6
エンパイアウォー⑳~天下の悪妻

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #日野富子

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦争
🔒
#エンパイアウォー
🔒
#魔軍将
🔒
#日野富子


0




 畿内は山城国、その稀代の悪女は生を受けた。永享拾弐年の事である。
 そして明応伍年――西暦にして1496年。室町幕府を御台の地位より支配し、応仁の乱を引き起こしたその女が没した年。その後も、乱世の時代は百年続く事になった。
 彼女の名は日野富子。足利将軍八代・義政の御台所にして、今は大悪災という二つ名のオブリビオンとして、彼女はその悪名を轟かす。

『どいつもこいつも、アタシに逆らいやがって……!』
 花の御所。烏丸通に面したそこはかつて足利将軍家の邸宅――即ち幕府のあった地。
 徳川の御代には既に別の建物があったのを、富子は有り余る私財を投じて元の、いや、それ以上の豪華絢爛な御所に作り替えた。
『ああムカツク! ああああムカツク! どいつもコイツも!』
 一度死んでもなお守銭奴にして自己中心的なその女は血反吐を吐くように呪いの言葉を口にしていた。
『アタシが――殺してやる!』


「京に住まうものの記憶からは、決して消えん――応仁の乱の事は」
 蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は静かにそう告げた。紡がれるは京言葉。敵は彼の生まれ故郷でもある京の都――帝の住まう御所に程近い場所に邸宅を構えている、と続け。
「詳しい事はアース出身やったら歴史書引っ繰り返してくれれば解るやろから割愛するけど。昔、京で戦乱起こってな……いっぺん焼け野原になったんや」
 彼の女はその原因を生み、復興の資金すら出す事も無かったと言われている。
「そのドケチは死んでも変わらんどころか、悪化しとるようにも思えるけど」
 オブリビオンとして蘇ったこの時代においても、その私財は尽きる事を知らないのか。先だって行われた徳川埋蔵金探しも、そもそも彼女による物資の買い占めが発端。
「敵は、第六天魔軍将――大悪災『日野富子』」
 いつになく真剣に、凪紗は猟兵の皆を見つめて告げる。
 かつて京を壊滅の危機に陥らせた将軍の悪妻を。
 そして今を崩壊の危機に陥らせんとする悪災を。
「いざ、成敗の時。骸の海に放り出して来ぃや。重し付けて二度と戻って来れんように」


天宮朱那
 天宮です。応仁の乱、調べると奥が深い。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 オープニング公開直後よりプレイング受付開始とします。
 決着が付く人数が集まった段階でマスターページやTwitterより〆切告知しますので随時ご確認下さい。
 
※特殊ルール※
 大悪災『日野富子』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼女を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
※ ※ ※ ※

 攻撃や防御の行動はある程度具体的に書く事を推奨します。
 技能名を羅列しただけでは技能は活かせません。どう使うかを文章に組み込んで頂く方が活きた行動となるでしょう。技能名は【】や『』等カッコ不要です。

 どうぞご武運を。熱いプレイングお待ちしております。
96




第1章 ボス戦 『大悪災『日野富子』』

POW   :    アタシの前に立つんじゃねぇ!
【憎悪の籠った視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【爆発する紫の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    アタシのジャマをするな!
自身の【爪】が輝く間、【長く伸びる強固な爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    誰かアイツをぶっ殺せよ!
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊】が召喚される。応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:みそじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

モルツクルス・ゼーレヴェックス
なんか、可哀想な人っすね
怒るって、憎むって、疲れるっすよ
「すんまっせんっしたーーー!!日野富子殿!どうか怒りを鎮めたまえーーー!」

土下座である

【礼儀作法】に則って放つはサムライエンパイア伝統の土下座
【コミュ力】と【存在感】誠意をみせ、攻撃の手を緩めてもらおうと試みる
「鎮まりたまえー!なんか分かんないけど、すんまっせん!!」
多少焼かれようと【オーラ防御】で耐えて土下座崩さない
「芸を!芸をさせて頂くっす富子殿……いやさ富子様!」
【芸神木星】
願うは神の如き歌声
「不肖!モルツクルス!歌うっす!……怒りとか呪いとか歌で解決!この歌を聴けーー!!」
【パフォーマンス】
スカッとするロック
ノッちまうっす富子様!



『あああムカツク……! どいつもこいつも役に立たねぇしもう!』
 怨霊を纏いながらも呪詛としか思えない言葉を吐き出す女の姿が、新築された花の御所に見える。あれこそが大悪災・日野富子。
「なんか、可哀想な人っすね」
 モルツクルス・ゼーレヴェックス(f10673)は眼鏡の奥よりその金への執着に囚われた女を見つめるとそんな感想を口にした。
 怒り、憎しみ――そんな感情をここまで強く発するとは疲れることなのに。
『……ああ゛っ!? 何見てんだよてめぇ!!』
 富子がキッとこっちを睨み付けた。モルツクルスがやってきたことに気がついた様子。
「……日野富子殿っすね」
 一歩二歩と前に進み出る。畳を踏みしめる感触を足に。彼はごくりを唾を飲み下すと。

「すんまっせんっしたーーー!!」
『……は?』

 がばっとモルツクルスは平伏し、頭を深々と畳にくっつくくらい下げた。
 これこそ、『土下座(DOGEZA)』――エンパイアに伝わる古式ゆかしき究極の謝罪方法である!
 伝統的な礼儀作法に従い、誠心誠意の謝罪を試みるモルツクルス・
「どうか怒りを鎮めたまえ、鎮まりたまえーーっ!」
『…………』
「なんか分かんないけど、すんまっせん!」
 そこに。
『……ウゼェんだよ、クソが。死ね』
 富子は絶叫どころか冷めたくらいの声色で言うと、火矢が雨霰と下座る男に降り注ぐ。人間、怒りを通り越すとある意味冷静になると言うが。実に今回は火に油を注いだようで、文字通りの炎上開始。
「あづっ、熱つっ!!??」
 オーラを身に纏って焼かれつつ耐えるモルツクルス。土下座は崩さない。
 その姿に若干呆れつつも、富子は素早く跳躍すると、彼の頭を足蹴にし、更に畳にめり込ませた。
『その汚ねぇ巫山戯たツラ、二度と見せんじゃねぇ! とっとと帰ってクソして寝ろ!』
「芸を! 芸をさせて頂くっす富子殿……いやさ富子様!」
『じゃかぁしぃわぁぁぁぁっっ!!!』
 富子の足が彼の後頭部から離れたと思った瞬間、今度は思い切り顎からの蹴りが入る。
 そして怒濤に打ち出される火矢。
 次の瞬間。頭が火でチリチリになり、背中の羽根も黒焦げになったオラトリオが屋根をぶち破って外に放り出されたのであった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

尾崎・ナオ
●防御
敵さん行動は要約すると、9回攻撃が来るって事だな?
つまり、回避すりゃいいって事な!
「あっは、ぶっさいく。ナオちゃんみたいに可愛くなったらぁ?」
挑発するように自身を褒める事で相手を貶し、敵の怒りを買うように指定UCを使用。
「怒りで酷い顔。ナオちゃんのように優雅でなきゃあ」
爆発的にスピードと反応速度を増大させ、回避する事に専念する。
持ち前の視力で爪の動きを確認し、人体の動きから次の行動を第六感で予測。
9回攻撃と爪色変化を確認し、大きな距離を取って反撃開始!

●攻撃
「お前にコレが見えるかにゃ~?」
ナオちゃんの代名詞。二丁拳銃の超高速早打ち!
この精度の早業クイックドロウは、UC無しでよけきれまい!



「あっは、ぶっさいく。ナオちゃんみたいに可愛くなったらぁ?」
 苛つきを隠さず表情に出す富子の顔は余りに引き攣って、本来の整っているであろう顔は醜く歪んでいたが。尾崎・ナオ(f14041)の煽る言葉に更にギリッと奥歯を噛み締めた。
『ダマれダマれ! 猟兵風情が生意気言いやがって!!』
 富子の爪が妖しく輝くと同時に鋭く長く伸びて強固な刃物と化す。
 猛然と飛びかかってくる富子の攻撃が続けざまに9回。だが爪の色の変化で攻撃が来る事を予測し、大きく後ろに下がりながらも持ち前の視力にて動きを読み、人体の動きから次の攻撃を読み取って――。
「っと――!」
 それでも幾ばくかは富子の爪が身を引き裂く。血に濡れる己の身。にぃっと口角が上がるのが自分でも分かる。
「怒りで酷い顔。ナオちゃんのように優雅でなきゃあ」
 煽るに煽りながら、ナオは己自身への絶対的な自信と自賛を持って、その身を躍らせる。
「つまり、9回攻撃が来るってことだな? 全部回避すりゃいいってことな!」
『!! ナメやがってコイツ……!!』
 怒り心頭の富子。再びナオに向かってその素早く鋭い攻撃をしかけるも。
「おっそ~い!!」
 爆発的にスピードと反応速度を増大させたナオは、先程以上に確実な予測と共動きを感知しながら、ナイフで爪を弾き、いなし、回避してみせた。
『なんなんだっコイツの早さは……クソッ!!』
「お前にコレが見えるかにゃ~?」
 煽りながらもナオは宙を舞い、二丁拳銃は抜かれると同時に火を噴いた。
 マガジンに籠められた弾が次から次に富子に食らいつく。呼吸をするよりも早い連続発砲。その身に受け続けながらも、富子の怨嗟は止まらない。
『ああ、ああ……ウザい奴め!!』
 ナオの銃から一瞬弾が尽きたその瞬間、富子はその爪を踊らせた。
 銃口の動きが富子にナオの動きを読ませたか。
『アタシのジャマを……するな!!』
 爪がナオの身を切り裂き、血が飛び散った。
「ははっ……必死だな、オバサン」
 傷を負いながらもナオは楽しそうに笑い、そう煽りの言葉を残しながら畳を蹴って後ろに飛び退き、そのまま富子の前から姿を消した。
『クッソ――次会ったら殺す! 喋る隙だって与えるものか!!』
 煽りと攻撃は、確実に富子に入っていた。高まる苛立ちこそ、その証拠。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェイルシア・インパーサ
※アドリブ・連携歓迎致します

突然のご無礼をお詫びします
悲しき貴女の宿業、此処で討たせて頂きます

【POW】のユーべルコード【悠久に咲き輝く愛すべき造花】を放ちます
攻撃ではなく目くらましが目的です

富子様の【POW】のユーべルコードは視線が命中した対象を燃やす攻撃
ならば膨大な花嵐なら私(わたくし)の姿を覆い隠すことは可能でしょう
間に合わないなら高速詠唱で間に合わせます

「貴女にも家族がいたのではないですか
欲しかったのは……いえ、貴女が失ったのは本当にお金だけなのですか?」

出来るだけ私に憎悪を向けさせます

距離を詰め切れないなら威力を犠牲にしてでも花嵐を高速展開して視界を遮り、
一撃だけでも差し込みましょう



『ああ……ったく……! 土足でアタシの屋敷に踏入やがってこのっ……!』
 富子は苛立ちを露わにしながらずかずかと屋敷の中を進む。
 そんな女の前に立ち塞がるように現れたのは桃色を纏った少女騎士のような姿。フェイルシア・インパーサ(f04276)であった。
「突然のご無礼をお詫びします」
 敵を前にしつつも、フェイルシアは丁寧な口調を崩さない。
「悲しき貴女の宿業、此処で討たせて頂きます」
『無礼を承知ならとっとと失せな! キサマみたいなイイ子ぶりは虫酸が走る!!』
 憎悪の視線がフェイルシアを射貫く。その攻撃に対し、ユーベルコードで対抗しようとした彼女の高速詠唱は――間に合わない。
 フェイルシアはその身が爆発と共に灼かれるのを感じる。せめて回避を試みていれば、炎に対する耐性を身につけていれば……と言うのも後の祭り。
 だが、炎を受けながらもフェイルシアの術は完成し放たれていた。
 場に広がるは桜色。彼女の放った花嵐は敵の視界を塞ぎ、それ以上の追撃を阻害する。
「悠久に咲き、輝く――愛すべき造花」
 膨大な花嵐はフェイルシアの姿を覆い隠す。だが、先程受けた炎は彼女の衣装を焼き蝕む。富子の深い怨念が食らいついて離れないかのように。恐らく長くは身が持たない。
『隠れようったってムダだ! アタシの炎に全部焼かれちまえ!!』
 花嵐に向かって視線を向けるとそこから紫色の爆発が生じる。目に見える物全てを焼き尽くすかのように、富子の憎悪は止まるところを知らず。
「貴女にも家族がいたのではないですか? 欲しかったのは……いえ、貴女が失ったのは本当にお金だけなのですか?」
『ゴチャゴチャうるせえよ! 旦那はさっさと逃げやがるし、息子は将軍にしてやった恩を忘れてアタシに楯突きやがった! 金だ、金だけはアタシを裏切らない!』
 ああ、そうか。フェイルシアは思う。この女性は富や地位の上では恵まれていたかも知れないが、人との関わりには恵まれていなかったのだろう、と。
 富子の視線が、炎が、花嵐を突破してくるのも時間の問題。
 距離を詰めては確実に紫色の炎の餌食。ならば、と彼女は剣を向け花嵐を高速展開して富子を包み込むように放つ!
『くっ、どこにいやがる猟兵!!』
 一瞬、富子が己の位置を見失った。その隙に、フェイルシアは踏み込み、一太刀を差し込んだ。
 剣は、富子の服の袖を切り裂いた。だが、同時に視線に捉えられる。
『アタシの前から、失せな!!』
 憎悪に満ちた炎が爆ぜ、フェイルシアの意識は紫色の向こうに消えた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シン・コーエン
ヒステリー起こした女は手に負えないな。
倒すべき相手でもあるので、速やかに斬り伏せよう。

敵攻撃への対応:視線が命中すれば燃えるというのは厄介だ。
ダッシュして視線から外れ、ジャンプした後に空中戦と空中浮遊による3次元的な動きを行いつつ、残像を生み出して視線に捉えられないように動く。
身に絡みついた炎は、身に纏ったオーラ防御を瞬間的に弾けさせ、オーラと一緒に炎を身体から跳ねのける。

そして相手に接近し、風の属性攻撃で強化した灼星剣を振るって2回攻撃。
1回目の攻撃に衝撃波と念動力で後押しして、相手の防御を吹き飛ばして体勢を崩して隙を作り、2回目の攻撃にはUC:万物両断を発動!
そのまま一気に相手を両断する!



「ヒステリー起こした女は手に負えないな」
 乱れた衣服を整えながら富子が向いた先。剣を肩に載せて立つ軍服の青年が立っていた。
『次から次へと……コイツら猟兵は虫のように涌いてきやがる!』
「虫扱いは勘弁願いたいところだけど」
 倒すべき相手を見据え、シン・コーエン(f13886)は剣を下ろし構えた。
『ダマれッ! ゴミのくせに!』
 向けられた視線。だが、爆発は前方に身を低くして駆けたシンの後ろで起こった。女の視線から外れることで、彼は爆発と炎から逃れる手を取った。僅かに身に絡みついた延焼の炎は身に纏ったオーラを弾けさせることにより蹴散らし消火する。
『……!! チョロマカと小賢しい!!』
 まるでシンは己の生まれ故郷たる宇宙の無重力空間を駆るように、ジャンプからの動きは縦横無尽にて三次元的なものであり、易々と捉えられるものでもなく。
『そこか!!』
 時に捉えたかと思いきや、それは残像に過ぎず。紫色の炎は床や襖を爆ぜさせるのみ。
 舌打ちする富子。その死角となった斜め後方頭上より、彼は風の力を纏った灼星剣を振るう!
『――!!』
 気配を感じ、富子が振り返ったのもつかの間。攻撃に乗せられた衝撃波と念動力が女の身体を強く押しのけると、彼女はその体勢を崩し、守りが甘くなる。
「灼光の刃よ――!!」
 放たれるは必殺の万物両断――! その剣が捉えた相手は文字通り両断される運命にある。だが、富子はただそんな運命を受け入れるような弱きものでもなかった。
『っざけんな!!』
 視線が合う。斬りかかられる瞬間すら、彼女は最大の憎悪をその視線に籠めた。剣の切っ先からそれを持つシンの腕から、彼女は全てを視界に収めていた。
 振り抜かれる剣。それは富子の銅を捉えるも、浅い。接触の瞬間、爆発と共に紫の炎が剣もろともシンの身を灼いた。
『うぐぁっ……!』
「っっはぁっ!!」
 胴を真っ二つとまでは行かなかった、だが確かな手応えを感じた。
 まともに受けた炎の爆発で気が遠くなる中、シンはそれだけは確信していたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

幽草・くらら
私も授業で聞いたことがあります。
戦乱に乗じて金稼ぎまくって、終わってからも復興資金になるはずの関銭を懐に入れまくった悪女だって。
応仁の乱の主な原因かどうかは後世で付け足された虚構もあって定かではないらしいですが、少なくとも今は敵です!

火矢による攻撃に対し、電撃の塗料で対抗します。
もはや矢の数としては点や線ではなく面での攻撃になるかと思いますので、それを迎撃するように【範囲攻撃】で塗料を撒いて安全を確保しようかと。

凌ぎきったら【早業】と【クイックドロウ】を活かして電撃を次々に描いて、実体化させ攻撃していきます。
電撃は命中率に期待出来ますし、倒せなくとも痺れてくれれば次に繋がる筈です!



 花の御所に踏み込んだ幽草・くらら(f18256)は学校の歴史の授業で聞いたことを思い出す。応仁の乱。そこから室町幕府は権力を失速させ、戦国の世になったと。
 そして日野富子の名も聞いていた。社会科教師の話や歴史の教科書などを見ると、戦乱に乗じて金を稼ぎまくり、終わってからの復興資金となるべき金も懐に収めていたと。
 ――そもそも、応仁の乱の主な原因かと言うと、後世においては定かではないとも聞くが。少なくともここに送り出した京生まれの猟兵はそう聞かされていたらしいし、少なくとも今は敵だと言う事実だけは真実である。
『あああ、イラツク!! アタシに楯突くとか三百年は早いんだよ!!』
 現れたくららを一瞥すると、その存在自体に苛つきを覚えたらしい。火矢の怨霊が富子の周囲に現れたかと思ったら、くららに向けて次々と向かい、飛ぶ。
 くららは迫る火矢を前に、手にした大きな箒の如き絵筆を宙に滑らせる。
 筆の先から浸みだした色は彼女の盾となるよう広範囲に面が描かれ、火矢を食い止めた。
『なに……!』
 飛び来る矢の涼は凄まじいものだ。一つ一つの点や線として対処するのでは到底間に合わないとくららは踏んでいた。面での攻撃に等しいそれは面をして防ぐのみ。
 第一陣は凌いだ。くららは素早く絵筆を操り、敵に向けた。雷の魔力を持って描かれた電撃は命中の高さは申し分なし。
「倒しきれなくても、痺れてくれれば……!」
『っぐはあぁぁっっ!』
 駆け抜ける稲妻に撃たれ、富子の凶悪な表情が更に禍々しく歪む。
『よくも、よくもやってくれたな、小娘風情が!!』
 苛立ちが高まり、富子は再び怨霊を駆ると火矢を向けた。弾ける炎と雷と。
 互いに放ちあう攻撃は相殺しあうも、実力は敵が上。くららは押されている事を感じざるを得ない。
 炎を受け、塗料で防ぎながらその場を離脱するくららは倒し切れずに退く悔しさを思う。けれども、自分の雷は確かに富子に悲鳴を与えた。ダメージを着実に与え続けていけば、いずれ強敵とは言えど倒れることだろう。
 成すべきは成した。攻撃は、次の猟兵へと繋がる。

成功 🔵​🔵​🔴​

リオネル・エコーズ
こういうお金の使い方したら逆らう人わんさか出るの当たり前だよ
…なのに蘇っても“まだ”解らないって
お金使うの苦手なんだね?

笑顔で煽ってオーラ防御展開
御所内を全力飛行
火矢から逃げ回る

と見せかけ、火矢連れて目指すゴールは日野さんのすぐ後ろ
狙いを隠す為にも飛行ルートは襖や壁で隔てた先
後ろは絶対見ない、全速力で飛び続ける
火矢が迫ったら空中戦生かして躱せればいいけど
進行方向に襖?
速度上げてメイスでドーンと壊しちゃおう
…いくらしたとか考えない

背後取れたらぶつかる勢いで突っ込み至近距離へ
極光の星を使うのはその瞬間
日野さん
火矢
俺の周り全部に叩き込む

過去の人が今のお金に手をつけるとか駄目だよ
無一文で過去に還ってね



「こういうお金の使い方したら、逆らう人わんさか出るの当たり前だよ」
 目の前の建物――新築された絢爛豪華な花の御所を見、リオネル・エコーズ(f04185)はやれやれと肩をすくめた。
『――何か文句でもあるってのかっ!!』
「うわぁ!?」
 猟兵がうろうろしてるのでイライラしながら向こうから探しに来たらしい。富子はこめかみの血管が今にもぶち切れそうな引き攣った顔で睨み付けている。
「……いや、無茶苦茶なお金の使い方するなって思って」
『アタシの金はアタシのもんだ! アタシの好きにして何が悪いっ!!』
「ああ……うん」
 リオネルは笑顔のまま、背中の羽根を軽く羽ばたかせて浮くと、軽く後ろに下がった。
「蘇っても“まだ”解らないって――お金使うの、苦手なんだね?」
 ぷち。富子の表情がより険しくなったのは火を見るより明らかで。
『ムカつく!! アタシに意見するとか何様のつもりだぁぁっっ!!!』
 火矢の怨霊が一斉発射されたのと、リオネルが全力で逃げたのはほぼ同時。
「あちっ、あっつぅっ!?」
 オーラ防御を展開しつつ、追尾してくる火矢より必死に全力飛行して逃げ回るリオネル。多少掠めて熱かった痛みは後から考える。とにかく後ろも見ずに逃げるのが先。
 屋敷の外を旋回して、ぐるりと屋内を飛ぶ。建物の中に人がいないのは幸い。壁や襖を縫うように、柱を使って急旋回などしつつ追いかけっこは続く。
「――げ」
 目の前に襖。旋回も無理、と判断した彼が取った手は。
「えーい!!」
 ばりりっ!と。手にしたメイスが豪華な襖絵描かれたそれを容赦なくぶち破る。
『ああああ! それ、いくらしたと思ってるんだ!!』
 あーあー、キコエナイ、カンガエナイ。
 そしてそろそろ全力飛行も限界だけど、富子の声が聞こえたのは運が良い。彼女の位置が大まかに分かりさえすれば――。
『どこに飛んで行きやがったぁぁっ!!』
 咆える富子の後ろ姿、見つけた。
「さぁ――宙(そら)の使者のお通りだ!! オマケ付きでね!!」
『――!!?』
 光輝く流星を放ちながらリオネルは振り返った富子に突撃していった。
 そう、彼を追い続けた火矢もろとも。
『ひぎっっ!!』
 流星は富子に刺さり、火矢はリオネルと彼が衝突して折り重なった富子の双方に刺さる。
 リオネルは勢いそのまま畳の上にその身を投げ出し、数回転してやっと止まり。顔を上げて富子を見ると、その絢爛雅な衣装は貫かれてボロボロだ。
「過去の人が今のお金に手をつけるとか駄目だよ」
 だが、リオネル自身も受けた火矢のダメージでボロボロで。振り返った富子の再び放った火矢を見つめ、微笑みながら告げる。
「無一文で過去に還ってね」
 炎と共に意識は飛び、彼は強制転移で姿を消す。女の舌打ちを聞きながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

逢坂・宵
おお、怖い怖い
怒り狂った女人は恐ろしいと、歴代の主のひとりが言っていたのを思い出します
貴女も常ならばさぞ美しい姫君であったでしょうに
そう怒り狂ってばかりいると、美しいかんばせの皴が増えますよ
―――まぁ、僕も「覚悟」をもって迎え撃たせていただくのですが

飛び交う火矢の怨霊には
「火炎耐性」「呪詛耐性」で耐えつつ「第六感」で感知し
「オーラ防御」を展開して防ぎます
対応が間に合わないものは「激痛耐性」で防ぎながら
「衝撃波」で落としていければ

こちらの手番ですね
「高速詠唱」して「属性攻撃」「鎧無視攻撃」「鎧砕き」「2回攻撃」を伴った「全力魔法」に「破魔」をのせ
【天航アストロゲーション】で狙い撃ちを行いましょう



 富子がまた一人猟兵を退けた所で、軽く肩で息をしているのが見えた。
 その姿、遠目で見ても苛立ちを肌でひしひしと感じる程で。
『……何しに来やがった』
 ギロリと此方を見つめる女のその表情。鬼の如きその顔に、逢坂・宵(f02925)は飄々とした笑みを讃えながらも言葉を返した。
「おお、怖い怖い――怒り狂った女人は恐ろしいと、歴代の主のひとりが言っていたのを思い出します」
 目を細めて目の前に立つ女を改めて観察する。齢五拾七で死没したと言う彼女の姿は恐らく全盛期の姿なのだろうと思うと。
「貴女も常ならばさぞ美しい姫君であったでしょうに」
『は?』
 世辞ではない。少女のようにも見える彼女の外観は可愛らしくも見える。だが。
「そう怒り狂ってばかりいると、美しいかんばせの皴が増えますよ」
『――オマエ、覚悟は出来てるんだろうな、ええっ!?』
 宵の言葉は、彼女に取っては充分すぎるほどに慇懃無礼に感じられ。それは苛立ちを通り越して怒りに燃え上がりそうなほど。
「まぁ、覚悟は出来てますね」
 むしろ、腹の一つのくくれずに来れようものか。
『だったら、死ねよおらぁぁぁ!!!!』
 金切り声と共に火矢が襲いかかる。飛んでくる方向を感知しながらも杖で振り払い、オーラを展開して身を守る。
「くっ――!」
 何しろ数は多い。痛みや熱は耐えるも、ローブに刺さり燃えた分は衝撃波を放って矢ごと吹き飛ばす。火傷や矢の傷は受けたが、倒れるにはまだ早い。
「こちらの手番も与えて頂きましょうか――!」
 口訣は素早く。全力全霊の魔力を籠めて、宵は杖の先端を富子に向けた。
「彗星からの使者は空より墜つる時、時には地平に災いをもたらす――」
 目の前の災いとも称される彼女に向けて、何たる皮肉めいたものだろう。
 金に権力に魅了された女が、これを美しいと思うのか。
「――星降る夜を、あなたに」
 屋根に強い衝撃が走る。轟音と共に天井が避け、富子の真上から強い力を持った何かが降り注いだ!
『な、に――!?』
 それは宵が呼び寄せた隕石。破魔の力を籠めた空よりの攻撃。かの風魔の忍術を彷彿とさせるも、全く別のもの。
 悲鳴すらあげる事無く、富子は押し潰された。砕ける石と建物と内装と。破壊音と木屑と砂埃とが周囲を覆い尽くす。
 だが、女の生死を見届ける間もなく、宵は膝を着く。魔力を最大出力で使った今、万が一富子からの火矢を受けては今度こそ回避は出来ないだろう。
「――僕は、ここまでですね」
 瓦礫の下より音が聞こえる。這い上がろうとしているのだろう。
 転移の光に包まれながら、宵は思う。無茶をするなと怒られるだろうか、などと。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザハール・ルゥナー
ルカ(f14895)と

最も大事なものがなんであれ、人の主義主張に口は挟まんさ。
だがこの世界は守り通す。
――再び滅べ。

爪には耐えるより他にあるまい。覚悟と知識で軌道を読み致命傷を回避。
庇うは頭と心臓か?
腕や足の片方くらい、動けるなら良しとする。

降魔化身法にて強化。代償も動けるなら安いものだ。
今の貴殿が金で何を為せる。
最早貴殿は不要の時代。
など、攻撃をこちらに向けるよう挑発し、誘き寄せる。
攪乱し、ルカに託そう。怨霊退治は得意だろう。

信頼に応えてくれるな?
全身を持ってルカの盾、囮となる。
直接的な脅威として刃を振るい、怨霊と戯れ、道を拓く。
鋼は炎から生まれる。恐るるに足りん。

やれやれ、おっかないな。


ルカ・アンビエント
ザハール(f14896)と

自分のものと叫ぶには、少々時が立ちすぎでは?
この地は今を生きる人のもの。貴方は滅ぶべきだ

はっ、怨霊ですか。
羽を広げ霊符をばら撒き少しでも矢を散らしましょう
致命傷を避け、片腕でも残れば良い。足が動かずとも羽もある

鳥羽の契を発動。
ザハールの意図を察すれば、霊符の幻で先に怨霊を惹きつけ落とし
あちらの意識がザハールに向けば仕掛けます

俺が応えずして、誰が応えるんです?

霊符には氷の属性を乗せ、全力で魔力を回し富子だけを狙い鳥を放つ
怨霊は気にせず。…えぇ、うちのナイフは獣ですから

巫女の系譜、侮らないことです
その欲諸共、鳥に喰らわせましょう

ーーま、ザハールは後で説教ですかね



 ダメージが蓄積している富子の衣装は既に元の艶やかさを失いつつあった。
『奪おうっていうのか――金もこの国も、元々は全てアタシのものだって言うのに!!』
「自分のものと叫ぶには、少々時が立ちすぎでは?」
 ルカ・アンビエント(f14895)は肩をすくめて問いを返した。尤もそうですかと言う相手では無いことくらい、百も承知だったけれども。
「最も大事なものがなんであれ、人の主義主張に口は挟まんさ」
 達観したようにザハール・ルゥナー(f14896)が告げる。彼が人あらざる身であろうとなかろうと、この女の趣味など到底理解しがたいもの。だからと言ってわざわざ否定をする必要はないだろう。しかし――。
「この地は今を生きる人のもの」
「この世界は守り通す」
 ルカが、ザハールが口にするは宣戦布告。
『なんてムカツク連中……死ね、死んでしまえっ!!』
 富子はその両手を広げると咆えた。伸びる爪こそ単純明確な殺意。
「下がれっ!」
 ザハールは低く叫び、ルカの前に立つ。連続して襲い来る鋭い爪の斬撃。己の獲物を手にすると彼はその刃嵐に身を投ずる。
 刃である彼は刃の動きを……軌道を読み取る事は造作ない。九つの斬撃の幾つかは避け、武器で受け止めて流すも。致命傷を避けるべく頭部と胸部を庇った以上、白き軍服の腕が鮮血に染まる。
「これで――終わりか?」
 凌いだ。左腕の感覚を失いながらもザハールは己自身たるナイフを手に取り翳す。
『短刀風情が、小賢しい真似をする……ああ、ムカツク! じゃあオマエが護るソイツから殺してやるよ!』
 富子が苛立ちを引き攣った表情に見せた途端、周囲に火矢が喚び出され、一斉にルカに向けて飛ぶも。
「はっ、怨霊ですか」
 彼は羽根を広げて舞いながら霊符をばらまいた。符は矢を受け止め、宙にて燃え尽きつつその攻撃を散らす。全ては打ち落とせる訳もなく、そのうち三分の一はその身に受ける。
「残念ながら、負傷を恐れる俺達ではないんですよ」
 ルカは小さく笑む。足に熱傷を負った事は悟られないように。そして次の反撃の為に。
 ――ザハールの銀が闇色を放ち、魔が彼の身に宿る。どくんと感じる脈動と同時に、腕から滴り落ちるものの量が倍に増えた。
「ザハール……!?」
「――代償も動けるなら安いものだ」
 ちらと視線をルカに向ける。解っている筈だ、成すべきことは。
「――幻禍の帳よ、今こそ降りよ」
 ルカもまた、御霊をその身に降ろす。各々正邪を宿したその姿を見て、悪災と呼ばれし女はギリと歯を軋ませた。
『あああ、もう、もう、そんなにアタシのジャマをしたいのか! アタシは――』
「今の貴殿が金で何を為せる」
 ザハールは女の言葉を遮って問うた。
「最早貴殿は不要の時代だと言うのに」
『ダマレ……だまれダマレ黙れぇっっ!!!』
 火矢がザハールに向けて飛んだ。その瞬間、ちらとルカを見て聞こえぬ声で告げる。

 ――信頼に応えてくれるな?
 ――――俺が応えずして、誰が応えるんです?

 ルカは霊符を構える。ザハールはその刃を振るうと火矢を裂き、怨霊すら斬り伏せ、戯れるかのように向かう。そう、彼は鋼。炎から生まれたならば恐れは有り得ない。
『失せろ、消えろ、死んでしまえ!!』
 自分以外の全てを拒絶するように、富子はこの世への苛立ちを炎に変える。応仁の乱で、この京の都を焼き尽くしたように。欲望と執念だけが彼女を形作っているかのように。
「一つ、訂正させて下さい」
 ルカは氷属性を乗せた霊符を放ちながら言った。
「彼は護り刀では無く――えぇ、獣ですから」
 鋼の獣が喉に、白く輝く光の鳥が四方八方より富子に食らいつく。
『アタシの、アタシのものだ――金も、天下も――!!』
「その欲諸共、食らわせましょう」
「――再び、滅べ」
 正邪の力が悪災を貫き。怨霊と共に彼女は骸の海に散った。

 術を解き、足を引きずってルカはザハールの側に飛ぶ。同じく術を解いた彼が振り返った所で、その血塗れの左腕をそっと持ち上げて笑み一つ。
「――ま、ザハールは後で説教ですかね」
「やれやれ――おっかないな」
 軍帽を被り直し、ザハールは溜息をつく。いつものことだと口元は綻んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月12日


挿絵イラスト