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エンパイアウォー㉖～お主もワルよのぉ

作者：ヨーシャ

●エンパイア捕物帳
　徳川埋蔵金を手に入れて、幕府軍は安定した進軍ができるようになった。これで、大悪災・日野富子による食料の買い占めの影響はなくなったと言える。
　だが、物事はこれで終わりではなかった。買い占めには原資が必要で、その原資はどこから来ているのか、ということである。そんな中、幕府の役人が日野富子の放った悪徳商人オブリビオンの情報をつかむことに成功したのである。今、時間を与えればこの悪徳商人は逃亡してしまうだろう。そのため、北町奉行高木主税に悪徳商人を捕らえるべく主命が下ったのである。
　主税は与力や同心たちに命を下す。
「悪徳商人の屋敷を取り囲むのだ。太鼓の合図を以て踏み込むぞ」
　そして太鼓の合図と共に屋敷に踏み込む役人たち。その眼に真っ先に入ったのは、異国の少女剣士たち。そう、悪徳商人は用心棒を雇っていたのだ！
　悪徳商人はにやりと笑いながら勝ち誇ったように言葉を紡ぐ。
「こうなることは見え見えでしてな。こうやって用心棒を雇っていたのですよ。それ、少女たち、やってしまいなさい！」

●グリモアベースにて
「大悪災・日野富子の手下で、物資の買い占めに動いていた勢力の情報をつかみました」
　サムライエンパイアで買い求めた緑茶を飲みながら、マリアは語り始めた。
「悪徳商人が雇っていた用心棒を倒せば、悪徳商人を捕縛することができるでしょう」
　なんでも、雇っている用心棒は異国の少女剣士たちで、空中を蹴ってジャンプしたり瞬間移動から切りつけてきたり「ユーベルコードの属性や特性を奪い取る攻撃」をしてきたりするらしい。このままでは、幕府の役人たちが一方的に倒されてしまうだろう。
「だからこそ、助けに行ってほしいのです。皆様が、無事帰ってこられるよう、祈っております」
　そう言ってマリアは十字を描いて祈りを捧げると、猟兵たちを送り出したのであった。

第1章 集団戦 『異国の少女剣士』

POW   :    跳躍飛翔 空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。 SPD   :    縮地法 【瞬間移動】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【至近距離からの斬撃】で攻撃する。 WIZ   :    憑呪宿奪 対象のユーベルコードに対し【その属性や特性を奪い取る斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。 イラスト：ちーと 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　悪徳商人の雇った用心棒の少女が現れた途端、幕府の役人たちの表情は焦りも混じった険しいものになっていた。だが、馳せ参じた三人の猟兵の登場によって役人たちはほっとしたようだ。その役人のリーダーである与力が口を開き始めた。
「では、こちらも。猟兵の皆さん、やっちゃってください！」
　その声と共に、ヴァンパイアと聖者の血を引く峰谷・恵（神葬騎・f03180）が役人たちとは別方向から乱入し、用心棒の少女たちめがけて全武装の手痛い一撃を浴びせていく。不意を突いたこの一撃に、数人の少女たちが倒れることになった。
「用心棒に送られた女の子に囲まれて鼻の下伸び伸びだね」
　恵は、少女たちに囲まれる悪徳商人に悪態をつくことも忘れない。
　それでも、まだ十数人の異国の少女剣士たちが残っている。雇われた用心棒である彼女たちは、瞬間移動の技を使ってくるなかなかの強敵だ。だが、二天堂・たま（神速の料理人・f14723）は敵の手の内を知り尽くしていて、ボビンケースの鋼糸の辺り一面に張り巡らせるという作戦に出たのだ。そんな中、一人の少女が瞬間移動しようとしてその鋼糸に突っ込んでしまう。ズバリ、たまの作戦通りである。
「瞬間移動には致命的な弱点がある……それを利用したまでよ」
　たま曰く、瞬間移動の弱点とは「移動先がばれる危険」なのである。初見ならまだしも、手の内が知られている上に同じ技を持つ相手には通じにくいのだ。もちろん、鋼糸は高い箇所にも張り巡らしてある。ましてや、ここは屋敷の中だ。そうなると、迂闊に飛び上がることもできないわけである。
「正直、悪徳だろうとなんだろうとどうでもいい。それは幕府の連中が何とかするだろ。俺が言いてぇのは一言だ。斬る場所とモノ、提供してくれてありがとよ！」
　手の内を封じられた異国の少女剣士たちに遠呂智・景明（いつか明けの景色を望むために・f00220）が斬りかかる。鋼糸を切らないように慎重に立ち回りながら、少女剣士たちとつばぜり合いを繰り広げていく。少女剣士の一人が油断した瞬間、景明の刃はその少女剣士に斬撃を与えていた。
　怯む少女剣士にさらなる追い打ちが襲いかかる。恵の放つMCフォートの一撃である。動けない敵ゆえ、恵は一人一人狙ってMCフォートの砲撃を打ち込んでいく。ここは屋内だが、建物が壊れても周りに被害を出さなければそれでよいとばかりに恵は攻撃の手を止めない。
　一か八か、たまめがけて少女剣士の一人が接近を試みる。だが、その点もたまはぬかりなかった。ケットシーの肉球によるカウンターの一撃を食らわせたのである。
「少女に遠慮は無いのかだと？　ならじきに３ケタの年齢になるワタシへの遠慮は無いのか？」
　冗談も交えつつ、三人の猟兵の立ち回りによって用心棒の少女剣士たちは残り二、三人ほどとなった。あと一人か二人の猟兵で完全に倒してしまうことが可能だろう。幕府の役人たちに見守られながら、猟兵たちは悪徳商人オブリビオンと用心棒の少女剣士たちとの戦いを繰り広げていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　少女剣士たちも残り二、三人ほどに数を減らしたが、それでもオブリビオンはオブリビオン。幕府の役人たちの手には負えない強敵なのだ。
「粗方倒した後に来るのは申し訳ないですがその分キッカリ解決を狙いますかっと」
　そんな中に両手に千両箱を持った日月・獏ノ進（陽気な奇策士・f00422）がひょっこりと現れた。もっとも、この千両箱は悪徳商人のため込んでいたものである。それを見るなり顔を赤らめて怒りをあらわにする悪徳商人の姿がそこにあった。
「その千両箱は、日野富子様より賜った軍資金なのだ！　待て、さわるでない！」
　悪徳商人は獏ノ進を指さすと、直ちに少女剣士たちが獏ノ進を追い始める。
　そこに白い髪のオラトリオ、鈴木・志乃（生命と意志の守護者達・f12101）が助太刀に現れたのだった。もっとも、今は別人格である昨夜が主導権を握っているのだが。
「遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ！　我こそは心願成就の神子、昨夜なり。同志徳川家光の命により貴殿等を成敗致す！」
　朗々と名乗りを上げる昨夜。志乃の技を借り、最大時速五二〇〇キロで飛翔する。ほぼ瞬間移動で少女剣士の前に立ちはだかると歌唱の衝撃波で少女たちにダメージを与えていく。獏ノ進とて負けてはいない。手持ちのアサルトライフル、日月専用突撃銃から弾幕を放ちつつ魁隠を投擲し遠隔の計を使って斬りかかる。少女剣士も手持ちの剣で巧みに応戦するも、そこは猟兵の方が上手だった。最後の一人を二人で協力して倒すと、誰も守る者のいなくなった悪徳商人がそこに残ったのだった。すかさず獏ノ進と昨夜は役人たちと協力して悪徳商人を捕縛すると、悪徳商人は塵一つ残さず消滅してしまった。
「さて、商人も捕らえたことですし、残ったお金は全てご公儀にお返ししますか」
　獏ノ進は悪徳商人の屋敷で見つけた千両箱を幕府の役人たちに引き渡し、残りの財産のありかも役人たちに教えたのだった。結果、悪徳商人が日野富子より託された財は全て幕府の収入となったのである。これなら、しばらく補給には苦労しなさそうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年08月09日