エンパイアウォー④~皮を纏う者
富士山麓の樹海……その一角。
「ほほほ……来るものをどうしようと、妾の好きにしてよいと。」
魔法陣の描かれた上で、生きた竜の子を手で引きちぎる女性がいた。
「であれば、丁重に歓迎せねばいかんのう。……今宵は良質の皮が手に入りそうじゃ。」
血を浴びるのも構わず、その血肉を魔法陣の上へまき散らす。
女性の豪奢な服は血にまみれ、ぬらぬらとした本来の皮へと戻るようだった。
……血の通った、人の皮に。
「猟兵どもよ、妾の元へ来るがよい! 貴様らの皮、妾が引きはがしてくれようぞ!」
不気味な哄笑と共に、天に向けて言い放つのだった。
「……って、そこにいるオブリビオンが言ってる。」
集まった猟兵達へ向け、編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)は状況を説明していた。
「話したように、今その儀式を止めないと、火山が爆発しちゃう。
そしたら、上様たちは街の人の避難とか、しなきゃいけなくなる。
それは困るでしょ?
……信長を退治できなくなっちゃうから。」
黒猫のぬいぐるみをぎゅっと抱き上げ、言葉を続けた。
「だから、そのオブリビオンを倒してほしいの。
人の皮を剥いで、それで服を作るのが趣味……そんな人。
……昔はどこかの女王で、狂皇后・朱華(きょうこうごう・しゅげ)っていう名前、みたい。
悪い人だから、容赦なく倒してほしいの。」
グリモアである首輪に手を翳すと、鬱蒼とした森の光景が広がった。
「この先をまっすぐ行けば、その人の笑い声ですぐに場所はわかるから。
よろしくお願いします。」
ヨグ
ヨグです、エンパイアウォーの第2弾となります。
狂った皇后に鉄槌を、よろしくお願いします。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦
『狂皇后・朱華』
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POW : 華の覚醒
【曼殊沙華のような紅の瞳】に覚醒して【一層の狂気】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 華の啼き聲
【咆哮や嘲笑】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 華の再生
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【大百足】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
イラスト:佐東敏生
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠伍島・是清」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雷田・水果
【雷田姉妹】
【アドリブ・連携歓迎】
【WIZ】
「火山の爆発は困ります。このような儀式は絶対に止めます」
戦闘中、敵の死角や射程外からの攻撃を狙う。
「オブリビオンさんは、平伏してください!」
ユーベルコード「Majestic Aura(マジェスティックオーラ)」を使うことで、敵の動きを一時的に封じようと試みる。
また、武器【アリスランス】を想像で【自動追尾可能な高圧水流を高速自動連射するガンランス】に進化させ、敵の射程外から敵への攻撃を試みる。
雷田・龍子
【雷田姉妹】
【アドリブ・連携歓迎】
【POW】
「竜と竜人は親戚のようなもの。このような儀式は見過ごせない」
『狂皇后・朱華』の花魁姿に対抗するように、龍子も花魁姿で参加する。
「夜鷹風情の悪戯は、花魁の私が許さん」
お供のドラゴネットによる【援護射撃】を受けつつ『狂皇后・朱華』に接近し、ユーベルコード「ドラゴニアン・チェイン」で相手の行動を制限しようと試みる。
フィランサ・ロセウス
この森の中を探し回る必要がないのは楽でいいわね
笑い声が聞こえたなら、クロックアップ・スピードを発動して
すぐにその場所に駆けつけられる準備をしておきましょう
「あら、中々趣味のいい服ね!
もしも、もしも私がここでやられたら、同じように大事にしてくれるかしら?」
敵を見つけたら、半分は本心、
半分は意識をこちらに向けさせる為に声をかけるわ
「ああ、でもその前にね…貴女の事もっと“好き”になりたいの!」
身に纏ったダーク・ヴェンジャンスの力で、傷つく程に力が湧いてくる
だからひたすらに狂皇后だけにこの“好き”な気持ちをぶつけるわ
…あ、竜の子が無事なら傷つけてしまわないようにだけは気を付けないとね
「火山の爆発は困ります。このような儀式は絶対に止めます。」
「ええ、そうね。」
やる気に満ちた雷田・水果(人派ドラゴニアンの鞭使い・f19347)の言葉に同意する、姉の雷田・龍子(人派ドラゴニアンの剣豪・f14251)。
二人とも人派のドラゴニアンだが、動きやすそうな服で前を歩く水果に対し、龍子はいわゆる花魁の姿と対照的な姿でいた。
「それに、竜と竜人は親戚のようなもの。竜を引き裂くような儀式は見過ごせない。」
「ふふ、龍子ちゃんも怒ってる。」
「と、当然です。」
振り返ってニッと笑う水果に、少し慌てた龍子だったが……その時、森の奥から女性の哄笑が響いた。
「お、あっちかな? この森の中を探し回る必要がないのは楽でいいわね!」
二人と一緒に歩いていたフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)。
それまで空っぽな笑みを浮かべながらついてきていたが、その笑い声を聴いた途端にパチンと指を鳴らし、目にもとまらぬ速さで駆け出していった。
「……いっちゃった。」
「水果さん、私たちも行きますよ。」
「あ、待ってよ!」
二人も急いでフィラロンサを追いかけて森を進むと、開けた場所に魔法陣が描かれていて……黒い粘液にまとわりつかれた、オブリビオンの女性が見えた。
「あら、中々趣味のいい服ね!」
「ほほほ……なんじゃ、なかなか見る目があるではないか。」
飛び込んでくるなり身に纏う服を褒めるフィラロンサに、女性も悪い気はせずに笑って応えていた。
「もしも……もしも私がここでやられたら、同じように大事にしてくれるかしら?」
「もちろんじゃ、なかなか肌の張りもよさそうじゃのう。」
「ありがとう! でも……その前にね。」
すでに、手を伸ばせば届く距離。
突然、フィラロンサの全身が黒い粘液に覆われ、女性に抱き付いていった。
「貴女の事もっと“好き”になりたいの!」
「く、何じゃこれは!?」
華奢な身体のどこにそんな力があるのか、いくら力を入れようとほどける気がしない。
「ええい放せ! ……かくなる上は。」
女性は服の下から大百足を放ち、黒い粘液の上から牙を突き立てさせるが。
「ああ! ……ふふ、もっと愛して?」
「く、こやつ……!」
傷の分、さらに締め付ける力が強まり……結果、身動きが取れなくなっていた。
「あ、新手か! ええい、放せ!」
「……ああ、大変そうな所悪いがな。」
お供のドラゴネットを浮かべる龍子。
女性が龍子へ大百足を差し向けた時、追いついた水果が咄嗟に言い放つ。
「オブリビオンさんは、平伏してください!」
「あはは! 平伏しなきゃね☆」
「く……お、おのれ!」
女性が膝をついて項垂れたのは、水果の威光か、フィラロンサの力技か……両方か。
その間に、少し動きが止まった大百足をドラゴネットの弾丸が貫き、それを踏みつぶしながら龍子が迫る。
「夜鷹風情の悪戯は、花魁の私が許さん!」
「ぐあああ!」
その手から放たれるドラゴンオーラを、女性には避ける術がなかった。
途端に爆発を起こし、さらに女性の体をオーラの鎖が縛りあげる。
「続けていきますよ!」
水果は手にしたアリスランスを、高圧の水を噴き出すガンランスに変える。
想像のままに作られたそれは、複数放つ水を女性の腹へ正確に叩き込んでいった。
「ご、ぐふ……。」
攻撃されるたびに拘束が増え、身動きの取れない女性の動きが止まった。
が……。
「く、くっくくくく……。」
女性の含み笑いが響く。
途端に目が開かれ……その眼は、曼殊沙華のように真っ赤に、真紅に変わっていた。
「妾をこけにするとはいい度胸よな!」
一声吼えると、拘束を無理やり引きちぎり……立ちあがった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ニィ・ハンブルビー
親しい人の皮を合意してとかなら何も言わないけど…
口ぶりからして違うんだよね?
そして現在進行形で罪のない竜を殺してるよね?
許せる理由がない!全力でぶっ飛ばすよ!
てことで【巨竜の炎】巨大な炎竜を呼んで!
連繋攻撃で敵をボコボコにするよ!
ブレスや尻尾で魔法陣ごと敵を薙ぎ払ってもらいつつ!
ボク自身も攻撃に乗じて【ダッシュ】で接近!
『ウェポンエンジン』で自分を【吹き飛ばし】て!
敵の攻撃をかいくぐりつつ懐に潜り込むよ!
そのまま【怪力】でぶん殴ったり引っ張ったりして!
ヒットアンドアウェイで竜の細かい隙を補う!
多少燃えても【火炎耐性】で問題なし!
さあドラゴン!
ボクの事は気にせず思いっきりぶちかましてやれー!
織座・このみ
●心情
信長……この世界のおぶりびおんの総大将の事もそうですけどぉ、
戦と関わりない方々が巻き込まれるのも見逃せないですよねぇ
ですから止めさせてもらいますよぅ!
●行動
ユーベルコード:多重降臨・神軍顕現
を使いますよぅ
姉様と二人で鉾先鈴を手に
【祈り】を込めた神楽舞を奉げまして、
皆さまに神霊を降ろして強化させていただきますねぇ
「皆さま、まいりますよぅ」
舞の最中に攻撃されるようでしたら
【野生の感】や【第六感】で舞いながらも避けますよぅ
避けきれないようでしたら【オーラ防御】で防ぎますねぇ
※内心・思考の口調は、プレイング記述の話し言葉と違い、訛り気味
人前では狐面外さない
協力、アドリブ歓迎
「親しい人の皮を合意して、とかなら何も言わないけど……口ぶりからして違うんだよね?」
「当然であろう? 妾自ら剥いでやったわ!」
その答えに怒りを燃やすのは、フェアリーのニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)。
「信長……この世界のおぶりびおんの総大将の事もそうですけどぉ、戦と関わりない方々が巻き込まれるのもぉ、見逃せないですよねぇ?」
狐の面を被っているため表情は解らないが、織座・このみ(半身は焔となりて傍らに・f04890)の考えていることは理解できた。
あかん……この人は、生かしておけん、と。
顔を見合わせて頷いたニィは、辺りを見渡しながら指をさして宣言する。
「そして、現在進行形で罪のない竜を殺してるよね? 許せる理由がない!」
「ですから、止めさせてもらいますよぅ!」
織座も、傍らに浮かぶ似た容姿の炎の少女と共に言う。
そんな猟兵達に対し、
「ふん、できるならしてみるがよい。」
その様子をせせら笑うように女性が返したのを見て、腕まくりをするニィ。
「全力でぶっ飛ばすよ!」
「お願い、出てきて!」
ニィの言葉に合わせ、周囲に魔法陣が浮かぶ。
それを見た女性が手を上げると、切り裂かれた竜の骸を食い破って大百足が姿を現した。
「さぁゆけ! 呼び出させるな!」
「させませんよぉ!」
チリーン……。
二つの狐面が並び、二つの鉾先鈴が一度鳴る。
織座たちが間に立つと、二人の放つオーラに百足たちの足が止まる。
「く、おのれら……。」
「ありがとう! さぁ、いくよ!」
ずるりと、ニィの周囲の魔法陣から巨大な炎竜が身を引きずり出す。
挨拶とばかりに炎竜が口を開くと、百足たちを一気に焼き払った。
「よーし、元気そうで何よりだよ!」
そして鼻先に飛び、女性を指さすニィ。
「あいつは竜を殺す悪い奴なんだ! 一緒に倒そう!」
「グルァアアア!」
「ちっ……トカゲ風情がぁ!」
狂気の赤い目を見開いた女性は、炎竜の振り下ろす爪や炎のブレスを避けながら、その手で強靭な鱗を引きはがしてゆく。
「なかなか壮観ですねぇ。私たちもぉ、手伝いましょうかぁ。」
織座は傍らの少女と顔を見合わせて頷き、二人は並んで神楽を踊る。
一糸乱れず、一つの音を二つの鉾先鈴が響かせて……神は、その祈りに応じる。
「皆さま、まいりますよぅ!」
それを感じた織座と少女は、奉納の舞のうち人へ捧げる動きを取り、
チリーン……。
鈴の音が、戦場に響いた。
「ぐ、おのれぇ!」
途端に炎竜の爪が、先ほどまでと明らかに違う速度で女性を捉える。
「力が湧いてくるよ! とりゃー!」
ニィも同様に、女性の服をひっつかみながら拳を打ち込む。
「ごふ!」
「さあドラゴン! ボクの事は気にせず、思いっきりぶちかましてやれー!」
「ま、まて……!」
グルァアアア!
竜から吐かれる炎が、儀式場を燃え上がらせる。
ニィに捕まえられた女性は成す術もなく飲み込まれ……。
炎が消えた時には、ニィと少しの灰だけが残されていた。
「ありがとうね! 後は儀式の邪魔をすれば。」
「もう、する必要はなさそうですねぇ。」
ドラゴンを帰したニィに、周りを見ながら織座が応えていた。
「儀式があったってぇ、言われなきゃわからないくらいですよぉ。」
「……そうだね。」
辺りは完全に焼けこげ、魔法陣が書いてあったかどうかもわからないほどである。
「まぁ、帰りましょうかぁ?」
「うん!」
こうして、富士の樹海で行われていた儀式の一つが阻止された。
猟兵達は着々と、儀式を止めていっている……あと少しで、噴火を止めることができるだろう。
大成功
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