エンパイアウォー⑳~豪華絢爛華舞台
●大悪災『日野富子』
「誰もアタシのジャマをするな! アタシの前に立つんじゃねぇ! 金を持ってるアタシが正義だろうが!」
豪華絢爛な花の御所で、忌々し気に女が吐き捨てる。
彼女こそ大悪災『日野富子』。オブリビオン・フォーミュラ『織田信長』の魔軍将として第六天魔軍将図に名の刻まれていた者である。
「猟兵がここに攻めてくるだと? ああムカツク! 徳川も猟兵も、アタシが殺してやる!」
豪奢な細工を施された飾り物が振動で揺れ動く。
壁も、床も、飾りも、花も。すべてが美しいこの場所で。
日野富子はイライラとしながら床を拳で殴りつけた。
●豪華絢爛華舞台
「大悪災『日野富子』の居場所が分かったんだよ」
ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)はそう切り出した。
「場所は京都の『花の御所』。そこへ赴いて、決戦を挑んでほしいの」
花の御所と言えば、足利将軍家の邸宅だった場所である。富子は自身の有り余る私財を投入して、豪華絢爛な御所を作り上げていると言うのだ。
「今の徳川幕府の時代には別の建物に代わっていたはずなんだけどね。室町幕府8代将軍足利義政の正室で9代将軍の母親である富子は、足利将軍家の邸宅を自分の拠点としても何の問題もないって思っているようだね」
花の御所は、新築された豪華絢爛な御所となっており、それはもう、贅沢の粋を尽くした拠点と言うことだ。
「一見してヒステリックな女性のようにも見えるんだけど、そこは大悪災なのよ。こちらよりも先手を取って攻撃してくるし、もし敵の先制攻撃に何の対処もできなければ、こちらが先に撃破されて何もできないまま敗退、なんてことになっちゃうんだよ」
敵は必ず先制攻撃を仕掛けてくる。
敵の先制攻撃にどう対処するのかが重要なポイントだ。
「まず敵の攻撃を対処する。それから反撃をする。この二つを頭に入れて戦いに赴いてほしいんだよ」
豪華絢爛の花の御所で、厳しい戦いになりそうだとルビナは言う。
「でも、ここで大悪災『日野富子』を叩けるなら、それに越したことは無いよね。だから、お願い。何とか敵を撃破してきてほしいんだよ」
そして、どうか気を付けてと。
ルビナは皆に頭を下げた。
陵かなめ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
⑳日野富子に決戦を挑みましょう。
大悪災『日野富子』は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼女を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
オープニングが公開された時点からプレイングを受け付けますので、よろしくお願いします。
それでは、プレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『大悪災『日野富子』』
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POW : アタシの前に立つんじゃねぇ!
【憎悪の籠った視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【爆発する紫の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : アタシのジャマをするな!
自身の【爪】が輝く間、【長く伸びる強固な爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 誰かアイツをぶっ殺せよ!
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊】が召喚される。応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:みそじ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メイスン・ドットハック
【SPD】
爪の9倍連続攻撃の対策は、電脳魔術による自身の複製によるホログラム幻影で目くらましを行い、自身は【第六感】【視力】【情報収集】によって軌道を読み、空間を【ハッキング】することにより予備動作も予測して回避行動を取る
先制攻撃を防ぎきったら、UC「木を隠すなら森の中」を発動し、自身の複製人形を創造
罠は切り刻まれたら、爪の成分を腐食させる液体を散布する
爪が腐食している隙に、もう一つ複製を創造し、そちらに電脳爆弾を起動
罠は爆発に反応して、怨霊などの霊体にダメージを与える電波を爆破に乗せる効果
トラップを起動させて、一撃離脱を試みる
アドリブ絡みOK
エミリィ・ジゼル
なんかめっちゃキレてる…こわ…近寄らんとこ…
というわけにもいかないのがイェーガーの辛いところです
さっさと倒してしまいましょう
戦闘で心がけるのは可能な限りダメージを抑えて反撃する事
そのために『見切り』『第六感』での回避とオペラグローブのシールドによる『盾受け』を駆使して致命傷を回避
そしてインクシューターに搭載した艶消し加工の特殊インク弾を『範囲攻撃』『一斉発射』で発射
目的はダメージを与えることではなく、爪にインクをぶちまけて輝きを奪うこと
そうしてUCを封殺したら即座にこちらもUCを使用。
45人のかじできないさんズと共に富子をフルボッコにします
「そっちが9倍攻撃なら、こちらは46倍攻撃デース!」
ウィルバー・グリーズマン
花の御所……建物内ですか
上手く戦いたい所ですが、どうなりますかねぇ
まずは先制攻撃ですね
狭い通路で戦うとして、周囲の壁や床、天井を『マッドネスソーン』で粘着化させ、爪が動かなくなる様に細工をします
次に『タイムクリエイト』で日野富子の腕の動きを低速化させて、粘着化をさせ易くしましょう
爪を伸ばして僕を刺そうとしたら、すぐに『シャドウプラン』で影の中に逃げます
ユーベルコードが発動可能になるまで、逃げに徹しましょう
【オーバーリミット】
魔力を残す必要はありません、全力魔法でシャドウプランから作り出した強力な剣や、『ブラスト』による土の魔術弾で攻撃。弾は粘着化してます
アナタも僕の邪魔をしないで下さいよ、全く
四王天・燦
「お、おう…ちょっと落ち着け」
強烈なキャラに気圧されながら、御所の襖をブチ破りながら逃げ足を活かして駆け回る。
『やったか?!』と思わせておいて残像を切らせて余計にキレさせるのはご愛嬌
爆弾『カウントダウン』を投げたり、神鳴を抜いて反撃しようにも爪に弾かれる等、攻撃意思は示すぜ。
でもただ逃げているわけじゃなく、見切りの下準備だったり、時間切れが迫る故の焦りを待ってたり、武器を手放すことで軽装化してたりするのさ
機が来たらアークウィンドを抜き、見切った爪を武器受け。武器落とし&部位破壊:爪で打ち砕く。
「ほら簡単に騙された。落ち着けって助言したのに」
爪の輝きが失せたら軽装のシーブズ・ギャンビットで介錯だ
●豪奢な御所で
煌びやかな御所にたどり着いた猟兵たちが目にしたのは、炎を立ち昇らせ、爪の先端を尖らせながらイライラと悪態をつく大悪災『日野富子』だった。
「ああムカツク! 徳川も猟兵も、アタシが殺してやる!」
見るからに感情を高ぶらせ、あらゆる不満を隠すこともしていない。
「なんかめっちゃキレてる……こわ……近寄らんとこ……、というわけにもいかないのがイェーガーの辛いところです」
エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)がボソリと呟くと、まったくその通りだと思った猟兵たちが頷いた。
「さっさと倒してしまいましょう」
と言ったところで、富子がエミリィを睨みつける。
「聞こえたぞ、猟兵! あああムカツク! さあ来いや! アタシが殺してやる! アタシのジャマをするな!」
こちらへ来いと言った富子は、自らの爪を煌めかせ猟兵たちに襲い掛かってきた。
「お、おう……ちょっと落ち着け」
「来いって言うたのに、向かって来たのう」
四王天・燦(月夜の翼・f04448)とメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は、敵の激しい物言いに若干引き……気圧されながら左右へ跳んだ。
ここは花の御所。贅を尽くした調度品がそこかしこに飾られ、建物内だと意識させられる場所だ。
「上手く戦いたい所ですが、どうなりますかねぇ」
そんな建物内部を見渡しながらウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)は後方に跳び、魔本『アルゴ・スタリオン』をパラパラとめくる。
ウィルバーがまず選んだのは粘着化を発生させる魔術のページだった。
伸びてくる爪を見ながら、周辺の壁、床、天井を粘着化させていく。富子の爪が、粘着質な壁を掠めた。
「はあぁぁぁ?! ムカツク! こんなもので、止まるかよぉ!」
その爪を強引に剥がし、敵は更に爪を伸ばしてウィルバーを狙う。
「ここは素直に逃げますかねぇ」
すぐさまシャドウプランのページを選んだウィルバーは、さっと影に逃げ込んだ。
「っ! ああ、クソ! 逃げるな!」
富子は歯ぎしりして悔しがる。
と、同時に多方に跳んで逃げた猟兵たちに向かって爪を伸ばした。
「激しい爪だな」
そう言いながら、燦は箱型時限爆弾・カウントダウンを投げつけて敵をけん制する。爆弾は爪に弾かれて敵への攻撃とはならなかったが、特に気にする様子もない。
自分を狙って伸びてきた爪を躱すため、燦は襖を蹴って駆け抜けた。
足元でバリ、ビリ、と襖の破ける音が聞こえてくる。豪華絢爛の襖が見るも無残に破れ穴だらけになった。
「あああ! 一体いくらしたと思ってるんだ! アタシの金で買った襖だぞ! アタシの金だ!」
それを見た敵がさらに怒り狂いヒートアップする。
燦はそれをさらりと受け流して御所の中を駆け抜けた。
「かなりヒートアップしている様子ですねー」
自分へと延びて来る爪をオペラグローブのビームシールドで受け流したエミリィは、怒りに震える敵の姿を眺める。
「お高いモノじゃろうなー」
自身を複製したホログラムが敵に貫かれる様を見ながら、メイスンが言った。
「次、そっちに爪が行くようじゃ」
敵の攻撃軌道を読みながら、巧みに爪を躱していく。
「はいですよー!」
エミリィも、第六感を頼りに何とか敵の攻撃を回避した。
「はあ、はあ、あ、コラぁ、逃げるな! さっさと貫かれて死ね!」
腕を振りつかれたのか、富子は息を整えるように自分の胸の辺りに手を置く。
と、エミリィは、瞬間を狙って艶消し加工の特殊インク弾を発射した。
「一斉射撃デース」
広範囲に広がるインクが爪にも飛び散り、敵の爪輝きを奪う。
「ああ?! アタシの爪が!」
敵の攻撃が止まった。
猟兵たちはこの瞬間を待っていたとばかりに攻撃へ移行する。
「魔力放出、極限発動」
ここで魔力を残す必要は無い。
ウィルバーはユーベルコード・オーバーリミットを発動させ、全力で魔術を使った。
シャドウプランから作り出した剣を放ち、ブラストのページからは土の魔術弾で攻撃する。
強力な剣が敵の腕を貫き、土の魔術弾は敵の掌を撃ち抜いた。魔術弾が粘着化していたので、敵の腕が壁に張り付く。
「の、野郎……!」
本来あり得ない方向に曲がった腕を強引に引きながら、富子が顔を引きつらせる。
それを見た燦はアークウィンドを抜いて床を蹴った。
シーブズ・ギャンビットを発動させた燦は速い。反転させた身体があっという間に敵の懐に飛び込む。先ほど捨てるように使い敵に届かなかった武器は、このための軽装化だったのだ。
「ほら簡単に騙された。落ち着けって助言したのに」
「な?!」
残った爪を打ち砕き、妖精たちに鍛えられた風属性の短剣を敵の体に突き立てる。
素早く敵から飛び退くと、敵が痛みに吐き出した声が聞こえた。
メイスンはユーベルコード・木を隠すなら森の中を発動させる。
「ま、引っかかった方が間抜けという奴じゃけーのー」
創造するのは、自身の複製人形だ。
「んなもんに、騙されるか!」
富子はまだ動く腕を振って、爪を伸ばしてきた。人形が爪に切り刻まれる。
そしてトラップが発動した。
「あ?」
違和を感じて敵が爪を引くよりも速く、人形から液体が散布された。これは爪の成分を腐敗させる液体。見る間に爪が侵食され、輝きを失っていく。美しく時間と金をかけてケアしたであろう爪が、見るも無残に腐っていった。
「があ。爪が! アタシの金をかけた爪が!」
「もう一つオマケじゃ」
メイスンは更に人形を創造し、自身は後退する。
十分距離を取ったところで、仕込んだ爆弾を起動させた。
派手な音を立てて爆発する爆弾。怨霊などの霊体にダメージを与える電波を爆破に乗せたことにより、敵の体の一部を吹き飛ばしたようだ。
「ああ、あああ! 痛い! 痛い! クソッ」
御所に富子の怨みの声が響き渡る。
「見事な爆破ですねー」
エミリィは敵の声を聞きながらユーベルコード・増えるメイドの術を発動させた。
「いけ、かじできないさんズ!」
45人のかじできないさんズが召喚され、富子に向かって走り出す。
「そっちが9倍攻撃なら、こちらは46倍攻撃デース!」
エミリィもそれに加わり、できる限り敵を叩きのめした。
「クソ! アタシのジャマをするなっつってんだろ!!」
富子が転がるように逃げ、ボロボロになった髪を見て逆上する。
「アナタも僕の邪魔をしないで下さいよ、全く」
ウィルバーの言葉を睨みつけながら聞く富子。
猟兵たちは敵の視線を感じながらも、できる限りのことはできたと、そそくさとその場を後にした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ナナシ・ナナイ
わいはまず苛立たせないように全力でこびへつらうで。この際プライドは捨てるで。土下座だろうが犬の真似だろうがなんでもやってやるわ!(WIZ)(【コミュ力】、【時間稼ぎ】、【恥ずかしさ耐性】)
相手の注意がそれてるうちにわいの分身たちをこそこそ作って後ろから拷問具(蛇腹鉄条網型)で拘束して、アサルトウェポン(突撃銃型)でズドンや!(【2回攻撃】、【傷口をえぐる】、【暗殺】、【一斉発射】)
金がある奴が正義ならわいは大悪党やで、自分が正義いうんならわいに勝ってみぃ!あー金ほしいわー!
アドリブ歓迎
化野・風音
「華の乱」の立役者の一人、ですね
……ええ。ええ、ええ。日野富子様。お会いできて光栄です。
実のところ私はあなたのような生き方、悪いモノとは思いませんよ
ですがそれもあなたの生前のことの話
今は……調伏、させていただきますね?
……あら。これは速いですね。無理に防ぐことはできませんから、私にヘイトが向いているうちに対策を立てましょうか。
【時間稼ぎ】と【挑発】を組み合わせて、召喚された火矢の怨霊を私にひきつけ、隙を突いて≪外法・化野転写≫に引き込みます。
追跡してくるとのことですから私を狙ってくるでしょうが、しばらく迷わせてみせましょう。
この隙をどなたかがついてくださると、助かりますが
●隙を作る
「あああ、ムカツク! こんな、こんな傷でアタシが、消えると思われるのが! どうしようもなく! ムカツク!」
怒りの炎を燃やしながら、大悪災『日野富子』が体を起こした。
流石大悪災と言おうか、猟兵たちの攻撃に耐え、まだ戦う力を残しているようだ。
ナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)はそんな敵の眼前に飛び出して、滑り込むように滑らかに上半身を沈め正しい土下座ポーズを取った。
「あ? 何のつもりだ?」
「もちろん! 貴方様への敬服を表しているのでございます」
「ほぅ?」
富子が目を細める。
「アタシの軍門に下るってこと? じゃあ、犬になれって言えばそうするってわけ?」
顔を伏せたままのナナシは、富子に見えないところで口の端を上げて笑った。
この際、プライドは捨てる。まずは苛立たせないよう全力でこびへつらうのが重要だ。
「それはもう、いくらでも! ワンワン」
顔を上げたナナシが愉快な犬を演じるように鳴いてみせた。
ゲラゲラゲラ。
富子がナナシを馬鹿にしたように笑う。
「コイツ! マジで! 犬になりやがった!」
蔑んだ瞳でナナシを見る富子。
その前に化野・風音(あだしのの怪・f11615)が出る。
「……ええ。ええ、ええ。日野富子様。お会いできて光栄です」
「また来た! お前もアタシの犬になるって言うの?」
風音は敵の言葉を穏やかな笑みで流した。
「実のところ私はあなたのような生き方、悪いモノとは思いませんよ」
「あん?」
だがそれは生前のことの話。風音は静かに敵に言い放った。
「今は……調伏、させていただきますね?」
「はあああ? それがアタシへの口の利き方か!」
途端に、敵の背後に火矢の怨霊が出現。
「誰かアイツをぶっ殺せよ!」
一斉に風音に向かって飛び出してきた。
「……あら。これは速いですね」
風音が走り出す。この大量の火矢の怨霊を、無理に防ぐことはできないだろうと判断し、できる限り時間を稼ごうと動く。
だがその数は膨大だった。
一つ二つ避けたとしても、次の矢が腕を足を狙って貫いてくる。チリチリと何かが焼けるのを感じ、それでも風音は走り続けた。
「多少は力もあるようですね」
「はあ? 多少ぅ? 寝言は寝て言え。すぐに殺してやるよ!」
風音の物言いに、富子は不快感を隠そうともせず叫んだ。
「おい! 犬! お前もあの女を笑ってやれよ!」
そして、ナナシに目を向ける。
ナナシは――。
「全員男前やろ?」
いつの間にか自らの分身と共に富子を取り囲んでいた。
風音が敵を引き付けている隙にユーベルコード・虚構の中隊を発動させたのだ。周辺には、豪華な調度品が山ほどあった。そこで、富子の注意が逸れてから、自分の分身たちを作り上げていたのだ。
「あ? 犬が、たくさん?」
いぶかしげな表情をする富子を素早く拷問具で拘束した。
「金がある奴が正義ならわいは大悪党やで」
当然だが、ナナシはもう土下座などしていないし、敵にこびへつらってもいない。
「自分が正義いうんならわいに勝ってみぃ!」
「くそ! ムカツク! そういう事か! アタシは金ですべてを買う! アタシこそ正義だ!」
富子は拘束されながら火矢の怨霊を呼び寄せた。
ところが――。
「……どうぞ、ご覧になってくださいませ。現世と幽世に、果たしてどれほど違いがありましょうか?」
このタイミングで風音が外法・化野転写を発動させた。
無限に広がる人骨が転がる荒野の幻影でできた迷路に、火矢が迷う。猟兵を襲うまでに至らなかった。
ナナシが構える。分身たちと共に、間を置かず銃撃した。多数の弾丸が敵の体を一斉に貫いていく。
「い、痛い! クソ! 待て! アタシに殺されろぉ!!」
肉片を飛び散らせながら富子が絶叫する。
「うまく隙をついていただきましたね。ありがとうございます」
「それはお互いさまやで! あー金ほしいわー!」
風音とナナシはそう言って、いったん後退した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雨咲・ケイ
随分アレな方のようですね……。
カルシウム不足なのでしょうか?
兎も角、もうこの世に迷い出てこないように、
骸の海で眠って頂くとしましょう。
【POW】で行動します。
【憎悪の籠った視線】に対しては【第六感】で反応し、
アリエルの盾を極限まで輝かせて【目潰し】を狙う事で凌ぎます。
失敗した場合は、そのまま【盾受け】と【オーラ防御】を
併用してダメージを最小限に抑えます。
その後は【スナイパー】による盾の【投擲】や
【シールドバッシュ】による【2回攻撃】で隙を作り、
【地形の利用】による障害物を活用した
死角からの【魔斬りの刃】で一気に攻めましょう。
アドリブ歓迎です。
黒玻璃・ミコ
※美少女形態
◆行動
花の御所が金ぴかですねー
視覚的に惑わされ易いとも言えますが
【第六感】で先制攻撃の気配を感じたら
【気合い】を入れ防御体勢を整えるのと同時に
『徳政令』と書かれたキラキラした紙を【念動力】で
富子の眼前にばら撒き視界を奪いましょう
その隙に【空中戦】の応用で天井に飛び付き
【毒使い】で誘眠効果のある毒を撒きましょう
あまりにも視界と感情に依存し過ぎている、それが弱点です
以上を以て【黒竜の邪智】の証明としましょう
何かを為す為にお金を追い求めた当時の貴女はむしろ革新的だったと思います
でも何も為せない今の貴方は否定しましょう
他でもない貴方自身の為に
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK
●キラキラと輝くは
「ああああ! ムカツク! ムカツク! 猟兵どもめ! 絶対に、殺してやるからな!」
血を流し、ボロ雑巾のようになった着物を抱きながら富子がわめく。
その姿を見て雨咲・ケイ(人間のクレリック・f00882)がため息をついた。
「随分アレな方のようですね……。カルシウム不足なのでしょうか?」
「はあ? アタシに殺されに来た猟兵如きが!」
富子はますます怒りに震え、床を何度も殴りつける。
その床も、おそらく上質な材料のみを厳選されて作られたものだろう。
「花の御所が金ぴかですねー」
黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は、きょろきょろと辺りを見回しながらそう言った。煌びやかに飾り立てられた御所は、視覚的に惑わされやすいと言えるかもしれない。
「ああああ! ムカツク! ここはアタシが金をかけたアタシの拠点だ! 猟兵など、アタシの前に立つんじゃねぇ!」
敵が憎悪のこもった視線を二人に向けてきた。
満身創痍で、傷だって痛むだろう。いや、その傷の痛みさえも憎悪に変えて攻撃を仕掛けているのかもしれない。
「来ましたね」
ケイはすぐに反応し、アリエルの盾を燦然と輝かせた。
「これはまぶしいですねー! 金ぴかな飾りもキラキラですよ」
極限まで輝く盾を見て、ミコが感心する。
「くっ、こんな……」
敵は一瞬怯んだように、手で光を遮った。
しかし――。
「こんな、もので、アタシを止められるか!」
盾の輝きにも負けない憎悪の意思で、敵が視線にさらに力を乗せる。
「っと、せっかくのキラキラです。こちらもどうぞ」
その時、ミコがキラキラした紙を念動力で何枚も飛ばした。
紙はひらひらと舞い、富子の周辺を飛び回る。
一枚一枚に、大きく『徳政令』と書かれたその紙を見て、富子が怒りの声を上げた。
「こ、こ、これは!」
徳政令とは、簡単に言えば借金を取り消しましょうという命令書! 諸大名に金を貸し付け富を得ていた富子にとって、貸し付けをチャラにするとんでもない言葉だった。
「あれも、これも、ムカツク! アタシの、金が、消えるなんて、許さない!」
富子は憎しみを込めて、徳政令と書かれた紙を燃やし始めた。
あれも、これも、全ての紙に視線を向けて紫の炎を這わせて爆発させる。
その間に、ケイとミコはユーベルコードを発動させた。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第伍の竜よ!」
ミコは黒竜の邪智を発動させ富子の攻撃の弱点を指摘する。
「あまりにも視界と感情に依存し過ぎている、それが弱点です」
事実、盾の輝きとキラキラの紙で視界を塞がれた富子は、うまく攻撃ができなかった。しかも激情だけで、ミコではなく、ミコのばらまいた紙を燃やすことを優先。結果、こちらへのダメージはほぼなかったと言える。
「アタシにむかって、偉そうな口をきくな!」
富子は、ギロリとミコを睨みつけた。
ミコは小さく首を横に振る。
「何かを為す為にお金を追い求めた当時の貴女は、むしろ革新的だったと思います」
「ああ、そうだよ! アタシの金があったからこその、幕府! みんな黙って、アタシにヘイコラ従えよ!」
「でも何も為せない今の貴方は否定しましょう」
他でもない、富子のためにと。
完全に敵の炎が封じられた。富子が何かを反論しかける。
その死角から、ケイが攻め込んだ。
「邪妖を斬り裂く刃……。その身で受けてみますか?」
ユーベルコード・魔斬りの刃。
氣をのせた光輝く手刀による斬撃が大胆に敵の体を斬り裂く。大悪災『日野富子』の身体が真っ二つに引き裂かれた。
「もうこの世に迷い出てこないように、骸の海で眠って頂くとしましょう」
残った身体の半分をシールドバッシュで吹き飛ばし、完全に息の根を止める。
ケイが光輝く手刀を引き抜くと、富子の体はハラハラと崩れ去った。
残ったのは、戦いの跡が残る煌びやかな花の御所。
怒りに身を震わせていた主の姿はもうない。
ともあれ、まずは一勝。
猟兵たちは敵を撃破した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵