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エンパイアウォー⑤～神君家康公の謎を解け！

作者：ゆうきつかさ

●サムライエンパイア
　寛永三方ヶ原の戦いに勝利した猟兵達は、『第六天魔軍将図』を手に入れた。
　そこに記されていた名前は８つ。
　三方ヶ原で討ち取った武田信玄以外の『第六天魔軍将』達が、サムライエンパイアを征服せんと、一大攻勢をかけてきた。
　徳川幕府軍は、この国難に立ち向かう為、諸藩からの援軍もあわせ幕府軍10万を招集。
　幕府の総力をあげて織田信長の元に向かい、撃破すべく動き出すのであった。

●徳川埋蔵金探索行
　徳川幕府は軍勢を集結させるのと同時に、全国の商人から兵糧などの補給物資を購入しようとしていた。
　しかし、兵糧を初めとした補給物資の値段が天井知らずに高騰しており、満足な量を揃える事が出来なかった。
　これは、個人資産が徳川幕府の全資産を凌駕する魔軍将の一人、大悪災『日野富子』の買い占めによるもの。
　このまま買い占めが続けば、予定される規模の幕府軍を動員する事が出来ないだろう。
　この買い占めに対抗して充分な補給物資を揃えるには、神君家康公が有事の為にと遺した『徳川埋蔵金』を使うしかなかった。
　そのため、　猟兵達は徳川家に伝えられた『徳川埋蔵金の地図』を借り受け、徳川埋蔵金を探し出すことになった。
　ただし、徳川埋蔵金の地図に示された場所に向かうだけでは、徳川埋蔵金を得る事は出来ません。
　神君家康公が埋蔵金の盗掘を防ぐために残したという『謎』を解かなければならなかった。

●ガジルからの依頼
「埋蔵金が隠された場所を見つけたんだよ！」
　ガジル・コリアンダー（キマイラのスカイダンサー・f00907）が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明し始めた。
　徳川埋蔵金があったのは、森の中にある洞窟内。
　そこは魔術的な力によって、存在を隠されていた場所で、巨大な扉の先に埋蔵金が眠っているようだ。
　ただし、埋蔵金を手に入れるためには、提示される謎の正しい答えを言わねばならない。
　そこに提示されている謎は【それはゴロゴロしており、肉球がフニフニ、時には顔を洗い、時には人を招く。気まぐれな性格で、自由気まま。ワンとは鳴かず、ニャンと鳴く。その正体とは一体……？】と言ったモノ。
　万が一、間違った場合は魔術的な力によって、外まで飛ばされたり、落とし穴に落ちたり、タライの一撃を喰らったりするようである。
　だが、正しい答えを導き出す事さえ出来れば、徳川埋蔵金を手に入れる事が出来るため、頑張ってほしいという事だった。

第1章 冒険 『神君家康公の謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、埋蔵金を手に入れます。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出し、埋蔵金を手に入れます。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、埋蔵金を手に入れます。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●扉を開くためのキーワード
「ほほぅ、埋蔵金探しと言えば思わせぶりな地図や歌と言った謎解きは付き物ですよねー」
　黒玻璃・ミコ（屠竜の魔女・f00148）は徳川埋蔵金を手に入れるため、洞窟の中にある門の前に立っていた。
　その扉を開くためには、【それはゴロゴロしており、肉球がフニフニ、時には顔を洗い、時には人を招く。気まぐれな性格で、自由気まま。ワンとは鳴かず、ニャンと鳴く。その正体とは一体……？】という謎を解かねばならなかった。
　つまり、それが鍵。
　扉を開くためのキーワードであった。
「むむ、第六感で閃きましたよ」
　その途端、ミコの中で何かが閃いた。
　まさか、ここまでシンプルな答えだとは夢にも思わなかったが……間違いない。
　そのものズバリの答えを言ってしまえば、それで解決ッ！
　そう思ってしまう程、簡単な答えであった。
「年がら年中ゴロゴロしていて、肉が玉の様にふにふにしており、思い出したかの様に顔を洗う。これは……ダメダメな生活習慣ですね。しかも、やたらと人を招いたり、気まぐれで自由気ままと言ったら、『アレ』しかないですにゃー」
　故に、ミコに迷いはない。
　答えは、アレ！
　……アレしかないッ！
「……正解は『駄目亭主』です」
　ミコがキリリとした表情を浮かべ、謎の答えを口にした。
　もうこれ以外に、答えが浮かばない。
　ある意味、神君家康公からの戒めに違いない。
　そう思った瞬間、ミコの身体が宙を舞った。
　それはまるで巨大な肉球にパンチされたような感覚であった。
　だが、決して嫌な感覚ではない。
　むしろ心地良く、ミコに安らぎを与えてくれた。
　それ故に、ミコは確信した。
　謎の答えが駄目亭主ではなく、ニャーンと鳴くアレであったという事を……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

●謎の答え
「此処に埋蔵金があるのかにゃ……？」
　ミコが青空に輝く星になった頃、鳴猫・又三郎（流浪の黒猫・f06418）は、仲間達と共に扉の前にやってきた。
　その扉を開けるためには【それはゴロゴロしており、肉球がフニフニ、時には顔を洗い、時には人を招く。気まぐれな性格で、自由気まま。ワンとは鳴かず、ニャンと鳴く。その正体とは一体……？】という謎を解かなくてはならないようだ。
「こ、これは、にゃんとも、難問にゃ」
　又三郎の喉が、自然とゴロゴロ鳴った。
　思わず顎に手を添える。
　フニフニ肉球の感触が肌に伝わり、妙に冷たい。
　そもそも、音に親しんで刃に頼って生きてきた知恵も理も遠い獣に、謎解きなんて勤まるだろうか……？
　又三郎の中で生まれた疑問が、ムクムクと音を立てて膨らんでいく。
「……ワン、ワン、ワン、にゃあ……」
　それでも、何の答えも浮かばない。
　物凄く身近に答えがあるような気もするが、あまりにも当たり前すぎて、正解とは思えなかった。
「わかりました、答えはナ……ネコですね！」
　そんな中、レナータ・バルダーヌ（復讐の輪廻・f13031）が、謎の答えを口にした。
　危うく、知り合いの名前（ネコ科のキマイラ）を言いそうになったが、間違いなく答えは……猫ッ！
　それ以外に、答えが浮かばない程、頭の中が猫一色ッ！
「……いやいやいや、ちょっと待って！　流石に猫じゃないでしょ。直接的過ぎるもん。埋蔵金隠す気、全然無いじゃん！　絶対、ひっかけ問題だよね、これ。猫と見せかけて他に本当の答えがあるよね、きっと」
　その途端、富波・壱子（夢見る未如孵・f01342）が危機感を覚え、レナータにツッコミを入れた。
　万が一、謎の答えが猫だった場合、それは埋蔵金を貰ってくださいと言っているようなモノである。
　その上、よく見れば壁には猫の絵が描かれているため、マトモな人間であればあるほど、これが罠だと考えるほど怪しい雰囲気が漂っていた。
「まず、ゴロゴロしてる。これは、もしかして雷の事かも知れない。だって、雷は落ちる場所も気まぐれで自由だから！　次に肉球がフニフニ。雷に肉球？　あとは顔を洗う、人を招く、ニャンと鳴く……。だ、駄目だ！　精一杯自分を誤魔化してみたけど、やっぱり他の答えが思いつかない！」
　しかし、他に答えが浮かばず、敗北宣言ッ！
　こうしている間も、頭の中で猫達が盆踊りを繰り広げているため、猫以外の答えが浮かばなかった。
　これもすべて壁に描かれた猫の絵が原因ッ！
　それでも、他に答えが浮かばない程、頭の中に猫しか浮かばなかった。
「こ、これは、きっと『手に大きな肉球の手袋を嵌めて抵抗できない猫のコスプレをして、ゴロゴロとあざとく寝そべりながら、不自由に顔を洗い、誰かを誘う仕草をしながら、ニャァンニャァンと鳴け』と言う意味です。なんて事でしょう、徳川の重鎮に、こんな趣味の人がいたなんて……」
　一方、弥久・銀花（隻眼の人狼少女剣士・f00983）は、全く異なる答えを導き出した。
　その途端、背筋にゾッと寒気が走り、脂ぎった中年男性に擦り寄られたような嫌悪感に襲われた。
「……仕方ありません、ニーズに応えましょう」
　それでも、銀花に迷いは無かった。
　既に猫耳のカチューシャを身に着け、色々な意味で準備万端。
　何処からどう見ても、可愛い猫娘であった。
「にゃぁん、にゃぁん」
　銀花が覚悟を決めた様子で、胸元のボタンを外し、その場にゴロンと寝そべると、顔を洗う仕草でアピール。
　しかし、扉は無反応。
　鳴き声は問題外とばかりに、ピクリとも動かなかった。
「えーい、いつまでもここでこうしていられないし、もう答えちゃおっと！　もしこれで外れてても、しょうがないよね。せーの、猫！」
　次の瞬間、壱子が半ばヤケになりつつ、謎の答えを口にした。
「……！」
　それと同時に洞窟全体が崩れ落ちそうな勢いで、激しく揺れた。
　それは、まるで世界の終わり。
　今にも天井が崩れ落ちそうな勢いで大地が揺れた。
　その途端、猟兵達の脳裏に過ぎったのは、『不正解』の三文字だった。
　おそらく、すべてを無に帰すため、洞窟全体が崩れ落ちてしまうのだろう。
　既に洞窟の外まで逃げるだけの時間はない。
　……まさに絶体絶命ッ！
　猟兵達が死を覚悟した瞬間、目の前に扉が音を立てて開いた。
「……にゃあ」
　又三郎が驚いた様子で、扉の向こう側を見つめた。
　その視線の先にあったのは、眩い光を放つ金塊の山だった。
「あの……少し戴いたら駄目ですか？」
　そんな中、レナータがポツリと一言。
　しかも、冗談ではなく、本気。
　そのため、仲間達も、一斉キョトン。
　この状況で何をおっしゃると言わんばかりに、表情が凍り付いていた。
「もちろん、タダでとは言いません。そもそも埋蔵金が必要なのは補給物資を調達するためですから、わたしが世界のあちこちに畑を借りて密かに育てているゴボウと交換すれば……って駄目ですか」
　そう言ってレナータが色々と察した様子で、残念そうに溜息を漏らすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月07日