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エンパイアウォー⑯~決戦、絡繰り忍者屋敷

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #風魔小太郎

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●風魔忍軍忍者屋敷
 暗闇の中、風魔小太郎は静かに座している。ふと、その両眼に炎が灯る。隕石落としを防がれ、各地で続く敗戦を感じ取ったのだ。
『徳川の飼い犬めら、隕石落としを防ぐばかりか、この百面鬼を討ちに来るか』
 鬼面の下から地の底から響くかの様な声が漏れる。
『来る者は拒まぬ、しかして覚悟せよ。この屋敷から出るは屍のみよ……』
 闇に溶ける様に、小太郎は姿を消した。

●ブリーフィングルーム~この依頼、危険につき
「最初にはっきりとお伝えしましょう。この依頼は危険です」
「魔将軍の一人、風魔小太郎の所在地が判明しました」
 ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)は集まった猟兵達へ会釈すると、依頼概要を説明し始める。お調子者の主人格が出ていない事から、事態の重さが窺い知れる。小太郎は風魔忍軍の忍者屋敷を拠点としており、これに侵入し、叩くといった内容だ。
「忍者には詳しくありませんが、多数の罠が仕掛けられていると思われます」
「また、相手は万全で待ち構えています。確実に先手を取られるでしょう」
 落とし穴やトラバサミの様に地面に設置してある物、壁や天井から武器が降ってきたりもするかもしれない。罠自体は大きな脅威にならなくとも、敵は地の利として利用してくるのだ。無策で行けば、まともな勝負にもならないであろう。忍者屋敷という環境と、小太郎からの攻撃。この二つに対して、入念な準備と対策が必要となる。
「相手には地の利がありますが、こちらには情報と準備時間があります」
「皆様のご武運をお祈りしております」
 ローゼマリーは最後に深々と一礼した。


foockey
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 お世話になっております。
 foockeyです。
 魔将軍との決戦シナリオです。
 OPにある通り、忍者屋敷と小太郎への対策が重要になります。
 普段の依頼より、厳しめの判定となりますのでご注意ください。

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 百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 ボス戦 『百面鬼『風魔小太郎』』

POW   :    風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD   :    風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロート・カニーンヒェン
「お前のその行動は既に予測しているぅ!!」ユーベルコード「高次予測システム」で小次郎の攻撃を予測し、回避に全力を注ぐ!そう、回避に専念する。私は囮なのだ!相手が私に夢中になっている隙に、ガルムレックス(←アイコンの恐竜メカ)に攻撃させるのだ!私たちのチームプレーを見せてくれる!!(アドリブ歓迎です)



「危険と聞いた割には、どうって事ないな相棒?」
 ロート・カニーンヒェン(グリーディー・ファントム・f00141)は傍らを歩く魔導人形のガルムレックスに話し掛ける。侵入してから、見つけた罠は落とし穴や吊り天井の罠の二つ。何れも相棒のフォローのおかげで、すんでの所で回避し、それ以降は特に何の障害も無く進んでいた。

『うつけか囮か……これ以上の見極めは不要』
 通路から開けた空間に入った瞬間、ロートの耳元に低く響く声で囁かれる。彼女は反射的に飛び退くと、そこに風魔小太郎の姿があった。
「ふぅん、私の実力を測り終わったって事?」
 小太郎は返事の代わりに髑髏面の瞳を輝かせ、その六本の腕で嵐の様な攻撃を放つ。ロートは咄嗟に構えたルーンキャリバーで初撃を受けると、UCを発動して回避に専念する。
「(一回受けただけでも、凄い衝撃! でもね……)」
 ロートは小太郎の攻撃に合わせ、ガルムに突撃させる様に指示を出す。そして、小太郎の攻撃を避けようとした瞬間、がくりと体勢を崩す。
「なっ……」
 それは落とし穴だった。径こそ小さいが、底には足首を固定するトラバサミが仕込まれている。迫る攻撃は手にしたキャリバーを弾き飛ばし、連なる拳はロートの身体を捉え、罠諸共に宙に飛ばす。彼女は捻転する視界の端に、ガルムレックスが吊り天井に潰されているのを見た。
『これが答えよ。この小太郎を討とう等と、力不足だった様だな』
 小太郎の髑髏面の瞳から輝きが消え、止めを刺さんと忍者刀を振り上げる。ロートは万事休すかと、目を閉じる。そして、何かが弾ける音の後に、身体に衝撃を受けて意識を手放した。

『不覚……。あの絡繰り兵めの忠誠心、底力を見誤ったわ』
 刃を振り下ろす瞬間、ガルムレックスが吊り天井の戒めを弾き飛ばした。そして、落ちていたルーンキャリバーを銜え、小太郎に一矢を報いた後、主人を担いで戦線離脱したのだった。壁を抜き、床を抜いての逃走は最早追い付けないであろう。

「(相手には地の利、こちらには情報と準備時間……だっけ)」
 ロートは相棒の背に揺られながら、朦朧とした意識の中、ブリーフィングで聞いた言葉を反芻していた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

カタリナ・エスペランサ
「パフォーマンス成功の為には下準備が大事ってね♪」
普段の振る舞いとは裏腹に堅実に《動物と話す》も活用しながら《情報収集》に励み、成果を仲間と共有してから忍者屋敷に潜入。
《空中浮遊》で足音を立てないように、ついでに一部罠も回避しつつ進行します。

「っ――やぁ、お出ましだね百面鬼! 会いたかったよ!」
『六道阿修羅面』の先手には咄嗟の《スライディング》で狙いをブレさせて被害軽減を試みつつUC【天災輪舞】の高速移動で距離を取り、焼き焦がす雷羽の発射で近接格闘の届かない遠距離から体力を削ります。
また、後衛タイプの味方が被弾しそうになっていれば《かばう》でフォローに回ります。
※アドリブ・共闘歓迎です。


須野元・参三
フフーフ、気品高きは参三なり
私が貴様を成敗してやろう!

罠が仕掛けられているのならば、逆に利用してくれよう
手頃の罠を『第六感』『見切り』で見つけて無効化処理を行う
そして、その罠にかかったフリの『パフォーマンス』を行って罵詈雑言と泣き言で『存在感』『挑発』を行い風魔小太郎を『おびき寄せ』る

だから迎撃に来るのは当然だろう?
無様に罠にかかっていると思わせて『だまし討ち』『先制攻撃』『2回攻撃』『クイックドロウ』
による『気品力の裁き(ノーブルジャッジメント)』を存分に喰らうが良い!!
気品手加減出来ないから、消し炭になろうね!



「下準備の手間は惜しまないけど、思惑が外れるのは少し残念だよねぇ」
 ブロンドの三つ編みを揺らしながら進むのは、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)である。彼女は周囲の動物達から情報を得ようと考えていたが、転送された地点から屋敷内まで動物の気配が無く、収穫は得られなかった。
「(まぁ、やれる事をやるだけなんだけどね)」
 カタリナは屋敷内を空中浮遊しながら移動している。足音はしないし、地面の罠の回避にも都合が良い。
<うぎゃぁぁああ!>
 カタリナの耳に、甲高い悲鳴が届く。屋敷内にいるのは敵か味方の猟兵のみ。悲鳴はかなり近い様だ。仲間がピンチなら助けなければ!
「悲鳴の位置は……良し!」
 反響から音源の位置を見定める。廊下の突き当たりの部屋だ。カタリナは最低限の罠の確認をすると、地に足を付けて全速力で駆ける。途中で罠を作動させてしまうが、構わず走り抜ける。
『はぐれた仲間を探しに来たか、徳川の犬よ』
 部屋の襖まで、あと少しといった所で天井が抜け、風魔小太郎が降って来た。その髑髏の瞳に光が灯っており、既に戦闘態勢に入っている。
「やぁ、会いたかったよ百面鬼! 私の仲間をご存じかい?」
『知れた事、直ぐに貴様の後を追わせてくれるわ』
<うぎゃぁぁああ!>
「(また悲鳴! 急がなきゃ……!)」
 小太郎は六本の腕を振り上げ、逃げ道を塞ぐが如く、上段から振りかぶる。カタリナはUCを発動し、蒼い雷を身に纏う。仲間を助ける為、こちらも退く事は出来ない。抜け道は……。
「それっ!」
 カタリナは高速移動で駆け出し、その場で倒れ込む。空中浮遊で地面すれすれの地点を維持しており、言うなれば宙を滑っていた。地から罠の刃が飛び出し、顔の側面を掠めるも、速度を殺さずに小太郎の股下をすり抜ける。
「お返しだ! 今回のパフォーマンスはここまで!」
 カタリナは、すれ違いざまに羽状の散弾と化した雷を放出する。そして、敵を顧みずに、勢いのまま襖をぶち破った。

 時を少し遡り、須野元・参三(気品の聖者・f04540)は、その派手な服装とは裏腹に堅実に屋敷を踏破していた。第六感による視点から、ある時は叩き、ある時は埋める等して、目に付いた罠を無効化しながら進む。そして、ある部屋まで来ると、一通り調べた後に笑みを浮かべる。
「フフーフ、流石は須野元、流石は参三みたいな?」
 彼女には作戦があった。罠に掛かった振りをして、敵をおびき寄せて、油断した所を叩くのだ。ばねを金槌で壊したトラバサミを足に挟ませ、仕上げに血糊を付けようかとした瞬間、参三の身は宙を舞った。
「うぎゃぁぁああ!?」
 後に知った事だが、猟兵の気配を感小太郎による攻撃だったらしい。咄嗟の事に、参三は受け身を取れず、床だった木材と共にビタンと落下する。
『やはりネズミか、何と無様な……』
 隠し通路から入ってきた小太郎が目にしたのは、トラバサミに頭部を喰い付かれて流血して倒れる参三の姿だった。
「う、うーん……」
『ふん、まだ息があるか。せめてもの情け、言い残す事があれば聞こう』
 参三は、血糊でぼやける視界に小太郎の姿を捉える。当初の予定とは違うが、作戦通りの展開だ。小太郎の問いに、口ごもりながら小声で答える。小太郎が聞き取ろうと、顔を近づけてくる。
「この私が須野元・参三だーっ! フハハハハ!」
 参三は小太郎の眼前に掌をかざし、UCの光を放つ。小太郎は光に呑まれ、跡形も無く消滅する。彼女はすくと立ち上がり、尚も高笑いをしている。
『その参三殿は、先程の小太郎は霊による分身とお気付きかな……?』
 参三は青ざめながら振り向くと、小太郎の姿を確認した。しかも、四体に増えている。
『『『『最早、情けは掛けぬぞ……!』』』』
「うぎゃぁぁああ!」

 参三は追い詰められていた。逃げようにも、小太郎が空けた穴は遠いし、部屋の出入り口の襖は小太郎達に抑えられている。大技を使って穴へ逃げ込もう。参三は背を伸ばし、前髪をかきあげて掌をかざす。
「ノーブルジャッジメントーッ!」
 小太郎達は気品力の光が放たれる寸前に、襖をぶち破って飛んできた何かに体勢を崩されて光に呑まれた。気品の光はそのまま廊下の先まで飛んでいく。参三は逃げようとするが、汗やら血糊やらで滑って転んでしまった。

 襖をぶち抜いて突入したカタリナは、何かにぶつかって跳ね返される。複数体の小太郎である。戦わねばと構える間も無く、小太郎達は光に呑まれて消滅する。光の出所を見れば、誰か倒れているでは無いか。
「あ、あなた大丈夫!? 酷い怪我……」
「いや、これ血の……」
 カタリナは言うが早いか、参三を抱えると部屋にある穴から離脱した。

『強さを隠しているのか、ただの強運か……』
 カタリナと廊下で対峙していた小太郎の本体は、部屋から飛んできた光に身を焦がしていた。六本の腕で身を庇うも、着実にダメージを受けている。
『信長様に猟兵共について進言の必要があるやも知れぬ……』
 小太郎は踵を返すと、再び闇に溶け込んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

佐倉・理仁
『第六(霊)感』……屋敷の罠に残っているだろう、死の記憶を感知する。霊の思念が残る場所が、危険地帯だ。『機械喉』の同時発声を利用して仲間に伝えつつ行く。


ハッ、忍者の先生がゾロゾロと、おっかねーなぁ!
だが現れるのが霊ならば少なからず干渉できるはず。骸の香『呪詛、オーラ防御』既死観で直撃を避けるよう動く。

伝説の忍者だか知らねーが、お前ら、死んだんだろ?まさか、自分の最期を忘れちゃいねーべ。
風魔霊を基点に死霊召喚……それは、奴らの死の再演。
さあ、かつて訪れた死を呼ぼう。今を蝕む過去を砕く惨劇を。お前たちの【災厄の日】をな!

本体に致命打は入らんかもしれねーが……術はブチ殺してやるよ。


アドリブ絡み歓迎


カタリナ・エスペランサ
「わ、おねーさんの気品が伝染ってる!」
真の姿に近づいて四枚に増えた翼に気付けば軽口を叩き。

「こっちの情報に加えて時間まであげるのはちょっとサービスが過ぎるからねー」
周囲を観察して《情報収集》の警戒は絶やさず進行は先と同様《空中浮遊》しながら小太郎を《追跡》。

「さぁ、第二幕と洒落こもうか!」
一度見せた手札は見切られていると踏み、次に小太郎が現れれば挑むのは接近戦。『六道阿修羅面』の手数には蹴技とダガーの斬撃、翼からの羽弾で対抗しUC【失楽の呪姫】を発動。三力纏う《鎧無視攻撃》で《空中戦》を仕掛けます。
ただし他に前衛が居れば後退して羽弾の《属性攻撃》で《援護射撃》に専念。
※アドリブ・共闘歓迎です。



「……これは迷っちまってるか?」
 佐倉・理仁(死霊使い・f14517)は同じ道をグルグルと回っている事に気付く。彼は霊感を頼りに、屋敷内の罠や仕掛けに残る死の記憶を読み取っており、その少ない道を選んで進んでいた。効果は抜群で、危険な罠や仕掛けに掛からずに済んでいる。しかし、堂々巡りしている現状から、この選定方法に頼り切る訳ではなさそうだ。今まで避けていた通路に足を踏み入れた瞬間、早くも成果は得られた。
「進むには進んだが、これは……」
 理仁の立っている通路の一部が回転し、何やら隠し部屋に放り込まれた様だ。正面に先へ続く道が見えるが、そこに至る道の中程までが罠で埋め尽くされている。霊感で感じ取れる死の記憶の量も段違いに多い。罠を抜け切った理仁は、咄嗟にフォースオーラを全開にして飛び退く。先程まで立っていた場所に手裏剣が刺さり、理仁は身体に複数の衝撃を受けて吹き飛ばされた。オーラの防御は抜かれたが、ダメージは最小限に抑えた。
『罠のみならず、今のを凌ぐか……』
「俺は死霊術士で、お前らは死霊。生前のお前らが相手じゃ無理だったかもな」
 声は聞こえど、姿は見えず。理仁はすぐに体勢を立て直すと、尚も姿を隠している小太郎に答える。その言葉に反応して、天井や床から小太郎の分身が姿を現す。
『死を以て力を増した風魔の術、貴様の及ぶところでは無いわ……!』
「忍者の先生方の実力は知らんが、生前より強いのかは気になるな」
 激昂した様子の小太郎とは対照的に、理仁は落ち着いた様子で、懐から魔導書を取り出す。理仁はこのやり取りの間にも、機械喉による並列動作で詠唱しており……完成する。
「お前達がかつて見た最後の記憶。“災厄の日”」
 理仁のUCは小太郎の分身を基点に発動した。室内に旋風が巻き起こり、何かを形作っていく。
『ば、馬鹿な!? こ、これは……!』
 一つは巨大な獣、一つは武器を持った人影と、分身に使われる歴代小太郎の死の記憶が形となって、小太郎の分身達に突進する。両者がぶつかると力が拮抗した力が部屋を揺らす。そして、幾度目かの衝突と同時に、部屋の壁を破り、何かが部屋に飛び込んできた。

「さっきの光のおかげか、調子良いんだけどなー?」
カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は、真の姿に近づき、前より早いスピードで空中移動している。痕跡を辿って小太郎を追跡せんとしているのだが、中々に見つからない。先程の接触では、それなりの手応えは感じていた。敵にダメージが残っている内に、早く攻めなければ……。
「(ん、これは……?)」
 カタリナは、床にある程度の間隔で落ちている物を発見する。黒くて何やら見覚えがある気がする破片である。数個拾って合わせてみると、ある物が浮かんできた。小太郎の髑髏面の一部だ。
「よし、追いつくぞー!」
 辿るべき痕跡を見つけたのだ。後は追い付くだけ、道を曲がり、階が変わり、そして……。
「(見つけたー!)」
 正面の突き当たりに小太郎の姿を捉える。何やら急いで廊下を曲がっていく。カタリナはUCによる自己強化を施し、ナイフを抜いて戦闘態勢を取り、スピードを上げる。そして、小太郎が入った曲がり角に入ると、巨大な影がカタリナを覆った。小太郎が待ち伏せしていたのだ。
『また貴様かっ……!』
 振り下ろされてくる連撃をカタリナはダガーと、レガリアスシューズを用いて受け止める。対峙する小太郎を見ると、各所の怪我と立ち姿から、相当消耗しているらしい。頭部に連ねてあった髑髏面は、正面の物を残して全て砕けている。
「さぁ、第二幕と洒落こもうか!」
 カタリナは、受けていた武器を弾き、ダガーを突き出す。小太郎は避ける素振りも見せず、身体で刃を受ける。
『貴様ら猟兵の死を以て、幕引きとしよう』
 小太郎は喀血しながらも、六本の腕でカタリナを拘束し、押し付ける様に突進する。壁を突き破った所で、小太郎は怪力でカタリナを放り投げた。

「この部屋は罠だらけだ! 壁にぶつかるな!」
「おっと、とと……」
 理仁は飛び込んできたのが猟兵と確認すると、機械喉で呼び掛ける。カタリナはそれを受けて、空中で制動し、理仁の近くに降りる。
『この屋敷と百面鬼に残された力を以て……。グヌッ』
 小太郎は交戦中の分身達と、罠部屋を利用して猟兵達を倒す算段だった。しかし、目に映るのは、罠に向けて投げ込んだ筈のカタリナの無事な姿。小太郎の分身は、今全てが敵の術によって、消滅した。
「悪いが、術は殺した。お前も後を追ってもらおう」
「全力の一撃、いくよー!」
『万策尽きようと、一人では逝かぬ……!』
 小太郎は、二人の猟兵に突進する。しかし、理仁が呼び出した死の記憶に拘束され、そこへ放たれたカタリナの渾身の飛び蹴りが決まり手となった。

『この百面鬼、良くぞ討った。しかし……』
 崩れ落ちた小太郎の身体に火が付き、一気に燃え上がる。炎の中からこちらに向けられた髑髏面は『先に地獄で待っているぞ』と言っている様に見えた。
 魔将軍が一人、百面鬼『風魔小太郎』討伐完了。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月13日


挿絵イラスト