6
エンパイアウォー⑯~詭道

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦争
🔒
#エンパイアウォー
🔒
#魔軍将
🔒
#風魔小太郎


0




「サムライエンパイアを東へ西へ~、北へ南へ~。皆さぁ~ん、お疲れ様ですぅ」
 兎耳をひょこひょこと揺らし、連日の戦を駆け抜ける猟兵達を労うはハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)。
 依頼を案内するまでの間はせめてと、飲み物にお菓子にと用意して、心ばかりの歓待をと試みている。
「ですがぁ、そんな皆さんのお蔭でぇ、魔将軍の1人、風魔小太郎の居場所が分かりましたよぉ~!」
 わー、ぱちぱち。
 手を叩き、猟兵達の戦いが無駄ではないのだと、1人拍手喝采を。
 そして、彼女に曰く、それは今、山間に隠された屋敷の1つへと潜伏しているのだと言う。しかも、随伴たる存在はおらず、風魔小太郎1人で、だ。
 それは彼を討ち取る絶好の機会。見逃すにはあまりにも惜しい機会。
「ただですねぇ、その彼が潜伏する場所がすこぉ~し厄介そうなのですぅ」
 風魔小太郎。その名はサムライエンパイアのみでなく、他の世界でも時に忍の名前として耳にする機会もあることだろう。その彼が居る屋敷なのだ。ただの屋敷であろう筈もない。
「恐らくですがぁ、槍衾であったりぃ、落とし穴であったりぃ、括り罠であったりぃ、そういった類の罠も用意されているかとぉ~」
 ユーベルコードではないそれが、猟兵達にとって直接的な脅威となることはないだろう。
 だが、それによって出来る僅かな隙というものは、風魔小太郎という敵を前にしては看過できないものとなり得る。
 もしかすれば、そういった仕掛けがあるからこそ、彼はそこに1人であるのかもしれない。
「ですのでぇ、敵は1人と言えどもぉ、油断はなりませんよぉ?」
 魔将軍の一翼という強敵に加え、地の利も相手側にあると言える。
 しかし、それでもかの者を討たねば、サムライエンパイアの完全なる平和には至れない。
「この戦いも、数多ある戦いの1つで、通過点の1つなのかもしれません。ですが、それを積み重ねてこそなのです。皆さん、どうか、お気をつけていってらっしゃいませ」
 懐中時計から投影されたグリモア。それへ銀の鍵が差し込まれ、捻り、カチリと響く開錠の音。
 そして、猟兵達の世界は切り替わる。

 光収まり、視界が彩を取り戻した。
 そこにあったのは、山間へと隠されるように佇む、静かな屋敷。
 外より垣間見えた庭に敷かれたる小石の海。そこへ描かれた紋様は流れ、その中からそこかしこと顔を出すは巌の群れ。
 内へと入ればい草と月日を重ねた材木の香り漂い、来客者を迎え入れる。
 侘び寂と言うべきか。水を打ったように静かなそこは、まるで外界から切り離された別世界のよう。

「お前達を招いた覚えはなかったが、まあ、いいだろう。入れ」

 その静けさを破る厳かな声。
 屋敷の主たる者の声に従うように、屋敷が動く。
 部屋を隔てる障子扉が一人でにと開き、開き、開き、奥へと続く道を示したのだ。
 それは果たして罠なのか。
 逡巡はある。だが、先へと進まねばならぬのもまた事実。
 故に、来客である――屋敷の主からすれば招かれざる、ではあっただろうが――猟兵達は奥へと続く道へと足を踏み入れた。
 踏みしめた足の重さに、廊下がきいきいと鳴き声を上げる。
 そして。

「――来たか、猟兵共よ」

 ――踏み込みたる屋敷の奥の間にて、百面鬼『風魔小太郎』が猟兵達を待ち受けていたのであった。
 そこにあるのはハーバニーより聞いた通り、風魔小太郎が1人のみ。
 だが、気を付けよ。表面上はどうあれ、此処は外界から切り離された異界――風魔小太郎が支配する場所なのだから。


ゆうそう
 オープニングへ目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 まず注意事項として、このシナリオは「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 そして、百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 なお、風魔小太郎とは既に遭遇し、戦闘の口火を切らんとする所から開始となります。
 ですが、オープニングでも僅かと触れましたが、風魔小太郎が潜伏していた屋敷は忍者屋敷であり、あちらこちらに罠が設置されています。
 戦いの最中、それを発動させてくる可能性も十二分とあるため、それへの対策もあれば余裕があればしておいた方がいいかもしれませんね。

 強敵との戦いだけでなく、地の利への対応など考えることが多いかもしれませんが、皆さんのプレイング・活躍を心よりお待ちしております。
188




第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エーカ・ライスフェルト
閉所で超人的忍者複数に襲われる、か
銀河皇帝と戦ったときより厳しい戦闘になりそうね

オブリビオンの先制攻撃には持久戦で対処するわ
具体的には、【念動力】で屋敷から引っぺがした床板や畳を並べてバリケードや盾にしたり、狙いをつけずに【念動力】を全方位に連射しようとする
「私の腕ではあなたに当てられないでしょうね。でも、少し時間を稼ぐ程度なら出来るし、するつもりよ」

今回使用とするUCは【理力全開】
強化されたフォースオーラを【念動力】に加え、屋敷を先に壊すつもりで、私を中心に球形に破壊していこうとするわ
UCの飛翔能力は、足場が無くてもその場に留まる程度にしか使わないわよ。アレ相手に空中戦で勝てると思えないもの



 山奥囀る鳥の声。
 山間吹き抜ける風が梢を揺らし、ざぁ、と音を掻き立てた。
 そして。
「骸の海、果てより来たれ」
 ――その静けさを打ち破る声一つ。
 猟兵達と対峙する風魔小太郎がその声に従い、現れ出でたはその姿似た者達。
 そのどれもが髑髏の面を持ち、寸分違わぬとまでは言わないが、いずれもが同じだけの圧を猟兵達へと感じさせていた。
 それもその筈、生きた時代こそ異なれど、そのどれもが風魔小太郎の名を持つ者達。
 故に、猟兵達には理解出来たのだ。即ち、一筋縄ではいかない、と。

 ――散。

 そして、それを証明するかのようにと形持つ殺意の風は吹き抜ける。猟兵の命を刈り取らんとして。
「閉所で超人的忍者複数に襲われる、か」
 ならばこそ、その殺意の風を凌ぐ壁を生み出そう。
 エーカ・ライスフェルト(電脳ウィザード・f06511)が意思は、折れず、曲がらず、いかな時であろうとも己が我を貫き通すのみ。
 例え、それが憎み憎まれ、怨嗟の連なりの一端となろうとも、悪と蔑まれることがあろうともだ。
 故に、その在り様、心の強さには些かの瑕疵もなし。
 畳が、床板が、壁が軋み、屋敷がぎしりと悲鳴を上げた。
「ほう、面白い。屋敷ごと、我らを砕かんとでもするつもりか」
「ま、似たようなものよ」
 それが成就するよりも早く、風魔が動く。
 歴代たる各々が手にした手裏剣が、鎖鎌が、その優れた五体を介していずれも必殺の一撃足りえるものとして、エーカへと放たれたのだ。
 だが。
「なんと、畳返し……否、屋敷返しとでも言うべきか」
「名前なんてないわ。好きに言いなさい」
 悲鳴という名の抵抗は虚しく、軋む畳が一人でに――いや、エーカの誇る念動力によって浮かび上がり、それは壁となる。
 そして、念動力に包まれたそれはただの壁などではない。
 ただの畳として浮かび上がらせただけであったのなら、それは容易くと撃ち抜かれ、壁とすらなれなかったことだろう。
 だが、ここにあるのはエーカであり、その身に秘めたる念動の力、精神の力は揺るぎなきもの。それを示すかのように、硬質なる音をたて、手裏剣は地に落ち、鎖鎌の分銅は弾かれた。
「それじゃあ、お返しよ。当たると痛いじゃ済まないから」
「面白き術を使う女子よな!」
「貴方達に言われたくもない気がするわ」
 壁はそのまま敵穿つための刃となる。それはつまり、畳手裏剣とでも言うべきものか。
 念動力によって宙に浮かされたそれは、エーカの意思へと従い、その身を豪速でもって風魔達へと撃ち出されたのだ。
 それも手あたり次第、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。そう言わんばかりに。
 とは言え、狙いも付けぬそれはその大半が虚しく宙を過り、風魔が手により打ち崩される。
「下手な鉄砲に当たるのは、間抜けの所業よ」
「ええ、そうでしょうね。私の腕で当てられるなんて、思ってないわ」
「なんだと?」
「でも、時間を稼ぐ程度には、布石を打つ程度にはなった」
「――!」
「屋敷返しって言うなら、これぐらいはしないとね」
 四方八方と散らばった畳は床に突き刺さり、壁に突き刺さり。
 だが、エーカの念力は未だ途切れてはいない。
 だからこそ。

「フォース・フルパワー」

 ――それは爆弾ともなり得るのだ。
 夜の帳に煌めくは星屑の輝き。纏う夜色のドレスを彩るは念動力の残滓が光であり、その姿はまた違う印象を与えるものへと変じたのである。
 そして、全身のオーラを媒介として、畳は正しくと起爆する。その内に秘めたエーカが念動力を外へと吐き出して。
 屋敷がぐらりと揺らいだ。
 エーカが狙いは最初から屋敷自体――ひいては、そこに隠された罠であったのだ。
 故に、その衝撃駆け抜けた後に残る景色は、彼女の目的が達成されたことを示すもの。
 荒らされた屋敷の光景が、そこには広がっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

テリブル・カトラリー
覚悟

ライトマシンガンで小太郎に牽制の弾丸を撃ち
その隙に暗殺してくる風魔忍者を見切り
ブレードライフルの光の剣で属性攻撃

極力動かず
周囲の地形等の情報収集
及び戦闘知識から罠が発動しても対処できるよう警戒しつつ
銃で敵と光の刃で迎撃し包囲され、一斉に攻めかかられるように動く。
(時間稼ぎ)

こちらの対処が間に合わないほどの数で攻めてきた所で
【蒼い戦機】発動

空中浮遊と超機動力を使いその場で回転、
同時に軽機関銃とライフルの両銃でカウンターの弾幕を張り
風魔忍者をなぎ払い、早業。
マシンベルトを介して素早く(残像)持ちかえたサイレントスナイパーライフルで配下を壁にしようと撃ち抜く威力で風魔小太郎を狙撃(鎧無視攻撃)



 静寂の音はとうの昔。
 侘び寂は剣戟響く戦にて塗りつぶされたのだ。
 猟兵が仲間の1人の手により、屋敷の内部は荒らされ、罠の幾つかはその存在を露呈させるなど、その機能を落としている。
 だが、それを目的としていたが故に、風魔は、風魔達は未だと健在であった。
「侮るな。1人1殺、己が命を賭してでも行うと心得よ」
 だからこそ、風魔達はその身賭してでもと猟兵達を討たんとするのだ。
 そして、風魔と猟兵とが邂逅を果たした部屋だけではない。屋敷のあちらこちらで戦いの音が響き始めた。
 その一角。
「ほう、女だてらに見事な体格よ」
「――覚悟」
 風魔が1人の声を断ち切る銃撃の音。
 それはテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)の手の内、軽機関銃の奏でる戦の音だ。
「豆鉄砲で我らを討てると思わぬことよ!」
 制圧の声は影を踏めず、荒れた部屋の内部を更に更にと荒らしていく。
 無言貫くテリブルの代わりとばかりに、軽機関銃はその声は響き渡らせ続ける。
 跳んで、天井蹴り、壁蹴り、床を蹴り、風魔が動きはまさしく縦横無尽。
「語る口すら持たぬか!」
「――必要がない」
「ならばその口、断末魔でこじ開けてやろう!」
 影は軽機関銃に捕らえられず。しかし、巧みなる弾幕は近付くをも許しはしない。
 だからこそ、会話による隙を作らんとしたのであろうが、テリブルにそのような行動は無意味。
 怜悧な光宿す眼差しが風魔を見据え、叫び続ける軽機関銃の声を返礼とされるばかり。
 故に、痺れ切らした風魔は打開の手を打つ。
 髑髏の面が外れ落ち、その奥により晒すは無貌。総体としての風魔となった者達に、個としての証明などないと言わんばかりの。
 だが、今、注目すべきはそこではない。
 外れ落ちた面は床に落ち、砕け――破片は数多の忍びの影へと変じ、雲霞の如くとテリブルへと襲い掛かるのだ。
「顔も持たない者が、口だ何だと言うとはな」
 銃撃が押し留め、光は影を打ち払う。
 それはテリブルの技術がなせる業であり、個でありながら数多を押し留める戦場のエキスパートとしての。
「これでもまだ耐えるか、敵ながら天晴よ! だが、腐ろうとも、死のうとも、我らは忍びよ!」
 屍を積み上げようとも、死を恐れぬ者達はテリブルを呑み込まんと波の如く。
 じり、じり、とその圧は増し、如何な彼女の手腕があれども、支えきるには限界がある。
「――獲った!」
 そして、遂に屍を影として、テリブルの鉄壁を越えた者が、その身に刃を突き立てんと。

「――装甲、完了」

 ――するより早く、テリブルはその姿を蒼き死神へと変じる。
 青き粒子がその身を包み、瞬きの間もなく覆うは蒼の鎧。髑髏の面。
 そして、彼女の認識は加速して、加速して、加速して、面越しの世界の動きは灰色に。
 認識の中でゆっくりと動き、迫るは脅威であった者達。テリブルという囮にまんまと食いついた者達。
 粘つくような世界の中で、テリブルだけが蒼の燐光を零しながら常の速度でするりと動いた。
 その脚は罠の1つも踏みはしない。
 何故なら、彼女は見ていたからだ。どこを跳ねたか。どこを足場としたか。どこを――その風魔の動きの1つ1つを決して見逃さずに。
 踊る様にくるり。遅れて軽機関銃の声が間延びして響き、その口より吐き出される弾丸が描く軌跡が見える。
 ゆるりと弧を描くように、包囲し、迫る忍び達を指し示すように、テリブルは銃口をすいと動かしたのだ。

 ――そして、世界の彩が戻る。

 弾けた轟音が瞬く間と忍びの影を無に帰し、その奥にあった風魔の姿を引き摺り出した。
「如何な妖術だと言うのだ」
「妖術などではない。過去を葬るための、ただの技術だ」
「――貴様が、我が死神であったか」
 テリブルが手にするは死神の鎌ならぬ、軽機関銃より持ち替えた大型の狙撃銃。
 それがその威容からすれば余りにも静かに、そっと、死を齎す吐息を零した。
「死神かどうかなど知らないが、どうあれ、オブリビオンである以上、私がやる事は終わせる事だけだ」
 無貌に咲いた風穴1つ。それが彼女から風魔への餞。

成功 🔵​🔵​🔴​

依神・零奈
風魔小太郎、現世を乱す鬼へと化した……か
なら私はそれを討ち祓う、ただそれだけ

まずは敵の先制攻撃を防ぐ
歴代風魔の霊……か、それであるなら【破魔】の力を周囲に展開
霊体であるなら弱体化を狙える筈
その上で無銘刀を構え【カウンター】で手裏剣や鎖鎌の迎撃を狙う
防衛に集中し攻撃の勢いが弱まったらまずは【第六感】【情報収集】で
周囲の罠の位置をできる限り把握して発動した際に反応できるように
気を配っておくよ

「運命は確定した、キミに来たれる死の面相」

相手の攻撃が収まる隙を突いてUCを発動
舌禍による禍言……【呪詛】で相手を蝕みつつ
相手の無数にある手の切り落としを狙うよ
手数が少なくなったら胴体へ斬り込んでいく



「風魔小太郎、現世を乱す鬼へと化した……か」
 迫りくる刃を打ち払い、依神・零奈(忘れ去られた信仰・f16925)の高貴なる色がはらりと揺れる。
 続く手裏剣にも、空裂き迫る分銅にも、その手に握る無銘は揺らぎなどしない。
「――なら、私はそれを討ち祓う。ただそれだけ」
「只人の女と油断するな。やりおるぞ」
「言われずとも」
「そう。キミ達には私がヒトに見えるのか」
「何?」
「いや、いい。なんでもないよ」
 それは忌むべきことか、はたまた喜ぶべきことか。
 この世に生まれ落ちて幾星霜。その身に宿す信仰はとうに薄れ、信仰なき神とは果たしてなんであると言うべきのか。
 それはともすれば、ヒトと変わらぬのかもしれないし、やはり神は神でしかないのかもしれない。
 答えはそこにある筈もなく、答える者もまた居ない。
 ただ、無銘の刀――正体不明なる刀だけが零奈の手の内で震えていた。
「――それに、今はやるべきことがある」
 そっと触れたは桜色。
 それがあるからこそ、それがあったからこそ、彼女は未だとここにあるのかもしれない。
 そして、ふわりと空気が動いた。
「ぐ、ぬ……!? 影縫の類か!」
「違うよ」
 駆け抜けた風は清浄なる風。
 如何に人々へ忘れ去られようとも、決して忘れえぬ想いが齎す、破魔なる力。
 それは破魔の力を宿すが故に、現世に仇名す霊を、邪悪なるを赦しはしない。
 目に見えて風魔達の動きが鈍っていた。
 それは飛来する手裏剣の数の減少であり、刃の奔りの鈍さであり、迫る脅威が齎す圧の減少。
 先程まで迎撃出来ていたのだ。ならば、鈍りし脅威など、迎撃出来ぬ訳もなし。

「運命は確定した。キミに来たれる死の面相」

 護りへと割いていた手が余れば、反撃へと転じるは当然。
 ゆるり踏み出す1歩は優雅に。だと言うのに、風魔達は我知らずとその身を半歩と下げていた。
 それは、無意識に感じ取った脅威の証か。それとも、心蝕み、忍び寄る呪いの影が影響か。
「――っ! 踏み込んだな!」
 だからこそ、彼らは己が自らと零奈へと挑みかかるでなく、罠を頼ったのだ。
 それを盾とし、隠れ蓑とし、彼女を討たんと。
 零奈が踏み出した1歩の先、荒れた床板貫いて現れるは槍衾。
「ああ、踏み込んだよ」
「――!!」
 だがそんなもの、彼女の脚を止めるにすら至らない。
 まるで分っていたかのように閃いた軌跡が迫る槍の穂を落とし、解体し、ばらりと無害へと砕くのだ。
 それは神託を司っていた時の片鱗だったのか。
 だが、その余りの手際の良さは風魔にとっての不幸に他ならない。
 彼女が槍衾に対応するその瞬間、それこそをを狙ってと跳び出していた風魔の身体は、最早止められない。
 それはただ無防備に、その身を零奈の前へと差し出したかのようで。

「帰依の御霊、倦む惰性を絶て」

 ――その隙を見逃す程に、零奈は甘くなどない。
 解き放たれた言の葉を媒介として、風魔の心忍び寄っていた呪が形を成す。
 それは心を戒め、身体を戒める黒き澱。
「――何故だ、何故動けぬ!」
「死の掌から零れ落ちたキミ達に、死が追い付いただけだよ。もう、黄泉の底へと還る時だ」
 神威宿した紫が見据える先、捧げられたは黒き澱に囚われた憐れなる生贄。
 そして、澱を、魂を、穢れ雪ぐ刃が風魔の身体を音もなくと断ち抜けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
なんとも面妖な……
ニンジャとは強力な戦士であると聞いています、油断せずにいきましょう

白き翼の真の姿を解放
【属性攻撃】で聖槍と四肢に炎を纏う
出し惜しみはしません――!

本体である風魔小太郎の前に軍勢を蹴散らす
あの面が力の源なら、それを代償とする軍勢を削れば……

強化された【視力】で【見切り】、忍者刀を【槍で受け】流し、殴り飛ばす(怪力・グラップル)
手裏剣を掴んで投げ返す(カウンター・投擲)
投擲はそれなりに嗜んでいますので(投擲・槍投げ・戦闘知識)

落とし穴を【空中戦】で飛び越え、槍衾を羽撃きで【衝撃波】を起こして突破
飛翔の勢いをさらに加速し、風馬小太郎を【踏みつけ】【熾天流星脚】で蹴り砕く



 轟音を響かせ、外へと跳び出す影2つ。
 ざりざりと音響かせ、小石を飛ばし、枯山水の流れに新たなる波紋を刻んでいく。
「なんとも面妖な……」
「それはこちらの言葉でもあるな」
 面持つ偉丈夫たる風魔。それと相対するは、白き翼を解き放ったオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が姿。
 出自の違い、生まれた世界の違いが故か、互いが互いの見慣れぬ姿に警戒を心へと宿す。
 だが、それでも今を生きる者と過去を生きた者の違いはある。
 それは情報の差。
 過去を生きた者であるところの風魔には、オリヴィアのような存在への情報がなかった。
 しかし、オリヴィアは違う。生まてれより今日までに歩んできた時間の中で得た知識が、情報が、彼女の中で息づいているのだ。そして、その中には勿論、忍者のことも。
 だからこそ、両者の行動は異なった。
「出し惜しみはしません!」
「その力、呑み込んでやろう」
 白き翼は空を力強くと叩き、その身を前に。
 仮面なるはそれより生じる軍勢を盾として。
 生じた忍び、数多の足音が小石を蹴立て、荒波となってオリヴィアの白を呑み込まんと差し迫る。
 だが、それで止まる彼女ではない。
 四肢に、手にした聖槍に、炎が灯る。
 それは暗闇照らし出す灯りであり、闇を祓う聖なる炎。
 ゆらりと燃えるそれに、オリヴィアの白はより一層と輝き映えるのだ。
「あなたですらない有象無象に、止められると思わないで下さい!」
「ほう、言うではないか。では、証明して見せよ!」
「言われるまでもなく!」
 進む先に刃の煌きが見える。飛来する脅威が見える。呑み込まんとする影の1つ1つが見える。

 最小の動きで躱した刃が身体のすぐ傍を過った。
 躱した先に飛来した脅威は逆にと掴み返した。
 そして、迫る影、影、影。その波が彼女の姿を覆い隠した。

「ふん、所詮口だけか」
 風魔が面前にて積み上がった影の山。気高き白はその最奥へ封じられるように、姿を消したのだ。
 山は微動だにして動かない。
 だからこそ、風魔は終わりを悟り、戦い続ける先代であり、後継であり、己である総体としての風魔を援護すべくと山より背を向けた。

 ――ぐらりと、山が小さく揺れた。

 それは僅かに、しかし、確実に。
 そして、その揺れは少しずつ、少しずつと大きくなる。まるで噴火を待つ火山のように。
「――なんだと?」
 異常なる事態。終わった筈の光景に、まだ続きがあるとは。それに場を離れんとしていた風魔の脚が止まる。

 ――響いたのは唸りか、地鳴りか。

 ズン、と地に響く音が響き、砕け散るは影の山。漏れ出すは光輝。
 吹き飛ぶ影を火山の灰の如くと空より降らせ、そこに立つは健在なるオリヴィアが姿!
「言った筈です。有象無象に止められると思わないで下さいと」
「――あれを押し返したか!」
 響く感嘆の声は当然か。
 数の利は力であり、強大なる個であろうとも積み重ねた小に負けることもある。
 それを体現したつもりであったが、ここにおいてはそうはならなかったのである。
 残る影を掃うように、槍が閃き、拳が唸り、脚が薙ぐ。炎を尾として、軌跡を描きながら。
 その動作の毎に、刀折れ、飛道具は地に落ち、影なる忍びは更に更にと宙を舞う。
 そして、オリヴィアは身をかがめ、ぐん、と力強くと小石の波を蹴り、影達を追うようにとその身を宙へ。

「これでお終いとしましょう!」
「――爆ぜろ!」

 飛び上がったオリヴィアの脚へと集うは炎。轟轟と渦巻く力が周囲を赤々と照らし出す。
 明確なる脅威。
 だからこそ、風魔はそれをただ受け入れるを良しとせず、地よりオリヴィアへと目掛け術を放つのだ。
 それは燃える土塊。隕石落としの術。
 戦場飛来させたものに比べ、規模としては幾つか落ちるが、それでも人1人を砕くには十分すぎるそれ。
 だが。

「猛き炎よ、我が脚に集い、破邪の流星となれ!」

 ――流れ落ちる星ならば、ここにもある。
 羽ばたきは力強く、地より昇りくる隕石の先――風魔を目掛けて、オリヴィアはその身を一筋の流星と変えるのだ!
 そして。
「ハァァァァッ!!」
 ――流星は小石の海を断ち割って一筋の痕を残すのみ。
 着地の勢いを殺すオリヴィアの向こう、巌が砕け、魔は穿たれ、爆炎が戦場を照らし出していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
何が相手だろうとやることは変わらない。
もとより常在戦場。

どうあっても先手を取られるというなら、端から後の先の【覚悟】を決め、腹を据えて【勇気+激痛耐性】推して参る。

調息、脱力、戦場を観【視力+第六感+情報収集】据え、敵の戦力、総数と配置、周囲の罠と遮蔽物を確認。

得物は素手格闘【グラップル】
長期戦を想定しUCは防御強化。

先ずは雑魚の処理しながら機を伺い、敵将の隙を量【見切り】る。
無駄な動きを抑え、近くの敵を盾にする、または周囲の遮蔽物や罠を積極的を利用【地形の利用+学習力+戦闘知識】
雑魚を処理し敵将への障害を排除、最短距離を【ダッシュ】で懐に肉薄し【捨て身の一撃】を叩き込む。



「何が相手だろうとやることは変わらない。もとより常在戦場」
「常在戦場。なるほど、太平の世であろうと武士はあるか」
 実践と鍛錬が磨き上げた上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)が佇まい。
 それはその言葉を証明するかの如くと、付け入る隙も無し。
 戦国の時を生き、数多の武人と相対し、修羅場を潜ったであろう風魔が眼を持ってしても、そう見えていた。
 互いが互いの得手とする距離を測る様に、じりと脚が地を擦る。
 高まる緊迫感。
 互いの内にて繰り広げられるは見えぬ刃の応酬。相手が如何に動くかを想定し、その想定を如何に覆さんとする思考の刃。それに、空気が焼き焦げる。
 そして、両者の重みに、ぎぃ、と廊下が鳴いた。

「ハァッ!」
「――フゥッ!」

 その音を開戦の合図として、両者は動く。
 先手と迫るは六腕。握る刃の煌きに固くと締めた拳の威圧。
 対するは修介が二つの腕。あるのは拳ただ1つ。
 手数の差は明白であり、武器の差も明白。
 だが、それだけだ。
 手数の差は確かに脅威であり、武器の差も脅威。しかし、視えていれば、対処も可能。

 ――動く手は流水の如く力を止めず。

 迫る脅威に修介が手はするりと潜り込み、その六腕が軌道を弾く。
 必然、修介の身体も流れるが、その勢いを殺さずと己が回避の行動へと繋げる。

 ――呼吸は止めず、淀みなく酸素を巡らせる。

 呼吸のリズムは崩さず。一定のリズムへと乗る様に身体を動かす。
 巡る酸素は十二分。四肢に、脳に、過不足なく。冴えわたる意識が、動きが、その身を死から遠のけていく。

 ――しかして、胸に抱くは止まらぬ意思。

 弾き、躱し続けたことで生じた、風魔の僅かな隙間。
 攻撃に転じるということは防御の密度が下がることであり、もしかすれば一刀を受けるかもしれない。
 だが、畏れない。
 意思を持って、その脚を前へ、拳を前へ。
「ぐっおぉ!?」
 風魔の巨体が後ろへと跳んだ。否、跳ばされたと言うべきか。修介の拳を受け、その反動が故に。
 だが、それすらもを利用するからこそ忍び。
 置き土産と残したは風魔が髑髏面。
 地に落ち、砕け、破片は数多の軍勢と変じ、修介が攻撃の隙を突かんと殺到するのだ。
「風魔忍法が1つ、風魔頭領面。とくと御覧じろ」
「手品のようなものだな」
 それでも彼は揺るがない。
 その眼が彼我の戦力差を、生き抜く道を、見逃さない故に。

 ――ここに来て、彼は初めて意識的に呼吸をした。

 常在戦場。
 修介が呼吸は常からそうであるが、今、この戦場において初めてユーベルコードとして意識的に行ったのだ。
 故に、身に巡る力はただの呼吸であったそれよりも力強い。
 そして、破片の全てが影と生じるより早く、修介の拳が叩くは廊下の床板。
 戦いの余波にぎぃ、ぎぃ、と鳴き続けるそこを、彼は遠慮となくに殴りつけたのだ。
 修介が拳であれば、廊下に穴を開けるも容易いことだろう。だが、より強化されている今回はその結果は異とする。
 開いたのは大穴。落とし穴。
 本来であれば風魔の意思なくば開かなかったであろうそこを、上から無理矢理と衝撃を叩きつけ、その口を開かせたのだ。
「何故、そこを!」
「視て、聞いて、推測すれば簡単なことだ」
 開いた大穴が仮面を、破片から生じた影を呑み込んでいく。
 勿論、そこには修介も含まれていたが、自らそれを行ったのだ。対処を考えていない筈もない。
 生じた影達を足場として、彼は宙を駆ける。
 その背中を、腹を、身体を踏み、跳び、まるで忍びが軽業の如くと。
 そして、一直線に目指すべきは。

「呼吸が乱れているな」
「――よもや、ここまでとは……天晴よ!」

 ――風魔が居場所。
 最短距離を駆け抜けた修介の勢いは止まらない。
 六腕を駆使してそれを阻まんと風魔も動くが、時すでに遅し。
 解き放たれた鏃の如き、防御を考えぬ拳は六腕を砕き、止まらぬ勢いでもって風魔の心の臓を打ち抜いたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

夕凪・悠那
戦国最強忍者とか結構なネームバリューだ

こんにちは風魔小太郎
いい家だね
あの庭とかいい趣味してるよ
―とか話つつ、裏で『ES』に奥の間をスキャンさせ罠の位置、ギミックの[情報収集]
後々ESが収取した情報を併せて[地形を利用]、[罠を使い]逆に嵌める
そこまでうまくいかなくてもこっちが嵌らないだけでも十分

先制攻撃には[早業]を駆使した『仮想具現化』
敵の攻撃軌動を[見切り]、盾や壁オブジェクトの具現化による防御
この防御を基に【異法複製】によるUCキャンセル&風魔忍法『死鬼封神面』起動
更に彼らの[武器を改造]して強化
さあ、ボクに従え歴代風魔
あの風魔小太郎が最強だろうとキミらが劣る理由にはならない

アド連携歓迎



 剣戟の音はあちらこちらから。
 風光明媚。侘び寂たる光景も、その音へ塗りつぶされるかのようにと荒れていく。
 その一角で、新たなる戦いもまた幕を開けるのだ。
「こんにちは、風魔小太郎」
 飄々とマイペースに、夕凪・悠那(電脳魔・f08384)は、散歩の途中とでも言わんばかりの気軽さでもってその姿を現す。
 その視線の先にあるのは戦国最強たるを名乗る者の姿。
 風魔の威容誇る圧が、びりと悠那の身体を叩いて通り過ぎていく。
 この地に集った猟兵達の中で、彼女の練度はともすれば最も低い。
 だからこそ、余計にその圧は大きく、強くと感じられるのだろう。とは言え、それを表へと出す程、悠那も素直ではないのだ。
 むしろ、その彼我の力を埋めてこそ。
 意識の片隅に抱えた離人感。それは気付かぬ程に小さく、微かで、しかし、確かにあるもの。
 それ故か、どこか他人事のように、画面越しに見るゲームのように、彼女は金色の瞳を輝かせる。

 ――さて、どうやって崩そうか。

 と。
 悠那が挨拶への返答は未だない。
 ただ、黙して風魔は彼女を見据えるのみ。
 武器を向けられる様子はない。ならば、それは好都合。
「ちょっと荒れてしまったけれど、いい家だったね」
 会話の糸口を探り、探り。
「――あの庭とか、いい趣味してるよ。枯山水って言うんだっけ?」
「囀るな、小娘」
「お、ようやく口を開いてくれたかい」
 すげない返答であれども、彼女は気にしない。
 必要なのは言の葉を交わすことであり、時間を使うことなのだから。
「如何な猟兵が現れるかと思えば、よもやこのようなとはな」
「心外だね。戦国最強を名乗るキミからすれば、ボクなんて歯牙にもかけないのかもしれないけれど、これでも猟兵だ」
「分かっている。だからこそ、それでも排除しなければならない手間に嘆いているのだ」
 風魔の前にあるのは轟音響かせる者でもなければ、眩むような武威を持つ者でもない。
 しかし、猟兵である以上は放置も出来ず、時間を割かねばならないことに嘆きを覚えていたのだ。
「――相対すること自体が時間の無駄だ。早々に片付けるとしよう」
 言って、吹き抜けるは風魔が殺意。
 より一層にと増した圧が、悠那の身体をびりびりと更に叩く。
 そして、風魔の姿が掻き消える。
 忍びの名は伊達ではない。そう言わんばかりの速度でもって、回り込んだは悠那が背後。手にした刃でもって、その首を断ち切らんと。

「――複製完了」

 ――するそれを受け止めたは、断たんとした刃と同じもの。
 火花散る刃を握っていたのは風魔が姿。それが、悠那を守る様にと姿現していたのだ。
「貴様、何故、そ奴を守る!」
「無駄だよ。だってそれは、キミ達の中の誰かではないもの」
「――!」
 その正体は悠那が生み出した風魔の複製。
 会話を交わして分析し、時間を使って解析し、そして辿り着いた異法なる。
「さあ、ボクに従え歴代風魔。攻略の開始だよ」
 言って、指示する風魔対風魔。
 同じ存在だからこそ、その実力は伯仲。斬り合い、圧し合い、騙し合い、それでも互いに裏はかけぬ。
 だが1つ、全く同じ存在でありながら違うものがあった。
 それは。

「1、2、3……起動、今!」

 ――悠那が存在だ。
 彼女が解析していたのは、何も相対した風魔の存在だけではない。
 この屋敷自体も捜索し、解析し、掌握せんとしていたのだ。そして、その中には勿論、罠の存在も。
 本来であれば風魔の意思にのみ反応する筈であった罠は、風魔の複製を介した彼女の指令にただ忠実に応え、その牙を主へと向けるのだ。
「なっ……貴様!」
「キミはボクよりも強いのだろう」
 弁を弄し、影に動き、相手が気付いた時にはもう王手。その在り様、まさしく詭道。
 機動した槍衾が鍔迫り合いの風魔が身体へと潜り込み、決定的な隙を生み出すのだ。

「――だけれど、それでボクらがキミに劣る理由にはならない」

 風魔の内へと潜り込んだ異物が動きを阻害し、力を逃がす。
 今、天秤は確かに傾いたのだ。
 そして、複製たる風魔が刃は吸い込まれるように首目掛けてと奔り、それを刎ねたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
「忍者」は間諜や工作、暗殺等の裏の仕事が得手な工作員
護衛用として作られた私にとっては仮想敵とも言えます
もっとも、魔将軍が一騎。その認識すら危うい程の格上の筈
心して掛かります

屋敷内の罠は●破壊工作や●世界知識の和風建築物の構造知識に照らし合わせつつ、●暗視による●情報収集も含めて僅かな違和感から配置を●見切ります

軍勢に対しては把握した罠を格納銃器の●スナイパー射撃で誤作動を起こさせ接近を牽制しつつ、攻撃を●武器受け●盾受けで防御
●防具改造で装備した煙幕発生装置で全員●目潰し
センサーでの●情報収集で小太郎の位置を●見切り接近
UCを発動して閉じ込め弱体化、一対一の近接戦を敢行

…どちらが忍者なのやら…



 屋敷を狭しと飛び交う影は数多。
 天に目を向ければ地より、地に目を向ければ天より、意識の空白を突かんと迫る者達が姿。
 それは風魔忍法により呼び出された忍びが影達であり、その首魁たるは影の向こう側。
「護衛用として作られた私にとっては仮想的とも言えますね」
 対峙するは白銀。掲げる大楯の鉄壁を誇る、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
 纏う騎士の如き鎧が示すように、彼の在り様は守る者。忍び、攪乱する者とはある種、対極たる存在だ。
 だからこそ、この一戦は一層と退けはしなかった。
「この場において護衛する者もなく、何を守ると言うのか。お主の命か?」
「いいえ、違います」
 影の向こうより届く嘲り。それをばさりと切り捨てて、緑の光は強くと瞬く。
「――今、私が守るのは無辜の民。この世界の平和。そのためにも、退けなどしません」
「心意気や良し。しかし、出来るかな?」
「出来る出来ないではありません。するのです」
「吼えたな? ならば、してみせるがいい」
 号令1つ。それを皮切りとして影が蠢いた。
 天より、地より、認識しきるを困難とするように。
 だが、トリテレイアにはその情報を処理しきるだけの能力があった。
 心持つが機械であるが故に、虚も、幻も、彼には無意味。
 優れたセンサーが、モニターが、迫る脅威の1つ1つを認識し、それを対処するべくと身体が動くのだ。

 ――火砲が奔った。

 それはトリテレイアに格納される銃器の咆哮。
 身体のあちらこちらにと仕込んだそれが、呑み込まんと迫る波を打ち砕き、散らし、生存のための場を確保し続ける。
「からくり人形の類は行動が奇抜だな」
「貴方方も同じでしょうに」
「然り」
 遠かった筈の声が響いたは間近。
 影に重なる様に、盾とするように、トリテレイアの間合いと踏み込んだは風魔。
 その身に宿す六腕が、刃煌かせてトリテレイアを断たんとするのだ。
 ギンと硬質なる音が響き、火花が散った。
 それは大楯と刃とが奏でる不協和音。
 刃閃き、大楯がいなし、衝撃に風が吹き抜ける。
「それそれ、こちらにばかりかまけてはならぬぞ」
 ぶつかり合う中でも、影は己が身も顧みずとトリテレイアへと迫るのだ。
 だが、ヒトであれば対応しきれぬそれであろうとも、機械たる身を持つトリテレイアであれば。

「言われずとも、見えています」

 ――身体に仕込まれた数多の火砲が、そちらへ目を向けることもなくと脅威を撃ち貫く。
 否、それだけではない。その火砲は影を貫き、屋敷を貫き、そこに秘されていたものを射抜くのだ。
 それは仕掛けられし罠の存在。
 本来であれば知り得るところではないだろう筈であるが、彼に宿る数多の知識が、データが、それを見破るを可能としていた。
 ずるりと槍が地より生え、天井の一部は落ち、隠されし虎鋏が不幸なる者の脚を喰らう。
「ははっ、その変幻自在さ、周到さ、むしろ乱破の方がお似合いではないか」
「そうなのかもしれません。ですが、それでも私はやはり騎士たらんとする者ですので」
 輝きの壁が2人を包み込んだ。
 それは火砲の中に潜ませた発振器より生み出されたもの。彼方と此方を隔てる、絶対の壁。
「――こうして、挑ませて頂きます」
「誘い込まれたは自身であったということか」
 隔てる壁は影の侵入を許さず、その内に抱くのは2人のみ。 
 最早ここは風魔が領地でなく、トリテレイアが決闘場。
 そして。

「それでは、騎士らしく決闘を申し込ませてもらいましょう」

 ――1対1の決闘であれば、油断とは無縁の騎士が後れを取る謂れなどない。
 彼の繰る守りはじわりじわりと圧を強め、決してその身へとは通さない。
 刃と擦れあい、火花が散って、耳障りな音が奏でられ、それでもなお白銀の輝きは鈍らず。
 攻めあぐねながらそれでも続けざるを得ない者と意思を持って護り続ける者、その体力の消耗はどちらが上かなど、語るまでもないことだろう。そして、至るべき結末も。
 幾合かの激突の末、ぐらり揺れたは六腕の偉丈夫。その腹にと突き刺さったは大楯が打突。
 ずるりと斃れた風魔の視線の先、見えるは騎士兜の奥に光る、怜悧なる緑の光。それはどこまでも冷静で、冷徹で。
「はははっ……見事よ。だが、やはり乱破の方が似合う思ったは取り消さぬぞ」
「貴方がどう思おうと結構です。それでも、私は」
「騎士として、か。それは我らのようなには茨の道よな……骸の海の先で、見ていてやろう」
 倒れ伏した風魔は、それを最後の言葉として、もう動くことはなかった。
 それを見守ったトリテレイアは黙祷するかのようにと暫しその緑の光を消し、

「そんなこと、それこそよく分かっていますよ」

 ――ひと際と強く瞬かせ、その場を後とするのみ。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨宮・いつき
風の噂に聞きし風魔の頭目…只者では無いと存じていましたが、こうしてその威容を目の当たりにすると改めてそれを思い知らされますね

忍びの者だけあって、やはり速い…!
ですが速いなら【範囲攻撃】で捉えるまで!
【高速詠唱】で冷撃符にて生んだ氷の壁で手裏剣や鎖鎌を防ぎ、冷気と雷撃符の雷に【破魔】の力を乗せた【マヒ攻撃】を放射して初撃を凌ぎます!
次いで魂縛符を飛ばし起動、敵を霊諸共吸い寄せる事で【時間稼ぎ】をし、術の行使の準備を
…最早出し惜しみをしている余裕はありません
ユーベルコードで無いならば、この屋敷も罠も只の器物
禁術にて魂を宿らせ、他の猟兵が憂いなく戦えるよう味方につけます!
皆様、存分に力を振るいませ!



 屋敷に刻む影の痕。
 その速さは飛燕の如くと実体を捉えるすらも困難。
「忍びの者だけあって、やはり速い……!」
 流れる流水のようにと淀みなく、動き巡って攪乱せんとするそれを目の端で追いつつ、ようようと零すは雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)。
 音捕らえる耳は反応にぴくりぴくり。まるでレーダーの如くと反応を見せていた。
「風の噂に聞きし風魔の歴代頭目達……只者では無いと存じていましたが。その通りでしたね」
「ほう、それを知って尚、立ちはだからんとするか」
 戦の始まりに相対した時、いつきの感じた風魔の威容は脳裏にこびり付いて離れない。
 常のオブリビオン達とはまた違う、肌を刺し貫いていくかのような威圧感。
 今もまだ、びりびりとそれはいつきの身体を貫き、通り抜けていく。
 齢12歳。生まれとする里の掟がなければ、他の世界であれば、まだ子供と言って差支えない年齢。
 そして、それを示すかのように、いつきの身体もまだ成熟には遠い。
 だが、それでも。

「ええ。人の世の理を、守るためですから」

 ――少年は生来の責任感と血筋が脈々と受け継いできた歴史を背負い、この場に立ち、脅威へと立ち向っているのだ。
 正直を言えば、戦いに向かぬ気性であるにも関わらず、それでも、と。
 苦笑のような、照れ隠しのような、複雑な感情を乗せた笑みが浮かぶ。
 幼い顔に浮かんだそれは、確かに困難へと立ち向かう者のそれであった。
「怯えるでもなく、立ち向かい、笑うか……お主のような者とここで出会えたは僥倖。信長様の悲願の障害となる前に、ここで討ち取ってくれよう」
「僕だって、ここで終わるつもりはありません!」
 流体の如くと動いていた影が、遂に意思を持っていつきを討たんとその動きを変える。
 明確な指向性を持った殺意は、それだけで手足を凍てつかせるような。

 ――煌いた数は3つ。

 影を追う目の端に見えた光。
 タイミングを、位置をずらして飛来するそれは牽制の、しかして、当たれば必殺ともなりうる風魔の手裏剣。
 音を置き去りにするかのような速度で飛来するそれ。
「凍れる時の護りよ!」
「そら、こちらがお留守だ」
「――っ!」
 受け止めるは数多ある霊符が1つ、冷撃符が生み出す氷の盾。
 手裏剣とぶつかり、互いの威力を相殺し、砕けて床へと散らばり果てる。
 だが、風魔の動きは止まらない。
 いつきが反応し、対応する隙間を突くようにと、するり潜り込んでは刃を閃かせる。
 それでも、いつきとて積み重ねてきた経験がある。捌き、盾とし、その身を脅威より逃し続けるのだ。
 だが、それでもやはり、じり、じりと守りの手は少しずつ遅れていく。
 食い破られるのは時間の問題であった。
 だから。

「神威の先触れたる轟きよ!」
「――なんと!」

 ――伏せ、研ぎ澄ませた牙を剥き、反撃の狼煙と代えるのだ。
 打ち砕かれた氷の奥より広がるは、鳴神の轟き。
 散らばる氷を足掛かりに、それは周囲一帯を呑み込むようにと荒れ狂う。
 如何に飛燕、如何に影の如くと動く風魔であれども、雷の速度に追いつけるものではなし。
 絡めとられ、打ち据えられ、その動きを明確に鈍らせる。
 いつきの蒼き眼が、遂にとその姿を捉えた。
「出し惜しみはしません! 御覚悟を!」
「ぐ、ぬぅぅぅ!?」
「万物に宿りし仮初の神々よ。今一時その力、我らが為に振るい給え!」
 一妖狐の領分を越えたその御業。
 組まれた術式は違うことなくと効果を発揮し、それに応えるように生まれ落ちる影幾つ。
 槍を手にした武人。恰幅見事な力士が如き大男。手に縄持つ妙齢の女性。
 それらはいつきによって降ろされたヤドリガミ。
 屋敷を、そこに仕掛けられた罠を器とし、生み出された者達。
「――皆様、存分に力を振るいませ!」
 号令1つ。しかし、動かぬ、動かせぬ身体の風魔には、それに抗う術もなし。
 縄が更にと縛り上げ、槍が貫き、重石がその身を圧し潰す。
 本来であれば風魔の世界であった筈の屋敷。
 それが牙剥き、その主をその身の内に喰らった瞬間であった。
 そして、戦いの趨勢は更に更にと、猟兵側へ天秤を傾かせていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

相馬・雷光
風魔……ビッグネームのお出ましね
忍者として挑み甲斐があるわ、いざ風魔越えよ!

召喚された軍勢にヴァジュラブラスターで雷撃弾!(属性攻撃)
頭数を減らすわ!(早業・2回攻撃)

手裏剣を【見切って】雷撃弾で迎撃(武器落とし)!
噂に聞いてた程じゃあないわね、風魔一党
まぁ、忍ぶ者のハズが有名だったり、信長軍で最初に居所が割れたり……実は大したことないのかしら?
五車の術がひとつ、怒車の術、怒らせて冷静さを失わせる話術!

雷撃弾で撃つと見せかけて(フェイント)、威力皆無の光量最大で放って目くらまし!
からの本命、【帝釈天降魔砲】!
遁術……雷遁ってトコかしら

畳替えしも槍衾も全部私の足場よ!(地形の利用・クライミング)



 小石の海で交差する影が火花を散らす。
 その影の1つたるは風魔が1人。
 そして、もう1つは。
「風魔……ビッグネームのお出ましね。忍者として挑み甲斐があるわ」
「我らを討って、名を上げんとするか。よくある手合いだが、お主に出来るかな?」
「出来るにきまってるじゃない! いざ、風魔越えよ!」
 ――その気性を表すかのように纏う雷威勢よく、相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)が姿。
 手にした二挺拳銃を突き付け、堂々とするは宣戦布告。
 同時、発砲。
 だが、吐き出された弾丸は風魔の手裏剣とぶつかり合い、互いに弾け、小石の海の藻屑と消えた。
 そして、弾ける衝撃は風となり、2人を押し流す。
 その風に乗り、ふわりと着地したは小石の海に突き出す巌。
 互いに忍びの道を行く者。身のこなしは申し分なく、巌の上であってもまるで平地に立つが如く。
「呵々。そう言って露と果てた者達が如何ほど居たことか」
「私もそうなるって言いたいのかしら」
「言いたいのではない。そうなるのだよ」
「――っ!」
 はらり宙より舞い落ちるは仮面。
 激突の中において、風魔が宙へと投げ捨てていたそれが、小石の海に落ちて割れる。
 そして、砕けた仮面の破片、その無数が変じるは風魔の軍勢。
 それらは音もなくと小石を蹴立て、雷光へと迫るのだ。
「数で圧そうって訳ね!」
「風魔忍法が1つ、風魔頭領面。呑まれ、果てるが良い」
 手裏剣の煌きを先触れとし、追うようにと忍びの影無数。
 逃げ場はない。
 ならば。

「数だけ多くたってね!」

 ――死中に活を見出し、道を拓くのみ。
 挑みかかるは影の群れ。目指すべきはその向こう。進むべき道を示すかのように、ヴァジュラが吼えた。
 雷撃弾が手裏剣を蹂躙し、それを踏み越えくる影と相対する。
 手裏剣の威力1つを取ったところで、風魔のそれとは比べるべくもない。
「自信満々に術を名乗ったのに、風魔一党も噂程ではないわね」
 影の中で褐色が躍る。
 閃く忍者刀が目前を過ぎ去るも、その眼差しは瞬きもせず。
 ただ、討つべくを見据え、その引き金を引き、吹き飛ばすのだ。
「――まぁ、忍ぶ者のハズが有名だったり、信長軍で最初に居所が割れたりしてるしね」
「――何が言いたい」
「ふふっ。言わせるの?」
 嗤う雷光の口が動く。それは実際に音として伝えるものではなかったが、読唇術あれば明確に理解出来るもの。それがなくとも、なによりその態度が物語っていた。

 ――実はたいしたことないのかしら。

 また幾つかの影がヴァジュラの咆哮に呑み込まれた。
「後悔するなよ、小娘。その身引き裂き、慰み者として晒してくれよう」
 積み重ねてきた歴史。風魔が風魔であるが故に、その名を貶められるは看過できない。
 だからこそ、それが罠である可能性があったとしても、風魔はそれを捨て置けなかった。
 影の波と、小石の波と、全てを蹴立てて風魔が動く。それはまさに影すらも付いてこれぬ迅さ。
 気迫もまた凄まじく、雷光にして手札を切らねばと思わせる程に。

「因陀羅耶莎訶!」
「遅い、遅い、遅い!」

 ヴァジュラの先より広がる白光。それに呑み込まれるより早く、風魔の姿が朧と消えていた。
 詭道の者が、正面より素直に攻める筈もなし。
 故に、それはフェイク。朧か、幻かと幻影を奔らせていたのだ。
 そして、雷光の背後にて像を結んだ風魔が姿。
 大技たるを繰り出した雷光に、迎撃の暇はない。

「五車の術がひとつ、怒車の術。こうも冷静さを欠いてくれるなんてね!」
「なんだとっ!?」

 ――筈であった。
 だが、風魔の目の前に見えるのは、力解き放った筈であるのに、既にその身へばちりばちりと力蓄える二挺拳銃が姿。
 風魔が冷静であったなら見抜けていただろう。先程の射撃がただの光だけであったことを。

「――帝釈天降魔砲!!」

 そして、解き放たれるは雷光の名に相応しき、荒々しくも鮮烈なる光の奔流。
 それは余波だけでも無数の影を吹き散らし、直撃と相成った風魔は影も残らず。
 名残と残るは突き抜けた光が地に刻んだ痕。そして。

「遁術……雷遁ってトコかしら」

 ――褐色の肌を照らし、ばちりと弾ける稲妻を纏った雷光のみが姿であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月凪・ハルマ
隕石落としとか無茶苦茶してくれてからに……
もうちょい忍べよ、忍びなら

◆SPD

先制への対処は【瞬身】で強化した技能と
【武器受け】でどうにかしたいところだな

後は屋敷内のふすまや畳など、利用できそうなものは
積極的に使って攻撃を防ごう
まぁ最悪、【激痛耐性】で耐える事も【覚悟】はしておく

からくり屋敷の罠に関しては、自身のガジェット使いとか
【メカニック】としての知識で見当を付けれないだろうか
一応、それらを逆利用して相手の隙を作る事も視野に入れてはおく

攻撃時は遠間なら【暗殺】技能も乗せた手裏剣の【投擲】、
近間なら魔導蒸気式旋棍の打撃を【早業】で行う
(手数を増やす為、【2回攻撃】も)

―討たせてもらうぞ、大先輩



 ぶつかり合う歴代風魔と猟兵と。
 そして、屋敷の一角。荒れた奥の間にて、最後の一戦もまた花開かんとするのである。
 異形なる怪腕。風魔が六つ腕は荒れ狂う。刃が、拳が、爆炎が、反撃差し込む隙も見せずと。
 広がった爆炎の中から、煙の尾をたなびかせ、跳び出した影1つ。
「体術も、やっぱり並みじゃないか」
 着地。次の瞬間には、また跳ねとび、遅れて突き立つ手裏剣の嵐。
 距離取り、改めてと態勢を整えたは月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)。
 愛用する柳の蒼も、今は僅かと煤の色を纏わせて。
「ほう、我が腕より逃れたか。今世の忍びも、なかなかにやる」
「それはどうも」
 ハルマが相対するは、歴代風魔が最後に名を刻んだ者。
 つまるところ、オブリビオンとして蘇った風魔小太郎の大本たる存在。
 彼らは代々の力を積み重ね、天変地異をも引き起こす程の力を得てきたのだ。ならば、その最後の存在ともなれば、その力は如何ほどか。
「だが、まだ我らには及ばぬ」
「そりゃあね。隕石落としとか無茶苦茶すぎるだろう」
「あれも、風魔忍法の真髄が1つよ」
「もうちょい忍べよ、忍びなら」
「我らは正道に非ず。詭道、奇術を用いてこそよ」
 価値観の相違とでも言うべきものなのだろうか。
 2人の会話は交わっているようで、その考えが交ることはない。
 つまるところ平行線であり、それはまるで猟兵とオブリビオンとの関係を示すかのよう。
 だからこそ。

「では、その命、露と消えよ」
「お断りだよ」

 ――再びの激突は必然。
 再びと動いた風魔の動きは影。音もなくするりと動き、気付けばその身はハルマが背後。
 六腕の1つが拳を固め、ハルマが身を貫かんと風巻き迫る。
「こっ…のぉ!」
 それを遮るは畳の盾。
 身を守るには心許ないが、それでも拳の到達を一瞬でも遅らせ、風魔が視界を封じるには足る。
 そして、ハルマが身のこなしであれば、その一瞬があれば身を翻すには十二分。
 トン、と跳ねた身体は風魔より遠のき、置き土産と残すは手裏剣の群れ。
「児戯よ!」
「風遁のつもりか!」
 拳貫いた畳をそのままに、風魔の残る腕が扇を振るう。
 それは局地的な竜巻を巻き起こし、迫る手裏剣の群れを散り散りと。
 その流れのままにと4つ腕が閃き、ハルマへ返すは倍をする数の手裏剣の波。

 ――思考が回る。思考が回る。早く、より早くと。この状況を打開せんと。

 そして、見えた光明はメカニックとしての知識があった故。
 荒れた屋敷の中にあって見えた内装の違和感。天井のずれ。

「そこかっ!」
「自暴自棄にでもなったか?……いや、貴様ッ!」

 手にした手裏剣のたった一投。だが、それが活路を切り開く。
 ずんと舞うは土埃。
 目の前に落ちたは天井の梁。それが手裏剣の波を呑み込み、防いだのだ。
 天井のずれは、本来であれば天井落としの仕掛であったのだろう。
 だが、荒れた屋敷はその機能を十全と果たせず、ただ仕掛けがある分の脆さを露呈するばかり。
 それを見抜いたハルマが一投は、天井の梁を支える仕掛けを射抜き、崩落へと繋げたのであった。
 そして。

「―集中しろ。もっと、深く……!」

 ――舞う土煙を隠れ蓑とし、ハルマが身体はその限界を振り切る。
 それはともすれば、その瞬間においては風魔すらをも越える神域と言えるほどの体捌き。
 集中して、集中して、集中した視界は、土煙を構成する砂ぼこりの1つをもすら認識し、如何に動けば最速をも越えられるかを身体へと伝える。
「小癪なことよ!」
 土煙を割って、風魔の巨体が翻る。
 その動きは確かに忍びの者として上位足りえるものであり、侮れぬもの。
 だが、今のハルマであれば。

「――討たせてもらうぞ、大先輩」

 ――その挙動の1つ1つを捉えるも可能。
 重心の傾き。筋肉の躍動。振り動く風魔の六腕が挙動。
 迫る風魔を迎え撃つように、残像残した影――ハルマが棍の乱打がその身を穿つ。
「おっ、がぁ、ごぉぉぉぉぉぉ!?」
 動きの始動を捉え、叩くことで潰し、阻害して、反撃を許さず。更には死に体となった身体の急所を穿ち、穿ち、穿ち。
 それは風魔が断末魔をすらも呑み込んで、絶えず打撃音が奏でられる。

「――フゥ」

 奏での終わるころには、そこに残るは身砕かれた風魔の伏す姿。
 幸運であったのは、土煙が遮り、ハルマが変容を風魔が捉えていなかったこと。
 それ故、彼の動きの差異に風魔は咄嗟での対応を遅らせてしまったのだ。
 そして、それが致命。その結果が現在。
 気付けば、ハルマ奏でる音の絶えたと同じくして、数多の戦場の音も絶え、元の静寂なる山間の空気が戻っていた。
 それは戦いの終幕を猟兵達へと報せるもの。
 風魔小太郎を相手とするエンパイアウォーが一幕へ、ここに終幕が降りたを証明する瞬間でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月09日


挿絵イラスト