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エンパイアウォー③~頭なき守護者の成れ果て

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●それは祟りか、それとも――
 信州は、上田。
 先日の件にて猟兵達に打ち破られた武田軍にも縁深い、真田の居城のある所。
 だが――そこは今、越後の龍たる軍神の手に落ちていた。
 山岳を彷徨くのは人でなく、白虎の集団。陰陽などでは守護者として式にされることも有るような存在が何故此処に――?

 その疑問は、彼らの頭を見ると、すぐに氷解する。
 彼らは一様に、『首がなかった』のだ。

●頭なき守護者の成れ果て
「――ったく、少しは長めに休ませてくれたって良いのにな」
 霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)はそうぼやきながらも、黒いジャケットの襟を正し、猟兵達へと向き直った。
「今のサムライエンパイアの『中山道』の状況はもう知ってる奴も多い筈だ。今、肝心の中山道の要衝の1つの周辺が『軍神「上杉謙信」』の手で制圧されてる事も発覚してる」
 クロトが言うように、現在要衝の1つである『信州上田城』は信長軍の1人でもある上杉謙信の手に落ちており、このままでは中山道を通過する手筈の幕府軍に被害が及ぶのだと言う。

「つーわけで。今回お前らにはその主部隊の1つにちょっかいを出してきて貰う。ま、よーするに撤退させてこいってこった」
 クロトが手元の資料に作戦を行う地域の地図を映し出すが、やはりというか山岳地帯で、奇襲や山岳地帯での活動の仕方を考える必要がありそうだ。
「見て貰っての通り、思いっきり山の中だ。しかも相手は――元式神。白虎って言えば分かるか? それの首無し版がこの当たりを戦力として徘徊してんのさ」
 彼が言うには、この首なし白虎の群れを10~20匹程討伐すれば、この辺りに居る部隊は不利を悟って撤退するのだと言う。部隊の『撃破』ではなく『撤退』であったのはこの辺りの理由だろうか。

 クロトは転送準備を進めながら、猟兵達に再び向き直る。
「塵も積もればなんとやら、ってなァ。幕府軍の連中の為にも安全確保に一役買ってあげてくれよな」


逢坂灰斗
 白虎っていうと土属性だけどなんかたまに氷属性な気もします。
 逢坂灰斗です。
 今回は『信州上田城周辺に座す「上杉軍」の一部隊を撤退させる』事が目的となります。

【MSより】
・このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
・この戦場は、『山岳地帯での【集団戦】』となります。
・なお、チームや団体で参加される方は迷子防止の為【一緒に参加される相手】か【一緒に参加するグループ名】を必ずご記述ください。

 では、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。
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第1章 集団戦 『堕ちた白虎』

POW   :    旋風
自身の身長の2倍の【3つの竜巻】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    飄風
【触れるものを切り裂く暴風を纏った突進】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    凱風
自身に【相手の動きを読む風の鎧】をまとい、高速移動と【かまいたちによる遠距離斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ハヤト・ノーフィアライツ
アドリブ連携歓迎。
一応神聖な生き物なんじゃなかったか、こいつらって。

…お前さん方もさぞ不本意だろうな。キッチリ引導を渡してやるか…!

【戦闘知識】を駆使して敵の布陣を分析。脆そうな所を見極め、崩しにかかる。
まぁ、布陣てほどのものがあるかは知らんが、ね。

指定UCを使用し、インパルスブレードと自身を強化。
奴の突進の間合いの外から剣を伸ばし、【串刺し、2回攻撃、早業、鎧無視攻撃、範囲攻撃】を駆使し攻撃。
なにせ43mまで伸びるんでね。

突っ込んでこようと身体を屈伸させた奴にも【カウンター】を見舞い、可能な限り好きに戦わせないようにする。

突っ込んで来られた場合は【早業、ジャンプ、ダッシュ、空中戦】等で回避を



●式神の成れ果て
「さーて、どんな状況かと見に来たは良いけどな」
 周辺の地図を片手に、ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)は呟く。
「――こりゃあ戦術もなにも無さそうだな。単純に普段は此処を棲家にさせてる、っつーのが正しいか」
 遠目でも分かるが、山道を陣取るように配置されている首なしの群れは、まるで生来の本能を辛うじて守っているかのようにそこを彷徨いている。
「式神の成れ果てだが……一応神聖な生き物なんじゃなかったか、こいつらって。此処まで来ると有る種ゾンビと代わりもしねぇな」
 頭を失ったことだけで此処まで彼らは『失われる』物なのか。かつて人々を守護したものは、何の因果か――人に仇なす過去の『異物』と成り果てていて。
「……お前さん方もさぞ不本意だろうな。キッチリ引導を渡してやるか……!」
 宙域からやってきた隼は、1つ剣を構えた。

 事前に射程距離を確認した上で、集団に向けハヤトは得物を振り抜く。……すると、どうだろう。山間の木々の群れる中を剣が伸びて、まるで跳弾するかのように跳ね返り、刃が白虎達を貫いていく。
「なーに、43mも伸びる代物さ。……しっかり味わってくれよ?」
 突然の侵入者に抗議でもするかのように白虎の突撃は行われるが、山中ながらも軽やかに舞う隼の動きは止まらない。
「好きにはさせねぇよ。……お前らも好きでこうなった訳じゃないんだろうしな」
 山中に、一つまた一つと串刺しが出来上がり、成れ果ては役目から解き放たれていく――

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
……くそ、これ私の苦手な手合いだ
どこまで技が通用するか



動きを読むなら、予測させない
もしくは予測出来たとして不可避な攻撃が求められる、かな
UC発動
255の大花火で戦場を大混乱させるか
そしてその【衝撃波】で敵もかまいたちも【なぎ払う】
どちらかというと自分を守るように囲むように展開するね
半分は自分、半分は無差別的にどかどか撃ちたい

平行して【催眠術を乗せた歌唱の衝撃波】で体内、精神共に白虎を破壊するよ
【念動力】で周囲の破損して良い器物や砂利も巻き上げて
必要に応じて攻撃と防御に転用する

敵攻撃は【第六感で見切り】光の鎖で【早業武器受けからのカウンターなぎ払い】
【オーラ防御】常時発動

戦争なんて早く終わって



●光の中の歌声
 式神の権能は辛うじて残っていたのか。それが時として問題になることもある。
 山中に派手な華焔を咲かせながらも、鈴木・志乃(生命と意志の守護者達・f12101)は歯噛みしていた。
(――対応は出来てるけど、……くそ、これ私の苦手な手合いだ。どこまで技が通用するか)
 彼女の懸念していた所は『動きを読む風の鎧』である。其れ故に現在の彼女はまるで無差別に、自らをも巻き込むかのように、大量の花火を撒き散らしながら戦っているのだが、それでもある程度『予測』はされているのは感じ取っていた。
「――やっぱり何されるかバレてるなら、『避けられなければ』良い筈」

 光の奔流が山中にけたたましく迸る中、その異変は訪れた。
 ……歌が、聞こえる。
 その旋律が、広がると共に、首なしの群れが一つ、また一つと自ら光に呑まれる様にして『自滅』していく。
 乱れ飛ぶかまいたちも、歌の音色が奏でる音波が土を巻き上げ壁を生み出し、その直後花火に紛れた光鎖がいち早く薙ぎ払っていく。
 そうして程なく、歌と光は収まり、そこには志乃だけが残された。

「……戦争なんて、早く、終わって」
 最後に聞こえた呟きこそが、彼女の本意だったか。それは山に呑まれて消えていく――

大成功 🔵​🔵​🔵​

死之宮・謡
アドリブ&絡み歓迎

首のない白虎の群れねぇ…果たして本当に其れを白虎と言えるのか…そも、白虎が多数いる時点で意味分からんが?四神ってそんな多数いるモノなのか?

まぁ良いか…所詮はモドキだろう?さっさと終わらせて先に進もうか…

重圧の「呪詛」を籠めた【押し寄せる銀灰の波濤】で「先制攻撃」
風の鎧も高速移動も関係ない…範囲攻撃で叩き潰す(属性攻撃:灼熱/金・全力魔法)

生き残りがいたなら相手の動きを「見切り」崩壊の「呪詛」を籠めた大槍を「怪力」で振るって「なぎ払い」

首を無くして堕ちた時点で四神の一角を名乗る資格は失っているんだよ…



●山焼く鉄の波
「首のない白虎の群れねぇ……」
 死之宮・謡(統合されし悪意→存在悪・f13193)の首なし達への眼差しは懐疑的とも言える物だった。首を失って、人々を襲うように彷徨い歩く『それ』は果たして白虎と言えるのだろうか?
「――そも、白虎が多数いる時点で意味分からんが?四神ってそんな多数いるモノなのか?」
 おそらく、式神として死んだことで焼き付いてしまった要素が大量に『複製』された末路が今なのだろうが――これも想像の域を出ないだろう。
「まぁ良いか……所詮はモドキだろう?さっさと終わらせて先に進もうか……」
 偽物には興味は無いと。強者を求めしものは得物を携えて、ゆらりと山中に歩みを進める――

 数瞬の後、と言ったほうが正しいだろうか?
 山肌が、抉られるかのように、金属の海に『呑まれた』のだ。
 液状化した金属は水銀でもない限りは『高温』であり、それが地を、木々を焼き尽くす。回り始めた海の広がりに焼け死ぬ首なしも居たが、熱気を呑み込むような風を纏い、その海の中心部へと白虎は駆けんとする。
 ――だが、其れすらも彼女には『織り込み済み』だ。
「動きは読めても――逃げ場を封じられては、どうしようもあるまい?」
 大槍のひと振るいが、愚直にも飛びかかってきた集団を一息で薙ぎ払う。だが、彼女にとってはこれも前菜でしかない。

「首を無くして堕ちた時点で四神の一角を名乗る資格は失っているんだよ……」
 彼女が見据えているのは四神もどきなどではない。――『軍神』、いや其の先に至る『魔王』を名乗る何者かだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アテナ・アイリス
相手は風を使った厄介な攻撃ばかりね。でも、当たらなければどうってことないわよ。
普通の攻撃は【武器受け】をつかって防御し、白虎の動きを完全に止めてから、「アーパスブレード」と「クラウ・ソラス」の二刀流で【2回攻撃】を組み込んだ連撃技で攻撃する。
UCを使った特殊攻撃は、【守護女神の煌めき】をつかって、相手の攻撃を見切ってかわす。
まだまだ、序盤戦だから、さっさと片付けるわよ。

「首のない虎って、どこで考えて行動しているのかしらね。」
「さあ来なさい!私の剣技、受けてもらうわよ。」
「守護女神の力よ。わたしを守って。」
「さあ、これでここはもう大丈夫ね。あとは、貴方達に任せたわよ。」

アドリブ・連携好きです。



●山間に踊る風
「くんくん……もう交戦は始まってるみたいね。強く焼ける匂いもするもの」
 山間の中で花火や液体金属を振り回していればさもありなん――という感じではあるが、アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)も確かに火蓋が切られていることを感じ取っていた。
「……それにしても、首のない虎って、どこで考えて行動しているのかしらね」
 頭が無いのならそれを思考する理性もないと見るべきではあるが、事実、彼らはどこで思考をしているのだろう? 本当に生前の恩讐に突き動かされているだけではないのか?
 考えを巡らせるうち、彼女の元にも首なしの群れは集結する。
 1つ、2つ――増えていく数を見遣りながらも彼女は冷静に向き合い、剣を構える。
「さあ来なさい! ……私の剣技、受けてもらうわよ」

 教導役故に彼女は観察眼にも優れているが、其れ故に懐に真っ直ぐに飛び込んでくる暴虐を看過することは出来なかった。
(――風を使った厄介な攻撃ばかりね。でも、当たらなければどうってことないわよ)
 剣を振るいながらも祈るは守護女神。その加護はあらゆる災厄を啓示として授け、彼女の流麗たる剣捌きを曇らせることはしない。
「間合いに飛び込んで来るのはありがたいわ――私の剣もまた『ここが間合い』よ」

 山間に踊る風のように、暴虐を全て打ち払った彼女は周辺状況を確認した後、まだ撤退をする気配を見せない相手を見て、一人呟く。
「さあ、これでここはもう大丈夫ね。あとは――」
 其の眼差しは、自らがやって来た方向に注がれる。
「……貴方達に任せたわよ」

成功 🔵​🔵​🔴​

花房・英
こっちは上杉謙信……知ってる名前ばっかりだな。
ホントにUDCアースと似た歴史なんだな。
とりあえず、首のない虎退治か。

木々や岩場にRosa multifloraを絡ませながら空中移動して、足場の悪さをカバーする。
『エレクトロレギオン』で敵の攻撃を誘引しながら、自身は敵に接近して白兵戦に持ち込む。
動きを読まれるなら、手数で挑む。機械兵器も攻撃に転じ、Rosa multifloraも地や木々を走らせ敵の足元を狙う。
必要なら俺自身が囮になる。…痛いのヤだけど、その上でカウンター狙ってく。
遠距離攻撃は、木々や岩場の障害物を利用して避ける。



●野薔薇満ちる木々
「こっちは上杉謙信……知ってる名前ばっかりだな」
 花房・英(サイボーグのグールドライバー・f18794)は事前に受けた説明を反芻しながらも、信州の山中に降り立った。
 信長の配下達はUDCアースの人間にも馴染み深い者が多く――本当に『似た歴史』を辿った世界なのだと、否が応でも想起させる。
「でも……とりあえず、首のない虎退治か」
 頭をぽりぽりと掻きながら、見下ろす斜面の先。木々の合間に『首なし』の群れは徘徊している。その歩みを進めながらも、彼の手元より、茨持つ野薔薇がするりするりと、木々を縫うように、咲き誇り始めた。

「……面倒だな、やっぱり此方の動きは読んでくるか」
 『首なし』の上方より攻め込み、空中から自らは接近を狙ったが、茨の切断を狙うように彼らは動いてくる。
 レギオン達も機能は確かにしているものの、障害物の多い場所でなければ早期に消されていた算段も高いだろうか。
「――正直、痛いのヤなんだけど」
 そう呟いて英はその身を自ら敵の懐に飛び込ませるように、飛び立った。

 その動きも読めぬ相手では無いが――向こうから来るとなれば話は違う。一斉に飛びかかるように素早く蹂躙に掛かったが、それこそが彼の狙いで。
「……読めても、『避けれなきゃ』意味ないでしょ」
 野薔薇は、絡め取るように咲き誇る。哀れな群れが花に彩られた後に待ち受けたのは――
 ……無機質な手向けの掃射だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「山地に潜むは、狙撃兵の常道」

【SPD】潜伏しつつ狙撃にて奇襲
準備:『サーチドローン』で周囲の地形の【情報収集】

【地形の利用】を行い、山岳地帯に潜伏。自身に光学【迷彩】を施し、オブリビオンの痕跡を【追跡】します。
狙撃銃型アームドフォートに【破魔】効果を有する弾丸を込め、【スナイパー】として狙撃を行います。

「CODE:ARTEMIS。地形情報をフィードバック、誤差修正完了。シュート」

狙いは敵の手足。
姿が見えない狙撃手からスナイプを受ける状況、相手の撤退を促します。


サンディ・ノックス
※アドリブ、連携歓迎

彼らも利用されているのだろうな
出来る限り眠らせてあげたいね

奇襲を試みる
獣だから気配を隠している可能性はあっても移動の形跡を隠しはしないと考え
足跡等の形跡を探しそれを辿って敵を探す
敵を見つけたら敵も動物の勘等でこちらに気付いている可能性があるしまず観察
気付かれていないようならUC解放・夜陰を発動、1体を集中攻撃

動きにくい戦場のため攻撃はUCによる水晶操作を主に、近接されたら黒剣で応戦
敵はこちらの動きを読むけれど読んだところで対応できないような全方向からの攻撃を狙う
敵の攻撃は、敵行動の癖を【見切り】山中のものを盾にして凌ぎたい
動きを読まれて躱しきれなければ【オーラ防御】で耐える



●不意撃つように咲き誇る
「彼らも利用されているのだろうな……。出来る限り眠らせてあげたいね」
 『首なし』の様子を見遣っていたサンディ・ノックス(闇剣のサフィルス・f03274)望遠レンズから顔を外し、嘆息する。
 奇襲を選択する上で、事前に彼らの様子を把握しようと眺めていたのだが――余りにも虚ろで、誇りも無くなった其の姿には同情を禁じ得ない。
 其の傍らで、ドローンを飛ばし戦地の状況の把握に努めていたクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は、彼らの元へ向かおうとするサンディの背を見て、声をかける。
「行かれるのですか、では此方を」
 クネウスが彼に手渡すのは無線通信機。彼とて同じことを策として選んでいる以上、情報を共有するのが最善と見ていたのだ。
「――上からの目は此方で補います。存分に暴れて下さい」

(……やっぱり移動の形跡は隠せてないね。なにより――隠す為の『頭』を持ってないから、致し方ないんだろうけど)
 借り受けた通信機を片手に、サンディは獣道を歩む。比較的真新しく拓けたそれは、『出来上がるほどの往来』が行われているという証左で――
「『――その近辺、標的が徘徊しています。仕掛ける時になったらまた』」
 通信を受けた直後、咄嗟に身を隠すも、やはりここは道行きとして拓かれたのだと確信する。
(さて、あとは気づかれなければ良い筈だけど――)
 仕掛ける好機を逃さぬよう、息を潜め、ある程度の距離を目測し……
 ――水晶の剣は、地より生えた。

 黒水晶は、その血すらも呑み込むように、深々と『首なし』の一個体を取り込むように、『同化』していく。
「『――CODE:ARTEMIS。地形情報をフィードバック、誤差修正完了。シュート』」
 それと同時に降り注ぎ始めたのは、足許を確実に穿つように突き刺さる、射手の弾丸。通信機越しの言の葉が、クネウスの仕業だと、サンディにも雄弁に知らせる。
 突如の奇襲に、頭蓋無き集団は混乱に陥ったかのように、黒水晶の剣山にいとも容易く貫かれていく。
「……奇襲大成功、ってところかな。まぁ俺の攻撃は――読んだ所で『読ませる』つもりも無いけどね」

 その頃、遠隔地で戦場の様相を監視し続けていたクネウスは、レンズの視界の片隅から一目散に撤退を始める奇妙な集団を見遣った。
「……なるほど、どうやら此処は『捨てた』ようですね。皆さんに知らせましょう――」
 無線機を再び片手に、狙撃手は高らかに告げる。
 ――この戦いは、猟兵達の勝利である、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月07日


挿絵イラスト