生贄の花嫁と「姉」の遁走曲
#ダークセイヴァー
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●姉の決意
それは、村の決定に背くことだった。
――夜ごと村人を攫っていく「賢王」と名乗る存在に対し「生贄の花嫁」を捧げる。
それが、村の決定。そして花嫁に決まったのは妹のアナ。
(たとえ、アナを差し出すことが村の平和につながるとしても)
姉妹二人で暮らしてきた。両親は「賢王」によって攫われて、帰ってこない。
息を潜めて平和だけを祈って暮らしてきたのに、どうしてアナが選ばれたのか。
(私が、アナを守る。村に背いても、姉として守るわ)
姉であるエマはアナの手を引いて走る。
思い出の場所。あそこならきっと二人を守ってくれると信じて。
●「賢王」の「花嫁」
「一緒に助けに行ってはもらえませんか」
フロランス・リスレ(小さな翼・f01009)は猟兵たちに呼びかけた。すでにグリモアによって通路は開いている。
「行き先はダークセイヴァー世界です。ここでとある姉妹のうち、妹がオブリビオンの生贄として捧げられようとしています。妹の名はアナさん、15歳。姉の名はエマさん、16歳。仲の良い姉妹です」
生贄を阻止すればよいのか、と聞く猟兵に対してフロランスは少し困った顔を作った。
「それが……お姉さんのエマさんが妹のアナさんを連れて村から逃げ出したのです。今、村の大人たちが捜索隊を作り血眼になって二人を探しています。二人が見つかれば、アナさんは生贄として捧げられるでしょう。ですが、生贄が捧げられたくらいで、オブリビオンの活動が終わるとは思えません。
猟兵の皆様にまずしてもらいたいのは村の捜索隊より先に姉妹を探し出し保護すること。
その後、おそらくアナさんを狙って襲いかかるオブリビオンたちを倒すこと」
フロランスはお願いします、と猟兵たちに頭を下げた。
●姉妹の思い出
「二人は『思い出の場所』に隠れているということが見えました。二人の思い出の場所は村外れの水車小屋かと思われます。まだ捜索隊が村外れまで行っていないのは幸いなのですが、水車小屋は三つあります。赤の風車小屋、青の風車小屋、黄の風車小屋。どれに潜んでいるか、そしてどうやって潜んでいるかは不明です」
捜索隊を水車小屋まで近づかせない者、そしてどの水車小屋に潜んでいるか探す者、猟兵の手が多いほど姉妹の安全は守られるだろう。
二人を狙うオブリビオンに関しては二人を救出した後に話が聞けそうだ。フロランス自身もオブリビオンに関してはわからないと首を振る。
「寒い冬、凍るような水車小屋の中で恐怖に身を寄せ合っている姉妹をなんとかして助け出してあげてください。お願い致します」
碧海
碧海と申します。
ダークセイヴァー世界にて、姉妹と村を守っていただければと思います。
姉妹の「思い出の場所」は村人に聞いてもよいですし、捏造も歓迎です。プレイングなどで当方が判断しますので是非色々な案を持ち寄っていただければと思います。
プレイング締切時間などは、お手数をかけますがマスターページをご確認くださいませ。
またアドリブ可能と書いていただけると、安心してプレイングが書けます。大丈夫という方は一筆添えていただければ幸いです。
ご参加、心よりお待ちしております。
第1章 冒険
『消えた花嫁』
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POW : 捜索隊を押し留める。
SPD : 手当たり次第にいろいろな場所に出向いてみる。
WIZ : 手がかりを元に居場所を推理する。
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルトリウス・セレスタイト
知ってそうな者にでも聞くか
自身は潜伏して界識で村人を探る
姉妹の行きそうな場の話が出ないか注意
出なければ気取られぬよう村の者に触れて真影で情報を聞き出す
知っていそうな者、或いは姉妹がいそうな場について
あたりが付いたら向かう
村人に先を越されそうなら適当な場所を怪力で崩すなどして時間稼ぎ
姉妹を発見したら手短に説明し回廊で安全確保
※アドリブ歓迎
六道銭・千里
生贄か、そういうんはあんまり好きちゃうわ
二人共助けたらななぁ…
風車は他の猟兵が見てくれるやろ
俺は、捜索隊の邪魔させてもらおうか
あんまり手荒なんは得意ちゃうけどな…
【冥銭術・陰】で姿を隠して【忍び足】と併用
こっそりと捜索隊の首を一人ずつ手刀で気絶【グラップル&気絶攻撃】
どっかに【地形の利用】隠して一人ずつ消えていく様を演出することで
混乱を招いて足止め&捜査の邪魔するで…
アドリブ、絡み歓迎
ルトルファス・ルーテルガイト
……『人身御供』、そんな風習がこの世界には残ってるのか。
…いや、果たして捧げる相手は人か…はたまた『悪鬼』か?
(鋭く冷たい視線で、今は見えない標的を見るように)
(姉妹捜索側担当)
…痕跡として足跡が残っているか調べる、地面が砂や草で覆われて判断付きづらいなら、『エレメンタル・ファンタジア』の『風の突風』を呼び、砂や飛ばせる草を飛ばす。
…砂は飛んでも、地面に食い込んだ足跡の砂まで飛ばせるものじゃない。…直に、足跡の形状に残った砂だけが残るから…それを辿ってどの風車小屋に向かったかは判断してみる。
ベアトリーチェ・アデレイド
若い娘を花嫁を差し向けて己の安寧を確保するなど
なんて愚かなのでしょう
それに対してエマ様の勇敢で美しい事
必ずお二人をお守りしましょう!
村外れの水車小屋にお二人は隠れているとの事
村人の方ならもっと詳しく知らないかしら?
嘘も方便、話を聞いて捜索隊のお手伝いをしてるという事にしましょう
彼女達と年の近い少女ならば話を知っているかもしれませんわね
もし、情報を渋るようでしたら次は貴女が選ばれるかもしれませんわよ?
とちょっと脅しも加えて
有力な場所の情報を手にいれましたら、二人の身柄を確保しに水車小屋へ
わたくしの愛しき人形、ダンテと共に参ります
彼女達を見つけたらわたくし達は賢王を退治しに来たと伝えますわ
四季乃・瑠璃
本体:緋瑪、分身:瑠璃
瑠璃、緋瑪共に姉妹を犠牲に助かろうとする村人達へ嫌悪の念を抱いている(特に緋瑪は顕著)
逆に姉妹に対しては非常に同情的
捜索隊の妨害。
村の中心辺りでボムを爆竹仕様で炸裂。最初はにこやかに対応。驚いて集まった村人達に自分達が賢王を倒すから姉妹を生贄にするのをやめてと伝える。
引っ込んでろ、等言われたら、手近な空き小屋等を接触式ボムで吹き飛ばし、普段の陽気さが潜み、本気の殺意を込めて黙らせる。
黙らないヤツは一瞬でダガーや拳銃を急所に付きつけて力づくで…
緋瑪「わたしさ、他人に犠牲押し付けて自分達は助かろうとする、そんな人達大っ嫌いなんだよね……今ここで殺してあげようか…?」
アドリブ可
シエル・マリアージュ
生贄の花嫁、天に見初められた乙女と呼ばれ教団の闇を背負わされた身としては他人事とも思えぬ話です。
ですが村の決定を批難はしません。抗う力を持たない村人には苦渋の決断であった事でしょう。
他の猟兵とも協力して、姉妹とこの村を救いましょう。
隠れるなら普段は人の出入りがない場所と考え【追跡】と【情報収集】で人の行き来がなさそうな風車小屋を選んで捜索。
風車小屋では屋根裏のような場所に姉妹が隠れていると考え、アラクネの紅玉を蜘蛛型にして屋根裏に行ける道がないか捜索、【目立たない】ように【暗視】や【視力】を活用して光は控えめにして姉妹を探す。
姉妹を見つけたら優しく話しかけます。
「逃げないで、助けに来たの」
アーレイラ・モンクスフード
先ずは村人の捜索隊相手ですか、できるなら人にユーベルコートを振るいたくないので用意しません。
人気の無さそうな黄色の水車小屋に行き、姉妹が居ないのを確認したら、堂々と出入り口の封鎖を始めます。他の世界のホームセンターで買った悪目立ちする色の日曜大工セットでトンテン。
捜索隊が来たら、入口を塞ぐ手を止め立ちふさがり
「ここには姉妹は居ませんよ?」
身体で押しとどめようとして、大人数殺到してきたら諦めて道を空けます。捜索隊が探し回るために皆中に入ったら…
本気出して重いモノ持って入口封鎖します。
「居ないと言ったのに、信じる心が足りませんね」
化け物がここまでくるも良し、他に言ったなら側撃を狙いましょう
カチュア・バグースノウ
POWで、捜索隊を押しとどめる
「こっちには来てないわよ」
「あっち、…いや、こっちだったかしら」
「そっちはあたしたちが調べてきたわ」
言葉で翻弄する
怒るならどんと来いよ
二人を見つけてるみんなのためにも、ここで留めてやらなきゃね
風車小屋に行きそうになったら
そっちはオブリビオンがいるわよ!
言うことを聞かないなら、力づくよ
(そう、見られたくないから行かせないのよ)
(二人を必ず助けてやらなきゃ)
アドリブ歓迎
古高・花鳥
(アドリブ可能)
大切な姉妹、家族を。護りたいという気持ちはわたしも知ってますから
わたしは捜索隊の手伝いを装って村の人達から思い出の場所の手がかりを聞き出します
「コミュ力」が使えるかも知れません
だいたいの方向だとか、ちょっとしたことだけでも欲しいです
手かがりを掴めたら捜索へ向かいます。他の捜索隊に見つからないよう「忍び足」を活用しましょうか
仮に小屋を見つけ入っても、隠れている筈です
警戒心を解くために、身の上話をしたり、「優しさ」を試してみます
わたしを信じてくれたら、姿を見せてくれるかもしれません
そしたら、持参した暖かいお茶やわたしの外套で暖をとってもらいましょう
こんなにも寒い冬空の下ですもんね
アンナ・フランツウェイ
村を守る為とはいえ、こういうことがあるから人や世界が嫌いになる…。とはいえ姉妹達は被害者だし手助けはする。
行動はPOW。痕跡を偽装し、時間稼ぎをする。
まず捜索隊がいない内に姉妹の家へ入り、使っていない靴を持ち出す。その後水車小屋がある場所とは反対方向へ出向き、靴で足跡を付けた後その場に靴を置いて痕跡を偽装する。後で文句を言われたら謝る。
痕跡を偽装したら、外から来た旅人を装い捜索隊に接触。捜索隊に痕跡を発見したと伝え、その場所へ誘導。水車小屋方面への捜索を少しでも遅らせたい。
●妨害
猟兵たちが村へと降り立つと、村人たちは猟兵に気づかないくらい大騒ぎでエマとアナの姉妹を探しているようだった。
(村を守る為とはいえ、こういうことがあるから人や世界が嫌いになる……)
アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は無表情ながらも、村人たちの様子に嫌悪感を抱く。
だが、今回の村のやり方に嫌悪感を抱いているのはアンナだけではなかった。
(生贄か、そういうんはあんまり好きちゃうわ。二人共助けたらななぁ……)
六道銭・千里(六道陰陽師・f05038)も捜索の村人たちに紛れながら浮かない表情だったし、四季乃・瑠璃(瑠璃色の殺人姫・f09675)も村人たちへと嫌悪の念を隠さない。
捜索隊への対応へ回ったカチュア・バグースノウ(蒼天のドラグナー・f00628)は皆のそんな空気を感じながら、息を吸い込んだ。
(二人を必ず助けてやらなきゃ)
そのためにも、まずは村人たちの捜索隊を翻弄し、妨害する必要がある。
カチュアが見る限り、村人たちは焦っているのか個人個人で姉妹を探しているようだ。これならば翻弄できそうだ。
一人の村人が近づいてきたので、カチュアは憂い顔で首を振った。
「姉妹を探しているのかしら。こっちには来てないわよ」
「そうか。どっちのほうで見かけた?」
「あっち、……いや、こっちだったかしら」
「ありがとう」
村人は特に不審にも思わないらしい。別の方向へと探しに行く。
(二人を見つけてるみんなのためにも、ここで留めてやらなきゃね)
と、その村人ががくりと膝をついて倒れるのが見えた。
カチュアが目を見開くと、千里の姿が現れる。どうやら【冥銭術・陰】で姿を消していたようだ。千里は地形を利用して、倒れた村人を隠していく。
「あんまり手荒なんは得意ちゃうけどな……」
千里が肩をすくめると、カチュアが逆に笑った。
「じゃあ、いざというときの力づくはあたしが担当するわ」
「そりゃ助かるな。俺は影に隠れて、一人ずつ消えていくさまを演出して混乱を招くで」
「おい、そこの二人」
ふいに村人が二人に声をかけた。二人は聞かれたか、と顔を見合わせる。
「村外れは調べてきたか? 村人の数も減っている気がするんだが」
「そっちはあたしたちが調べてきたわ」
「ああ、おらんかったな」
カチュアと千里が頷いてみせると、村人は頭を掻きながら村の中心へと歩いていく。
「六道銭流の隠遁術ってな……」
千里が再び【冥銭術・陰】で姿を消し、忍び足で村人に近づく。そのまま首を手刀で仕留めた。倒れた村人をまた隠す。
こうして少しずつ村人の数は減っていく。
アンナは姉妹の家の中を探し回る村人たちに紛れて、姉妹の使っていない靴を持ち出した。
そのまま水車小屋とは反対方向へと出向き、足跡を丁寧に作り出す。つまり、姉妹の痕跡の偽装だ。
(姉妹たちは被害者だし、手助けはする)
まるで姉が妹の手を引いて走ったような足跡を作ると、その先に靴を置いた。足跡に気づいて靴を脱ぎ捨てたかのように。
アンナは改めて、緑の髪で顔を隠すように村へと入った。村の外からきた旅人を装う。案の定、捜索をしていた村人がアンナを見咎めた。
「旅人か? 今、姉妹を探しているんだが……」
「ああ、痕跡を見た」
「本当か?」
何人かの村人がアンナの誘導に従って水車小屋とは反対の方向へと向かう。痕跡を追い、靴が追いてあるのを見て、村人たちは悩んだようだった。
「どうしたんだ?」
「いや……村の外は『賢王』さまの土地だ。自らそこへ行ったのなら……」
(本当に、こういう世界が嫌いになる)
アンナが顔をしかめたとき、村の中心あたりで大きな音が聞こえた。
村の中心で起こったのは爆発――正確に言えばボムの炸裂だった。爆竹のように大きな音を立てたそれは、捜索の手を止めて、村人たちが驚いて集まるだけの威力を持っていた。
大音量の場にいたのは瑠璃と緋瑪、今の主体は緋瑪が握っている。
瑠璃はただにこやかに笑うだけだ。緋瑪はにっこりと笑って声を張り上げた。
「わたしたちが、『賢王』を倒してあげる! だから、姉妹を生贄にするのはやめてほしいな☆」
友好的に行った提案は、死が近づいていると焦った村人たちに一蹴された。
「引っ込んでろ!」
「『賢王』さまを倒すなど、不可能だ!」
「ふーん?」
緋瑪は一瞬にして表情が変わった。手近な小屋の残骸をボムで吹き飛ばしてみせる。
「黙ってよ……」
緋瑪から立ち上るのは本気の殺意。目つきから先刻の陽気さが潜む。
「だ、黙っていられるか! 俺たちの命がかかってるんだぞ……」
一人の無謀な村人が緋瑪へと声をあげた。瞬間、緋瑪は村人へと距離を詰める。喉元へとダガーを突きつけた。
「わたしさ、他人に犠牲押し付けて自分達は助かろうとする、そんな人達大っ嫌いなんだよね……今ここで殺してあげようか……?」
村人たちは静まり返る。
ほとんどの村人たちはその場で動けなくなったのだった。
●接触
アーレイラ・モンクスフード(ダンピールのクレリック・f02061)はまっすぐに人気のなさそうな黄色の水車小屋へと向かった。
捜索の手はここまで及んでいない。中を覗けば姉妹の姿もない。
確認が終わると、アーレイラは他世界のホームセンターで買った悪目立ちする色の日曜大工セットを取り出す。極彩色のそれらはダークセイヴァー世界では非常に浮いていてよく目立つ。その影響力にアーレイラは満足すると、出入り口を塞ぐために堂々と板を打ち付け始めた。
軽快な金槌の音にアルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)が最初に顔を出した。
「何をしているんだ?」
「このとおり、入り口を塞いでいます」
アーレイラは笑顔でそういうだけだ。アルトリウスは首を傾げながら、村人に接触するべく潜伏する。
そうしている間にもアーレイラの日曜大工は進む。
今度現れたのは村人二人の捜索隊だ。
「何をしているんだ?」
「ここには姉妹は居ませんよ?」
アーレイラは身体で出入り口を隠すようにする。あからさまに怪しいその仕草に数人の村人が集まってきた。
「この女が隠そうとしているようだ」
「姉妹はきっとこの黄色の水車小屋にいる、開けろ!」
強引にアーレイラをどかそうとする村人たち。アーレイラは諦めたように道を開ける。村人たちが中を探し回るために皆中に入ったら……。
(今ですね)
今度は本気で重いものを持ってきて、出入り口を封鎖する。さらに上から板で封じるため、また金槌を振るった。中から「出せ」という声が聞こえる。
「居ないと言ったのに、信じる心が足りませんね」
(……『人身御供』、そんな風習がこの世界には残っているのか)
ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は鋭く冷たい視線で、今は見えない標的を探るように呟く。
「……いや、果たして捧げる相手は人か……はたまた『悪鬼』か?」
どちらにしろ、まずは姉妹を捜索する必要がある。
ルトルファスは地面にひざまずいた。痕跡として足跡が残っているか調べようとするが、枯れた草や砂などが邪魔をする。
ルトルファスは【エレメンタル・ファンタジア】で『風の突風』を呼んだ。制御の難しいユーベルコードではあるが、森も守り人たるルトルファスはそれを成功させる。枯れた草や砂が飛び散ると、地面に食い込んだ足跡だけが残る。
「……こっちか」
ルトルファスは顔を上げた。青の水車小屋が見えた。
アルトリウスは村人たちに紛れ込み、気取られぬように村の者に触れた。その瞬間にユーベルコード【真影】を使う。
(来い)
村人の二重身が現れ、アルトリウスの傍に控える。村人の二重身にアルトリウスは姉妹のいそうな場所を問いかける。
「水車小屋だろうか……青色の水車小屋はよく二人が遊んでいたから」
見れば、その村人本人も水車小屋へと向かおうとしているようだ。アルトリウスは回り道をして、道を崩すことにした。
姉妹を探索している者へと情報は巡る。
青の水車小屋。
後は、姉妹を保護するだけだ。
●保護
(若い娘を花嫁に差し向けて己の安寧を確保するなどなんて愚かなのでしょう。それに対してエマ様の勇敢で美しい事)
ベアトリーチェ・アデレイド(永遠の淑女・f10669)はどこか感心したようにほぉ、とため息をつく。
(必ずお二人をお守りしましょう!)
彼女も、姉妹と年の近い少女から青の水車小屋の情報を聞き出したところだった。ベアトリーチェの愛しい人形、ダンテと共に、青の水車小屋へと向かう。
(生贄の花嫁、天に見初められた乙女と呼ばれ教団の闇を背負わされた身としては他人事とも思えぬ話です)
シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)はダークセイヴァー世界の暗い空を見上げながら思う。
(ですが、村の決定を批難はしません。抗う力を持たない村人には苦渋の決断であった事でしょう)
共に水車小屋へと歩く古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)も胸元を押さえて思う。
(大切な姉妹、家族を。護りたいという気持ちはわたしも知ってますから)
青の水車小屋へとたどり着いたのはルトルファス、アルトリウス、ベアトリーチェ、シエル、花鳥。ルトルファスは捜索隊が来たときのために外へ残り、アルトリウスは出入り口付近の番を申し出た。
「エマ様、アナ様」
小声でベアトリーチェがダンテと共に名を呼ぶ。返る声はない。
シエルがアラクネの紅玉を取り出した。蜘蛛型にすると屋根裏などを探索させ始める。
水車小屋の中に緊張が走ったのが花鳥にはわかった。
「聞いてほしいんです。私も両親を亡くし、弟妹を育ててます」
だからこそ、花鳥は優しい声で姉妹に語りかけた。
「皆、お二人を助けたくてここにきています。敵ではありません、味方です」
かすかな音がした。シエルのアラクネの紅玉が反応する。水車小屋の隅、一人の少女をかばうように、もうひとりの少女が立ち上がった。
「逃げないで、助けに来たの」
シエルが優しく話しかける。花鳥が息を飲んで、勇気を振り絞り、姉妹へと近づいた。立ち上がっている少女――おそらくは、姉のエマだろう――が、びくりと花鳥を見る。
花鳥は自分の纏っていた外套を取ると、遠い距離からエマへと差し出した。
「こんなにも寒い冬空の下ですもの。まずは暖を取ってください」
エマは手を伸ばした。花鳥の外套を受け取り、それを背後のアナへとかける。
花鳥が続いて持参した温かいお茶をふるまっている間に、ベアトリーチェは優雅なお辞儀をした。
「エマ様、アナ様。わたくし達は『賢王』を退治しに来た者ですわ」
「……え?」
「わたくし達を信じてくださいませ。わたくし達はお二人の味方ですわ」
声を聞いたのだろう、出入り口からアルトリウスが顔を出した。
「二人が信じてくれるのであれば、俺が二人を守ろう。とある空間に二人を隠すことで、無事を保証する」
アルトリウスが【回廊】を展開しようとすると、エマは首を振った。
まっすぐにそこにいる猟兵たちを見る。
「妨害をしている皆さんの声も聞こえました。私は、皆さんを信じたいです。でも、私たちが隠れたままなら、『賢王』は他の村人を襲います」
エマとアナの二人は深く頭を下げた。
「私たちを、囮として使ってください。これから襲い来るモノについても、少しはお話できるかと思います」
成功
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第2章 集団戦
『篝火を持つ亡者』
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POW : 篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「『賢王』の手下として、まず亡者の群れが現れます」
震える妹・アナを抱きしめながら、気丈にも姉・エマが話し出す。
「亡者の群れは篝火が目印です。この暗い中ならすぐにわかります。村の外にぼおっといくつも灯るんです」
エマが青い水車小屋の小さな窓から、あのあたり、と指を差した。
「群れを倒せば、おそらく『賢王』も気づくでしょう。まず、亡者の群れを倒していただけますか」
エマは震える身体を抑えるようにアナを抱きしめて、猟兵たちを見上げた。
「……皆様が、倒しにきてくれたって、私たちの希望だって、信じてますから」
ルトルファス・ルーテルガイト
…姉妹の話が誠なら、間もなく【賢王】とやらに会えるわけだが。
…人の形を成してるのか、それとも…文字通り「人でなし」か。
…まあ、まずはこの亡者共を始末するのが先か。
(戦闘方針)
…あの篝火が奴等の力の源なのだろう、どうにか力を削ぐ方法があれば。
…【エレメンタル・ファンタジア】で【水の洪水】を発生し、【属性攻撃】の【全力魔法】を、【高速詠唱】でもって…奴らが動く前にたたく。
…篝火にあたって消えるのならよし、そうでなくとも…しばらく敵の周囲は水にぬれて、そう簡単に燃やせる様にはできない筈だ。
アルトリウス・セレスタイト
どうせなら目立っておくか
これだけ光って見せれば、引きこもりの賢王陛下も迷子にならずに来れるだろう
真理で強化の後、破天で面制圧攻撃
高速詠唱と全力魔法で、此方へ進軍する群れの頭を押さえる形に叩き付ける
一歩も寄せ付けないくらいのつもりで斉射
篝火の影も多少届きにくくなるかもしれん
味方に当てない程度には考えて撃つ
近接されても気にせず続行
上下から撃つなど味方への被害が出ないよう考えつつ撃ち続ける
ベアトリーチェ・アデレイド
あぁ、自分達を囮にと申し出るなんて…
わたくし、感動いたしました!
えぇ、お任せくださいませ
お二人は、指一本触れさせませんわ!
「さぁ、ダンテ!
貴方の美しい雄姿を見せてくださいませ!」
彼女たちの情報を頼りに篝火の群れを見つけたら攻撃を開始する
ダンテをブラッド・ガイストで強化して敵を攻撃
篝火の影対策に、ダンテを影に触れさせないよう腰のベルトにライトを取り付け影を照らす
カッコ悪い?気にしなくってよ!
ダンテが美しければそれでいいのです
あぁ、炎を使うなんて忌々しい
自身が消したくなれば宜しいのね
それなら、炎を産み出すものを片っ端から消せばその意志も消えますでしょう
勇気ある美しい姉妹の期待、必ず答えてみせますわ
四季乃・瑠璃
【ダブル】で二人で連携。
本体:緋瑪、分身:瑠璃
敵出現地点の地面に手分けして軽く埋める、草影に隠す等して遠隔起爆式のジェノサイドボム(以下ボム)を設置。
手下が出現し切った辺りで起爆して第一陣を吹き飛ばし、その後は二人で【範囲攻撃】【2回攻撃】の接触式ボムで敵を殲滅。爆破を掻い潜って来る敵はK100とダガーの【クイックドロウ】【2回攻撃】【見切り】で迎撃、始末する。
普段は殺戮を楽しむ緋瑪だが、今回は賢王と村人達への怒りが収まらず、非常に不機嫌。姉妹を除く全て吹き飛ばす勢いで殲滅していく。
「この子達に手を出すヤツ等…全て殺してあげる…。手始めにキミ達全部、殲滅させて貰うよっ!」
「緋瑪、落ち着いて…」
古高・花鳥
(アドリブ可能です)
良かった、お二人が見つかって本当に良かったです
あとは根元の敵を倒すだけ、お二人を安心させてあげられますね
もちろん油断はしませんが、わたしよりもずっとずっと強い猟兵の方が何人もいるんですから
最初「忍び足」により斥候役を務めます
数が多い場所から対応できるよう、皆さんにも伝えなくては
戦闘では「先制攻撃」「忍び足」も活用し、囲まれる前に各々を奇襲して斬ります
多数を相手にするのはわたしでは危険です、斬り込めないとなったら他の方のサポートへ
敵が放ってくるであろう炎は、ごく最近の依頼にて炎を斬ることができるようになりました
とっさの防御の際には「捨て身の一撃」と同時にこの防御を試みたいです
六道銭・千里
亡霊退治……それなら俺の得意分野やな
【破魔】の力の霊符で祓おうか
数がおるなら【範囲攻撃&誘導弾】でできるだけ多く倒すように
囲まれへんように動きながら攻撃や【逃げ足&ダッシュ】
俺の羽織は【火炎耐性】があるから火の攻撃は羽織で受けるように【オーラ防御】
余裕があれば味方への【援護射撃】もな
囮にされそうになったのに村の人の事を思ってええ子やな…
任せとき、六道銭家長男、六道銭・千里が助けたる【覚悟&気合い】
アドリブ、絡み歓迎
アーレイラ・モンクスフード
ここまでは良し。小屋に閉じ込めた村人に声をかけて退治に向かいます
「申し訳ありませんでした。これより『敵』を倒します。隠れていてください。」
篝火の進路を確認、青の水車小屋に向かっているかを確認してから、側面か背後を取れる位置に移動し、魔法を打ち込めるよう待ち伏せします。
「晴天の霹靂より酷いですよ?」
左手に大鎌、右手に魔導書持って、全力魔法を群れの真ん中当りに、『氷』の『ダウンバースト』を打ち込みます。
天からの撃ち下しの後、突風での2回攻撃で被害を与えます。
こちらに来るまでに高速詠唱で間に合わせて再攻撃も狙います。
近接されたら武器戦闘に切り替え他の猟兵の方が叩きやすいよう
退くフリでおびき寄せます。
●
(良かった、お二人が見つかって本当に良かったです)
斥候役をかってでた古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)は内心ほっとしながら、忍び足で進んでいた。
(あとは根元の敵を倒すだけ、お二人を安心させてあげられますね。もちろん油断はしませんが、わたしよりもずっとずっと強い猟兵の方が何人もいるんですから)
すぐに花鳥の表情は引き締められた。枯れた木に身を隠して花鳥は見えた篝火の多さに息を飲む。
亡者たちは猟兵のいることには気づいていないだろう。正面に横並びで村を囲むように歩いてくる。形としては逆三角形のような形だ。我先に獲物を狙うために、後ろへ行けば行くほど亡者の数は少なくなっている。
(数が多い場所から対応できるよう、伝えなければと思いましたが……これは正面攻略が妥当ですね)
側面を見れば、黄色の水車小屋の前に小さな人影が見える。アーレイラ・モンクスフード(ダンピールのクレリック・f02061)だ。左手の大鎌を振る姿は、こちらは任せてと言っているようだ。
花鳥は丁寧にアーレイラに頭を下げると、皆へと伝えるために再び猟兵たちの元へと戻る。
姉妹のいる青の水車小屋の前では猟兵たちが押し寄せる篝火を見ていた。
姉妹も水車小屋の前で戦いを見守ると言ったのだが、六道銭・千里(六道陰陽師・f05038)とベアトリーチェ・アデレイド(永遠の淑女・f10669)の二人が中にいるように説得をした。
「囮にされそうになったのに村の人の事を思ってええ子やな……」
「あぁ、自分達を囮にと申し出るなんて……わたくし、感動いたしました!」
千里とベアトリーチェは姉妹の態度に感じ入るものがあったらしい。顔をあわせ頷くと、姉妹へと向き直る。
「任せとき、六道銭家長男、六道銭・千里が助けたる」
「えぇ、お任せくださいませ。お二人には、指一本触れさせませんわ!」
千里とベアトリーチェの言葉に礼を言いながら、姉妹は水車小屋の中に隠れた。
水車小屋の前では一人――いや二人の少女が手分けして、遠隔起爆式のジェノサイドボムを設置していた。四季乃・瑠璃(瑠璃色の殺人姫・f09675)が現在は副人格、本体は緋瑪に譲っている。土に軽く埋めたり、草陰に隠したりして、ボムは巧みに隠されていた。
緋瑪は非常に不機嫌そうだ。未だ賢王と村人たちへの怒りが収まらないのだ。緋瑪は普段、殺戮を楽しむことが多いだけに瑠璃も少し困惑気味だ。
他の面々は広範囲に設置されたボムに巻き込まれないよう、周辺に散らばっていた。
花鳥の報告に面々は頷く。村の被害を抑えるためにも、ここで派手に戦うのがよさそうだ。
篝火が近づいてくる。
(どうせなら目立っておくか。これだけ光って見せれば、引きこもりの賢王陛下も迷子にならずに来れるだろう)
アルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)は「時」の原理を纏う。ユーベルコード【真理】。自身の能力を強化し、さらなるユーベルコードを引き出す。
「行き止まりだ」
ユーベルコード【破天】。突き出した手から青く輝く魔弾の弾幕を放った。篝火と青の光が混じり合う。
接敵。轟音。
近接攻撃の者が駆け出す。
希望を取り戻すための戦いが始まる。
●
(……姉妹の話が誠なら、間もなく【賢王】とやらに会えるわけだが)
赤褐色の外套を翻しながら、ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は篝火を見据える。
(……人の形を成してるのか、それとも……文字通り「人でなし」か。……まあ、まずはこの亡者共を始末するのが先か)
精霊術を操るルトルファスにとっては、亡者の篝火は嫌悪感を抱かずにいられない。
(あの篝火が奴等の力の源なのだろう、どうにか力を削ぐ方法があれば)
火に対抗するには水だ。ルトルファスは【エレメンタル・ファンタジア】で水の洪水を発生させる。全力魔法、高速詠唱――それは、亡者が仕掛けて来る前に叩くため。
アルトリウスの青い魔弾の上から、水が押し寄せる。一瞬、視界はすべて水に染まり、そして水音と共に、亡者たちの周囲は水に濡れた。
火攻めを狙っていた亡者たちは、たじろぐように足を止める。
そこへ飛び込んだのは千里とベアトリーチェだ。
(亡霊退治……それなら俺の得意分野やな)
「ルトルファス、水車小屋の前以外のとこ濡らしてもらえんやろか?」
「……わかった」
ルトルファスは駆け出す。それは水車小屋前へと亡霊をおびき寄せるためだ。
千里はその背を確認すると、霊符を構えた。
「六道銭家の基本術や」
【霊符弾・散】。無数の霊符が放たれ、亡者たちを祓っていく。
「さぁ、ダンテ! 貴方の美しい勇姿を見せてくださいませ!」
ベアトリーチェは【ブラッド・ガイスト】で、愛しいダンテを強化する。ダンテはベアトリーチェの期待に応えるように優雅に舞った。白銀の刃で亡者を踊るように斬り捨てていく。
ベアトリーチェは腰のベルトにライトを取り付け、亡者たちの影を照らした。
(カッコ悪い? 気にしなくってよ! ダンテが美しければそれでいいのです)
薄暗い世界でライトに照らされ戦うダンテは、まるでスポットライトがあたったかのように美しい。共に駆けるベアトリーチェと高速のダンスを踊っているかのようだ。
(勇気ある美しい姉妹の期待、必ず答えてみせますわ)
一方、黄色の風車小屋にいるアーレイラは、中に閉じ込めた村人たちに声をかけた。
「申し訳ありませんでした。これより『敵』を倒します。隠れていてください」
水車小屋の中で暴れていた村人たちが静かになる。アーレイラは微笑んだ。
すでに、敵の側面をとっている。魔法も十分届く距離だ。
左手に大鎌、右手に魔導書。
「晴天の霹靂より酷いですよ?」
篝火を見、祈るように放つ言葉。
「我が左手の大鎌よ、力を統べよ。我が右手の晴天よ、魔たる力を解放せよ。星は晴、晴天聖典共に堕す。黎明薄暮混じり合え、顕現せよ混沌!」
ユーベルコード【星天渾沌呪】(セイテンノカオスブリンガー)。篝火の上に氷が生まれ、ダウンバーストを打ち込んだ。落下で氷が砕け、その破片が亡者たちに突き刺さる。
一部の亡者たちがアーレイラのほうへ進路を変えた。アーレイラは風を呼び、亡者たちを切り裂いていく。
近づく亡者には水車小屋を背にして退くふりをみせた。距離を詰める亡者。
そこへ突風のように花鳥が走り込んだ。奇襲だ。アーレイラへと放たれた炎を花鳥は見据える。
「月下抜刀、一の太刀! やぁっ!」
【月下抜刀流・花鳥一閃】。気合の居合抜きは炎を斬り、一気に亡者をも斬り捨てた。そこへアーレイラが再度、ユーベルコードを叩き込む。
倒れ崩れ行く亡者を見て、花鳥はまた別の場所へ走っていく。アーレイラも場所を変え、攻撃を続ける。
ルトルファスの水が亡者たちの行く先を狭め、そこへアルトリウスの青い魔弾が何度も降り注いだ。
それでも進軍する亡者を忌々しそうに緋瑪が見ていた。
あと、数メートル。あと数センチ。カウントダウン。亡者がボムの範囲に入る。緋瑪は遠隔起爆でボムを爆破した。第一陣の亡者が吹き飛ばされる。
それを合図に緋瑪と瑠璃は駆け出した。接触式のボムで残る亡者たちを殲滅していく。
至るところで起こる爆発。かいくぐる亡者にはアルトリウスの魔弾が降り注ぎ、緋瑪のK100が火を吹いた。
「この子達に手を出すヤツ等……全て殺してあげる……。手始めにキミ達全部、殲滅させて貰うよっ!」
「緋瑪、落ち着いて……」
瑠璃が声をかけるが、緋瑪の怒りは収まらない。
最後の亡者を仕留め、篝火が消えるまで、緋瑪は手を止めることも怒りを消すこともなかった。
●
数体の亡者が戻っていくのが見えた。『賢王』へと報告をするのだろう。
それでも、村を覆い尽くさんばかりの亡者の群れは消えた。
猟兵たちは暗い空を眺める。遠く、不気味な唸り声が聞こえる――。
成功
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第3章 ボス戦
『不服従の賢王』
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POW : 贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠揺歌語・なびき」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『賢王』は意外な姿で現れた。
それは、空から。大きな猛禽類の翼を広げ、爪を開き、そして狡猾な目元を仮面で隠して。
高い、高い、響く鳴き声。空をも覆い尽くすほどの薄灰の羽。
死を呼び、啄む姿で、空から猟兵を見下ろし、多くの「死」を欲する。
不服従の賢王。
それが名前らしいと、水車小屋の中から姉、エマの声がした。
アルトリウス・セレスタイト
頭が高いぞ猛禽
地に伏して見上げるがいい
姿を認め次第静止で拘束
飛行中に自由を奪って引きずり下ろす
凌がれるなら真理で状態異常力強化の後に再度拘束
足りないなら足りるようにするまでのこと
先手を取られるようなら預言で回避を試みる
何れにせよ目立って自身が賢王の目標となる算段
他への注意が疎かに為れば、残る者が隙を突いて始末するだろう
ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ、絡み歓迎)
(空からくるその『賢王』を一瞥して)
…確かに広義的には『賢者』の部類かも知れんが、人どころか猛禽とはな。
…以下に凶悪さに満ちたとはいえど、人ならざる存在に人の存在が脅かされるのは、気に食わんな。
(遠距離攻撃型)
…偉そうに王冠かぶって空を制覇している気なら、一度地に伏す気分を味合わせてやる。
…『エレメンタル・ファンタジア』で、『氷の竜巻』をあの猛禽の近くに発生させて、氷で翼にダメージを与える、ないしは吹き荒れる竜巻で空を事由に飛べなくさせてやる。
…空にいるのが不利、と思わせて奴が地上に降りてくれれば、他の猟兵の攻撃が優位に働く様になるはずだ。
ベアトリーチェ・アデレイド
ここが正念場というやつですわね
お二人にはこれからご自分がお好きな方と結ばれてもらいますわ!
お前の花嫁なんかに勿体なくってよ
ダンテを操り、近接戦で攻撃させる
葬られる孤独を使用してきたら、ダンテに庇ってもらう
ダンテには死の恐怖などありはしない
お前にはダンテに傷一つつけさせられなくてよ
闇の嘆きを使用してきたらミレナリオ・リフレクションを使用して模倣
あぁ、黒百合の中で舞うダンテ!なんて美しいのかしら
贄の叫びを使用したら、亡者を無視して賢王を狙う
亡者が賢王を庇うようならダンテに亡者を相手させ、
自分は賢王を攻撃
戦闘終了後は
エマ様、アナ様に怪我がないか聞く
自由になれたのですもの素敵な恋をしてくださいませね
アンナ・フランツウェイ
ヴァンパイアかと思ったら鳥だったか…。どちらにせよ姉妹の為にここで断罪する。
空を飛んでいるなら地上に引きずり下ろす。そうすれば他の人も戦いやすくなるはず。
賢王に向け咎力封じを放ち、他の二つは良いから拘束ロープを巻き付け、全力でロープを引いて地上に叩き落とす。咎力封じを放つ際に見切りも使い賢王に軌道を読んで確実に命中させたい。
地上に下ろせたら断罪剣・ラストブラッドを賢王の翼へ、ニ回攻撃を使って振り下ろし空を飛べない様にさせたい。余裕があるなら傷口をえぐるで傷を深くしてやる。
・アドリブ歓迎です。
四季乃・瑠璃
「これが賢王、ですか…」
「どんな相手かと思ったら鳥じゃない!ハッタリも良いとこだね!(…けど、わたし達と相性は悪そうかな)」
嘆きの花びらと蛇の塊は接触式ボムでまとめて吹き飛ばすとして…問題はこっちの攻撃も当て難いところかな…。【クイックドロウ】【2回攻撃】のK100で翼か頭部の撃ち落としを狙うけど、飛び回られると当て難い…。銃撃を掻い潜ってきたところでカウンターで接触式を叩きつけるか、閃光式の目眩ましで叩き落とすよ!
相手の動きを止めたら【高速詠唱】から【全力魔法】【エレメンタルファンタジア】!敵をぜんりょくの「業火」の「竜巻」に閉じ込めて逃げ場を無くし、焼き尽くすよ!亡者も残さず燃え尽きろ!!
六道銭・千里
あれが賢王か…まさか鳥とは予想外やったわ…
けど、まぁどんな姿であれ関係あらへんわ
そんな死が欲しいなら俺が黄泉路へ送ったるわ
今までの生贄になった人の分の罪、償わせたる…!【気合い】
鳥やったらこいつはどうやろ【投擲】する護符に電撃纏わせて(属性攻撃)【誘導弾】で避けにくいように攻撃(範囲攻撃)
飛び回りにくい様な攻撃で味方が攻撃を当てれるよう【援護射撃】や
『おっと、好き勝手飛ばさせはせえへんわ!』
味方への攻撃は俺が霊符で結界張って(オーラ防御)盾になろうか(かばう)
墓場の亡者が出てきたら賢王は皆に任せてそっちの足止めに向かうわ(破魔)
ちゃんと、安らかに眠り…
アドリブ・絡み歓迎
アーレイラ・モンクスフード
今更ながらアドリブ可です
側撃を行ってその位置から直行したら読まれそうなので少し回り込んでから戦闘に加わります
飛べる敵なので基本は銃形態の武器で戦います
最初の一撃は狙いすまして、翼を撃ち飛行阻害を狙います
以降は牽制の乱射で敵に回避行動取らせ、他の方のユーベルコードを打ち込む隙を作っていきます
もし敵が地上まで降りてくる、低空までくるようなら大鎌形態のリーチと空中戦闘で叩き切ります
敵が通常攻撃に慣れてきたら、銃弾全弾乱射後銃を手放し両の掌を向け
高命中のユーベルコードの片手ずつの2回攻撃を試みます
無事に倒せたら、閉じ込めた人の開放から水車小屋の片づけして帰ります
「一握の希望に成れたのなら良いのですが」
古高・花鳥
(アドリブ絡み可能です)
大きな、フクロウ?でしょうか
意外な姿ですが、驚いている暇はありませんね。
絶対に負けませんから。あの姉妹のお二人のためにも、村の人々のためにも。
空中への攻撃手段を持っていないので、地上に降りてくるか他の方が降ろすまで皆さんの援護に入ります。
わたしの攻撃に対して放ってくるであろう【葬られる孤独】に加え【闇の嘆き】が空中からの飛び道具でしょうか。このふたつは、【居合域】で感知、斬り落としていきます。
わたしの刀では1m程しか領域を出せませんので、皆さんの周りを駆け回り、「かばう」ように「先制攻撃」の感覚で「見切り」をしながら対応します。
賢王が地上に来れば【花鳥一閃】を当てます。
●空から地、そして空へ
羽音が聞こえる。
空中からの攻撃に有利を見出しただけ、それは「賢王」と言われるだけの知能は持っているのだろう。
(……確かに広義的には『賢者』の部類かも知れんが、人どころか猛禽とはな)
ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は冷ややかな目で上空を見上げた。
(……如何に凶悪さに満ちたとはいえど、人ならざる存在に人の存在が脅かされるのは、気に食わんな)
鳥ということに驚いているのは四季乃・瑠璃(瑠璃色の殺人姫・f09675)も同じだった。
「これが賢王、ですか……」
瑠璃が呟けば、別人格であり、現在の主人格でもある緋瑪は勢いよく言う。
「どんな相手かと思ったら鳥じゃない! ハッタリも良いとこだね!」
内心、自分たちとは相性が悪いかな、と冷静に分析しながら、緋瑪はボムを手で弄ぶ。
(あれが賢王か……まさか鳥とは予想外やったわ……。けど、まぁどんな姿であれ関係あらへんわ)
六道銭・千里(六道陰陽師・f05038)も飛んでくる姿を見、そこで一度気合いを入れ直す。
(そんな死が欲しいなら俺が黄泉路へ送ったるわ。今までの生贄になった人の分の罪、償わせたる……!)
古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)は刀の柄を握りしめ、空を一度瞬きして眺める。
(大きな、フクロウ?でしょうか。意外な姿ですが、驚いている暇はありませんね)
少しだけ、水車小屋を振り返り、そして一度深呼吸して、賢王を見据える。
(絶対に負けませんから。あの姉妹のお二人のためにも、村の人々のためにも)
アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)も鳥ということにかすかな驚きを覚えていた。
(ヴァンパイアかと思ったら鳥だったか……。どちらにせよ姉妹の為にここで断罪する)
拘束ロープを構え、上空の「賢王」を睨みつける。
(空を飛んでいるなら地上に引きずり下ろす)
そう、落とせばいいのだ。その結論に達した猟兵たちは多く、それぞれがそれぞれの武器を手にしていた。
目視できた距離から、少しずつ戦闘のできる距離へと近づいてくる賢王。
一番手で動いたのはアルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)だった。
「頭が高いぞ、猛禽。地に伏して見上げるがいい」
賢王の周囲から不可視の理の鎖を放つ。意思と世界を切り離す原理の楔が刻まれる。それは、賢王の羽ばたきを一瞬だけ止めた。
ユーベルコード【静止】。空中で自由を奪えば、いかなるオブリビオンといえども落下するしかない。
手が届く範囲まで賢王は一度落ちるが、すぐにアルトリウスのユーベルコードを打ち破った。また上空へと舞い上がり、黒百合の花びらを生み出す。花鳥が駆け出した。
「ふぅーっ……集中!」
花鳥が精神を集中させ、抜刀する。その瞬間、アルトリウスを中心に球状の領域を作り出した。
黒百合の花びらがアルトリウスめがけ、襲いかかる。それを瞬時に切り裂く花鳥。ユーベルコード【居合域】。すぐにアルトリウスの脇を駆け抜け、他の人のかばいへと走る花鳥へ、アルトリウスはかすかに微笑んだ。
賢王へは次の攻撃が降り注ぐ。ルトルファスの【エレメンタル・ファンタジア】だ。
(……偉そうに王冠かぶって空を制覇している気なら、一度地に伏す気分を味合わせてやる)
氷の竜巻が賢王の周りで荒れ狂う。吹き荒れる竜巻。氷が翼に突き刺さり、竜巻が空を自由に飛ぶことを困難にさせる。
そこへ、アンナの【咎力封じ】が放たれた。拘束ロープが空を舞い、賢王の足を捕縛する。
(捕まえた)
全力でロープを引いた。賢王は翼を大きく広げ、羽ばたく。緋瑪の閃光式の目くらまし弾が炸裂した。空が一瞬、昼のように明るくなる。鳥には効果のある攻撃だ。
落下する賢王。落ちたところへ走り込んだのはベアトリーチェ・アデレイド(永遠の淑女・f10669)だ。
(ここが正念場というやつですわね。お二人にはこれからご自分がお好きな方と結ばれてもらいますわ! お前の花嫁なんかに勿体なくってよ)
操るのは愛しい人形、ダンテ。落ちた賢王へとステップを踏むように距離を詰めると、銀の剣を振るった。
賢王が一声鳴く。同時に現れる黒百合の花びら。
「お前の攻撃など、お見通しですわ」
抗するはユーベルコード【ミレナリオ・リフレクション】。ベアトリーチェは正確に同じ黒百合の花びらを作り出し、攻撃を相殺した。
黒百合の花びらの中、ダンテが舞うように賢王の羽を貫く。
(あぁ、なんて美しいのかしら)
銀の髪をなびかせ、華麗に攻撃をしかけるダンテをベアトリーチェは恋する乙女の瞳で見つめる。
賢王にもまだ、余力は残っていた。
羽に傷を追いつつも、一声鳴くと、また上空へと羽ばたく。その羽ばたきは驚くほど力強く、先刻と同じ高さまで昇っていく。
(間に合いましたね)
側面から攻撃を行った関係上、位置を読まれると推測したアーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)が回り込んで皆と少し離れた位置に立った。
銃を構えると、狙いすまして翼を撃つ。上空へと上がっている途中の賢王は回避に失敗した。アーレイラは微笑むと、牽制の乱射を始めた。
何度だって地に落とせばいいのだ。
●地へ落とす
アーレイラの乱射に合わせるように、緋瑪もK100で当てづらいながらも翼を撃とうと試みる。
それが、賢王の隙につながった。
千里が投擲する護符に電撃をまとわせる。その護符が賢王の周囲を囲んだ。賢王が避けようとすると護符に当たり、空中で姿勢を崩す。
「おっと、好き勝手に飛ばさせはせえへんわ!」
千里の護符を援護するように、ルトルファスの氷の竜巻が再び放たれる。竜巻は賢王の上下をとらえ、空中での動きを封じ込める。
ユーベルコード【真理】を使って、自身を強化したアルトリウスは、再び【静止】を試みた。
「じっとしてろ」
理の鎖が賢王の動きを封じる。羽ばたきが止み、落下、氷の竜巻へと巻き込まれ、羽が飛び散った。
けれども、地に落ちるぎりぎりで賢王の動きが戻る。アンナの攻撃はわずかに届かない。
悔しそうに賢王を睨みつけるアンナ。そこへ賢王が「死の恐怖」を放つ。かばったのはダンテだ。
(ダンテには死の恐怖などありはしない。お前にはダンテに傷一つつけさせられなくてよ)
ベアトリーチェがアンナに寄り添い、賢王を見据える。
その賢王へ、両の掌を向けたのはアーレイラだ。
「薄暮を掌る者が命ず、黄昏の光よ偉大なる力の彼の者を穿て」
片手の掌からそれぞれ光の逆十字が生み出され、それが賢王の両羽をそれぞれ穿った。ユーベルコード【エピックベイン】。
今度こそ、賢王は地面に落ちる。だが、地面で何度も羽を動かし、黒百合を飛び散らした。
千里が周囲に霊符で結界を貼り、痛みを受け止める。
居合域で一部の攻撃を切り裂いた花鳥が、千里の様子に刀を収めた。
「六道銭さん!」
「大丈夫や、ぱぱっとかたづけや!」
花鳥は頷くと、賢王へと突進し、逆手の居合斬りを放つ。
「月下抜刀、一の太刀! やぁっ!」
ユーベルコード【月下抜刀流・花鳥一閃】が、賢王の片翼を斬る。花鳥が場を譲ると、次に駆け込んだのはアンナだ。断罪剣・ラストブラッドはアンナの処刑兼拷問用の剣だ。鋸の歯のようになったその剣で、アンナは痛みを与えながら、賢王のもう片翼を折る。
瀕死の賢王は最後の抵抗に出た。王冠をかぶった頭をもたげ、高く鳴く。
先刻倒された亡者の中から、一体が立ち上がった。賢王の忠臣のように賢王の前に立ちふさがる。亡者が動くより早く緋瑪が高速詠唱を行った。
全力の【エレメンタル・ファンタジア】。業火の竜巻が賢王を閉じ込めて、逃げ場をなくす。
「亡者も残さず燃え尽きろ!!」
緋瑪の叫びが村に響き渡る。再度、亡者の黒百合が舞った。業火がそれを巻き上げる。
千里が破魔の護符を放つ。それは亡者へと突き刺さった。
「ちゃんと、安らかに眠り……」
亡者が崩れれば、もう賢王は頭をもたげることもなく、炎の中に消えた。
●そして、希望に
その場から最初に動いたのはアーレイラだった。
「水車小屋へと行ってから戻ります」
彼女は、閉じ込めていた人を解放し、黄色の水車小屋の片付けをするという。
皆から離れたところで、アーレイラは姉妹を振り返った。
「一握の希望に成れたのなら良いのですが」
呟きは暗い空にかき消える。少なくとも、黄色の水車小屋には彼女が守りきった村人たちが待っている。
姉妹の隠れている水車小屋の扉を開けたのはベアトリーチェだった。
「エマ様、アナ様、お怪我はありませんか?」
妹のアナは泣きながら頷く。嬉し泣きだ。姉のエマは涙をためた瞳で猟兵たちを見渡した。
「窓から、全て見ていました。こんな奇跡があるなんて思ってもみませんでした。ありがとうございます」
自分たちを見捨てなかった、そして村を救ってくれた猟兵たち。
ベアトリーチェはダンテを見上げ、微笑んだ。
「自由になれたのですもの、素敵な恋をしてくださいませね」
アナがその言葉に頬を染める。エマはようやく笑った。笑いながら、気丈な姉が涙を零した。
太陽の光は届くことはない。
けれども、希望の光は届くのだ。諦めなければ、いつだって。
手を振る姉妹に、猟兵たちも手を振り返す。
姉妹の日常を取り戻した猟兵たちの表情も明るかった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年01月05日
宿敵
『不服従の賢王』
を撃破!
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