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エンパイアウォー⑳~富と憎悪と欲望の残滓

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #日野富子 #血反吐

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「破竹の勢いとはこのことか」
 グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は不敵に笑う。
 サムライエンパイアを舞台とした信長軍との戦乱は続いている。ロアが手配した今回の依頼についても、それに関連するものだ。
「さあ、汝らに新たな仕事が回ってきたぞ。……信長軍は六魔将が一画、“大悪災”の登場だ」
 これまでの戦いにおける猟兵たちの活躍により、新たな信長軍の将の居場所が判明したのだという。
 大悪災『日野・富子』。
 かつてサムライエンパイアの地を室町幕府が支配していた時代、国を脅かした邪悪な女である。
 その性質は苛烈にして貪欲。そして憎悪に満ちている。
「戦場は京都だ。かつて足利将軍家の邸宅として使われていた『花の御所』であるな。汝らはここに突入し、奴を叩くのだ」
 きらびやかな新築物件だが遠慮せずブッ壊してよいぞ、とロアは言いそえる。
 作戦はシンプルだ。敵の拠点に殴り込みをかけ、撃破する。しかし、それだけの簡単な話というわけではない。
「これまで幾たびかの戦乱を経験してきた汝らならわかっておるであろうが、敵の将は強敵だ。無策で挑めば返り討ちに遭うことは明白であるぞ」
 シンプルであっても簡単ではない、ということだ。敵は必ず先手を取って攻撃を仕掛けてくる。これを巧く躱してはじめて敵のツラを引っ叩いてやることができるのだ。
「敵は『視線を向けた相手を燃やす』能力や、『爪による高速の近接戦闘』。『苛立ちの感情をトリガーとして起動する火矢の召喚』を行ってくる。どれも厄介だな。しっかりと対抗策を練って挑むがよい」
 ここまでの説明を終えると、ロアは猟兵たちの顔を見渡して頷く。
「よし。他に質問はないな。……では、行ってくるがよい!吉報を待っておるぞ」
 そして、グリモアは輝いた。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう。イェーガー。カノー星人です。
 戦争恒例のボス戦です。よろしくおねがいします。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 大悪災『日野富子』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼女を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 ボス戦 『大悪災『日野富子』』

POW   :    アタシの前に立つんじゃねぇ!
【憎悪の籠った視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【爆発する紫の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    アタシのジャマをするな!
自身の【爪】が輝く間、【長く伸びる強固な爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    誰かアイツをぶっ殺せよ!
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊】が召喚される。応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:みそじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フェイ・リバティベル
【アリシア・マクリントック様と】

なんやけったいなお姉ちゃんやな。
そないな金が好きやったらウチみたいにもっぺん稼げばええやん。
ウチなんて三日に一遍はスッて素寒貧なっとるけど毎回頑張って稼いどるちゅーのに。

さておき、敵将の撃破でございますね。
お嬢様の真後ろに付き、日野様の視線を切りましょう。こちらからも日野様が見えませんが、お嬢様を信じるのみでございます。
お嬢様の鎧が限界を迎えましたらば、持ち込んだ旅行鞄からありったけの紙幣をぶちまけ日野様の視線を散らす即席のチャフと致します。
さあ、日野様のお好きなお金が燃えますよ。
ドーダ・ア・カルクナ・ターロゥ!
わたくしの稼いだお金、盛大に火種と致しましょう!


アリシア・マクリントック
【フェイ・リバティベルと】
貴方が殺しているのは民だけではありません。その大事なお金もです。使われないお金などただの紙切れ、屑鉄の塊。人の上に立とうというのなら覚えておきなさい!
視線で攻撃……ならばこれがいいでしょう。ティターニアアーマー!
全身を覆うこのアーマーなら中の「私」を見ることはできません。そしてこの巨体であればフェイさんへの視線を防ぐことも可能なはず。
視線を受けて炎上してもできる限り近づいて、限界になったらアーマーパージ……飛び出してセイバーフィニッシュで攻撃!一気に決めます!当然出てきた私を狙うでしょうが、フェイさんが何とかフォローしてくれるでしょう。彼女は素晴らしいメイドですから!



 京都。花の御所。
 かつて隆盛を誇った室町幕府の将軍邸をそのままに――否。当時のそれを大きく凌駕する絢爛な屋敷が、信長傘下六魔将の一画“大悪災”日野富子の拠点であった。
「なんだ、テメェら……!このアタシの屋敷に何しにきやがったァ!」
「当然、あなたを成敗しにです!」
「なんや、けったいなお姉ちゃんやな」
 先陣を切って突入したのはアリシア・マクリントック(f01607)とフェイ・リバティベル(f13033)である。富子の視線が2人を捉えた。
「猟兵どもか……!アタシの邪魔ァしにきやがったな。クソ、クソ、クソ、クソが!ブッ殺してやる!」
「そうはいきません!あなたの悪行、これ以上は許しませんよ……!」
 ずし、ん。一歩前に進み出たアリシアは、大型の外装であるティターニアアーマーに身を包んだ姿である。
「よろしくお願いします、お嬢様」
 その背後にフェイは身を隠しながら進む。……日野富子のユーベルコードは、視線を向けた先の対象を炎上させるもの。それに対してこれが彼女たちの戦術であった。
 アリシアはティターニアアーマーという大鎧を纏うことで、彼女本人の姿を相手の視野に入れることなく間合いを詰めに行く。フェイはその背後に身を隠すことで炎上の条件となる視線を回避する。戦術は適切であるといえた。
「燃えろ、燃えろ、燃えろォッ!!アタシの前に立つんじゃねェッ!!ブッ死ねェ!!」
 ごう、ッ!!アリシアのアーマーの表面に紫の炎が爆ぜ、炎上する!
「く、ッ……!!」
 ぼうぼう。ごうごう。たちまち燃え上がる呪詛の炎は激しく揺れながら燃え上がる!だが、アリシアもこの程度では屈しない!外装を通して熱が彼女の身体を蝕み始めるが、構わずアリシアは進む。限界を迎えるまでに、少しでも前へ!フェイはその後ろに隠れながら続く!
「いい加減燃え尽きちまえッ!!小娘がァッ!!」
「お嬢様!」
「そろそろ、頃合いですね!」
 ばァんッ!!
 炎上するティターニアアーマーが爆ぜる!限界を迎えた躯体が機能を停止してしまったのか!
 否、そうではない。アリシア自身が自ら鎧をばらばらに分解したのである。アーマーパージ!外装を脱ぎ捨て、彼女は身軽さを得る!
「は……!晒しやがったな!そのまま焼き殺して……」
 軽装状態へと変わって飛び出すアリシアへと、富子は視線を向ける。やることは変わらない。焼き尽くしてやる!
「はい、お邪魔します!」
 だが、それを遮って紙束がばらばらと宙を舞った!舞い上がるそれは無数の紙幣である!突如視界を塞ぐ紙の群れに驚く富子はアリシアへの追撃を断念せざるを得なくされる。
「な……ッ!」
「さあ、日野様のお好きなお金が燃えますよ……ドーダ・ア・カルクナ・ターロゥ!わたくしの稼いだお金、盛大に火種と致しましょう!」
 しゅ、ッ!フェイは素早くマッチを擦った。踊るように降り注ぐように舞い散る紙幣に火をつける。【成金松明】!
「金……?なに……!?この紙切れが金だっていうのか!クソ、ふざけやがって!アタシの許可ナシに勝手に燃やしてンじゃねえ!!」
 炎に巻かれながら富子は困惑!然るのち激昂!サムライエンパイアの通貨体系は主に硬貨や小判などを用いたものであり、紙幣を金だと認識するのに時間を要したのだ。だが、その困惑は彼女にとって決定的な隙を生む一瞬となる!
「今です、お嬢様!」
「ありがとうございます、フェイさん!やはりあなたは素晴らしいメイドですね!」
 富子に生まれた無防備の一瞬をめがけて、アリシアは剣を掲げる。セイバーエッジ!剣から放つ光が富子を縛める!
「セイバー、ホールドッ!」
「グア……!こ、の……クソ、小娘どもがァッ!!」
「悔い改めなさい。貴方の悪事が殺してきたのは民だけではありません。その大事なお金もです。1人の権力者のもとにだけ集められ使われないお金などただの紙切れ、屑鉄の塊。人の上に立とうというのなら覚えておきなさい!」
「せや。そないな金が好きやったら、ちゃあんと天下回るようにせんかい!ウチなんて三日に一遍はスッて素寒貧なっとるけど毎回頑張って稼いどるちゅーのに……」
 うっかり本音をこぼしたフェイの横をアリシアが駆け抜ける。振り上げた刃を、突進と共に叩きつける!斬撃!
「フィニッシュ!」
「ぐあああああああッ!!」
 その刃は富子に深く傷を刻みつけるッ!
「ッ……!!小娘どもが、よくもこのアタシに、こんな傷を、ッ!!」
 だが、一撃必殺とはいかない。猟兵たちのユーベルコードは確実にダメージを与えこそしたが、セイバーホールドの縛めから逃れた富子はぎりと歯を嚙み鳴らしながら一旦後退。態勢を立て直しにかかる。
 ……初撃は猟兵たちの思惑通り。しかし、日野富子もまた信長軍六魔将の1人だ。一筋縄で行く相手ではない。憎悪を更に燃え上がらせながら、富子は猟兵たちを睨め付けた。
 戦いは、続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロク・ザイオン
(森番は森と人の秩序を守り。
それを脅かす「病」を、殊更に嫌う)

「花」の、御所。
……病(オブリビオン)が、褥にしていいものじゃない。

(「轟赫」を四十一、バラバラに操り火矢を防ぐ。
混じり合い呑んでしまえば、それはもう自分の炎だ。自分の意志で操れる)

燃え落ちて。
灰に。
……花の糧になれ。

(呑み込んだ火矢を投げ返し、更に轟赫を纏わせた山刀で【傷口をえぐる】

(こんなに醜く喚く女でも、"悲鳴"は聴きたくない。
狙うは、首だ)


レナータ・バルダーヌ
立派なお屋敷に高そうな物もたくさん……これを売ったら埋蔵金も回収できるのでは?
富子さんを倒せば同じかもしれませんけど、時は金なりと言いますし運び出してしまいましょう。

サイキック【オーラで防御】用の斥力場を形成して火矢を逸らしつつ、【念動力】で敵の動きを妨害をして皆さんを援護します。
火矢は防ぎきれなくても【痛みに耐え】て凌ぎます。

その陰で【愉快なゴボウさんフィーバー!】で呼び寄せた謎のゴボウ生物の亜種、愉快なゴボウさんが邸内の高価そうな物品を搬出します。
気付かれたら気付かれたで、注意が逸れた隙を突けるかもしれません。
あ、知り合いの洞窟(旅団)に飾れそうな金ぴかがあれば個人的にいただきたいです。


非在・究子
な、なんだ、このキレまくりの、女? こ、更年期障害、ってやつか?か、カルシュウムとか、もっと、とれよ。(無駄に煽り)
しょ、初撃の火矢だけど、な。【ハッキング】で、怨霊の一部に、干渉して、目標を、誤認させて、相打ち、させつつ、直撃は、アイテムの『ボム』で、の、相殺と、無敵時間で、凌いで……そ、それでもだめなら、残機の、消耗も、やむなし、だ。
し、凌げたら、ゆ、UCで、怨霊、ごと、ステキな、アトラクションに、ご招待、だ。
そ、即死トラップ、満載の、ダンジョン。な、名付けて、『風雲Q子城』、だ。い、イライラ、してないで、頑張って、脱出した方が、いい、ぞ? じ、時間切れに、なったら、自爆する、から、な。



「ッ、ざけやがって……!あああああムカツク!ムカツク!」
 富子は花の御所を行く。その瞳には燃え上がるような憎悪の火が灯る。
「立派なお屋敷に高そうな物もたくさん……これを売ったら埋蔵金も回収できるのでは?」
「ア゛?」
 そんな最中、レナータ・バルダーヌ(f13031)は家捜しをしていた。
 絢爛豪華な花の御所。そこかしこが金箔貼りで壁さえ豪奢に仕上げられ、当然ながら屋敷内を彩る調度品も惜しみなく宝飾品をあしらわれたひとつひとつが財宝と言えるものとなっている。
 レナータは彼女に随伴するへんないきもののごぼうさんたちと共に屋敷内の高そうなものを手当たり次第搬出しようとしていた。
 そして、富子はちょうどその略奪の現場に遭遇してしまう。
「あ。見つかっちゃいました」
「アタシのモンに手ェ出してんじゃねェ!!ド汚ぇコソ泥が!!」
 即時激昂!富子はすぐさまユーベルコードを起動する。誰かあいつをブッ殺せよ!虚空に灯る炎。燃え上がる火は矢の形を成し、レナータに襲いかかる!
「く……ッ!」
 念動収束!レナータはサイキックを繰り、オーラ防壁を構築した。斥力場フィールドが火矢を逸らす――
「ンなちんけな手品でこのアタシから逃れられると思ってねえだろォなァッ!!」
 しかし、信長六魔将に数えられるだけあって富子のユーベルコードは強力だ。防壁を貫く火矢も少なくはない。何本かがレナータに命中し、炎の傷を刻む。
「あはははは!いいザマだなァ!このままおっ死ねェ!」
「まずいですね……!」
 富子は更に火矢を呼ぶ。痛みに耐えながらレナータは再度防壁を構築。第二射、耐え切れるか。富子が火矢を放つ。その時である。
「な、なんだ、このキレまくりの、女?こ、更年期障害、ってやつか?」
 火矢の軌道が、狂った。
 非在・究子(f14901)である。電脳世界に生まれた彼女はいかなる世界も0と1の集合体として認識する。であるが故に、彼女のハッキング能力は、現実をも操る。
「な……ッ!」
「か、カルシュウムとか、もっと、とれよ」
 軌道を変えた火矢同士が相打ちして消滅。更に究子はボムを爆破。(※ここでいう「ボム」とは単なる爆弾ではなく、バトルゲーマー特有の概念的ボムである。具体的には画面全体の雑魚を一掃し数秒間の無敵がつくアレ)これによりハッキングと合わせかなりの数の火矢を撃墜する。こうなればレナータの防壁でも防ぎ切れる範囲だ。
「あ、ありがとうございます。助かりました!」
「猟兵、は、た、助け合い、でしょ……」
 究子はぎこちなく笑いながら続けざまにユーベルコードを展開する。【オブリビオンのくせになまいきだ】!
「ッ……ざけやがって!まともな服も着てねえ貧乏人どもがァ!!」
「ろ、露出度の、話、は、NG……」
 究子は煽りを躱しながら冷静に仕掛けていく。
「さ、さあ。ステキな、アトラクションに、ご招待、だ」
「……!?」
 虚空に黒く門が開き、中から伸びた腕が富子を掴んで内部へと引きずりこむ。その内部は複雑怪奇な迷宮と化しており、その上致死性のトラップも特盛だ。クリア難度は非常に高い。
「なんだよ、ここは……出せッ!!アタシをこんな目にあわせてただで済むと思ってンじゃねえぞ!!」
「な、名付けて、『風雲Q子城』、だ。い、イライラ、してないで、頑張って、脱出した方が、いい、ぞ? じ、時間切れに、なったら、自爆する、から、な」
「ア゛ア゛!?」
「おっ。とゆーことは収奪チャンスですね!」
 迷路に閉じ込められた富子の様子を見るや否や、ダメージから回復したレナータが目を輝かせる。そして更にユーベルコードを起動。【愉快なゴボウさんフィーバー!】
『なんだい、お嬢さん……』
 どこからともなく生えてくる『愉快なゴボウさん』たちがレナータの前に整然と並ぶ。
「うーんいつ聞いても惚れ惚れする渋い声。それじゃゴボウさん、お持ち帰りタイムですよ!」
『フッ。そいつはいい』
『ああ、楽しくなりそうだ』
「な、なんだ、これ……」
「ゴボウさんです!」
 困惑する究子をよそにレナータとゴボウさん軍団は花の御所内部の高価そうな物品を収奪開始。さあ、タイムアタックだ。富子が迷路を抜けてくるまでどれくらい持っていけるだろうか。
「ッざけんなアアアアアアアア!!!!」
 Q子城の奥底から、悔しがる富子の怒声が響いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


(リプレイ提出時の操作ミスにより、描写の記述がないにもかかわらず参加した状態になっている方がいらっしゃいます。申し訳ございません。そちらの方について、後ほどあらためて描写したリプレイを提出させていただきます)
「ド、畜生ォがア!!」
 邸内にて、盛大な爆発が起きる。立ち込める噴煙の中で咆哮するのは、十二単を焼き焦がした富子である。
「クソ、クソクソクソクソ!よくもやりやがって……!アタシの『花の御所』が!」
 燃え落ちる部屋から庭園を望む。東西の花々を集めた見事な庭園であった。
「……」
 そこに、ロク・ザイオン(f01377)は静かに姿をあらわす。
「『花』の、御所……病《オブリビオン》が、褥にしていいものじゃない」
 ロクは森番である。木々とともに暮らし、森とともに生きる者だ。であるが故に、彼女は『花』の名を冠するこの場所を、邪悪の褥とすることを許せない。
「……なんだァ、てめェ……。てめェも猟兵か!ブッ死ね!!」
 激昂する富子は即座にユーベルコードを先制起動。ロクが迎撃体制をとるよりも遥かに速く、彼女の力は起動する。怨霊火矢!
「……!」
 回避は間に合わない。防御する間も無く放たれた火矢はロクの身体に容赦なく突き立ち、燃え上がった。
「ははははは!ざまあみやがれ!アタシの技はなア、お前らが力を繰るよりも“速い”んだよ!そのまま焼け死ねッ!!」
 富子は哄笑する。げらげらと品性に欠けた笑い声を響かせ、勝ち誇る。
「……おまえは、醜い」
 しかし、身を苛む炎の中でロクは呟く。
「なンだと……?」
 富子は訝しむようにロクを見た。……そこに、炎が燃えている。赤い炎が、細く長く。うねる蛇の群れのように――
「てめェ、なンだ、それは」
「燃え落ちて。灰に」
【轟赫】。自身の髪から帯状に伸ばした炎を操るロクのユーベルコードだ。怨霊火矢の炎と混じり合い呑み込み己がものとした彼女の炎だ。その緋色は激しく燃え上がる。
「……花の糧になれ」
 赫を纏いながらロクは走る。一歩踏み出す毎に焼ける痛みが彼女を傷つけ、踏み込んだ足元に赤が散る。
「ッ……ざけやがって!」
「悲鳴は、ききたく……ない」
 間合いを詰めながらロクは剣鉈を抜く。燃ゆる紅を照り返し、朱金に刀身が閃いた。喉元を狙った斬閃は炎とともに富子を襲う!
「ハ……!なめンじゃねえッ!!」
 しかし、富子は身を翻してその刃の届く先をずらす!喉元より胸元へ。突き入った刃は鎖骨に阻まれ致命打には届かない!
「……ッ」
「アタシをナめんじゃねえッ!!」
 しかして富子はそのまま地を蹴り後退!ダメージを最小限に抑えたかたちだ。一方ロクの身体は浴びせられた火矢のダメージが残り、うまく言うことを聞かない。この交錯においては、富子が一枚上手を取った。
 ――戦いは、まだ続く!
上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
元より常在戦場。
何が相手だろうとやることは変わらない。

――恐れず、迷わず、侮らず
――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に

調息、脱力、敵を観【視力+第六感+情報収集】据える。
敵の戦力を把握。体格・得物・構え・視線・殺気等から拍子と間合いを量【学習力+戦闘知識+見切り】る。

炎攻撃に対しては軌道を【見切り】廻し受け【戦闘知識+グラップル】で弾き散らす。

得物は素手喧嘩【グラップル】
UCは攻撃力強化。

元より焼かれることは【覚悟】の上。
防御回避は最小限。炎を恐れず【勇気+激痛耐性】、最短距離を駆け【ダッシュ】懐に飛び込む。
擒拿術と柔術を主眼にした超至近戦闘【グラップル+戦闘知識】で攻める。


メルノ・ネッケル
金は天下の周り物、ってな。
文字通り、年貢の納時やで……大悪災・日野富子!!

奴の攻撃を凌ぐ手、今思い付くのはこれしかない。
……ゴメンな、後できっちり直したるで……今だけ、無茶に付き合ってくれ!

「ハゴロモコート」を「トオミドローン」に掛け……奴の
顔面目がけて飛ばす!顔にコートが被さりゃ御の字、そうでなくても視線を引きつけてくれれば!
その間にもうちが燃やされかねんが、瀕死になるのも布石。
……上手くいく、【勇気】を持てっ!
これでうちへの視線は切れる筈!

『戦場の亡霊』……瀕死のうちを助けてくれる、この地に眠る亡霊。悪いな、慣れへん銃使わせて。
……反撃開始や!
【2回攻撃】、撃ちまくるで……二人でなぁっ!!


ウィーリィ・チゥシャン
料理人にとって炎は「友」であり「相棒」だ。
だが、お前の炎は喰らい尽くし、滅ぼすだけ。
ただの「災」。
そう、お前自身と同じだ。

横合いから突っ込みながら奴を挑発し、憎悪の視線をこちらに向けさせる。
それを鉄鍋の『盾受け』で受け止め、『物を隠す』で俺の姿を鉄鍋と奴自身の炎で隠すと共に『料理の鉄刃』の『二回攻撃』を鉄鍋越しに繰り出し、
一太刀目で燃え上がる鉄鍋を、二太刀目で奴を切り裂く。
「自分自身の憎悪で目が眩んでたようだな!」



「“大悪災”、日野富子と見受ける」
「なンだァ、てめェ……?」
 猟兵たちからの追撃を逃れる富子の行く手を遮ったのは、上野・修介(f13887)である。
「……アタシ相手に真正面からツラ出すとは。自殺志願か?……は、は、ハ!いいさ、そンならすぐに殺してやるよ!」
「何が相手だろうとやることは変わらない」
 修介は構える。その瞳は油断なく敵の所作を見据え、敵の戦力を推し量る。……凄まじく膨れ上がる殺気。只者ではないことは一目見た瞬間に得心がいった。
 故に、正面から突破しにゆく。
「自殺志願かよ!あっはははははははは!!死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」
 恐れることなく飛び込んでくる修介に対して、富子は哄笑とともに視線を向け、ユーベルコードを起動する!紫炎がごうと音をたてて燃え上がり――
「そうは――させない!!」
 ガァンッ!!!轟音!横合いから突っ込んできた金属の塊に視線を阻まれる!
「なん……ッだァ!!」
「炎は『友』であり「相棒」だ」
 鉄塊――鉄鍋を構えて激突を仕掛けたのはウィーリィ・チゥシャン(f04298)である!ウィーリィは更に力を込めて富子を押し込み、その態勢を崩させる!
「だが、お前の炎は喰らい尽くし、滅ぼすだけ。ただの『災』――お前自身と同じだ!」
「いきなり横入りしてきてェ!ワケのわからねえ戯言をッ!!」
 富子はたたらを踏みながらもぐるりと首を回して視線をウィーリィへと向ける。……だが、その視界に入ったのは鉄鍋だけである!ウィーリィは鉄鍋に身を隠すことで視線を向けられるというユーベルコード条件を躱したのだ。更に、鉄鍋とはもとより炎に耐えるものだ。紫炎がその表面で燃え上がるが、ウィーリィは鉄鍋を盾としてそれを防ぎ切る!料理人特有の戦い方だ!
「クソガキがァ!!ふざけやがって、ェエッ!!」
「いい加減に観念せえや!年貢の納時やで……大悪災・日野富子!!」
 狂乱する富子に向けて更に飛び込む影!それはメルノ・ネッケル(f09332)のトオミドローンだ。しかしてそのドローンには上着がかけられている!
「うお……!」
 果たしてそれは富子の視界を塞ぐための手段である!飛来したドローンは勢いのままにメルノ愛用のハゴロモコートをぶわと広げ、富子の顔面めがけて飛ばす!
「くだらねえ小細工をォ!!」
 ご、ッ!コートとドローンが音をたてて燃え上がる!紫炎がおぞましく唸りながら迸った!
「ゴメンな、後できっちり直したるで……」
「だが、隙は見えた」
 折良く囮となったドローンに助けられてか、修介は富子との間合いを詰める!拳の届く距離ッ!
「お前も死ねえッ!!」
 だが、富子の瞳は修介を捉える。それは即ちユーベルコードの対象になったということだ。しかし、彼は恐れることなく更に進む!
「――力は溜めず」
 ――恐れず、迷わず、侮らず
「――息は止めず」
 ――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に
「――意地は貫く」
 もとより焼かれることは覚悟の上。修介の眼前で紫の炎が爆ぜる。皮膚が焼かれる痛みと熱さ。生命としての本能が危険を告げる。逃避を叫ぶ。だが、彼はそれでも怯まない。
 【拳は手を以て放つに非ず】。
 専心。彼の拳はただ腕の動きだけで撃つものではない。鍛え抜かれた身体。研鑽し続けた技術。そして揺るがぬ精神。その全てが彼の撃ち放つ拳を支えている!だからこそ、この拳は届く!
「おおおおおお、ッ!!」
「グア……!!」
 炎を裂いて、修介の拳が富子を捉えたッ!!が、ご、ッ!!顔面を撃ち抜く衝撃に富子の身体が押し出され、床上を転げる!
「があああああああああッ!!!ッざけやがってエエエエエエエエ!!」
 狂乱!咆哮!双眸を見開いた富子は怒りのままに手当たり次第紫炎を放つ!ぼうぼう、ごうごう!凄まじい勢いで吹き出し爆ぜる炎!
「ッぐ……!」
 花の御所そのものを焼き尽くさんばかりの業火が猟兵たちの視界に広がる!メルノとウィーリィもまたその炎にまかれてしまう。
「うおおおおおおおおおッ!!」
 だが、ウィーリィはその中を走った!鉄鍋を盾がわりに炎の中を突っ切り、叫び、駆ける!料理人であるウィーリィにとって、炎とは友だ。一欠片の恐れも怯えもありはしない!
「クソガキぃ!!」
「子供だからって侮ってるなら、お前の負けだぜ!」
 富子の眼前に更に現れたのはウィーリィの鉄鍋だ!シールドバッシュめいた激突!富子が怯む!
「こ、の……!!」
「自分自身の憎悪で目が眩んでたようだな!」
 【料理の鉄刃】、ッ!炎を裂く炎の大包丁、三昧真火刀!意趣返しめいて火を宿す刃が富子へと袈裟懸けに斬撃を刻んだ!勢いに押されて数歩後方へ押し込まれる富子!
「あああああああぐ、ッ!うううううおおおおおおおおお、ッ!!こ、このアタシを、ナめやがって……!ナめやがってェエエッ!!」
「ナメてかかってなんか、おらんで」
 じゃき、ッ。富子のこめかみに突きつけられる銃口。歯噛みする音とともに、富子は視線を向ける。
 ウィーリィとの交錯の合間に、富子の側へと忍び寄っていたのはメルノである。ここへたどり着くまでに激しく燃え上がる紫炎の中を越えてきたが故に、メルノは既に重篤なダメージを負った状態であった。真新しい火傷痕に赤く染まる指先を、彼女は引き鉄にかける。
 否、メルノだけではない。――富子を挟み撃ちにするように立ち、メルノとともに銃を構えるのは【戦場の亡霊】である。
『もう、おやめください。御母堂様』
「……黙れよ雑兵。ド汚ねェ女狐と仲良く下剋上のつもりか?」
「ちゃうで。……この人も、あんたや信長を止めて、この国を守りたいんや」
「戯れやがって、ッ!!雑魚が!クズが!ゴミどもがッ!!頭を下げろや!お前らクソムシどもは黙ってアタシに従ってりゃいいんだ!」
 富子が激昂する。そしてまたも憎悪の炎を吹き上げようと咆哮して――
「グア……!!」
 乾いた銃声。『亡霊』が、富子を撃った。
『お願いです。これ以上は、お止めください』
「ああ。……もう、終いにせえや!」
 更にメルノが射撃。その瞳には一片の迷いもなく、引き鉄を引き続ける。
「ッ、ぎ……!!ゴミどもがアアアアッ!!」
 銃弾にその身を穿たれながら、富子は自身を中心として炎を吹き出した。紫炎!爆ぜる火が煙幕めいて花の御所に満ちる。富子は呪詛めいた叫び声をあげながら炎に紛れて後退。猟兵たちから逃れてゆく。
「……逃したか」
「けど、かなり追い込んだはずだぜ」
「うん。あと一息ってところやな……!」
『……ご母堂様を、よろしくお願いします』
 炎の先に富子を見失うも、猟兵たちはたしかな手応えを感じていた。とはいえ、彼らも受けたダメージは少なくない。回復のために3人は一旦戦線を外れる。メルノに一度深く頭を下げ、戦場の亡霊もまた姿を消した。
 “大悪災”との決着は、近い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神羅・アマミ
全方位に噛み付いていくスタイルが怖すぎるのじゃ…更年期障害って奴かのぅ。
強欲ババァは早いとこ躯の海へとお還り願おう!

コード『特機』にて奴の爪から繰り出される多段攻撃へ対応を試みるぞ。
相手の爪は両手足合わせてせいぜい20枚、これに対し妾のソードビットは51枚!
加えて言うなら束ねてよし散開してよしの変幻自在、防御に徹するならば捌く上で不足はあるまい!
当然、防御しているだけではジリ貧じゃろうが、着目すべきは奴の狂犬ぼっちぶり。
同士討ちを狙う味方がいなければ己が寿命を削るは明白!

爪はボロボロ、髪は白く抜け落ち、肌は荒れて足腰はキリキリ痛む…時の流れは残酷、ピチピチのJSに軍配が上がるという寸法じゃよ!


イヴ・シュプリーム
心情:お金、ね……そんなもののためにここまでするなんて……度しがたいわ……
でも、その欲望と憎しみを絶ち切るのも『魔導士』の役目ね……

戦術:敵の爪による攻撃を<日傘>による【盾受け、オーラ防御】にて凌ぎます。この際、日傘の損傷には目を瞑ります
最悪の場合に備え、【激痛耐性】も使用

そして、それに平行して<魔法:エネルギー操作>による【属性攻撃】……敵の爪が放つ光エネルギーを限りなくゼロにし、能力の無効化を狙います

「輝かなければ……力を失うそうね……?」

反撃は【創造スル御手】、作成可能な最大サイズの金塊を上空に作成し、押し潰します(推定850t)

「……お望みの黄金よ……お気に召したかしら……?」


舞塚・バサラ
【SPD】
思い通りに行かぬは人の常
それをやれ誰かのせいだなどと…醜いにも程があるで御座る
__その買い占めさえ無ければ、貧困に喘ぐ民草も居らなんだのに
__その傲慢を罰し、強欲を裁く
罰裁羅の業を執行する

相手の先制攻撃は爪を用いるもの
故に、その一撃一撃を【見切り】指の一本一本を動かせぬよう破壊したり切り落とすで御座る(破壊工作、部位破壊、二回攻撃、暗殺、早業、クイックドロウ)
爪は確かに頑丈で御座る、が指そのものはそこまででもないようで御座るな
そして頭に血が上り、振るえるのは両の足と腕の合わせて20の爪…

此方の方が多いで御座るな(UC発動。属性攻撃、暗殺、鎧砕き、毒使い、だまし討ち)



「ハア……ハア……ちくしょう、クズどもが……!アタシは将軍の母だぞ……国母だろうがよ……!逆らいやがって……!!」
 重篤なダメージを残した身体を引きずるようにして富子は御所の廊下を走る。
「クソ、クソ、クソ……!ムカつくが、ここは一旦退いて態勢を立て直す……!まずは雑兵どもに持てるだけカネを持たせて……」
「お金、ね……そんなもののためにここまでするなんて……度しがたいわ……」
「また猟兵かッ!!いい加減にしやがれよ!!」
 富子の進路を塞ぐように通路の先に現れたのはイヴ・シュプリーム(f13592)である。
「ゴミクズどもが……!てめェらのせいでアタシの人生は滅茶苦茶だ!どうしてくれんだよ!アア!?」
「思い通りに行かぬは人の常。それをやれ誰かのせいだなどと……醜いにも程があるで御座る」
 音もなく影から現れた舞塚・バサラ(f00034)は富子の退路を塞ぐように背後に立つ。
「知ったような口を……!お前から先にブッ殺して……」
「おーおーおー、怖い怖い!全方位に噛み付いていくスタイルが怖すぎるのじゃ……更年期障害って奴かのぅ」
 どんッ!天井をブチ破りながら煽りをキメるのは神羅・アマミ(f00889)だ!彼女もまた着地とともに戦闘態勢を取り、富子の行く手を阻んだ!
「てめェら……!言わせておきゃア言いたい放題!アタシは国母だぞッ!!逆らってんじゃねえよ!」
 激昂!富子は怒り狂い咆哮しながら両手の爪を輝かせる。近接戦闘の構えだ!
「今のこの国は徳川幕府の泰平の世に御座る」
 バサラは影を編み、無形の黒刃を紡ぐ。床を蹴立て疾駆。爪を研ぐ富子へと挑む。
「だからなんだってんだッ!!元はといえばその徳川の財だってアタシんだ、アタシのもんだッ!!」
 先制ッ!輝く爪を富子は振るい、斬閃を刻む。十二単の重たげな外見からは想像もつかぬ凄まじい高速機動。爪撃の嵐がバサラを襲う!
「否――過去はもう戻らない。故にこそ、それに逃げてはならない。縋ってはならない」
 バサラは無形刃を二刀構えてそれに打ち合った。頬を。腕を。脇腹を。捌き切れぬ爪撃に浅く裂かれながらもバサラは刃にて迎え撃つ!
「黙れッ!!全部、全部全部全部アタシのもんだ!カネも権力もなにもかもッ!!アタシのッ!」
「なんつー欲の深さじゃ……。強欲ババァは早いとこ骸の海へとお還り願おうではないか!」
「ええ、その欲望と憎しみを絶ち切るのも『魔導士』の役目ね……」
 そこへ更に横合いからイヴが突っ込んだ。その手には日傘を握る。ただの傘ではない。防御に最適化した術式を織り込んだそれは適切に用いれば核兵器にまで対応できる強力な防壁となる。展開しながらシールドバッシュめいて突撃。側面からの激突に富子は対応しきれずたたらを踏む。しかし、反撃へと転じる速度も人間を超越しているのだ。富子はすぐさま床面を強く踏み込むと跳ね飛ぶようにイヴへと襲いかかる!4倍速再生の動画のように凄まじい速さで攻撃を仕掛ける富子はイヴの日傘の防壁と拮抗!しかして競り合いを制する!
「く……ッ!」
「今度はこっちじゃ!とくと見やれ、妾の華麗なる剣舞!」
 【特機】!アマミのユーベルコードが起動する。サシの勝負であれば先制で潰されていたやもしれぬが、バサラとイヴが富子を抑えていたことで漕ぎ着けたかたちだ。召喚されたソードビットの群れが富子めがけて押し寄せる!
「たわけた小細工ッ!!」
「お主の相手などその小細工で十分じゃぜー!」
 爪撃が群がるソードビットと激しくぶつかり合う!しかし富子は強敵だ。押し切るまでは至らない。だが、それでも陣形を組むソードビット達は巧みに富子の連撃を受け止め、いなし、拮抗するまでに持ち込む!
「ナめるなよ……!!アタシは日野富子だぞッ!!この世界の歴史に名を刻みいずれは将軍も信長もブッ殺して天下に返り咲く日野富子だぞッ!!」
「――その強欲さえ無ければ、貧困に喘ぐ民草も居らなんだのに」
 【陰術:以津真天ト哭キ叫ブ凶鳥】。バサラは剣を引き抜いた。炎と影を纏う剣。《反逆スル夜光》。
「拙者は叫ぼう。その悪逆に『いつまで』と――その傲慢を罰し、強欲を裁く。罰裁羅の業を執行する」
 影が揺れ、炎が爆ぜる。赤と黒は混じり合い、そして新たな刃を形作る。それこそ無数に。
「裁く……?裁くだと!このアタシを!?冗談もいい加減にしやがれよ……裁きを下すのは、このアタシだッ!!てめェらは全員この場で死罪獄門刑だッ!!」
 富子は気炎を上げながら咆哮し更に爪を振るう。しかし、猟兵たちにその悪意は届かない。アマミのソードビットとバサラの剣の群れが四方八方より彼女を攻め立て、防戦一方にまで追い込んでいるのだ。
「持久戦で御座るな」
「いいや、これでよいのじゃ。……あれだけ無茶苦茶な動きをしておる。反動や代償があるに違いないぞ」
「ぐうう……、ッ!!」
 果たしてそれは事実である。富子のユーベルコードは代償として寿命を削る。ここまでの交錯における濫用で、その身体には疲労として見える形で蓄積されていた。
「爪はボロボロ、髪は白く抜け落ち、肌は荒れて足腰はキリキリ痛む……時の流れは残酷、ピチピチのJSに軍配が上がるという寸法じゃよ!」
「ッざ、っけ……」
「……そろそろ、おしまいにしようかしら」
 爪に引き裂かれずたずたになった日傘を放り捨てながら、イヴがその手を掲げる。
 彼女は2人が富子を抑えている間に術式を練り上げていたのだ。それは光と闇を繰る魔法である。
「輝かなければ……力を失うそうね……?」
 イヴは静かにそれを放った。飛来する刃の群れへの対応に追われながら疲労した身体ではそれを躱すこともままならない。術式の光が富子を包み込むように命中。そして、その力は爪より輝きを奪う。
「な……!」
 『爪が輝く間』、富子のユーベルコードは起動する。であるが故に、輝きを失えばその爪は単なる女の指先に戻るのみである。
「ぐああああああああッ!!」
 それは即ち、刃の群れを防ぐ手立てもまた失うということ!富子の全身を縫うようにいくつもの刃が突き立ってゆく!
「クソ、痛い、痛い……!なんでだよ、アタシは、アタシは国母だぞ、なんで、なんでこんな目に……!」
「ここまで、くると……逆に、すごいわね……」
 きっと、悔い改めることは望めないだろう。イヴは静かに瞑目してから、新たな術式を起動する。【創造スル御手】!虚空より彼女が想像するのは、巨大な金の塊だ!そして、イヴはその金塊を――富子めがけて、落とすッ!!
「ぎ、ッ」
「……お望みの黄金よ……お気に召したかしら……?」
 極大の質量に潰され、富子が呻いた!
「やったか!!」
「やったで御座るか!」
「やられるかアアアッ!!」
 そして立ち上がるのは満身創痍の日野富子である!
「よおおおおおくもおおおおおお、こおおおおおのおおおおおおおアタシいいいいにいいいいいいいいいいい!!」
 狂乱。
 地獄の獣めいて咆哮する富子は既に致命傷以上とも思えるほどの傷を身体に刻み、怒声と悪罵とともに血を吐きながら紫炎を纏い、燃え上がる!
「こうなりゃァ自棄ぱちだ……!てめェらド腐れ猟兵ども、1人でも多くブチ殺してアタシの黄泉路のお供にしてやる!」
 獄炎!地獄めいて燃え上がる花の御所に、富子の殺気が充ち満ちる!……決着の時は、近い!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

一之瀬・百華
お金は天下の回り物、とは申しますが…此処まで来ると醜悪で御座いますね?
せめて、三途の川の渡り賃くらいはお支払して差し上げましょう…貴女様の命にて

【早業】【武器受け】【地形利用】を用い、建物の柱に『縁魂操鎖』を引っ掛け、自身を中心とした鎖の結界にて火矢を防ぎましょう
隙間を抜けてくる火矢は【早業】【武器受け】にて兄様に防御して頂きまして…さすれば此方のもの、私の兄様に模倣出来ぬ技は御座いません
【早業】【咄嗟の一撃】【2回攻撃】【鎧無視攻撃】【なぎ払い】…ありとあらゆる技術を詰め、跳ね返して差し上げましょう
攻撃を防いだ兄様にも苛立ちの情を抱かせられたら御の字…さぁ、己の技を自身で受けると宜しいですわ


ステラ・ジオ
憎悪や苛立ちの音は、好きじゃないけれども……
あなたが災厄を奏でるのならば、
ぼくは希望を唄い、絶望に抗おう

相手の爪が輝いたら攻撃を警戒して回避に専念
何処から攻撃がくるか判らないし、見える範囲だけでなく、頭上や背後にも意識を向けて警戒
足元への攻撃は【空中浮遊】で避ける

本体のラジオを複製して、相手が苛立ちそうな音、
周囲の猟兵達を鼓舞出来そうな音を奏でて
皆が攻撃し易そうな位置に【おびき寄せ】るね
ぼくはあなたのように、ひとりでは無い
今を生きる皆と共に奏でる未来の音で、過去からの脅威を断ち切るよ


もし、近くに百華(f01482)がいたらフォローに回る
いつも世話になっているし、こらくらいは手伝わせて?



「死ね」
 ごう。
 紫の炎が巻き上がり、花の御所を燃やしてゆく。
「死ね……」
 ごお、っ。
 金箔貼りの壁が燃える。上等のいぐさで編まれた畳が焼ける。庭園に包まれる。
「死ねッ!!1人残らず、1人残らずだ!みんなみんなみんな死ね!アタシに逆らう奴らは全員死ねッ!!」
「……此処まで来ると醜悪で御座いますね?」
「うん……嫌な音だ。憎悪や苛立ちの音は、好きじゃないけれども……」
 一之瀬・百華(f01482)とステラ・ジオ(f11605)は、とどまるところを知らぬ富子の邪悪さに嘆息する。
「せめて、三途の川の渡り賃くらいはお支払して差し上げましょう……あの方の命にて」
「うん。いこう、百華。手伝わせて」
「はい、いきましょう」
「黙れ黙れ黙れ黙れッ!!ウゼエんだよ、ウルセエんだよ!みんなみんなみんな寄ってたかってアタシを叩きやがって!殺してやる、殺してやる、殺してやる!!」
 狂乱する富子はユーベルコードを同時多重展開。殺意と憎悪にぎらぎらと双眸を輝かせながら両手の爪を伸ばし、更に怨霊の火矢を喚ぶ!
「いいえ、貴女様の思い通りにはいきません」
 しゃら、と涼やかな金属音を鳴らし、百華の指先から鎖が走る。縁魂操鎖!張り巡らせる鎖が結界めいて展開され、火矢の群れを迎撃する。
「弱エ弱エ弱エッ!!その程度でアタシの技を止められると思ってンのかッ!!」
 しかし富子は更に追撃!両手の爪を輝かせながら疾駆した。進路上の鎖結界を引きちぎりながら百華めがけ走り――
「あなたが災厄を奏でるのならば、ぼくは希望を唄い、絶望に抗おう」
「てめェッ!!」
 ステラがその路を遮る。激昂する富子はすぐさま標的を変更。爪を振るい、ステラへと襲いかかる!
「死ねッ!!死ね、死ね死ね死ね死ね!」
「く……ッ!」
 猛攻!苛烈な爪撃が嵐のように押し寄せる。ひとつひとつの攻撃が致命傷に至るほどの威力であろうと推し量れた。ステラは慎重に回避機動へと移る。間合いを開き、張り巡らされた鎖を掴んで上に跳び、死角へと回り込むように動き回って富子から逃れる。しかし、それでも彼女は強敵だ。その勢いは止まらない。
「兄様」
 だが、ここで百華が動く。飛び交う火矢の中で、百華は彼女の兄――すなわちヤドリガミたる彼女の本体である人形と対になる和人形『白』を走らせた。【金剛八式 鏡龍】。敵のユーベルコードを防ぎ、模倣する技である。『白』は鎖結界に入り込んだ火矢を撃ち落としながらその技を映し取る。
「兄様!」
 『白』が火矢を放つ。そして炎が富子を阻む!
「ちいッ!ナメた真似をォッ!」
 富子が怯んだ隙にステラは一時後退。そしてユーベルコードを起動する。【錬成カミヤドリ】!彼女の本体であるラジオが虚空より現出。そして叫ぶノイズを富子へと浴びせる!
「なン、だ!この不快な音……!」
「今だ、百華!」
「ええ!」
 動きを止めた富子へと向かい、『白』と百華が仕掛けた!火矢が飛ぶ。『白』が踏み込んでの頂肘!更に百華が薙刀で斬り込んだ!
「ぼくたちはあなたのように、ひとりではない」
「ッざけんなアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 だが、逆上する富子の力は絶大だ!
 模倣火矢を叩き落とし、頂肘を、薙刀を捌きながら更にステラの複製へと切り掛かり破壊する!
「わかったぞ……てめェら、ヤドリガミとかいう物の怪どもだな……!クソがッ!無価値ながらくたどもが逆らいやがって!」
 未だ強気で叫び続ける富子であるが、その身体に累積された疲労とダメージは著しい。ここの交錯において猟兵たちとの戦いは拮抗したが、彼女はリスクを鑑みて後退を開始した。
「覚えてやがれよ、あとで粉々にしてやるからな!!」
 ――炎上する御所の中へと、富子は更に逃れ続ける。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ティオレンシア・シーディア
【血反吐】
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

ただ貯めこんでるだけじゃ、お金って形の整った金属クズだと思うんだけどなぁ。
金は天下の回し者…だっけ?

炎をどうこう、よりは爪に対処したほうがまだ目があるかしらねぇ?
爪での攻撃なら、リーチが伸びても基点は手足そのままよねぇ。
なら、そこを抑えれば凌げるかしらねぇ?
手首とか足先とか、基点を〇見切って●的殺で妨害するわぁ。
これでも、〇早業には多少自信あるのよぉ?そっち相手じゃ形無しだけど。
…全部潰すのは厳しいでしょうし、多少の被弾は〇覚悟しないと、よねぇ。

…最悪、〇捨て身で爪の一本くらいはへし折ってやるわぁ。
多少は味方への〇援護射撃になればいいんだけど。



「おおおおおおおおおおおおッ!!」
 燃え上がる。
 燃え上がる。燃え上がる!“大悪災”日野富子は滾る憎悪とともに火を吐き、炎に満ちる花の御所の中心で燃え続ける!
「許さねえ、許さねえ、許さねえ……!!アタシのカネを、富を!権力をォ、奪うヤツは誰も許さねえッ!!」
「ただ貯めこんでるだけじゃ、お金って形の整った金属クズだと思うんだけどねぇ」
 炎を踏みしめ、ゆらめく影。ティオレンシア・シーディア(f04145)である。
「黙れ、黙れ黙れ黙れッ!クソ猟兵がッ!アタシの前に立つんじゃねえッ!!」
 猟兵を認識した富子は燃え上がる紫炎の中から咆哮!床板を蹴立て業火とともにティオレンシアへと向かう。
「ごめんなさいねぇ。こっちのお仕事だから、そうはいかないのよぉ」
 ティオレンシアは得物を抜き、迎撃の構えをとる!短い呼吸をひとつ。紫炎に燃え上がる御所の熱気が肺腑を満たす。
「死ねえええええええええッ!!」
 悪鬼めいて爪を伸ばし、般若の如く激しい憤怒の形相で富子は襲いかかる!
「アタシの邪魔ァするんじゃねエッ!!腐れ脳みそのあばずれがよお!」
「あらあらぁ、ヒス起こした女って嫌ねぇ」
 爪撃!爪撃爪撃爪撃爪撃!
 炎をあとに引きながら、富子は爪を振るう!ティオレンシアは目を細めながらその所作を見極めにかかる。
 ざ、ッ!初撃!顔面を狙う爪一閃!ティオレンシアは上体を捻り回避!躱し切れなかった爪の先が頬を裂いた!追撃!ティオレンシアは反撃に転じようとするが、富子の攻め手はあまりにも速いッ!胸元を裂かれる。肩口を切られる。脇腹に血が滲む。ティオレンシアは回避機動を続け辛うじて致命傷を避けながら反撃のタイミングを伺っていた。
「はは、はは、はははははは!!ブッ死ねえッ!!」
「ッ……!」
 ぞぶ、ッ。しかして遂に、富子の爪の先がティオレンシアの身体を捉えた。貫手のように放った指先が胸元から背中に貫通している。傷口とティオレンシアの口の端から血の色がこぼれた。
「終いだ、クソ女!ははは!死に……」
「ええ、ええ……そうねぇ、そろそろ、幕引きねぇ?」
 ティオレンシアは、なんてことないような。いつもと変わらない笑みを浮かべる。
「こうなってしまえば、逃げられない。……でしょぉ?」
 その手には、炎の色を照り返し輝く45口径コルトSSAカスタム・オブシディアン。彼女は引き金を引き、オブシディアンは歌う。
「ぐあ、アアアアアアアア!!」
 ナイフや剣などの武器であれば手放せば逃れられたであろう。しかし、富子の武具はその肉体である。突き立てれば逃れることはできない――!捨て身の意志が掴んだ反撃の糸口だ!
「爪の一本じゃ、もう済まないわよぉ」
 銃声。富子の指が、爆ぜる。それだけではない。この傷が起点となり、ここまでの猟兵たちとの交錯の中で累積したダメージが一気に爆発!富子の身体へ崩壊という結末を呼び込む!
「あ、アタシの、アタシの手がアアアアアアアア!!」
「金は天下の回し者……だっけ?貴女の命も、巡るといいわぁ」
 ティオレンシアは更に引き鉄を引いた。駄目押しのようにもう1発!鉛の弾頭が、大悪災に引導を渡す!
「ち、ちくしょう、ちくしょう!ちくしょう!呪ってやる、呪ってやる、呪って……!」
「憎み続けるのももう疲れたでしょう。……Good night.もう、お眠りなさい?」
 ティオレンシアは、最後の弾丸を叩き込んだ。それこそがとどめの一撃となり、富子はゆっくりと炎の中へ倒れてゆく。
 そうして――決着。“大悪災”日野富子は、骸の海へと還った。
 
 そして激戦を超え、燃え落ちる花の御所を猟兵たちは後にする。これで、ひとつの戦いに区切りがついた。
 しかして、戦乱の終わりはまだ遠い――サムライエンパイアに生きる数多の人々のため、猟兵たちの戦いは続く!

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月09日


挿絵イラスト