エンパイアウォー⑳~巡らぬ悪銭の果て
●悪銭、身につかずとは言うけれど
「はぁ……なんというかもう少しマトモな動機だったんじゃないかとは期待してたんですが」
ゼルド・シュバイツァー(陽炎の仇刃・f12297)は集めた猟兵の前で大きなため息をついた。鉄仮面の下、嘆息の表情は初見の猟兵でも分かるくらいの物で。
「ですが予知してしまった物は仕方ありませんね――奇妙な物資の高騰の黒幕、『日野富子』の居場所を掴みました。居所は京都――生前の彼女の城というべき場所でしょうか。『花の御所』と呼ばれる邸宅が、そこにあります」
ゼルド曰く、本来なら別の建物が立っていたかもしれないそこに、新築ぴかぴか、豪華絢爛な大豪邸が聳え立っているらしい。
「……本当はですね?『花の御所』というのは彼女の関わっていた室町幕府の将軍のお屋敷だったんですよ。けれども、彼女は実権を、富を握りしめ――権力争いの果てに遂に暴走を始めたんです。それが……『応仁の乱』、戦国の始まりとも呼ばれる争乱です」
ゼルドは余談を止め、『日野富子』自身の戦力に関して説明を始める。
「ハッキリ言って、悪霊其の物と言っても過言ではありません。近くにいるだけで災厄と彼女の憎悪にあてられる可能性があります」
彼の予測の上でも、その憎悪と災厄の走りを速度で上回ることは出来ないと言う。絢爛な御所の中では有るが、しっかりと護りと対策を。反撃に移れるように練り込まねばならないらしい。
「彼女は、オブリビオンとなっても尚財貨を求めています。彼女の言を信じるのなら――徳川の埋蔵金ですら彼女の物だったとすら言えますが、おそらく守銭奴なだけでしょう。そして、その強欲と……言うことを聞かなかった世間への憎悪は、今でも限りなく膨れ続けています」
ちら、と猟兵達を見遣るとゼルドは転送準備を開始する。
「――元から理性的と言える相手とは言えません。きっちり、全てのお代をお支払い頂いて、三途の渡し金すら奪い取って帰ってきて下さい、ね?」
逢坂灰斗
守銭奴も度を過ぎれば国を滅茶苦茶にするという好例。
逢坂灰斗です。
今回は日野富子の居城である『花の御所』に突入して頂きます。
【MSより】
・このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
・このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
・大悪災『日野富子』は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼女を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
・なお、チームや団体で参加される方は迷子防止の為【一緒に参加される相手】か【一緒に参加するグループ名】を必ずご記述ください。
では、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。……御武運を。
第1章 ボス戦
『大悪災『日野富子』』
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POW : アタシの前に立つんじゃねぇ!
【憎悪の籠った視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【爆発する紫の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : アタシのジャマをするな!
自身の【爪】が輝く間、【長く伸びる強固な爪】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 誰かアイツをぶっ殺せよ!
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊】が召喚される。応仁の乱で飛び交った火矢の怨霊は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:みそじ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御劔・姫子
【芋煮艇】で参加
花の御所って、うちの家の近くやないのっ!?
それに、都には宮様もおられる…これ以上の狼藉は許さへんよっ!
イヴはん、あやはん、力を貸してなっ!
応仁の乱…ご先祖様も大変な目にあったって聞いたけど、その時の火矢を呼び出してるみたいやね
避けるんが難しいんやったら…切り落とすしかあらへんっ!
イヴはんが止めきれへんかった火矢の軌道を【見切り】、太刀で【なぎ払い】っ!
もしもの時は<狐のお守り>の【火炎耐性】で凌ぐしかあらへんかも…
イヴはんが相手の動きを止めんやったら、うちらの番やっ!
あやはんの援護も受けて…投げられた敵に対して【裏奥義・神楽舞】やっ!
「都は…うちが守ったるっ!」
天道・あや
【芋煮艇】で参加!
お金は確かに大事だけど...そこまで執着するものなのかなぁ?...ま、あたしにはまだ分かんないけど!お金持ちだからって今を生きる人の邪魔はNG!だから倒す!
最初の攻撃はイヴに任せて防ぐと同時に飛び出て【レガリアス】をフル稼働させて【ダッシュ】!【サウンドパワー】を発動させながら次の攻撃が急所に当たらないように【見切り】ながら殴って【属性攻撃水】火を弱めて後は耐える! 【激痛耐性】
そして耐えながら日野に接近して【グラップル】で日野を御劔さんのほうへ投げ飛ばす!
今のお金は今生きてる人の物!だからあんたのお金はもう...ない!
イヴ・シュプリーム
【芋煮艇】で参加
心情:お金、ね……そんなもののためにここまでするなんて……度しがたいわ……
そのお金が『魔法』に通用するかどうか……試してみる……?
戦術:初弾は<日傘>による【盾受け、オーラ防御】により凌ぎ、仲間に対しても【念動力】で防御を支援します
もしもの時に備えて【火炎耐性、激痛耐性】も使用
味方が攻撃を受けたら<魔法:エネルギー操作>による【属性攻撃】を応用し鎮火を試みます
反撃は【囚ワレル心身】による【催眠術】【精神攻撃】を【全力魔法】で使用。苛立ちを抑制し、攻撃の中断を狙います
仲間が攻撃に移ったなら、<魔導弾>を【誘導弾】にて【一斉発射】し、【援護射撃】を行います。
●娘達の守る街
――京の町並みを、3つの足音が駆ける。
「は、花の御所って……、うちの近所やないの!?」
御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)の焦燥はその後を追う友人達にも伝わる。
土地勘があるが故に、彼女は理解が有る。この時代に非ざる絢爛豪華な屋敷が、『そこに有る筈の無い』ものが其処に聳えているのだから――!!
それに、京都には宮様――所謂皇族の人々がまだ住まわれている頃だ。幕府が崩れる事もそうだが、彼らに危害が及ぶことは……彼女の御家も、何より彼女自身が許しはしない!!
ぎり、と口を噛むようにした彼女は、道行きの最中にも声を荒らげる。
「――これ以上の狼藉は許さへんよっ!」
そして、屋敷の眼前。余りに不釣り合い、自らの欲望を、権威を誇示せんと言わんばかりの輝きの門構えを見て、姫子は後ろを振り返る――
「イヴはん、あやはん、力を貸してなっ!」
屋敷には、その輝きに反して薄汚れた強欲が渦巻いていた。
「お金、ね……そんなもののためにここまでするなんて……度しがたいわ……」
イヴ・シュプリーム(かつて滅んだ星の希望・f13592)は、この屋敷が築かれるまでに搾取されたであろう数々の財貨を、被害を脳裏に過ぎらせるが、流石に理解が及ばないといった風体だ。
「お金は確かに大事だけど……そこまで執着するものなのかなぁ?」
天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)も一般的にお金は大事だとは理解はしているものの、この屋敷が短期間に異様な程に整っているという事実が、この屋敷の主の執着の異常さを否が応でも想起させる。
「――ま、あたしにはまだ分かんないけど!」
……きっと、彼女にとっては永遠に『まだ』のままだと、知ることは無いだろうが。
ざり。庭に3人が踏み込んだ瞬間、強烈な怨嗟が彼女達を貫く。
庭に面した部屋より、覗き込むその主は告げる――
「ああ、小娘の分際でアタシの庭に踏み入ろうだなんて――」
刹那、展開されるのは、京を、国を、一度滅ぼしかけた――乱の災禍!!
「死んじまえよォ!!!!」
(――応仁の乱、ご先祖様も大変な目にあったって聞いたけど)
姫子自身も知識では知っている。戦国の走りとすら言えるそれが今、彼女達に直接注がんとしているのだ。
「――姫子、この火矢を避けきるのは骨が折れそうよ」
その最中にも冷静に日傘を振るい、掛かる火の粉を払うイヴは冷静に分析と援護を続ける。
(……主の感情に感応して追跡する霊体の類かしら。回避するのは難しいわ)
「なら――あたしは振り切るまで!!」
同時、高らかに旋律を紡ぎあげながらも、あやは吶喊する。背には追い縋るように、火矢は舞い踊り続ける。援護するように魔法弾は飛び交うものの、恨みに塗れた火矢が追い立てるように、迸る。
……が、速度の上では段々と、その差をつけ、日野富子への眼前へ迫る!!
「お金持ちだからって今を生きる人の邪魔はNG!だから――倒す! 」
「ああん!? 小娘の癖にアタシに偉そうなクチを聞くんじゃねぇよ!!」
苛烈な水と焔の衝突が、屋敷の庭に飛び散る。
(――ッ、あたしの水で、消しきれてない)
相反する属性をぶつけ合うことで勢いは削げているが、それでも大悪災と称された彼女の悪感情は、収まることを知らない。
――けれど、あやは止まることは無い。真正面から組み合った。
「今のお金は今生きてる人の物!だからあんたのお金はもう……ない!」
「アタシに説教するとか――良い身分だな、小娘ェ!!!」
そのまま爪を食い込まさんとばかりに眼前の娘への苛立ちを募らせようとした日野富子は――
奇妙な違和感を覚えた。 頭と、心が。乖離している。
「……貴方は、感覚でしか、動いていない。だから――私の『魔法』に、堕ちたの」
「は、なにを、言って」
苛立つ思いが、不思議と起きない。焦りたい筈なのに、焦れない。
「――それが分からないのなら、あんたは、それまで、ってこ……とっ!!」
呆けたくて呆けたくない彼女を、あやは全力で投げ飛ばす。その先に居るのは――矢の全てを斬り落とした、姫子の姿!!
「都は……うちが守ったるっ!」
閃くは、流麗たる神前の神楽舞。それが齎すは護国が為の奉納の刃!!
「――御劔流が裏奥義……神楽舞っ!」
袈裟斬りに斬り捨てられながらも、宙を舞う富子が放つは、絶叫が如き声。
「小娘、如きがああああああああああああああああああああ!!!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヘンリエッタ・モリアーティ
【鎧坂探偵社】
初めまして、ミセス・銭ゲバ
――いいね。君にピッタリじゃない?
怒った?まあまあ、落ち着いて。暑いもんね
憎悪には二人で手を繋ぐことにする
私の狂気性を煽れるものなら煽ってみてほしいが
とことん――勢いづくだけなのでね
覚悟ならあるよ。もちろん
世界(じぶん)を変えてでも守りたい人が隣にいるから
先制してくれてどうもありがとう
癖、挙動、それから視線の動き、すべてが情報になる
沸き立つ怨霊どもを「黙らせ」よう
【沈黙の羊】
どの方向から来ても無駄だよ
どれもすべて、「わかってる」
さて――火の鳥のお出ましだ
双銃『S.E.Ve.N 277』で追い打ちをかけるよ
ああ、違うよ。灯理、――当てたいときに、当てるのだ
鎧坂・灯理
【鎧坂探偵社】
初めまして、ミセス・銭ゲバ。
貴様が悪災だろうが正義だろうが知った事か
金の亡者は素直に死んでいろ
憎悪対策
思念の鎧に思い切り念動力を注ぎ込んで強化
世界より大事な相手と手を繋いで楔とし、
『覚悟』を決めて相対しよう
憎悪に災厄、何するものぞ
今の私は神の意志さえ跳ね返すぞ
敵の先制にはアンクが対策してくれる
私は彼女を信頼し、UCの発動に全力を注ぐ
至近距離から巨鳥を召喚し、敵目掛けて暴れさせてやる
30mの怪鳥だ、御所ごと花のように潰されてしまえ
鳥を盾に『朱雀』で狙撃
こちらへ飛んでくる攻撃と破片は念動力で力一杯逸らす
アンク、前より当たるようになったのでは?
●揺るがぬ為の絆(くさび)
深手を負いながらも、日野富子は自らが屋敷に再び脚を踏み入れる。
此処はアタシの城。アタシの世界。――アタシの金が全て集まる場所。
……その筈、だったのに。
上がった先の部屋には既に2人の影があった。
「――初めまして、ミセス・銭ゲバ。勝手に上がらさせて頂いております」
「初めまして、ミセス・銭ゲバ――いいね。君にピッタリじゃない?」
鎧坂・灯理(不退転・f14037)とヘンリエッタ・モリアーティ(犯罪王・f07026)――いや、マダムの二人の表情は、否が応でも富子の感情を掻き立てるもので。
空間を、空気を伝って感染しようかとばかりに、その苛立ちは強まる。
「……誰の、許可を得て、……上がりこんでやがるぅうううううう!!」
怨念か、怨嗟か、狂気か。屋敷の中というに、撒き散らされる過去の戦禍だが、2人は涼しく笑う。
「……怒った?まあまあ、落ち着いて。暑いもんね」
「そりゃあ暑いでしょう。なにせ自ら熱源を撒いていらっしゃいますからね、……アンク」
相対するだけで常人を壊すかもしれぬその憎悪、狂気。だが、2人は違う。
(私の狂気性を煽れるものなら煽ってみてほしいが……とことん――勢いづくだけなのでね)
冷静なる彼女は、傍らの麗人にちらと目をやり。その手を繋ぐ。
「憎悪に災厄、何するものぞ――今の私は神の意志さえ跳ね返すぞ」
その楔こそが、2人を繋ぐ。思念の鎧がまるで彼女達を覆う御業が如く。その覚悟に応え、歪んだ怨念の火矢の前にすら立ち塞がる様に。
(覚悟なら……勿論あるさ。世界(じぶん)を変えてでも守りたい人(灯理)が隣にいるから)
すぅと、息を吸う。まるで余裕を見せるようだが、マダムは何時だって冷静に分析する。眼前の銭ゲバとは、違って。
「苛立ちに身を任せて、随分と杜撰な身の振りをするものだね」
「杜撰な身の振りをしてんのはお前らだろぉ!? とっとと頭下げて媚びへつらいやがれよ猟兵共がぁ!!」
「どんな数でも、どんな方向でも、無駄だよ。『わかっている』から」
その湧き上がる感情のまま、戦禍を叩きつける悪災に、何処までも冷静に――突き付ける。
「――ゼロサムゲームにしてあげよう」
ワトソンが、全てを打ち払った。……最初から『なかった』かのように。
富子の表情が一瞬呆けたのを見逃す程、傍らの探偵は――鈍くは無い。
「おっと、失礼しました。――貴方に貢物すら渡さないとは」
不敵に笑う探偵が呼び招くのは、貢物にしては、あまりに巨大過ぎる。おそらく、この部屋に収まり切ることは決して、無いであろう。
その怪鳥の体躯に――部屋が、風船のごとく、『膨れて』爆ぜた。
贈られた先は、その衝撃で吹き飛び、本来の部屋の2つ隣程まで、襖に巻き込まれるように、打ち付けられていく。
それを見送るかのように2人の打ち出す『雨』が、日野富子を、まだ終わりはしないとばかりに、打ち据えていった。
「――アンク、前より当たるようになったのでは?」
『爆ぜた』物を弾き飛ばしながらも、傍らの彼女へと探偵は声を掛ける。
けれども、教授はその問いに、冷静な顔を変えぬまま、だが穏やかに答える。
「ああ、違うよ。灯理、――当てたいときに、当てるのだ」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シズホ・トヒソズマ
※連携、アドリブOK
【SPD】
事前にリキッドメタルの粘性、付着しやすさを【武器改造】で上げておく
爪の攻撃をリキッドメタルで【盾受け】し、防御を抜けたのはヴィアイスの予測演算【見切り】で回避
敵の苛烈な攻撃でリキッドメタルが抉られ、液体金属が飛び散るのを焦る【フェイント】をしつつ、液体が富子の長爪全体に飛び散るようリキッドメタルの動きを調整し、手足全てに付着させる
『爪の輝きが無くなればUCの発動条件を不十分とし、攻撃回数増加を止められるかもしれません』
止まらない時は防御と回避に専念します
凌いだらユングフラウにUCで武装追加、【メカニック】で使用法を把握し【早業・操縦】で素早く準備して、【2回攻撃】
●その煌きが拒むもの
「――ああ、派手に吹っ飛ばしましたねぇ、私も巻き込まれた、げふん」
シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は眼の前に襖ごと吹っ飛んできた日野富子に対し、そんな残念な感想を漏らした。
彼女的にはなんとなく隣部屋で仕掛けるのを待機するのは危険だから、離れた部屋で待ってようと思ってた位なのだが、『彼女』の方から飛んできてくれるとは、手間が省けたに違いない。
「お、ま――」
そんな彼女の前にずるりと、まるで沼から這い出てくるかのような。血塗れの彼女の腕が伸ばされ――
「おまえも、アタシに、逆らうっての、かああああああああああ!!!」
「――ええ、逆らわせて頂きますとも。縛られるのは嫌いでは無いですが……それは権力とかそういうんじゃないですからねッ!!」
怒涛の爪撃を涼しい顔でいなしているシズホではあるが、彼女の盾である流体金属は、恐ろしい勢いで削りとられて行っている。
(元よりそうなっても大丈夫なように仕込みはしましたが――ちょっと削れるのが早すぎるかもしれませんね、これ)
はじめは輝きを封じるつもりで用意したリキッドメタルであったが、どうも、それ自体は封じることが出来ず、不十分らしい。だが、彼女の付与したものは――付着しやすさだけでない。……粘性も、だ。
あまりにも手早く連撃を回しすぎたツケが、悪災を襲った。
爪には幾重にも銀の輝きが粘りつき、その動きを少しづつ縛っていたのである。
「ぐっ、こんな銀貨はいらねぇんだよ……アタシの、アタシの欲しいのは――」
「そうですか、では行きましょうユンちゃん……豪華絢爛に!!」
その瞬間に鉄の処女が如き人形は、綺羅びやかな宝石に彩られた。なんという皮肉であろうか――最も眼前の女が求める姿を、追加武装は示したのだ。
「あ、アタシに逆らう輝きなんて全部『奪って』――!!」
「そんな時間はありませんよ……貴方を拒絶する宝石の煌き、その身で味わって下さい!!」
数々の宝石に、光が収束する。――そう、これはレーザー武装。
余りにも物騒な輝きに撃ち貫かれた守銭奴は、屋敷全体に響き渡るような絶叫を響かせたのである。
成功
🔵🔵🔴
死之宮・謡
アドリブ歓迎
猟兵の取り立てだ…貴様の金を寄こせ…その金で打ち上げがしたい(欲塗れ)貴様の安っぽい憎悪等知ったことかよ…私は殺戮を希求する
爆発する視線?訳が解らんが…見られなければいいのだろう?
屋内だしな…
減衰の「呪詛」と生命力吸収を籠めた黒霧(属性攻撃:水・全力魔法)で室内を満たしてやろう…何、何も見えなくなっても貴様の怨念を感知できなくなること等無い…
(視線封じ+消火+生命力吸収→自己強化)
何をされるか解らん…誰が近付くかよ…
クレイアスター…遠巻きに削ってやろう…炸裂の「呪詛」を籠めた矢でチクチクと…
遠距離から「見切り」余裕をもって回避…
(優先度:回避>攻撃)
前言を翻し【無空斬】で止め
●欲と欲の相対
閃光が収まった果て。悪災の前に現れていたのは――
「――猟兵の取り立てだ……貴様の金を寄こせ……」
(……その金で打ち上げがしたい)
ある意味タメを張れるぐらいに欲まみれだった死之宮・謡(統合されし悪意→存在悪・f13193)の姿だった。
「何を、言ってやがる、アタシの金を勝手に使い込みやがって……!」
どこまで事実を知っているかは知らないが、彼女はどうも、幕府や猟兵が金を利用することに妙に嫌悪感を示している。だが、そんな嫌悪すら一蹴するかのように、謡は自らの『欲』を広げる。
「貴様の安っぽい憎悪等知ったことかよ……私は殺戮を希求する」
「――なら、くれてやるよ。死ぬのはてめぇだがなぁ!!」
刹那、紫焔が、部屋の中に炸裂した。だが、手応えは、無い。
視線は確かに向けられていた。だが、その果ての爆炎が、謡に届いたかは、分かることは無かった。
――半壊した部屋を、黒き霧が満たしたからだ。
命をゆっくりと微量ながらに吸い上げるそれは、爆炎の減衰だけに留まらず、彼女の視界をも塞ぐ。
それだけではない。先程から謡は遠巻きから只管に呪詛の矢を打ち込み続けているのみに留まっているのだ。
当然ながら、日野富子の不快指数はただでさえ高いのに、それが天井を振り切らんとばかりに突き上がった。
「ちまちまちまちまちまちまと……いい加減、死に晒せェ!!」
憎悪の眼差しと、それに伴った咆哮が霧の先に居る彼女に届く筈――だった。
眼前に、黒衣の女が――居ない!?
「……がら空きだ。……まぁ、しょうがないかもね」
「!?」
確かに、彼女は先程まで、正面で彼女と牽制し合っていた筈だ。だが、彼女は背後に現れ、突如奇襲を成立させたのだ。
……斬り捨てながらも、倒れ伏す悪災を、ちらと見遣った謡はこう言葉を翻した。
「――近寄らないとは言ったが、背後を取らないとは言っていないぞ?」
成功
🔵🔵🔴
ビスマス・テルマール
●POW
○ユーベルコード対策
『先制』『早業』で『属性攻撃(氷)』を込めた『オーラ防御』で盾受け
その後そのオーラ防御を『残像』でコーティングした実体残像を作り撒きつつ『ダッシュ』と『残像』で撹乱
この時『地形の利用』もし
『盾受け』出来る物はどんどん利用
更に『オーラ防御』と『残像』と『誘導弾』を込めた『一斉発射』で同様の実体残像の弾幕を張り
どさくさ紛れに『早業』で
トリニティ・チルドナメロウを攻撃力重視で発動
冷やし孫茶バリアを自分の周囲に球状に『範囲攻撃』で展開
『地形の利用』をしつつ『ダッシュ』と『残像』で隣接『捨て身の一撃』の冷やし孫茶バリアの『シールドバッシュ』を
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●熱情と氷冷の対面
まだ、その憎念は、這い上がろうとしている。
なにが彼女を突き動かすのかは、分からない。既に見目麗しかった衣もずたずたで。本当に怨霊のような出で立ちとなった日野富子を見遣る姿があった。
「――まだ、立ちますか」
ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は真っ直ぐに。その悪災を見る。
「立つに、決まってんだろ」
それを睨み返すように富子の視線は、彼女へと突き刺さる。
「てめぇみたいな、アタシに従わねぇ人間を――全員、殺すまでなぁ!!」
「っ!」
即座に彼女が対応して展開するのは、眼の前のぐらぐらと煮えたぎるモノに反して、何処までも冷たく、冴えた氷の盾。だが、一瞬で砕けたそれを見て、ビスマスは瞬時に動き出す。
(――どこまで撹乱できるかの、勝負です!!)
……部屋に、ビスマスの姿が乱立する。無論、増えたわけではない。
爆炎がそれらに炸裂する度に、その嘘が剥がれ、氷は砕け散る。
「小賢しい、真似を、しやがってぇ!!!」
決定的な瞬間を作り出すまで、彼女は『自分』をバラマキ、走り続ける。
(あれだけ怒りに我を忘れれば、もうすぐ突ける――筈)
走り抜けながら、ビスマスは最も彼女に相応しき冷たきなめろうの武装を身に纏う。
そう、此処までくれば、後は――
「――今、この瞬間を、待っていました!!」
冷やし孫茶で精製されたバリアを携えて、まるで鉄球の如く。一直線に守銭奴へと、突撃したのだ。
強烈な痛打を与えた筈だが、まだ、彼女は『終わった』とは感じ取れなかった。
吹き飛ばされ、屋敷の一部の残骸に埋もれていたその姿が、幽鬼の如く、『立ち上がった』のを見たからだ。
「どれだけ、しぶといのですか……ですが、それももう、『此処まで』です」
ビスマスは知っている。この屋敷にやってきた猟兵は――自分が最後でないことを。
成功
🔵🔵🔴
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】
──状況開始だ
最初から【迷彩】でステルス化
全サイバネを【ハッキング】、出力オーバロード
【ドーピング】でコンバット・ドラッグ摂取
知覚、身体能力、反応速度向上
来たな攻撃回数9倍の先制攻撃…!
相手よりUCを速く発動できない以上、最初を凌いで後出しで出すしかねえ
ステルスのまま物陰へ、SPDで揃えてある…攻撃方法は同じだ。2人に前を張ってもらおう
ネグル、匡!最初の数発は何とか耐えろ
2人が前を張ってる間にUCを起動
一気に飛び出し、自分も回避と見切りに専念しながら…起動したUCで戦術指揮開始!回避能力が大幅に向上する
さぁ──ここからだ
お前の癖も、動きも覚えた
2回目はより洗練された回避になるぜ?
鳴宮・匡
【アサルト】
ああ、行こうぜ
ネグルとは別方向から強襲
相手の動作を【見切り】つつ
持ち前の戦闘勘(【戦闘知識】)も総動員
敵の狙いを見極める
攻撃回数が増えたからと言って
基本の動きまで速くなるわけじゃないだろう
視て対処はできるはずだ
狙われていれば直撃を避けるよう見切って回避
無理でもナイフで【武器受け】して受け流し
ネグルへの攻撃は【援護射撃】で軌道を逸らす
多少の負傷は目を瞑る
無傷で勝とうなんて甘い考えはしない
支援が届いたら
爪の動きを掻い潜りながら距離を取り
前に出るネグルを援護
――なんてタマじゃないんでね
隙を見せるようなら【千篇万禍】で殺りにいくぜ
どっちが仕留めたって、“アサルト(俺たち)”の勝ち星だ
ネグル・ギュネス
【アサルト】
仔細承知
悪女の首、執るぞ
【勝利導く黄金の眼】起動
未来を見ても、先制攻撃は防げない
だが、備え覚悟は出来る!
【残像】で欺き、【武器受け】で凌ぎ、刀で切り払う
抑えきれない分は、義手や機械身体で受け止めてやる
一度凌げば、次を視るのは容易い
【衝撃波】を放ち、コンマゼロでも抑えれば、二人が動ける
さらに【殺気】を強く浴びせ、此方に意識を向かせる
敵は戦のプロじゃあない
想定外を積み重ねていけば、苛立ちから単調になる可能性が高い
そして援護を受け、攻撃に転ずる
【破魔】の雷光を宿した刀と、陽光の脇差を手に、乱舞を繰り出して追い詰めてやる
闇に生き、悪に染まった魂には覿面だろうな!
光になり、悔い改めるが良い!
●妄執の果てを見た者達
「――大分弱っちゃいるが、ありゃあ本当に『死に損ない』ってトコだな」
「……どれだけ執着すれば立てるのか、って話にも思えるけどな」
遠巻きに日野富子の様子を伺っていたヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)の言葉を聞き、流石に鳴宮・匡(凪の海・f01612)も嘆息する。
「曲がりなりにも姫系なら――命の危機になれば一瞬止まるかとも思っていたけれど」
あんな怨霊紛いまで達した風体を見て、ネグル・ギュネス(ロスト・オブ・パストデイズ・f00099)の抱えていた、そんな幻想は綺麗に吹き飛んでいく。
満場一致で、「あれはそんなことにはならない」と、意見が揃う程に、だ。
「けれどまぁ――チェック(詰み)までもう少しという訳さ。勝てる勝負は確実に『勝ちに行きたい』だろ?」
予め綿密に編み込まれた連携という『山札』から、後は適切に『手札』を繰り出すまで。3人は1人だけが勝ちに行く訳では無い――3人で、勝つのだから。
「ああ、行こうぜ」
「仔細承知――悪女の首、執るぞ」
勝手知ったる2人から、いつもの様に返答が返ってくるのを聞いて、ヴィクティムはいつもの様に、不敵に笑う。
「――状況開始だ」
瓦礫の山から這い出るその手は、もう既に憎悪と執着のみが突き動かしているとしか言いようが無かった。其程までに強い悪感情が、彼女を彼女たらしめているのだが――
それを『挟み込むように』襲おうとする影が2つ。
「――タシは、まだ」
懐を取る寸前の刹那。ネグルと鳴宮は聞いた――まだ這い上がらんとする怨嗟を。
「てめぇらを沈めるまで、死んでたまるかよぉ!!!!!!」
咄嗟に2人は回避耐性を取り、まるで絶叫が爆ぜるように振り翳された爪撃の乱舞をそれぞれに躱していく。
(未来は見えるが……流石にこれ程に無秩序な、デタラメな先制は躱し切るには限度があるな……!)
残像を織り交ぜながら、躱していくが、癇癪を起こしたような乱撃に、所々の鋼の身で受ける事を余儀なくされる。戦のプロでは無いが、明らかに抱えた熱量は『本物』過ぎるのだから――!
(狙いは殆ど無いに等しいな、まるで八つ当たりしているようにしか見えない)
怒りで血が回ったと、表現するのが正しいだろうな、と回避しながらも戦のプロたる鳴宮は『分析』する。けれど、相手はオブリビオンである以上、一分も油断は出来ない――
だから、最初から。この男(ヴィクティム)は、潜んでいた。
手札を通す為。潰すべき札を潰す為。電脳の衣が鮮やかに剥がれ落ちる中、高らかに告げる。
「さぁ──ここからだ。お前の癖も、動きも覚えた……」
「最初から『3人』だったのかよ……糞ガキ共ォ!!」
ヴィクティムを真正面に捕らえた悪災は、標的に彼をも含めその乱爪を激しく振るうが――
「お前の動きは、怒り故に粗雑で、精細さが無い。なにより――アドリブが無い」
「ああ、もう見えたな。――お前の破滅という未来が」
最初から動きを注視していた指揮官により、回避挙動が益々洗練され、攻撃が虚しく空を切る中で、反撃の狼煙は上げられる。
「……2回目はより洗練された回避になるぜ?」
初動を凌ぐことさえ出来れば。それはその言葉の通りで。
ネグルが牽制して攻撃を釣り上げる最中でも、鳴宮の銃弾が暇を縫うように富子に注がれていく。おまけに彼女の振るう爪は躱され続けると来たものだ――
「いい加減に、死んじまえよ、コソ泥共がぁ!!」
怒りのあまりに振り翳されたその腕の動きは大振り過ぎていて。その瞬間を狙ったかのように破魔の一閃は振り抜かれる!!
「闇に生き、悪に染まった魂には覿面だろうな! 光になり、悔い改めるが良い!」
「あ、があああああああああ!! 糞が!! なんでアタシが苦しまなきゃならない!!! アタシに逆らった連中がどうして――」
破魔の力の中で悶え苦しむが、それでも止まらない彼女を止めたのは――
……乾いた『2発』の銃声だった。
「そうか、じゃあこれで苦しむのもお終いだ。……破滅してくれ」
事も無げに、鳴宮が言い放つと同時、ようやく守銭奴は動かなくなった。
「……援護だけのつもりじゃなかったのか?」
振り返らず、ネグルが銃手に声を掛けるが、最初からそのつもりだったとばかりに彼は答える。
「俺はそういうタマじゃないからね……まぁ、どちらが仕留めたって」
「――俺達(アサルト)の勝利、って訳さ」
ヴィクティムが笑ったと同時。破魔に呑まれて、この屋敷の主は消えていく。
――こうして、この屋敷は一時の静寂を取り戻したのである。
……まだ、この先に、一抹の不安を残しながら。
成功
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