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エンパイアウォー㉖~補給回収捕物帳!猟兵VS貧乏神編

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 大災厄『日野富子』なるオブリビオンの物資買い占め作戦。その対抗策として猟兵達が徳川埋蔵金を探しあてた事である情報が浮かび上がった。
 それは日野富子の手足となる悪徳商人オブリビオン、その足跡。そう、猟兵達が早期に資産の余裕を作ったことで、逃げ遅れた悪徳商の慌ただしい動きを幕府の役人が察知するに至ったのだ。

「証拠は押さえてある!神妙にお縄につけい!」

 とある町の一角で叫ばれる悪徳商の逮捕を告げる声も、この動きによるものだ。
 役人と、万一暴れた時のために抑える侍数名。悪徳商人はオブリビオンとはいえ戦闘力はほぼなく、役人たちで抑えることも十分可能……そのはずだった。

「ひ、ひひひっ……だぁ~~れが捕まるもんかバァ~~~カ!!!」
「生者ではないとはいえ、せめて真っ当に手順を踏んでやろうというのを無碍にするか!」
「ああそうとも!なんせこっちには、先生方がいらっしゃいますからねェーーー!!先生ィーーー!!用心棒の先生方ァーーー!!出番ですぜ!こいつら、ボロッボロにしてやってくだせェーーー!!」

 悪徳商人は捕物の舞台となる店の奥へと逃げ、入れ替わりに別のオブリビオンがぞろぞろと姿を現す。

「ヒッヒヒヒヒッ!!ようやくの出番か!」

 用心棒として役人たちの前に現れた男共は、卑しい笑みを浮かべて役人たちにその力を向けようとしていた。

●グリモアベース
「皆さんお疲れ様です。猟兵の皆さんの活躍によって、エンパイアウォーの状況が進み、見つからないと思われていた戦力等も捕捉されるようになりました。今回はそのうちの一つ、買い占めを不正に行っていた悪徳商人の確保に協力いただきたいのです」

 ネオン・エルバイトは手帳を開き、猟兵達に詳細を伝える。
 きっかけとなったのは、徳川埋蔵金の探索である。幕府の動きを抑えるための買い占めに対抗する中で、買い占めを行ったオブリビオンである日野富子の配下が見つかったのだ。
 彼らは悪徳商人というだけあり、買い占めの動きや資産の確保で徳川幕府の法を犯している。そしてその証拠も、ほとんどがすでに抑えられている。
 法的にも戦争的にも、この存在を見逃すわけにはいかないと、幕府側は資産の差し押さえを指示済み。悪徳商人のオブリビオンは弱く、本人だけであれば幕府の役人等でも十分対処できるのだが……悪徳商人たちは用心棒のオブリビオンをけしかけ対抗し、逃げ切るつもりらしい。
 しかし、猟兵達が向かうのであれば、用心棒を打倒し悪徳商人の逃走を阻止できる。

「僕が見た予知の場所では、貧乏神のオブリビオンが用心棒として出てきていました。悪徳商も用心棒もともに小物の臭いがきつい言動のようですが……ほおっておくわけにはいきませんし、悪徳商の資産を抑えること徳川幕府のこの戦争における優位につながります」

 多数の人間を動かす必要がある行軍。行く先々の補給にしろ、戦争の際の防御にしろ、財源確保はしておくべきと言えるだろう。
 そもそも、悪徳商人を逃がせばその資産はオブリビオン側に吸い上げられる。ぼーっと見過ごすわけにはいかない。

「皆さんのお力が必要です、どうか、今回の件もご協力をよろしくお願いします」

 そのように話を締めくくり、ネオンは猟兵達に向けて頭を下げた。


碧依
=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 こんにちは、碧依と申します。今回のシナリオはエンパイアウォーの二戦目です。必要な部分をクリアしたのちの、敵を減じて味方を強める感じのシナリオとなっています。
 おそらくちょっとギャグが強めの感じで、さっくりめになると思います。

 今回は貧乏神との集団戦となっています。
 悪徳商人オブリビオンは用心棒を倒されて捕縛された時点で消え去りますので、そちらを意識した戦闘プレイングは無くても大丈夫です。用心棒が倒された後捕縛の時点で資産を残して消え去ります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『超・貧乏神』

POW   :    ドゥェッヘッヘ! お前達の身体を貧相にしてやろう
【指定した肉体の部位を貧相にする光線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    どんな技術も、私の前では素人以下になるのだぁ!
自身に【金属を高速で腐食させるオーラ】をまとい、高速移動と【指定した技能のレベルを0にする光線】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    貧すれば鈍する! 頭も心も貧しくなるがいい!
【知識を奪う光線】【記憶を奪う光線】【性格を下劣にする光線】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。

イラスト:仁吉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


*連絡
 体調不良により多くのプレイングを流してしまいましたので、一度全て流して8/11から再募集することにします。
 一度送付いただいた方の分は下書きがありますので、お気持ち変わりなければ再度送付していただけると嬉しいです。

 今回は申し訳ありません。ご協力いただけましたら幸いです。
川咲香・忍
※アドリブ・絡み歓迎

貧乏神…。実在しやがったのか…!(思わずタバコを噛み切ってしまう)
思えば断トツ一番人気の馬が着外に飛んだり、パチンコでどれだけ熱い演出が出ても悉く外したり、朝一で並んだ日に限って設定1掴まされたりするのも全部てめえらの仕業だったんだな…。クソっ!許せねえ!(早とちり)

出し惜しみは無しだ!【ドーピング】で集中力・反射神経を高めてアウトレンジから【スナイパー】で【先制攻撃】だ!敵の光線は【第六感】【見切り】で回避してやるぜ。
UC【選抜射手の火力集中】も大盤振る舞いしてやるぜ!あらゆる急所を撃ち抜いてやる!

…返してもらうぜ。エンパイアの平和と、散っていった俺の無数の諭吉さんをよ!



 用心棒こと、超・貧乏神どもが役人に向けて踏みこむ!

「くっ!物の怪の類か!」
「イヒヒヒヒッ!!物の怪とは言ってくれるなぁ?いいか?私は、神だ!人間風情が私にかてるとおも――ギャアアアアアアアア?!!」

 不意に、貧乏神どもに銃弾の雨が降り注ぐ!

「ヒェッ?!わ、私ィーー!!!こ、この……何者だ!!」

 気付けば、役人の後ろに人影……そう、猟兵のエントリーだ!

「貧乏神……実在しやがったとはな……!!おい、役人のあんたら!こいつらは俺や後から来る連中が引き受ける!!」

 目の前の存在への怒りで煙草を噛み切りながらも、役人にそう声をかけるは川咲香・忍!彼は射撃による牽制を行いながら、役人たちを逃がすために前に出る!

「す、すまない!頼む!」
「なんなら商人が外に出ねえように見張っててくれ!内側のこいつらは、俺達が容赦なくたたいてやる!」

 忍に促された役人たちが退く一方、貧乏神たちも動きはじめる!

「ドゥェッヘッヘ!猟兵か!しかし私たちの前に出て来るとは愚かだな!どぉれ、お前たちの身体を貧相にしてやろう!ゆくぞ私達!何人かでやれば一人ぐらいは上手くいく!」
「「「おおおおおーー!」」」

 貧乏神たちは身体を貧相にする光線を放とうとする!攻撃の予兆に気づいた忍は、自身に投与した薬によって冴えた感覚と第六感で、物陰を見切って駆け込む!
 直後、貧乏神たちの一斉光線が数うちゃ当たるとばかりにヂカヂカと周囲に瞬いた……だが!

「ど、どこへ行きやがった!!」
「光量大きくしすぎて見失ったぞ?!」

 当てれば逃げる事も難しくなるという雑な認識の元の攻撃!それ故貧乏神は誰も、忍の動向をきちんと追っていなかった!
 一方で、この機を忍は逃さない。彼はこれまでの人生で受けた理不尽を怒りに変え、物陰から身を乗り出した一瞬でユーベルコードを発動する!

「(室内で跳弾の可能性あり――距離、風向、高低差、全てよし!)全ての急所を撃ち抜いてやる!Feuer!Feuer!」

 放たれる銃弾!一体の貧乏神を撃ち抜いたそれに引きつけられるかのように、貧乏神の関節を主とした弱点狙いの弾が連続射出される!
 無数の銃弾は憐れ的となった貧乏神を貫通!抜けた弾のいくつかは壁に跳ね返って周辺の貧乏神も巻き込んだ!

「ヒィィ??!!さっ、殺意が!殺意が高い!」
「当然だ!俺はお前らを許さねえ!俺の諭吉を奪っていった、お前らを!」
「えっ?ンン……?」

 貧乏神達のピンときていない反応に、忍は怒りを増幅させる。

「すっとぼけたって無駄だ……思えば断トツ一番人気の馬が着外に飛んだり、パチンコでどれだけ熱い演出が出ても悉く外したり、朝一で並んだ日に限って設定1掴まされたりするのも全部てめえらの仕業だったんだな……クソっ!許せねえ!」
「いや、全然ピンとこな……ギャアアアア!??」

 躊躇ない台詞の途中での射撃!忍の怒りと殺意に戸惑った死神たちは反撃できずに逃げ惑う!

「一人も逃がすか!返してもらうぜ、エンパイアの平和と、散っていった俺の無数の諭吉さんをよ!」
「だから、諭吉って、誰だぁぁぁぁーーーーー??!!」

 店内に響く貧乏神の疑問と悲鳴。それに応えるのは、殺意に満ちた銃声であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

モリオン・ヴァレー
オブリビオンを用心棒に雇うとはね
確かに普通の人相手なら有効でしょうけど、あたし達にはどうかしら?

【メテオストライク】発動
<気絶攻撃><オーラ防御><見切り>重力の力を宿した杖での接近戦を
力の差を見せてあげるわ

光線に当たっても……あたしは何も変わってない様だけれど?
ふぅん、体の一部を貧相に?
で、指定箇所は胸部?
<殺気>……そう

<投擲><ロープワーク><2回攻撃>
逃げてんじゃないわよ、ちょっとこっち来なさい
指から霊糸を放ち、逃げようとしている個体を捉え引き寄せ、勢いのままに杖で砕いてやるわ

粗方掃討したら件の商人に杖頭を向け降伏勧告
さて……あなたもこうなりたい?
とっとと洗い浚い吐いた方が身の為よ


トルメンタ・アンゲルス
※アレンジ歓迎

この世界では、金と兵糧は戦力に直結しますからねぇ。
そこを抑えるのは妥当ですが、見過ごすとお思いですかねぇ?
俺達でどうにかできる問題は、何とかしてしまいましょう!

見切り・第六感・残像・ダッシュ・早業を生かし、縦横無尽に駆けまわって敵を翻弄しながら攻めていきましょう!

にしても、室内にしても走り回るには狭いですねぇ?
それに、木材が多くて、踏み抜きそうで……っ!
しまっ―――


――……何も変わらない?

……。


……おい。
(無言の光速キック)

俺の「どこ」を貧相にするつもりだったんですか?
なぁ(蹴り)おい(蹴り)
俺の(蹴り)どこを(蹴り)貧相に(蹴り)したかったん(蹴り)ですか?(蹴り)


※ぺたんこ



「ヒィィん……猟兵ども、話には聞いていたが本当に容赦のないっ……!!」

 こそこそと裏口に向かっている脂肪むっちり狸親父こと、悪徳商人オブリビオン。彼は逃げながらも、表の方のやり取りをいくらか耳にしていた。

「しかし奴らさえ相手にせねば、裏手に役人どもが出てきてもまだ何とかなる……グヘッ、グヘヘヘッ!いける!ワシは、ワシは逃げ切るぞォ!……むっ?!」

  まだ、用心棒の召喚数には余裕がある。早々に裏手から外に出れば、後は召喚した用心棒に身を守らせながら逃げるだけ……だがもちろん、そのような目論見がうまくいくはずはない。
 悪徳商人の向かっていた裏手出口から、二つの人影が飛び込んできた!
 そう、当然今この場に踏み込むのは、戦闘のために訪れた猟兵達!
 淡々と目標を見据える、黒に身を包むゴシックな銀の女性はモリオン・ヴァレー!スタイリッシュな装いで、力強さを感じさせる笑みを浮かべるのはトルメンタ・アンゲルス!
 二人は表の銃撃戦を避けて裏手に回る者を相手取ろうと、裏口からの先回りを敢行したのだ!

「ずいぶんと自信があったようだけど……逃げ切るなんてことはさせないわ」
「さ、先回りとは小癪な……!!ワシはただ金儲けしていただけで、生きてる連中に被害は出しておらんというのに!!」
「ハハハ、冗談がきついですよ。この世界では、金と兵糧は戦力に直結しますからねぇ。そこを抑えるのは妥当ですが、見過ごすとお思いですかねぇ?」

 メイスを構えるモリオンと、鎧装を纏うトルメンタ。そこに見逃すという選択が無い事を理解した悪徳商人は、用心棒を呼び出し逃げるという手を取った!

「グヌゥッ??!!……せ、先生方!!頼みます先生方ァーーーー!!!!」

 途端にワラワラとあらわれる貧乏神!猟兵二名を相手取る為か、なかなか多くの数を呼び出してきている!

「表の戦力だけではないと思っていたけれど……都度召喚となると面倒ね」
「無限ってわけじゃないでしょうし、俺達でどうにかできる問題は、何とかしてしまいましょう!」
「ええ、そうね。オブリビオンを用心棒に雇うのは、確かに普通の人相手なら有効でしょう。けど、あたし達にはどうかしら?」

 光線を相殺するためにオーラを纏うモリオン!
 貧乏神たちの矛先を定めさせぬように超速で踏みこむトルメンタ!
 貧乏神たちは向かってくる相手に向けて貧相になる光線を放つが、トルメンタの速度を相手取ろうとすると照準が合わない!

「隙だらけですね――蹴り抜くっ!」

 トルメンタは縦横無尽に駆けながらも、隙を見つけては光速の蹴りを繰り出す!
 抑えようにも目に留まらず、留まって狙おうとすると死角から蹴りぬかれる……故に、貧乏神たちはトルメンタに手も足も出せない!
 そうなると彼らの狙いはモリオンに移るのだが……彼女にも、不用意には近づけない!

「わらわらと、目障りだわ……潰れなさい!」

 大きく振りかぶり、重力の力を纏ったメイスによる一撃を叩き込むモリオン!地形を変動させるほどの衝撃は、床板を砕くことで光線を遮る!
 メイスそのものの一撃に当れば、貧乏神達では持ちこたえることは不可能!その力で砕かれた破片も、当たりどころによっては一撃で貧乏神を持って行く!!

「あたしだって、真正面からやられないだけの力があるの。その力の差を、見せてあげるわ」
「くそ、この馬鹿力女め……!!私たちを叩き潰すとかゴリラか!!ゴリラ!ゴーーーリラ!!」
「服装や体格だけじゃなく、視力も貧しいようね  そこっ!」

 モリオンは正面からの負け惜しみめいた挑発に乗ることなく、死角を狙おうとしていた貧乏神を屠る!如何な戦場であれ、冷静な暗殺者たる彼女は揺るがない!
 重い一撃を喰らわせるモリオンと、攪乱しながら攻撃を入れていくトルメンタ。戦法としては相性は悪くない上に互いに精神に余裕はある……だが。

(……このままならば今召喚された分は殲滅可能でしょう。しかし、彼女の一撃であそこまで破片が上がるとなると)

 そう、トルメンタは駆けまわりながらも、建物の不安定さを感じていた。床がしっかりしていないことは、駆ける際の感覚でも、味方の攻撃でも明らかだ。

「走り回るには狭い上に、この不安定な木材、踏み抜きそうで……っ!」
「!!   トルメンタさんっ?!」

 バキリ、と嫌な音が響いた。踏み抜いた床に足を取られるトルメンタと、思わずそちらに視線を向けてしまうモリオン……その隙を、貧乏神どもは見逃さなかった!

「ドゥヘッ……ギャハハハハハハ!!好機だ!皆一斉に食らわせるぞ、くらえ!!」

 周囲一帯を包み込むかのような、まぶしい光線の渦!防御をも貫通し、モリオンとトルメンタにその光がおもいきり降り注ぐ!

「くっ?!……?」
「しまっ―――――……何も変わらない?」

 ……たしかに、光線が二人にしたたかにぶつかった。だが、猟兵達の見目に変化がない。
 猟兵達も自身の肉体の不調を感じないのか、何が起こったかわけがわからないという表情をするしかない。
 そんな中、悪徳商人が貧乏神に向けてクレームの声をあげる。

「ちょっと先生方ァーーー??!!こちらにも光線届いてる!!届いてますから!!」
「グヘヘヘヘッ、すまないすまない!しかぁし!みろ、あの唖然とした姿!」
「ドゥハハハハハハ!!!いい気味だな女ァ!!一撃必殺なんぞで調子に乗るからそうなるんだ!!」

 廊下の奥から姿をのぞかせる悪徳商人の姿には変わりがあった。脂肪もっちり狸親父の上半身、その胸元が心もとない。パツンと張っていたはずの着物の胸元は、スカっとたよりない揺れ方をしている。
 モリオンは思わず己の胸元に手を当てる。いつも通りの厚みだ。

「えぇ~?どうだ?ん?女性の象徴を失ったみじめな気分は?ドゥェヘヘヘヘヘヘ!!んぼぉっ??!!」
「……おい」

 無言で光速キックを繰り出したトルメンテが、その一撃で転がった貧乏神の鳩尾に連続で光速キックを入れていく。

「俺の"どこ"を貧相にするつもりだったんですか?なあ?おい?俺の どこを 貧相に したかったん ですか?」

 言葉の区切りの合間ごとに、繰り出される鳩尾への容赦ゼロの連続キック!当然、蹴られていた貧乏神は消失!サングラスで目こそ見えないが、次の犠牲者を見定めようとするトルメンテに対して他の貧乏神が恐れとともに声をあげる!

「お、おおお女にしか関係ないからな!!ほら、胸だよ胸!あっちの女狙いでお前は関係なウぼァーーーーー??!!」

 答えた貧乏神のこめかみにトルメンテの固く覆われたつま先が光速で食い込む!
 トルメンテの性別を誤認していた場合でも、最初から対象外の平原と思っていたにしてもタイヘンシツレイ!自業自得!

「……ふぅん?体の一部を貧相に?指定箇所は?胸部?……へぇ……」

 一方、ぺたぺたと普段と差異が無い事を確認していたモリオンからも、冷ややかな殺気が立ち上がる。

「……そう」
「ヒィッ?!」

 モリオンの凍てつくような視線が貧乏神を射抜く!
 今の彼女は、一撃必殺を心に刻んだ殺意の目をしている!そのあまりの鋭さに、一人の貧乏神が即座に転身!当然追うモリオン!

「逃げてんじゃないわよ、ちょっとこっち来なさい」
「い、いいいい??!!嫌に、決まってるだろ!バーカバーカ!ぐぇっ?!」

 脱兎の勢いで奥へと駆けこむ貧乏神へと、モリオンは霊糸を放つ!主に首にまきつけたそれをひきよせ、持っていたメイスによる全力の勢いで破砕!貧乏神、四散!
 凶暴性をにわかに増した敵に対して引け腰になる貧乏神どもに、彼女たちは魂の奥まで凍らせんばかりの殺気を込めて言い放った。

「……全員、逃げ切れるとは思わない事ね」
「当然、奥に居る胸部に脂肪を溜めていたおっさんもですよ」
「ヒェッ??!!」

 猟兵という仲間の縁を越えた、同じ痛みを得た二人。その心は今、一つとなっていた。
 女性のあらゆる意味で柔らかい所を踏み荒らした罪は、あまりに重い。
 彼女たちが再度踏み出したのちの連撃は、貧乏神たちに当然の報いとして降りかかっていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「なるほど、『超・貧乏神』。しかし、色々なオブリビオンが居るのですね(汗)。」
【WIZ】で攻撃です。攻撃は【フェイント】を掛けつつ【先制攻撃】で【高速詠唱】した【破魔】の【属性攻撃】の【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『超・貧乏神』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「とりあえず、オブリビオンは骸の海に帰りなさい。」「しかし、商人の用心棒が貧乏神の時点で終わっている気が・・・。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 悪徳商人は唯一の逃げ場であり、逆転の一手となる屋根裏へと逃げのびていた。

「ひぃぃ~~~まさかこれを使う事になろうとは……ひぃっ、ひいっ……し、しかし、お役目果たせぬよりはずうっとマシじゃ……!」

 屋根裏に上がった悪徳商人は、緊急脱出用の凧を取り出す。そうして、金塊の大半を屋根裏に置き去りにし、残りを体に巻きつけた彼は屋根へと出て凧とともに空に舞いあがった!

「ぶへっ、ひゃはははは!!これで!これでもう誰も邪魔はでき――ぬうぅぅぅ~~~~っ?!」

 脱出成功の宣言をあげようとしたその瞬間、冷たく煌めく魔法の矢が凧を破砕!
 制御を失う悪徳商!自身を受け止めさせるため、落下地点に貧乏神たちを召喚!
 貧乏神、避ける!悪徳商、地面に衝突!且つ、埋没!!

「……あなたたち、その人の用心棒って事だったよね?」

 魔法の矢の出所であり、一連の流れをしっかり見てしまった火土金水・明は呆れたような表情で訊ねる。

「私たちだって、高所から降ってくる太ったおっさんを受け止めたくは、無い!」
「しかも私たちはそう、超・貧乏神!裏目裏目の貧乏くじはどんどん引いてもらうに限る!」
「……な、なるほど?色々なオブリビオンが居るのですね……でも、主を見捨てたからと言ってあなた方を見逃すわけじゃないわ。とりあえず、オブリビオンは骸の海に帰りなさい!」

 気を取り直し、明は七色に輝く杖を構える!貧乏神たちも木の杖を構え、互いに戦闘の意識に切り替わった!

「ヒャッヒャッ!魔法使いなら、頭を狙おうか!さあ、貧すれば鈍する!頭も心も、貧しくなるがいい!」

 貧乏神たちが光線を放つ!……が、光線が収まった時そこに明はいない!

「ぬぅっ?!残像!?」
「あっ!あっちだ!」

 別の位置に明を見つけた貧乏神たちは、狙いやすい場所に駆ける……が、それこそが明の狙い!
 貧乏神たちが集まった瞬間を狙って、再び残像を残し掻き消える明!
 思わず、明を探そうと貧乏神たちは足を止める……そう、一か所に狙いやすくまとめられてしまったことに、彼らは気づいていない!

「我、求めるは、冷たき力」
「ぬぅっ?!そっちか!?」
「いま私を見つけたって、もう遅いわよ!」

 大量の氷の魔法の矢が、広範囲に展開!貧乏神たちを取り囲むようにひろがったそれが、容赦なく降り注ぐ!

「ギャアアアアアーーーー???!!」
「ま、まて、防御を固めればまだ……ヒッ?!」

 一度だけならば耐えきれるかもしれないという希望を持ったのも束の間、明の高速詠唱は二度目の氷の矢の弾幕を作り上げていた!
 再びの、貧乏神たち全員を襲う矢の嵐!破魔の力も付与されたそれが、貧乏神たちを射抜き、消し去っていく!
 最後の一矢が放たれた後、その場に残るのは氷の魔力の残滓だけ。そう、明は貧乏神たちを全て消し去ることに成功したのだ!

「……呆気なく感じたけど、これで終わりなのよね?」
「ヒッ……ヒィィ~~ン!!??おっ、終わりです!ワシの召喚できる用心棒はもうあれだけです!!いっ、命だけは!!命だけはぁぁぁ~~~~!!!に、二度も終わりたくないいぃぃ~~~ん!!」

 明が足元に目を向ける。そこにうずくまって命乞いをしているのは、悪徳商人オブリビオン。

「うーん……商人の用心棒が貧乏神の時点で終わっていた気が」
「ヒ、ヒェッ?!周囲が貧乏になればその分こっちに富が回ってくるからでずうぅぅぅ~~~!」
「……本当に呆れちゃう。役人さん達もこっちに来たし、ひとまず捕縛させてもらいますね」
「ひ、ひぃぃぃ~~~?!い、いやびゃああああ!!!」

 慌てふためく悪徳商人に、明は手を伸ばす。その手が触れた瞬間、悪徳商人は恐怖が閾値を超えてしまったのか泡を吹き……体に巻きつけていた金塊を残して、消え去った。

 一つの事件が、こうして幕を閉じた。いかに小物に見えようと、いかに呆気なく感じようと……たしかに猟兵達は世界の憂いを一つ摘みとることに成功したのだ!
 だが、当然これが終わりではない。怒りも呆れも、全て報われるのはもう少し先の話だと猟兵達は知っている。
 その時を迎えるためにも、彼らは次の戦場へと向かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月20日


挿絵イラスト