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エンパイアウォー㉒~異形に封じられた魂

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●縛鎖
 そこはただ、昏い闇の中だった。いや、いくつもの小さな明かりが星のように瞬いている。その星空とは違う様相に戸惑う。ガタリという音と共に地平から立ち上る細い光の柱。さらにガタガタと柱が太くなり、その向こうから真っ黒な巨人が現れた。
 よく見れば少しくたびれた農民といった風情の男。手には細長い棒をいくつも抱えている。光で周りがはっきりしてくると、ここはどうやら粗末な小屋のようだと判った。簡素な敷物の上に刀や槍などの武器が所狭しと並べられている。どれも一様に同じ模様の札が貼られているのが見えた。
「……これが仲間だって言われてもよォ……」
 入り口近くにしゃがみ込んだ男は、ガチャガチャと金属音を響かせながら手にしていた武器を列の続きへと連ねていく。
「死んだやつが武器に宿るだとか、偉ぇお方の考えるこたァわかンねェな……よっ、と」
 ぶつぶつと愚痴を呟いている間に仕事を終え、立ち去って行く。僅かな隙間から差し込む光に照らされた武器のいくつかが、妖気を纏い茫と青く光った。


●戦争
「皆様、ようこそおいでくださいました」
 真白のローブに身を包んだ涅・槃(空に踊る人工の舞姫・f14595)が皆を出迎える。
「皆様の活躍で幕府軍にも余裕が出来、服部忍軍は敵方風魔忍軍の拠点を発見することが出来ました」
 立体映像の地図に発見された拠点を追加していく。猟兵たちを労わるようにふわりと微笑んだ。
「これらを襲撃するための準備が進められている最中ですが、逆に服部忍軍が殲滅させられる未来が予知されました」
 別の投影機で映し出されたのは予知で視た景色の再現CG映像だ。
「こちらは、集められた武器に肉体を失った兵士の魂を封じ込め、新たな戦力とする試みが行われていた拠点です」
 つまり、人工ヤドリガミ製造――実際はオブリビオンの召喚だ。服部忍軍が殲滅に至る理由はオブリビオンが敵方にいるのを看破できずに彼らだけで乗り込んだ事。それならば。
「皆様にお願いする事は、服部忍軍と共に現地へ赴いてのオブリビオンの撃破ですわ」
 服部忍軍は風魔忍軍を、猟兵はオブリビオンを、それぞれ相手に敵拠点を制圧するのが目的となる。早急に敵の目と耳を潰し、自軍の情報網を守らねば、今後の作戦に支障が出るだろう。
「では、合流場所までお送り致します。どうか皆様に武神のご加護があらんことを」


宮松 標
 こんにちは、宮松 標です!戦争シナリオ2本目ですよぉ!
 まとめて返そうとすると、執筆文字数が減る事に気付きました!
 なので出来るだけ随時個別に返したい所存です!頑張れ自分!

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 拠点内をウロウロしてると武器がふらふら出歩いてるので、へし折ってください。お相手に希望がありましたら、プレイング先頭に種別をどうぞ!
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第1章 集団戦 『兵器百般』

POW   :    騒霊カミヤドリ
【纏っている妖気の色が血のような赤】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ひとりでに動く武器
【念動力で浮遊すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【自身が持つ武器としての機能】で攻撃する。
WIZ   :    武器の知恵
技能名「【武器攻撃】【武器受け】【戦闘知識】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。

イラスト:童夢

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「お静かに願います、猟兵の方々」
 転送陣を抜けると森の中の僅かに開けた場所だ。猟師の格好で出迎えた代表者は、清忠(きよただ)とだけ名乗った。互いに手短な挨拶を済ませ、移動を始める。
「お探しのあばら屋は拠点最奥にございます。拙者が案内仕ります故……」
 数歩歩き出したところ前方でザザッと木の上から人が降ってきた。斥候か、監視か。敵に気取られぬよう響かない小さな、だがくっきりとした声で告げる。
「報告! 目標倒壊!」
「判った。――急ぎましょう」
 まるで予定通りとも言うように頷き、猟兵へ促すが更にもう一人現れる。
「中身の武具が散り散りに逃走! 敵方に混乱が見られます!」
「な……?!」
 今度ははっきりと驚愕の色が滲む。苦々しい表情で瞼を閉じ、数秒後に開いた時には冷静ながら決意を秘めた顔つきになった。すぐさま何かを取り出し空に投げる。
「突入!」
 それはもくもくと色のついた煙を吐き出しながら放物線を描き、木々の向こうへ落ちていく。慌しく動き出す気配。猟兵たちが訳も解らず忍たちの行動を見守っていると、唐突に爆発音が響き喧騒がどっと広がった。
「猟兵の方々、多少予定を変更して敵陣の人気の少ない所を強行突破致す」
 清忠は一刻の猶予もないとばかりに強い語調で告げると踵を返した。オブリビオンが悲劇を引き起こす前に討ち取らなくては。猟兵たちも清忠の後を追って走り出した。
櫻庭・阿山
※アドリブ歓迎

死者の魂を器物に封じ込めるなんざ、そんなの器物ともヤドリガミとも言えないじゃないか
許しておくわけにはいかないね

器物軍団の相手には同じく器物が相応しい
忍軍の武器を借りて【百器夜巧】で擬似ヤドリガミを召喚するよ

「さあ、我が魂の欠片を宿し【百器夜巧】よ! 現われな!」

【視力】を活かして札の場所を見極め、なるべく器物本体を破壊せずに封じられた魂を追い出すことが目標だ
『兵器百般』でなくなった武器を【百器夜巧】によって自軍に取り込み、こちらの戦力を増やす狙いさ

可哀そうだが、それが難しい相手は擬似ヤドリガミに鎚や鉄塊を使わせて壊すしかないね
戦争が終わったら打ち直してやるから、我慢しとくれ



 建物を迂回していると、意識のない敵忍の武装解除を行っている一角に出た。その場にいる友軍へ櫻庭・阿山(無数の瞳を持つ魔妖・f14179)が訊ねると、丁寧に応えてくれる。
「ああしておかないと、何を隠し持っているか判りませんから」
 ふんどし手前までひん剥いたところで、短刀や毒針が出てきたと声が上がる。それらの武器は籠や桶などにまとめられて監視されていた。それを見て思案を巡らせる阿山。
「猟兵殿! 向こうに!」
 周囲を警戒していた忍がオブリビオンの発見を知らせてくれる。そちらを一瞥して視線を戻し、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
「この武器、しばし借り受けるよ」
 そう告げてUCを展開する。目に見えない何かが阿山から押収した武器へと流れたような。
「さあ、我が魂の欠片を宿し【百器夜巧】よ! 現われな!」
 ガタガタとその身を震わせながらふわりと宙に浮かび上がると、まるで親元に駆け寄る子らのように阿山の下へ集う。それらを引き連れて様子を窺えば、オブリビオンは未だ行く宛てを見出せずに留まっていた。
 ぼんやりと空を振り仰いでいるような風情の一団に向けて、阿山は最大スピードで距離を詰める。遅れることなく数名の服部忍軍が追随する。途中の角へ先に滑り込んで出したのは”行け”の合図。
 ようやくこちらに気付いたオブリビオンは、そのほとんどが風魔忍軍の持つ刀だった。慌てふためくような挙動をしている。借り受けた武器の擬似ヤドリガミを先行させ牽制。その間に阿山が見極めるのは封印札の場所。
 柄に巻きついた札を見つけ、手近なクナイが突き刺さる。細い白煙が立ち上ったと思うと封印札が一瞬にして燃え尽きた。周囲では鋼と鋼のぶつかる音が響き、激しい鍔迫り合いがそこかしこで繰り広げられている。
 そして地面で跳ねる一振りの刀。また不可視の何かが阿山から分離し、転がった刀へと吸い込まれた。少しの間を置いてゆらりと浮き上がり、先ほどまで寄り添うように隣接していた刀へ攻撃を始める。
 作戦は順調に進んでいた。最後に大太刀が一振り残っている。中々の手練れが宿っているのだろう。大きな図体を縦横無尽に翻し、あらゆる攻撃を躱し続けているのだ。札を狙っていてはいつまでかかるか判らない。
 服部忍軍のギャラリーが現れ始めている。深呼吸をひとつ。腕を水平に前方へ伸ばし、外へ払った。
 直後、大太刀の周囲に金床や鎚などの鍛冶道具が現れ。重々しい音が腹に響き、甲高い断末魔が僅かに鼓膜へ届く。擬似ヤドリガミたちを引き、大小の破片に砕かれた大太刀を見下ろした。柄を拾い上げ、そっと呟く。
「戦争が終わったら打ち直してやるから、我慢しとくれ」
 その囁きは優しく頬を撫でた風が吹きちぎっていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

龍ヶ崎・紅音
アドリブ歓迎

【POW】

「ふぅーん、いろんな武器が漂っているのね。まぁ、どんな武器でもオブリビオンと変わりないし、全部へし折ってあげるね!!」

弓などの射撃武器はホムラを弦などに狙いを定めて【槍投げ】で、
刀や槍などの白兵武器は黒焔竜剣壱式で【武器受け】などを駆使して群がってきたところを【なぎ払い】でへし折るよ
あと、もしかしたらいるかもしれない盾型の浮遊オブリビオンには、『地裂岩断撃』で叩き割るね
だいたいは、この戦法でオブリビオンの群れを殲滅していくよ

また、オブリビオン群を相手に苦戦している服部忍軍を【かばう】よ
できれば、苦戦してた忍びには今後のために一時後退してくれるとありがたいけどね



 敵陣の外縁部に沿って疾駆する龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)と案内役の忍。今、怪我人を集めた簡易救護所付近にオブリビオンが現れたと報告を受けて急ぎ駆けつけるところだ。きっと苦戦しているに違いない。
「あれです!」
 まず見えたのは宙を舞う様々な武器。それから左手前で怪我を負いながらもなんとか押し留めている友軍――服部忍軍。
「後は任せて!」
 右手に乗せた小竜が槍へと姿を変える。紅蓮の炎を纏った白銀のドラゴンランスを投げつけた。狙うは奥で射る体勢の弓型オブリビオン。赤黒い閃光が空気を切り裂き押しのけ、敵味方が切り結ぶ最前線の真っ只中へ斬り込んでいく。
 変化した相棒ホムラの背を見送りながら胸元の紅い徴へそっと触れる。呪印。黒焔が噴き出して剣の柄を形取った。恐れる事なく掴み横薙ぎに一閃。愛用の大剣が姿を現す。向こうでは槍が弓の弦を断ち切り矢を炎が包んでいた。
 投げた槍が斬り拓いた陣形の隙間に滑り込む。新手に対応すべく、何本かが切っ先の向きを変える。背後で怪我人を中心に撤退していく気配。
「ふぅーん、いろんな武器が漂っているのね」
 太刀・短刀・薙刀・槍・矢だけでなく、鎌や高枝切鋏など多種多様な得物が一斉に紅音目掛けて僅かな間合いを詰めて首を獲らんとする。
「まぁ、どんな武器でもオブリビオンと変わりないし」
 大剣で器用に受け止め、逸らし、叩き落とす。地面で跳ねたところを蹴り飛ばして。気付けばぐるりと囲まれた。両の手で大剣を握り直す。
「全部へし折ってあげるね!!」
 水平に構えて薙ぎ払う。まともに喰らった武器は打ち砕かれて、もの言わぬ器物と化す。慄くように戸惑いを見せるもの、纏う妖気を滾らせるもの。まとめてもう一振りして仕留める。
 全て叩き折ったと思われた時、木の板が建物の陰からゆらりと現れた。それは人一人が隠れられる程度の大きさ。表にはどこかの家紋が描かれている。もしかして垣盾というものだろうか。
 元々防衛のためのものがオブリビオンとなって性能は跳ね上がっているはず。紅音は生半可な攻撃では斃せないと踏んだ。腹の底に届く深呼吸をひとつ。
「その澄ました顔、叩き割ってあげる!!」
 飛び蹴りのように角を向けて飛来する盾。しっかと握りこむ一挙動で力が身体中に満ち、吼える。大剣の重みを活かしフルパワーでド真ん中に振り下ろした。
 接触した一瞬は拮抗するが、生じた衝撃波で地面が抉れるほどの圧力に素材の方がもたない。びしり、とヒビが入るやいなや、大きな音を立てて真っ二つに割れて地面へ叩きつけられた。
 反響した音が引き起こす耳鳴りが止み静寂が降りる。ホムラが傍に寄り添い。ここにいたオブリビオンは全て骸の海へ還った。仄かに竹の青臭さを残して。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
※人格名『鈴木・志乃』で参加

なんてことを……
武器に魂を封じ込めるなんて!

ああ、もう、効くかどうか分からないけれど
そんな自由意志を無視したやり方
私が見過ごせる筈がない
UC発動
【祈り、破魔】を籠めた【全力魔法】の【衝撃波】で、その死者を冒涜する術式を【なぎ払う】よ
お願い、誰かを傷つける前に止まって!!

敵攻撃は【第六感】で【見切る】
……霊なんだから第六感は相性が良いはず
光の鎖で【早業武器受け】からの【カウンターなぎ払い】
【呪詛耐性も籠めたオーラ防御常時発動】

必要あれば周囲の器物を【念動力】で動かし
盾として運用
常に周囲に気を配り、遮蔽物を近くに身を隠して立ち回る

必ずその体から助け出す
こっちに、来て



 目の前の敵陣外縁部を睨み、鈴木・志乃(オレンジ・f12101)は呼吸を整えながら歩いていた。形相は鬼の如く。全身から立ち上るオーラは、殺気と呼んで差し支えないだろう。
「武器に魂を封じ込めるなんて!」
 死してなお戦いのために現世へ縫い留められる。物言えぬ武器にその魂を縛り付けて。恐怖と絶望でその心を支配されて。理不尽、などと一言では到底表しきれないやり方。志乃はなんてことを、と激しく憤っていた。
 ふと歩みを止める。足先十数センチのところに侵入者用の罠が仕掛けられていた跡があった。既に服部忍軍によって解除されていて、傍目には何ひとつ変わらないように見える。
(効くかどうか分からない。けれど……)
 両の手の平に視線を落とす。封印の札が呪縛の効果ならば、破魔で解除が可能な筈だ。グッと拳を握りこみ、目を閉じて深呼吸する。鼻腔をくすぐるのは夏の草いきれ。風に乗って届くのは戦いの喧騒と鉄錆のような匂い。
 先ほどまで溢れていた感情のうねりがスッと隠れる。代わりに湧き上がるのは慈悲。誰も傷つけないでいて欲しいという祈りにも似た。開かれた眼に湛えられた強い意志の輝き。
 再び歩き出す。周囲の警戒を怠らずに。無人を確認し、建物や木々の陰から陰へと隠密行動をとる。どこかで決着がついたのだろうか、響く雄叫びが空気だけでなく、足裏をも伝って届く。
 風が梢を揺らした。何気なく振り仰ぐと、金属質の反射光。身体の赴くままに横っ飛びすれば、三本の槍が地面へ突き刺さっている。ヒヤリと冷たい汗が背中を滑り落ちた。
 素早く距離を取る間に槍がふわりと動く。見えない誰かが構えた、ような気がした。不可視の幻影は槍の使い手か、はたまた槍自身か。般若の形相で血の涙を流していた”誰か”は。三本のうち近い側の一本が突進を仕掛けてくる。
 上段から斬り下ろして薙ぎ払う、そんな予感。建物に立てかけられた板きれを念動力で盾にしようとするも間に合わず避けられてしまう。思ったよりも早い。横薙ぎの一撃を光の鎖でなんとか受け流す。
 振り抜ききる瞬間の隙を狙い、光の鎖を伸ばして薙ぎ払う。接近していた二本とまとめて衝撃波を叩きつけた。縛めを解く『破魔』と沈静化の『祈り』を乗せて。
「お願い、止まって!!」
 連続する破裂音。槍に貼られた封印の札が弾け飛んだ。死者を冒涜するおぞましい術式の綴られた札が。槍はそのまま地面へ倒れこみ小さく跳ねて、夏の日差しが届かぬ日陰へと転がり込む。
 ずわりと槍から霧のようなものが染み出た。それが集まり人の形を成す。ふわりと現れたのは、三者三様の笑みを浮かべる武士。解き放たれた魂。次の瞬間には消えていた。ほんの一瞬の出来事だった。けれど、それで充分だった。
 確かな手ごたえを胸に、志乃は駆け出した。まだ敵陣に潜む、オブリビオンを探して。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊能・為虎
※アドリブ歓迎だよー!

武器に……?わんちゃんと似たような感じ?(どうなんだろうね、と〈疾駆する狗霊〉の首に話しかける。向こうもこてんと首を傾けた。首だけなのに傾げた。)
わんちゃんと協力して、【ダッシュ】で走りつつ、勢いをつけた妖刀の【なぎ払い】で武器さん達に攻撃していくよ

(やたら楽しげに武器を砕く狗霊に、やっぱ向こうと同類じゃないのかもと思ったり)

武器さんの攻撃は、わんちゃんに教えてもらって(【第六感】)【ジャンプ】や【ダッシュ】で回避がんばるね。僕らどっちかに意識が向いている時の【フェイント】も狙えそうなら狙ってこー。



「やあっ!」
 すれ違いざまに妖刀で薙ぎ払い、駆け抜ける。背後を取ろうとした刀をわんちゃんが噛み砕いた。前方から現れた槍の突きを、軽々と飛び越えて回避する。
 左右から迫る何本もの短刀。伊能・為虎(天翼・f01479)とわんちゃんは後頭部を合わせるようにそれぞれ敵と対峙した。

 少し時を遡る。オブリビオンの捜索をするついでに救護拠点へ物資を配達することになり、数人の忍と一緒に荷物を運んでいた為虎。着く直前に拠点が移動したと知り、移転先へ届けようとなった。
「武器に魂を封じ込むって、どんな感じなのかな?」
 何気ない疑問が為虎の口を突く。同行の忍たちが一様に思案顔となる。召喚術とは違う、式神はどうだ、憑依術が近いんじゃないか、などと様々な推理が飛び交った。為虎も妖刀に憑く狗霊のわんちゃんをUCで呼び出し話しかける。
「うーん、わんちゃんと似たような感じ?どうなんだろうね」
 一人と一匹で首を傾げあう。忍たちが感嘆するような物珍しげな眼でわんちゃんを眺める。何故なら首から上だけだったから。胴体があればこその仕草を、器用に再現してみせている。よく分からない、という顔で。
 皆で会話に夢中となって周囲の警戒を怠っていたのは事実だ。

 ふと周囲の敵の数が、倒す以上に減っている気がした。甲高い金属音がこだまする。そう遠くないところで誰かが戦っているようだが、確かめている暇はない。
「みんな、ちゃんと逃げられたかな」
 随行していた忍たち。オブリビオンが襲ってきた時に見せた身のこなしは流石忍者と目を見張った。だから大丈夫、と不安を切り捨てる。
 僅かな道筋を見出して走った。為虎が道をこじ開け、わんちゃんが背中を守る。時には狗霊が前に庇い、隙を狙って妖刀で薙ぎ払う。艶やかになびく髪。軽やかに翻るスカートの裾。力強く振られる切っ先の鋭さ。
 演舞の如く流れる動きは、実に鮮やかで。真夏の陽射しの下、可憐な妖刀使いは首だけの狗霊と共に勝気な笑みを浮かべて次々とオブリビオンを葬る。
 薙ぎ払い、叩き折り、へし斬る。呪詛を含む咆哮。牙は全身を蝕む呪い。敵が慄いてもむしろ好機とばかりに距離を詰める。狗霊が、妖刀が、的確にオブリビオンを捉えたならば、その攻撃は全て一撃必殺に転じた。
 手元にぶら下がる黒毛緑眼のマスコットの揺れが小さくなり止まる。観客の木立が盛大な葉擦れの拍手を送る。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェミルダ・フォーゼル
・アドリブ歓迎

私の力が戦争にどれだけ通用するか分かりませんが、少しでも皆さんのお力になれる様に微力を尽くしましょう。

周囲を警戒しながら戦場を進みます。
敵が現れたら【破魔】の力を込めてUC【神盾】使用。召喚した六角形の盾の内、半数を組み合わせて巨大な盾を形成。【オーラ防御】し敵の攻撃を受け止めます。
残り半数は、敵武器の剣腹に撃ち込み叩き折る斧として使用。
炎に見えますが、その実態は質量を持った熱量。一種の力場です。攻防一体の武器として使います。

敵の攻撃力や防御力が高ければ、盾同士を合成。体積をそのままに、質量と熱量の密度を倍増させて対抗します。

今、その檻を破壊して解放します。後はどうぞ安らかに。



 生き残った敵が隠れているかもしれない。フェミルダ・フォーゼル(人間の聖者・f13437)は注意深く辺りの気配を探りながら、引き続きオブリビオンを探して進む。
 建物の陰から覗いた時。向かい側の家屋の屋根から数人の忍が荷物を抱えて飛び降りた。あの装束は友軍のものだ。そのまま見守っていると、後ろを気にしながら走り去ろうとしたタイミングで、オブリビオンが彼らの前に現れた。
「うわああああ!」
 フェミルダはすかさず六角形の炎を召喚して投げつける。間一髪。両者の間に割り込む事に成功した。直後に複数の炎がオブリビオンに肉薄し距離を取らせる。
「服部忍軍の方ですね。お怪我はありませんか?」
 炎を組み合わせて盾としながらある程度まで近付いた。
「猟兵殿! た、たすかった……」
 張り詰めていた緊張の糸が切れたらしく、へたり込む。ひとまず敵は槍型が一体だけに見える。リーダーらしき一人に向けてフェミルダが質問した。
「この一体だけですか?」
「我らを追ってきたのは、こいつだけのようです」
 まだ他にいるような口ぶり。
「別の猟兵殿と医術用品を運んでたところにそいつらの大群に出くわしてしまって。猟兵殿が逃がしてくださったんですが、若い女の子一人なので……」
 一気にまくし立てた後、心配そうな、悔しそうな顔を俯かせる。
 オブリビオンは何度か盾に突進したりしていたが、攻撃が通らないと悟ったらしく、今は攻め方を考えあぐねているようだ。そこを取り囲み逃げ道を塞ぐ。
「わかりました。この後で応援に向かいましょう」
 忍たちから安堵の息が漏れる。いくつもの六角形が同時に槍を襲い、木っ端微塵にした。
 忍たちと別れ、教えてもらった方向へ進路を取る。木立の辺りから激しい剣戟の喧騒が聞こえてきた。そこへまるで逃げ出してきたようにオブリビオンが結構なスピードで飛び出してくる。ざっと二十に足りるかどうか。忍たちが言っていた大群の一部だろうか。
 六角形の盾を展開する。それは破魔の力を持つ、炎のように揺らめく六角形のエネルギー体。半数は防御に、残り半数は敵を叩き折る戦斧として。
「今、その檻を破壊して解放します。後はどうぞ安らかに」
 十七の戦斧が一斉に刀や槍を押し潰し、叩き斬り、へし折る。数の都合上残った三又の槍が奮闘する。しかし圧倒的な戦力差によって、骸の海へと還るまでそう時間はかからなかった。

 しばらくして制圧完了の報が全域を駆け巡り、服部忍軍と共に作戦成功を喜んだ。この後の捜索や調査は彼らに任せれば良い。猟兵たちは帰路へと着く。

●●●おしまい●●●

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月14日


挿絵イラスト