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エンパイアウォー③~山岳を彷徨う泡沫の怪火

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 サムライエンパイアは信州を奔る大道、中山道。その中頃に居を構える『信州上田城』は、本来は幕府を、民を護る要とも言える存在であった。だが、それは少し前までの話。今現在、そこに居座るのは、悪鬼羅刹共の一柱が一人。外敵を打ち払うべき砦は、今や内の者を殲滅せしめんとしていた。
 そしてそんな城塞の周囲を漂う、奇妙な存在があった。一見、山中という場には似つかわしくない、虹色の光を放つクラゲのような外見。儚げな炎を侍らせ、何処か幻想的な様を見せているが、決して、彼らに近づいてはならない。何故なら、彼らに近づいたが最後。その炎に触れた者は、幻想の中でその命を果てさせる結末を迎えるのだから――。

「皆、集まったわね。 今度はサムライエンパイアで、大規模な戦いが始まるわ。」
 三度の戦争という事で、慌ただしさを増しつつあるグリモアベース。その一角で、アイリーン・ルプスが今回の戦争の概要のおさらいも兼ねて、作戦の説明を始める。
「以前、皆の尽力もあって、織田信長の配下の一人、武田信玄の復活を阻止できたわ。でもその報復とばかりに、信長も島原に『魔空安土城』と呼ばれる拠点を作り、此方へ攻め入ろうとしているの。」
 このままでは幕府の、いやサムライエンパイアの存亡に関わる危機が迫るのは間違いない。そこで徳川幕府軍は、『魔空安土城』攻略に欠かせない『首塚の一族』、そして諸藩からの援軍も合わせた10万もの大軍勢を用いて対抗するという策に出る。
「その内の2万の軍勢が通るのがここ、中山道と呼ばれる大街道よ。」
 グリモアを変異させた地図を示しながら、アイリーンは言葉を続ける。
「でも、中山道の要衝である『信州上田城』周辺は残念ながら、既に魔軍将の一人、軍神『上杉謙信』の軍勢に制圧されてしまっているわ。」
 これを放っておけば、中山道方面軍の殲滅は確実。幕府軍にとって大きな痛手となるだろう。
「そこで皆には、『信州上田城』の周囲の山岳地帯で待機している、上杉軍の戦力を削いできて欲しいの。」
 幸か不幸か、膨大な戦力を誇る上杉軍はその全てを『信州上田城』に収める事が出来ず、主力部隊すら野に放たれたままとなっている。そうなれば、奴らの殲滅など容易。地形を生かし、大いに殲滅すればよい。そして主力部隊を失ったとあれば、流石の上杉軍も撤退を余儀なくされるだろう。
「そして今回私達が対応するのは、『水晶宮からの使者』 と呼ばれる存在よ。」
 パッと見は、水中ではなく空中を漂う所、周囲に人魂の様な炎が浮いている所以外は、ごく普通のクラゲに思える。だがその炎に触れた途端、その者は強い意志で抗うか死ぬまで、夢の中に囚われてしまうという。
「サムライエンパイアの未来がかかったこの戦争、その一端を担うこの戦い。皆、絶対に成功させましょうね。」
 アイリーンはそう告げると、艶やかな笑顔と共に、猟兵達を送り出すのだった。


橘田華佗雄
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 十一度目まして、橘田華佗雄です。十を超えた最初のシナリオは、正直予想外だったサムライエンパイアでの戦争と相成りました。
 以下、ちょっとした補足になります。

●戦場について
 比較的なだらかな、木々がうっそうと生い茂る山岳地帯。その地形を生かし、戦闘の優位を取ろうとしたり、待ち伏せしようとしている敵を奇襲したりしようとする等といった工夫をすれば、より殲滅が容易になるかもしれません。

●敵について
 基本能力は一般的な同名の敵と大差ありません。

 今回のシナリオは、いかにしてこの地形を味方に付けるか、その工夫がカギを握る事になるでしょう。
 それでは、皆さんの参加を、心よりお待ちしてます!
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第1章 集団戦 『水晶宮からの使者』

POW   :    サヨナラ。
自身に【望みを吸い増殖した怪火】をまとい、高速移動と【檻を出た者のトラウマ投影と夢の欠片】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    夢占い
小さな【浮遊する幻影の怪火】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【鍵の無い檻。望みを何でも投影する幻影空間】で、いつでも外に出られる。
WIZ   :    海火垂る
【細波の記憶を染めた青の怪火】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。

イラスト:葛飾ぱち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

徳川・家光
「後方で安穏としてられない僕は、まだまだ将軍として未熟なのかもしれません。でも……!」
 すらりと刀を抜き放ち、木々の間に飛び込みます。
 敵は精神攻撃を得意としますが、それらは全て、怪火の着弾を発動条件とするもの。まずは遮蔽物の確保を最優先とします。
 その上で、
「妻たちよ、僕の目となってくれ!」
 ユーベルコード「大奥の叫び」を使って、浮遊する嫁鏡から、妻達に死角を偵察してもらいます。指示内容が他の猟兵達の邪魔とならないよう、僕にだけ通じる「寝室にあるもの(枕や薄絹など)」の置かれた方角で指示して貰うことにします。
 それらの情報を得た上で、木の幹を背にし、回復をさせないよう一体ずつ斬り落とします。


月隠・三日月
上杉謙信……話に聞いたことはあるよ。何でも『軍神』と恐れられる武将だったとか。そのような人物が軍を率いているとなると、とても手強そうだね
けれど、どんな相手だろうと負けるわけにはいかない。私の故郷の、サムライエンパイアの存亡がかかっているのだから

私は【暗殺】の要領で敵に奇襲をかけよう。木の陰などに身を潜めつつ【忍び足】で移動、辺りを見回しながら(【視力】)【聞き耳】を立てて索敵を行う
敵を発見し次第、暗器を投擲して攻撃する。その際【制限破壊・怪力無双】を使用して筋力を強化、攻撃の威力を上げよう

敵の怪火には触れないよう注意しよう。万一触れてしまった場合は夢に囚われないよう全力で抵抗しよう(【覚悟】)



(上杉謙信……話に聞いたことはあるよ。何でも、『軍神』と恐れられる武将だったとか。そのような人物が軍を率いているとなると、とても手強そうだね……。)
 緩やかながら、それでいて騒然と居並ぶ木々に身を隠しながら、月隠・三日月は僅かな震え交じりでぽつりと呟く。有象無象とはいえ、相手は優秀な指揮官が率いる強者揃い。だが、例え如何な強大な存在が背後に控えていようと、彼のこの戦いに賭ける覚悟は決して揺らぐことはない。なぜなら。
「けれど、どんな相手だろうと負けるわけにはいかない。私の故郷の、サムライエンパイアの存亡がかかっているのだから。」
 かつては己の処遇に不満を抱き、出奔したこの身。だが、だからといって故郷を見捨てる程の冷血は持ち合わせていない。どれ程の一族の制止をも振りほどいてでも、この大戦に参戦するだけの覚悟が、彼にはあるのだ。そして、同じだけの覚悟を持つ者がまた、ここにも一人。
「えぇ、僕も同じ想いです。共に力を合わせ、如何なる敵も打ち倒してみせましょう!」
 そこに現れる一つの影に、三日月は一瞬驚愕する。それは、本来ならばこの場に最もいてはならない筈の人物。この大規模戦争の総指揮を執る者にして、要たる存在。時の大将軍、徳川・家光であった。
(……後方で安穏としてられない僕は、まだまだ将軍として未熟なのかもしれません。)
 それは為政者、その中でも頂点に座する者としては、愚かと言われても仕方ない選択なのかもしれない。
(でも……だとしても!)
 だが、この国を治める者として……この国に生きる一人の人間として、ただ後ろから見ているだけなど、彼には到底無理であった。自らも刃を取り、この国のために戦う者達と肩を並べ、共に戦う。それこそが、彼なりの覇道なのかもしれない。
 そして三日月もまた、家光と同じ目線に並び立つ。たとえ里の落ちこぼれだろうと、時の大将軍だろうと、一度戦場に立てば、等しく猟兵。肩を並べ戦う同士だ。暫しの打ち合わせの末、二人の猟兵は上杉謙信の精鋭を打ち破るべく、行動を開始する。
「では、行きましょう!」
 そう言って、家光はすっと刀を鞘から一気に引き抜き、木の幹を背にしながら戦闘態勢を取る。標的の攻撃は相手の精神に起因するものだが、それら全ての引き金となるのは、周囲に漂う怪火が触れるというもの。ならばそれが直撃しないよう、遮蔽物を確保すればいいだけの事。だが同時に、それは此方の視野も狭まるという事。ならば。
「妻たちよ、僕の目となってくれ!」
 家光が密やかに叫ぶと、目の前の芒星陣から彼の愛する妻たちを映した鏡型映像デバイス――嫁鏡を呼び出す。そして浮遊するそれらを一枚残して山林に放ち、己の眼では捉えられない範囲の索敵を任せ、残された鏡越しに報告を伝え聞いていた。
『上様、枕の方角、敵影なしでございます。』
『上様、薄絹の方角、見当たりませぬ。』
『上様、秘蔵の薄書の方角、異常なしでございますわ。』
 念のため、三日月に不要な混乱をさせないよう、そして万が一敵にその内容を悟られないよう、家光、そして妻達にしか伝わらぬ、彼の寝室にある物品を方位針とする事で、その内容を正確に把握していく。
 一方の三日月もまた、家光とは別の手段で敵の索敵を行っていた。それは、忍びの一族の彼らしい、己自身を頼るやり方。木蔭に身を伏せつつ、音も気配も消しながら、時に目を配り、時に耳に手を当て、敵の所在を掴もうとしていた。そして、その時は両者同時に訪れる。
(! いた!十二時の方角に100m!)
『! 上様、飾り刀の方角に33寸、確認いたしました!』
 二人は目を合わせ、その一瞬で互いの意図を確認すると、音も立てず、対象がギリギリ目視できる所まで一気に接近する。そして遂にその目に捉える、ふよふよと漂う幽影達。煌びやかに、それでいて儚げなその姿は、まさしく『水晶宮からの使者』と呼ばれるのも無理らしからぬ美しさを誇っていた。だが、そんな彼らも今は魔軍将が一人の直々の配下。気は一切抜けない。そして家光は木の幹を背にするようにしながら、慎重に距離を詰めていく。やがて十分な射程距離に近づけたと確信した彼は一転、核と思しき一点を狙い、抜身の刀による一太刀を浴びせる。
 ――閃。
 目にも止まらぬ、光が一瞬閃いたかのような鮮やかな一振り。これにはさしもの先兵も、回復はおろか、その一撃に気付く間もなく、その身を塵へと還していく。
 家光が一体一体確実に屠っていく一方で、三日月もまた行動を開始していた。一定の距離を整え、その手に大小形状様々な暗器を構える三日月。
「羅刹紋起動。制限解除――全力だ。」
 そして禁呪によって、その両腕に尋常ならざる力を蓄える。やがて臨界寸前までその力を高めると、三日月はその手を敵に振り向けると同時に開放。その手に収められていた暗器が、次々と風を切りながら降り注ぐ。
 ――撃。
 降り注がれる轟撃に、身を崩していく儚影達。そんな彼らの反撃とばかりに打ち込まれる怪火を紙一重で躱しながら、三日月は新たな暗器に力を込め、なおも投げ出していく。だがそんな中、怪火の端が一瞬、頬を掠める。そして僅かな間に垣間見る、夢の様なかつての記憶。
 ――何故だ、何故お前には、それ程までに戦闘感覚が受け継がれぬのか。
 ――もう良い、貴様になど、微塵の期待も抱かぬわ。
 ――あにさまには危ないことをして欲しく、ない。
 刹那によぎる、自らに向けられる眼差し、諦望や心配が入り混じる声。一時、その幻想に三日月は囚われかけるも、強い覚悟を秘めた彼は瞬時に振り払い、その手により一層の力を込め、己の過去をほんの僅かでも暴いた無礼者への殲滅を続ける。
 やがて半刻程の後。二筋の光が同時に幻影を捉え、骸の海に還す頃になれば、気付くと周囲の敵はひとまず一掃される事となった。まずは幾らかの勝利を。三日月と家光、二人の猟兵は、互いの拳を突き合わせ、互いの健闘を静かに称え合うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サリー・オーガスティン
「あまり接近しての攻撃は、良く無さそうだね」
浮遊してる相手には、ボクも浮遊するUCで対抗するよ。

「さぁ、飛べっ!」

 Drone Action発動。「抵抗しない対象を吸い込む」なら
【操縦】で的確に操って、【武器改造、メカニック】で一撃必殺に特化させ、【2回攻撃、メカニック、スナイパー、誘導弾、なぎ払い、零距離射撃、援護射撃、一斉発射、だまし討ち、吹き飛ばし】で高火力で吹っ飛ばす!

なお、ドローンの数ですが、可能なら「敵の数+1」をキープ。
(42体以上いたら、お手上げ。減ったら合体で強化)
確保撃破を心がけて、少しずつでも数を減らすよう振る舞うよ。

※アドリブ、連携共に歓迎



「さて……どうやら、ここでの戦いはもう始まってるようだね。」
 少なからず険しさの残る、山林生い茂る獣道。その間を縫うような華麗なドライビングテクで駆けつけたのは、サリー・オーガスティンであった。僅かながらに聞こえる戦闘音を頼りに、この場へと駆けつけたのだ。だが、今の彼の視線は、今現在戦刃が舞っている方向ではない。先駆者達が戦っている所から数十m程離れた位置、そこに、また別の幽影の集団がいるのを確認したのだ。その数、およそ40といったところか。そんな中、オブリビオン達は山道をものともせず、空中を自在に漂っていた。
「これは……あまり接近しての攻撃は、良く無さそうだね。」
地に足の着いた機動を得意とするサリーにとって、ゆっくりとはいえ宙を舞い、怪火による遠距離攻撃を得意とするこの相手に対し、険しい地面を越えて近接戦闘を挑むのは些か不利であろう。ならば。
「目には目を。浮遊してる相手には、浮遊するユーベルコードで対抗だよ。」
 彼が虚空から呼び出すのは、小型カメラ付きのドローン達。一応戦闘用とは銘打たれているが、このままでは火力に不安が残るのだろうか。サリーは十指に様々な工具を携え、即座に改造を施していく。目指すは、一撃で打ちのめす必殺のチューニング。本来ならその身には不釣り合いな程の大型粒子砲を備え付け、着々と戦力を整えていく。
「フゥ……これで用意はばっちりだね。さぁ……飛べ!」
 そして全機の改造を終えたサリーは、離れた位置でいまだ健在の敵目掛け、ドローン達を飛ばす。四方八方、あらゆる方向から襲い来るドローン達。時には死角からの不意打ちで、時には正面から近距離で、またある時は、目の届きにくい場所からの遠距離で。動きの読まれにくい波状攻撃を巧みに操りながら、一体一体粒子砲で確実に潰していき、数的優位を生かそうとするサリー。やられてばかりとはいられないとばかり、幽影達も己の支配域に取り込もうと怪火をドローン目掛け飛ばすも。
「その攻撃は、抵抗しない対象を吸い込むんだよね。だったら、思い切り抗うだけだよ!」
 心なきドローン達にとっては、幻影に取り込もうなど無駄。そのまま返り討ちで撃破に追い込んでいく。そして気付けば、残るは一体。サリーは生き残りを全機連結させ、その銃口を敵の核に向ける。
「これで、終わりだよ!」
 威力を増幅され、極太のビームとなって放たれた光線。その奔流は儚影を確実に飲み込み、遂には、彼らがこの場にいたという痕跡すらも残らぬ程の圧倒的な殲滅で、この小規模な集団との戦いは締めくくられるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カーニンヒェン・ボーゲン
ユキどの(f06201)と参ります。
予期せぬ御方がいらしているようですね。
加勢は不要のようですが…猟兵は総大将に頼りきりと、
侮られては大変ですな。

(そうですね、と口元に指を立て)
露払いと参りましょうユキどの。

目立たず、まずは情報収集を。
然程素早い動きや肉弾戦を得意とするようには見えませんが…
こちらも足場が悪い。
ユキどの、失礼かとは思いますが肩車などいかがでしょうか。
大丈夫ですよ。
成程、大助かりですな!お願いします。
(帽子をユキどのに預けて肩車)

誘導と助言に従い、UC:剣刃一閃にて接敵。
破魔を属性として剣刃に纏わせ、怪火ごと斬れるならそのように。
不可なら避けて、忍くまどの(死角)を目で探します。


ユキ・スノーバー
じぃじ(f05393)と
戦の事はあんまりよく分かんないんだけど…
悪い人達の周辺の露払い、って言うんだっけ?も戦略として必要なんだよねっ?
じぃじと一緒なの心強いから、張り切って…あ、でも慎重に行動しないとだねっ(口を覆う様な仕草をしつつ)

えっ、じぃじは大丈夫?高い所から確認出来るの便利…そうだっ!
そしたら、先陣が情報収集で良い感じだったりしてたから
しろくまの行進(忍びバージョン)で各所偵察&報告で
良さそうな位置を割り出して、誘導するねっ(お邪魔しまーすっと肩に乗り)
攻撃に移る際は降りて、都度敵の死角位置を呼び出した皆と情報共有してじぃじに教えるよーっ。
適材適所、連携すれば効率アップ間違いなしっ!



「どうやら……予期せぬ御方がいらしているようですね。」
 なおも戦闘の喧騒が続く中山道。そこを彷徨う幽鬼達が中頃ほど打倒されようという時、ゆるりと新たに現れる、大きさの大きく異なる二つの人影があった。一人は、落ち着いた雰囲気を漂わせる老紳士、カーニンヒェン・ボーゲン。彼はここに来る道中、彼らと同様に奮闘するとある御仁の姿を、その視界に捉えていたのだ。
「加勢は不要のようですが……猟兵は総大将に頼りきりと、侮られては大変ですな。」
 民のために懸命に奮闘するその姿に、一応の安心を覚えるーニンヒェン。ならば、今度は己の力を彼奴等に見せつける時。彼は物腰柔らかな姿勢は崩さず、それでいて、その瞳からは、これからの戦いに向けた確かな熱い戦意が感じ取られていた。
「ぼく、戦の事はあんまりよく分かんないんだけど……悪い人達の周辺の露払い、って言うんだっけ?も戦略として必要なんだよねっ?」
 一方、そんなカーニンヒェンの遥か眼下。柔らかなコートから白雪を模した耳をぴょんと飛び出させた小さなテレビウムの少年、ユキ・スノーバーは、興奮冷めやらぬ様子で、今回の作戦の確認のため、その概要を彼に、思わずまくしたていく。
「でも、じぃじと一緒なの心強いから、張り切って!……あ、でも……慎重に行動しないとだ、ねっ。」
 だが、すぐさま自身の状態に感付くユキ。そこで彼はお口にチャックとでもいうように、その口に愛らしい短い手を当てる。
「えぇ、そうですよ。では……露払いと参りましょう、ユキどの。」
 そんな彼に同調するかのように、茶目っ気と品格を漂わせながら、そっと自身の口元に指を立てるカーニンヒェン。そんな中でも、彼の脳はこの戦況に対する思考を続けていた。先程ちらりと横目に確認した敵の様を見るに、おそらく機動力や近接戦闘を得意とするようには見えない。だが、足場の悪いこの状況では、年の割には得体である自分ならともかく、未だ幼子であるユキにとっては、険しいものがあるだろう。ならば。
「ユキどの、失礼かとは思いますが、肩車などいかがでしょうか。」
 そう言って、カーニンヒェンはすっと手を差し伸べながら、ユキに一つの提案をしてみる。
「えっ、じぃじは大丈夫?高い所から確認出来るの便利……そうだっ!皆ー、手伝ってーっ!」
 一瞬、カーニンヒェンを気遣うあまり、遠慮の意を示すユキ。だがそれをきっかけにとある策を思いついた彼は、何処へともなく、密やかに呼び声を上げる。すると、辺りの草陰からカサカサッと音を立てながら、忍び装束に身を包んだ四十ものデフォルメされた白熊達が、何処からともなく姿を現していく。そうして集めた彼らにユキはコショコショと何かを話すと、今度は忍びくまは一目散に、辺り一帯に散開していった。
「こーして、皆に調べてもらった情報から良さそうな場所を考えて、そこに誘導するねっ。」
 そのままお邪魔しまーすっとばかりに、カーニンヒェンの肩にヨジヨジと登るユキ。大丈夫とばかりにその身を委ねながら、小さいながらもそのように頭の回る彼に、カーニンヒェンは少なからず感心する。
「成程、大助かりですな。では、お願いします。」
 そう言うとカーニンヒェンは自身の帽子をユキに預け、肩車の体勢を整えると、その時を待つことにした。やがて暫しの後、出戻ってきた忍びくまの一体がこっちこっちと手招きするのを確認すると、焦らず、尚且つ迅速にその後に付いて行く。やがて目に飛び込むのは、先程はチラリとしか見遣れなかった、煌びやかな幽影達。その死角にこっそりと回り込むと同時、戦闘の妨げにならぬようにとえっちらおっちらユキがその肩から降りると、彼を鼓舞するかのように声を掛ける。
「それじゃあじぃじ、頑張ってね!」
「はいっ、後はこのジジイに……じぃじに、お任せ下さい。」
 そしてカーニンヒェンは懐から愛刀――『老兎』を引き抜くと、静かに、それでいて勢い衰えることなく、一気にその距離を詰める。そして放たれる、一瞬の一閃。的確にその核を切り裂いた一撃に、斬撃を受けた一体はなす術なく、その地に力なく身を堕とす。一瞬遅れ、敵の襲来にざわつきを覚える幽影達。だが既に時遅く、カーニンヒェンはその視界から姿を隠していた後だった。その後も、死角から斬りかかっては確実にその命を刈り取っていき、また別の死角へと迅速に姿を隠すカーニンヒェン。そしてその動きの影には、ユキの誘導と助言による貢献があった。
「今度は後ろ!今度は右!次は思い切って左斜め前だよ!」
 忍びくま達を通し、その都度敵の死角となる位置を割り出しては、カーニンヒェンに的確な指示を出すユキ。これこそが適材適所。各々の出来る事を生かした連携による、実に効率的な戦いぶりであった。そして数刻後、遂に残るは一体のみとなった所へ、最後の攻勢をかけるカーニンヒェン。だがここへ来てやっと、死角からのみ攻撃してい来ると学習した儚影は、とっさに怪火による反撃を試みる。だが。
「残念ながら……そのような小火では、倒すには能わないですよ。」
 言うとカーニンヒェンは怪火ごと、最後のあがきを見せた儚影を一刀の元に切り伏せる。その刀身に破魔の力を宿した一閃を前にすれば、怪火ごと敵の身を切り裂くなど、造作もない事であった。一集団の殲滅を成し、一呼吸を終え視線を交えるカーニンヒェンとユキ。その眼には、互いに穏やかな雰囲気のみが残っているのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

久留米・圓太郎
【SPD】
■心証
将軍様のお出まし、とあっては、格好悪い戦いは出来ないよね。

■戦闘
【師匠召喚】で、師匠を呼び出し、一緒に戦っていただこう
「「抵抗しない対象」を吸い込むんだよな。じゃ逆に抗い続けよう!」

【カウンター、属性攻撃、全力魔法、2回攻撃】で、遠距離からの魔法で、確実に数を減じさせ
師匠には、これも遠距離から【範囲攻撃、援護射撃】をお願いし、殲滅を目指します

「将軍様からのご褒美をいただきたい所だが……」
(と、つい邪神を口にしてしまい、圓太郞にしか聞こえない、師匠の声に叱責される)

師匠とあわせて4つの目と耳で、敵の逃亡に注意を払おう

※連携、アドリブ共に歓迎


フォルク・リア
「山の中に怪火とクラゲか。
何とも幻想的な。
敵でなければゆっくり観察したいけど。
今回はそうもいかないか、速やかに倒させてもらおう。」

木の影等に隠れ、宙に浮く炎やクラゲに警戒して
発見されない様に慎重に移動。
敵を発見したら炎に触れない様に注意し敵の数や配置を確認。
遠距離から敵を狙え、囲まれない所を確保し
【衝撃波】を伴ったデモニックロッドでの闇の魔弾を
【範囲攻撃】で放ち多くの敵を同時攻撃。

敵に発見されたら【残像】を残し移動。再び潜伏。

敵が回復を図って来たら
暴虐の黒竜王で相殺しつつ
可能であれば【2回攻撃】を使いデモニックロッドを使用。
更に【全力魔法】で魔弾の威力を上げ
ダメージの大きい敵から仕留める。



「山の中に怪火とクラゲか。何とも幻想的な。」
 フォルク・リアは、目の前の光景に一抹の歓喜を感じていた。鬱蒼とした暗さの中で虹色に輝く、水晶宮からの使者。そしてそれを仄かな光で周囲から照らす怪火。何処か浮世離れしたその場面に、密かにに引き込まれかけるも。
「敵でなければゆっくり観察したいけど。今回はそうもいかないか、速やかに倒させてもらおう。」
 冷静に状況を見据え、少しばかり残念気に思いながら、フォルクは樹の陰に潜み、慎重に気を伺っていた。
「将軍様のお出まし、とあっては、格好悪い戦いは出来ないよね。」
 一方、その後ろで同様に戦況を観察していた久留米・圓太郎は、先程ちらりと視認していたさるお方の姿を思い出していた。一軍の将でありながら、一兵士として振うその勇士。魔法使いの一番弟子を自称する者として、ここで無様な戦姿を晒すわけにはいかない。そう固く誓っていると。
「……よし。敵の配置は確認した。」
 フォルクは観察を終えた事を表し、圓太郎と位置取りや段取りの相談を始める。両者合意の上、静かに、特に辺りを漂う怪火に触れぬよう、目的の地へと歩む二人。そして各自の持ち場へと着くや否や、圓太郎は法陣を描き、呪文を紡いでいく。
「Please Help Me!!」
 やがて陣から現れるのは、変わらぬ貌を携えた魔女――『師匠』と称される存在。圓太郎は彼女に目配せすると、即座に状況を理解した師匠は、その手に携えた箒の穂先を眼前の幽影達へと向ける。
「『抵抗しない対象』を吸い込むんだよな。じゃあ、逆に抗い続けよう!」
 二振りの箒から放たれる、色も大きさも豊かな魔法光の数々。それらは間を置き離れた位置で揺蕩う海月達へと降り注ぎ、その身に絶え間ない衝撃を与え続けていく。ようやく事態に気付き、反撃の怪火を飛ばして偽りの空間に引きずり込もうとするも、彼らは懸命にその誘惑を払いのけ、その真価を無力とさせていた。
「さて……俺も実験、もとい戦闘を始めるか。」
 そしてフォルクもまた黒杖を手に取り、その先から漆黒に染まった幾つもの魔弾をばらまき、儚影達へと襲い掛ける。着弾と同時、内に込められた圧力が爆ぜ、その身を抉り取られていく儚影達。光暗入り乱れる戦場の中、ある事に気付いた師匠は圓太郎に囁き、その事態をフォルクに知らせるよう促す。
「そっちから見て右奥、逃げようとしている奴がいる!頼んだ!」
「あぁ、任せろ!」
 そう叫びながらフォルクが視線を移すと、そこには半身が削られながらもなお逃亡を図りながら、周囲に発した蒼火で己の傷を癒そうとする幽影の姿があった。
「――纏う風は黒。羽撃く翼は烈風。その身に宿すは狂乱。上げる咆哮は冥府の陣鐘。抗う全てを喰らい、その宿せし力の無慈悲なる真価を示せ!」
 迅速な詠唱により呼び出される、魔を喰らう黒竜。フォルクが指示を出せば、その咢は一目散に蒼火へと向かい、残らずその牙で噛み砕いていく。果たして無慈悲なその行いに高ぶる程の感情があるか分かり兼ねるが、幽影は怪火を飛ばし、彼を偽りの夢へと誘おうと目論む。遂に怪火が命中し、その姿を霧散させるフォルク――否、それは残像であった。咄嗟に身を伏せ、囮で敵を惑わしたフォルクは今一度黒杖に、残る力の全てを注ぎ込み、これまでで最も特大の魔弾を作り出す。
「さぁ、これで終いだ!」
 撃ち放たれる、力強き闇の塊。回避能わず儚影に命中すれば、その朧身のみならず、周囲の木々もその衝撃に飲み込んでいき、粉々に打ち砕いていく。大気が落ち着きを取り戻し、視界が開ければ、そこには敵のみならず、草木一本も残らぬ窪みが築かれていた。
「お、こっちも終わったみたいだな。」
 そこへ疲労の色を見せながら、圓太郎は師匠を伴い、フォルクの元へと歩む。その様子を見るに、どうやら彼の方も片が付いたようだ。
「それにしても……これだけ頑張ったんだから、将軍様からのご褒美をいただきたい所だよなぁ……あ。」
 気付いた時にはすでに遅し。ついその心根を漏らしてしまった圓太郎は、怯えながらゆっくりと師匠の方へと振り向く。そこには、かつて幾度となくやらかした時と寸分違わない表情を浮かべる彼女の顔が。途端、圓太郎にしか聞こえぬ声で何かをまくし立てる師匠。近くでそれを眺めていたフォルクには何を言っているのかは分からなかったが、その様子から簡単に推察する事が出来た。あぁこれ、お説教されているんだなぁ、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

世母都・かんろ
木々と茂みに身を隠し、敵の様子を確認
この森一帯、すべて雨に沈めるの

ふわり別れの歌を紡ぐ
海月達に気付かれるよりもはやく、はやく
【歌唱、高速詠唱、呪詛、全力魔法、属性攻撃】


いつかの思い出わすれても
きみが大人になろうとも
ここにいたことわすれないで
ぼくがいたことわすれないで
雨の記憶があおいから
今日もわたしはみずびたし


雨粒に沈まなかった海月が居れば
魔力を集めた指揮棒で更に雨を降らす
ぜんぶぜんぶ、サヨナラを

攻撃された時は自分の勘を信じて素早く躱し
次の一撃につなげてみせる
【第六感、見切り】

こわがるだけでは、この世界がこわれるから
うつくしいものを見せてくれた
この世界が亡くなってしまうから
それは、いやなの



 戦いも佳境に達し、残る敵の数も僅かとなりつつある頃。繁茂する山中に身を潜め、密やかに探りを入れる少年――いや、ここはあえて少女と呼ぶべきか――世母都・かんろの姿があった。本音を言えば、このような荒事の場に出るのは恐怖すら感じる。だが、かんろは持てる勇気を振り絞り、この地に降り立った。なぜなら。
(こわがるだけでは、この世界がこわれるから……。)
 雨の中に垣間見た、幾度も美しい姿を見せてくれたこの世界。それが失われてしまうのは、とても悲しい事だから。だから、とかんろは目前に捉えた幽影達を見据えながら、『pluie』――雨の名を冠した拡声器を携え、一つの決意を固める。
「この森一帯、すべて雨に沈めるの。」
――いつかの思い出わすれても♪
 柔らかに、男性とも女性ともいえない不可思議な声色で紡がれるのは、別れの歌。やがてその歌声に呼応するように、雲の無い空からぽつり、ぽつりと、雨粒が山林全体に滴り始める。
――きみが大人になろうとも♪
 いつもよりテンポ速く、それでいて魔力も想いもしかと込められた詞は、幽影に気取られる間もなく流れ続ける。やがてさぁさぁと本降りを始めた時雨は、その雨粒に当てられた儚影を少しずつ、確実に蝕んでいく。
――ここにいたことわすれないで♪
 だが、その事にようやっと感付いた海月達もみすみすやられるわけにはいかぬとばかり、味方には細波の記憶が込められた癒しの蒼火を、かんろには殲滅をもたらす朱火を飛ばす。
――ぼくがいたことわすれないで♪
 それでもなお唄を奏で続ける口唇を閉じることなく、かんろはその身をひらり、と舞うように翻し、衣の間から取り出した『musique』――音楽の名を冠した指揮棒で、なおも足掻き続ける幽影達を指し示す。
――雨の記憶があおいから♪
 すると、その先にいる海月達の辺りの雨脚は一層早まり、終いには轟々と唸る程の豪雨がなだれ込み、その雨流に海月達は次第に保っていられず飲み込まれていく。
――今日もわたしはみずびたし♪
 そして結びの詩が紡がれる頃。そこは一切の灯火が消え、鮮やかな身躰は森一帯に広がる雨河へと沈みこまれていた。遂にすべての手勢が打ち払われ、また一つ、この世界を蝕む脅威が消え去ったこの戦い。この場を去ろうとしていたかんろは今一度振り返りながら、骸の海へと流れゆく朧影達を見遣り、ぽつりと呟く。
「ぜんぶぜんぶ、サヨナラを。」

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月20日


挿絵イラスト