エンパイアウォー④~悪
●金色の儀式
富士の樹海に隠された儀式場、そこには金色の派手な祭壇があった。
金色で綺羅びやかな衣装を身に包み、儀式場の祭壇前に立つのは、侵略渡来人『コルテス』の配下である悪代官。
「かははっ、もう少しで儀式は完了じゃなぁ」
部下の侍達に周囲を守らせて、笑いながら儀式を続けていく悪代官。
儀式が最終段階に入れば、目の前にいる小さな竜……太陽神ケツァルコアトルの子供を殺して、聖杯に血を注いで祈りを捧げるだけ。
太陽神の力を使って富士山を噴火させれば、その周辺地域は混乱によって災害救助や復興支援が必要となり、徳川幕府軍の戦力を大きく割く事が出来る。
「これで信長軍は安泰じゃのう! かーっはっはっはっ!!」
悪代官は一際大きく笑って、儀式の準備を進めて行くのだった。
●グリモアベース
「では、今日も戦争の予知ですよ。今回は富士の樹海にある、儀式場にいるオブリビオンを倒して下さい」
四度目の予知をしたウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)は、周囲の猟兵に向けてにこやかに言い放つと、内容を語り始める。
「まずは、儀式場を見付ける所からですね。配下の侍が樹海内を歩き回っていますので、場所を聞き出すのが楽かと思います……あ、侍もオブリビオンなので、遠慮なくどうぞ」
場所を聞いたら用済みだ。さっさと始末しよう。
そして儀式場にも侍が警備しており、中々厄介な状況だ。
「悪代官は乱心しなければ弱いので、どうにかして奇襲で強力な一発を当てれば、儀式を阻害しやすいと思います。ただ、乱心時は注意して下さい。普通に強いので」
戦闘が進むと、次第に乱心の度合いが酷くなるので、気を付けた方が良い。
竜の子供は黄金の鎖で繋がれているので、余裕があれば助けよう。
「では、悪代官の討伐と儀式の阻止、よろしくお願い致しますよ」
軽く頭を下げて、ウィルバーは富士の樹海まで転送を始めた。
小強欲
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
どうも、小強欲と申します。
更に戦争シナリオを出してみました。
詳しい内容はOPの通り。
悪代官を探して、奇襲したりして、とっちめるです。(要約)
それでは、素敵で面白いプレイングをお待ちしております。
●他
プレイングが来たらとりあえずリプレイを書きます。
4名様以上のプレイングを頂いた後、全リプレイが書き終わり次第に一斉提出してシナリオを終了します。
また、リプレイ提出時には一度リロードしますが、その際にプレイングが増えていた場合は、そのリプレイを書き終えてから一斉提出します。
第1章 ボス戦
『悪代官』
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POW : ええい、出会え出会えー!
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【部下の侍オブリビオン】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD : 斬り捨ててくれる!
【乱心状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ : どちらが本物かわかるまい!
【悪代官そっくりの影武者】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:毒沼ハマル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠犬憑・転助」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
落浜・語
時間かける必要もないんで、サクサクやりますか。
敵さんの配下と「お話合い」で場所が聞けるなら、早いからな。
【存在感】を消して【第六感】にも頼りつつ樹海内を捜索。
配下を見つけた時点で『怪談語り』を使用。近づいて、奏剣突きつけ脅す。
それで話してくれなければ怨霊と亡霊謹製呪詛【属性攻撃】を。足りなければ、死神直々の「死の概念」もあるけれど?
あ、もちろん教えてくれた時点でサヨナラだけど。
儀式場でも存在感消したまま物陰から飛び出して【フェイント】入れつつ【捨て身の一撃】で奇襲。その後は竜の鎖を切って、安全確保最優先に。
乱心したら、下手に動かない。必要最小限の動きで対応。
(アドリブ、連携可)
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携可
配下が動き回ってるっていうのは楽でいい。
【存在感】を消し【目立たない】ように移動し、【聞き耳】で配下の様子を探る。
一人になった者に【先制攻撃】による【奇襲】をかけ、【恐怖を与えて】儀式場の【情報収集】。聞き出したら殺す。
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流。
儀式場に着いたら【先制攻撃】による【奇襲】をかけてUC菊花で【暗殺】を狙う。
さらに動きの制限【マヒ攻撃】かつ【傷口をえぐる】でよりダメージ増を狙う。
UCの代償は寿命、傷つくのは自分一人でいい。
相手の攻撃は【第六感】【見切り】で回避。
回避しきれなものは黒鵺で【武器受け】からの【カウンター】を叩き込む。
喰らったら【激痛耐性】でこらえる。
ネムネ・ロムネ
中々来ないものですね
“交渉”の要らない世の中は
木の上で身を隠して侍さん達が通りがかるのを待つのです
もし侍さん達を捉える事が出来たら【忍び足】で背後を取って、銃を突きつけて【言いくるめ】るのですよ
悪い事、してるですね?
ネムに儀式場と代官さんの場所を正確に教えるのです
さもないと、後悔するのですよ?ネムの銃は特別製ですから
もし教えてくれたなら約束通り侍さんのトドメに銃は使わないのです
音の出ないナイフを使って骸の海にお帰り頂きましょー
悪代官を見つけたらUCを発動するのです
物陰から【スナイパー】で狙撃を試みましょー
そんな所で悪巧みです?
貴方も悪ですね
これ以上、化けて出てくるんじゃねーですよ
尾崎・ナオ
いや~、戦争の話めちゃくちゃ多くてウィルバーさんが見つからなかったんよねぇ。良かった、今回は参加できそうだ!
連携組めそうと判断。中衛・後衛に位置し、安全地帯で攻撃するよう心がける。弓兵のポジション。
【指定UC】で攻撃。敵UCが「素早く動くもの」に攻撃をするなら、ナオちゃんが一切動かなければ何の問題も無さそうだ。指先ひとつ動かさずに、複製のナイフのみを操作し敵攻撃。前衛の行動と並走させるように動かし、サポートに回る。
ナオちゃん、戦争は良く判ってない。だから真剣に挑んでる人のサポートをしたいなって思ってるよぉ。見せ場は戦いたい人に。ナオちゃんったら他人を思い合えるとっても可愛い女の子だにゃ~。
ナミル・タグイール
黄金の祭壇デスにゃ!?見てみたいにゃ盗みたいにゃー!
金ぴかどこにあるにゃー!
ナミルの金ぴかを探す【勘】と儀式の【呪詛】探知で場所探すにゃ!
侍も見かけ次第脅しにゃ!金ぴか祭壇はどこデスにゃー!!
むふふ金ぴかいっぱいの素敵な祭壇デスにゃ!
ばれないように周りの金ぴか盗んで装備にゃ。金ぴかカモフラージュデスにゃ!(盗みたいだけ)
金ぴか鎖もほしいから竜見つけたら鎖ザクーして開放
竜はいらないにゃ
キラキラした場所はキラキラしてたほうがきっとばれないにゃ。完璧にゃ
こっそり近づいたらUCで金ぴかな服を掴んでビッタンビッタン
部下が出てきても悪代官振り回して倒してやるにゃ!
素敵な金ぴか服と扇子寄越せデスにゃー!
鎧坂・灯理
いつだって侵略しに来る側は好き勝手してくれる
ならこちらも遠慮無く行くさ
サーチドローンを出して敵を見つけ、『白虎』で急行
UCで機械の鳥を出して敵を分身ごと空中へ運ばせ、
儀式場の所在を聞き出す
答えなければ落とし、地面寸前でまた掴んで上へ
それを繰り返せば吐くだろう
駄目なら念動力で指先から折っていく
場所が分かったなら敵をそのまま地面に叩き付けて殺し、
儀式場へ急行
鎖を『朱雀』を威力の高い形態に変形させて撃って砕き竜を解放する
●救う者
富士の樹海。
樹木生い茂るこの地域に、悪代官の配下である侍が警戒活動をしている。
額には1と数字が書かれており、実力は高くはないという事が読み取れるだろう。
樹海内。足音を立てずに歩いている落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は、自身の勘を頼りに侍を捜索していた。
「さて、サクサクやりますか」
時間を掛ける必要はない。侍と少し『お話し合い』をして、儀式場の位置を聞ければすぐに終わる。そう考えて、奏剣を振って草木や蔦などを斬り落としながら、樹海の先へと進んで行く。
暫く歩いていると、一人の侍を見付けて。
即座に自身へ死神と二種の霊体を宿して、超強化を施した。
手にした奏剣を持って侍に近付けば、その着物を掴んで木に叩き付けて、奏剣を敵の顔に突き付ける。
「早速だけど、儀式場の場所を教えて貰おうか」
「り、猟兵か! 誰が言うものか……ッ!」
侍を刃物で脅しても口は割らないが、語もこの程度の脅しで喋るとは思っていない。
憑依させた二種の霊が生み出した呪詛属性の力。押さえ付けている手からそれを発すれば、侍の肉体に激痛が走って。
「ぐおおッ!?」
身体の内側から何かが外に出ようとする感覚。
皮膚が裂けて、侍の身体中から溢れ出る血。それはすぐに木と地面が侍の血液で塗れてしまう。
「まだ足りない? 死神直々の「死の概念」もあるけれど?」
目付きを鋭くして侍を見て、手に力を込めて侍を締め上げて。
「ま、待て! 言う……! あの方向を真っ直ぐ進めば、あるっ!!」
語の剣幕に押されたのか、儀式場のある場所を指差している。
それが真実か嘘かは普通ならば分からないが、語の第六感が告げている。これは真実だと。
「なるほど、あっちか。教えてくれてどうも……それじゃあサヨナラ」
侍は何かを言い掛けようとしたが、それよりも速く死神の力で絶命させると、塵となって消えてしまった。
指し示された道に向かって、語は再び足音を立てずに歩いて行った。
鎧坂・灯理(不退転・f14037)は携帯用亜空間ケース『玄武』の中を漁って、サーチドローンを起動していた。
「いつだって侵略しに来る側は好き勝手してくれる……ならこちらも遠慮無く行くさ」
彼女も語と同じく、侍を見付けて儀式場の場所を吐かせようと考えている。語と違う点は、極めてアグレッシブな点か。
二代目の改造単車『白虎』に跨がれば、サーチドローンから送られてくる映像を見ている。
ドローンが侍を発見すれば、白虎のエンジンを掛けて、その場へと急行しに行く。
「出てこい、チビ共」
灯理と白虎の周囲に現れる機械の鳥。その数、実に200機を超える。それは樹海内を飛んだり、上空に展開したりと、様々な場所に移動して行った。
そして侍を目にした灯理は、まずは白虎で体当たりを仕掛ける。
ズガァッ、っと吹き飛ぶ侍だが、地面に落ちている葉っぱがクッションになったのか、まだ動ける様子で。
「な、何事……ッ!」
立ち上がって状況を確認しようとする侍だが、突如肩に鋭い痛みが走る。機械の鳥が彼を鋭い爪で掴んでしまったのだ。
侍は何が起きたのか理解していない表情で、そのまま上空まで運ばれて行って。
「答えてもらおうか。儀式場は何処だ?」
ギロッ、と睨んで、侍に問う。
「ふざけるなよ、猟兵……ッ!」
「状況を理解していないようだな」
凄む侍の言葉には、行動を持って返す。
機械の鳥に目を移せば、それは侍の肩を離してしまう。上空にいた彼がそのまま地面へと落下すれば、ボギィッ、と音が鳴って。
「がぁぁぁ……!」
痛みで転げ回る侍。機械の鳥はそんな彼の肩を再度掴んで、浮かび上がって。
灯理がそれに近付いて行くと、念動力で侍の手を操り、人差し指を手の甲に向けて折ってしまう。
「ヒィィィィィッッ!? 止めろッ! 儀式場はあっちだッ!!」
何も出来ず指を折られる様を見せ付けられるのに心が折れたのか、視線を灯理の斜め後ろに向けて。
それを聞くと、機械の鳥を見て、再度上空へ浮かんで行って。
「待ってくれッ!! 本当にあっちにあるんだッ!! 止めてくれッッ!!」
「そうか、本当のようだな。だが止める理由はない」
冷酷に言い切ると、灯理は白虎を侍が示した方角に向けて走らせて行く。
その数十秒後、樹海に大きな叫び声が上がったが、すぐに声は途絶えた。
●倒す者
樹海にある一つの大木の上に、ネムネ・ロムネ(ホワイトワンダラー・f04456)が身を隠して、侍が通るのを待っていた。
(「中々来ないものですね。“交渉”の要らない世の中は」)
いつか世界が平和になる事を考えながらも、リボルバーを構えて機を待ち続ける。
時を同じくして、黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)は気配を消して、岩陰から周囲を索敵している。
集中して耳を澄ませながら、極限まで目立たないようにして、移動を続けていく。
僅かな時間を歩いていると、数人の侍が移動しているのが見えて。
(「配下が動き回ってるっていうのは楽でいい」)
一人になるタイミングを待って、胡と黒鵺、二本の武器を構えて、奇襲の準備を始める。
それから更に時間が経過すると、数人が別れて一人になるのを見て。
他の侍が完全に見えなくなるのを確認すると、瑞樹はその侍に向けて駆け出した。
「……なっ!?」
それにはすぐに気付く侍だったが、直後に背中に何かが当てられて。
目で後ろを見てみれば、そこには銃を構えているネムネ。
後ろを確認している隙を狙って、瑞樹が二本の武器を首元に突き付けて、侍の動きを止めてしまった。
「き、貴様らは……」
あまりにも突然の事だったからか、何がなんだか分かっていない様子で。
侍を押さえ付けている二人も少し驚いていたが、情報を聞き出すのには変わりはない。
背中をトンッ、とリボルバーで押されて。
「悪い事、してるですね? ネムに儀式場と代官さんの場所を正確に教えるのです」
侍の後ろでカチャッと音を出して、恐怖を煽る。
「……さもないと、後悔するのですよ? ネムの銃は特別製ですから」
ゴクリと息を飲む侍。瞬間、目の前にいる瑞樹の黒鵺が振るわれたと思えば、腰元の刀を断ち切ってしまう。
これで武器も封じられて、完全に丸腰の状態だ。
「教えてくれたら銃は撃たないのです」
「早く言えよ。言わねえなら別の奴に聞くだけだぜ?」
胡を侍の首に押し付ければ、皮膚を切って血が流れる。
「……あの崖を目指せば、儀式場が見付かる」
侍の視線の先には、樹海に見える切り立った崖。
「嘘を言ったら殺す。それは本当だな?」
「ほ、本当だ。だから命だけは……」
それが言い終わる前に、侍の首を瑞樹が二刀流で斬り落とし、ネムネは何時の間にか持っていたシースナイフを心臓に突き立てていた。
「銃は使ってないのです」
「俺は真実を言っても殺す気だったしな」
オブリビオンを始末すると、二人はすぐに崖に向けて走り出す。
●奪う者、支える者
「黄金の祭壇デスにゃ!? 見てみたいにゃ盗みたいにゃー!」
樹海に響き渡るナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)の声は、樹木の上にいた鳥達を飛び立たせる程の大声量。
金ぴかが大好きな彼女は、まだ見ぬ黄金の祭壇に胸を高鳴らせていた。
「いや~、危うく逃すところだったよ! 良かった~!」
尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)はそんな言葉を口にするが、別に黄金に興味がある訳ではない。
数多く存在する戦争依頼の中から、目当てのものを見付け出したので、良かったと感じていたのだ。
「金ぴかどこにあるにゃー! なんか禍々しい事やってそうだからチェックするにゃー!!」
「よく分からんけど任せた! 今の内に準備っと……」
ナミルが全力で集中して地面に手を付ければ、富士の樹海にある呪詛探知を行った。
その間にナオは50本のナイフを複製して、人型との戦いだからと考えれば、その一本一本に強力な毒を塗っていく。
ナイフに毒を塗り終える頃、ナミルが立ち上がって。
「色々と反応あったけど、分かったにゃっ! あの下デスにゃ!!」
樹海の幾つかに呪いの反応があったが、その中でも特に大きい反応……。
ナミルが指差した方向の先には道がなく、崖があって。
「何か分からんけどでかした! 戦闘のサポートは任せてにゃ~」
「真似かにゃ? まあいいにゃ! 黄金の祭壇に向けてゴーだにゃーっ!!」
別に真似ではなく、偶に言うナオの口癖だ。本当の姿は猫なので、二人は猫同士となる。割と相性が良いのかも知れない。
それは置いといて、場所が分かった以上は一直線で向かうのみだ。
ナミルが前衛、ナオは後衛に位置すると、崖に向けて走り出す。
道中の侍はナオの毒ナイフで動きを止められて、ナミルの巨大斧カタストロフで仕留められてしまう
暴力と技術の連携攻撃は、侍達を叩き潰していく。
崖の下を見れば、すぐそこに金色の神殿が見えたので、二人は屋根に飛び乗った。
●金色の神殿
富士の樹海、儀式場。
辺りには100人程の侍が待機しており、強固な警備体制が敷かれている。
その中央には、金色の神殿と黄金の祭壇、祭壇の上には黄金の聖杯が一つだけ置かれている。
「遂に儀式は最終段階に入ったっ! 後は太陽神の子を殺すのみじゃあッ!!」
悪代官は金色の扇子を開いて、周囲に言い聞かせる。
儀式は成った、ケツァルコアトルの力によって富士山が噴火し、信長軍に勝利を齎すのだと。
その直後、儀式場の神殿の上からズシンッと音が響いて。
「なんじゃ?」
それに続いて、侍のいる方向からカキィン、と鳴り響く戦闘音。
悪代官が振り向けば、その正面に現れた瑞樹が奇襲を仕掛けており、二刀流で侍達に切り掛かっていた。
「猟兵じゃな……! しかしもう遅いっ!」
竜の子に目を移して殺そうと考えたが、そこでは金色の何かが蠢いている。
よく周囲を見れば、何故か神殿内にあった儀礼用の装飾や武器、調度品がない。
更には、それが竜の子を封じていた鎖に向けて斧で切っているではないか。バキィンッ、と音が鳴れば、三本の鎖の一つが破壊されてしまう。
「ななっ、何をやっておる貴様ぁ!!」
それを阻止しようと金色に掴み掛かろうとするが、逆に掴まれてしまって。
金色の着物をしっかりと握っていたのは、黄金を盗みまくって装備していたナミルだった。流石に不自然すぎたのでバレたが、何の問題もなかった様で、悪代官を振り回して行く。
「素敵な金ぴか服と扇子寄越せデスにゃー!」
「ほおおおおお~~ッ!?」
床や壁にビッタンビッタンとされて、悪代官は色々と酷い目に遭っているが、侍達が気付いて神殿に向かって来て。
しかし彼等は、神殿の上にいたナオが操るナイフが阻止しており、神殿内まで入る事が出来なかった。
「合体じゃッ! 今すぐに合体するのじゃあ!!」
振り回されながら悪代官がそう命じると、侍達は合体していって、額の数字が最大で10にまで増えて、数が減った代わりに強化されてしまう。
すぐにそれが一斉に神殿へと向かってくるが、猟兵達はそれを許さない。
「俺から背を向けるのか。……はっ!」
瑞樹が目を見開くと、青い瞳が輝き、攻撃回数を増加させ、神殿へと向かう侍達に斬り掛かる。
二刀流から放たれる超高速十八連撃。移動していた侍数人を一瞬にしてバラバラにしてしまい、それを見た近くの侍は、瑞樹を警戒して足を止めた。
「さぁて、もう少し相手を頼むぜ……!」
無理な連撃をしたからか、寿命が削れて疲労の色が見える。
その状況を逃さずに瑞樹を倒そうと刀を突き付けようとするが……。
ズダンッ! ダァンッ! ダンッ!
高倍率スコープを覗き込み三連射撃を行ったのは、物陰に隠れているネムネ。
その制圧射撃は、瑞樹の近くにいた侍の頭や胸を撃ち抜いて絶命させてしまう。
「悪は骸の海にお帰り頂きましょー」
外に神殿へ向かっている侍に対しても、狙撃銃を連射して、進攻を大幅に遅らせていた。
「さっきより強い……中々倒しきれないなぁ」
屋上にいたナオは強化された侍にナイフを放っているが、毒を塗っていてでも致命傷を与えるには至らない。
もう少し動きが遅ければ倒し切れるのだが……そんな事を考えていると、周囲に大量の機械の鳥が現れて、侍達の進行上を塞いでしまった。
更には侍を持ち上げたり、体当りをしたりで、攻撃を始めて。
「よしっ、これなら当てられるなっ!」
ここが機であるとナオは考えると、念動力を最大にまで引き上げて、ナイフを操作していく。
●悪代官の最期
「いい加減に、離さんかぁッ!」
遂に乱心した悪代官は、凄い威力でげしげしっとナミルを蹴り付けると、無理矢理彼女の手から離れて。
その代わりに、着物と扇子はしっかりと奪われてしまう。その下にも服を着ていたのが幸いしたのか、常識的な格好だ。
「い、痛いにゃ……でも金ぴかげっとデスにゃーッ!!」
悪代官にダメージを与えて、更にはしっかりと物を奪ったので、急いで神殿から離れようと移動を始める。
勿論、悪代官がそれを逃がす筈もない。あれだけやられたのだから当然だが。
「逃さん、生皮剥いでくれるわァァッッ!!!」
「そこだっ!」
凄い勢いで拳を振り被る悪代官に、奏剣を持った語が横の物陰から飛び出して来る。
見事に悪代官の脇腹を捉えると、横方向に吹き飛ばしてしまう。しかし致命傷にはならず、立ち上がって。
「ぐぅぅ、伏兵か……!」
すぐに語へ攻撃しようとする悪代官だが、必要最小限の動きでフェイントを掛けつつ牽制している彼には、中々近付く事が出来ない。何故ならば、彼の手には死神による死の概念が秘められているのだから。
そんな悪代官の背後から、白虎に乗った灯理が突っ込んできて、ズガァッ! と全速力で悪代官に当たれば、遙か向こう側へと吹き飛ばしてしまった。
「……ん? 今、なにか当たったか?」
「いや、大した事じゃない。それよりも、鎖の破壊だな」
語は奏剣を叩き付けて、灯理は可変式銃器『朱雀』を機関銃に変形されると、それぞれが残る二本の鎖を破壊して、遂に竜の子が解放されたのだった。
灯理と白虎にふっ飛ばされた悪代官は、地面へと転がされて、見るもボロボロの姿だ。
「何故じゃ! 後は血を捧げて祈る、ただそれだけだったと言うのにッ!!」
辺りを見ればほぼ全ての侍が、灯理の機械の鳥、ナオのナイフ、ネムネの狙撃、瑞樹の二刀流によって倒されてしまっている。
悪代官の目の前に現れたのは、瑞樹。胡と黒鵺を構えて、青い瞳を輝かせていた。
「そろそろ終わりにしようぜ、俺も疲れた」
彼を見て悪代官は逃げようと振り返るが、近くに立っていたネムネの狙撃が肩を撃ち抜いて。
「ぐぬぬぅぅッ! もう少しで火山噴火だったと言うのに……!!」
「貴方も悪ですね。これ以上、化けて出てくるんじゃねーですよ」
悪代官は更にネムネの銃弾を受けると、一歩、二歩と後ろに下がって。
すぐそこにいる瑞樹の超高速十八連撃をまともに受けてしまい、バラバラに引き裂かれてしまった。
●噴火、阻止
悪代官の計画を打ち崩して、無事火山の噴火を阻止した猟兵一行。
竜の子も救う事に成功し、完全勝利と言っても良いだろう。
しかし、戦争はまだまだ続く。
幹部達も現れ始めたので、十分に用心して挑みに行こう。
大成功
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