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エンパイアウォー㉖～神妙にお縄につくがいい！

作者：虎河豚天

●悪徳商人
「補給物資は無事に集まったようです」
　しかし、と　アリシエル・フィフスガーディ（五天の守護機・f09139）はグリモアを浮かべながら告げた。
　くるくる、とグリモアを虚空で回しながら銀糸の少女は電子マップを展開する。
「買い占めを行う事で打撃を与えようとしていたオブリビオンがいることが判明しました」
　マップに光点が浮かび上がり、とある一つの店を示す。
　情報が次々とマップに浮かび上がる。
「名をえび寿屋と言います。彼らは物資と資産を持ち、逃げる算段です」
　転送のためにそのグリモアが光を放ち始める。
　紫紺の瞳は無機質に猟兵たちを見つめた。
「すでに幕府の役人たちが向かっていますが、敵はオブリビオン、用心棒も雇っていますし、その用心棒もまたオブリビオンです」
　流石に役人では荷が勝ちすぎるでしょう、と告げた。
　ゲートが展開される。
「イェーガーたちならば問題なくこの予知の打破を完遂出来ると信じています。健闘と武運を祈ります」
　無機質な表情、いつもの定型句。
　戦時であろうと変わらぬ言葉に信頼を込めて、銀糸の少女は猟兵を送る。

●御用だ！！
「御用だ！！　御用だ！！　御用だ！！　御用だ！！」
　役人たちが叫びながら、えび寿屋を追い詰める。
　手にした提灯を揺らしながら包囲網を敷く。
「ええい、木っ端役人どもめが……だが甘かったのぅ、わしらには先生がおるんじゃ！！」
　そう叫びながら、えび寿屋は手を振りかざす。
　途端に生じる無数の気配。
「先生ッ！！　お願いしますよッ！！」
「承知」
　現れた用心棒たち。だが、だがしかし。
「こちらとて、手札は用意してあるぞ、えび寿屋よ、観念するがいい……！！　猟兵の皆さん、申し訳在りませぬがご助力を！！」
　そう、役人たちとて、猟兵と言う強い味方がいるのだからッ！！
「ええい、小生意気な……先生、やってしまってくださいッ！！」

第1章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断 【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。 SPD   :    忍法鎌鼬 自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    忍法鬼火 レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。 イラスト：カス 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●先生たち
「敵は用心棒……だがオブリビオンか」
　竹城・落葉（一般的な剣客……の筈だった・f00809）は自らの愛刀を抜き放つ。
　これが普通の相手ならば、役人でも相手できたのだろう。
　だが、オブリビオンとあらば話は別だ。
「ここから先は我ら猟兵に任せておくといい」
「ええ、そうです。それにしても生でこのやり取りが聞けるなんて……なんだか感動してしまいました」
　郁芽・瑞莉（陽炎の戦巫女・f00305）がうんうん、と頷く。
　感動するべきなのだろうか。
　だがとにもかくにも任されたとあれば。
「さて、お任せください役人の方々！！」
「ああ、敵を追い詰めてくれた事、感謝する」
　落葉が刀を構え、瑞莉は符を構えた。
　用心棒の先生たちは手裏剣や刀を構える。
「者ども、かかれ、かかれぃッ！！」
　用心棒のリーダー格である忍びが声をあげれば、彼らが飛びかかる。
　されど、落葉にはそれは届かぬ。その切先が届いた時点で彼はもうそこにはいない。
　影すら踏ませぬ速度で歩み、そして振るう刀は何者も防げず。
　振るった斬閃は目にも止まらぬ速度で悪党を切り裂いて、鮮血を散らす。
「天下自在符を持つ私達が上様に代わって成敗ですよ！！」
　瑞莉が霊刀・秘幻に自ら血を吸わせれば、それが力を解放する。
　それは合一、剣と御身を一つに合わせ、重ねる事によって解き放たれる力。
「我が盟友である秘幻に願い乞う。我が血を以て封を解き、我と合一し力の全てを与え給え！！」
『我が主にして盟友が瑞莉の願いに我は応じる、承知ッ！！』
　解き放たれ、合一した力、それはその姿すら変貌させ、秘幻と言う存在と化す。
　爆発的に増大した速さと反応速度は縦横無尽に敵を切り裂き、薙ぎ払う。
　影すら捉えられず、影すら踏ませぬ神速の二人。
　ときには残像すら残す程の高速乱舞。
　次々と襲いかかる用心棒たちをばっさばっさと切り倒すは最早無双の舞。
「くっ、なんたる強さ、まさに天下無双か……？！」
「いいえ、違います、これなるは天下自在符です！！」
　ばばん、と掲げられるは天下自在の符。
　江戸幕府より授けられた徳川の紋所。
　人々を平伏させる力の証。
「ば、馬鹿な……ええい、そんなものがこのような所にあるわけがない、先生がた、将軍様の威光を騙る奴らを斬り捨ててください！！」
「ここまでお約束を見せてくれるなんて……！！」
　瑞莉は悪徳商人が見せてくれたお約束にまた感動していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●先生なんてガラではない
「戦線編んてガラじゃないですが闘えると言うのならば気にする事もないでしょう」
　しかし、相手は忍者ですか。むしろあっちも先生なんてガラじゃないような。
　上泉・祢々（百の華を舞い散らす乙女・f17603）は疑問に思った。
　まぁ、いいか。ご自慢の忍法を見せてもらおう、と拳を構え直す。
「見た所、その間合いはおよそ３０ｃｍですね」
　刀よりも遥かに短いソレを相手に。
　自らの手足、それを見やる。
　それこそが彼女の刀であり、武器である。
　折れず、曲がらぬ不壊の刃、それ即ち上泉・祢々である。
　一足で間合いを殺せば、地を這うような薙ぎ払う蹴り。
　されどそれは布石に過ぎず、それを跳躍した所に回転の勢いを利用したままの蹴り上げ。
　下から強襲するその一撃が、敵を虚空に浮かび上がらせる。
　浮かんだ相手には刀に見立てた手刀が炸裂し、素手で放ったと思えぬ斬撃音が響き渡る。
　着込んでいた鎖帷子なぞ、その折れず曲がらぬ刃の前には決して意味はなく。
　苦悶の声をあげた所に放たれるは槍が如く突き、貫手がその喉を貫いた。
　そして抜くが同時に一気に飛び退けば、鮮血がまるで桜吹雪のようにしぶいた。
　されど、彼女は返り血に濡れず。
　ごくごくつまらなさそうに呟いた。
「忍法、結局見れませんでした。ちょっと残念です」

成功 🔵​🔵​🔴​

●ドーモ、ニンジャ＝サン
「なるほど、つまりニンジャ殺すべし、そういうわけだな。任せとけ」
　ラヴ・フェイタリティ（怪奇！地下世界の落ちものメインヒロイン！・f17338）は知っている。
　ニンジャのぶちのめし方を。
　それは故郷の古文書にあった。
「どれだけニンポーを使ってこようが変わらねぇ真実がある」
　それは一体なんだと言うのだ。
　ごくり、と周囲が生唾を飲む。
「それは純粋な暴力には勝てねぇッ！！」
　デデドーン、と言う音が鳴り響いた（気がした）。
　なんて言う世紀末理論、その古文書はきっと世紀末の救世主伝説だったに違いない。
「……忍法も暴力じゃ？」
　フローライト・ルチレイテッド（重なり合う音の色・f02666）がぼそりと呟いた。
　場に沈黙が満ちる。
「つまり火力だッ！！　爆発だッ！！」
『オラァッ！！　ぶっ飛ばしてやるァッ！！』
『囲んで叩けコラァッ！！』
『明日のホットワード載ったぞテメェッ！！』
「ザッカンナーッ！！　スッゾコラァー！！」
『明日の東京湾に浮かべんぞゴラァッ！！』
「え、何これ怖い」
　湧き出たプチラヴに用心棒たちがこぼした。
「ドーモ、ヨーマニンジャ＝サン。ラヴ＝フェイタリティです」
「え、あ、はい」
　突然の挨拶に彼らは思わず応じてしまった。
　そう、応じてしまったのだ。
「ニンジャども伊達にして骸の海に返すべし。慈悲はない、イヤーッ！！」
「うわあああああああなんだこいつらあああああああ！？」
　そして、一斉の大爆発、次々と撒き起こる大惨事。
　自ら諸共大爆発して先生こと用心棒こと忍者改めニンジャたちは爆発していく。
「グワーーーーーーーーーーーーーーーッ！？」
「ラヴさああああああああああああああああああんッ？！」
　フローライトは思い切り叫んだ。
　爆発したラヴを思って。
　夜空に彼女の顔がきらめいた。
　やろう、無茶しやがって。
　これが一番早いと思います。彼女が後に残した供述であった。
「…………」
「…………」
　場に残った沈黙。
　フローライトは徐にギターを取り出した。
「さあ、希望の西風よ、吹き荒べ！！　未来へ羽ばたく翼を乗せてッ！！」
　荒れ狂う西風が、羽ばたきの翼となり、背中を押す風となる。
　周囲の空間が高速戦闘機型のステージとなり、ライブステージとなる。
「え、続けるの？　え、本気で？」
「フハハハッ！！　当然であろうッ？！」
　大総・統（秘密結社オリュンポス大総統・f16446）がライブステージの中央からせり上がってきた。
　えび寿屋を中心に用心棒たちは思った。
　また濃いのが出てきたな……、と。
「我が名は世界征服を企む秘密結社オリュンポス大総統ッ！！」
「こいつ自ら悪事を自白してるぞ」
　えび寿屋が思わず突っ込んだ。
　だがそんなことは関係はない。
「この沙汰、神である私が物資と資産を含め預かろうではないか！！」
「それ横領って言わね？」
　さらなるツッコミが入った。
　だがそんなもん知ったこっちゃねえ。
　周囲の高速戦闘機ライブモードが中継中である。
　荒ぶる風が大総統のマントを激しくなびかせる。
　空にはラヴの笑顔花火が浮かんだままだ。
　なんだこのカオス。
「とにもかくにもそうはさせるわけにゃあいかねぇ、やっちまってください先生ッ！！」
　カオスをどうにかしようと忍びをけしかける。
　だが、大総統にとて手はあるのだ。
「我が放つ冥府の裁き、それは今解き放たれるのだ！！」
　冥府の焔が放たれ忍びを焼き払う。
　嗚呼、自爆攻撃でただでさえ減ったのに！！
「フハハハハハハッ！！　これにて一件落着！！」
　小脇に千両箱を抱えてさも当然のように立ち去っていった大総統。
　ふ、と役人が思い立った。
「……盗人だ！！　捕まえろ！！」
　何人かの役人が彼を追いかけていった。
　……捕まるかどうかは定かではないが。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●終わりを告げる
「……で」
　死之宮・謡（統合されし悪意→存在悪・f13193）はカオスを見送った後に。
　忍者たちを見た。
「何故忍者なんだ……そこは浪人とか剣客か何かだろう？」
　ＵＤＣアースで見た何かに影響されたようだこの魔王っぽいの。
「まぁ良い……折角楽しい魔軍将戦が始まって機嫌が良いんだが……」
　こんな雑兵に関わってる暇などない、と言わんばかりに。
　その手を振り抜けば、崩壊の呪詛の宿る爆炎が忍者を薙ぎ払う。
「死ね」
　次々と発生する爆炎が忍びたちを焼き払い、燃やし尽くしていく。
　えび寿屋の店諸共炎があがる。
　血塗れたシリアルキラーたちが影より這い出て忍びたちを襲い殺していく。
　阿鼻叫喚の殺戮絵画。
「……江戸の町に炎は厳禁だったな？」
　そういえばＵＤＣアースで見た何かにそう書いてあった。
　燃え上がる爆炎を爆発による風圧で鎮火する。
　されど残るのは忍びの骸と焼け焦げたえび寿屋のみ。
「……やりすぎたか……」
　嘆息してから、千両箱に腰掛ける謡。
　ふと思い立つ。
　酒代ぐらい抜き取ってもバレやしないよな……？
　そう思い、周囲を見回すが、そこにいるのは猟兵や役人たち。
「……無理か」
　素直に諦めて、千両箱を軽くなでた。
　後に報酬として幾ばくかの金銭が与えられたが、それは彼女の満足いくものだったのかはわからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月09日