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エンパイアウォー㉖~徳川埋蔵金の乱

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「くっくっく! 愚かな奴らよ。埋蔵金が発見されたからと、急に羽振りがよくなりおって!」
 徳川埋蔵金探索成功により、徳川軍は大いに潤っていた。だがその裏で、大悪災『日野富子』の命を受けて物資の買い占めを敢行し、物価を青天井にまで高める一助を担っていたのが、この男――悪徳商人オブリビオンであった。
「しかし、そろそろ潮時かのぅ……」
 徳川埋蔵金を使った。それは徳川軍にとっても、少なくない痛手に違いない。
 悪徳商人は、撤退の準備を着々と進めていた。

 だが――。

「やはり貴様だったか! 泳がせておけばいずれ尻尾を出すとは思っていたが、愚か者は一体どちらであるか!」
「な、なぁ!? 何奴!」
 それらの動きを役人に事前に察知され、戦時下にも限らず左団扇で優雅な日々を過ごす悪徳商人を討つべく、その屋敷に大勢の役人が踏み込んで来た。役人達は御用と書かれた提灯を掲げ、悪徳商人を睨みつける。
「主命により、この屋敷の蔵は検めさせてもらったぞ! 他にも証拠は山のように確保してある! よくもまぁ徳川軍や民が苦しんでいるというのに、平気な顔をしてあれだけの物資を溜め込めるものだな!?」
「くぅ!? そこまで知られているのならばやむを得ぬ! 用心棒殿、頼んだぞ!」
 用心棒? と、役人達が怪訝な顔を浮かべた。
 しかし、呼びかけに応じて襖の影から姿を出した集団の狂念に、役人一同の顔から血の気が引く。
「くっくっく! 一人たりとも生きて帰れるとは思わぬ事だな!」
「――商人よ、約束の物を忘れてくれるなよ?」
「ああ、もちろんだとも!」


「埋蔵金探索、お疲れ様なのだ! でも働き詰めの所申し訳ないのだけど、もう一仕事お願いしたいなっ。どうやら物資の買い占めを行っていた悪~い商人の選定が完了したみたいだから!」
 猟兵達にそう呼びかけるのは、月詠・色葉(ロリ系焦熱妖狐のアーチャー・f03028)。
「というのも、悪徳商人は用心棒――オブリビオンを雇っていたみたいで、役人さん達だけじゃ太刀打ちできないみたい。そこで猟兵の皆に、一緒に踏み込んで欲しいと協力要請が来た、という訳なのだ!」
 市場価格を正常に戻すためにも、悪徳商人の捕縛は必須。また、悪徳商人が逃走する前に資産を没収する事が出来れば、徳川幕府の財源が潤い、補給不足などで不利な状況となる事を防ぐ事が出来るだろう。
「用心棒は複数体いて、名を模倣刀『偽村雨』と言うらしいのだ。加えて、悪徳商人に要求していると想定されるのは、名刀と一般人の生贄……生かしておく訳にはいかないのだ! 猟兵の皆、模倣刀『偽村雨』の撃破と悪徳商人の捕縛、よろしく頼むのだっ!!」


ハル
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================

 皆様、お世話になっております、ハルです。
 戦争において、お金の問題は極めて重要です。徳川軍の金策の一助をお願いします!

 悪徳商人オブリビオン自身には戦闘力はなく、猟兵が討ち取るか捕縛すると消滅します。

 ともかく、悪徳商人と用心棒を排除しちゃってくださいませ!
 では、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『模倣刀『偽村雨』』

POW   :    雹刃突
【呼び起こした寒気】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    怨呪流血斬
自身に【過去の被害者の怨念】をまとい、高速移動と【止血し難くなる呪い】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    氷輪布陣
【氷柱】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を凍らせて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:ボンプラム

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

龍泉寺・雷華
※アドリブ連携歓迎

くっくっく……そこまでだ!(襖バーン)
世に悪の蔓延る時、正義もまた現れる……
そう、我こそが正義の使者!
我が名は雷華! 猟兵にして究極魔術師!
さぁ━━年貢の収め時ですよ!

……ふっ、決まった
めっちゃいい感じに注目を集めた所でUC発動です!
魔術で戦闘力を強化して物理メインでズバズバしちゃいますよー
魔術師という名乗りを聞いて、近接戦闘は出来ないと思いましたか?
残念、我は常識から外れた存在なのです! 究極ですので!

敵が地形を凍らせたら炎の全力魔術で溶かす事を狙い、ダメージを受けたなら敵から生命力を吸収してやります!
まぁ、我に傷一つ付けることは出来ないと思いますが!
……出来ませんよね?




「――くっくっく……そこまでだ!」
 その声が屋敷に響き渡ると、役人達が瞬時に落ち着きを取り戻す。「何の対策もなく敵である貴様の屋敷に訪れると思うたか?」むしろ役人達は余裕すら見せて、左右にササッと捌けていった。
「な、なんだと? この声は……女、か?」
 役人達の余裕に一番衝撃を受けたのは無論、悪徳商人。だが、聞こえた声の幼さからか、取り乱すまでには至らない。
「世に悪の蔓延る時、正義もまた現れる……そう、我こそが正義の使者! 我が名は雷華! 猟兵にして究極魔術師! さぁ━━年貢の収め時ですよ!」
 やがて長々とした名乗り文句の果てに、襖がバーンと開け放たれる。現れたのは茶髪の少女だ。顔を片手で覆い、指の隙間からニヤリとした笑みを悪徳商人達へと向けている。
 ――中二病。しかしサムライエンパイアの住人である役人含めたその場の者達は知らぬ概念ゆえに、「ま、魔術だと!?」「陰陽師の類か!!」「究極の魔術師……かの陰陽師様に匹敵する存在だとぅ!!??」すべて真に受け、どよめきが起こっていた。
 そして彼らの心情を知る由もない龍泉寺・雷華(覇天超級の究極魔術師・f21050)は、一心に集まる期待していた通りの注目を前に「……ふっ、決まった」そんな快感にも似た満足げな吐息を吐き出し、より中二病に磨きをかけるように。
「黒き力、終の力。忌み嫌われし禁忌の力を以て、我に仇為す敵を滅さん。さぁ、我を見よ!我こそが貴方の敵━━終焉を齎す者である!」
 強力で禍々しい黒いオーラを纏うのであった。

 雷華の物理攻撃を受け、模倣刀『偽村雨』が次々と宙を舞う。
「っ、魔術というから陰陽師のような珍妙な術を行使するのかと思えば!?」
「魔術師という名乗りを聞いて、近接戦闘は出来ないと思いましたか? 残念、我は常識から外れた存在なのです! 究極ですので!」
 偽村雨に守られ、その背後から正当な突っ込みを入れてくる悪徳商人を尻目に、雷華は飛来する氷柱を回避。また一人、偽村雨が殴打を受けて地に伏せる。
「――おっと、なるほどです。氷柱は回避して終わり、という訳でもないのですね!」
 雷華が回避した氷柱が床に突き刺さり、畳が凍り付いていた。
「用心棒としてこの場にいる以上、無様を晒す訳にはいかん!」
 雷華はスリップして崩れそうになる態勢を整え、偽村雨の追撃を喰い止めると、自信満々に含み笑う。
「この天才にして究極にして超常の魔術師たる龍泉寺・雷華であればこそ、即座に見抜いてしまったみたいですね! そんなもの、我が前では無意味です!!」
 究極魔法を使うまでもない。全力で行使した炎の魔術が、周囲の凍った地形を溶かしていく。
「くっくっく……礼を言いましょう。氷柱のおかげで、少しばかり涼が取れた事を! 続けるならどうぞ。まぁ、我に傷一つ付けることは出来ないと思いますが! ……出来ませんよね?」
 最後にほんの僅かの素を覗かせつつ、雷華は圧倒的物理にて偽村雨を殴殺していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィヴィアン・ランナーウェイ
アドリブ・連携歓迎

……なんというか、私キャラ的には多分相手側泣きがしますわね。
いえ、余計なことを考えましたわ。

この私が来たからには安心なさい。
悪徳商人も、敵の用心棒も、纏めて退治して差し上げましょう。
こういう輩には、私の威光を見せつけるのが1番。
UCを発動、背中、取らせてもらいますわ。

さて、この私の名前を覚えて帰りなさい。
ヴィヴィアン・ランナーウェイ。
あなたを打ち倒した者の名前です。
槍を思い切り振るい、敵を吹き飛ばしましょう。


ヘカテー・ティシポネ
ホント……お金って重要…よね
だって……食べ物…買えないじゃない…?
昔から…腹が減っては戦は出来ず…って言うぐらい…だし?
とりあえず、お腹空いたわね…

(早く、終わらせてしまいましょう。
悪徳商人には用心棒もいるみたいだし【吸血蝙蝠ノ群レ召喚】でコウモリを召喚して、屋敷の「情報収集」はしておいた方が良さそうね。悪徳商人が逃走する前にお金の在処もきっちり把握しておくわ。場合によっては、持ち逃げしないようにコウモリで足止めね。用心棒には、コウモリを複数で襲わせて妨害や攻撃しながら動きにくくしていくわね。私は「目立たない」ように他の皆を援護してようかしら?あまり動くとお腹減るもの。)

*:アドリブ絡み等歓迎




「コウモリたちよ…群れとなりて集いなさい」
 目立たないように屋敷に潜伏するヘカテー・ティシポネ(エリーニュス三美姫・f06411)は今にも泣き出しそうなお腹を擦りつつ、100を超える小型の吸血コウモリを召喚していた。
「お腹すいたわね……」
 ヘカテーにとって、時間に関係なくお腹が空いた時が食事時だ。その紫の瞳には、自分のリズムを崩された事によるそこはかとない悪徳商人への不快感が滲んでいるようにも見えた。
(「ん、きっとこれ……ね。お金の在処……は……」)
 一先ずはコウモリを解き放ち、屋敷中の情報収集に努めていたヘカテーであったが、首尾よく、最重要と言って過言ではない悪徳商人の財産の隠し場所に当たりをつけたようだ。
 ヘカテーはコウモリ達に、万が一にも敵に財産の持ち出しを許さぬように命じながら、
(「早く、終わらせてしまいましょう」)
 屋敷大広間にいる赤い髪の豪胆な少女へと視線を這わす。
「この私が来たからには安心なさい。悪徳商人も、敵の用心棒も、纏めて退治して差し上げましょう」
 すると大広間からは、タイミングよくそんな勇猛な言葉と高笑いが聞こえて来たのであった。

「こ、この光……!」
「――おーっほっほっほ!」
 模倣刀『偽村雨』の背後から高笑いと後光を携えて現れたのは、ヴィヴィアン・ランナーウェイ(走れ悪役令嬢・f19488)であった。
「あなた方のような輩には、私の威光を見せつけるのが一番、そう相場は決まっていてよ?」
 偽村雨は、氷輪布陣を張ろうとする寸前の体勢で光に目を潰され、困惑している。その無防備な敵の背後から、ヴィヴィアンは槍を思いっきり振るって周囲の偽村雨を複数体纏めて吹き飛ばす。
「お見事です!!」
 役人達が、ヴィヴィアンに向けて喝采を上げてくれる。彼女はそれを優雅に片手を上げて制しながら、「うむぅ……!」脂汗を流して唸る悪徳商人にどこか複雑な視線を向けた。

『ホント……お金って重要……よね。だって……食べ物……買えないじゃない……? 腹が減っては戦は出来ず……って言うのに……』
『ま、まったくですわね!』

 それは屋敷への突入前に、ヘカテーとヴィヴィアンが交した言葉だ。ヴィヴィアンはその時こそ同意したものの……。
(「……なんというか、私キャラ的には多分悪徳商人側な気がしますわね……」)
 実際はそんな思いを抱き、タラリと額に汗を流していた。高笑いしながら、金銀財宝に囲まれる自分が容易に想像できてしまう。悪役令嬢ゆえに。
「いえ、余計なことを考えましたわ」
「ぐぎゃっ!!」
 ヴィヴィアンは脳裏の靄を振り払い、硬直する偽村雨を槍で突き刺し、確実に仕留める。
「よくもやってくれたな!」
 少しして、ようやく偽村雨が一時的な困惑から解き放たれた。
 どうするか思案するヴィヴィアン。しかし解は、すぐさま明確に示された。
「コウモリたちよ……ヴィヴィアンを援護する……矛と盾となりなさい……」
 身を潜めたヘカテーが命じると、偽村雨にコウモリが一気に殺到する。噛みついてその血を啜り、ヴィヴィアンに意識の全てを注ぎ込む事を防いだのだ。
「邪魔……ダァアアアア!!」
 偽村雨が、氷柱で幾体のコウモリを消滅させる。畳が壁の一部が凍り付いた。
 だが、それだけ。
 ヴィヴィアンが隙を突いて必殺の一閃を放ち、ヘカテーのコウモリが、主人の呪詛を受けて弱った偽村雨に殺到して命を啜る。
「さて悪徳商人に偽村雨。この私の名前を覚えて帰りなさい。ヴィヴィアン・ランナーウェイ。あなたを打ち倒す者の名前です」
「お、おい! どうなっているんだ用心棒殿――いや用心棒!! 負けたでは済まぬのだぞ!?」
「ちっ、黙っていろ!」
 遠くない勝利を確信し高々に名乗りを上げるヴィヴィアンの前で、悪徳商人と偽村雨が言い合いを始めている。
(「私の分まで頼んだわよ……ヴィヴィアン。あまり動きたくないの私……動くと……お腹減るもの……」)
 ヘカテーはそれら全てを無視して、いかにカロリー消費を抑えるか。コウモリを操りながら、彼女にとって重要な事項に苦心しているのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

植田・碧
・碧
悪い人間がやりそうなことね。
きっちりお縄についてもらうわよ!

偽村雨ね、こちらも刀で相手させてもらいましょうか

眼帯を外して姉さんに入れ替わるわ

・茜
偽とはいえ村雨、油断はできませんね
敵も素早く動くみたいですしこちらも素早さで対抗させてもらいます、敵の呪い攻撃は反応速度を活かして避けさせてもらいます
こちらのほうが速ければ敵が攻撃する前に紫微垣と三日月で急所を出来るだけ狙いながら斬り捨てていきます
同じ速さだったら敵の攻撃を避けた時に出来た隙を突いて切り捨てます

☆アドリブ・他の猟兵との連携歓迎です


紫谷・康行
偽物はどこまでいっても偽物だ
本物になろうとしない限りは
嘘も嘘のままでは何も生まない
それが願いなら本当にする必要がある

そのためにお前を斬ることにするよ
こう見えても風の刃を使う剣士だからね
と、とぼけた感じで言う
裏の決意は見せないまま

世界の果てから吹く風を喚び戦う
攻撃は相手の首や腕を狙い効率よく無力化していこうとする

状況を見据え、部屋の中にあるものをうまく盾にして攻撃を防ごうとする
狭いところの方が風も早くなる
うまく誘い込み風を吹かせる
隙間風も吹くものだ

氷柱で攻撃してきたら風を集中させて重心を砕いて氷柱の動きを止めようとする

「語らずに本当の名前を言えば
それが本物と言うことだよ
最後に聞いておこうか」




(「――偽物はどこまでいっても偽物だ。本物になろうとしない限りはね」)
 紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)は、悪徳商人を。そして何よりも自身と似て非なる模倣刀『偽村雨』へと、焦茶色の鋭い視線を向ける。
「者共! であえー、であえ、であえ~~~~!!」
 彼の眼前では、悪徳商人が半狂乱となって叫んでいた。それは、悪徳商人が自身の生存を心から信じられていない表れなのだろうか。
(「嘘も嘘のそのままでは何も生まれない。それが心からの願いなら本当に――嘘を真にする必要があるんだよ? お前にその矜持はあるのか?」)
 果たして偽物たる偽村雨に何かが成せるだろうか。答えは否だ。
「俺はお前を斬ることにするよ。こう見えても風の刃を使う剣士だからね」
 康行は心の内側を読み取らせないよう、とぼけた表情、言葉で告げる。
「何? ……ほぅ」
 剣士と耳にして、偽村雨が敵意を見せた。そして康行の装備する不安と憂いを断ち光を灯す者の剣『闇払い』を目にした偽村雨が、舌なめずりをする。
 だが――。
「星空も見えぬ世界の果て、辿り着くこと叶わぬイーゴーに吹く無慈悲な風よ。全ての因果を絶つ決別の刃よ。我が言葉に導かれ今ここに吹け」
 本当の凶器は今、そこにはない。
「あ゛お゛っ?」
 音もない風の刃は、言霊に導かれて舌なめずりをする偽村雨の表情をそのままに、彼奴の首を断ち切っていた。

「――怨呪流血斬!!」
 用心棒として負けが許されない偽村雨もまた、全戦力を投入して猟兵達を殲滅するべく次々と屋敷中から大広間に集まって来ていた。その身に禍々しい怨念を纏い、命を削りながら猟兵への憎悪を力とする。
「悪い人間がやりそうなことね」
 植田・碧(多重人格者・f17778)が、刀身を舌で嬲る偽村雨を見据え、その眼帯に手をかける。
「偽村雨ね、こちらも刀で相手させてもらいましょうか。姉さん」
 眼帯を外すと、真紅の瞳が露わとなった。「――偽とはいえ村雨、油断はできませんね」さらに茜の人格と切り替わる。何人も撃ち抜く精巧な銃を思わせる気配が、何人も切り裂く鋭い気配へと変貌したのだ。茜が抜き放つ太刀は、妖刀と名刀。業物であると一目で分かる波紋の煌めきに、偽村雨が目を細める。
「その身には過ぎた刀を持っているようだ。二刀共に奪ってやろう。その暁には、名刀を妖刀に堕させさせて貰うぞ?」
 偽村雨の声色は、その長髪と細身も相まって男とも女とも取れるもの。
「理解しました。村雨は本来、邪を退け、妖を治める宝刀と称されるべきもの。邪悪な怨念を纏っているのは、貴方が握っているからなのですね」
 そして、それゆえの偽。
 しかし紫微垣はともかく、三日月は奪われれば別物へと変えられてしまう懸念がある。
「それを寄越すがいいー!!」
 偽村雨が、高速で茜の背後を取ろうと駆ける。
「――殺った!」
 やがて、偽村雨は勝利を確信して刃を振り下ろす。放散する太刀筋は、止血困難という厄介な性質を有していた。
「……素早く動けるのは貴方達だけだと思わない事です。常に対抗できる者はいる、そう思って戦うのが剣士ですよ」
 だが、茜は卓越した反応速度で刃の放射を回避し、逆にカウンターで紫微垣と三日月にて偽村雨を切り裂き、瞬く間に葬った。

「なかなかやるね、彼女」
 康行が、感嘆の吐息を零す。命を代価とする茜の身体能力は超越的だ。高速で動き回る偽村雨が、ただのノロマに見える程に。
 次々と急所を抉られ、息絶える。 
「貴方こそ」
 そして茜にしろ、康行の戦いぶりには参考になる点が多々あった。身体能力を押し出す茜とは対照的に、康行の戦い方は柔軟だ。
(「……こう見えて、散々血反吐を吐いてきたからね」)
 嘘を真実にするためには、それだけのものが必要だった。常に自分の全てを投げうつだけのものが。
 康行が襖の影に隠れると、狙い撃つように氷柱が殺到して襖を穴だらけとする。一瞬の隙を突いて康行は飛び出すと、氷柱を収束させた風で弾きながら続けて言霊を発する。擦れ違い様に奔る高精度の風の刃は、偽村雨の首や腕、戦闘継続を困難とする部位に叩き込まれた。
「お前達はここに誘い込まれた事に気づいているかな? 狭いところの方が、風も早くなる」
 やがて、偽村雨を廊下に誘い込んだ康行は、大量の敵を一網打尽とした。

「妹の気持ちに私の気持ちも重ねて言わせてもらいます。貴方には、きっちりとお縄についてもらいます」
 二刀の太刀に付着した血を茜が払う。払われた血はビシャリと畳に飛び散り、悪徳商人の着物まで届いた。
「ひ、ひぃぃぃぃいいっ!?」
 悪徳商人に刃を届けるまで、後一歩だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
アドリブ◎*NGなし御自由に
*身に<誘惑の呪詛>宿し呪詛/呪操る

商人は時に儲けこそ正義なのでしょうが
道理に反せば業もまた背負う
その見極めこそ肝要ではないですか
その辺りはオブリビオン故でしょうか。
逃がしませんよ。その悪あがき全て砕いてあげます

《機能強化》<第六感>併用全知覚強化<情報収集・学習・見切り>
《縛鎖》召喚:破邪<破魔の呪>込め効能強化
<早業:高速詠唱・ロープワーク>鎖を武器とし盾とし操る
射出で攻撃と捕縛狙う
命中する度【怨念】を祓い、外れても鎖で妨害、移動や攻撃阻害。
また放出された【呪い】も鎖で受け祓い防ぐ。
必要なら役人達を護れる様鎖張り巡らし安全圏形成。
隙見て逃げるなら商人を縛りあげる


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

【ライオンライド】で呼び出した体長40cmほどの子ライオンくんに「騎乗」して戦うよ!
「動物と話す」「動物使い」の技能も使ってライオンくんとのコンビネーションはばっちり♪
【怨呪流血斬】の呪いはママが持たせてくれた「お守りの宝石(呪詛耐性)」のおかげできっと大丈夫!

風を纏ったレイピアによる「属性攻撃」で用心棒をある程度倒したら
「このもんどころが目に入らぬかー!」と手書きしたお花のマークを見せびらかすよ☆
もちろん何の効果もなく、「あれれー?おっかしいなー」と不思議そうにしながら残りの用心棒もやっつけていくよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です




「わ~い♪ ライオンくんはや~い☆」
「……馬鹿なっ!」
 劣勢、敗北、死。次々と肉塊へと変わり、過去へと強制送還される模倣刀『偽村雨』を襲う現実。その中でも一番特異だったのは――。
「拙者たちがこのような輩にっ!!」
 高速移動を成す偽村雨に臆さず、どころか負けず劣らずのスピードで追尾してくるティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)と黄金のライオン。まして彼女達の体長は、偽村雨の手の大きさを若干超える程度なのだ。
「大きいからって強いとは限らないよーだ!」
 風を纏ったティエルのレイピアが偽村雨の脳天に突き刺さり、風が拡散する。それはまるでミキサーだ。偽村雨の頭部がポンッと弾けて消える。
「ならば!」
 怨呪流血斬。止血し難い呪いの太刀筋。
「おっとっとぉー!? ライオンくん!」
 距離を取って放射されるそれに、ティエルはステップで回避しようとする。しかし、小さな傷を負わされてしまう。その瞬間、偽村雨がニヤリとほくそ笑んだ。血が止まらねば、やがてティエルの命が尽きる――そう思ったのだろう。
「危ないなー! ママがこれを持たせてくれてなかったら、危なかったかもね。ありがと、ママ♪」
 ティエルは妖精の国を思い出す。こっそり母の目を盗んで冒険に飛び出すなんて、母は見抜いていたのかもしれない。もしかしたら、こんな事が起こる事も。お母さんとは、それぐらい凄い存在なのだ。ティエルが宝石を傷口に当てると、守りの力が呪いを癒した。
 止血を終えたティエルはそれまで以上の勢いで、偽村雨を撃退するのだ。

(「ティエルさんも呪いに対する対策を行っていたのですね」)
 呪いに身を浸し、呪操る者として仲間を心配していた月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)は、安堵と感心をオッドアイの瞳に浮かべていた。
「う゛っ……ひぃぃぃぃぃぃぃいいいいいっ!」
 その美しくも儚げな視線。しかし用心棒が矢継ぎ早に撃退されている現状においては、悪徳商人にとってはその美さえ恐怖の対象に他ならない。
「逃がしませんよ。悪あがき全て砕いてあげます。そこで見ていなさい」
 視線に明確な冷たさをユイが加えると、悪徳商人は脂汗を噴き出して半ば白目を向いた。
「どこを見ている!?」
「申し訳ありませんが、見る必要もないので」
 ユイが悪徳商人に意識を向けている隙を狙い、偽村雨が高速で刃を振り下ろす。
「(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。概念制御、情報収集、縛鎖強化更新最適化)永久の縛りを…」
 ユイは高速で詠唱すると、黒き鎖にて刃と放射される衝撃を受け止める。
「――っ!?」
 実体化前の鎖故、偽村雨には見えない壁に全てが受け止められたように感じているだろう。一様に目を驚愕に見開いていた。
「怨念、呪い……そういった類についての情報、知覚については私の本分ですので、あなた達程度に後れを取る訳にはいきませんね」
 どれだけ高速で移動しようとも、そこに怨念がある限りユイには知覚できてしまうのだ。知覚され、見えない鎖に縛られた偽村雨の動きが次々と鈍る。中には、怨念そのものを封じ込まれ、茫然とする偽村雨の姿もあった。そうした者らは視認できない鎖に貫かれ、息絶えるのが必定。
「キィエエエエエエェェェェエエエエエエ!!」
 理解不能の事態に、偽村雨は最後の手段に出る。 
 すなわち、後方で見守る役人達を人質とする事だ。「お、おい、こっちに来るぞ!」慌てる役人。
 しかし、ユイは眉一つ動かさない。全ては、黒、銀、金……三種の特性を有す鎖を実体化してやれば事足りる。
 役人と偽村雨を隔てるように実体化したもの。それは、幾重にも張り巡らされた三種の鎖の壁だ。そして動けば動く程に偽村雨は縛り上げられ、怨念と共に命を吸収される。

「このもんどころが目に入らぬかー!」
 猟兵と役人以外は大半が動きを止めた屋敷で、ユイの肩に乗ったティエルは、ノリノリな様子で花柄の描かれた、手作り感満載の紋章を掲げる。
「…………」
 ふいに、沈黙が支配した。「あれれー? おっかしいなー」不思議そうに首を傾げるティエル。空気を読んだ役人達が、「お、おおぅ!」戸惑いながらも膝をついてくれる。
「素敵な紋章です、ティエルさん」
 ユイは軽く微笑み、フォローを入れながら、改めて悪徳商人に視線をやる。抵抗する術を持たない悪徳商人は、今にも卒倒しそうだ。そこに邪悪な思惑でサムライエンパイアの物価を上げたかつての面影はない。
(「商人は時に儲けこそ正義なのでしょうが、道理に反せば業もまた背負う。その辺りはオブリビオン故でしょうか」)
 ――在るべき場所に。
 ユイとティエルは残党を全滅させると、見事商人を捕縛するのであった。

 そして猟兵達は、役人達と共に彼の者が持つ資産を全て没収し、これから正念場を迎えるであろう戦の大きな後押しとするのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月08日


挿絵イラスト