エンパイアウォー⑯~仮面の下の狂気
●風鳴る魔城
──風が鳴る。
───がたがたと家鳴りの音がする。
────天守に座す者が立つ。
─────暗闇から覗かせる仮面。
──────その面の下には何が在る?
●戦場へ
「皆様の助力もあり魔将軍の一人、風魔小太郎の居場所を突き止めました」
イネス・ガーランドは何時もより人の多いグリモアベースにて猟兵達に伝える。マップを写し指し棒で示すのは黒丸の付いたマーク。
「こちらに風魔が居城としている忍者屋敷があります。ここを攻め落とす事出来れば信長軍戦力は確実に削れることでしょう。しかし……」
これより往くは敵の本丸、忍者屋敷と呼ばれる所以がそこにあるのだ。
「……屋敷の中にあるのは数々の仕掛け、中でも回転扉が至る所に仕掛けられており、風魔の部下が奇襲してくる可能性が大きいです。あくまで雑兵の群……大した強さもありませんが、これの対処もしなければただでさえ難敵の風魔の相手は厳しいでしょう。」
更に風魔小太郎は猟兵達が動く前に先制を仕掛けてるらしい。風魔の一撃を如何に捌きその身に一撃を入れるのか…………。
「この二手に加え回転扉をどう対処するのか。ここが勝負の分かれ道となりますね。」
説明を終え一礼をするイネスは横にずれて猟兵達を見送る。
「無事のお帰りをお待ちしております。ご武運を」
開けられたゲートに潜っていく猟兵達を見て再度イネスは祈る。
「誰一人欠ける事無く生存を、そしてその手に、猟兵達に勝利を……」
グラサンマン
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
さて、どもうグラサンマンです。戦争ですね、オープニングにも記載した通り忍者屋敷には仕掛けがあります。回転扉から飛び出してくる兵士。そして必ず先制攻撃をしてくる風魔小太郎。奴の攻撃に対しての防御と反撃を、罠に対しての対処に成功しなければ状況は難しいものとなるでしょう。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『百面鬼『風魔小太郎』』
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POW : 風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD : 風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アマニータ・ビロサ
転移前に自身の親指を一本もぎ取っておき、転移と同時に部屋の隅へ投擲。
ボディが先制攻撃にヤられてる間、指を中心に設定UCを発動、壁床天井を這うように菌糸を展開し隠し扉を粘着力でロック。
見た目人間でも本質がキノコなので菌糸一本残ってればそこから子実体を精製して復活可能なのだ!
ヤられたボディはそのままUCの効果で毒胞子(呪殺弾)に変換して拡散(一斉射撃、範囲攻撃)、付着した胞子が菌糸を伸ばして苗床寄生(ハッキング、盗み攻撃)し寄生した対象の乗っ取りを試みます。
乗っ取りを耐えられても胞子そのものが猛毒(毒使い、呪詛)なのでその身を蝕むでしょう。
子実体がヤられる程に胞子はばら蒔かれ子実体が増殖します。
アマニータ・ビロサ(殺戮☆天使・f21109)が転移を終えると同時、くぐもった男の怒号を聞いた。それは怨念、執念の籠った怨嗟の声。
部屋の中に現れるは忍者刀を構えた忍びの群、アマニータが何かを投擲した瞬間、奴等の持つ刃が純白のドレスを着た少女を襲う。レースは剥ぎ取られスカートは斬り裂かれる。小太郎の持つ数の力…風魔忍法『風魔頭領面』によって呼び出された風魔忍者達によってなすすべもなく終わりになってしまう筈―――であった。
「ふふふふ……純白の天使の力、お魅せしましょう。先ず…一つ」
投擲によって放たれていたのは少女自身の指、解れるように分解され生まれるは無数の菌糸、壁、天井を這うように進むのだ。
『いかん…っ!開けぃっ!』
小太郎が気づき叫ぶにも遅く、蠢く菌糸は回転扉の隙間に入り込み粘着する。ガタガタと音を鳴らすのは中に潜んでいた忍、しっかりと固められた糸はまるで鍵を掛けられたかのようにびくともしない。
「二つ…」
そして今、一つの刃がアマニータの身体を貫いた。彼女の顔に浮かぶのは痛みでも死への悲しみでも無い、ただ微笑むだけ……刃がその身から引き抜かれ前のめりに揺れた瞬間、突如その身体、目、髪…全てが崩れて紫の胞子となる。
同時に粘着していた菌糸の一本がうねうねと動き一つの人間の形を作り始める、間もなく出来上がるのは先ほど分解して消えたアマニータ。
『おのれ小賢しいぃっ!……っ!なんだ…身体が上手く…っ!』
アマニータから拡散された胞子は強力な毒素を持った毒胞子、更に胞子から菌糸を伸ばして付着した衣類から体内へ侵入、寄生された忍達は意に反した動きを見せて同士討ちを始める。寄生こそ逃れた小太郎も思うように動けず面の下からアマニータを睨み距離を取る。
「ふふふ…斬れば斬るごとに胞子は蒔かれこの中を蔓延させるでしょう…」
小太郎は忍の群を戻し胞子の効果が切れる時を待つ、アマニータの一手は確実に忍頭の体力を減らした事だろう。
成功
🔵🔵🔴
梅ヶ枝・喜介
ついに尻尾を見せたな!風魔小太郎!
戦争と関係無い民草の上に隕石を落としたのは忘れちゃいねェぜ!
屋敷の中に居ることは分かってんだ!見つけ出してブッ潰す!
おれァこれでも怒り心頭でよ!
この猛りを思い知らせてやる!
木っ端忍者の軍団なんぞに構ってる暇はねえ!
刀も飛刃も切られるがまま!刺さるがままでいい!
あの忍者の頭領に一太刀食らわせられるまで持てば、それでいい!
手当たり次第に木っ端忍者をひっ掴み!力任せに回転扉にぶん投げて倒していくぜ!
不意討ちたァ忍者らしいじゃねぇか!
だが同じ扉は二度と使わせねぇ!
残りの面は!扉は何枚だ!
どんなに満身創痍でも!最後にゃテメーに一太刀浴びせに行くぜ!
待ってろよ風魔ァ!!
「屋敷に居ることは分かってんだ!見つけ出してブッ潰す!!」
その瞳に怒りを宿し屋敷内へと踏み込む梅ヶ枝・喜介(武者修行の旅烏・f18497)、転移前に聞いていた回転扉の存在は喜介も確認しているがそんなものは関係無いという勢いで屋敷内を突き進んでいく。
───阿呆め……
歩みを止めぬ少年の背後を一筋の剣閃が流れる。警戒もせずに通過しようとする者に嘲りの言葉を添えて……
「おれァこれでも怒り心頭でよ」
“なんだ貴様……っ!”
紅い雫が木製の床に染み込んでいく。ポタ……ポタ……と刀身から滴り落ちていくそれを忍は驚き見る事しかできない。恐れたのは斬られて尚ギラついた怒りの眼では無く……振り抜いた筈の一閃が止められ今尚動かせずにいる刀なのだ。
「この猛りを思い知らせてやる為にここまで来たんだ!木っ端忍者の軍団なんぞに構ってる暇はねえ!!」
戸惑う忍の首根っこを掴み、そこから出てきたのであろう回転扉に向かって投げつける。力任せに投げられ扉に激突する忍を振り返りもせずに足を進める。
小刀が肩を貫き苦無が腹に刺さる、血は流れど止まらぬ喜介が辿り着いた部屋の先には求めていた奴が居る。
『その傷だらけの身で己の前に姿を現すか……忍衆にさえその様子の貴様に何が出来る……?』
風魔小太郎がその巨体に似合わない速さを持って刀を構える喜介の首目掛けて鎌を振り抜く。
「戦争と関係無い民草の上に隕石を落としたのは忘れちゃいねェ……ムカつくからブッ潰しに来たが俺にはこれしかねぇ!!」
『むっ……!!』
それは瞬間的な判断だった、このまま猟兵の首を狩れば良い……その筈だったが同時に小太郎に向かって振り下ろされる斬撃と何よりその形相から放たれる殺気を感じて咄嗟に裏拳で喜介を吹き飛ばす。
『……他愛なし…………なんだと?』
刀ごと吹き飛ばした……小太郎の一撃は確かに手負いの喜介を倒すには充分過ぎる一撃だった。だがそれは逆も同じ、裏拳という手段に変更した彼に発生した僅かな隙を突かれその仮面の一つに剣閃によるヒビが入る。
「これだけは誰にも負けたくねェ…!…負けねェ……んだ……」
小太郎の背後、喜介は満身創痍で立ち上がるも力尽きてそのまま気絶してしまう。
この一戦、彼の力は十全に発揮できなかった。しかしこの一戦その一太刀は風魔忍者頭領の力を確実に削ぎ落とした事だろう。
苦戦
🔵🔴🔴
弥久・銀花
ほほう、カラクリ屋敷ですか。
いやぁ、一度カラクリ屋敷ってどうなってるのか見てみたかったんですよね。
ユーベルコードのワイルドエールで、玄関から敵に向かって屋敷を突っ走っていきましょう、もちろん壁や迎撃なども真っ直ぐ走って粉砕です!
オブリビオンの攻撃もワイルドエールで迎え撃ちます、きっと忍者なのですから色々な思いもよらない手が待ち受けているのでしょう。
なのでそこからもう壊します
それに屋敷の断面図とかを生で見るのが一番楽しいです。
「おじゃましまーすっ! ウオォォォーーーン!」
「ほほう、カラクリ屋敷ですか。いやぁ、一度カラクリ屋敷ってどうなってるのか見てみたかったんですよね」
そう呟くのは銀髪の人狼、弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)屈伸運動をしながら目の前の屋敷を見上げ獰猛な笑みを浮かべる。
「こういう所には狡猾な罠や思いもよらぬ手を使う忍者達が潜んでいるに決まっています。……ここは一つ陽動も兼ねて行きますか」
準備運動も終わり構えをとる、表情に滲むのはカラクリ屋敷への興味と未知への緊張。
「さぁ……おじゃましまーすっ! ウオォォォーーーン!」
掛け声と同時に走り出す銀花、揺れる銀の髪が風に流れながら瞬足の行軍が始まる。
「……なるほど、確かに曲がり道もあり死角が多い……」
走る足は止めずに屋内を見渡していく、自身の役割は二つ、転移前に聞いていた待ち伏せているであろう忍達に対する陽動、そしてもちろん首級の討伐である。しかし慣れぬ屋敷内での戦闘を含め後者は難しいだろうと敢えて目立つ行動で動き回り、敵の視線をこちらに持っていく……これが主となるだろうと判断していく。
「ウォォォォォォン!!!!!」
ワイルドエールの咆哮が出現する忍達の足を怯ませ吹き飛ばされる。回転扉も破壊されボロボロになっていく屋敷の中、辿り着くのは風魔小太郎が居る天守閣。人狼の少女、その姿を確認すると同時に繰り出される先制の一手。
『愚かな……対策も無しに己に挑むか娘よ……』
六本の腕から繰り出される手刀をもろに受けて屋敷内に侵入してから初めてその足を止める事になった銀花。
「…………ごぼっ!!……良いんですよ……これで……っ!!ウォォォォォォォォォォォォン!!!!!」
最後の咆哮と共に小太郎の持っていた忍具をかすみ取って突進を試みるが、既に至近距離に立つ為、勢いを付けられずに反撃を食らう。
『貴様……やりおったな……』
小太郎自身にダメージは無い……が、元来の目的である忍達への撹乱、そして陽動による囮は成功に終わるのであった。
成功
🔵🔵🔴
アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)
突入と同時に大声を放つ(衝撃波)
そして音の反響を聞くことで、建物の構造と敵の位置を調べるよ。居場所も知られるかもだけど、気にしない(聞き耳、野生の勘、存在感)
その後は苔植物を全身に、身を守る衣を作りながら、聞き耳を立てて索敵しながら、進んでいくよ(オーラ防御)
攻撃には、身を丸めて守る
…痛いのはイヤだけど、必死に我慢する
惹きつけて、惹きつけて、【包囲・狩猟庭園】を発動
例えわたしが傷ついても、”影”には一切関係ない
迷路に閉じ込めた上で”影”達に一斉に襲わせるよ!
わたし自身も爪を振るったりして、生命力を吸収しながら反撃するよ
『怪物』はね
簡単には死なないから、『怪物』なのよ?
「───────────っ!!!!!」
屋敷内に響き渡る音、ある森に住まう少女、アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)から放たれる声は屋敷内で反響しブルブルと震えていく様に感じる。
「たくさん居るね……」
ここに来て自らの位置を知らせるのと構わず声を発したのは振動による屋敷内の構図と敵の位置、僅かに返ってくる反応は確かに隠れ潜む忍達の吐息を感じ取っていた。
身体中に苔を材料とした鎧を身に付けて進んでいく。出てくる所が分かっているのならば奇襲にはならない、幾らか傷を貰いながらも天守閣へと到着し風魔小太郎と対面する。
『次は貴様か……無駄な事よ……かかれぃ!!』
召喚される歴代の風魔小太郎達、手に持った手裏剣を投擲し鎖鎌を構えてアウルへ襲いかかる。
「……あぐぅっ!うぅぅぅぅ……っ!」
身を丸めて攻撃に耐える、怪物と呼ばれる少女でも痛みは感じるし傷つくのは嫌なのだ。声に苦痛を乗せた呻きを発せども小太郎は攻勢を緩めない。ここまで応対した猟兵達も含め最後の最後まで油断なぞしてはいられないのだ。
だからこそ……警戒心強く徹底的に叩こうとしたからこそ風魔小太郎はその思惑に気づけなかった。
『……抵抗が弱い……?…………まさかっ……!退けっ!!』
遅い、アウルを中心として集まった霊達が退こうと一歩後退した瞬間──
「もう遅いよ、リトルガーデン・プレデターシージ……」
影が伸びて緑の色彩が辺りを覆う、彼女のUCである狩猟庭園が発動され小太郎と霊達が分断される。出口は一つ……呼び戻すにと出口を経由しなければならないそれは名前の通り高き森の怪物が獲物を狩る為の庭園なのだろう。
傷つきゆらゆらと立ち上がる目の前では風魔の霊が影に呑まれる所が見えた。
小太郎にダメージは少なかったが、アウルは一つの強大な技を封じる事に成功したのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
向坂・要
からくり屋敷ねぇ
まぁ忍びのお頭って話ですし何もねぇ方が妙ってもんですよねぇ
なんてどこかズレた感想抱きつつ屋敷に放つは八咫影戯の影鴉
第六感も合わせ屋敷内部の様子を把握
念動力や精霊、ルーンの援護により手下や絡繰の対処をさせてもらいますぜ
それに「右目の視覚」で把握できてりゃ暉焔は発動可能ですからね
ついでに陽動も兼ねて小火騒ぎなんておこしておきましょうか
敵の先制攻撃は可能な限り見切りとオーラ防御で急所を逸らす様試みつつ認識した空間に生み出したプラズマみてぇな焔でカウンター狙い
敢えて踏み込むことで相手の動きを封じ零距離で最大火力を叩き込む様試みるつもりですぜ
なに本体が無事ならなんとでもなりまさぁ
「からくり屋敷ねぇ……忍びのお頭って話だ、何もねぇってのが妙ですよねぇ」
何処かズレた感想を零しつつ影鴉を飛ばすのは鉱物から造られた像のヤドリガミである向坂・要(黄昏通り雨・f08973)
「んじゃまぁ行きますかっと……」
影鴉の内部探索と第六感を合わせて内部をスイスイと進む、誰かが先行したのか壊された罠もあったが油断せずに向かう。
「そこですかい、ちょっくら大人しくしててくだせぇ」
壊れた回転扉の中、潜む気配を感じ取った要は念動力をもってして付近に転がっていた瓦礫の一部を動かして扉の前へ配置。回転を防いで中の伏兵を封じていく。
『来おったか猟兵……』
要の姿を確認すると同時、静かに放つ殺気と共に放たれる歴代風魔小太郎の霊。先の戦いで弱体化して尚油断出来ぬ力を放出させている。
「───ぐっ!流石は忍の頭ってとこですかい」
見切りで避け気の力で急所を外し受け手に回る、風魔としての確かな力を感じつつも要の狙い通りに動いて僅かにほくそ笑む。
「しかし誤りましたなぁ、右眼の視界さえ確保出来てりゃこちらのもんなんでさ」
狙いは亡霊と小太郎の中間、視線を固定し発生するは暉焔の焔。
『────ぬぅっ!?』
瞬間、霊達を振り払い小太郎との距離を詰め放つ最大出力によるLückeによる一撃。振り抜かれる剣閃、刀身に映る振りかぶられる小太郎の剛腕を理解しつつも刃は止まらず。
『貴様……っ!避けもせぬのか……!』
腹に一撃を貰い思わず足を引く忍者頭。しかし、退かず当てる事を優先した要もまた腕による薙ぎ払いを受けて吹き飛び壁に激突する。
「……なに……本体が無事ならなんとかなりまさぁ……」
愉しそうに笑いながら立ち上がりまだ斃れる様子の見えない敵を見やる要、猟兵達の間髪入れない襲撃に小太郎は自らの優位が危うくなってきている現状を感じ僅かな焦りを見せ始めるのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
遠呂智・景明
さて、忍びと斬り合う機会もなかなかねぇよな。
忍者を呼び出す?上等。一人残らずぶった斬る、と言いたいとこだが。
無駄に体力を消耗するだけ。
敵のとこにたどり着く前に回転扉に精霊を配置しとくわ。
あとは精霊とたいみんぐを合わせて回転扉を利用。敵を一体ずつおびき出して叩き斬る。
囲まれりゃともかく、タイマンなら負けはねぇよ。●2回攻撃の連撃で確実に仕留める。
まあ、敵も同じ動きをしてくるかもしれねぇな。●見切りで敵の動きに注意をしておく。策士が策に溺れるのはいけねぇ。
ある程度数を絞れりゃあとはUCを使って一網打尽。
風林火陰山雷番外 雷・火。
さあ、仮面ごと斬りすてるぞ。
「さて、忍と斬り合う機会も中々ねぇが……無駄に体力を消費するのは避けねぇとな」
かつて大蛇を斬ったという刀のヤドリガミ、遠呂智・景明(いつか明けの景色を望むために・f00220)は静かな足取りで散歩をしているかの様に屋敷内へと足を踏み入れる。
「なんだ、先に来てた奴らがやったのかこれ、随分派手にやったもんだ」
独りごちながら廊下を足早に進んで行く。景明の周囲を浮かんでいた精霊達が先行して辺りの気配調べると、景明の読み通り潜むは静かなる殺気。扉の奥、忍が気配を察知し回転扉から飛び出すと同時に小刀を振るうも空を切る。
「おう、ご苦労さん」
大蛇切の一刀が振り下ろされ肉を断つ、間髪入れず返される刃は逆袈裟に上げられ斜め十字の痕から血を噴き出し斃れるのだ。
「さて、ここが終着だが───」
キィンッ!
刃同士の重なる音が部屋の中を木霊する。
「……なんだ、随分とぼろぼろじゃねぇか。容赦はしねぇけどな」
『黙れい……雑兵如きには今でも充分過ぎるわ』
猟兵達から受けた傷は軽い物では無い。だからこそ風魔小太郎はこれ以上の無様を見せない為に残る全力を向けてくるだろう。
「言うねぇ……風林火陰山雷番外 雷・火、残りのその仮面、斬って捨ててやろう」
嗤い構える景明の背に、肩に、腹に襲う手裏剣と忍者刀の同時攻撃。元より呼び出された霊。同士討ちも関係無くただ一人の襲撃者を一斉に、一方的に攻撃出来るのは確かな利である筈であった。
「それはさっき視たぞ忍───」
目を逸らさずに視界に収めた動作は忍の動きを見切り反撃の一閃にて斬り捨てられる。
『貴様────っ!』
走る景明に咄嗟仮面を抑えて新たな軍勢を呼ぼうとするも……
「まだ俺の手番は終わってねぇ」
もう一刀、永く共に歩んで来た漆黒の刀、黒鉄と大蛇切の数多なる剣閃が小太郎の亡霊と彼奴の六の腕を斬り押して行く。
「とどめはくれてやらぁな。代わりにその仮面は貰うぞ」
景明の納刀と同時、小太郎の仮面が断たれて落ちた。
成功
🔵🔵🔴
梅ヶ枝・喜介
全身が熱い
だが肚の中は寒い
広がる血が体から暖かみを奪っていく
あの世が近付いている
―――情けねぇ
散々吠えておいてこのザマか
戦の音が鳴り止まないってのに
まだ戦ってる仲間が居るってのによ
おれは寝いてるだけか
ぉおおおぁあぁああああッ!
ふらつく四肢に渇を入れて立ち上がれ!
肚の底に火を灯せ!
まだ終われねえ!
冷めていく体にカッカと熱が循環する!
傷の痛みなんざ、この覚悟に比べりゃぬるま湯ヨ!
木刀片手に踏み込み!
最初の一撃を掴んで離さない事だけに心血を注ぐ!
これは連撃の後、おれが襤褸に成っていようと相手を捉えるための楔!
もう二度と吹き飛ばされん!
見えずとも振るえば当たる距離!
存分に食らいやがれぇええええええ!!
───全身が熱い
『ぐむぅ……ここまでとは……』
───だが肚の中は寒い……広がる血が体から暖かみを奪っていく
『だが……我が命が堕ちようともやらねば……』
───あの世が近づいている……
『……ならぬ事がある……こやつだけでも……』
───情けねぇ……散々吠えておいてこのザマか……まだ戦っている仲間もいるってェのによ。
『……こやつだけでも黄泉へ連れて……』
───おれは寝ているだけか……?
『な……こやつ……様子が……?』
「ぉおおおぁあぁああああッ!」
ふらつく四肢に喝を入れて意識を覚醒させる喜介。未だ足は震え腕は痛みで疼く。
だがそれがどうした。
「傷の痛みなんざ、この覚悟に比べりゃぬるま湯ヨ!」
冷めていく体、奪われていく熱。
「肚の底に火を灯せ!まだ、まだ終われねえ!!」
『こやつ───っ!!この眼、この気迫……生かしてはおけぬ……!今ここで葬らねばなるまい……っ!!』
風魔忍法・六道阿修羅面、速度を上げて絶え間なく目標を攻撃するという単純にして強力な術。自身の味方を攻撃する事により生命力を補わなければ自らの寿命を消費してしまうという諸刃の技巧であるが既に忍の軍勢は他の猟兵達によって全滅、呼び出す為の仮面も既に残り一枚となっていた。だが目の前の青年の命を今度こそ刈り取るには代償なぞ気にしている場合では無い、小太郎自身深い傷は負っているがそれでも強靭な身体能力は目の前の猟兵の上にある筈なのだ。
「もう二度と吹き飛ばされん!!」
木刀を片手に、大地に根を張るが如く踏み込む、一度目は足りなかった。なれば二度目は決して飛ばぬ、折れぬ大樹になれば良いだけの事。
『散れぃっ!!!!』
小太郎の腕、今まであらゆる物を砕いて来た拳による連撃が喜介の頭、胴、足……身体全体を狙い放たれる。だがそれで良い、それを待っていたのだ。この一歩は其を掴んで離さない事に心血を注いだ歩み、例えこの連撃によって身体が襤褸に成ろうが相手を捉える為の楔となれば構わない。
『何……!?』
「捉えたァ!!」
六の腕の一つを掴み押し込むようにして喜介の身体ごと接近、相手の動きを制限する。
確かに小太郎の連撃は喜介の身体に当たった……本来の彼なれば、いや、今も喜介の身体は悲鳴を上げて吹き飛ぼうとしていた。それは偏に彼の気合と覚悟が持ち前の怪力に乗せられて平時以上の力が発揮されている。
「あの時、軽い片手じゃ両の手の守りは貫けなかった」
『な、なにを───』
片手の木刀を勢い良く振り上げられ。
「んじゃあ……両の手の守り以上に重く!!」
其れを見た小太郎は咄嗟に残った五の手で剣筋を防ぐ様に交差させ。
「固い一撃で……砕くしかねェよなっ!!!!!」
守られてもやる事は変わらない、その木刀を全力で振り下ろすのみ。
「存分に食らいやがれぇええええええ!!」
『────己ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!』
多支ノ刀、渾身の一閃は小太郎の腕を、仮面をも砕きその存在の終わりを見せる。断末魔と共に消滅する風魔小太郎。
「俺は強くなれたかよ───」
敵の最期を確認、その場で大の字に倒れ気絶する。その表情に何か得る物があったのかは本人が知る事なのだろう。
こうして、この忍者頭領、百面鬼・風魔小太郎は骸の海へと還された。
一人では成し得なかった勝利、猟兵達は一息つきながらまた新たなる戦場へと向かうのであった。
大成功
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