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エンパイアウォー㉒～拠点奇襲任務

作者：朔吹雪

●忍術合戦、現場は不穏な空気
「皆さん隕石落としの件についてはお疲れさまです」
　歴史の本を流し読みしながらユウナ・フリューアー（霊集いし氷の竜・f07259）は前に立った。
「そのお陰で徳川家の忍びである服部忍軍が風魔小太郎に仕える風魔忍軍の拠点を突き止めることに成功したそうです」
　おめでとうございます。パチパチと心にも無いような拍手をして、また説明を始める。
「服部忍軍は風魔忍軍を壊滅させるために拠点を襲撃するようです。皆さんにはその服部忍軍についていってもらいたいのです。別に服部忍軍が弱い訳ではありません。風魔忍軍相手の忍術合戦位なら勝てるでしょう」
　なら着いて行く必要無くないか？
「普通であれば、です。拠点には忍軍以外のオブリビオンもいる事が確認されました。このままでは返り討ちにあってしまうのです」
　では、簡単に今までの説明をまとめて作戦とは言い難いですが作戦の説明をします。彼女はやっと地図を広げた。

「まず、皆さんが同行するのは服部忍軍。彼らは着いた所で風魔忍軍との忍術合戦に。ただ、相手にはオブリビオンが複数味方に着いています。皆さんに相手どっていただくのはそっちになります」
　風魔忍軍の相手は服部忍軍がしているので猟兵はオブリビオンの相手のみで充分。
「余裕があるなら忍術合戦の手助けに入ってもいいでしょう。余裕があるなら、ですが」
　手助けに入らなくても風魔忍軍に負けるほど弱くはないからだ。
「では、転送にうつります」
　終始淡々とした口調で喋っていた彼女は本を横に置き、グリモアを起動した。

第1章 集団戦 『超・貧乏神』

POW   :    ドゥェッヘッヘ！　お前達の身体を貧相にしてやろう 【指定した肉体の部位を貧相にする光線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    どんな技術も、私の前では素人以下になるのだぁ！ 自身に【金属を高速で腐食させるオーラ】をまとい、高速移動と【指定した技能のレベルを０にする光線】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    貧すれば鈍する！　頭も心も貧しくなるがいい！ 【知識を奪う光線】【記憶を奪う光線】【性格を下劣にする光線】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。 イラスト：仁吉 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

●戦争を止めろ
「......命の取り合いなんてふざけてる。これ以上の蹂躙は許さない」
　忍軍が相手の方へ攻めているのを後ろで見ている鈴木・志乃（生命と意志の守護者達・f12101）――現在は昨夜という彼女の大親友とメインの人格を交代している――は呟いた　
。この戦争を早く止めるため、彼女は忍軍を壊滅させに来たのだ。
　忍軍が交戦を始めたのを確認し、彼女の体が光に包まれる......
「戦争を起こすそのふざけた意思を......消し飛ばす」
　物理的な肉体が消え、思念体となった彼女はオブリビオン達の方へ向かっていった。

　辺りには器物やらなんやらが散乱し、相手の戦力を強化しているオブリビオン達がいる。そんなオブリビオン達の周りで突如浮き出す器物と現れた光の鎖。
　器物が飛んで当たり、動きが封じられた所で鎖に縛られ捕獲される。
　だがそこまで一方的にやられるほど彼らは弱くないのだ。強くもないけれども。一斉に謎の光線を放ったのだ！この光線は当たった者の一部の部位を貧相にするとこう......なんとも言えない光線。
「この体、物理攻撃はつかえないけれど......こういうこともできるんですよ？」
　光線の着弾場所を見切り、光の鎖で直ぐに受ける。更にその鎖を返すようにカウンターが炸裂！
「戦争が長引かれると困るの......悪いけど早めに退場して下さりませんか？」
　奥からわらわらとどんどん湧いてくるオブリビオン、それらに吐き捨てるように語りかけ。光の鎖でまた一部蹴散らし、今は一線を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

●イエーガーチャンネル始動！
「うぅ、今回のオブリビオンは相手を弱らせる事に特化してるんですね......か、関わりたくない......」
　目の前の拠点を見据えながらルク・フッシー（ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346）は少し肩を震わせる。その隣にはもう一人......
「忍者合戦！？絶対カッコいいやつじゃなーい！撮りたーい！」
「レ、レパルさん？！」
「あ、そうだ！撮ればいいじゃない！そうね！撮ればいいのよ！」
　レパル・リオン（魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574）が指を鳴らせば出てくる舞台装置。生放送するための設備も、巨大モニターも出現した。
「レ、レパルさーん......」
「ほら、ルクちゃんも一緒に！」
　ルクの手を取り、どんどん出てきてこちらへ向かってきているオブリビオンへピシッっと指を指す。ぎこちないがルクも一緒にそうする。さあ戦闘開始の合図だ！
「「さあ！放送開始よ！(です！)」」
　舞台装置やモニターがその瞬間光りだす。モニターには叫んだ2人とオブリビオン、また別の所で戦っている忍軍の姿が映り始めた。

「忍軍の邪魔をする怪人貧乏神！覚悟なさい！ていやああぁぁ！」
　近づいて来ていたオブリビオンに彼女はドロップキックを食らわせる！その効果は案外絶大で、後ろから来ていた敵もドミノ倒しのように崩れていく！
　だが更に後ろから来ている相手までは届かず、お返しかのように光線3連撃が彼女へと飛んでいく！
「当たらないわ！」
　簡単に避けるとモニターの方に見える歓声。そう、これは生放送である。猟兵や忍軍が活躍をする度歓声が飛び、苦戦をすれば応援の嵐。その声を聞いてまた強くなる。どう転んでもオブリビオン達が苦戦するようになるのだ。
「じゃあ、後はお願いね。ルクちゃん」
「はい......関わりたくないとは言いましたけど、そうも言ってられないので......ここからは僕が相手です！」
　啖呵を切った彼にまた賞賛の歓声が飛ぶ。
　―――彼の周りには桜の花弁が舞っていた。

　前に見える軍隊。それはオブリビオン達の軍隊。本能で猟兵を感じとり、忍軍を置いて出てきた存在。つまり容赦等いらない。
「この先に進みたかったら僕を倒してからです！」
　倒されるつもりはありませんが！
　辺りに舞い散り降り注ぐ桜の花弁。それは彼の武器を変化させた塗料の花弁。相手の視界を防ぎ、確実に広範囲にダメージを蓄積させる凶悪な武器！
　先程の光線で消し飛ばしてしまおうとする輩もいたが、操作できる花弁は盾となり、防がれる。
　その活躍でまたコメントが歓声に包まれる。もう突撃してきているオブリビオンも少なくなっていた。
　　
　最後は2人で全て倒した。その後、お互いの健闘を称えハイタッチを交わしたらしい。

　生放送で映っていたのは猟兵達だけではない。服部忍軍も映っていたのだ。
　強化された忍軍はもう少しで忍術合戦を勝利で締めくくるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●人語る者、幸運の担う者の傀儡なり
　貧乏神が戦っている相手。それは明らかに人で、考えながら肉弾戦を行って来ている。
　―――だが何かが違う、何かおかしい。
　まず光線を放っても感触がない。どれだけ知識を記憶を奪い、性格を改変させても動じないどころか効いていない。更に猟兵であったら本能で何と無く分かるのだが......全く何も感じない。
　つまりこれは猟兵か何かが手向けた謎の人形か何かである。それは薄々分かっていたが......操っている人物を探す前にやられるかも知れない。
　後ろで戦いを見守っていた貧乏神に、腕が襲いかかってきた。理解するまでもなく倒された彼の代わりに残った奴らは瞬時に気がついた。
　―――やはり只の人形じゃねえか！

「これはなんともラッキーではない敵！イヤらしい攻撃多いな！」
　相手の攻撃を聞いたフィロメーラ・アステール（SSR妖精：流れ星フィロ・f07828）は率直に思った。
　あまり直接戦いたくないぞ！正面から対峙するのは避けていくか！
　魔法で隠れ、フェアリーの小さな体躯も生かし、誰にも気づかれないまま彼女は戦場入りしたのだ。
　彼女が考えた策は『UCで無機物を魔力生命体へと変換、自身が持つ様々な技能を駆使し人に見せて倒す』だった。
　彼らがたどり着いた真実とは近からず遠からずといったものか？
　彼女が操作する魔力生命体の無機物戦士に光線を当てても意味などない。無機物戦士は猟兵ではない、遠くで操っている彼女が猟兵である。隠れている彼女の事が分からないのならばこの勝負、勝敗等もう決まっている。

「やっぱりあの敵たちはラッキーじゃなかったな」
　さーて、次のラッキーな人はどこかなー
　そう言って戦場を後にした彼女。遠くでは先ほどまで操っていた戦士、それに蹴散らされた貧乏神達が残っていた。もう出てくる者もおらず、ここに居着くオブリビオンは全て掃除できただろう。
　
　同じ頃、服部忍軍の放った手裏剣が最後の風魔忍軍の1人の頭へと刺さった。
　勝敗は決した、拠点は制圧。さあ今......
　勝ちどきをあげろ！

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月20日