エンパイアウォー⑯~カラクリ忍者屋敷大攻略の巻~
●サムライエンパイア~百面鬼『風魔小太郎』の潜む忍者屋敷~
それは滝の裏側にひっそりと隠された屋敷であった。
かの屋敷の中には一人の化身忍者が鎮座していた。
「よもや風魔忍法『隕石落とし』をここまで防がれるとはな……」
その姿は異形であった。
幾つもの面として存在している顔。
六本の腕。
漂うは悪鬼が如き邪気。
「しかし我が術の真髄はここからよ。彼奴らを焼き尽くす隕石の弾丸はこの百面鬼がいる限りは無限。故にこの忍屋敷にて密かに術を敢行するのみ……」
そして忍びは座禅に入る。
再びの大災害を画策して。
●グリモアベース
「遂に、信長軍『第六天魔軍将』が一人、百面鬼『風魔小太郎』の居所が掴めました」
羅刹の角を頭巾から覗かせた少女……朝倉・くしな(鬼道僧・f06448)は君たちを迎える。
「百面鬼『風魔小太郎』はエンパイアウォーにおいて、風魔忍法隕石落としという作戦を用い、徳川幕府軍の侍に甚大な被害を出させようとしている準備をしています」
隕石を降らせ大損害を与える超忍術だが、やはりおいそれと何度も使えるものではない様子。
今はその術を再び放つための準備をしているようだ。
「風魔小太郎の方もそれは認識しているらしく、相手は今【カラクリ忍者屋敷】に潜んでいるようです」
カラクリ忍者屋敷。
風魔小太郎が作ったカラクリ屋敷であり、風魔小太郎自身が戦う際に有利になるように様々な箇所に仕掛けが施されているらしい。
ユーベルコード製の罠はないため、猟兵にとっては大きな脅威ではないが、対策していないと、戦闘の邪魔になってしまうくらいの効果はあるもののようだ。
「このカラクリ忍者屋敷にある罠はたった一つ【動き水流れる床】です」
屋敷の中はただっ広い広間になっている。
大柄な小太郎の動きを阻害しないような十分な広さがあり、幾つものの襖で隔たれている。
そして、【床が動く】。さらに【水が押し寄せてくる】。
滝の水とその水圧を利用して動かしているようで、床そのものが常に出口の滝口に向かって動き続けており、さらに水まで流れて侵入者を押し出そうとしている。
滝に落ちれば、まぁユーベルコードではないのでダメージはないだろうが、戻ってくるのには時間がかかる。
なお、サムライエンパイア最強の化身忍者とされる風魔小太郎はこの床の罠をなんらかの忍術で無力化しているらしい。
どうにかこの【忍者屋敷の罠を突破・回避しながら風魔小太郎と戦う】必要がある。
「さらに、風魔小太郎に奇襲や狙撃等は効きません。必ず相手はこちらのユーベルコードの気配や殺気、存在感を読み、先制攻撃を仕掛けてきます」
ユーベルコードを使おうとすれば、必ず相手はそのユーベルコードに応じた忍術で先制攻撃を仕掛けてくる。
例えそれが防御の術や、補助の術でもそれは同じだ。またユーベルコードを持たずに戦いと挑むには風魔小太郎は強敵が過ぎる。
【必ず何かしらの対策が必要】だろう。
「幸いにも相手はこちらのユーベルコードに反応して、特定の反撃の先制攻撃を仕掛けてきます。相手の攻撃方法が分かっていれば対策も出来るかと思います」
カラクリ屋敷の罠に対応しながら、自分のユーベルコードの特性を理解し、そして相手のユーベルコードに対抗できる術を見つける。
そうすれば、自ずと風魔小太郎を倒す事も叶うだろう。
「百面鬼『風魔小太郎』は強敵です。苦戦は必須でしょうが、倒せるのも猟兵だけです」
頑張ってくださいと、くしなはサムライエンパイアの滝の手前へと転移先を繋げるのだった。
ナイン高橋
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百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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ナイン高橋です。
百面鬼!
顔が一杯あるキャラって萌えかな……?そうでもなかった?
幹部戦です。難易度:普通ですが、ボスなので厳しい判定でいきます。
特に注意して欲しいのは以下の3点です。
①相手が必ず先制攻撃を仕掛けてきます!(何も対策がないと防御の術も間に合いません)
②忍者屋敷の仕掛けを無力化もしくは突破しない限り、猟兵は常に不利なままです!(逆に言えば突破無力化するいい方法があればボーナスが得られます)
③相手はこちらのユーベルコードに反応して、ユーベルコードを打ってきます。(こちらがユーベルコードを使おうとすればそのたびに必ずです。ご注意ください)
どのユーベルコードを使うか、ではなく『ユーベルコードを"どのように"使うか』が重要でございます。
また②無力化特化とかもなんか都合よくプレイングがあえばそれは好意的に解釈するかもしれません。
それでは皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦
『百面鬼『風魔小太郎』』
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POW : 風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD : 風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:カス
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
片桐・公明
「敵は風魔の忍大将。相手にとって不足なし、ね。」
敵の先制攻撃に対しては拳銃を構え正面からUCで迎撃する
このタイミングで起動する罠は致命傷のみ回避して後は受けてもやむなしとする
敵の攻撃に対して回避に専念
無理のない範囲でUCで攻撃
回避されても気にしない
むしろダメージを与えるより建物を破壊することを優先目的とする
「大量の罠も、こうやって仕掛けを破壊してやれば造作もないわ」
相手が接近戦に持ち込んできたら刀で応戦する
「こんなに近づいていたら、お得意の罠も使えないんじゃないの?」
(絡み、アドリブ歓迎です。)
御鏡・十兵衛
連携可
水が押し寄せて来る、と。
ははあ、態々向こうから素材をくれるとは……これは有難く頂戴せねば!
というわけで、流水で構成された大蛇を呼び出すでござるよ。
ささ、どんどん水を吸って大きくなあれ。目指すは部屋をみっちり埋め尽くし、敵方を呑み込み溺れさせるほどの大水蛇でござる!
無論、敵は水を抜きにしても強い。某はそれらを相手に大蛇が大きくなるまで身を守らねばならぬ。
動く床については踏ん張りが効くようにゆっくりと歩いて対処するとして。
差し当たって、時間を稼ぐにあたって一番の懸念は鎖鎌を絡められ刀を奪われる事。
攻撃の種類を的確に【見切り】刀で手裏剣を、左手で伸びた鎖を逆に絡めとり時を稼ぐでござるよ。
緋神・美麗
さて、風魔小太郎の居場所もわかったことだし次の隕石落としを実行される前に首を頂くとしましょうか。
①雷天使降臨を使用し、見切り・第六感・カウンター等も駆使してそのまま高速回転して生成した翼とライトニングセイバーで飛んでくる手裏剣や鎖鎌を斬り払う
「先撃ちされるのがわかってるなら迎撃するのはさして難しくないわね。」
②そのまま飛翔して床と水をやり過ごして一気に間合を詰めてライトニングセイバーで斬りかかる
「動く床も飛んでいれば関係ないわよね」
③バフ型UCなので最初に発動できてしまえばそのままUCを使わずに攻撃を仕掛けて畳みかける。二回攻撃・先制攻撃・フェイント・鎧無視攻撃等を駆使して全力攻撃する
温水・千歳
連携アドリブ歓迎
POW
お国の為、ひいては皆の為。…うん、頑張るね
穏やかに暮らすのは好き、けれども闘う事も必要なら躊躇はしない
力は護る為にこそ、振るう物だもの
小賢しい細工は全部叩いて壊す、それでお終い
「怪力」任せに大金槌を振り回して
床壁天井、罠ごと全部叩き壊して周る
ばらばら降り注ぐ屋敷の破片と瓦礫で相手の攻撃自体を邪魔しつつ
飛んでくる忍者刀やら手裏剣やら何やらは
武器を振るって起きる衝撃波と旋風で散らす
寄って来る相手は私が叩き潰す
風魔忍者を間引きつつ、『百面鬼』にせめて一撃入れに行きたい所
これだけ振り回せばもう十分に勢いはついてるはず
満を持してUC【羅刹旋風】を発動する
…さあ、勝負だ、わるもの
ウィルバー・グリーズマン
カラクリ忍者屋敷ですか
絶対碌なものじゃないですよねぇ
まずは『エアウォーク』で飛びましょう。これで回る床は無力化です
押し寄せてくる水は『ブラスト』の風補助魔術を全力で使って、水を吹き飛ばす風の空間を僕の周囲に作り出します
そして先制攻撃でしたね
『ミスチーフ』を使い、風魔小太郎が手にした忍具を片っ端から盗んで格闘攻撃のみに絞らせます
そこで『タイムクリエイト』で敵の動きを低速化、僕の動きを加速させて避けましょう
此方がUCが使える状況になれば、【エアカウンター】です
ずっと空に浮いているので、カウンターモードは永続ですよ
しかし、見事な手裏剣ですね。貰ってもいいですか?
駄目ですか、じゃあ返しますよ、どうぞ
ベール・ヌイ
「鬼…鬼がいる…殺さなきゃ」(殺意MAX)
『落ち着きましょう、ヌイ』(とりあえずヌイを落ち着かせるゴリラ)
初手、【護理雷専用電動バイク】を出しておき、護理雷招来でゴリラに騎乗させ、バイクの変形機能を使い水上バイクとして水の罠を強引に突破します
相手の攻撃に関しては「野生の勘」で攻撃を察知した護理雷がバイクによる「武器受け」で対応、そのまま霊に対応してもらいます
その間にヌイが【改造セーラー服】で水上歩行し、風魔小太郎を【鬼殺】による「捨て身の一撃」で攻撃します。多少の攻撃は「激痛耐性」で無理やり耐えます
七那原・望
大層な肩書を名乗りながらこんなカラクリに頼るって。
背中の翼で【空中戦】に徹することで仕掛けを無視します。
【アベンジ・オブ・アークライト】を発動。
【第六感】と【野生の勘】で歴代風魔小太郎の動きを【見切り】ます。
周囲に【念動力】による自動【操縦】の機掌・プレストを。それぞれ銃奏・セプテットと穿奏・ヴィヴーチェを持たせ、【援護射撃】で相手のユーベルコードを撃ち落とします。
全ては防げないでしょうけど、地面に墜落しないように【激痛耐性】で耐えます。
そのダメージを糧に、相手の攻撃を反射し、生命力を奪いながら【全力魔法】の電撃と、可能なら機掌・プレストの【一斉射撃】の波状攻撃で仕留めます。
あっけないですね。
ヘスティア・イクテュス
隕石落とし…スペースデブリ…暗礁宙域…うっ、頭が…
嫌なことは頭から振り払って、えぇ、もう一度術は使わせないわよ!
床が動く、水が押し寄せてくる…
…飛べばいいんじゃないかしら?ティターニア起動
流石に飛べる種族とか普通に飛ぶ手段のある世界の人は想定してなかったみたいね!風魔小太郎破れたり!
UCに反応するなら…使わないなら反応はできないわよね?
スモークミサイルを発射して視界を奪い、自身の姿のダミーバルーンを展開
ついでに無線誘導端末兵器フェアリーをダミー近くで射撃をさせて
そしてわたしはUCで姿を消すわ
位置的にもUCを発動したのがダミーと誤認するはず…
その隙に近づいてビームセイバーで
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
宇宙の海はボクの海っ!
サムエンの海も…海じゃないか、これ
ま、いっか☆
ウィーリィくんを乗せたまま宇宙バイクを【操縦】して動く床を走破!
押し寄せる水も【吹き飛ばし】て突っ切るよ!
そしてウィーリィくんと一緒に【スナイパー】でボスの身に着けた面を次々と破壊して軍勢を召喚出来なくしたら【エクストリームミッション】発動!
仕掛けを気にせず戦えるように飛行して空中から攻撃!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
ただでさえ厄介な相手なのに、さらに面倒な仕掛けのおかげでまともに戦えないときてる。
…けどな。その状況、利用させてもらうぜ!
シャーリーと荷ケツで宇宙バイクで罠を強行突破!
接近したらバイクを飛び降りそのまま大包丁の『二回攻撃』+『部位破壊』で奴の身体の面を片っ端から砕き召喚に使う代償を減らしていく
あとは小太郎が先制攻撃で風魔忍者の軍勢を召喚させたところで水の『属性攻撃』で押し寄せる水の勢いを逆手にとって軍勢の足元を掬って転倒させたりその身体を踏み台にして突破し、そしてこの場に満ち溢れる水の魔力を攻撃力に変えた『トリニティ・エンハンス』を『カウンター』の『二回攻撃』で叩き込む!
●会合
「隕石落とし……スペースデブリ……暗礁宙域……うっ、頭が……」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)が謎の電波を受信してティキーン!みたいな事をしていた。
このメテオはそんな壮大なスケールからは飛んできてないから。
「さて、風魔小太郎の居場所もわかったことだし次の隕石落としを実行される前に首を頂くとしましょうか。
その横で緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)が華麗にポーズを決めながら風魔小太郎に首取り宣言。
美少女のウィンクがよく似合う。
「えぇ、もう一度術は使わせないわよ!」
頭を振って気持ちを切り替えると、ヘスティアも続く。
「お国の為、ひいては皆の為。……うん、頑張るね」
温水・千歳(桜花・f13514)がおっとりした雰囲気の可愛らしい顔をきりりと引き締め大金槌を持つ。
華奢な身体付きに似合わないような重量級の武器だった。
彼女は羅刹らしい羅刹だった。
「敵は風魔の忍大将。相手にとって不足なし、ね」
片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は両手に拳銃を抜くと好戦的な笑みを浮かべる。
眼鏡に写すは百面鬼。
「大層な肩書を名乗りながらこんなカラクリに頼るって」
七那原・望(封印されし果実・f04836)は動く床と流れる水をバシャバシャしながらそう言う。
しかし見くびるべからず。このカラクリ自体も百面鬼の忍術ありきの壮大な天地変動忍術なのである。
「カラクリ忍者屋敷ですか。絶対碌なものじゃないですよねぇ」
ウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)はいい加減そうな軽い口調でカラクリの様子を見る。
「ただでさえ厄介な相手なのに、さらに面倒な仕掛けのおかげでまともに戦えないときてる」
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は足を取られそうになる足場を気にしながら包丁を取り出す。
「宇宙の海はボクの海っ!サムエンの海も……海じゃないか、これ」
滝の水を利用しているので山の水です。
シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は人の家に宇宙バイクのまま乗りつけてきた。
「ま、いっか☆」
流石は海賊である。
「水が押し寄せて来る、と」
水の力を操る"水鏡の剣術"の使い手、御鏡・十兵衛(流れ者・f18659)は流れる水の様子を確認していた。
「鬼……鬼がいる……殺さなきゃ」
ベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)が殺意MAXで百面鬼をにらみつけていた。
百面鬼が果たして種族的に鬼であるかは定かではないが、鬼を名乗り鬼の面を被り悪鬼として活動しているのは確かである。
ヌイの殺意の対象には違いなかった。
●エンゲージ!
『信長様の邪魔をする輩が来たか』
百面鬼、風魔小太郎は猟兵達の侵入を気取るとゆっくりと立ち上がり戦闘体勢に入った。
元よりこのカラクリ屋敷は隠れ潜み、そして迎撃をするための誘い込みの場なのである。
サムライエンパイア史上最強を謳われる化身忍者、風魔小太郎が隙を見せる訳もなかった。
『この百面鬼が、貴様らの希望を打ち砕いてくれよう!』
六本の腕にそれぞれ武器と面をを構えた風魔小太郎は見得を切り、猟兵達を迎え撃つ。
そして風魔小太郎の手にはいつの間にか、ひとつの面が握られており。
『風魔忍法『風魔頭領面』!』
その面を豪快に握りつぶすと突如として風魔忍者の軍勢が周囲に召喚され、そして猟兵達を襲いかかってきた。
「ははあ、態々向こうから素材をくれるとは……これは有難く頂戴せねば!」
十兵衛はそう言うと足元に流れる水に手を当て、術を発動する。
「それがし、暫し仕込みに入る故に先陣は皆に任せるでござる」
しかし十兵衛の術の発動はまだ先だった。
代わりといっては何だが素早く動き出したのはヌイと公明だ。
「任せなさい!この業火ですべて焼き尽くす!!」
公明は迫る風魔忍者の軍勢に向けて自慢の両手の拳銃を向ける。
「くっ狙いが定まらない……」
しかし足場が悪い!
動く床に流れる水は致命傷になるようなものでは決してないが、しかし射撃戦には圧倒的に不利な罠である。
さらに回避を行うにも足を取られ、忍術で地形の影響を受けないようにしている風魔忍者の攻撃を避けるのも厳しい。
「今は亡き雷獣よ……どうかその力をここに……」
ヌイは護理雷専用電動バイクをドカンと置くとそのままユーベルコードを発動。
ユーベルコード:護理雷招来(ゴリラショウライ)。
それはヌイの保護者である雷獣ゴリラを召喚するユーベルコードである。
ヌイは電動バイクにゴリラとランデブーして動く床と流れる水を強行突破しようとしたのだ。
雷と共に空中に召喚されたゴリラはそのままバイクに跨るように着地しようとして。
『風魔忍法『死鬼封神面』!』
百面鬼の忍法が炸裂!
数多の手裏剣や苦無、鎖鎌がバイクにぶち当たり、床の移動と水流に流され、滝底に突き落とされてしまった。
ドーン、と水飛沫を上げながら降り立ったゴリラは迫る手裏剣をなぎ払いながらヌイの様子を思わず確認する。
そこには他の猟兵達よりも一歩前に出て敵の攻撃を弾き飛ばしていた3人の守護者が居た。
「先撃ちされるのがわかってるなら迎撃するのはさして難しくないわね」
一人は雷天使、美麗。
雷天使降臨(モード・バラキエル)で雷を物質化し衣装と翼に生成して纏った姿となり雷で生成された光の翼を使い高速回転での薙ぎ払い敵陣の手裏剣を弾き飛ばしていた。
「悪いけどな。この状況、利用させてもらったぜ!」
一人は料理人、ウィーリィ。
精霊の加護を受けた大包丁にトリニティ・エンハンスで水属性を追加する事で押し寄せる水の勢いを逆手にとって軍勢の足元を掬って転倒させ相手の鎖鎌などの動きを封じたのだ。
「小賢しい細工は全部叩いて壊す、それでお終い」
一人は羅刹、千歳。
只々純粋に地面を殴った。
そしてその巨力に弾け飛んだ水飛沫が壁となり他の猟兵を守る壁となったのだ。
「……床は止まるけど、水は流れてくるね」
罠は物理的に壊せるだろうが流石に流れる水は吹き飛ばす位しか出来ないだろう。
当然他の面々も刀を抜いて剣を弾き、風を起こして起動を反らし、銃弾によって撃ち落とし、熱線によって射貫いく事で、まずは最初の難関である風魔小太郎の先制攻撃を何とかいなす事に成功したのだった。
『ほう。思った以上にやるではないか!……だが、二撃目は防ぎきれるであろうかな!?』
「スモークミサイルを発射!」
風魔小太郎が二度目の攻撃を仕掛けてくる前に、初回攻撃を防いだと見たヘスティアはすぐさまマイクロミサイルを発射。煙幕を張り相手の視界を奪う。
『ぬぅ!猪口才な!』
風魔小太郎は多数の配下とそして歴代風魔小太郎を召喚してきていたが、決してそれらは感覚を共有したりはしていない。
煙幕を張る事で視界に紛れてしまった同士討ちを避けるためには先程のような手裏剣や鎖鎌などの射撃攻撃は適さないのだ。
そして風魔忍者達は煙幕に包まれる前に猟兵達のいた位置に手持ちの手裏剣を投げるも。
――パン!パンパンパン!
風船の割れる音がして薄っすら見えていた人影が弾け飛ぶ。これは、ダミーバルーン!
『いない……空蝉であるか!』
「ご名答!」
次の瞬間、透明になって隠れていたヘスティアが風魔小太郎の頭上から突如として現れビームセイバーの斬撃を繰り出す。
『ぬ!貴様、いつの間に!?』
動く床と流れる水の影響で猟兵達の機動力は著しく低下していたはず。
思わぬ接近に動揺した風魔小太郎はヘスティアの斬撃を受け止めきれずその身に攻撃を受けてしまう。
「流石に飛べる種族とか普通に飛ぶ手段のある世界の人は想定してなかったみたいね!風魔小太郎破れたり!」
「動く床も飛んでいれば関係ないわよね」
そして煙幕の中から飛び出してくる幾人もの影!
エアウォークの魔術によって飛翔し、ブラストの風の魔術で水を弾き飛ばしながら接近する魔術師ウィルバー!
煙幕の中、他の五感を使う事に躊躇いなく、ユーベルコードを反射する超剛性金属装甲を身に纏ってオラトリオの翼で強引に敵陣の中をくぐり抜けてきた望!
雷天使となって電光の速度で飛翔して床と水をやり過ごして一気に間合を詰めてきた美麗!
水の上を走り刀を抜いて駆け寄ってきたヌイ!
邪魔な風魔忍軍はスナイパーマスケット銃で撃ち落としながら宇宙バイクで水上を爆走してきたシャーリー!
その宇宙バイクに荷ケツで搭乗してきたウィーリィ!
機動力を重視した面々はこの機を逃すまいと煙幕の中に風魔忍者と歴代風魔小太郎を残し、百面鬼、風魔小太郎の元へと馳せ参じたのである。
「ここに揃ったのは七人!六本腕じゃ一本足りなさそうだね!」
『腕の数が足りぬならば回数を増やすまでよ!風魔忍法『六道阿修羅面』!』
しかし風魔小太郎も負けてはいない。己の髑髏の面の瞳を輝かせ、六本の腕で繰り出す忍具や格闘の攻撃回数が9倍にして猟兵達を迎え撃ちにいく。
「ええまぁそうきますよね。何処からでもどうぞ。全て返しますよ」
そこへ正面に立ちにいったのはウィルバー。
バン、と本を広げるとページを捲り、その魔力を行使する。
(時の魔術で低速化と加速。それに相手の武器も盗めば)
振りかぶる風魔小太郎の武器がポンとウィルバーの手の中に舞い込んできて、敵の攻撃力を下げる。
『面白き術よ!しかし言葉を返せば、主の使える腕は一本。こちらは六の腕と武器がある。百面鬼の三十六の武技を全ていなす切れるなどと思うなよ!』
しかし武器を失っても元より格闘術も選択の一つである風魔小太郎は攻撃を続行。
ドガガガと空中にいるウィルバーは一瞬の内に36の攻撃を受ける。
「ぐふっ!」
空中にいる間は常にカウンターモードで受けの体勢を取ってはいたものの、相手はボスクラスの攻撃。
その攻撃全てを防ぎきるとまではいかなかった。
ただしウィルバーも何もただやられていた訳ではない。
「しかし、見事な手裏剣ですね……これは、お返しします!」
『ぬっ!』
カッと突き刺さる風魔手裏剣。術の終わりと、関節に突き刺さった元は己が武器に一瞬硬直する風魔小太郎。
それを皮切りに飛び掛かる猟兵達。
「鬼は……殺す……」
斬りつけられる事も厭わず刀を突き立てにいくヌイ。
「小さき希望の灯火よ、昇れ!」
ここに至る前でに躱し損ねた歴代風魔小太郎の攻撃を糧に戦闘能力を増強させた望は自動武器を一斉に放つ。
「完全開放、天魔滅雷!」
雷の力を纏ったライトニングセイバーを電光の速度でクロスに斬り裂く美麗。
「史上最大の凶暴すぎる竜巻、戦う覚悟はある?」
宇宙バイクを変形させたサメ型パワードスーツに身を包み、空中から鮫回転アタックを仕掛けていくシャーリー。
「料理には水も重要な要素なんだぜ!」
水の魔力を攻撃力に変えたトリニティエンハンスで強化した大包丁を二連斬するウィーリィ。
彼らの攻撃が四方八方より押し寄せ、風魔小太郎に直撃する。
『ぬおぉぉぉ!!!』
六本の腕を巧みに操り攻撃を防御しようとする風魔小太郎であったが、攻撃の手の数に防御の腕が間に合わない。
したらば配下の風魔忍者や召喚した歴代風魔小太郎達を舞い戻らせようと突撃させた先を見るが。
『『『ぐはぁぁー!』』』
吹っ飛んできた自分の配下を見る羽目になった。
「寄って来る相手は私が叩き潰す」
「お得意の罠と忍術も、これだけ近づかせて貰えば逆に利用できるわね」
そちらは機動力ではなく攻撃威力を重視していた後列メンバー。
千歳はひたすら大金槌を振り回し、壁や床や流れる水を粉砕吹き飛ばしながら近づくものをその怪力で吹っ飛ばし。
公明は銃の狙いが定まらないと悟ると刀を抜いて敵に接近。密着した状態であれば相手の忍術で足場が固定されるのに気付くとユーベルコードで相手を業火のエネルギーで撃ち抜いていた。
さらにバイクが吹き飛ばされたものの召喚していた雷獣ゴリラもその剛腕を奮って歴代風魔小太郎を電撃パンチで殴り飛ばしていた。
「ささ、どんどん水を吸って大きくなあれ」
そしてその奥では十兵衛が鎖鎌を手で絡め取り、刀で手裏剣を弾きながらもゆっくりと歩きながら己のユーベルコードで生み出した水蛇を育てていた。
『もはやこれまでか……破ぁっ!!!』
戦況が悪いと悟った風魔小太郎は裂帛の気合を発し周囲の猟兵を一時吹き飛ばすと、このカラクリ屋敷を放棄し逃走を図る。
「逃げの一手ですか……あっけないですね」
「鬼……逃がすか」
望やヌイが銃弾を降らせ刀を投擲し逃亡を阻止しようとするも扇の一振りで弾かれる。
『元よりこの百面鬼。最上の目的は貴様らではない。三十六計逃げるにしかず……御免』
百面鬼、風魔小太郎はそういうと印を結んでこの場から離脱する術を発動しようとして。
「あいや。そう言わずに。少し遊んでいってはもらえんか」
背後に迫る大蛇に呑まれた。
『ぬっ!ぬかったわっ!』
「目指し育てたは部屋をみっちり埋め尽くし、敵方を呑み込み溺れさせるほどの大水蛇でござる!」
それは戦闘開始から発動していた十兵衛のユーベルコード:大蛇崩し(オロチクズシ)。
流水の大蛇を召喚しそれを操る水鏡の秘術なのである。
水蛇に流れる水を呑ませ只々只管にその身を大きくしてきた十兵衛は、盤上この一手とばかりに逃げようとした風魔小太郎を大量の水に沈めるのだった。
「自慢ではないが、某渾身の出来でござる」
十兵衛は誇らしげなドヤ顔で蛇を操り、風魔小太郎を水圧で封じ込めてしまう。
「……さあ、勝負だ、わるもの」
そして満を持して、今までずっと己の武器を振り回し続けてきた千歳がゆっくりと動けぬ風魔小太郎の元へと歩み寄っていく。
敵の攻撃を防ぐ際も、罠を壊す際も、敵を吹き飛ばす際も……ずっと振り回し続けてきた千歳。
その攻撃は大ぶり過ぎる。
その攻撃は見破られ易過ぎる。
だが、それだけ。その分だけ、その攻撃は威力が増しているのだ。
見切っていようが関係ない。
防げぬ程の威力なら。
「……羅刹旋風」
振り下ろされた大金槌の一撃はまさに大震撃でカラクリ忍者屋敷ごと、百面鬼を叩き潰したのであった。
百面鬼、風魔小太郎戦。勝利。
大成功
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