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エンパイアウォー⑯~無限之夢幻

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎 #夕狩こあら

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「信長に仕える『第六天魔軍将』達は、幕府軍を壊滅させる企みを各々持っている様だが、その居場所は未だ不明だった。だが、君達がエンパイアの各地を巡ってオブリビオンを討伐し続けた甲斐あって、風魔小太郎の所在を掴み、決戦を挑む事が可能になった」
 全ては君達の尽力の結果だ、と枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)が僅かに口角を持ち上げる。
 彼女は誇らしげに瞳を細め、無尽蔵の力を発揮する猟兵を労うと、彼等が齎した次なる一手を示す。
「風魔小太郎はやはりと言うべきか、忍者らしく忍者屋敷に居を構えていた。私が君達に殺っつけて欲しい一体もまた、仕掛けのある忍者屋敷に潜んでいる」
 この忍者屋敷は、どんでん返し、抜け道、隠し戸といったからくりが施されており、その殆どが「己が身を隠すため」「敵の攻撃から逃れるため」の仕掛けとなっている。
 敵の侵攻から逃れ、攻撃を躱し、自己が優位となった状態で初めて攻めに転じるのだ。
 今回の戦いは地の利は完全に向こうにあり、神出鬼没の敵に翻弄されるかもしれない。
「謂わば奴の庭に侵入する様なものだから、奇襲対策は考えた方が良いだろう」
 或いは此方から見えぬ側に隠れてしまった相手をどう燻り出すか、逃走の可能性をいかに潰すか――こちらも策を練る必要があるかもしれない。
 難しい立ち回りが要求される戦いだが、然し猟兵に語る帷は、難敵が相手ながら凛然たる麗顔を崩さない。
 それは、敵の居場所を突き止めた彼等なら、地形や環境的に圧倒的優勢にある敵も、必ずや攻略できるだろうという期待と信頼を持つ故。
 猟兵らの雄渾に光ある未来を見る帷は、斯くして力強い語調で言を結ぶ。
「奴の庭に今こそ蠍が放たれる――然う、君達という蠍だ」
 ――必ずやその毒で奴を為留めてきて欲しい。
 小気味佳い微笑を浮かべた帷は、弾指してグリモアを召喚し、精悍なる猟兵を光の波濤に包んだ。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 このシナリオは、『エンパイア・ウォー』における第十六の戦場、百面鬼『風魔小太郎』を攻略する戦争シナリオ(ボス戦・難易度普通)です。
 第一章で完結し、現下の戦況に影響を及ぼす特殊シナリオとなります。

●敵の情報
 百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

●戦場について
 戦場は『風魔忍軍の忍者屋敷』となります。
 忍者屋敷には、忍者屋敷らしい様々な仕掛けがあるので、その仕掛けを突破しながら、風魔小太郎と戦う事になります。
 忍者屋敷の仕掛けは「ユーベルコードでは無い」ので、猟兵にとっては大きな脅威ではありませんが、対策していないと、戦闘の邪魔になってしまうくらいの効果はあるものとします。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 グループでのご参加は【グループ名】をご記載願います。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 其の屋敷は、人里離れた山奥、家屋が点々と散らばる幽寂の集落に在った。
 どの屋敷が百面鬼『風魔小太郎』の隠れ処かと言えば、そのどれもであり、彼は決して居場所を探られぬよう所在を変えながら、闇々の裡に織田信長を支援していたらしい。
 目下、多くの猟兵が各所にある風魔の隠れ処を探っている最中だったが、この集落にも捜索の足が近付こうとしている。
「――此処か」
 蓋し其の跫は、間もなく土間に染みて消えよう。
 屋敷に流れる風に剣呑を察知した彼等は、床を踏む一歩すら警戒しつつ、内部で息を潜めているであろう者を、殺気に射止めんと睨め据えた。
ニコ・ベルクシュタイン
忍者屋敷とな
「世界知識」で下調べをしてみたが、落とし穴や隠し通路などがあるという
ならば、地に足をつけねばどうか

【時計の針は逆さに回る】を発動、空飛ぶ箒を使い
屋敷内を低空飛行で駆け抜けよう
どんでん返しで隠れた敵を見たら、壁を柊の杖でぶち破り追う

風魔のと対峙出来たならば、先ずは先制攻撃への対処か
移動に力を割いてしまった分、複数の霊達を各個撃破せねばならぬか
手裏剣や鎖鎌での攻撃を「オーラ防御」の力を通した「Bloom Star」で捌く
相手を油断させ「おびき寄せ」て、互いの攻撃で自滅するように
誘導出来れば御の字だが、さてどうか

小太郎本体へは純然たる膂力で挑む
UCで威力を増した柊の杖の一撃、受けてみよ



 敵の庭に無為に踏み込むは勇猛に非ず、事前に忍者屋敷の基礎知識を得たニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は、軽佻浮薄は犯さない。
「忍者屋敷の下調べをしてみたが、彼の家屋には落とし穴や隠し通路などがあるという」
 訪問者を飽きさせぬ程、仕掛けられた罠。
 知識欲豊富なニコなれば、平時はこれぞ忍の秘技と貪欲に学びもしたろうが、倒さねばならぬ敵を隠す今は、その持て成しを受けるつもりはない。
「跫音ひとつも敵に情報を与えるならば、地に足をつけねばどうか」
 爪先に視線を落とした彼が、長い睫毛を持ち上げた瞬間、緋眼が炯光を帯びる。
 詠唱うは【時計の針は逆さに回る】(リメンバランス・クロックワークス)――赤い魔法使いの姿に変身したニコは、空飛ぶ箒に跨るや屋敷内を低空飛行で駆け抜けた。
『――む、慥かに何者か侵入した気配がしたのだが』
 敵が無音に焦れ込んだのは、幾許も時を経た後。
 屋敷の様子を見るべく「どんでん返し」よりチラと視線を寄越した百面鬼は、その瞬間こそ待っていたニコの炯眼に捕まり、慌てて隠れるも――間に合わない。
「そこか」
『!!』
「随分と待たされたのだ。逃すものか」
『うぉおっ!!』
 威力増強を果たした魔導杖『Bloom Star』が、その強靭を鈍器として扉に叩きつける。
 壁を、その奥に隠れる通路を塞がれた百面鬼は、暗所からの完全なる奇襲は封じられた訳だが、意を決したか躯を反転させて印を結び、
『なれば此処が逢魔が時!! 風魔忍法、死鬼封神面――ッ!』
 刻下、歴代の風魔小太郎の霊を喚び、各々が得意とした忍具を以て襲い掛からせた。
「――ッ」
 手裏剣や鎖鎌が一斉に刃を向けて魔法使いのマントを裂くが、三角帽子のブリムを指で押え、目深な角度から刃の軌跡を見極めたニコは、次撃を柊の杖で捌き落とす。
 霊の始末に手間取れば、百面鬼が再び屋敷に隠れる可能性もある。
 狙うは自滅――ニコは歴代の霊が互いの攻撃で滅びるよう躰捌きで刃の方向を導き、
「誘導出来れば御の字だが、扨てどうか」
 読みは至当。
 手裏剣も鎖鎌も、投擲した後は軌跡を変えられず、対面の同胞を屠ると同時に事切れた。
 その間、ニコは崩れる骸の陰から百面鬼の懐に肉薄し、邪魁が握る忍者刀と角逐する。
『何たる事……我が忍術が破られるとは憤懣至極ッ!』
「忍術、か。風魔の秘技は破れ、信長の儀も直に躓顚(しくじ)ることだろう」
『戯言をッ!!』
 剣戟を間に狂気と冷静が抗衡し、烈々たる波動が屋敷を揺らす。
「力の根源を得て威力を増した柊の杖の一撃、受けてみよ」
『ぬうぅぅううんっ!!』
 純然たる力と力、武の相剋が忍者屋敷を突き上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
裏方に徹すれば見付からなかっただろうに

纏う原理――顕理輝光に魔力を注ぎ警戒
『天光』で逃さぬよう周囲の情報を収集し屋敷の可動部を見切る
不自然に埃が途切れている、など

奇襲に備え『絶理』『虚影』にも力を注ぐ
防ぐより往なす方向で驚異を阻む

後の攻撃分含め『超克』で魔力を外から汲み上げ運用

会敵したら、若しくは出てこねば自発的に攻撃開始
天楼で捕らえる
対象はオブリビオン及びその攻撃全て
先手で霊が喚ばれる筈だが、攻撃に移るまでの時間差で諸共に捕らえる
先んじられることも考え『絶理』『虚影』での備えも継続

迷宮の出口を自身に設定し、高速詠唱と2回攻撃を駆使し多重展開
攻撃自体も自壊させつつ自滅を図る



 纏う原理――顕理輝光に魔力を注ぎ、警戒しながら屋敷内に踏み入ったアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は、冷艶なる淡青色を漂わせる『天光』の全てを照らす光に、早くも敵の挙動を掴みかけていた。
「――埃が途切れている」
 風に漂って満遍なく積もる埃を、光で可視化したのは頗る剴切であったろう。
 その僅かな不自然に気付いたアルトリウスは、屋敷に隠された絡繰りと可動方向を見極め、壁向こうに隠れる百面鬼の挙措を如実に写し取っていく。
「奥の廊下で埃が酷く舞っているのは、そこで奴が動いたという事か」
 ――近い。
 周囲から細かに情報を読み取った彼は、より戒心を疾らせ、奇襲に備えて『絶理』と『虚影』にも魔力を注ぐ。またその魔力は『超克』によって外から汲み上げられ、後の戦闘に備えて満身に溢流していた。
 斯くして準備を整えていたアルトリウスにとっては、隠し部屋よりどんでん返しで現れた百面鬼も想定通り――神出鬼没ではなかったかもしれない。
『猟兵のネズミ共が、一匹残らず始末してくれるッ!』
 風魔忍法、『死鬼封神面』――ッ!!
 素早く印を結ぶや、歴代の風魔小太郎の霊を召喚した百面鬼は、彼等が手にする手裏剣や鎖鎌に合わせる様に、己が忍者刀を降り下ろす。
『信長様の儀の成功を、骸の海で見守るが佳い!!』
「裏方に徹すれば見付からなかっただろうに」
『何ぃ!?』
 言が零れた初撃。
 アルトリウスは一方向から一気襲来した刃撃を、「断絶の原理」と「流転の原理」を以て凌ぐ。
 防ぐより往なす方向で驚異を阻んだ事も奏功したろう、その身に致命傷は届かない。
 唯、無数の邪刃がアルトリウスの黒衣を刻み、人間の肉体だと感じさせる血潮を滲ませたが、鮮血が雫となって床に落ちるより早く、彼は【天楼】(テンロウ)――忍者屋敷全体に、任意の対象のみを捕らえ、其の存在を消去する「自壊の原理」で出来た迷路を作り出していた。
「オブリビオンもその攻撃も――全て捕らえる」
 風魔忍者の絡繰りに、迷宮で対抗するとは妙々。
 然もその出口はアルトリウス自身に結ばれており、邪霊らが迷路を攻略したとしても、高速詠唱で間断なく紡がれた魔法を浴びせられては堪らない。
 歴代の風魔小太郎が次々と潰える中、当代たる百面鬼もダメージを負って、出口で待ち受けたアルトリウスを烈々と睨めた。
『ぬぅ、猟兵風情がアジな真似をしてくれる……ッ!』
「自壊の原理より遁れる術は無い」
『グッ……原理、だと……貴様が敷く法は法、風魔が順う謂れは、グブッ……ないわぁッ!!』
 蓋し攻撃そのものも自壊するのだ。
 恐ろしい理に敷かれた百面鬼は、漆黒の骸面より痛恨の気焔を吹き上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩花・涼
忍の頭領か…こいつを倒せば敵の斥候能力を封じられそうだな
しかしどんな手を使うかわからん
油断せずいこう

まずは敵のUCで召喚された軍勢を倒す
敵からの攻撃を【見切り】で動きを見て回避しつつ
投擲される手裏剣は黒爪で【武器受け】して捌き落とす
攻撃を受けきったら【カウンター】でUCを使用し
軍勢を攻撃し一掃する

倒しきればすかさず【ダッシュ】で風魔に接近し黒華・改で
斬りかかり【生命力吸収】で体力を削ぎ落としながら【部位破壊】で
武器を持つ腕を狙う
敵が攻撃して来たら【踏みつけ】で敵の腕を踏み台にして跳び回避
すかさず黒爪で【スナイパー】【クイックドロウ】で素早く撃って反撃する



 どんでん返しから突如現れ、一太刀浴びせては又た隠れる――。
 まるでモグラ叩きだと、多くの猟兵が敵の神出鬼没に翻弄される中、所々から聴こえる音に耳を澄ましていた彩花・涼(黒蝶・f01922)は、再び静寂に沈む屋敷に戒心を疾走らせた。
「忍の頭領か……こいつを倒せば、敵の斥候能力を封じられそうだな」
 織田信長の儀を支援する魔軍将、百面鬼『風魔小太郎』。
 風魔忍法隕石落としなる奇手を放った手合だ、その懐たる屋敷に入りては、どんな手を使うか分からない。
「――油断せずいこう」
 犀利な灼眼が炯光を増した、その時だった。
『出奇制勝ッ! 風魔忍法、風魔頭領面――ッ!!』
 隠し戸を翻して現れた百面鬼が、漆黒の骸面を掲げるや風魔忍者の軍勢を喚び、忍殺具を手に大挙して襲い掛った!
「――ッ」
 遠きは手裏剣を雨飛の如く浴びせ、近きは忍者刀を閃かせ。
 初撃の妖刃の嵐にこそ、黒いロングコートを切り裂かれた涼だが、後方に旋回飛びして致命傷を回避した彼女は、須臾に次撃を見切って躱す。
『ッ、素早い――貴様も忍の者か!』
『……只の戦場傭兵だ』
 昏きに飛び交う手裏剣を『黒爪』の銃身に受け流し、淡然を返した涼は、忍者刀が迫るより先、【黒蝶の賛美歌】を放つ。
「舞え……」
 佳声はさやかに、声音は冴えて。
 主に喚ばれた黒蝶は飜々と羽搏いて周囲に舞うと、漆黒の弾丸と化して風魔忍者の軍勢に飛び込む。
『ず唖ァッ!』
『ッグ……フ、ッ!』
 次々と崩れ落ちる妖忍の骸を盾に百面鬼に肉薄した涼は、細剣『黒華・改』の切先にて懐を掻い潜り、滴る血汐より生命力奪いつつ優勢を得ていく。
 狙うは忍者刀を持つ右の上腕の破壊。
『ぬっ!』
 刀と剣が十字に噛み合って火花を散らした瞬間、涼の華奢な躯を薙ぎ払わんと左腕を振りかぶる百面鬼。
 然れば涼は軽快に躍して其の腕を踏み台に宙を舞うと、透かさず『黒爪』の銃爪を引いて反撃する。
「もう隠れさせはしない」
『ぬうぅぉおお嗚嗚!!』
 銃声が空気を切り裂き、骨肉を貫通した黒鉛が屋敷の隠し扉に埋まる。
 刻下、右腕よりしとど血飛沫を噴き上げた百面鬼が、痛撃に手放した忍者刀を朱殷の畳に突き刺した。

成功 🔵​🔵​🔴​

加賀・琴
天女の羽衣の『空中戦、空中浮遊』で僅かに浮いた状態で移動します
少なくともこれで足音は消せますし、床に仕掛けられた踏むことで作動する罠は避けられます
あとは極力物音を立てないようにして『第六感、見切り』で周囲を警戒して、作戦が上手くいくよう心の内で『祈り』を捧げておきます

初手を取られるのは避けられませんし、避けるつもりもありません
攻撃を受ける瞬間『早業』で【神域結界・千本鳥居】を発動させます
私がどうなろうと後の味方が有利になる為に動くので、私は攻撃をマトモに受けるので『激痛耐性』で耐えるだけです
【神域結界・千本鳥居】で忍者屋敷の仕掛けを無力化し、風魔小太郎も惑わすことでこれから先奇襲し辛くさせます



 どんでん返しから現れるや、一太刀浴びせて又た隠れる――。
 神出鬼没を以て猟兵を翻弄する魔軍将、百面鬼『風魔小太郎』は今も暗闇で急襲の機を伺っていようが、敵に与える情報を極力少なく、且つ自ら罠を踏み抜く危険は犯すまいと、加賀・琴(羅刹の戦巫女・f02819)は穎敏に機智を働かせる。
 繊麗の躯に羽織る『天女の羽衣』は、彼女を僅かに床より離し、布擦れの音も殺して移動する、その周到は至極剴切。
「少なくともこれで足音は消せますし、床に仕掛けられた罠は踏まずに済みます」
 物音を立てぬよう、周囲を警戒して、時を待つ。
 畢竟、彼女は藪を突かず蛇を誘い出す慎重を取った訳だが、
(「――作戦が上手くいきますように」)
 心の中で祈りを捧げて幾分か経った後、その時は訪れた。
 静寂(しじま)に疑念を抱いた百面鬼が、今一度「外」を窺わんと漆黒の骸面を覗かせたのである。
『其処に居たか、猟兵ッ!!』
 琴が厳重に警戒していた為に、其は完全に不意を衝く奇襲にはならなかったが、彼女の姿を捉えるや、百面鬼は歴代の風魔小太郎の霊を喚んで襲い掛からせる。
『出奇制勝ッ! 風魔忍法【死鬼封神面】――ッ!!』
 須臾、闇を疾る閃光の如く、手練れが一斉に刃を投げる。
 宛ら怒涛と押し寄せる狂気を前に、聢と草履の鼻緒を踏み締めた琴は、美し漆黒の瞳に炯光を灯した。
「初手を取られるのは覚悟の上、避けるつもりもありません」
 警戒していた彼女は、受けきる用意も出来ている。
 雨飛の如く疾走る手裏剣、闇を裂いて迫る鎖鎌に『千早巫女服』を切られた琴は、そこに淡く血を滲ませる。
 柔肌より激痛が染みるが、彼女は流血に佳く耐え、
「私がどうなろうと、後の味方が有利になるなら耐えるのみです」
 と、柳葉の眉を顰めるより先、間断を置かず【神域結界・千本鳥居】を展開した。
 佳声は祝詞を唱えるよう凛冽として、
「――此より先は穢れたる邪悪は立ち入れぬ神域、この境界たる結界で惑い続けなさい」
 言うや八百万の鳥居――邪悪な者を惑わす迷路が、忍者屋敷全体に巡らされていく。
『ムッ、この空気……結界か!』
 穢れたる邪悪は百面鬼も例に漏れず、先代の霊と共に鳥居に囲まれて舌打つ。
 彼にとって最も腹立たしいのは、我が庭、我が土俵たる忍者屋敷が、琴の結界迷宮によって無力化された事だろう。
『我が詮術たる奇襲を封じたか……ッ!!』
「これで後に続く味方が、仕掛けに翻弄される事はありません」
 創痍は負ったが、それ以上の戦果を得た。
 己が血滴に草履を滑らせた琴だったが、その麗顔は凛然たる儘、忌々しげに睨め返す百面鬼を見つめていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ンァルマ・カーンジャール
風魔小太郎さん、必ずや見つけ出し討伐させて頂きます!

忍者屋敷の対策は土の精霊魔法で微震を起こしソナーとして活用し、風の精霊魔法で周囲から風を放ち、電脳魔術で分析しつつ仕掛けに備えます!

小太郎さんの攻撃に対しては電脳魔術で私自身の運動速度を加速させて躱せる攻撃は回避です!
躱しきれない攻撃は土の盾を生成し防御ですっ!
それでも抜けてくるなら電脳魔術で私の存在確率を書き換えてすり抜けて対応ですよー!

攻撃を切り抜けたら今度はこちらの番です!
UC《[複合接続]【量子力学制御】涅槃仏槍》で攻撃ですー!
逃がしませんよ~!



 自分の庭でかくれんぼをするなら、誰とて見つからぬ自信はあるだろう。
 どんでん返しから突如現れ、一太刀浴びせては隠し通路に消える――百面鬼『風魔小太郎』の神出鬼没に翻弄されていた猟兵だが、多くの者の機転と尽力によって、忍者屋敷そのものの術が破られようとしている。
 ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)も其の一人であったろう。
「風魔小太郎さん、必ずや見つけ出して討伐させて頂きます!」
 今も何処かに潜む彼に、軽やかな佳声を投げたンァルマは、最近お友達として仲良くなった『大地の精霊さん』の力を借り、その魔力によって周辺に微震を起こす。
「波動をソナーとして活用し、小太郎さんを探知します!」
 分析精度を高める為に、悪戯好きな『風の精霊さん』の力も発揮する。
 忍者屋敷を吹き抜けるように爽涼の風を送り、それと同時、電脳魔術に解析に掛けながら、あらゆる仕掛けに備えた。
 斯くして奇襲対策を取られては、百面鬼は最も得意とする「絡繰りを活かした不意打ち」が封じられ、初撃の先制という完全に有利な攻撃でンァルマを為留め損ねる。
『出奇制勝ッ! 風魔忍法【死鬼封神面】――ッ!!』
 時は須臾。
 百面鬼に喚ばれた歴代の風魔小太郎の霊が、手裏剣や鎖鎌を手に一斉に襲い掛かるも、警戒活動により刹那の猶予を得たンァルマなれば、電脳魔術で自身の運動速度を加速させて冴撃を遁れる。
 尚も紫電と疾る刃撃は、小柄な躯で颯爽と躱し、或いは土の盾を生成して防いで、
『ッ小癪な――!』
「回避ですっ!」
『畳み掛けるッ!』
「防御ですっ!」
 飛雨の如く苛烈に、且つ執拗に迫る刃の切先は、電脳魔術で自身の存在確率を書き換えて擦り抜ける――小気味佳い臨機応変。
 之に百面鬼は面食らって、
『むむっ、旗色が悪いか……ッ!』
「待ってください、今度はこちらの番です!」
 隠し通路に退かんとするところ、ンァルマは[複合接続]【量子力学制御】涅槃仏槍(マルチアクセス・シュレディンガー・ネハンブッソウ)――半径42m圏内の無機物の存在確率を操作し、諸法一切を透過可能な仏槍に変換して、漆黒の骸面めがけて一斉に差し向けた。
「逃がしませんよ~!」
『――んおおお嗚嗚!!』
 どんでん返しも、隠し戸も、忍者屋敷の無機物は全てンァルマの掌中に。
 逃げ場所を失った百面鬼は、「表」で戦わざるを得ない状況に追い込まれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

蘭・七結
第六感を頼りに五感を研ぎ澄ませる
用心なひとは、見破られる細工はしないわ
僅かな凹凸や隙間を見切って
『茨姫の梏桎』で絡め、地形を利用し空中を移動
咄嗟の事態に備え、片手には『彼岸の残華』を

軍勢の先制攻撃は、もう一対の残華も早業で引き抜いて応戦
手裏剣は見切り若しくは双刀で薙ぎ払いを
これはまた、手荒なお出迎えだこと

今回の落星はあなたが原因かしら
お世辞には〝美しい〟と言えないものね
ナユは、美しい星を識っているの
この世界を、炎の海にあげたりしない

〝七能の結目〟
ナユの信念は、けして揺らぐことはない
星を落とすあなたも、その配下も煩わしい
鎖を身体に沈めてその生命力を剥奪するわ
ナユの毒のお味も、味わってちょうだいね



 主に断りなく屋敷に踏み入ったなら、招かれざる客は相応の持て成しを受ける――。
 其は風魔の城でなくとも同じ、と物騒を隠す忍者屋敷を玲瓏の瞳に見渡した蘭・七結(戀一華・f00421)は、繊指に搦めた『茨姫の梏桎』の結び先を注意深く捜す。
「用心なひとは、見破られる細工はしないわ」
 流眄は僅かな突起や起伏、些細な隙間も逃さず。
 周辺の地形を細かく観察した七結は、空中を移動する事で自ら罠を踏む危険を回避し、また不測の急襲に備えて『彼岸の残華』を片手に進む。
 五感を研ぎ澄まし、且つ第六感を鋭くした彼女に、完全な不意打ちは効くまい。
 己が最も得意とする「絡繰りを活かした奇襲」を封じられた百面鬼は、優位にある初撃の先制で、七結に応戦の時を許してしまったのである。
『出奇制勝ッ! 風魔忍法、【風魔頭領面】――ッ!!』
 儚き刹那。
 漆黒の骸面を代償に風魔忍者の軍勢を召喚した百面鬼が、圧倒的物量で攻めかかる。
 無数の刃撃を前に、七結はもう一対の『此岸の残華』を素早く引き抜き、
「――これはまた、手荒なお出迎えだこと」
 嫣然が零れたかは判らぬ。
 凄艶の少女は雨飛の如く迫る手裏剣を薙ぎ払い、冴月の光を放つ忍者刀を打ち落とし、見事な立ち回りで反撃して見せた。
 然れば百面鬼は、次々と倒れる配下の陰を伝って少女に肉薄し、角逐――! 噛み合う忍者刀と双剣を間に言を交す。
『小娘ッ! 貴様も猟兵なれば、死して信長様の儀を照らす星となるが佳い!』
 蓋し七結は魁夷より押し込まれる邪気にも気圧されず答えて、
「今回の落星はあなたが原因かしら。お世辞にも〝美しい〟とは言えないものね」
『フフフ、隕石落としは風魔が秘技。美醜は結果によって語られるッ!』
 牙ッ、と剣を弾いて怪力を押し込む百面鬼。
 七結は繊麗の躯を一片の花弁の如く翻して距離を取ると、長い睫毛を持ち上げて凛然の眼差しを射る。
「ナユは、美しい星を識っているの」
 淑花は冴々と言を紡いで、
「この世界を、炎の海にあげたりしない」
 決して揺らぐこと無き信念が造るは【七能の結目】――床に横たわる骸を縫って這った有刺鉄線の鎖が、邪忍に食い込んで血を絞り、漸う生命力を奪っていく。
 精鋭の忍も百面鬼も、荊棘の檻に鎖されては苦悶を絞るしかなく、
「星を落とすあなたも、その配下も煩わしい」
『ぬぅ……っ、搦め取られる……ッッ!!』
「ナユの毒のお味も、味わってちょうだいね」
『がァア嗚呼ッッ――!!』
 我が庭たる絡繰り屋敷を、鮮血の海に沈めた。

『――嗚嗚ぉぉををを!!』
 地の利を得た我が庭で敗れる悔しさは如何ほどであろう。
 第六天魔軍将が一人、百面鬼『風魔小太郎』は、猟兵の優れた戦術と機智によって絡繰りを破られ、圧倒的優勢から一気転落して斃された。
『信長様、無念に御座いまする……ッ――』
 今際の声も届くまい。
 陰謀に隠れる邪悪を炙り出し、死に楔打った猟兵らは、悔恨を噛み締めて潰える忍の棟梁の黄泉路を聢と見届けた後、勝利を手に帰還した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月09日


挿絵イラスト