エンパイアウォー③~オペレーション アンブッシュ
●グリモアベース 作戦会議室
「うし、よく来たなお前ら。これより作戦概要を説明するぞ」
ユウキは、エンパイアの地図を広げながら猟兵達に説明を開始した。
「今回の攻撃対象は、信州上田城。だが、城そのものは叩かなくて構わない。あそこは既に敵の制圧下にあり、一応偵察はしてきたんだが……ありゃ無理だ。簡単に落とせる状況ではない……よって今回は、周囲の山岳地帯に展開する大部隊の一部を、ゲリラ戦法により奇襲。敵の戦力を削ぐことが作戦目標となる」
曰く、小さな城である信州上田城にはオブリビオン全ての軍勢を駐留させることが出来ず、入城しきれなかったオブリビオンの部隊が山岳地帯に展開しているらしい。
「少なくとも、10~20人のグループが各地に展開しており、今回諸君に叩いて貰いたいのは、このポイントの駐留部隊だ」
周囲を渓谷が囲い、草木の少ない広場に陣取る部隊が、最初の標的らしかった。
「敵方から視線が通り、かつ、通常の接近方法では奇襲に向かない地形ではあるが、渓谷をクライミング等の方法で登れば意表を突く事が出来るだろう」
更に、近くの山を叩きながら言う。
「少々距離はあるが、腕の良い狙撃手(スナイパー)が居るならばこの山は奴等を撃ち下ろせる場所にある。ここに陣取れば、奴等からの反撃を許すことなく殲滅が可能だろう」
そう言ってユウキはゲートを開き始めた。
「……言おうかどうか迷ったんだがな」
ゲートが開ききり、出発しようとする猟兵達に語り掛ける。
「今回攻撃するオブリビオン達…彼女達は、元々信長に対して一揆を起こした農民達と共に戦った義勇兵達らしい。ふざけた話だが……彼女達の魂を救ってやってくれ。猟兵」
「さぁ、行ってこい! 諸君の健闘と勝利を期待しているッ!!」
ユウキ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
皆さんはじめましてこにゃにゃちわ。
(´・ω・)ユウキです。
今回は基本の判定をキツく、技能やプレイングボーナスを大きめに書いていきます。
「俺はロープワークがあるからロープを使いながら渓谷を登るぜ!」
↓。
「OK!」
「俺は山から狙撃するぜ!(スナイパー技能0)」
↓。
「(´・ω・)駄目です」
こんな感じです。
技能や自身の特徴、UCの効果等を吟味し、プレイングを行ってください。
では、詳しい注意などはマスターページまで。
「それでは皆様、良い狩りを……」
第1章 集団戦
『義勇兵の亡霊』
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POW : 我が信念、この体に有り。
自身の【味方】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 我が信念、この刃に有り。
自身に【敵に斃された仲間の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 我が信念、この矢に有り。
【弓】を向けた対象に、【上空から降り注ぐ無数の矢】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:シルエットさくら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ステラ・テルキーネス
【行動】
渓谷を上り進んで、敵集団の意表をつけるんですね。
わかりました。不肖ステラ・テルキーネス。がんばります。
『ステラ・テルキーネスの長い髪の毛』をロープ代わりに利用して、『ロープワーク』と自慢の『怪力』で木や崖を登り進んでいきます。あとできちんと髪のケアしないと…。あ、枝毛…(涙)
あ、移動に苦労してる方が居ましたらボクの背に載せて『運搬』してあげますねー。
【戦闘】
他の猟兵さんたちと連携を取って奇襲します。
「ボクの髪はブレードになります!」
UC髪刃切断で『ステラ・テルキーネスの長い髪の毛』をブレードにして『なぎ払い』『串刺し』の『2回攻撃』で義勇兵を攻撃します。
他猟兵との連携とアドリブ:OK
グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ共闘歓迎】
得意なのは防衛戦じゃが、奇襲も撹乱も出来るのがこのわし、グルクトゥラよ。おお、溢れる軍才が怖い。
広場の軍勢、上から狙うか下から狙うか。今回は下から。UC使用、ボールズを指揮し【トンネル掘り】で広場の地下を掘り進む。そして、要所要所を手持ち資材で補強しながら空洞を作る。ある程度地表に近付いたら地表上空に電脳妖精を飛ばし、いい地点に【おびき寄せ】つつ、地下から目を逸らさせよう。最終的に「チープトイ」で崩落させ、崩れた穴で地面を掘り大鋏で奇襲するボールズと宙を飛び電撃を放つ電脳妖精で各個撃破。
【破壊工作】と【罠使い】には自信があるのでな。せっかくじゃし、派手にやろう派手に。
● 地道に行きましょう。
「えっさ⋯ほいさ⋯」
ずりずりずり⋯
「えっさ⋯ほいさ⋯」
ずりずりずり⋯
「えっさ⋯あ⋯枝毛⋯」
ずう~ん⋯
自身の頭髪を用い、その幼さの残る顔立ちとは裏腹に、ステラ・テルキーネスは自慢の怪力で地道に崖をよじ登っていた。
しっかり手入れしていたはずの髪に枝毛を発見して落ち込んだりはしたが⋯まぁ元気である。
「いいなぁ⋯」
先程、
「ワシは穴を掘る! ガハハハッ!!」
と、豪快に笑っていたおじさまを思い出す。
その後ろについていけば楽だったんじゃないかとか、一瞬UCで飛べたような気がしたりしたが、実際よじ登っているおかげで枝毛を発見出来たのである。
この苦労も無駄ではない。(と、信じたい)
とはいえ、奇襲という作戦である以上、あまり時間もかけられない。
「不肖ステラ・テルキーネス。がんばります⋯ッ!」
後で髪のお手入れを念入りにやらなければと思いつつ、女は崖を登っていく⋯
● 天才(自称)軍師! 溢れるわしの才能がこ・わ・い♪
「ガハハハッ!! さぁボールズ共、しっかり働けぃ!!」
UC『ガジェットサーカス&フェアリージャイヴ』で召喚したボールズの軍勢を指揮し、着々と地表へのトンネルを掘り進めていくグルクトゥラ・ウォータンク。
ちっちゃいおっさんとか言ったら怒られるだろうか?
「得意なのは防衛戦じゃが、奇襲も撹乱も出来るのがこのわし、グルクトゥラよ。おお、溢れる軍才が怖い⋯ガハハハッ!!」
誰が聞いているでもなく語るグルクトゥラ。
手持ちの資材で補強しつつトンネルを掘り進めてはいるが、少々おざなりな作りである。だが、それはそれ。
「奇襲は早さが命! ちょっとぐらいなら大丈夫じゃろて!! ガッハハハハ!!」
これが幸か不幸か、後に悲劇を生むことを、グルクトゥラはまだ知らない⋯⋯
● 洗脳された義勇兵
自分達はなんのために戦っていたのか⋯今やそれすら思い出せない。
ただ、上杉様のご命令に従えばよい。
私達はその為にここにいる。
視界の端で、小さな光がチラついた。
虫にしては大きく、そもそも発光している。
警戒しながら武器を取り、その発光物に近づいて見れば、それが何か妖怪変化の類なのだろうことに気付く。
「これは⋯いったい⋯?」
「覚悟!!」
不意に響いた声に驚き、義勇兵の亡霊たちは振り向いた。
そこにいたのはステラだ。地道に崖をよじ登り、ちょうどグルクトゥラの電脳妖精に釣られた一団の横にたどり着いたのだった。
さぁ⋯悲劇の始まりである。
「ボクの髪はブレードになるんです! やぁッ!!」
自身の頭髪を武器に、UC『エクステンションリッパー』を発動させるまでは良かった。
飛び上がった勢いそのまま、一体を大上段から真っ二つに切断し、地面に着地した瞬間である。
ミシィ!!
「へ?」
⋯乙女にこんなことは言いたくはない。
だが、ステラは幼さの残る顔立ちとは裏腹に、その下半身を見て貰えれば分かる通り⋯いや、バイオモンスターである以上、仕方ないのではあるが⋯その⋯⋯はっきり言って重い。
その重量級の体が、先程少々おざなりと言ったグルクトゥラのトンネルの真上にジャンプしてきたのである。
そりゃ、どうなるのかは御想像の通りである。
バキィ!!!
崩落するトンネル。その落とし穴に引っかかって落ちていくステラと義勇兵の亡霊たち⋯⋯
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああッ!!?」
そして最後に響いたグルクトゥラの野太い悲鳴。
まぁ、彼の高い罠使いと破壊工作の能力が生きたと言えるだろう!
うん!!
それをほかの義勇兵たちは、奇襲を受けたにもかかわらず、頭に?マークを浮かべたまま静かに見ていたのだった⋯
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
カタリナ・エスペランサ
「奇襲作戦、いいね! びっくりさせるのはアタシも大好きだよ!」
UC【スカイステッパー】を使って渓谷から突撃、《盗み攻撃》で敵の武器を奪っての妨害と攪乱を主軸に立ち回ります。
「はろー、オブリビオンの皆々様! アタシのパフォーマンスに付き合ってくれるよね?」
群れの只中に降り立てば、不敵不遜な笑みを一瞬だけ引っ込めて。
「……大丈夫。あなたたちの信念は、私たちが引き継ぐから」
ボスの【我が信念、この刃に有り。】には【スカイステッパー】の残り回数をやり繰りした三次元機動で応戦。
最大の目的は仲間たちの生還です。
その為なら自分が無理をする事も厭わないものとします。
※共闘・アドリブ歓迎です。
「はろー、オブリビオンの皆々様! アタシのパフォーマンスに付き合ってくれるよね!?」
異様な光景に目を奪われていた義勇兵の前に、人狼の少女、カタリナ・エスペランザが姿を現した。
群れの只中に降り立てば、搭乗時に浮かべていた不敵不遜な笑みを一瞬真面目な顔に戻して呟く。
「……大丈夫。あなたたちの信念は、私たちが引き継ぐから」
それと同時に
素早く一体からその刀をぶんどり一撃を加えようとするカタリナ⋯だが⋯⋯
「甘い!!」
義勇兵たちも、操られているとはいえ歴戦の戦士である。
すぐさま腕を引き、奪われそうになった刀で切り返しの一撃を放つ!
「ちッ!!」
先程倒された仲間たちの怨念を纏い、剣からの衝撃波を連続で放ってくる義勇兵たち。
「ナメないで!!」
だが、カタリナとて簡単にやられるわけにはいかない。
スカイステッパーの残り回数を計算しながら巧みにその攻撃を回避していった。
攻撃もできず、回避に専念するカタリナ。
だが、彼女の目的は仲間たちの生還⋯そして、敵の攪乱である。
そう⋯少女は一人ではないのだ。
苦戦
🔵🔴🔴
伊美砂・アクアノート
【SPD オルタナティブ・ダブル】
分身し、【ロープワーク5、地形の利用5】で協力しつつ山を登る。敵を見下ろせそうな位置まで来たら、念の為【罠使い11、毒使い10、 物を隠す5、拠点防御5】で糸と毒と手榴弾によるトラップを設置。……ま、これで狙撃地点を襲われる可能性は減るでしょう
片方のオレは【スナイパー20、暗殺11】でアサルトライフルによる狙撃。もう片方のボクは【視力5、暗視5】で着弾観測。もし接近されそうなら、ボクもショットガンを構えて山の斜面を掃射するよ。……まあ、罠と散弾の弾幕を抜けられるとは思わないけれど、鉈や暗器も手元に備えておく
高所をおさえて射程で勝てれば、あとは撃ちまくるだけさね
ジョン・ビッカース
「世界ガ違ッテモ、困ッテイル人ガイレバ、駆ケツケル! 猟兵デスカラ!!」
この大きな戦争に対して、猟兵の矜持を持って参戦する!
「ユウキサンガ、示シテイタ狙撃ポイントハココカ? 予想以上ニ、遠ソウダ。」
ユウキが事前のミーティングで挙げていた狙撃ポイントへ移動し、『義勇兵の亡霊』の様子を伺う。
「デモ視界ガ通ルノナラ、【誘導弾】ガ活用出来ル!」
UC「ヘビーアームド・ウェポナイズ」を発動! 左腕を成す鉱石を右腕の『肘』に当たる部分に割り込ませ、狙撃モードへ変形! 敵が密集している箇所へ意識を向け、エネルギー弾を放つ。
「アナタ方ノ思イハ、猟兵タチガ引キ継ギ、叶エテミセマス!」
アドリブ、連携歓迎
川咲香・忍
※アドリブ・絡み歓迎
…山から義勇兵、それも女ばかりの集団を撃ち下ろす、か。思い出しちまうぜ。アフガン、カフカス…。
さて、狙撃で奇襲するなら事前準備は抜かりなくだ。稜線上に身を晒さないようにして【戦闘知識】【情報収集】【第六感】総動員で狙撃に必要な要素を確認するぜ。
時が来たら【先制攻撃】【スナイパー】で攻撃開始だ。最優先は敵の指揮連絡系統の寸断。的当てだけは上手いって所、見せてやるぜ!
こっちに攻撃が飛んで来たら逃げの一手だ。攻撃地点がバレた時点でスナイパーの役割は終わり。【見切り】を使いつつ射程外まで退避するぜ。
…死してなお、戦争の狂気に巻き込まれた彼女らの魂が安らかならん事を。
大神・零児
ユウキの示した山から狙撃
戦士団全員にマルチギアイヤフォン配布
俺含め全員が迷彩等で目立たないように、敵に発見されぬよう存在感を消す
スナイパーライフルと機関銃装備の遠距離攻撃部隊
視力、見切り、暗殺、学習力、戦闘知識、情報収集、地形の利用を駆使しスナイパー技能による狙撃を行なう
大盾装備の近距離戦闘部隊
戦闘知識、視力、情報収集、第六感、野生の勘による敵の攻撃に対する早期警戒体制
俺はマルチギアの望遠スコープ機能を使い、誘導弾仕様のマルチグレネードをマルチグレネードユニットを用い、遠距離攻撃部隊への援護射撃
妖刀「魂喰」と黒剣「黒鞘」は念動力による空中浮遊で、矢の雨をオーラ防御、武器受け、衝撃波等で防御
● 狙撃戦部隊 【行軍】
オルタナティブ・ダブルで二人になった伊美砂・アクアノートは協力して山を登る。
途中、鋼糸を首の高さに張り巡らせたり、足を掛ければピンが外ればら撒かれる手榴弾のブービートラップ等、行軍速度に影響の無いよう簡素ではあるが数々のトラップを仕掛けていく。
「少し警戒し過ぎじゃねぇか?」
大神・零児の指摘に、アクアノートの片割れは静かに答えた
「ボクは用心深いのさ⋯」
確かにグリモア猟兵は、この山からの狙撃であれば反撃を受けることも無いとは言っていたが、戦地において完璧な保証はどこにもない。
「狙撃で奇襲するなら事前準備は抜かりなくだ。指揮官の言葉を信用して気を抜いた連中が挽肉にされるなんて事を、俺は散々と見てきたんだ。何か手伝えるんなら手を貸すぜ?」
そう言って、手を伸ばす川咲香・忍にやんわりと手を振るアクアノート。
「大丈夫。ボクもこういうことは長いからね。」
邪魔だとまではいわないが、やはり罠を使い慣れているのかわからない相手に任せるのには不安があった。
罠というものは、配置を考えなければ一回の起動ミスですべてが水泡に帰す事もある、常人の理解以上にとても繊細な物なのだ。
「世界ガ違ッテモ、困ッテイル人ガイレバ、駆ケツケル! 猟兵デスカラ!!」
意気込みながら山を登るのはジョン・ビッカース。
鉱石の集合体の様な体を持つ彼に、疲れというものは無いのだろうか?
木々の合間をするすると動いていく様は、人狼の零児にとっても驚くほどである。
「まぁ、おそらく先に近接攻撃の為に接近した仲間たちが攻撃を開始しているはずだ。あまり時間を無駄には出来ないぞ」
そう、すでに戦闘は始まっている⋯
いや、一組始まった瞬間に終わったような気がしないでもないが、そこは気にしないでおこう。
狙撃ポイントは、もう目と鼻の先なのだから。
● 狙撃戦部隊 【開戦準備】
「ユウキサンガ、示シテイタ狙撃ポイントハココカ?」
最初にたどり着いたジョンが、地図と照らし合わせて確認する。
「コレハ⋯予想以上ニ、遠ソウダ⋯⋯」
目標地点との距離はおおよそ1㎞はありそうだ。
「まずったっわね⋯⋯」
アクアノートは自身の銃を睨む。
この銃ではおおよそ300~400mの狙撃が限度だろう。
「こいつを使え」
少し唸っていると零児が、アクアノートに戦士団が持つライフルの一丁を渡す。
「使い方は分かるか?」
少々方は古いが、古典的なボルトアクションライフルだ。
素早くボルトの操作を行い、初弾を装填して笑って見せる。
「愚問だったみてぇだな、よし! 全員装備は整ったな!?」
アクアノートの笑顔を見てすぐに振り返った零児は、召喚した戦士団に声を掛ける。
大盾や狙撃銃、機関銃を構えた一団は、一斉に手に持った装備を空にかざした。
「ギリギリだが⋯⋯こいつなら問題は無いはずだ」
忍は【Gewehr 777】と呼ぶマークスマンライフルのスコープの距離を調整しながら呟く。
アフガン、カフカス、パキスタン、イラン、イラク⋯⋯
遠距離から義勇兵の一団を⋯それも女子供の集団を撃つ⋯⋯
それは彼が今まで散々繰り返してきた事だった。
決して慣れる事は無い、戦場の暗い側面。
だが、今までと違うのは、それが彼女たちにとっても救いになるのだということ。
決して迷う必要はない。
● 【開戦】
「ソレデハ! 零児サンノ発砲ヲ合図ニ、皆サン攻撃ヲ開始シテクダサイ!」
脚部を地面へと突き立て、左腕部を右腕へと差し込み固定砲台のような形をとったジョンの合図で各々は武器を構える。
零児はマルチグレネードユニットを構え、UC『クルースニクゴースト』で召喚された一団は、全員の前で大盾と機関銃。そして狙撃銃を構えている。
『オルタナティブ・ダブル』で二人となったアクアノートは、片方が観測手、片方が狙撃手という現代戦術に則ったツーマンセルを組み、忍は木の上へ上り、【Gewehr 777】を構える。
「行くぞ!!」
ポン! ポン! ポン!⋯⋯
気の抜けるような発砲音により放たれたグレネードが、空中で炸裂すると同時に白い白煙を放つ。
それが合図だった。
先程まで義勇兵たちと戦闘していた人狼の少女が、素早くその場を撤退していく。
義勇兵たちのいる方向に向けて、人狼戦士団の一斉射撃が開始される!!
「アナタ方ノ思イハ、猟兵タチガ引キ継ギ、叶エテミセマス!!」
そしてジョンの右腕部から光が放たれ、光速で対象へと到達した光は、一人の義勇兵を灰へと変えた。
一瞬で起きたその出来事に対応しきれない義勇兵たちは、一斉に散り散りに逃げ始める!
再びエネルギーを充填し、逃げ惑う義勇兵へと浄化の光を放つジョン!!
アクアノートのツーマンセルは、静かにそのスコープの先に対象を見た。
「風速⋯南西に3m!! 距離⋯850!!」
ズドンッ!!
「着弾!! ターゲットダウン!!」
もう一人の観測をもとに距離を調整し、借り受けたライフルの一撃を放つ。
見事に義勇兵の頭部に命中した弾丸は、一撃でその魂を骸の海へと送り返す!
「続いて左方15!! 風速変わらず!! 距離⋯840!!」
すぐさまボルトレバーを動かし、排莢と再装填を行う。
ズドンッ!!
「ターゲットダウン!!」
忍は木の上で、逃げ惑う義勇兵たちを見た。
「…死してなお、戦争の狂気に巻き込まれた彼女らの魂が安らかならん事を」
静かに呟き、引き金を引く。
乾いた銃声の元に脚部に銃弾を撃ち込み、転倒した義勇兵の頭部へ向けて続けざまの弾丸を撃ち込む。
「⋯⋯彼女らの魂に安息を⋯慈悲を与え給え⋯⋯」
再度、別の標的に狙いを変えて、同じ様に撃破していく忍。
その銃弾に迷いは無く。そして慈悲深い一撃だった。
どれほど発砲が続いただろうか?
「撃ち方やめ!!」
零児の号令と共に、一斉に射撃が止まると、目標地点に立っているものはいない。
すべての義勇兵たちが倒れ、そして動く事は無かった。
「おい、そいつを貸してくれ」
戦士団の持つライフルを借り受け、零児はその銃口を空へと向ける。
ズドン!!
ただ一発の弔砲。
それはただ誇り高くあった者たちへの、せめてもの追悼。
各々が黙祷を捧げ、その場を後にする。
義勇兵たちの魂が、安らかなる眠りにつけることを祈りながら。
大成功
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