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エンパイアウォー⑳~紫炎の花

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #日野富子

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●紫炎の花
 此処は、京都。花の御所。己の思うままに新築した絢爛豪華な御殿の中。女は忿怒の表情で手にした扇を床に叩きつけた。
「クソッッッ!!猟兵の分際で、アタシの金を横から掻っさらいやがって!!」
 『大悪災』日野富子。莫大な資産を背景に権力を拡大した彼女は、かつて欲望のままに人々を苦しめ、現在自分の思うままにならないことに腹を立てていた。
「アタシの金を奪う奴は!!アタシの邪魔をする奴は!!皆ブッ殺してやる!!!」

●グリモアベース
「二人目の魔軍将が見つかりました」
 静かな声で、太宰・寿(パステルペインター・f18704)は告げた。
「『大悪災』日野富子。将軍の跡継ぎ争いから『応仁の乱』を引き起こし、室町幕府を事実上支配した女性ですね。彼女の居場所は京都、花の御所……北小路亭とも呼ばれますか。日野富子が有り余る私財を投入して、現在は絢爛豪華な御所となっています」
 いつものスケッチブックを広げれば、御所の見取り図が現れた。
「この戦いで重要な事は、ひとつです。必ず行われる先制攻撃に対処すること。これが出来なければ、彼女に傷をつけることはできません」
 寿は、静かにゆっくりと息を吐き出す。しばしの沈黙。
「……理性なく怒り狂っているように見えますが、紛れもなく強敵です」
 寿は覚悟を決めたように、グリモアに光を宿した。
「危険な相手です。……どうか、ご武運を」
 そして、猟兵たちを花の御所へと送るのだった。


105
●ご案内
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●ご挨拶
 105と申します。
 よろしくお願いいたします。

●判定について
 厳しく判定いたします。詳細は下記です。

 大悪災『日野富子』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼女を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

●プレイング
 オープニング公開から、受け付けます。
 シナリオの性質上、頂いたプレイングの数によっては、全採用とならないかもしれません。ご了承ください。
 ご参加、お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『大悪災『日野富子』』

POW   :    アタシの前に立つんじゃねぇ!
【憎悪の籠った視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【爆発する紫の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    アタシのジャマをするな!
自身の【爪】が輝く間、【長く伸びる強固な爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    誰かアイツをぶっ殺せよ!
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊】が召喚される。応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:みそじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

須藤・莉亜
「へい彼女ー、僕とお酒飲まないー?」
なんて、冗談言ってないで真面目にやろうか。

先制攻撃は敵さんの殺気を【第六感】で感じ取り、動きを【見切り】回避。
後は自分で持った血飲み子と、悪魔の見えざる手に持たせた奇剣と深紅での【武器受け】で防御。
悪魔の見えざる手には僕のカバーをしてもらっとこう。

攻撃を凌げたら、大鎌を48本に複製し、8本を防御用にして残りの40本で全方位から攻撃。

悪魔の見えざる手には武器をLadyに変えてもらって、援護射撃でもしといてもらう。

「面白い人だなぁ。でも、敵だし殺す。」
いやー、残念だなぁ。




 絢爛豪華な表御殿の奥、大広間。その一の間に『大悪災』日野富子はいた。飄々と現れた須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)を修羅の形相で睨め付ける。
「へい彼女ー、僕とお酒飲まないー?」
「ハァッ!?!?!?舐めてんのか!?ブッ殺す!!」

 ――なんて、冗談言ってないで真面目にやろうか。

 そう思考しかけた時には、既に眼前に日野富子の忿怒の面差しがあった。焼かれるような熱を感じて視線を落とせば、莉亜の腕には日野富子から伸びた詰めが深々と突き刺さっていた。そして、その爪は容赦なく引き抜かれる。呼吸すら許さぬ一方的な攻撃。ダメージを最小限に止めようと、白き大鎌――血飲み子と、透明な悪魔の両腕が構える奇剣と深紅、使えるもの全てを投じて烈風の如き斬撃を刺突を凌ぐ。ほんの数秒の打ち合いだった。
 己の血が、足元に池を作る。それは、じわりじわりと広がっていく。
「あー……煙草が欲しい」
 だが、ただでは引けない。ゆらりと揺れる体を無理矢理立たせて展開するのは、大量の大鎌。その数48本。8本は己の側に展開させ、残り全てを日野富子へ投じる。
「ええい鬱陶しい!!!さっさとテメェの血の上に倒れ伏しやがれ!!!」
 日野富子へ疾る大鎌。同時に莉亜を襲う両の爪。
「いやー、残念だなぁ」
「チィッ!!!」
 最後まで軽口で。舌打ちだけはしっかりと耳に捉えて、莉亜は転移により御殿から姿を消した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

勘解由小路・津雲
嫉妬や憎悪、か。なんだかつい最近、似たようなやつを相手にしたような気がするな。まあ力量は桁違いのようだが……。

【作戦】
 まず自分の衣服に霊符を仕込む。それから相手のいら立ちを誘おう。

「おや、誰かと思えば滅亡した将軍家の。自分たちを滅ぼした信長の手下に成り下がるとは、どういう風の吹き回しかな?」

 襲いかかってくる怨霊には「破魔」や「霊符」で立ち向かおう。だがおそらくUC相手に技能だけでは勝てないだろう。ここでひとつ賭けに出る。ああいう性格の敵ゆえ、止めを刺すときには見下すためか、罵るためか、こちらを見に来るのではないか。

 そこで【七星七縛符】を発動、「玄武の錫杖」を「投擲」して一太刀浴びせたい。



「嫉妬や憎悪、か。なんだかつい最近、似たようなやつを相手にしたような気がするな。まあ力量は桁違いのようだが……」
 勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は、ゆったりとした足取りで大広間へ踏み込む。絢爛豪華な装飾が施された襖がいやに眩しい。
 白の狩衣の裾で口元を隠し、一の間に立つ大悪災『日野富子』を見やるや、津雲はつうと目を細めた。

「おや、誰かと思えば滅亡した将軍家の。自分たちを滅ぼした信長の手下に成り下がるとは、どういう風の吹き回しかな?」

 明らかな挑発。にも関わらず、最初から怒り心頭の日野富子は、ますます怒りを増幅させて、表情を歪め顔の皺を増やすばかり。
「こ、んの……ッ!!どこまでアタシをコケにする気だ猟兵ッ!!!」

 怒りのままに放たれる無尽蔵とも思えるほどの火矢の怨霊が、津雲を襲う。破魔の力や、手にした霊符で対抗を試みるがその力量の差は歴然であった。霊符は煤となり、美しき白の狩衣は焦げ、津雲自身も膝をつく。

「いや、なるほど……流石だ」

 げほ、と咳き込む津雲に、日野富子はニタリと勝ち誇った笑みを浮かべ悠々と津雲に近付く。立ち上がるどころか動きさえ取れない津雲を、手にした扇で打ち付けようと振り上げた。

「アタシに逆らう愚かさを噛み締めながら、死ね!!!」

 大広間に響く高笑い。扇の動きに合わせ、津雲に迫る無数の火矢の怨霊。

 ――刹那、津雲の体が輝く。否、正確には七星七縛符の光だ。日野富子の不意をつくその光は火矢の怨霊を祓い、同時に、響くはずのない音が大広間に響く。その鈍い音の正体は。

「な……」

 日野富子は知らない。退魔師――勘解由小路・津雲という男を。

「……あんたは、分かりやすいな」

 穏やかな面差しをしたこの男が、存外に強かだということを。

 予め衣服に仕込んでおいた霊符は、反撃への布石。更に彼女の性格を推測し、賭けに出た豪胆さ。

 彼が望んだのは、一太刀。たったの、一太刀。されど。

「……おれの、勝ちだ」
「クッソがぁぁぁぁぁ!!」
 己の腹に深々と突き刺さった玄武の錫杖を見やり、日野富子が忿怒の叫びを上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネージュ・ローラン
なんというか、色々と激しい方ですね……。
それに過去の怨霊ですか……。

大量の火矢の軌道を【見切り】回避し、時には氷の魔力を込めたヴェールで弾こうとします。
そうして凌ぎながら、クルリクルリと【ダンス】で怨霊に向けて鎮魂の舞を捧げましょう。

応仁の乱において貴方達は勤めを果たし、その役目はもう終わったのです。
どうか安らかに眠ってください。

無事怨霊の攻撃が収まったなら反撃開始です。
【演舞 -夢想少女-】で変身し、銀雪の宝杖によって創り出した氷塊を思い切りぶつけてやりましょう。

これで頭を冷やしなさい!




「次から次に、鬱陶しい!!徳川の犬がッ!!」

 腹部の破れた豪奢な着物を払い、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)を視界に捉える日野富子。

「なんというか、色々と激しい方ですね……」
「ごちゃごちゃ五月蝿えんだよッ!!」

 最早猟兵が視界に入るだけで、苛立ちが募る。御託はいいと言わんばかりに、放たれる火矢の怨霊。
 ネージュは視線で、火矢の怨霊を捉える。動きは追える。だがこれだけの数を全て避ける事は不可能だろう。それでも、避けるしかないと一斉に襲いくる火矢をダンスのステップの要領で躱しながら、氷の魔力を宿したヴェールで祓う。しかし、ヴェールは火矢の猛攻に早くも魔力を失ってゆく。

 火矢の怨霊は容赦なくネージュやネージュの周囲を燃やしていく。攻撃が収まれば、反撃に転じるつもりだったが、避けるばかりの火矢の猛攻は収まるどころか増すばかり。

「アハハッ!!踊ってるだけじゃ、アタシに傷はつけられねぇよ!!」
「くっ……!演目開始、其は不思議の国へ迷いし少女」

 焼け焦げた衣装が、アクアマリンのエプロンドレスに変化。手にした銀雪の宝杖の冷気が増す。

「これで頭を冷やしなさい!」

 炎に巻かれながらも、ネージュは残る力を振り絞り巨大な氷塊を生み出す。日野富子を襲う氷塊とネージュを襲う火矢の怨霊の熱により、大広間を大量の蒸気が覆った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

星乃・爐璃
あれは危険だ。
すごいね、ビリビリする。でも、行こうか。

まず一人で攻撃に行くよ
ブライニクルを手に
「さぁ、僕が相手だ!」
【属性攻撃、2回攻撃、串刺し、なぎ払い】

それらを先制してくるんだよね
そしたら僕はユベコを使用
一人は囮さ
二手に分かれてラドゥのダガーによる【だまし討、盗み攻撃】を使用して相手の背後を取る

どっちが本物かなんて僕たちも分からない
どっちも本物なんだよ

さぁこっからが本番だ
時には一人で囮となって【おびき寄せ】
かと思えば攻撃される瞬間ユベコを使用して
爐璃:ブライニクルとラドゥ:ダガーで攻撃するよ

「こいつあ、えれぇ凶暴だなぁっ!爐璃、押されんなよっ!」




 大広間に繋がる廊下に、先の戦いで発生した蒸気が流れ込む。次いで大広間に踏み込むのは、星乃・爐璃(旅人・f00738)。シャンパンゴールドの髪が、ふわりと揺れる。
「あれは危険だ。すごいね、ビリビリする。でも、行こうか」
 爐璃は、ブライニクルを手に日野富子に駆ける。
「さぁ、僕が相手だ!」
 ドラゴンが変化した冷気を宿した槍を、勢いのままに日野富子へ突き出そうとする。
「馬鹿かテメー!!させるわけねぇだろうがッ!!」

 日野富子の爪に槍は弾かれ、庇うために反射的に差し出した左腕は裂かれ、両足は串刺しにされ。

「ぐっ……」
 だが、先制攻撃される事は、承知の上。己は、囮だ。己を犠牲にし発動するのは、『オルタナティブ・ダブル』もう一人の自分を呼び出すユーベルコード。

 前触れもなぬ現れたもうひとつの人影に、一瞬反応の遅れた日野富子は盛大に舌打ちをし、己の左手を大きく横に薙いだ。
「チィッ!!影武者か!?」
 現れたラドゥのダガーが、背後から日野富子の豪奢な着物を浅く裂く。

「どっちが本物かなんて僕たちも分からない。どっちも本物なんだよ」
「猪口才な……!!」
「こいつあ、えれぇ凶暴だなぁっ!爐璃、押されんなよっ!」
 ラドゥの言葉に頷いて、爐璃もブライニクルを構え直す。自身を囮にしたダメージが爐璃に大きく響く。幸いにも無事だった右腕を大きく振りかぶり、手にしたブライニクルを日野富子の足を狙って投げ放つ。
「はっ!!そんなもん当たるかよ!!」
 着物を着ているとは思えぬほどの機敏な動きで、日野富子は後方に跳び退き回避する。

 だが、その一瞬で構わない。こちらには、ラドゥがいるのだから。

 ラドゥが手にしたダガーが、広間の煌びやかな内装を写し反射する。その剣尖は、日野富子の右手に確かに届き畳を深紅で彩った。

成功 🔵​🔵​🔴​

浅沼・灯人
あー、派手に金使ってんなぁ
こんなん建てるくらいならもっとましな防衛設備作るか
優秀な人材雇えばよかったのによ


視線なんざ避ける方が難しい
なら、憎悪も炎も真っ向から受け止めてやる
どっちも、向けられるのは慣れてるからな
憎まれるのも燃やされるのも気にしねぇよ
痛いのは……どうにか我慢だ耐え抜いてやる

あとは進むのみ
鉄塊剣で急所への攻撃を防ぎつつ接近
武器を握る力がなくなっても、俺にはこの身が残っている
殴り抜ける力も、踏ん張る力も残らねぇなら
この口から、竜の炎を吐き散らかす
お前の得たものすべて、焼き尽くしてやるよ

お前は知らないだろうが、竜ってのは強欲な生き物だ
奪わずにはいられねぇんだよ


西条・霧華
「欲は発展を生みますが、過ぎれば己を犯す毒となります。」

先制攻撃対策として、転移と同時に金銭を投げ視線を其方に誘導
その隙に間に合えば『無名・後の先』を使用
間に合わなくとも【見切り】つつ【残像】と【武器受け】で負傷を軽減
軽減し切れない分は【オーラ防御】と【覚悟】で受け止めます

『無名・後の先』にて誘った敵の攻撃を【見切り】つつ【武器受け】
纏う【残像】で敵を乱し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて【カウンター】

【見切り】の時点で反撃が困難だと判断した場合
【武器受け】しつつ【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止めます

地獄の炎を宿す私の【覚悟】を、そんな炎で止められると思わないで下さい


上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
元より常在戦場。
何が相手だろうとやることは変わらない。

――恐れず、迷わず、侮らず
――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に

調息、脱力、敵を観【視力+第六感+情報収集】据える。
敵の戦力を把握。体格・得物・構え・視線・殺気等から拍子と間合いを量【学習力+戦闘知識+見切り】る。

炎攻撃に対しては軌道を【見切り】廻し受け【戦闘知識+グラップル】で弾き散らす。

得物は素手喧嘩【グラップル】
UCは攻撃力強化。

元より焼かれることは【覚悟】の上。
防御回避は最小限。炎を恐れず【勇気+激痛耐性】、最短距離を駆け【ダッシュ】懐に飛び込む。
擒拿術と柔術を主眼にした超至近戦闘【グラップル+戦闘知識】で攻める。




 豪華絢爛な大広間は、今や猟兵と日野富子との戦いで焼け焦げ血に汚れていた。そこへ転送されてきたのは、二人の猟兵。
「あー、派手に金使ってんなぁ。こんなん建てるくらいならもっとましな防衛設備作るか、優秀な人材雇えばよかったのによ」
 浅沼・灯人(ささくれ・f00902)は大広間を見渡すと呆れたように、嘆息して鉄塊剣を肩に担ぐ。
「クソォ……!!このアタシに傷を付けやがって!!許さねぇぞ、猟兵どもッッッ!!!」
 腹と手から血を流し、着物の端を凍らせて、二人を睨め付ける視線を受けて、上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は、構えを取る。その視線は、日野富子を観察するように強く射抜く。
「……元より常在戦場。何が相手だろうとやることは変わらない」
「あーそうかよ!!じゃあ、燃えて消えろ!!!」
 強烈な憎悪を宿した瞳が、二人を焼かんと見開かれる。

「欲は発展を生みますが、過ぎれば己を犯す毒となります」
 その瞬間、遅れて転移して来た西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)は、用意した金銭を日野富子へと投げつける。これまで様々な手段で己に対抗してきた猟兵と対峙してきた日野富子は、反射的にそちらへと視線を向けてしまう。
「こ……んな、はした金でアタシの気を引こうってのかッ!!!」
 三人は、ほんの一瞬視線だけで頷きあう。
「(――恐れず、迷わず、侮らず。――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に)」
「(視線なんざ避ける方が難しい。なら、憎悪も炎も真っ向から受け止めてやる)」
「(一閃でいい。だから、その時まで耐えてみせる)」
 其々が、その瞳に強い覚悟を宿していた。
 己を犠牲にしてでも、一矢報いるという強い覚悟を。

 修介が駆ける。呼吸を整え、無駄な力を抜いて。しなやかに駆ける。起こる紫の爆発は無数。全て避ける事は出来ない。
「火達磨にしてやるよッ!!」
「う、おおおおおぉ!!!」
 時に炎を拳で殴り散らし、己を燃やしながら日野富子へと駆けていく。

 灯人もまた、鉄塊剣で急所への攻撃を防ぎながら日野富子へと接近していく。炎に耐性があるとは言え、その激しい爆発は容赦なく灯人を焼く。それでも、灯人は走るのを止めない。手の力が抜け、鉄塊剣を取り落としても、近づくことを止めなかった。
「クソッ!!なんだってんだ!?燃えろ!!燃えろ!!燃えろーッ!!」
 二人が作り出した僅かな隙に、霧華は愛刀の籠釣瓶妙法村正の柄に右手を添えて、即座に居合の構えを取る。
「小賢しい!!お前もかッ!!!」

 居合の構えを取った霧華に、日野富子の憎悪の視線が、紫の炎が、爆発が集中する。

 『無名・後の先』
 炎の海になり、煙が立ち込めるその場所に霧華は輝きを失わぬ瞳で日野富子を見据えていた。
「地獄の炎を宿す私の覚悟を、そんな炎で止められると思わないで下さい」
「な……ッ!!」
 微動だに出来ない霧華だが、同時に殆ど傷を受けず、構えのままに立っている。その姿に、日野富子の目が驚愕に見開かれる。
「こちらのことを、忘れてないか……!」
 衣服を、己を焼きながらも、最短距離で駆け抜けてきた修介の拳が日野富子を捉える!
「お前の得たものすべて、焼き尽くしてやるよ」
 己の腕で殴り抜ける力も、踏ん張る力も残らない。だが、灯人には竜の炎がある。
「お前は知らないだろうが、竜ってのは強欲な生き物だ。奪わずにはいられねぇんだよ」
 修介の拳を受け吹き飛ぶ日野富子へ、灯人は口から燃え盛る炎を放つ。紫の炎と赤い炎がぶつかり爆ぜ、日野富子を覆い尽くす。
「これで、終いです!」
 巻き上がる炎に構わず駆ける霧華は残像を生みながら、籠釣瓶妙法村正を振り抜いた。

「クソ……ッ……アタシの金……アタシの、御殿……」
 豪奢な着物を炎で焦がし、日野富子は己の作った血溜まりへと倒れ臥す。同時に、満身創痍の猟兵達も転移し姿を消した。

 絢爛豪華な御殿は、燃え盛る炎の海に沈んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月08日


挿絵イラスト