エンパイアウォー⑯~刃を隠さぬ忍び
●三河の国・遠江の国・信濃の国、国境近辺の山中にて
「配下どもめ、一体何をやっておるのか! 手緩いわ! こうなったらこの百面鬼・風魔小太郎が直々に猟兵どもを屠ってくれよう!」
風魔小太郎は一気に吐き捨てるように叫ぶと、配下へと命を下す。
「結界を解け! 我が屋敷に猟兵どもをおびき寄せるのだ。徳川軍なぞ、猟兵どもを討ち果たしてから相手をしても遅くは無かろう。猟兵どもさえおらなんだら、いくら軍兵を集めようと烏合の衆よ」
命によって『結界』を解かれた山中に大きな屋敷が姿を現す。様々な仕掛けを持つ、この屋敷で猟兵を迎え撃つつもりだ。
●グリモアベースにて
「み……みなさん、朗報です! 『魔軍将』の一人、百面鬼・風魔小太郎の居場所が判明しました!」
どもりつつ、慌てて話すのはリンネ・ロート。
「ば……場所は三河の国・遠江の国・信濃の国、国境近辺にある山中です。そこに現れた大きな屋敷に潜み、皆さんをおびき寄せようとしているようです」
そして彼女は以下のような詳細を話す。
戦場は『風魔忍軍の忍者屋敷』となるということ。そして『風魔忍軍の忍者屋敷』には様々な仕掛けが施されており、侵入者……つまり猟兵達の行く手を阻む。
その最も大きな仕掛けが『吊り天井』。いくつ部屋があるか分からないこの屋敷の多くに施されているのだという。猟兵にとって大きな脅威にはならないと思われるが、流石に対策なしでは戦闘に支障をきたすだろう。
何よりも脅威なのは『百面鬼』風魔小太郎本人の能力である。
彼はサムライエンパイア史上で一、二を争うほどの化身忍者。代々の風魔小太郎は己の先代を喰らうことで襲名し、力を強化していった。『面』を用いる忍法は、時に天変地異をも引き起こし、破滅的な被害をもたらすのだという。【風魔忍法隕石落とし】もその一つだ。
そして猟兵に対しては、必ず先制攻撃するという能力を身に着けていた。対策なしで戦うのはあまりにも無謀、風魔小太郎には傷一つ与えられはしない。その対策も不十分であれば苦戦は免れない。
一息に話したところで、リンネは祈るように猟兵達へ自分の想いを伝える。
「私には皆さんを送り出すことしかできません。厳しい戦いになると思いますけど、どうかご武運を……」
篁佐登花
こんにちは、篁佐登花です。OPをご覧頂きありがとうございます。
以下、このシナリオにおける特殊ルールとなっておりますので、必ずご一読下さいますよう、お願い申し上げます。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『百面鬼『風魔小太郎』』
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POW : 風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD : 風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:カス
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達が送り出された先は屋敷の入り口。しんと静まり返る屋敷に、挑発するような謎の声が、突然響き渡る。
「思惑通りにノコノコとやってきおったな、猟兵どもめ。仕掛けが施された我が屋敷で、この風魔小太郎の下へ何人が辿り着けるだろうなあ?よしんば辿り着いたところで傷一つ付けることは出来んだろうがな」
ハハハ……と、嘲笑がこだましつつ消えていく。猟兵達は闘志と勇気を漲らせながら、屋敷の内へ一歩、また一歩と踏み込む……。
樫倉・巽
天井が落ちてくると言うならそれを利用しない手は無いな
進む足は遅くなるとしても仕掛けを探しながら進むことにするか
天井や床に不自然なくぼみや傷が無いか
恐らく床のどこかに踏むと天井が落ちる仕掛けがあるだろうから
進みながらその場所を憶えておき近くに重しになりそうな調度品を置いておく
敵が忍者の軍勢を呼びだしたら後退しながらタイミングを計って調度品を仕掛けに乗せ
忍者達を罠に嵌めてやり過ごそうとする
必要なら畳み返しなども行って小太郎と戦う時間を稼ぐ
小太郎と向き合ったなら【三日月二連】を使い一気に勝負
一撃目は足下を狙い、二撃目は心臓を狙う
周りは見渡せても足下はそうはいかないだろう
それに心臓は一つだろうしな
屋敷内へ歩を進めて行くのは樫倉・巽。彼は「砂塵渡り」と呼ばれる使い込まれたサムライブレイドの鞘を払うと、慎重に仕掛けを探しつつ進む。仕掛けられた『吊り天井』を逆に利用する手を考えていた。
そして一つの部屋の前で足を止めると、砂塵渡りを構え直し、足で襖を勢いよく開ける。敵の姿はなく、調度品も茶箪笥が一つあるのみ。
巽は天井や床に不自然なくぼみや傷が無いか目を凝らすが、どうやらなさそうだ。しかし、中央の床付近に色のついた米粒があるのが見えた。米粒はいくつか落ちており、それを線で結ぶと丁度四角形になる。巽は素早く米粒を払うと、入ってきた側の米粒が落ちていた場所へ慎重に茶箪笥を移動させた。進む先へは目印として床に傷を付けておく。
次の間への襖を先ほどと同様に開けた先には『百面鬼』風魔小太郎の姿があった。
「存外早かったな。挨拶代わりだ、これでも喰らうがいい! これぞ風魔忍法『風魔頭領面』!」
小太郎はいきなり、身に着けた面の一つを勢いよく床に叩き付けるようにして割る。召喚された忍者の軍勢が忍者刀と手裏剣を手に、巽へ襲い掛かろうとする。しかし巽は慌てず手前の間へ後退し、目印を避けるように茶箪笥を挟んで対峙する。
投げつけられた手裏剣を巽は砂塵渡りではじき返しつつ、茶箪笥を部屋中央目掛けて蹴り倒し、素早く部屋を出た。その瞬間、ドスンと大きな音を立てて天井が落下する。召喚された忍者の軍勢が落下した天井の下敷きになり全滅したのを確認すると、改めて小太郎へ向き直し砂塵渡りを下段に構える。
巽は小太郎が動くより早く、回り込みつつ小太郎の足元めがけ砂塵渡りを振り上げるように切り込んでいく。【三日月二連】の初撃による意外な場所への攻撃は小太郎へ命中し、続いて繰り出される打ち下ろす斬撃が小太郎の左肩へ食い込む。その様子はさながら、三日月の弧を描くようだ。巽は小太郎へ言葉を投げかける。
「周りは見渡せても足下はそうはいかないようだな?しかし心臓まで切り下げるつもりが、届かなかったか。流石に風魔忍軍の頭領は伊達ではないらしい」
この言葉を聞いてチッと舌打ちを一つ鳴らした小太郎は、巽の目前から姿を消した。これも風魔忍法の一つなのだろうか。
成功
🔵🔵🔴
槙島・未幽
絡みOK
風魔小太郎に恨みがあるので参戦する
目的
屋敷を倒壊させる
風魔小太郎の攻撃を避ける→忍者や彼らの武器を風魔小太郎に投げ返す
まずは、屋敷の仕掛けを潰すかな
矢の先に爆発物(手榴弾、火炎瓶など)を取り付け、屋敷の屋根へうちまくる。時々、家の廊下や柱にも当てるか
風魔小太郎に出くわしたら、『見えない射手』で応戦
手裏剣や忍者刀は、サイキックで受け止めて、忍者達にお返しする
「心からいらないんで、熨斗付けて返すわ」
「ぽーいぽいぽいぽーい」
「オイコラ風魔小太郎!お前のせいで、小惑星呼び寄せちゃった挙げ句、危うく辺り一帯を焼け野原にするところだった!その恨み今晴らしてやる、覚悟しろこの野郎!」
続く猟兵の中に姿を見せていたのは槙島・未幽。彼女は怒りも露わに叫ぶ。
「オイコラ風魔小太郎! お前のせいで、小惑星呼び寄せちゃった挙げ句、危うく辺り一帯を焼け野原にするところだった! その恨み今晴らしてやる。出てこい!」
そう、彼女は『風魔忍法隕石落とし』を阻止する作戦にも参加していた。その時見せた技は『流星召喚(スターコール)』の異名に相応しいものであった。
しかし、この怒声に対して風魔小太郎から反応はなく、離れた場所で何かが落下するような大きな音が一度響いたのみ。
そんな中で未幽が取った行動は、各部屋の天井に対し炸裂弾付きの矢を放って回ることだった。事前に『吊り天井』の仕掛けを聞いていたので、仕掛けの有無に関係なく天井を破壊しつつ風魔小太郎を探す。
いくつかの部屋の天井を破壊し、次の間と思ったところで「それ」に出くわした。風魔小太郎だ!
「ほう……猟兵というのは案外と目端が効くようだな。我が屋敷の仕掛けを見破るとは見事なり!」
思わぬ声を掛けられ、未幽は呆然とする。しかしそれも一瞬のこと、輝くような金の瞳に怒りの炎が灯る。
「お前が風魔小太郎か、恨みは晴らす! 覚悟しろ!」
怒りの言葉を投げつつ、ロングボウに矢をつがえようとする未幽。
「覚悟しろだと?愚昧な奴め、覚悟をするのはどちらか思い知らせてやろう! 風魔忍法『風魔頭領面』!」
言い終わるか終わらぬかのうちに、風魔小太郎は身に着けた面の一つを巨大な腕で握り潰す。たちまちに風魔忍者の軍勢が召喚され、未幽へと襲い掛かる。
手裏剣が雨の如く投げつけられた未幽は
「心からいらないんで、熨斗付けて返すわ」
と【見えない射手(ビヨンドアーチャー)】を発動させ、見えないサイキックエナジーを手裏剣の雨へ向ける。手裏剣の雨は向きを変え、風魔忍者の軍勢を消滅させていく。そして、油断していた風魔小太郎の身体へも大量の手裏剣が突き立つ。
「おのれ、我が忍法まで破るとは……。ここは一旦退かせてもらう!」
風魔小太郎は煙玉を足元へ投げつけると煙に紛れ、姿をくらます。これは未幽にとって幸いした。向きを変えなかった手裏剣によって傷を負っていたからだ。
「ちょーーーっとばかし痛いけど、ま、大丈夫さ。トドメは必ずあたしが刺す!」
苦戦
🔵🔴🔴
鞍馬・景正
風魔。同じく元北条の臣、鞍馬の後裔が参った。
禄寿応穏の志を忘却したならば、旧主に代わって成敗致す。
◆探索
前後左右上下を警戒しつつ進行。
落とし穴など無いか、刀の切先で進路を叩いて慎重に。
釣り天井は【視力】を凝らし、壁際と天井に隙間がないか確認。
無くても【第六感】が警鐘を鳴らせば、天井に斬撃の【衝撃波】を飛ばして落下誘発。
◆対POW
【武器受け】で忍び達の先手を凌ぎつつ、
罠が無く、廊下など数の利を活かせぬ場まで後退。
挟撃と頭上からの強襲まで予想して【見切り】つつ、隙が出来るまで堪えて後、【水月移写】発動。
そして攻撃を防ぎ切った後はUCを解除。
即座に刀を【怪力】込めて小太郎に【投擲】して進ぜる。
全方位に警戒をしながら進むは鞍馬・景正。「濤景一文字」を手に、慎重に風魔小太郎の居場所を探す。
そして景正は一つの広間へと足を踏み入れる。目を凝らして壁際と天井を見てみると、わずかに隙間が見て取れる。第六感が働いた彼は濤景一文字を振るい、天井に向かって衝撃波を放つ。
景正が思った通り、『吊り天井』の仕掛けが発動。落下する天井に対し、彼は素早く飛び退り回避する。ドスンと大きな音を立てた大広間の中に濛々と埃が舞う。その中に何者かの影を見る景正は、濤景一文字と備前物と伝わる無銘の脇差を構える。
濛々とした埃が晴れていく中で姿を現したのは風魔小太郎。
「風魔小太郎、同じく元北条の臣、鞍馬の後裔が参った」
景正が堂々と名乗ると、風魔小太郎は嬉々として
「おお! そなたがあの鞍馬家の後裔か! ならば信長様の下で、ともに北条家再興を成そうぞ! さあ、わが手を取られよ」
と手の一本を差し伸べてくる。それに対し景正が答える。
「天下はすでに定まったというのに、世迷言を……。三界の狂人は狂なるを知らず……か。ならば夢から醒ますのみ」
朗々と詠い上げるように、しかし明確に拒否を示す。
「チッ、猟兵め。簡単には騙されぬということか。鞍馬の後裔たる者が徳川の犬に成り下がりおって。ならばこの百面鬼が鞍馬の命脈絶ってくれる!」
忌々しげに吐き捨てると、身に着けた面を破壊する風魔小太郎。その代償として風魔忍者の軍勢が召喚される。
数の利を活かさせぬよう廊下まで下がる景正。手裏剣を投げつつ、忍者刀を手に姿勢を低く突進してくる風魔忍者。景正は手裏剣をはじき返し、突進してくる風魔忍者をあっという間に切り伏せる。そこへ頭上と背後から風魔忍者が襲い掛かる。しかし風魔忍者の戦い方を見切っている景正に通じるはずもなく、あえなく切り落とされる。
何度か繰り返される攻撃を凌ぎ切り、すべての風魔忍者を倒した景正は大広間へと再び足を踏む入れる。そこへ景正目がけて飛んでくる鎖分銅。
「心は水中の月、形は鏡上の影」
そう口の中で唱えた景正は【水月移写(スイゲツノクライ)】を発動させ、鎖分銅をはじき返す。
「今の攻撃を防ぐか!」
驚く風魔小太郎を目にした景正はユーベルコードを解くと、目にも留まらぬ早業で脇差を投擲する。有り余る膂力で投げられた脇差は胸当てを砕き、風魔小太郎へ深々と突き刺さる。
「お……おのれ、これしきの事で傷を負わされるとは……」
言うなり、風魔小太郎は一陣の風と共に姿をくらましてしまった。
(禄寿応穏の志を忘却したならば、旧主に代わって成敗致す)
と胸に想いを秘める景正であった。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
※人格入れ替わり中
現状不利と言わざるをえない
それでもやるしかありません
志乃の未来の為に
UC発動
第六感と罠使いとしての知識で屋敷の罠を見切り
位置、安全ルート等把握
逆にそれを利用してロープワークと共に簡易罠を張り叫ぶ
遠からん者は音に聞け
近くば寄って目にも見よ
我こそは心願成就の神子■■■なり
同志徳川家光の命により風魔の忍を成敗致す
名乗り口上で誘き出す
事前に周囲の器物や砂利を集めておき
罠の位置に誘導しつつ
早業念動力で器物砂利呪殺弾を巻き上げ
瞳と敵攻撃にぶつける
その目が潰れ一本でも武器が落とせれば上々
光の鎖で第六感見切り武器受け
念動力ロープワークでカウンターなぎ払い
オーラ防御常時発動
神出鬼没の風魔小太郎に対し手を焼く猟兵達。鈴木・志乃、いや志乃に憑依している昨夜もその一人。
――結界を張ってまで隠していた屋敷に踏み込んでいるという現状は不利と言わざるを得ない……。それでも、志乃の未来の為にやるしかない――と真剣な面持ちで、黙して屋敷の奥へと昨夜は進む。
他の猟兵が踏破した部屋の一室で、昨夜は【Ms.Yesterday(ミズ・イエスタディ)】を静かに発動させようとする。そこへ背後から何者かの影が突然現れる。
「な……!」
昨夜が驚く間もなく、現れた影は髑髏面の瞳を輝かせるといきなり六本の腕に持つ鎖鎌と忍者刀、そして拳で襲い掛かってくる。鎖鎌と忍者刀は風切り音を立て、拳は唸るように昨夜へと吸い込まれていく。
【Ms.Yesterday(ミズ・イエスタディ)】の発動直後であったのが不幸中の幸い。昨夜は振り返ると持ち前の第六感で攻撃を見切り、念動力で鎖分銅を逸らす。しかし、全ての攻撃をかわすことは出来ず、その身にいくつかの傷を受ける。
「背後から襲うとは卑怯者!」
昨夜は後ろへじりじりと後退りしつつ、影に対して叫ぶように罵る。
「ハハハ! 卑怯者?結構、結構、忍びにとっては誉め言葉よ! 他の猟兵が通った後と油断しおったか?」
高々と笑い上げる風魔小太郎。悔しさを隠しながら落ち着いて昨夜は言う。
「志乃の敵は私の敵、一切容赦しない。同志徳川家光の命により風魔の忍を成敗致す」
「出来るものならば、やって見せるがいい!」
売り言葉と買い言葉を交わし、昨夜は「光の鎖」を風魔小太郎に向けて振るう。風魔小太郎はこれを忍者刀で切り払い、鎖分銅を逆に昨夜へ向ける。昨夜は切り払われた光の鎖を巧みに操り、鎖分銅を叩き落とす。鎖分銅を叩き落とされつつも、間合いを詰める風魔小太郎。髑髏面の瞳が怪しく光るのを見た昨夜はオーラ防御を発動させつつ、叩き落とした鎖分銅を念動力でカウンターとして打ち込もうとする。
昨夜は光の鎖で攻撃を受けようとするものの、捌き切れずに拳の一撃を食らってしまう。膝をつく昨夜に風魔小太郎は面を一つ壊されながらも挑発するように笑う。
「どうした?口先ばかりでは成敗もなにもないわ、出直してくるがいい」
風魔小太郎は六本の腕で印を結ぶと炎とともに姿を隠してしまった。
昨夜の耳に風魔小太郎の笑い声を残して。
苦戦
🔵🔴🔴
徐々に追いつめているはずだが、風魔小太郎は実に掴みどころがない。一組の女性猟兵も頭を悩ませながら迷宮のような屋敷を進んでゆく。
「からくり屋敷いいですね……こういう時でなければ、じっくり探検して攻略したいのですけど……」
とため息交じりに呟いたのはアスカ・ユークレース。
「風魔小太郎、恐ろしい相手です。屋敷の仕掛けも合わせて気は抜けないですね」
と声を掛けたのは薄荷・千夜子。お互い自己紹介を済ませたところ、二人で進むほうが安全だろうということで一致した。そして、罠と風魔小太郎への対処を交わす。
二人が進んだ先の部屋は広々とした茶室になっていた。すぐにでも茶会が始められそうな状態に支度がしてある。これに、わあっと反応したアスカ。
「これが茶室……初めて見ました。千夜子は見たことあるのでしょうか?」
「ええ、ありますけど……こんなに広い茶室は珍しいです。あっ! それに触らないで!」
千夜子が言い終わらないうちに、アスカは部屋の真ん中に置かれていた香合を手に取る。香合を手にしてからハッとするアスカ。慌てて「フェイルノート」から「Skiá psária」を頭上へ向けて撃ち出す。撃ち出された流体金属弾は四方へ広がり、網のように形状を変えて張り巡らされた。
次の瞬間に『吊り天井』の仕掛けが作動する。しかし張り巡らされた流体金属弾がそれを受け止める。
ホッとするアスカへ冷静に千夜子は問いかける。
「……これ、利用できないでしょうか?」
「と言いますと?」
アスカが逆に尋ねると千夜子はアスカに耳打ちする。
「そういうことならっ!」
と目を輝かせるアスカ。
この後はいくつかの部屋を警戒しつつ慎重に通り抜けていく二人。そして次の間へ足を踏み入れると、巻き起こる炎とともに姿を現す一つの影。影は嘲笑するように口を開く。
「ふん、女が二人で来たところで百面鬼・風魔小太郎を倒せるとでも思ったか?たわけめ、我が術を見よ! 風魔忍法『死鬼封神面』!」
六本の腕で印を切ると、次々に歴代風魔小太郎の霊が召喚されてくる。オマケとばかりに風魔小太郎はいくつかの面を破壊し、風魔忍法『風魔頭領面』を発動させる。歴代風魔小太郎の霊には及ばぬものの、戦闘力の高そうな風魔忍者の軍勢が召喚される。
歴代風魔小太郎の霊と忍びの軍勢から、嵐のように二人目がけて投げつけられる手裏剣。それに怯むことなく千夜子は「etolie montre」を構えると唱える。
「守りの青星、花盾となれ」
夜空が描かれた懐中時計の仕掛けが作動すると盾となり、さらに【操花術式:桔梗星盾(ソウカジュツシキ・キキョウセイジュン)】が展開される。魔力を込めた桔梗の花による盾は手裏剣を打ち消し、打ち消すことができなかったものもetolie montreが受け止めていく。それでもいくつかは千夜子の身体を掠めていく。
「くっ!」
痛みに対して呻きを漏らす千夜子。
その間にアスカがフェイルノートで誘導弾を撃ち出し、まとめて攻撃していく。誘導弾の炸裂に紛れ、風魔小太郎にマーカーを撃ち込むと千夜子に叫ぶ。
「一旦退きましょう、上手くいけばあるいは……」
アスカの言葉に頷いた千夜子はバックステップを踏みつつ退がっていく。止まぬ手裏剣の嵐に辟易しながら、それでも先ほどの茶室の向こうまで逃れた二人。敵の軍勢が茶室に押し寄せてくる。それを確認した二人は目配せして頷くと、アスカが網状の流体金属弾を破壊する。
網によって支えられていた『吊り天井』は落下して、敵の軍勢を巻き込んで崩壊する。それを見たアスカは(自分達の罠に自分達でかかるなんて、どんなギャグかしら?……とか思ってない思ってない……)と笑いをこらえようと必死だ。
ゆっくりと追ってきていた風魔小太郎は、召喚した軍勢が圧し潰されたのを見て地団駄を踏むしかない。
「今です! アスカさん!」
と千夜子は叫びながら、アスカの射線が通るように動く。
「風魔小太郎、初めまして。そしてさようなら!」
アスカの構えた「binary star」から【フレシェット・ノヴァ(フレシェット・ノヴァ)】が放たれる。マーカーが撃ち込まれていることを知らない風魔小太郎は、砲撃のようなレーザーを躱すこともままならずまともに受ける。
「ぐおおっ!」
一声叫んだ風魔小太郎は、それでもなお倒れない。これに驚いた千夜子とアスカはまるで夢を見ているのかと思い、それぞれの顔を見合わせてしまった。
この隙にこれ幸いと風魔小太郎は満身創痍ながら、素早い身のこなしで逃走する。二人は慌てて後を追うが、罠を警戒しつつ追いつくのは困難。あっという間に姿を見失ってしまった。
薄荷・千夜子
屋敷の仕掛けも合わせて気は抜けないですね
罠については【罠使い】の知識と【第六感】を頼りにうまく解除しながら進めれば
うまく使えそうなら発動場所の確認を
相手が先手を取るのであれば、其れ相応の準備もできるもの
いつ仕掛けられてもいいように警戒を怠らず、全力を防御に回します
[etolie montre]を構えてUC『操花術式:桔梗星盾』を展開
【全力魔法】【オーラ防御】【盾受け】での二重の盾を展開
攻撃を受けつつ【カウンター】【シールドバッシュ】【吹き飛ばし】【捨て身の攻撃】で反撃に
えぇ、強敵ですから負傷もありましょう
それでも、今が押し切るところです!
アスカ・ユークレース
からくり屋敷いいですね……こういう時でなければじっくり探検して攻略したのだけれど。
罠対策:釣天井は流体金属弾を網状に変化させ頭上に張り、受け止める事でカバー
【第六感】【情報収集】により間に合わないと判断したら安全地帯まで一気に駆け抜ける
POW対策:【誘導弾】の【範囲攻撃】でまとめて倒す
できればこのとき隙を見て紛れ込ませる形で小太郎に【スナイパー】を使いマーカーを打ち込んでおく
近づいてくる相手は【地形を利用】しギリギリまで惹き付け罠に誘い込む
(自分の罠に自分でかかるなんて、どんなギャグかしら?……とか思ってない思ってない……)
忍を一掃したら【フレシェット・ノヴァ】
「はじめましてさようなら!」
徐々に追いつめているはずだが、風魔小太郎は実に掴みどころがない。一組の女性猟兵も頭を悩ませながら迷宮のような屋敷を進んでゆく。
「からくり屋敷いいですね……こういう時でなければ、じっくり探検して攻略したいのですけど……」
とため息交じりに呟いたのはアスカ・ユークレース。
「風魔小太郎、恐ろしい相手です。屋敷の仕掛けも合わせて気は抜けないですね」
と声を掛けたのは薄荷・千夜子。お互い自己紹介を済ませたところ、二人で進むほうが安全だろうということで一致した。そして、罠と風魔小太郎への対処を交わす。
二人が進んだ先の部屋は広々とした茶室になっていた。すぐにでも茶会が始められそうな状態に支度がしてある。これに、わあっと反応したアスカ。
「これが茶室……初めて見ました。千夜子は見たことあるのでしょうか?」
「ええ、ありますけど……こんなに広い茶室は珍しいです。あっ! それに触らないで!」
千夜子が言い終わらないうちに、アスカは部屋の真ん中に置かれていた香合を手に取る。香合を手にしてからハッとするアスカ。慌てて「フェイルノート」から「Skiá psária」を頭上へ向けて撃ち出す。撃ち出された流体金属弾は四方へ広がり、網のように形状を変えて張り巡らされた。
次の瞬間に『吊り天井』の仕掛けが作動する。しかし張り巡らされた流体金属弾がそれを受け止める。
ホッとするアスカへ冷静に千夜子は問いかける。
「……これ、利用できないでしょうか?」
「と言いますと?」
アスカが逆に尋ねると千夜子はアスカに耳打ちする。
「そういうことならっ!」
と目を輝かせるアスカ。
この後はいくつかの部屋を警戒しつつ慎重に通り抜けていく二人。そして次の間へ足を踏み入れると、巻き起こる炎とともに姿を現す一つの影。影は嘲笑するように口を開く。
「ふん、女が二人で来たところで百面鬼・風魔小太郎を倒せるとでも思ったか?たわけめ、我が術を見よ! 風魔忍法『死鬼封神面』!」
六本の腕で印を切ると、次々に歴代風魔小太郎の霊が召喚されてくる。オマケとばかりに風魔小太郎はいくつかの面を破壊し、風魔忍法『風魔頭領面』を発動させる。歴代風魔小太郎の霊には及ばぬものの、戦闘力の高そうな風魔忍者の軍勢が召喚される。
歴代風魔小太郎の霊と忍びの軍勢から、嵐のように二人目がけて投げつけられる手裏剣。それに怯むことなく千夜子は「etolie montre」を構えると唱える。
「守りの青星、花盾となれ」
夜空が描かれた懐中時計の仕掛けが作動すると盾となり、さらに【操花術式:桔梗星盾(ソウカジュツシキ・キキョウセイジュン)】が展開される。魔力を込めた桔梗の花による盾は手裏剣を打ち消し、打ち消すことができなかったものもetolie montreが受け止めていく。それでもいくつかは千夜子の身体を掠めていく。
「くっ!」
痛みに対して呻きを漏らす千夜子。
その間にアスカがフェイルノートで誘導弾を撃ち出し、まとめて攻撃していく。誘導弾の炸裂に紛れ、風魔小太郎にマーカーを撃ち込むと千夜子に叫ぶ。
「一旦退きましょう、上手くいけばあるいは……」
アスカの言葉に頷いた千夜子はバックステップを踏みつつ退がっていく。止まぬ手裏剣の嵐に辟易しながら、それでも先ほどの茶室の向こうまで逃れた二人。敵の軍勢が茶室に押し寄せてくる。それを確認した二人は目配せして頷くと、アスカが網状の流体金属弾を破壊する。
網によって支えられていた『吊り天井』は落下して、敵の軍勢を巻き込んで崩壊する。それを見たアスカは(自分達の罠に自分達でかかるなんて、どんなギャグかしら?……とか思ってない思ってない……)と笑いをこらえようと必死だ。
ゆっくりと追ってきていた風魔小太郎は、召喚した軍勢が圧し潰されたのを見て地団駄を踏むしかない。
「今です! アスカさん!」
と千夜子は叫びながら、アスカの射線が通るように動く。
「風魔小太郎、初めまして。そしてさようなら!」
アスカの構えた「binary star」から【フレシェット・ノヴァ(フレシェット・ノヴァ)】が放たれる。マーカーが撃ち込まれていることを知らない風魔小太郎は、砲撃のようなレーザーを躱すこともままならずまともに受ける。
「ぐおおっ!」
一声叫んだ風魔小太郎は、それでもなお倒れない。これに驚いた千夜子とアスカはまるで夢を見ているのかと思い、それぞれの顔を見合わせてしまった。
この隙にこれ幸いと風魔小太郎は満身創痍ながら、素早い身のこなしで逃走する。二人は慌てて後を追うが、罠を警戒しつつ追いつくのは困難。あっという間に姿を見失ってしまった。
成功
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屋敷内に再び風魔小太郎の声が響き渡る。
「徳川の犬と思い侮ったが、なかなかやるな猟兵ども。ことここに至っては仕方あるまい、百面鬼・風魔小太郎も信長様配下『魔軍将』の一人。逃げも隠れも油断もせぬ、奥之院にて待つ。雌雄を決そうぞ!」
屋敷内の床、そこここにぼうっと印が現れる。どうやらこれに従って進めば、奥之院とやらに辿り着けるらしい。だが、辿り着くまでにいくつの罠が待っているだろう。
しかし、ここまで来て退くわけにもいかない。猟兵達は慎重に、しかし確実に奥之院に足を向けるのだった。
リダン・ムグルエギ
【ワイルド藩】
今回のデザインは「忍者vs忍者」
服の宣伝、存分に頑張ってね
面倒だし罠は任せたわ!
最初にバサラくんに陽動をしてもらい
以降の先制コードを彼に代わりに受けてもらって詰める作戦ね
彼や姫ちゃんに渡した忍者服は防具改造した特注品
防刃仕様だし忍軍の攻撃もある程度は大丈夫…なハズ
加えて、布一枚剥がすだけの早着替えで金色になる陽動・挑発に適した衣装なの
「全忍者が金色に見えてきたんじゃない?
「げっ、まず。バサラくん!ここじゃ天井が!
さらにコードの催眠術で後押し
敵味方の区別をつかなくさせて小太郎自身に軍団を蹴散らしてもらったり
位置を錯覚させ釣り天井で己を攻撃してもらったりを狙うの
さぁ、今よミナちゃん!
舞塚・バサラ
【POW】【ワイルド藩】
その歌舞いた見た目…拙者も負けてられん!!
罠対策
羽月殿と共に先導し、罠の発見等を行おう
釣り天井ならば落下しきる前に構造を破壊する、抜け穴を仕込む等で後を通る味方が進みやすく出来よう(破壊工作、第六感、見切り、学習力、地形の利用)
風魔小太郎のUCの発動に対してUCで陽動を担当
相手の目を引きつけ、攻撃を誘導
後は敵の攻撃を避け、凌ぎ、釣り天井のある部屋へ誘導する等しつつ、仲間に任せよう(逃げ足、存在感、時間稼ぎ、残像、地形の利用、戦闘知識、武器受け、早業、見切り)
さあ、しかとその眼開いて見るが良い!これこそは大服飾士リダン・ムグルエギが仕込み、八咫烏の装である!!(UC発動)
白鳥・深菜
【ワイルド藩】
序盤の目標は「存在を悟られない事」
進入時は『空中浮遊』で足音を消しながら、
感圧で起動する吊り天井の起動を防ぐ。
また交戦時も、チャンスが来るまでは
物陰に隠れるように立ち位置を取る。
注目が他のメンバーに向き、
自身への注意を向けにくい状況下で敵の背後を取りに行く。
そして、細剣を敵の背中に向け
『全力魔法』を乗せた【狩猟せし命に終焉を】!
その前に先制して来るであろう、
忍者の軍勢の忍者刀と手裏剣は
『見切り』『オーラ防御』『武器受け』でいなしながらも、
早急に本体に攻撃を通す。
「背後からの奇襲――
仮に相手から見えたと仮定してすらなお、
この線が最も有効だと見えた!勝負!」
羽月・姫香
【ワイルド藩】
さて、風魔の頭領ね…お手並み拝見、させてもらおかなっ☆
忍者屋敷…忍であるウチにそないな仕掛け、通用せんで?
【罠使い】の知識と【第六感】で釣天井の構造を看破してバサラさんと一緒に【破壊工作】仕掛けを弄ったろっ☆
忍軍に対してはウチの忍法を使って攻撃を【おびき寄せ】て周りの味方に被害が行かないようにするでっ☆
分身の正体は毒霧…【毒使い】の本領発揮やね☆
それにリダンさんがくれた服のお陰でウチの分身も金色にっ!
この格好やったら、分身も含めて陽動にピッタリやね☆
小太郎には、<南洋手裏剣>を【投擲】して攻撃、【2回攻撃】で拳銃の【クイックドロウ、スナイパー】もおまけしとくなっ☆
床に現れた印に沿って他の猟兵を先導するのは舞塚・バサラと羽月・姫香。
「羽月殿、それがしと共にみなが安全に進めるよう先行するでござるよ」
「ほな、行こか。風魔の頭領のお手並み拝見、させてもらおかなっ☆」
二人は化身忍者としての知識と技術・経験を活かし罠の発見と把握・破壊を行っていこうというのだ。
先行しようとする二人にリダン・ムグルエギが声を掛ける。
「ズバリ、今回のコンセプトは『忍者VS忍者』。服の宣伝、頑張って頂戴。あ、罠は面倒だから任せたわ」
リダンの言葉に二人はコクリと頷くと、さっそく仕事に取り掛かる。
「ふむ、吊り天井ならば構造を把握し、破壊するのは簡単でござるな」
とバサラが言えば、
「こんなん、忍びであるウチには通用せえへんで」
と姫香はバサラと共に天井裏へと素早く上がりこみ、奥之院へと続く通り道にある『吊り天井』の仕掛けを次々に破壊していく。その後をリダンらは悠々と通り過ぎ、ほどなくして奥之院へと辿り着く。
「ここから先へは上から……という訳にはいかぬでござるな」
とバサラが口を開けば、
「やっぱり進めんようになってたなあ」
と姫香が溜息を漏らす。
「見たところ、ここは独立した部屋のようね。奥之院って響きの割にかなり大きいけれど。ここまで来たのだから、何があっても進むしかなさそうね」
リダンは言葉と共に意を決して引き戸を開けると、そこには満身創痍ながらも落ち着いた様子の百面鬼・風魔小太郎。
「まさか猟兵ども如きにここまで追い詰められるとは思わなんだ。然らばこれで最後、百面鬼・風魔小太郎の全力とくと味わうがよい!」
言うなり風魔小太郎は身に着けていたありったけの面を握り潰し、叩き壊していく。今までとは比べ物にならない強さの風魔忍者の軍勢が次々に召喚される。
それを見たバサラと姫香が前に出る。
「ここはそれがしにお任せあれ」
「ウチも!」
「さあ、ショウタイムの始まりよ!」
リダンはバサラと姫香の衣装をはぎ取ると、そこにはGOATiaブランドの金色装束のバサラと忍びらしからぬ金色の装束をした姫香。
「その歌舞いた見た目……拙者も負けてられん!! さあ、しかとその眼開いて見るが良い! これこそは大服飾士リダン・ムグルエギが仕込み、八咫烏の装である!!」
「どうや?ウチの衣装も負けてへんで!」
二人はリダン特注仕立ての防刃仕様衣装に身を包み、風魔忍者の軍勢を相手取る。
否が応でも敵の目は二人に引き付けられ、殺到してくる。特にバサラは【技巧:八咫烏(ギコウ・キラメキニンジャフォームチェンジ)】によって、忍者としての潜伏・暗殺能力を代償に陽動能力を強化していく。
「フハハハハ、それがしの姿から目を反らせまい!!」
と得意げなバサラ。
姫香はというとバサラが引き付けた敵をおびき寄せつつ、【忍法・霧幻(ニンポウ・ムゲン)】により毒薬を代償とした分身を戦わせる。
「どれが本物か…分かったら百点あげるでっ☆」
手裏剣を浴びたり忍者刀で攻撃された分身は毒霧となって戦場を覆っていく。風魔忍者の軍勢はバタバタと倒れ、その戦闘力を奪われる。
「こっ、これは……神経毒か!」
袖で口元を覆いながら、風魔小太郎は毒霧の及ばぬ場所まで素早く移動するがギョッとする。その先にはリダンが先回りしており、あまりに巧妙な迷彩に風魔小太郎は直前まで気付かなかった。それでも目の前の敵に対して髑髏面の瞳を輝かせ、忍具や拳を六本の腕で繰り出す。
「もう手遅れよ。アナタの世界、アタシの言葉でデザインしてあげる」
【ゴートリック・フォース(ゴートリック・フォース)】で高速移動するリダンを捉えることを出来ずに空を切る【風魔忍法『六道阿修羅面』】。のみならず、催眠性のある甘い香りとともに幻覚を見せる声が囁かれる。
「貴方の目の前にいる人物は信長よ」
これを聞いた風魔小太郎は、後ろに一歩飛び退り平伏する。もうリダンの術中だ。
「ハ、ハハーッ! 信長様に向かって刃を向けるとは……ご無礼、お許し下され!」
その間にもユーベルコードにより寿命が削られていくリダン。
「結構キツイわ、これ。どちらにしろロクなものじゃないわね。今よミナちゃん!」
今まで名前の挙がらなかった猟兵の名が呼ばれる。白鳥・深菜、それが彼女の名前。
彼女は終始「存在を悟られない」ように立ち回っていた。あるときは空中浮遊で足音を悟られないように。また、奥之院に入るときも他の猟兵達に隠れるように。そう、今回のデザイン(作戦)を考えたリダンによってその存在が隠されるようにしていた。バサラと姫香の派手な衣装・派手な動きもその一つ。
深菜は「★水晶のアサメイ」と「★白銀のレイピア」を手に風魔小太郎の背後に立つと、その背に細剣を突き立てる。痛みにより目を醒まし、身を起こそうとする風魔小太郎に魔力で強化した短剣が急所に刺さる。
「背後からの奇襲――仮に相手から見えたとしてもなお、この線が最も有効だと見えたけど……。さあ、トドメよ!」
【狩猟せし命に終焉を(ミセリコルデ・エテルニタス)】を受けた風魔小太郎はその場に崩れ落ちると、永遠に与えられた慈悲により骸の海へと還っていく。
大成功
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