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エンパイアウォー⑯~跳梁跋扈風魔伝

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎

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 灯明の火が、屋敷の中に異形の影を落とす。
 およそ人とは思えぬその影の主こそ、戦国にその者ありと謳われた忍者の中の忍者。
「遂にこの屋敷にまで辿り着くか。猟兵とはなかなか侮れぬものよ」
 風魔小太郎。
 生前は天下無双の化身忍者、骸の海に墜ちた今では六魔将が一角たる百面鬼。
「だが信長様に捧げると誓ったこの身命、そう容易くは潰えさせてなるものか。
 我が屋敷に踏み込む者はことごとく討ち果たし、その首を信長様に献じてくれよう」
 不意に灯火は掻き消え、あとは闇の中にて百の貌が嗤うのみ。

 ☆ ☆ ☆

「奮戦、大義である。汝らの活躍により、遂に風魔小太郎の居所が暴かれた」
 ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)は誇らしげに微笑んだ。
 恐るべき隕石落としの術を操る百面鬼を討てば、この戦は大きく前進することになる。
 それだけに何としてでもこの好機をものにしたいところだが、一筋縄ではいかない。

「風魔小太郎が汝らを待ち構えているのは、『風魔忍軍の忍者屋敷』である。
 いわば敵の本陣の只中に踏み込むこととなろう。数多の罠が待つと考えるべきだな」
 落とし穴や釣り天井、突然飛び出す槍や手裏剣といった仕掛けだけではない。
 最も注意すべきなのは屋敷中の至るところに仕込まれた「どんでん返し」だろう。
 何の変哲もない壁や床や天井が裏返り、そこから風魔忍軍の伏兵が奇襲を掛けてくる。
 これは猟兵達が風魔小太郎と対峙している時であってもお構いなしだから厄介だ。
「忍軍自体の戦闘力は大したことはないが、何しろ今回の敵は百面鬼・風魔小太郎だ。
 戦闘中に動きを邪魔されるだけでも脅威となろう。雑兵への対策もしておくべきか」

 加えて、風魔小太郎はその俊敏さを最大限に活かしてユーベルコードを放ってくる。
「こちらが先手を取るのはほぼ不可能。まずは敵の攻撃を確実に捌くことを考えよ。
 必ず反撃の機会はある。先制攻撃に対処し、その上で渾身の一撃を叩き込むがいい」
 容易には撃破しえない難敵だが、各々の猟兵が全力を尽くせば勝機はある。
 そう言ってツェリスカは片目を瞑り、猟兵達をサムライエンパイアへと送り出した。


滝戸ジョウイチ
 今回マスターを務めさせていただく、滝戸ジョウイチと申します。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 本シナリオは、前述の通り通常より厳しめの判定となります。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キア・レイス
アドリブ共闘OK

風魔小太郎は待ち構えている、戦闘前に屋敷の外で下準備。
【俊鋭感知】を発動させ、罠と伏兵の位置を頭に叩き込む。
「その計略、利用させてもらおうか」

罠と伏兵は回避して風魔小太郎の元へ突入。
風魔小太郎の先制攻撃は、追いかけてきた伏兵達の中に身を翻すことで回避する。
【俊鋭感知】を発動させ続け敵の位置と行動を把握、自身の立ち位置と風魔小太郎の間に伏兵が入るように立ち回り風魔小太郎の攻撃が伏兵を巻き込むようにさせれば、攻撃の威力や速度が落ち敵の総数も減らせる。
風魔小太郎が伏兵を巻き込むことを躊躇ってくれると楽だが…
乱戦にできれば罠は攻撃手段になる、適時発動させ敵のみに掛からせてやればいい。


ユーイ・コスモナッツ
道中の罠は【流星の運動方程式】で強引に突破

風魔小太郎対策は……
実家から持ち出した全身甲冑を着用していきます

忍者の武器は
隠匿性を重視するがゆえに、
小ぶりだったり、
普通の道具に似せてあったり……

つまり純粋な武器に比べて、
殺傷力の点では劣るということを、
サムライエンパイアの戦いを通して学びました

金属の鎧で全身を固めれば、
少なくとも一撃で致命傷を受けることはないはず

兜はあえて外していきます
一番の急所である頭部を無防備にすることで、
攻撃を一点に誘う作戦です
狙いが分かっていれば、
「盾受け」「武器受け」で防ぐこともできる!

そうして攻撃を凌いだら、
「シールドバッシュ」で体勢を崩して、
そこに反撃を叩き込みます



グリモアベースから転移し、風魔小太郎が待つ忍者屋敷へと突入した猟兵達。
無数の罠が仕掛けられた回廊を強行突破しつつ、皆一様に屋敷の異様さに気付き始めた。
どういう仕掛けになっているのか、屋敷の間取りがあまりにも外観と違いすぎる。
この屋敷そのものが、侵入者を捉えて逃がさない巨大な罠だということなのか。

「――三秒後! 右の壁から槍!」
「避けます! 掴まって!」
キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)の予言通りに壁から突き出す槍。
だがそれより一瞬早いタイミングで反重力シールドが加速し、紙一重で切っ先を逃れた。
ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)は二人を乗せた盾を巧みに操り回廊を進む。
「我が『俊鋭感知』は既に罠と伏兵の位置を捕捉している。このまま後続を先導しよう」
「はいっ! 強行突破なら私に任せてください!」
「頼むぞ。危険な罠は引き続き伝える」
範囲内の地形や敵を正確に把握可能なユーベルコード『俊鋭感知』を持つキア。
機動力に優れたユーイが彼女と共に先行し、後続の危険を減らすのが猟兵側の作戦だ。
いわば偶然共闘することになった間柄だが、二人は呼吸を合わせ罠を突破していく。
「床から伏兵! この位置では躱せない!」
「やむを得ません、轢きます!」
裏返る床から飛び出した風魔忍者は、哀れにもシールドの底面に粉砕されて床下に落下。
その後もあえて罠を発動させることで位置を暴きつつ、二人は敵の本陣へ向かった。

――そして。
「敵ながら見事なものよ。風魔の粋を極めたこの忍者屋敷、易々と踏破しようとは」
篝火が燃える板張りの大広間に鎮座する異形を目にし、ユーイはシールドを止めた。
幾つもの面。幾つもの腕。間違いない、百面鬼・風魔小太郎だ。
「だがここまでよ。信長様のため、我が計略と風魔忍法の前に死ね!」
立ち上がる風魔小太郎。その髑髏の面の瞳が、一斉に奇妙な光を宿す。
それを合図に、文字通り四方八方の仕掛け扉から風魔忍者が現れ、二人に飛びかかる。
「これぞ風魔総掛かりの陣! そして受けよ、風魔忍法『六道阿修羅面』!」
反重力シールドを盾として装備し直したユーイと銃を構えるキアに、風魔忍法が迫る。
阿修羅とは戦神のこと。まさにその名のごとく、六本の腕が放つは圧倒的な破壊。

「――計略と言ったな。ならばその計略、利用させてもらおうか」
だが、キアは動揺することなく立ち位置をずらした。ただ回避するだけの動きではない。
彼女の『俊鋭感知』は今この時も発動している。一斉に迫る伏兵の動きすら掌の上。
「お、お頭ぁぁぁぁっ!?」
「なんと、我が配下を盾にするとは、小癪な!」
風魔忍法『六道阿修羅面』は元々、味方を巻き込むことを前提とした技である。
だがその特性が仇となったか、巧みな誘導により吹き飛ばされるのは風魔の者ばかりだ。「……味方を巻き込むのを躊躇ってくれると楽だったが」
「生憎だが、我が配下は既に命を捨てたも同然! 今更惜しむものなど有りはせぬ!」
多くの部下を自ら手に掛けながら、なおも小太郎はその攻撃を緩めはしない。

だが目の前に、先祖伝来の騎士甲冑を着込んだユーイが立ちはだかった。
「仲間の命を使い捨てて悪びれもしないその態度、騎士として見過ごせません!」
「異国の騎士が、忍びに道理を説くつもりか!」
六道阿修羅面。その怒濤の連撃が、味方をも引き裂きながらユーイを襲う。
そのうちの一撃が、ユーイの頭――鎧を纏っているにも関わらず剥き出しの頭部へ迫る。
「戦場で兜を忘れるとは、騎士というのも迂闊なものよ!」
「敢えてです! そして読み通り狙ってきた――その動きさえ分かれば!」
胴の守りは鎧に委ねる。風魔忍者達の攻撃を受けきり、致命傷さえ貰わなければいい。
守るべきは頭、ただ一点。風魔小太郎が振り下ろした巨腕を凌いだ先に勝機がある。
ユーイは渾身の力で盾を突き出した。反重力装置が生んだ斥力場が腕の軌道を逸らす。
「キアさんっ!」
「任せろ!」
小太郎が体勢を崩したその瞬間、キアのライフルが放った弾丸の雨が打ち付ける。
被弾で怯んだ隙に、シールドで腕を跳ね上げたユーイがクレストソードで追撃を放った。
戦国最強の忍びと謳われた風魔小太郎への最初の一撃。全てはここから始まる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アララギ・イチイ
(屋敷を)燃やしちゃ駄目?…駄目よねぇ

罠対策
周囲の【情報収集】、【罠使い・物を隠す】で罠位置を想定、【だまし討ち・暗殺】され辛い場所を移動、奇襲された場合、【咄嗟の一撃】の【カウンター】対処(アックス装備

風魔戦

戦闘人形達を【早業・ダッシュ】でボスに攻撃しつつ【捨て身の一撃】で突撃、短期戦でボスを仕留めようとする行動の様に見せかけ、敵の中心で周囲を巻き込んで自爆の【範囲攻撃】(同時に私も爆発物系武器を【一斉発射】で牽制、なお油断せず周囲警戒

【選択UC】使用
霊達の動きをシールドシステムの観測機器も併用(爆発物の影響対策)で【見切り】、UCで面制圧攻撃、支配権を奪取した霊でボスに【捨て身の一撃】攻撃



「この屋敷ごと燃やしちゃ駄目? ……駄目よねぇ」
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は、ぼやきながら廊下を進む。
彼女にしてみれば、屋敷の中で戦うこの作戦はまどろっこしいことこの上ないのだが。
仮にもここは風魔が幾重もの罠を仕掛けた館。火など放てば何が起こるか分からない。
「仕方ないわねぇ。この鬱憤は、親玉相手に晴らしましょ」
先行した猟兵により、屋敷内の罠や伏兵の場所はある程度あぶり出されている。
あとは罠を使う側の視点で具体的な位置を特定し、奇襲を避けるよう移動すればいい。
風魔忍者による数度の襲撃を難なく凌ぎ、アララギもまた風魔小太郎の間に辿り着いた。

「おっ待たせぇ」
暢気に挨拶しながらアララギが顔を出すと、そこはまさに乱戦の真っ只中だった。
その姿を目ざとく見つけた風魔忍者達が、躊躇うことなく飛びかかってくる。
「誰だか知らんが、とにかく死ねぇ!」
「はいはいっと」
二体の戦闘人形、近接型のフギンと射撃型のムニンが敵の攻撃を受け止めた。
そのままあっさりと忍者達を退けつつ、部屋の中央で待ち構える存在を見やる。
風魔小太郎。既に手傷を受けているとはいえ、容易く突破できる相手ではなさそうだが。
「このままコッチが先制……ってわけにはいかなさそうねぇ」
「笑止! この『我ら』風魔小太郎を出し抜こうなどとは!」
不意打ちでフギンとムニンを接近させるより速く、小太郎の周囲に奇怪な影が浮かぶ。
風魔忍法『死鬼封神面』。現れた影の一体一体が、歴代の風魔小太郎の霊なのだ。
霊それぞれが生前に匹敵する身体能力を持ち、対処困難な攻撃を仕掛けてくる――。

「――さて、試作品だけど上手に機能するかしらぁ?」
だが、追加武装コンテナから放たれた干渉端末『ソウルリバース』が歴代風魔を止めた。
その効果はただひとつ。効果範囲内に召喚された存在の、コントロールを奪取すること。
敵が強力な召喚を行うのなら、その力をそのまま奪って相手にぶつけてやればいい。
「ほんとはフギンとムニンでやるはずだったけど改めて、全員突撃ぃ~!」
アララギの号令と共に、歴代風魔が次々と百面鬼に向かって捨て身の特攻を仕掛けた。
「貴様、我ら風魔の血を、こんな……こんな!」
風魔小太郎が呻く。面で隠れて見えないが、その顔は屈辱で歪んでいたに違いない。  

成功 🔵​🔵​🔴​

セルマ・エンフィールド
接敵前の屋敷を進んでいる時、あるいは髑髏の面の瞳が輝いていない少しでも余裕のある時に『聞き耳』や『殺気』を『第六感』で感じ取ることで、伏兵の所在を察知しておきます。

風魔小太郎の攻撃は距離を取り格闘の間合いから逃れることを最優先、少しでも手数を減らしましょう。無理に逃れたことで態勢が崩れ忍具を避けられないときはフィンブルヴェトでの『武器受け』あるいは袖口に隠したナイフの『投擲』で『武器落とし』で防ぎます。

場所を察知していたどんでん返しに誘い込まれ奇襲を受けたなら、その瞬間に【絶対氷域】を発動、氷像と化した風魔忍軍を盾に利用し、冷気で僅かでも動きが鈍った敵を氷の弾丸で撃ち抜かせてもらいましょう。



霊体が次々に炸裂し、部屋中に激しい音と衝撃波とを撒き散らす。
一連の攻撃で小太郎は少なからぬダメージを受け、配下も大きく数を減らしていた。
「とはいえ、まだ伏兵としては潜んでいるのでしょうが」
セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)が警戒を緩めることはない。
僅かな物音や気配さえ逃さぬよう細心の注意を払いつつ愛銃フィンブルヴェトを構える。
これまでの戦いを見るに、風魔小太郎の近距離での手数とスピードは圧倒的だ。
狙撃手であるセルマにとって、懐に飛び込まれての肉弾戦はなんとしてでも避けたい。
格闘ではなく銃の間合いで戦うことを最優先に、一定の距離を保ちつつ攻撃を――。

「鉄砲などでこそこそと! この風魔小太郎が鉛玉ごときで死ぬものか!」
「やはり見逃してはもらえませんか」
小太郎が明確に自分へ向けた攻撃の意思を見せたのを感じ、セルマは内心で嘆息した。
とはいえ、狙撃手を放置しないというのは戦場の鉄則だ。自分が敵でもそうするだろう。
牽制として数発撃ちながら慎重に距離を離す。不用意に罠を踏んではどうしようもない。
だが当然と言うべきか、牽制程度の射撃では百面鬼を傷つけるには至らない。
「鉛玉は効かぬと言った! 食らえ風魔忍法『六道阿修羅面』!」
風魔小太郎の髑髏面が輝き、速度と手数を増した嵐のごとき連撃がセルマを襲う。
強引に距離を詰めて、一気に勝負を決めるつもりか……いや、それだけではない。
「私を伏兵の罠へと押し込み、身動きが取れなくなったところを叩くつもりですか」
セルマが冷静に呟いた直後、背後の壁と床下から同時に風魔忍者が飛びかかってきた。
恐らくは初めから、ここに猟兵を誘い込んだ時点で同時攻撃を掛ける手筈なのだろう。

「とはいえ、自ら『絶対氷域』へ飛び込んできたのです。利用しない手はありませんね」
直後。首尾良くセルマに肉薄したと思われた忍者達が、不意にその動きを止めた。
絶対氷域。彼女の周囲に展開された超低温の世界が、忍者を一瞬で氷漬けにしたのだ。
その氷像を盾として六道阿修羅面を防いだセルマの銃口が、真っ直ぐ獲物へ向かう。
「言いましたね、鉛玉など効かないと。ならば氷の弾丸でも同じことが言えますか?」
低温で動きを鈍らせた小太郎の体を、氷結弾が容赦なく撃ち抜いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リグ・アシュリーズ
軍勢を真正面から防ぐ手立ては私にはないわ。
私の武器は機転。賭けに出ましょう……!

開幕と同時、黒風を纏って敵へ全力疾走。
壁の仕掛けから無尽蔵に出てくるなら、出てこれなくすればいい!
ある敵はどんでん返しの回る瞬間、反対側を小突いて元いた場所へ。
ある敵は身に纏う嵐刃で、仕掛けの回転部分をズタズタに。

大事なのはまともに相手せず、敵本陣へ駆け続けること。
足を深く斬ってすくませ、左右から来る刃で同士討ちを誘い、
狙うは小太郎、貴方の首のみ。
わかりやすい一太刀じゃ防がれる、だから。

雑に打ち込んだ黒剣を受け止めさせて肉薄し、
反撃が来る前に嵐の刃を一気に吹き荒れさせる。
刃を隠し持つの、貴方だけじゃないのよ……!



「我が忍軍を目減りさせればそれで勝てるとでも思ったか……!」
猟兵による、伏兵の消耗を強いる戦い方が予想以上に有効だったのか。
風魔小太郎は、百面鬼という名の由来となった面の一つを外して高々と掲げた。
「――風魔忍法『風魔頭領面』!」
そしてその面を握り潰すと同時、猟兵達は周囲の気配が再び数を増したことに気付く。
風魔一族が先祖から受け継いだ面を代償とし、風魔忍軍の軍勢を召喚する奥の手。
これによって屋敷内の忍者達を一気に補充し、再び数で圧倒しようというのだろう。

「これだけの軍勢を真正面から防ぐ手立てはないわ。賭けに出ましょう……!」
リグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)は召喚を確認すると同時に床を蹴った。
そのまま漆黒の風を纏いつつ加速、包囲される前にトップスピードで敵陣を狙う。
無尽蔵に湧く雑兵をいちいち相手にするわけにはいかない。狙うは大将首ただひとつ。

「我が懐に飛び込めば何とかなるという魂胆か? 者ども掛かれい!」
小太郎の指示により、屋敷中の気配が一斉に動くのをリグは直感的に理解した。
直後、踏み出した足が床に触れるのと同時に、近くの壁が回転して伏兵が出現する。
が、リグが仕掛けを小突いて再度回転させたことで、どんでん返しは元に戻ってしまう。
伏兵の忍者は壁の裏側で困惑していることだろうが、意にも介さずリグは疾走した。
「私の武器は機転。戦いを避ける戦い方もあるってこと!」
続く奇襲は先手を打って仕掛け自体を壊すことで無効化、その次は出現直後に目眩まし。
左右から同時に襲いかかる敵の間を縫って躱し、真っ直ぐに風魔小太郎を狙う。

「そんな見え透いた剣が、この百面鬼に通じるか!」
だが、突進の勢いを込めて振り下ろされた黒剣は、風魔小太郎の六腕に防がれる。
同時に四方から風魔忍軍が殺到。総出で動きを封じ、小太郎がとどめを刺すつもりか。
しかしそのとどめの一撃よりも、忍者達による拘束よりも、リグの一手のほうが速い!
「刃を隠し持つのは、貴方だけじゃないのよ……!」
黒風鎧装・嵐刃(ファントム・ゲイル)。身に纏っていた漆黒の風が瞬時に膨れ上がる。
それは黒い斬撃の嵐となって周囲の敵を一瞬で刻み、風魔小太郎をも切り裂いていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月隠・望月
風魔小太郎、忍者の中の忍者……間違いなく手強い。とても
だが、過去の存在には、負けない。わたしの故郷の現在と未来を、守らなくては

武器を構えて臨戦態勢を整えた上で、【第六感】をはたらかせながら、忍者屋敷を進もう。罠は可能な限り回避し、奇襲してきた敵は叩き斬る(【咄嗟の一撃】【カウンター】)
また、風魔小太郎の先制攻撃対策として、あらかじめ陰陽呪符を用いて霊力の防御壁(【オーラ防御】)を張って、おく

風魔小太郎の召喚する風魔忍者の攻撃は、まず【オーラ防御】で受け、続けて刀で敵を【なぎ払い】倒す
【敵を盾にする】ことで風魔小太郎の視界から姿を眩まし、敵の死角から【剣刃一閃】を叩き込もう(【暗殺】【早業】)



風魔小太郎。
およそ忍びの道を知る者ならば、戦国一と名高きその名を知らぬ者なし。
「忍者の中の忍者……間違いなく手強い、とても」
一人の忍として、里を束ねる頭領として、月隠・望月(天賦の環・f04188)は思う。
それはこの作戦に挑む前の予感であり、この目でその戦いを目にしての実感でもある。
その強敵が、サムライエンパイアにおける一つの伝説が、満身創痍で立っている。
猟兵達の度重なる攻撃を受け、その体に無数の傷を刻み込み、それでもなお。
「わたしが、行かなきゃ」
どんでん返しから奇襲を掛けてきた風魔忍者をカウンターで切り伏せ、望月は走った。
罠を回避し、伏兵を倒し、すぐそこにいるのに届かない距離をもどかしく感じながら。
それでも遂に望月は敵の首魁、百面鬼・風魔小太郎の元に辿り着いた。

「……我が風魔忍軍も、もはやこれまでか」
風魔小太郎はその六本の腕でそれぞれに得物を構えながら、望月に対峙した。
そして髑髏の面越しに無名刀を構える姿を 見つめ、やがて得心したように頷いた。
「その構え、見覚えがあると思ったが。月隠一族の者か」
「知って、いるの?」
「過去の風魔の中には、その時代の月隠と相対した者もいたというだけのこと」
多くは語らず、小太郎は無感動に己が被る髑髏の面を掴み、そのまま握り砕いた。 
風魔忍法『風魔頭領面』。一瞬で風魔の軍勢が全方位を包囲し、一斉に手裏剣を放つ。
躱す隙がない。被弾覚悟で押し通るしかない。そのための備えは既にしてきた。

望月は意を決して踏み込んだ。事前に仕込んだ陰陽呪符が手裏剣のダメージを抑える。
それでも感じる痛みを堪え、更に一歩進むと同時に周囲の忍軍を刀で薙ぎ払って一掃。
そのまま一足飛びに加速して、一直線に風魔小太郎の急所を狙う。
「まだ若いな、月隠の娘! そんなもので戦国最強たる風魔小太郎が破れるか!」
もはや満身創痍なのにも関わらず、死力を尽くして立ちはだかる風魔小太郎。
戦国最強との名乗りは伊達ではないのだろう。それを理解し、だが、それでも。
「今は戦国の世じゃ、ない。わたしと、あにさまと、故郷の皆が生きる現在だ」
直後に小太郎の六本腕が怒濤の連撃を放ち、哀れな忍は八つ裂きになって飛び散った。
だが、それは望月ではない。風魔忍軍の一人を使った身代わり。最後の賭けだ。
そしてその賭けに勝った。小太郎の動きにほんの一瞬の綻びが生まれる、
「わたしの故郷の現在と未来を、守る。過去の存在には、負けない……!」
剣刃一閃。死角から放たれた必殺の斬撃が、風魔小太郎にとどめの一撃を与える。
「……見事だ、月隠の。死人は過去に戻るとしよう……信長様、済みませぬ」
膝を突き、静かに倒れ伏す風魔小太郎。伝説の忍びの、これが最期だった。  

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月14日


挿絵イラスト