な生き物。それが私」
 詠うように紡ぐと、呪われた存在である水晶屍人たちを聖者の慈愛をもって骸の海へと還していく。安倍晴明によって生み出された哀れな存在である水晶屍人。そんな存在だからこそ、志乃の導きが必要なのだ。
「さぁ、骸の海におかえり。大丈夫、痛くないようにするから」
 祈りが籠められた歌声は屍人たちに優しく降り注ぐ。身を滅ぼすのではない。ただ、あるべき場所へ還るだけ。
「これ以上現世に無理に留まる必要は無いんだ。最期の想いは私が見届ける」
 全てを受け入れるように。空を舞う白き翼の聖者は、全てをその目に焼き付けるのだった。
 一方、地上ではダンピールの戦巫女、加賀宮・識(焔術師・f10999)が戦況を見つめていた。
「一気に蹴散らせそうな数ではない、か……慎重にいく」
 仲間たちが次々と水晶屍人の数を減らしてはいるが、それでもまだその数は百を優に超える。
 武士たちは仲間の支援を受け、安全な場所で水晶屍人たちの掃討を手伝ってくれているようだ。他の仲間もこの多数の水晶屍人の群れを囲むようにそれぞれが動いている。
「炎を放つよ!」
 前線と上空にいる仲間に声をかけ、自身の身体から噴出する地獄の炎を水晶屍人の群れへと放つ。紅蓮の炎が瞬く間に屍人を飲み込み、その多くを骸の海へと還していく。
 水晶屍人は噛みついた相手を同じ水晶屍人にするという。識の半身も吸血鬼であるがゆえ、発作的に飢餓感に襲われることがある。人の血の方が強く出ているので、吸血行動は抑制できるが、飢餓感だけはそうはいかない。
 漆黒の髪を揺らし、炎を操る。水晶屍人は安倍晴明によって生み出された哀れな存在。吸血鬼とはまた違うが、何かを求め続ける飢餓感は同じなのかもしれない。
「抗ってみせる、どこまでも」
 自身の半身に嫌悪感を抱いてはいる。けれど、捨て子だった識を育ててくれた優しい夫婦がいた。育った里は襲われ、唯一の生き残りとなった。だから、呪われた半身に、この運命に、抗ってみせるのだ。
 ブレイズフレイムから逃れた敵がふらふらと集団から離れていくのを識は見逃さなかった。闇夜の如く黒く輝く漆黒の刀身に蒼い紋章が刻まれた鉄塊剣――暗月鎖を閃かせ、素早い連続攻撃で確実に屠っていく。
「そちらは任せた!」
 識のいる場所とは逆の方向へと集団からはぐれてふらふらと歩く水晶屍人を見つけ、上空の志乃に声をかける。
 志乃もまた、その存在を第六感で察していた。
「一人にさせない 置いていかない」
 絶対に逃がすまいと、志乃は念動力を使って水晶屍人の行く手を阻む。
「ダメだよ、必ず還す。……存在してるだけで人を呪うなんて悲しいから」
 祈りの歌声が、道に迷った幼子を送り届けるように、優しく骸の海へと導いていく。
 識は集団からはぐれる屍人がいないか、確認しながら戦場を走る。一体でも撃ち漏らせば、また大きな被害に繋がることは明白だ。
「早くここを鎮静化させ、武士達の力になればいいんだが」
 まだ数は多い。気を引き締めなおし、炎を操り、戦場を駆けるのだった。

●勝利の先に
「水晶屍人って言ってしまえばゾンビだよね」
 他の猟兵たちと協力し、水晶屍人を囲むように布陣した尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は、水晶屍人の群れを見てぽつりと呟く。
「噛まれて水晶ゾンビになると言うのは……このまま映画にでも出来そうな内容ですけど、洒落にならないですね」
 その言葉に応えるのはビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)。UDCアース辺りでは十分ホラー映画として人気が出そうなシチュエーションだ。だが、現実にあってはならない事態でもある。
「で、猟兵は噛まれても問題なしっと。それなら、ちょっと前衛に出ようかにゃ~」
 普段は後衛で距離を取って銃撃や投げナイフなどで攻撃するスタイルのナオだが、数も多いこともあって前線で戦うことを決意する。
「雑魚の掃討戦、だぁいすき! いよっし! 暴れましょうかね!」
 猫のような横髪を揺らし、にんまりと笑う。こういった掃討戦は楽しくて仕方ないのだ。
「わたしも陸戦での試験運用を兼ねて、派手に暴れましょうか」
 今年の水着コンテストでも上位に食い込んだビスマスの水陸両用鎧装『オーマグロ』。水陸両用ではあるが、陸戦での性能も試してみたいところ。これだけの敵がいればあれこれ試すにはちょうどいい。
「海と沖膾の鮪の覇者は今此処に、オーマグロ転送!」
 ――Namerou Heart Omaguro!
 ユーベルコードを発動させると、鎧装の起動音とともに、水陸両用鎧装『オーマグロ』が転送されビスマスに装着される。攻撃力を重視し、自身を強化したビスマスはそのまま水晶屍人の群れに飛び込む。
 ご当地キック用ビスマスブレードにオーラ防御を纏い、飛び込んだ勢いのままクロマグロキックをお見舞いする。攻撃力を増した一撃は、群がっていた水晶屍人を将棋倒しのように倒し、次々と戦闘不能にさせる。
「試験運用としては上々のようですね」
 陸での動きを確認し、ビスマスは満足そうに頷く。
「さあ! 可愛いナオちゃんのオンステージ! その腐った瞳に焼き付けてね☆」
 ナオもまた動き出していた。
「ナオちゃん超カワイイー!」
 自画自賛の上、相手を全力で馬鹿にする軽口マシーンと化したナオは、スピードと反応速度が爆発的に増大するのだ。猫のようにしなやかに、低空姿勢で水晶屍人の群がる戦場を駆けていく!
 手に携えた二丁拳銃から、猟兵の中でも屈指のスピードを誇るクイックドロウで目にもとまらぬ早業で弾丸が撃ちだされる。早業でありながら正確な射撃が、水晶屍人たちの額を撃ち抜いていく。
「お前達の目には見えまい!」
 迫るスピードも、放たれる弾丸も、その速さゆえ残念ながらその腐った眼に焼き付けることなく、水晶屍人たちは骸の海へと還っていく。
「さあ、どんどんいきましょうか」
 ビスマスはUDCアースの房総のご当地グルメなめろうラーメン入りの蒼鉛式ご当地ビーム砲を、手近な水晶屍人に零距離射撃で押し当て発射すると、そのまま押し流すように周囲を巻き込み連続攻撃、ビーム砲をまるで巨大な得物を振り回すようになぎ払うと、群がっていた水晶屍人たちがおもしろいように倒れていく。 
 引き続き、クロマグロキックや蒼鉛式ご当地ビーム砲でその数を減らしていくビスマス。ナオもまた、拳銃で確実に水晶屍人を屠っていく。同じ拳銃を複数所持し、弾丸も大量に用意していたのだが、それでも最後の方にはついに切れてしまっていた。それほど、ナオが水晶屍人を倒した証明でもある。
「弾がないならお気に入りのナイフで行こう♪」
 お気に入りの黒いナイフに持ち替え、素早い動きのまま、水晶屍人の急所を確実に狙って一撃で仕留めていく。
「ようやく、終わりが見えてきましたね」
 辺りを見回し、ビスマスが呟く。仲間たちもそれぞれの場所で確実に撃破し、動いている水晶屍人はもうあと僅かのようだ。
 はぐれた水晶屍人がいないか、辺りを十分確認し、オラトリオは空からも確認し、水晶屍人掃討戦はついに幕を下ろす。
「あんたたちのおかげだ。本当に助かった!」
 奥羽の武士たちは猟兵たちに言葉に尽くせない礼を述べる。
「この勝利は、猟兵だけでは掴めませんでした」
 武士たちと共に戦っていたアカネがそう微笑み、勝利の舞をひとさし。しばし疲れも忘れてその優雅な舞に見入る奥羽武士と猟兵たち。
「この戦い、皆様の力も重要となります。どうか、お力をお貸しくださいませ」
 武士たちの目に力が漲る。彼らは援軍として幕府軍に協力してくれることだろう。
 だが、この水晶屍人を生み出した存在、安倍晴明も、魔軍将たちが企てる脅威もまだ待ち構えている。
「安倍晴明、待ってな」
 戦場に満ちる無念の気配に、志乃は彼方を見つめ呟くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月12日


挿絵イラスト