エンパイアウォー④~儀式の主は怠惰な狩人
「あー、面倒だぁ……」
狩衣を纏った青年が欠伸をひとつ。
そしてすぐさま矢を番えて放った。
放った先は、逃げ出そうとした仔竜の四肢。
足を射抜かれ、その動きが止まった。
「ったく、どうせ殺されるっていうのに逃げんなよ……」
むんずと仔竜の身体を掴んで樹海の奥へ青年は歩いてゆく。
「コルテスの旦那の命令じゃなかったらサボりたかったなぁ……儀式場どこだっけ?」
青年は、オブリビオンだった。
「このままだと富士山が噴火しちゃうから何とかしてほしいんだよっ!」
開口一番、グリモア猟兵の蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)が集まった猟兵に向かって力強く叫んだ。
「サムライエンパイアで勃発した信長軍との戦争なんだけど、島原へ向かっている徳川軍10万人と首塚の一族を妨害するため、魔軍将の一人である侵略渡来人『コルテス』は、手下たちに富士の樹海で儀式を行わせて、富士山を噴火させようとしているんだよっ! もしも噴火したら東海・甲信越・関東地域は大混乱必至っ! 戦争どころじゃなくなっちゃうし、徳川軍は全軍の2割以上の軍勢を、災害救助や復興支援の為に残さなければならなくなっちゃうんだよっ!」
そうならないための、今回の猟兵の任務なのだという。
「富士の樹海では『なにかの動物の血を用いた儀式』を行ってるらしいんだよね。物騒なものを使っているから、鼻や耳が敏感な猟兵は感覚を研ぎ澄ましてもらったり、他にも怪しい痕跡を辿っていったりするなど、いち早く儀式の場所を特定してほしいんだよっ!」
方法は問わないので、技能やユーベルコードを駆使して全力で捜索に当たってほしい。
「あとね? 儀式を進めるオブリビオンがいるから、いち早く儀式の場所を見つけたり、うまく奇襲を仕掛けられるように立ち回れば、猟兵側に有利な展開に持ち込めるよっ!」
捜索と戦闘、2つのやるべきことをこなす必要があるのが今回の任務内容だ。
「徳川軍だけではなく、サムライエンパイアの人々まで巻き込もうとするこの企み、絶対に阻止しないとだよっ! みんな、気合い入れて頑張ってねっ!」
レモンの頭上のグリモアが輝きだし、猟兵たちはサムライエンパイアへ転送していった。
七転 十五起
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
七転十五起、なぎてんはねおきです。
樹海で隠れて儀式を行っているオブリビオンを探し出し、撃破して下さい。
捜索プレイングと戦闘プレイングは必ず併記して戴きますようお願い致します。
優れた捜索プレイングや奇襲手順はプレイグボーナスが乗りやすいので狙ってみましょう。
それでは、皆様の挑戦をお待ちしております!
第1章 ボス戦
『その日暮らしの狩人・漸弦丸』
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POW : 因果捻転・『何トカナッタ』(デウスエクスマキナ)
【強い因果・宿業に反応する呪術の矢】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【因果の複雑さに比例した激痛を与える呪い】で攻撃する。
SPD : 逃げれる時間が稼げりゃいいのさ
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【景色に擬態させた仕掛け罠】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ : 分霊式神『狩り木霊』、おれの代わりにがんばってな
レベル×5体の、小型の戦闘用【の弓矢で攻撃する、魂を分け与えた式神】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:クロジ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠マックス・アーキボルト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紅葉・華織
※アドリブ・連携歓迎
富士の樹海……まあ、いつかの戦いとは別世界なんだけど、ま。なんとかなるよね!
【捜索】
主に【選択UC】――つまり直感(見切り)で探していくよ!(情報収集) まあ、私ってば天才だしどうにかなるでしょ。【ダッシュ】で縦横無尽に見つかるまで駆ければ見つかる確率100%! お姉ちゃんは首傾げてたけど、見つかるしねー?
「ふぅん、なんとなくこれ偽物っぽいねー」
【戦闘】
まだ見つかっていないようなら、不意をついて縮地で接敵して【暗殺】を試みる。見つかった場合は『炎蛇』(追跡,属性攻撃)や『煌刃』(目潰し)を【投擲】して攪乱。本命はやっぱり『月華』(鎧無視攻撃)。
「――逃がすもんか」
鬱蒼とした富士の樹海を進む、帯刀したセーラー服の少女が闊歩する。
紅葉・華織(奇跡の武術少女/シスコン師範代・f12932)は鼻歌を歌いながら獣を道を分け入って進んでゆく。
「富士の樹海……まあ、いつかの戦いとは別世界の別の場所なんだけど、ま。なんとかなるよね!」
偶然にも他の世界の富士の樹海でもオブリビオンが拠点を張って悪事を働いていた。
地形も違うので全く事前知識は当てにならないが、それでも華織は自らの直感を頼りに儀式場の捜索を続ける。
「む。なんか危ない気がする?」
ユーベルコード『天性の超直感(ナチュナルセンス)』の根拠のない天性の閃きが、周囲に溶け込んだ仕掛け罠を見破り緊急回避!
「あっぶないなー! 引っかかってたら片足釣られて宙吊りかぁ~。……いやいや、スカートの中身見えちゃうよっ!?」
顔を赤らめてセルフノリツッコミを行う華織である。
だが、ここに罠があるということは、オブリビオンが通過した証拠だ。
「早速、痕跡を発見っ! さっすが私ってば天才だね、余裕っしょー! お姉ちゃんは首傾げてたけど、ダッシュで縦横無尽に見つかるまで駆ければ見つかる確率100%!」
ならば有言実行、華織は樹海の中を全力ダッシュ!
再び前方に違和感を覚えた華織は、更に大地を踏み抜いて爆ぜるように加速!
「ふぅん、なんとなくこれ偽物っぽいねー? 強行突破ーっ!」
敢えて罠の中へ突っ込んでユーベルコードで超回避!
罠を作動することで無効化させてゆくという脳筋ぶりを華織は発揮してゆく。
すると、前方にのんべんだらりと彷徨う狩衣の青年の姿が見えてきた。
その左手には、傷を負ってぐったりしている仔竜が握られている!
(見付けた! 一気に距離を詰めて暗殺だー!)
縮地を駆使して青年の背後へ飛び出す華織!
閃光手裏剣【煌刃】を放ち、フラッシュグレネード代わりに青年の視界を奪う!
「迷わず逝けば……」
だが、その足元はいつの間にか奈落の底だった。
「うっそぉ!?」
落下する華織は超直感を駆使して妖刀【月華】を落とし穴の縁に引っ掛け落下を回避すると、それを足場にして地面を降りた。
「今のは危なかったー! あんな早く罠を作れるの!?」
「まぁ、ユーベルコードだからな……? イノシシかと思ったら猪武者みたいな猟兵かよ。はぁ、早くも嗅ぎつけられちまったか、面倒だぁ……」
青年は仔竜を抱えて後退る。
「まぁ、おれは逃げるんだけどな?」
「――逃さないッ!」
華織は妖刀【月華】を鞘走らせて刃を煌めかせる。
再び縮地法で青年の懐へ飛び込む華織!
しかし青年が飛び退いた場所から蔦の網が飛び出してくる!
「面倒だからおとなしく捕まっててくれよ」
「出来ない相談だねー!」
愛刀を真一文字に振るって蔦の網を切り裂く!
そのまま網を突き抜けると、華織は上段の構えから妖刀を袈裟斬りに振るった!
「今度こそ、迷わず逝けばいいよっ!」
「――てぇっな!?」
響く金属音!
青年の肩口へ刀傷を与えた華織は、伝わってきた感触に首を傾げていた。
「えっ!? なんで、今、金属みたいな感触が……!? もしかして、人間じゃない……??」
「げ、バレたか。こんなところでくたばって堪るかよ……!」
青年は木の葉を巻き上げ、その中に紛れると忽然と姿を消してしまった。
華織は再び驚愕!
「うっそぉ!? 狩人かと思ったら忍者だった!? あ、でも狩人のフリして隠密活動を行う忍者を漫画で見たことあるなー。……実在したのか」
だが、オブリビオンに傷を負わせた事によって、他の猟兵の捜索も用意になるだろう。
「だって、斬った時の感触は金属だったし、溢れてきたのは血液じゃなくてオイルだったからねー?」
妖刀にべったり付いた錆臭い機械油をどうやって拭き取ろうと、華織は刀身を眺めながら困惑するのだった。
成功
🔵🔵🔴
アイラ・アイネ
狩人のオブリビオン…ならば油断はできません、狩る側というのは常に狩られるかもしれない、と肝に銘じておくものですから。
血を用いた儀式、ならば生き物を仕留めなければなりません。獲物を仕留めた際の血の痕跡が残っているかもしれませんので探してみましょう。また、人が踏み入った形跡がないか、足跡、血痕、踏み荒らされた草花などを探し後を追います。追う際に、仕掛けられた罠がないか注意します。
見つけたら、草木に身を隠しつつ風下から近づき、矢で攻撃。仕留めきれなかったらテムル・オルダで閉じ込め逃がしません。分かり易い罠、分かりくいダメージを与える罠を混ぜ進行を妨害し、私は出口で待ち構え現れたところを攻撃します。
雪と氷のような色合いの民族衣装を身に纏い、ロングボウと父の形見の猟銃『カナム』を携えて樹海を哨戒してゆくのはアイラ・アイネ(絶凍の狩人・f17931)だ。
オブリビオンに故郷を滅ぼされたアイラは、これが猟兵としての初の任務である。
「狩人のオブリビオン……ならば油断はできません、狩る側というのは常に狩られるかもしれない、と肝に銘じておくものですから」
自身も狩人であるアイラにとって、これは鉄の掟である。
故に、追跡の際にも狩りの知識をフル活用して敵を追い詰めてゆく。
「血を用いた儀式、ならば生き物を仕留めなければなりません。獲物を仕留めた際の血の痕跡が残っているかもしれません」
一面、緑が生い茂った草木の中で、アイラは目ざとく赤い斑点が等間隔に続いてゆくのを発見した。
「やはり血痕がありますね。そして、草花が一度踏まれたような痕跡、これは無理矢理に野山へ分け入った証拠ですね……」
設置された罠を警戒するも、いずれもことごとく解除されており、先に分け入った猟兵がいることをアイラは察した。
「私の他にも先輩方が追跡していましたか。若輩者ですが、私も頑張りましょう」
アイラは痕跡をたどり、風向きを確認する。
狩人の鼻で此方の匂いを気取られてはいけない。
狩りの際も、奇襲の際も、獲物の風下に回り込むんで気配を悟られないようにする配慮は大鉄則なのだ。
(見付けました。交戦をしたのでしょうか、既に刀傷がありますが……。あれは血ではなく、油でしょうか?)
左の肩口から流れる液体は粘性のある赤褐色だった。
工業用油特有の刺激臭が、風にのってアイラの鼻腔を満たしてゆく。
(なるほど、相手が人でないのなら尚更狩りやすいというもの。この一射で樹海に沈めてみせましょう)
風下の草木の陰に潜んでいるアイラは、ロングボウに矢を番えて弦を引き絞る。
全集中。矢の照準を合わせる。
オブリビオンの青年は、まだアイラの気配を感じ取っていない。
(そこですっ!)
アイラ、弦から手を放すと、射出された矢は風を切って唸りを上げて急加速!
「……あ?」
今頃気が付いた青年の胸元に、アイラの放った矢が深々と突き刺さる!
「ぅげぇっ!? あいったぁ……!! おいおい、おれが人間だったら即死だったな、これ……」
「やはり人間ではないのですね。ヒトの致命傷足り得る部位を射抜いても動けるとは、オブリビオンめ……!」
冷静を保とうと心がけるアイラだが、次第に復讐心がむくむくと湧き上がり、怒りで思考が支配されてゆく。
草陰から飛び出したアイラは、オブリビオンの青年ヘ向けてユーベルコードを放つ!
「お前はもうすでにアイラの狩場に入った! 氷の迷宮に閉ざされて狩られてろ!!」
ユーベルコード『テムル・オルダ』――内部に様々な罠を内包した氷の迷宮に、青年を閉じ込めてしまった。
「出口はひとつしかない! 更に内部の罠は歩く度に作動する! もうお前に逃げ場はない!」
アイラは出口に陣取り、猟銃『カナム』を構えて青年が脱出したところを狙撃せんと待ち構える。
しかし、アイラが出迎えたのは青年ではなく、小型の戦闘用式神たちだった。
式神たちは脱出するやいなや、携えた弓矢でアイラを一斉射開始!
予期せぬ攻撃に、アイラはどうにか身を翻して矢の雨を回避。
すぐに射撃体勢を取ると、式神へ向けて連射!
撃ち抜かれた式神は一瞬で消滅するが、いかんせん、数が多い!
「なんせ、全部で215体のおれの分身だ。単独じゃ捌くのは辛いと思うぞ?」
悠々と無傷で脱出した青年に、アイラは目を丸くして驚愕する。
「何故だ!? 何故、罠の山を無傷で潜り抜けた!?」
「簡単なこった」
青年は欠伸を噛み締めながら答えた。
「先に式神たちを迷路の隅から隅まで行き渡らせて、罠やら道筋やらを総当りさせただけの話さ。んで、式神がと罠の餌食になっている間に、俺が正しい道筋を通って、この通り無傷で脱出だ。優秀な分身たちがいてくれて、おれは怠けられるから楽チンだな……」
つまり、単純にユーベルコードの相性が最悪であった。
こればかりはアイラの非ではなく、運が悪かったとしか言いようがない。
「と、いうわけで。おれは逃げるよ。きみはおれの式神たちが相手するから。んじゃ、お前ら、おれの代わりにがんばってな」
「ま、待て、オブリビオン!」
BLAM! BLAM!
アイラは猟銃を乱射するも、式神が盾になって青年へ銃弾が届かない。
逆に式神たちからは反撃の矢の雨が降り注がれ、アイラは追いかけることが出来ずに足止めを食らう。
「くそっ、ここまでなのか……!? でも、アイラの射た矢があいつに刺さったままだ! 傷は深い!!」
たとえ獲物が人間ではないとしても、ダメージを負っていればいつかは機能停止するはず。
そう信じて、アイラは目の前の式神へ銃弾をばらまくべく、急いでリロード作業をこなすのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
逢坂・理彦
『何かの動物の血を用いた儀式』か…犠牲になる動物が何であれ儀式に使われるなんて嫌だろうから助けてあげないと。
【聞き耳】で音をしっかりと聞いて場所の特定をしよう。儀式場には気付かれないよう【忍び足】で接近。
なんていうかずいぶんだるだるなオブリオンだねー俺も人のこと言えないけど。
じゃあ、先ずはUC【狐火・穿ち曼珠沙華】を撃ち込もうか。何割か曼珠沙華は残して状況によって使い分けよう。
弓は撃たせないくらいの気持ちで行こうか【だまし討ち】も交えて【早業・なぎ払い】
攻撃は【第六感・戦闘知識】で【見切り】
もし当たったとしても【激痛耐性】で耐えようか。
アドリブ連携歓迎。
猟兵たちの樹海捜索はまだまだ続く。
逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)は妖狐の耳をピンと上へ立てながら、周囲の些細な物音を聞き分けていた。
「さて、『何かの動物の血を用いた儀式』か……犠牲になる動物が何であれ儀式に使われるなんて嫌だろうから助けてあげないと」
血を採取するなら、その動物の身体に傷を付けなくてはいけない。
となれば、その動物は抵抗する際に鳴き声を発するだろう。
故に逢坂は耳を澄ます。
僅かな動物の鳴き声、とりわけ悲鳴のような甲高い声が聞こえないか、樹海を掻き分けながら注意深く聞き耳を立てていた。
すると、東の方角から聞いたことない動物の甲高い鳴き声が聞こえた。
「ニワトリ? いや、もっと高音で威圧感がある鳴き声だ。何かに対して威嚇してるっぽいね……これはアタリかな?」
声のする方へ忍び足で前進してみれば、急に視界がひらけた。
円陣めいた広場のような場所の中央には、白銀の巨大な杯が安置されていた。
周囲には墓碑にも見える御影石のオブジェクトが等間隔に並べられ、明らかに何らかの儀式を行う場だというのが一目瞭然であった。
そこへやってくるのは、暴れる蒼碧の鱗の仔竜を抱えるオブリビオンの青年だ。
バックリと開いた肩の傷、心臓部分に突き刺さったままの矢、そしてそれらから漏れる赤褐色の油がぬらぬらと上半身から漏れ出していた。
青年は精巧な絡繰人形――ミレナリィドール のような生命体であった。
「暴れんなって……ったく、猟兵に嗅ぎつけられるなんて最悪だ……戦うのかぁ、面倒だぁ……」
青年は溜息を吐いて、巨大な白銀の杯の近くに仔竜を乱暴に放り投げる。
そして杯の近くに刺さっていた斧を抜こうと、逢坂にちょうど背を向ける形になった。
(なんていうかずいぶんだるだるなオブリオンだねー俺も人のこと言えないけど)
だが、これは先制の好機!
恐らく、あの斧で仔竜の首を落とすなりして血を採取するのだろう。
(それじゃ、一面を曼珠沙華の花で彩ろうか?)
逢坂の背後に曼珠沙華を模した炎の杭が出現すると、次々に青年へ目掛けて射出されてゆく!
ユーベルコード『狐火・穿ち曼珠沙華』発動!
「うげ……っ! もう先回りされていたのかぁ……」
心底うんざりした顔で、青年は自分の魂を分け与えた小型戦闘用式神を215体召喚!
曼珠沙華の炎の杭の掃射を式神で受け止めると、青年も式神に弓矢で応戦させんと命ずる。
「おれの代わりに、あいつを射殺してくれよ」
「そうはさせないよ」
逢坂は直感をフル活用し、杭と矢をぶつけるようにして相殺してゆく!
互いにいくつかが直撃するが、痛みを堪えてガンガン撃ち合いに発展させてゆく!
「面倒だから見逃してくれないか? おれはコルテスの旦那の命令で仕方がなく従ってるんだ……」
「だとしても、富士山を爆発させるような儀式を見過ごすなんて出来ないよ」
一歩も引かない射撃戦が延々に続く……かに思われた。
「俺の曼珠沙華の炎の杭は一度具現化すると消滅はしない。撃ち合っているとき気付かなかった? 徐々にきみの式神の数が減って押し込まれている事にね?」
「数が減ったらまた再召喚すればいいだけだ、面倒だけど」
青年が再召喚をしようとしたその時、逢坂の口元がにっかり釣り上がる。
「あと、きみの式神よりも、俺の杭の数のほうが多いんだ。上を見てご覧よ」
「……えっ?」
青年が上空を見上げて唖然とする。
逢坂が具現化させた235本の曼珠沙華の炎の杭のうち、撃ち合いに使った215本から差し引いた20本が、オブリビオンの青年の頭上で今や遅しと狙いをすましているのだ!
「まずい、逃げ……」
「逃さないよ」
逢坂の冷酷な声とともに20本の曼珠沙華の炎の杭が青年の機械の体を穿ち、焼き焦がしてゆく!
「う、うわあっ!?」
苦痛に悶える青年! 油に引火して上半身が炎上!
逢坂は奇襲を成功させ、後続の猟兵が来るまでの間、仔竜を庇いながら青年と抗戦を続けるのだった。
成功
🔵🔵🔴
ヴィクティム・ウィンターミュート
まずは知覚を最大に尖らせなきゃ話にならねえ
【ハッキング】で自前のサイバネをハック、網膜と内耳に仕込んだサイバネをオーバロード、知覚向上
【聞き耳】を立てながら【情報収集】
向こうは狩人、なら罠だって仕掛けてるはず
仕掛けたってことは=そこにいた、だ
【罠使い】の観点から罠を発見、【追跡】で罠を辿る
発券次第、【地形の利用】で木の上へ
【先制攻撃】と【暗殺】で奇襲攻撃を開始する
仕留められなくても問題ない
式神を展開したらこちらもUCを発動、世界の壁を超える衛星レーザーで薙ぎ払って一掃する
矢ごと薙ぎ払うのが理想だが、一応木の裏にいてやりすごすか
怠惰なままでいりゃよかったものを
さようなら、名だたるハンターってね
月代・十六夜
【韋駄天足】の【ジャンプ】で木々を足場に跳躍を繰り返すことで高速移動。
通り道に罠仕掛けてる可能性も高い。
【超過駆動:感覚】で強化された五感で察知。後続の邪魔にならないように解除しながら進む。
首尾よく見つかったら光の結晶を空に投げはなって味方に合図。
あとは相手の動きを【視力】で、こっちに飛んでくる攻撃を【聞き耳】【野生の勘】で【見切っ】て【時間稼ぎ】に徹する。
罠は怖いが、道中での罠の配置の【情報】から【学習】して【見切っ】ていくぜ
こっちから注意を外すようならその機を逃さず【ジャンプ】で接近。
【鍵のかかった箱チェック】で仔竜は奪わせてもらうぜ、油断大敵ってな。
ルパート・ブラックスミス
今回はお前が主役だ、ニクス。
ただの槍でも鳥でも出来ないことをやってみせてくれ。
まずは樹海内に残る血痕を【失せ物探し】
発見したら血痕から【生命力吸収】の要領で血の主の気配を【追跡】できるように【武器改造】(おぼえ)た爆槍フェニックスを鳥形態、かつ自分共々UC【現を彷徨う幽騎】で姿を消した状態で放し探索させ、ある程度距離を空けて追う。
儀式場ないし敵を発見したら槍形態に変形、高速回転。【誘導弾】として【先制攻撃】だ。儀式に必要な何かしらが【なぎ払い】【吹き飛ばし】できれば最良。
交戦開始後は自分も参戦だ、罠を警戒しつつ短剣、威力が必要なら大剣を【投擲】して【串刺し】にしてやろう。
【共闘・アドリブ歓迎】
少し時間は遡る。
ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)はストリート育ちの元フリーの非合法工作員。
全身を高度サイバネ技術で武装したサイボーグハッカーである。
富士の樹海へ降り立ったヴィクティムは、ブリーフィングでの予知の情報から最適な捜索方法を模索していた。
「まずは知覚を最大に尖らせなきゃ話にならねえ。つまりは俺のサイバネをセルフハックして性能をオーバーロードする必要があるんだが……」
内心、これ疲れそうだよな、とかニューロンが焼き切れる前に片付けねぇとドラッグが足りねぇとかあれこれ考えていた。
(理屈で考えすぎだ、なんて、つい先日も誰かさんに言われれたっけか)
自嘲気味に鼻で笑う。
「んなこと、知るかよ」
ヴィクティムは自分の技量とサイバネに特段の自信を持っている。
今は感情ではなく使命を優先するべきだ。
「勝つ。必ず。殺す。必ず。俺は勝利以外は認めない。いつだってな」
決意をみなぎらせたヴィクティムは、網膜と内耳に仕込んだサイバネをセルフハックを決断的に敢行。
網膜置換型演算能力補助デバイス『ヒラドリウス』の視覚情報と内耳埋込型聴覚強化ヘッドフォン『シュリュッセルフィデルVer.2』の聴覚情報が普段の数倍の感度へ向上。
それらの情報を超認識拡張電脳電算機『ウィンターミュート』で01演算処理を光速でこなしてゆく。
今やヴィクティムの知覚は、この樹海の半径数キロまで感知可能だ。
それはまるで光学電波レーダーめいて彼が歩く度に、樹海の地形は自動で光学スキャニングされてゆき、その視界から色が消えて唯のワイヤーフレーム集合体へと変換させ、データ化してゆく。自然物ではない、01データの単なるオブジェクトと化した富士の樹海を、今のヴィクティムは眺めているのだ。
「2時の方向に破壊された罠の痕跡多数。向こうは狩人、なら罠だって仕掛けてると睨んだが、ビンゴだぜ。仕掛けたってことはつまり、そこにいたってことだ。分かりやすい痕跡だな。それと……3時の方向に草花がやたら踏み荒らされているな。他の猟兵がオブリビオンとバトッたのか? んで、誰かの足跡もあるな。ずっと樹海の奥へと続いてやがる。これは迷っている感じじゃねえな。目的地へ向かって直進している足跡だ。つまり、こいつがオブリビオンだ。ん……? 何だこの声は……? 絞め殺す前のニワトリみたいな嫌な鳴き声だ。……あっちか」
オブリビオンと儀式場のおおよその距離を掴んだヴィクティムは、早速移動を開始。
だが、彼のセルフハックによるオーバーロードの反動か。
ヴィクティムの鼻からボタボタと鼻血が漏れ出した。
「チィ……ッ! 後でドラッグの処方量を増やしてもらわねえと……」
鼻血を拭うと、ヴィクティムは急ぎ、儀式場へ駆けてゆく。
その頃、月代・十六夜(韋駄天足・f10620)はユーベルコード『韋駄天足』を発動させ、木の枝を蹴って連続跳躍していた。
「出し惜しみはなしだ! 罠の場所が手に取るように判別できるぜ!」
樹海の木から木へと飛び移りなが高速移動、木の上に張り巡らされたワイヤートラップを回避しながら、罠の両が多くなってゆく方角へ、敢えて付き進んでゆく。
「これだけ厳重に罠が張り巡らされているってことは、お目当てのモノが近い証拠だな。向こうになんか開けた場所があるみてーだし」
罠を『超過駆動:感覚(ゲンカイトッパ)』で強化された視力と聞き耳と野生の勘を駆使して乗り越えた先に、石碑で円形に囲まれた儀式場を発見する。
別行動しているヴィクティムとは別ベクトルだが、超感覚で遠方の異変を感知、罠の厳重さと相まって推理すれば、あとは簡単な話の流れであった。
要するに、偶然が必然(クリティカル)を呼んだのだ。
「割とあっさり見つかったな。って、もう誰か戦ってるのか? 急がねーと……!」
月代は懐から小石ほどの大きさの光の結晶石を天高く放り投げた。
すると、小石は照明弾めいて力強く発光すると、樹海の上空で儀式場の場所を他の猟兵たちへ知らせる役割を発揮する!
「なんだ……? 空がちかちかするぞ?」
「俺が相手になってやるぜ! かかってこいよ!!」
別の猟兵からオブリビオンの青年の標的を自身へ向けるべく挑発する月代。
それに青年は気怠げに振り向くと、うんざりした顔で呟いた。
「正直逃げたいんだが、ここから離れるわけにはいかないか。面倒だぁ……」
青年が矢の刺さった胸の前で合掌すると、月代の左右の地面が突如トラバサミめいて隆起したのだった。
一方、騎士鎧のヤドリガミのルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)もまた、富士の樹海を彷徨っていた。
だが、彼は今回独りではなかった。
「今回はお前が主役だ、ニクス。ただの槍でも鳥でも出来ないことをやってみせてくれ」
青いヨタカが力強く羽ばたき、ルパートの肩から飛び立っていった。
ニクスと名付けられた青いヨタカは、周囲を樹々の合間を飛び交うと、早速、不自然な血痕と赤褐色の液体の飛沫を発見する。
「この程度の失せ物探しなら、ニクスも出来ることが証明されたな。さぁ、ニクス。この血痕の主の生命力を吸い取り、この者の居場所へ案内してくれ」
ニクスはひと鳴きした後、ルパートを樹海の奥へと誘ってゆく。
青いヨタカは、一度覚えた血の匂いや生命力の気配を記憶する事が出来た。
この血痕の主は捕らわれた仔竜であり、ニクスは既に儀式場でぐったりしている仔竜までの最短経路を特定していた。
「ふむ……なかなか賢いんだな、お前は」
ルパートも気配を消すため、ユーベルコード『現を彷徨う幽騎(ゴーグルーミーゴースト)』によって姿を透明化、ニクスと敢えて距離をおいたまま追跡を行う。
このユーベルコードで隠せるのは姿だけだ。
ルパートは絶えず蒼く燃える鉛を鎧の中に内包している為、熱源によって位置が割り出されやすいのだ。
ただ、誘い出すことによって奇襲を仕掛けられるという利点もあるのだが、今回の作戦では不向きだ。
その時、前方の空が急に輝き出した。
「む、あれは信号弾……!? ニクス、あそこだ。急行するぞ」
青く燃える鉛が形成する翼を広げたルパートは、ニクスとともに樹海内を低空飛行していった。
「その罠は既に見切ったぜ!」
月代は青年の罠をとっくに予期していた。
履き慣れたバッシュから蹴り出された跳躍力は、左右から迫りくる地面を軽々と飛び越え、青年へドロップキック!
「オラァ! 喰らえー!」
「いってえ!!」
側頭部を強かに蹴られ、首があらぬ方向へ曲がりながら吹っ飛んで地面に転がってゆくオブリビオンの青年!
「はっ、ざまーみろ! あの罠の包囲網を掻い潜って此処まで来たんだぜ? 傾向と対策は完璧だっての!!」
月代の言葉に、首の位置をぐりっと修正して青年が立ちあがる。
「今日は厄日だな……この漸弦丸(ざんげんまる)の罠が通じないなんて、猟兵はバケモノかよ」
「バケモノはお前だろーが、オブリビオン! そのドラゴンが生贄か何かか? 富士山は噴火させないぜ!」
「だから、おれは命令されただけの使いっぱなんだが……まいったな」
漸弦丸は頭を掻きながら、どうしたものかと一瞬逡巡する。
「やっぱりこいつらに頼るか。おれの代わりにがんばってな?」
215体の小型戦闘用式神が出現すると、月代へ向けて一斉に矢を向けられる!
「こんな矢の束、簡単に避けられるぜ!」
「あ、避けると、後ろの仔竜に当たるけどな?」
「何!?」
月代は後ろを振り返った。
ちょうど真後ろに、ぐったりした仔竜が聖杯の前で横たわっているではないか!
これでは月代が回避した瞬間に仔竜の命がない!
漸弦丸が月代をこの位置取りまで誘い出していたのだ!
「どうせ、その仔竜を保護しにきたクチだろうが、みえみえなんだよ」
これに月代が悪態をつく。
「畜生っ! このひとでなしが!」
「ひとでなしさ。おれは人形だからな……」
胸元の矢から流れる赤褐色のオイルを指差して漸弦丸は言い放った。
「それじゃ、仲良く矢で射抜かれてろよ」
式神たちが弓矢を構える!
月代は振り返って猛ダッシュ!
ユーベルコード『鍵のかかった箱チェック(ザ・ロックド・ボックス・テスト)』で鍵の掛かった小箱を召喚し、仔竜を先に保護せんと跳躍!
だが背後からは、一斉に放たれた215本の矢の弾幕が迫りくる!!
哀れ月代、仔竜ととともにハリネズミめいた姿に!
……なる前に、天から一条のプラズマ光が放たれた矢ごと式神を飲み込んでなぎ払ってゆく!
「間に合ったか! 遅くなったな。援軍に駆け付けたぜ」
木陰から顔を出すヴィクティムのサイバネアイの瞳孔が、忙しなく拡大と収縮を繰り返す!
「――ターゲッティング終了。静かになるまで、ぶちかませ! SS級秘匿破壊兵器『ANNIHILATOR』(コゴエルソラノセンメツシャ)!」
ユーベルコードによって、世界の壁を超える衛星のレーザー攻撃がサムライエンパイアの富士の樹海へ何度も降り注ぐ!
その度に式神は一瞬で蒸発してゆき、放たれるやも巻き込まれて灼き尽くされてしまう!
「怠惰なままでいりゃよかったものを……。さようなら、名だたるハンターってね」
ヴィクティムは別の方角から接近する猟兵の存在をオーバーロードされた超感覚で感知していた。
「そこにいるのは判ってるぜ? とどめを刺してくれないか!?」
彼の要望に答えるように、儀式場の外から螺旋状に回転しながら飛来してくる蒼炎の魔槍が、石碑を穿つ!
そのまま吸い込まれるように、儀式場中央に安置された聖杯を射抜いて蒸発させてしまった!
「あ、あ、あああああ!?」
漸弦丸が絶叫!
「せ、聖杯が、燃え、燃えてる!?」
慌てて聖杯を溶かす蒼炎の魔槍を引き抜こうとするが、魔槍は勝手に宙に舞うと、持ち主のもとへと勝手に戻っていった。
「でかした――『ニクス』。やはり今回の主役はお前のようだ」
ルパートの手には『ニクス』――蒼く燃える魔槍が握られていた!
あの青いヨタカの正体は、この魔槍だったのだ!
「チェックメイトだ、漸弦丸とやら。式神は天からの光で灼き尽くされ、聖杯は喪われ、そして生贄の仔竜は我々猟兵の手中に落ちた」
漸弦丸が周囲を見渡すと、確かにあの仔竜の姿が忽然と消えていた。
「俺が仔竜を奪わせてもらったぜ、油断大敵ってな」
鍵の付いた謎の小箱に仔竜を吸い込んだ月代が得意げに木の枝の上でにっかり笑っていた。
ルパートは愛用の大剣に蒼く燃え盛る流動鉛を纏わせ、煌々と炎上させる。
「次の一合で仕留める。我が一撃、身かわせるものならばやってみせよ!」
再びルパートの身体が透明になってゆく。
「我向うは眩き騎士道。されど我歩むは幽き黄泉路……」
「透明になって、おれの死角から切り伏せようっていうのか。面倒だな……」
漸弦丸は周囲を警戒する。
すると、背中からほのかに熱源を感じた。
「そこだな? 行け、俺の分身……!」
死力を振り絞って最期の式神召喚を行う漸弦丸!
215本の矢が、漸弦丸の背後越しの熱源へ一斉に放たれた!
ガキガキガキッと響く金属音!
空中で突き刺さる無数の矢を視認した漸弦丸は思わずほくそ笑む。
「思い知ったか、鎧野郎!」
漸弦丸が勝ちを確信したその時だった。
透明化が解けた背後の物体は、ルパートの燃え盛る大剣!
「嘘だろ、囮かよ……!?」
そして漸弦丸の前方から高速飛来してくる超巨大熱源の塊!
既に投擲を終えたルパートが詠唱する。
「――我が血はもはや栄光なく」
渦を巻くように螺旋回転、蒼い炎が逆巻きながら飛んでくる!
「――されどこの手に勝利を掴むべく必殺の一撃を放たん」
透明化が解除された瞬間、その姿はまさに羽ばたく不死鳥の姿!
「――告げる。彼の者の真名を」
再生と破壊の炎は、たちまち巨大な蒼炎の魔槍に姿を変える!
「刺し穿て――爆槍フェニックス!!」
「うわああああああ!?」
真名を解放した爆槍フェニックスは漸弦丸の全身を蒼炎で貫き、一瞬のうちに灰塵へと変えていってしまったのだった。
「……あの時、何故トドメを刺さなかった?」
戦闘終了後、ルパートはヴィクティムへ問い掛けた。
「あの天からの光があれば、人形ごとき焼き尽くせただろうに」
これにヴィクティムは間をおいた後に返答した。
「俺はは超一流の端役で、他者は主役。そうあるべきだからだ」
「でも、おかげで助かったぜー! ありがとな!」
月代がヴィクティムへ握手を求めた。
差し出された手にヴィクティムは数秒ほど見詰めていたが、すぐに力強く握り返して手を振った。
「信号弾のおかげでより早く儀式場に辿り着けたぜ。こっちこそ感謝してる」
「自分もだ。3人の力が噛み合った結果の戦果だ」
ルパートも2人の握手の上に、無骨な金属鎧の手を乗せながら告げた。
この勝利が、エンパイアウォーでの猟兵側の勢いを増すことになると信じて。
彼らは次の戦場へと慌ただしく駆け出していった。
大成功
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