エンパイアウォー⑯~その男、阿修羅の如く~
●その男、阿修羅の如く
「此度の信長様の儀、しくじることなど万にひとつもありえない」
忍者屋敷の一室、畳の上に胡坐をかくその男は、異形の如き出で立ちをしていた。
横並びに並んだ髑髏の面に、六本の腕。
その結い上げられた髪は天をも突こうかという勢いだ。
その男の名は風魔小太郎――百鬼面の異名で畏れられる忍びの者。
これから現れるであろう猟兵達を迎え撃つべく、心身を研ぎ澄ましていく小太郎――怪しげな空気が、異形の幻想を幻視しかねないほどの圧を纏っている。
「小太郎様……」
ふと気づけば、彼の傍には突如現れた風馬忍者が報告の為に跪いていた。
その忍者が現れたのは……一見何も無いかのように見える、壁。
しかしそこには、模様に偽装された継ぎ目が存在した。
その継ぎ目こそ隠し扉の境目――この忍者屋敷には、こうした回転式の隠し扉が山のようにあるのだ。
「屋敷の周りに、徳川の手の者が……」
無言で頷き、立ち上がる小太郎。
今、サムライエンパイア史上最強を謳われる化身忍者と猟兵たちとの闘いの火蓋が斬って落とされようとしていた。
●グリモアベースにて
「これはまた、手強そうな御仁ですなぁ」
そうしみじみと話すのは、筋骨隆々の老執事、セバスティアン・ヴァンホーン(真なるお嬢様を探して・f14042)だ。
セバスティアンによれば、ついに風魔小太郎が補足されたという。
彼の予知によれば小太郎がいるのは、風魔忍軍の忍者屋敷。
その中に猟兵達を迎え撃つべく、準備万端で待ち受けているという。
「忍者屋敷には、ちと面倒な仕掛けがありそうですなぁ」
忍者屋敷には多数の回転式の隠し扉があるという。
小太郎配下の風魔忍軍が、その隠し扉を使って奇襲をかけてくるだろう。
もちろん小太郎の強さに比べれば、その程度の仕掛けなど児戯に等しい。
しかしながら、何かしらの準備をしていけば、戦い辛さは違ってくるだろう。
「敵は諜報のプロ……下手な隠密や奇襲は止めておいたほうが良いでしょうなぁ」
また敵は諜報のプロである忍者。
隠密作戦により忍びこんだり、奇襲を目指すのは現実的では無いだろう。
「皆様、敵は強力なオブリビオン……十分な準備を以って、気を引き締めて行ってらっしゃいませ」
老執事は、深々と頭を下げて送り出す――猟兵たちの安全を祈りながら。
きみはる
●ご挨拶
お世話になります、きみはるです。
毎度塩梅の難しいボス戦、甘すぎず辛すぎず……しかし皆様に楽しんで頂けるよう、頑張る所存です。
スケジュールの都合上、8/6(火)19時をプレイング仮締め切りとさせて頂きます。
もしもプレイング数が足りなければその旨マスターページに記載させて頂きますので、ご確認下さい。
●依頼注意点
いつも通り、下記ルールにご注意下さい。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
また、今回は戦場が忍者屋敷となっております。
忍者屋敷の仕掛けはUCではありませんので、対策が無くても致命的なことにはなりませんが、ある方がプレイングボーナスを加えさせて頂きます。
ただし、戦闘はあくまで風魔小太郎とのものがメインとなります。
つまり、小太郎との戦闘ルールが全てにおいて対応されますので、仕掛けへの対策はUC以外でお願いします。
第1章 ボス戦
『百面鬼『風魔小太郎』』
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POW : 風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD : 風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ハロ・シエラ
忍者屋敷……陰険な罠には慣れていますが、通用するでしょうか。
まず隠し扉ですが、なるべく音を立てずに歩き、扉が動く小さな音も聞き逃さないように気をつけ、奇襲を察知します。
【第六感】も助けになりますね。
風魔小太郎はかなり手数が多い。
まずは【早業】で近付いて接近戦に持ち込み、忍法による攻撃を【見切り】【武器受け】【オーラ防御】など何でも使って防ぐ事に専念します。
かなり傷付くでしょうが、なるべく服を切らせ、避けながら服の布を減らしていきます。
相手に追い詰めさせ、防具を失った所でユーベルコードで加速し、ダガーで【カウンター】の一撃を加える【だまし討ち】作戦で行きましょう。
傷付く【勇気】も必要でしょうね。
●
「忍者屋敷……陰険な罠には慣れていますが、通用するでしょうか」
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は、足音を立てぬよう、細心の注意を払って歩みを進める。
敵は隠密のプロ、忍者だ。
己が隠密で欺けるとは、ハロも始めから考えてはいない。
全ては予知で見られた隠し扉を使っての奇襲を警戒してのこと。
自身の足音によって邪魔されず、どんな小さな音すら聞き逃さないようにする為だ。
「……そこですっ!」
ハロは、振り向き様に手中の短剣を投擲した。
「ば、馬鹿な……」
そこには、心の臓を彼女の短剣によって貫かれ、ゆっくりと崩れ落ちていく者がいた。
その者は見るからに忍びの者と分かる黒装束に身を包んでいた――間違いなく、風魔忍軍の手の者だろう。
彼が驚くのも当然……その隠し扉は常人では聞き取れぬほどの微かな音すら立ててはいなかったのだから。
しかしハロは正確にその存在を把握した――彼女の研ぎ澄まされた五感と……その第六感によって。
「見事だ」
ふと目を向ければ、彼女が進まんとしていた通路の先に、敵将――百鬼面・風魔小太郎が立っていた。
先ほど敵を察知した彼女の第六感ですら感じ取れなかった気配。
反射的に構えを取ったハロは、その背に嫌な汗が吹き出るのを感じていた。
「風魔小太郎……参る」
その不気味な髑髏面の眼孔を怪しく光らせながら小太郎は構えをとると、緊張をも露に相対するハロへと飛び掛かった。
その速度は圧倒的。
六本の腕が、刀を、鎖鎌を、鉄扇を、苦無を、そして黒鉄に覆われた拳を振るう。
その一本一本が圧殺の威力を持ち、ハロへと襲い掛かった。
全神経を研ぎ澄まし、避け、又は両の手の武器でいなし、それでも尚避けられないものは結界で弾く。
しかし空を切った一撃が屋敷をも容易く破壊する小太郎の猛攻は、彼女の不可視の盾をも砕いて見せた。
次々に傷を増やしていくハロ。
しかし彼女は、決して致命的な傷だけは避けていた。
服を、肌を裂かれようとも、決して骨は、腱は、臓は守り抜く。
傷を負う覚悟を以って、戦い続ける。
「もっと、もっと……捉えられないほど、疾くっ!」
小太郎の凶刃がついに彼女を捕らえたと思われたその瞬間、彼女は此れまで以上の速度を以って、カウンターの一撃を加えた。
風魔小太郎をもってして避け切れない胴薙ぎの一撃こそ、服が減れば減るほど速度が増した斬撃を放つことが出来る彼女のUC、『スネイクバイト』だ。
段々と速度を増したハロは、あえて速度を保ち続け、勝負の一瞬だけにその最高速度を出すことで、小太郎の虚を突いたのだ。
「真、見事だ……なればこそ、信長様の為にも此処で死んでもらわねばならぬ」
己が腹に触れる熱いものを感じながら、風魔小太郎は構え続ける。
今まさに、眼前の敵を脅威と認め。
成功
🔵🔵🔴
星群・ヒカル
「忍者が堂々待っててくれるなんて有難い限りだな?」
『パフォーマンス・存在感』を放ちながら忍者屋敷に歩み入ろう
狙われてんのがわかってコソコソしたってしょうがない
むしろ堂々と振る舞うのは「考える隙」を与える
『第六感・視力』で部下が潜む回転扉を見出すだけの時間には十分だ
勝負は一瞬でつける
先制攻撃は『地形の利用・逃げ足』で手近な回転扉に逃げ込み回避
部下は『ロープワーク・早業』、超宇宙牽引ワイヤーで手早く絞めるぞ
回転扉の強度は紙みたいなもんだ、このままでは袋の鼠だろうな
だが回転扉は閉じ、一瞬でも敵からおれの様子が「視えない」のは命取りだ
その隙に『超宇宙・真眼光波動』を解き放ち、回転扉ごと敵を焼き飛ばす!
一比古・アヤメ
やれやれ、忍者としては相手の方が格上っぽいし、キツイ戦いになりそうだなぁ……
●忍者屋敷
【忍び足】や【迷彩】みたいな、忍者としての知識と技能を使って探索
回転扉の位置は正確に把握しておくよ
●戦闘
先制攻撃は【見切り】【迷彩】【残像】で対応
ま、こっちの技能を総動員しても全部の攻撃を捌ききれるとは思わないよ
狙いは【やられたフリ】だ。相手を騙すためにも全力で抵抗するよ
風魔と遭遇時、回転扉へ飛び込んで敵の配下を含めた乱戦へ
乱戦中こっそりオルタナティブダブル(分身の術)を発動
分身は迷彩で姿を隠して、ボクがやられた隙を狙って【暗殺】攻撃
本体の方が重症になる馬鹿な作戦だけど、こうでもしなきゃ格上は取れないしからね
●
「忍者が堂々待っててくれるなんて有難い限りだな」
星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)は隠れること無く、忍者屋敷を歩く。
その態度は超宇宙番長として恥じぬほどの威風堂々としたもの。
肩で風を切りながら歩くその様は一種のパフォーマンスかと感じるほどの存在感を放っていた。
風魔忍軍の忍びは悩んでいた……この男は一体何なのかと。
エンパイアで馴染みの無い珍妙な歩き方をするこの男は、一見隙だらけにしか見えないこの男は、どういうつもりなのかと。
しかし、そうした思考こそがヒカルの思う壺。
彼がねめつけるように振り回す視線は、冷静に隠し扉の場所を探していた。
(やれやれ、忍者としては相手の方が格上っぽいし、キツイ戦いになりそうだなぁ……)
忍びたちの注意を引くように先に歩くヒカルの後方を、一比古・アヤメ(信じる者の幸福・f12124)は気配を殺しながら進む。
彼女が用いているのは靴に内臓された戦闘用デバイス『スプリングレイン』による隠密光学迷彩。
そうした科学技術を用いても格上の忍びである風魔忍軍を騙し切れるとは思えない。
それでも未だ気配を察知されていないのは、一重に先を歩くヒカルが一身に視線を集めているからであろう。
「新手か……しかも後ろに鼠がついているようだな」
堂々たる態度により逆に素通りが許されたヒカルと、その助けもあり存在がバレずにここまで来ることが出来たアヤメ。
その視線の先に立つのは、ヒカル以上の存在感を示す風魔忍軍の棟梁、風魔小太郎。
歴戦の化身忍者である小太郎はヒカルに気圧されること無く、アヤメの存在を見逃すこと無く相対する。
既に臨戦態勢を整えている小太郎は、問答の時間も無くその手に持つ鎖鎌の分銅を投げつけた。
風を切り、軽やかな金属音を響かせながら伸びる鎖。
しかしてその威力は絶大、その先端の分銅を受け止めれば容易に骨が砕けるだろう。
対するヒカルとアヤメの選択は回避――アイコンタクトすら行なっていない二人の回避先は隠し扉の先という奇跡の一致を見せた。
「なっ!貴様っ!」
通路側の様子を伺っていた風魔忍軍の忍びたちは、まさか逆に奇襲されるとは欠片も考えていなかった。
「勝負は一瞬だぜッ!」
『超宇宙牽引ワイヤー』を振るい、忍びたちをまとめて締め上げるヒカル。
完全なる虚をつかれた忍びたちは、咄嗟の抵抗も出来ず縛り上げられていく。
一呼吸遅れた後にヒカルへと向かう残りの忍びたち――しかしそこに飛び込んだのは、彼だけでは無い。
「残念、ボクもいるよっ!」
小太郎には看破されたアヤメであったが、壁向かいの忍びたちにとっては未だ不可視の敵。
突如乱戦へと持ち込まれた残りの忍びたちもまた本来の実力を発揮すること無く、彼女によって無力化されていった。
此処までの攻防はわずか数瞬の出来事。
しかして超人たる風魔小太郎にとって……その数瞬は振るった鎖を手繰り寄せ、壁先へと追撃をかけるのには十二分な時間だ。
「小癪」
六腕同時の連続攻撃が容易く壁を突き破り、小太郎は二人の前へと現れる。
その勢いは縛り上げられた部下ごと吹き飛ばすほどの容赦の無いものだ。
「くらえッ!これが……超宇宙番長の輝きだッ!」
小太郎が壁を砕いたその瞬間、小太郎に視認されるまでの一瞬の隙を突き、ヒカルは星写す魔眼を発動した。
溢れるほどの強力な閃光が放たれる。
彼の瞳から放たれた魔力光波動が、両者の間に挟まれる壁ごと焼き払う。
金切り音が耳に残るほどの轟音の後、煙の晴れた先にはから現れた男は……敵は未だ健在だ。
その全身から煙をあげる小太郎は、間違いなく少なくない傷を負っていた。
しかし彼は傷の深さを感じさせないほどの怒りをその両眼に灯しながら、ヒカルを睥睨する。
「勝てると思わないけどねっ、それでもっ!」
ヒカルの背後に立つことによりその無差別攻撃から難を逃れたアヤメは、足の止まった小太郎へと追撃をかける。
巨大手裏剣を放ち、刀を滑らせる。
全身を焼かれたダメージにより反応の遅れた小太郎に対しても、その刃は一歩届かない。
最初の一刀こそアヤメの刀が届かんとしていたが、二度、三度と剣戟が重なり合うほど、戦いの修羅の反応はより正確に、より苛烈になっていく。
数合の後、手数に差を埋めきれなかったアヤメの腹を小太郎の刀が貫く。
ごぽり、と口から血を吐き出す彼女は……その口元に笑みを浮かべていた。
仮面により表情を伺わせないものの、怪訝そうな空気を纏う小太郎。
しかしそれは、次の瞬間驚愕へと変わる。
小太郎の背後から……“もう一人のアヤメ”が彼の背へと短刀を刺し込んでいたからだ。
「馬鹿な……分身など、この俺が見抜けぬはずが……」
正面で戦っていたアヤメ――彼女が分身を用いていたのならば、最強の化身忍者である己が気付かないはずが無い。
しかし、彼はもう一つの可能性に気付いてしまう。
馬鹿馬鹿しい可能性に気付き、己が刀により重症を負っている少女を見下ろす。
「ボクが本体だよ……本体の方が重症になる馬鹿な作戦だけど、こうでもしなきゃ一太刀浴びせられそうも無かったしね」
その苛烈な覚悟に、男は震えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
白斑・物九郎
●POW
「虎穴。邪魔ァしますでよ」
無手のナリで進入
●対隠し扉
【野生の勘】を隠し扉在処の類推に傾注
配下が現れる瞬間【念動力】で扉の回転に干渉
扉の回転を配下が操作した勢い以上に加速させ出端を乱す
●対ボス
手裏剣は回避(ダッシュ&残像)で対処
刀で仕掛けて来る者を待ち、狙う
刀使いが近付いて来たら、フォースオーラ:モザイク状の空間から出し抜けに【クイックドロウ】の要領で魔鍵を引き抜く
鍵先端パターン部で刀の【武器受け→武器落とし】を図り、得た隙へ【グールドライブ(吸血&生命力吸収)】
(無手と見せ掛けての【だまし討ち】)
このようにまず一人喰い、順次喰う
敵頭数を強化材料として逆手に取り、強化を積み小太郎を攻める
●
「虎穴。邪魔ァしますでよ」
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は駆ける。
その手には何も持たず、隠れもせず、忍者屋敷の通路を真っすぐと。
高速で移動する侵入者に対し、とっさに表に出ようとする忍びたち。
しかしその回転扉は、予想以上の速さでもって回転して見せた。
「残念っすね」
弾き出されるように通路へと現れ、たたらを踏む忍びたち。
その想定外の加速は、正確に隠し扉の位置を読み取って見せた物九郎が、扉の回転にその念動力でもって干渉して見せた結果だ。
その隙を見逃すこと無く、物九郎は瞬く間に虚空から取り出した巨大な鍵によって忍びたちを殴り倒していく。
「いでよ、風魔忍軍よ……」
通路の先で物九郎を迎え撃つべく仁王立ちするは、百面鬼・風魔小太郎。
己が面の一つを砕き宙へと放る小太郎――宙を舞った破片は煙へと姿を変えると、小さな爆発音と共に風魔忍軍が現れた。
既に連戦によって傷を負った小太郎は、一先ずこの場を部下に任せようとする構えだ。
「あんまり俺を舐めないで欲しいっすね」
残像が見えるほどの速度で肉薄する物九郎。
壁を蹴り、天井を蹴り、立体的な軌道を見せながら飛び交う苦無を避けて見せる。
もはや体で止めるしか無いとばかりに斬りかかる忍びに対し、巨大な鍵を器用に操り受け止めた彼は、くるりとその手を返すと手中の刀を絡めとって見せた。
「ザ・レフトハンド――【吸血/生命力吸収】ON」
武器を奪われ、無防備となる忍び。
刻印が刻まれた己が左手をその忍びの腹へと突き立てたと思えば、物九郎はその字の如く“喰らって”見せる。
一人、また一人と無力化していくほど、彼の動きはより精彩さを極めた。
「雑魚に相手をさせたことを後悔させてやるっすよ」
本来であれば己の体勢を整える為に呼び出した配下。
しかしその配下が、今まさに小太郎自身の首を絞めようとしていた。
今、人を喰らい血で喉を潤した獣が、鬼をも喰らおうと襲い掛かる。
成功
🔵🔵🔴
ウィルバー・グリーズマン
隠し扉ですか……見え難くする為に、壁と回る扉の間はほぼ密着してましたよね。アレを使いましょうか
『マッドネスソーン』発動、壁を粘着化させます
「全力魔法」も使用して、壁や天井、床にもしっかりと、極僅かな隙間も見逃しません。これで回転扉も動かないでしょう
完全に粘着化をし終えたら、『エアウォーク』で飛んでいきます
先制攻撃は『ミスチーフ』で手裏剣と鎖鎌を盗んで阻害します
UCが発動可能になれば【ダブルカウンター】
超身体能力の攻撃を『タイムクリエイト』で敵の動きを遅らせ、僕の動きを加速させて防いで、カウンターで跳ね返します
さあ、魔本の悪魔の力を解放しましょう
歴代の風魔小太郎ごと吹き飛びなさい、絶滅波動、発動
●
「さて、たまには冒険しませんとね……」
スーツとシルクハットに身を包み、紳士然とした様相で歩くその男の名は、ウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)
普段はグリモア猟兵として活躍するウィルバーであったが、このエンパイアの危機に自らも一猟兵として戦いに臨んでいた。
「さて、アレを使いましょうか……」
戦いの跡残る通路を眺め、己が手中の魔本『アルゴ・スタリオン』から一枚のページを引き抜く。
そのページに記されし魔術の名は『マッドネスソーン』
そのページがバタバタと風に吹き飛ばされ宙に浮いたかと思えば、一枚の紙が複製され、視界を遮る猛吹雪のように荒れ狂う。
宙を舞うページたちの動きが規則正しく円を描いたかと思えば、次々と勢い良く壁に貼り付いていったではないか。
途端にガタゴトと鈍い音を響かせながら揺れる壁たち――それは奇襲するべく待機していた忍びたちが、外に出たくとも出られないことによる雑音。
よくよく見れば、壁へと貼り付いていた魔本のページは正確に隠し扉の隙間を塞ぐように跨っており、まるで板を打ち付けたかのように頑丈に固定してみせたのだ。
浮遊魔術『エアウォーク』により貼り付いた粘着ページを避けるよう移動するウィルバー。
その視線の先には、こちらを睨む風魔小太郎。
既に幾人もの猟兵との戦闘を経た小太郎の全身には苛烈な戦闘による傷痕が見てとれた。
「風魔小太郎の名にかけて……敗北は許されん」
小太郎が召喚したるは過去の英霊――歴代風魔小太郎の霊。
それまで猟兵たちが戦った忍びたち以上の素早さでもって、ウィルバーへと襲い掛かる。
眼にも止まらぬ手裏剣が肩へを貫かんと、鎖鎌の分銅が膝を砕かんと飛来する。
猟兵であるウィルバーの身体能力であっても、避けることが出来ない高速の一撃。
しかしその刃は――気づけばウィルバーの魔本の間へと収めらていた。
「何とか……間に合いましたね」
避けられぬなら、その手段そのものを奪えば良い。
回避しきれないと判断したウィルバーは時を操る魔術『タイムクリエイト』により時をかせぎ、英霊の構える武器を狙い、その武器を奪う為の魔術『ミスチーフ』を用いたのだ。
自力で勝る相手に対し、ウィルバーはその手中の魔本に刻まられし、ありとあらゆる手段を用いて全力で対処していた。
数瞬の時を稼ぎ、放たれるは『ダブルカウンター』
毒には毒を……強大な相手には、強大な力を以って対処する。
ウィルバーの手中の魔本が禍々しい空気を纏ったかと思えば、魔本に住まう悪魔の力が解放された。
「歴代の風魔小太郎ごと吹き飛びなさい……絶滅波動、発動」
轟音と共に……周りを、漆黒の闇が覆った。
成功
🔵🔵🔴
花盛・乙女
戦国の後の世にも名を知らしめる風魔の頭領。
その業前を味見せんのは剣士の名折れ。
花盛乙女、推して参る。
準備してくれているのなら向かうのが礼儀。
正々堂々正面から忍者屋敷へと踏み込む。
雑魚とはいえ風魔の忍び、侮ることはない。
羅刹の威を十全に乗せた「殺気」を当て「挑発」、燻りだす。
貴様が風魔の頭領か。
なるほど、魔と名乗るにたる見た目だな。
先行して出される忍びには我が剣技【鬼吹雪】。
この目に捉えた範囲は全てが間合いとなる剛の剣。
こいつらの源はその面か。
ならば二振りの元、全ての面を割り、首を落とそう。
素顔に興味などはない。生憎男が苦手でな。
疾く骸の海へと帰り、信長公の寝床でも準備しているがいいさ。
カイジ・レッドソウル
忍軍対策
【暗視】【追跡】せんさー起動
【見切り】デ避ケツツ【カウンター】攻撃デ対処
小太郎戦
「目標視認、戦闘開始」
先手ニ対し奴の部下ガ近くニいた場合はテイルブレードで部下を【串刺し】にし投げつけ【敵を盾にする】
いない場合は【オーラ防御】
幸い本機は【火炎・電撃耐性】暫く持つはずだ。
からのオーラブレード投げ【咄嗟の一撃】から距離を一気に詰め【怪力】に任せ【串刺し】からのUC【天獄の雷】を放つ
●
「戦国の後の世にも名を知らしめる風魔の頭領……その業前を味見せんのは剣士の名折れ」
その女性の名は花盛・乙女(羅刹女・f00399)
一流の剣士である彼女は高揚していた。
強者との邂逅を……強敵との会敵を。
剣士である彼女は、魑魅魍魎の住まう忍者屋敷を堂々と歩む。
準備をしていようとも、いやしているからこそ……正面から踏み込まねばならないのだ――彼女の矜持として。
「任務確認、標的ヲ捜索スル」
隣を歩く男の名は、カイジ・レッドソウル(プロトタイプ・f03376)
これから待ち受ける戦いに意気揚々と望む乙女に対し、カイジは淡々と歩を進める。
ウォーマシンである彼にとって……試作兵器であるカイジにとって、任務とはこなすもの。
そこに感情を挟まず、冷静に歩を進めていた。
対照的な二人であれど、共に戦う猟兵であることは変わらない。
決して反目し合うことなく、勝利の為に互いにベストを尽くしているのだ。
「花盛乙女、推して参る」
突如として殺気を放つ乙女。
剣士として研ぎ澄まされた第六感が、忍びの者の気配を察知したのだ。
死を幻視するのどの威圧を向けられた忍びたちは、反射的に隠し扉から飛び出て刃を振るう。
しかしそれこそが彼女の狙い。
焦り、十全を発揮出来ない者に勝利は無く……斬りかかってきた刀を容易く往なせば、乙女は返す刀で一刀の下に切って捨てた。
「せんさー起動」
カイジもまた、伏兵の存在に気付いていた。
フェイスカバーの裏で起動された赤外線センサーが壁向こうの熱源を察知する。
いかに隠密のプロといえど……いかに気配を殺そうとも、その体温を無くすことなど、出来ないのだから。
奇怪な出で立ちのカイジへと警戒をしながら投げつけられた苦無を弾くと、その手中の『呪剣アオス・シュテルベン』で敵を貫いた。
「貴様が風魔の頭領か……なるほど、魔と名乗るにたる見た目だな」
伏兵を切り捨てながら進む二人の前に現れたのは、信長軍が将――風魔小太郎。
既に傷を負っている姿に万全の状態で戦いたかったと悔やむ乙女であったが、直ぐに思い直す。
相手は名高き風魔の頭領――決して慢心など出来る相手では無い……連戦による傷を負った今も尚、その圧は欠片も霞んでいないのだから。
「行け、風魔の忍びたちよ」
小太郎が召喚せしめしは通路を塞ぐほど大量の風魔の忍び。
その軍勢が後が無いとばかりに死に物狂いで二人へ向かう。
「目標視認、戦闘開始」
相手の気迫など知ったことでは無いと、カイジは冷静に迎撃の構えを取る。
飛び掛かってきた忍びを背後の『テイルブレード』で貫けば、宙へと吊り上げそのまま敵陣へと突貫した。
次々と放たれる苦無を死体を盾に受け、投げつける。
小太郎を守らんと組まれた隊列は、巨大な鋼の戦士に蹂躙された。
「雑魚に用はない!鬼の吹雪で乱れ散れ!」
カイジの背後に続き敵陣へと飛び込む乙女。
踏み込みと共に振るわれた一閃が刀の間合いを超え、正しく吹雪のように視界全てを薙ぎ払う。
一刀の下に忍びが薙ぎ払われ、二刀の下に面が破壊される。
これまで強者を喰らい力へと変えられて来た面が、黒い靄を吐き出しながら崩れさっていった。
「貴様、貴様ぁ!」
己が力の源である面を破壊され、激昂する小太郎。
刀を振り切った体勢の乙女へと向けられた小太郎の凶刃を弾いたのは、カイジが咄嗟に放った『黒剣』であった。
続けて繰り出される猛攻を怪力に任せ押さえつけると、巨大な鋼の尾で串刺しにするカイジ。
「天獄の雷始動」
カイジは全身から高圧電流を放つとテイルブレードを通し流しんだ。
「ぐっ、ああっ!」
異臭を放ちながら、苦悶の声と共に全身から煙を上げる小太郎。
体内から焼かれた最強の化身忍者は、ゆっくりと膝をついた。
「貴様の素顔に興味などはない。生憎男が苦手でな……疾く骸の海へと帰り、信長公の寝床でも準備しているがいいさ」
捨て台詞と共に滑らせた乙女の刀が、静かに百面鬼の首を切り落とした。
今、猟兵たちとの激戦の末……百面鬼・風魔小太郎が打倒された。
成功
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