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今宵、血の河を渡れ。

#サムライエンパイア #那智衆

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#サムライエンパイア
#那智衆


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「イヤーッ!」
「トアーッ!」
「イヤーッ!」
「フーン!!」
「ヌオーッ!ヤラレター!!」
「ソコマデー!」
 髑髏めいた薄気味の悪い満月が宵の空から青白く輝いて山間の寺院を照らし出していた。

「此度の修練も、実に見事であった!それでこそわしの鍛え上げた和累八ッ衆(わるいやつしゅう)である!!」
 空気を震わすが如く。雷鳴にも似た男の声が響き渡る。男の名は和累八ッ衆を統べるかつての戦国大名にして武の道を極めた武僧、和累・八梅蔵(わるい・やばいぞう)であった。八梅蔵はかつて配下の者達を独自の武術によって鍛え上げ、力による正義を掲げて国取りに乗り出し、そして滅びた戦国大名である。
「拝累(ハイル)!」
 和累八ッ衆ーー黒装束に身を包んだ男達が整然と並び、直立不動の姿勢で右腕を高く掲げる。これはかつて選民主義思想を掲げ戦乱の時代に多くの人々に害をなした邪悪な一門、那智衆(なちしゅう)に連なる者たちに伝わる敬服と従属を示すポーズなのである。
「よいか!我々和累家の一門は那智衆に連なる家系として、この力を愚かなる民草に見せつける必要がある!!それが!!滅びたはずの我らが骸の海よりここへ帰還した理由なのだ!!」
「拝累!」
「拝累!」
「拝累!」
「しかし!慢心はならぬ!我らはこの山寺にて修練を積み、技を研鑽し、十全に力を蓄え!その上で現世へ打って出る!その時こそ、我らが天下に返り咲く時なのだ!」
 おおおおおおお!男達の歓声がこだまする。そして山寺には、再び男達の修練が始まるのであった。

「……だいぶ面倒なことになったぞ」
 グリモア猟兵、ロア・メギドレクスが嘆息する。彼の説明によれば、サムライエンパイアにてオブリビオン事件が発生したとのことである。
「此度の敵はかなり手強いぞ。余の予知でみえた連中は……ううん。はっきり言って、シンプルにつよそうだ」
 ロアは眉間にしわを寄せながら状況の説明を続ける。敵の名は和累・八梅蔵(わるい・やばいぞう)。力が正義であり、力のない者は生きる資格をもたない、と豪語する強靭な武僧だ。彼は配下達とともに骸の海からオブリビオンとして蘇り、再び現世のサムライエンパイアにその力でもって戦乱を巻き起こそうとしているのだという。
「というわけで、汝らの今回もこれまた非常にシンプルだ。山を登って敵の懐に入り、ぶちのめせ。以上だ」
 身もふたもない説明であった。だが、戦いを仕掛ける前にやらねばならないことがある。……敵の潜んでいる山寺は修験者が修練を積むために登る険しい山道を超えた先にあるのだ。たどり着くだけでも困難があるだろう。また、敵が警戒して周囲の見回りを行なっていることも考えられる。ロアは猟兵たちにいくつかの提案を行った。
 ひとつは、山道を突破し、『まさかこんなところから来るはずはない』と思うような道無き道から敵地に飛び込み、奇襲を仕掛ける。体力が必要になる作戦だ。
 あるいは、ある程度山寺へと接近した後、罠や待ち伏せで敵の兵士を足止めや無力化し、気づかれずに敵地へ潜入する。素早い行動や作戦遂行のための判断力が鍵となるだろう。
 もうひとつは麓の村の人々から情報を集め、登りやすいルートや忍び込める裏口の存在などを調べることだ。
 いずれの手段をとるにせよ油断してはならない。自然はいつ猛威を振るうのかわからないのだ。ヘタを打てば敵地にたどり着く前にリタイアもあり得るだろう。
「が、汝らであれば大丈夫であろう。余が太鼓判を押すぞ。……それより、此度の相手は強敵だ。心してかかるがよい」
 激しい戦いになるだろう。ロアはグリモアを輝かせ、励ましの気持ちを込めて猟兵たちを見送った。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 次の侵略活動を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 この度も、あなたがたとともに旅路をゆけることを感謝いたします。
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第1章 冒険 『寂れた山寺』

POW   :    山を歩き回って探す

SPD   :    罠や仕掛けを用意する

WIZ   :    麓の村で情報を集める

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

桑原・こがね
和累八ッ衆、なんて悪そうな名前なのかしら!
人を名前で判断しちゃいけないけど、なんとも言えない響きがあるわね。

あたしは山の中を突っ切って行くわ。修行で山ごもりもしたことあるし、手慣れたもんよ。
そもそも、山の中から「ばーん!」って登場したほうが良い感じに目立つと思うのよね。演出で雷を鳴らしながら、何か決め台詞を言いたいんだけど……まあいいわ!行きながら考えましょう。

流石に途中の道であんまりうるさくすると見つかっちゃうわね。刀で邪魔な枝を切り進むぐらいは大丈夫だと思うけど。
さて、気合い入れて頑張ろー!


虎熊・月霞
 えぇ……この山中を登るのぉ?め、めんどうくさい……。あまりの面倒っぷりに僕の心は死んだ――なむなむ。
 とは言え放っておくには危険すぎる連中だよねぇ……脳筋っぽいんだし難しい事考えなきゃいいのに。

【POW】
 という訳で(?)敵地まで最短最速一直線で行こうと思いまぁす。
 修験者って言うくらいだし、あえて険しい道程を選ぶと思うんだ。だからこそ僕は楽な道を行く!真っ直ぐにだ!
 まぁ僕は腐っても羅刹だし崖とか谷とかの上り下りは慣れてるよ。だからって訳でもないけど迷ったりはしないはずだよ。まっすぐ歩くぐらいはできる。
 では、ユクゾッ!


ナイア・アルハズラット
山道も大変そうだし、村で情報集めというのも、私美少女だし目立っちゃいそう……。
……で、あるなら私の選択は……。

近場の村で服を《空想からの創造》で調達し、【変装】をして村娘の恰好をすわ。
そして山道から入って別の村から麓の村へ向かう途中迷子になったのフリをするの。
彼らはまだ雌伏の時、むやみに事を荒立てないハズ……なら見張りに見つけてもらい、事情を話し
「もう険しい道のりで足も満足に動かせません……持ち物も、この身だけ……どうか今晩泊めてはいただけませんでしょうか」と《天性の美貌》で【誘惑】して、お寺に入れてもらいましょう!
もし、拘束されそうなら仕方ない。魅了されてるウチにサクッとやっちゃいましょ。


不破・玄
現世へ出すわけにはいかない連中ですね。
山の中で朽ちてくれるとよいのです。

周辺の村に諜報員がいる可能性は低そうで設定がいる気はあまりしないけど、
私は旅の戦巫女です。修行の一環で山寺に興味があってきました。という感じ?

まずは山寺の存在の噂、そして場所の聞き込みは行います。
他の方の情報も重要です。

縄とか杖(なぎなた代用)とか登山対策。
情報を元に途中までは堅実に進む。
現場にある程度接近したら『迷彩』を用いて接近。
寺まで来たら『忍び足』を併用して気配を隠し正門以外には入れそうな場所を探しましょう。
たとえば木々から飛び移れそうな場所や破損した壁とかですね。

以上です。台詞アドリブ大歓迎。



「うーん……“険しい山道”っていうのも大変そうだし」
 ナイア・アルハズラット(f04959)の言うことは一理ある。美少女が山登りをするのは昨今の流行りではあるが、人形めいた、もといミレナリィドールである彼女の完成された美貌は粗野な山道には似つかわしくないだろう。尚、同じ粗野であっても荒野は例外である。渡り鳥には荒野が似合う。話を戻そう。
「でも、村で情報集めっていうのも……私、美少女だし。目立っちゃいそう」
 ため息をつく。美しさは罪ね、と自慢げに懊悩しながら彼女は思案する。そして、最終的に下した決断は――

 一方、不破・玄(f02910)は旅の戦巫女……ということにして、麓の村で情報を聞きまわった。
「ええ、あの山寺にかい。巫女さんの足じゃあちょっと辛いよ」
「山道には獣も出るからねぇ、お嬢さん、やめておいた方が……」
「どうしてもっていうなら……」
 ……村人たちの反応はやや鈍かったが、若干の紆余曲折を経て、玄はひとまず山寺までの地図を手に入れることができた。村の中の道具屋で山登りのための縄や杖などの登山道具を購入し、彼女は一路山へと向かう。
「それにしても、山奥で修行をするオブリビオンの集団だなんて……」
 危険極まりない存在だ、と彼女は思う。玄は謎の秘密結社で育った戦闘用の人造サイキッカーである。それであるがゆえに、“山奥に潜み秘密裏に戦乱を望む集団”――すなわち秘密結社と同様の危険なものである。
「現世へ出すわけにいかない連中ですね……山の中でそのまま朽ちてくれればよいのです。そんなの」
 杖を頼りに、彼女は寺院を目指す。

「えぇ……こんな山中を登っていくの……?め、めんどくさい……」
 あまりの面倒っぷりに僕の心は死んだ――南無南無。そう一人ごちながらも、道など一切舗装されていないガチの山中をひょいひょいと軽々歩いているのは虎熊・月霞(f00285)と……
「なにを言ってるのよ、月霞!これはまたとない好機よ。そう、手柄を立ててあたしの名を上げる絶好の!」
 人に注目されることが生きがいの桑原・こがね(f03679)である。2人の剣豪少女は同じ“最短距離で山中を突っ切る”という同じ行動原理で動き、道中でかち合った凸凹コンビである。かたや名を上げるべくやる気に溢れ、かたや怠惰きわまるのんびりやさんだ。2人は……少なくとも此度の冒険においては、そう悪くない道連れといえた。ことあるごとに休憩したがる月霞をこがねが叱咤し、先走るこがねを月霞が制する。このコンビネーションは絶妙に噛み合い、道中はほとんど問題なく現地を目指すことができた。途中で野生の狼やら猪やら野盗やらに出会うことがあったが、どれもオブリビオンではない。険しい山道は2人の体力を奪っていったが、そもそも彼女たちは揃って山道慣れしており、助け合うことで消耗はかなり抑えられている。猟兵はやはり助け合いだ。ユウジョウ!
「それでね、月霞。やっぱり山の中から『ばーん!』って登場するのが一番目立つと思うの。ずばばーって雷を鳴らすとか、そういう演出も込みで!それでね、ここの決め台詞なんだけど……」
「ええー……またその話ぃ……」
 前言撤回。やはり凸凹コンビである。

 ……再び視点は玄に戻る。玄は地図を頼りに山寺へと近づいていた。ここから先は敵地に近く実際危険な領域だ。玄は油断なく迷彩と忍足の技能を発揮し、気づかれぬように近づいていく。

「……そうなんです、険しい道のりでもう足も満足に動きませんの……持ち物も、この身だけ……どうか一晩、泊めてはいただけませんでしょうか……」
(何やってんだあいつ!!!)
 そこで玄が目撃したのは、頬を赤らめ、潤んだ瞳で蠱惑的に身体をくねらせながら見回りに来た黒装束の男……すなわち和累八ッ衆(わるいやつしゅう)の男たちを誘惑するナイアの姿であった。マジかよアレ、とうっかり素のの感想をもってしまった玄であるが、息を潜めてその様子を見やる。
 これこそがナイアの秘策であった。彼女は自身の罪深いほどの美貌を自覚し、利用できることを誰よりも知っている。(そのような女性のことを悪女と呼ぶが、今回はオブリビオンとの戦いのための正しい行いに用いているので何も問題はありません)
 彼女は偶然道に迷って山寺に迷い込んでしまった不運な美少女……という設定で敵を誘惑し、内部へと潜入する算段だったのだ。こんな場所に潜伏しているということは、敵もまだ雌伏のときでありことを荒だてたくないに違いない、とアタリをつけていた。これは実験体出身の玄には思いつかなかった作戦である。若干のカルチャーショックを感じながら、彼女はその動向を静かに見守った。
「そうかそうか、それは大変であったな」
 ……勝った!ナイアは内心でほくそ笑む。ご丁寧にユーベルコードまで起動して【誘惑】しているのだ。いかに相手がオブリビオンでしかもニンジャだったとしても、男は男。私の美貌に落ちないはずはない。ああ、なんて罪な美魔女。可愛くって、ごめんなさいね?玄はその様子に驚いていた。すごい。うまくいって……いた。ここまでは。
「何をしている!貴様、見回りはどうした!」
 見回りが戻らないことを不審に思ったか、別のニンジャが出てきたのだ!ナイアは静かに舌打ち。
「拝累(ハイル)!い、いえ、申し訳ありません、ただ、この女子(おなご)が……」
「女子だと!!馬鹿め。我々和累八ッ衆(わるいやつしゅう)の教えを忘れたか!女子などか弱き者、そして弱さは罪!」
 まずい流れになってきた。ナイアはそっと指先を動かし術式起動の準備をする。だがそれよりも早く。
「こうなるんじゃないかと思ってたんですよ!」
「やはりわるいやつらだったわね!!!」
「そうだねぇ、放っておくわけにはいかないねぇ」
 ……3人!!なぎなたを携えナイアの救援に向かおうとした玄に加え、ジャストタイミングで現場に出くわした凸凹剣豪少女コンビのエントリーだ!玄と2人はお互いに予想していなかった援軍にぎょっとしながらも、ひとまずは目の前のわるそうなやつらに襲いかかる!
「ヤーッ!」
 こがねの斬閃!稲妻を模した衣装を描く特注のバリバリにカッコいい雷鳴団団長服の裾を翻しながらニンジャを叩く!
「グアーッ!」
 不意打ちに対応できず倒れるニンジャ!
「やあー」
 一方月霞は大振りの野太刀、童子切にてニンジャを叩き割る!豪腕!一撃!
「グアーッ!」
 更に倒れる見回りニンジャ!
「終わりです!」
 無慈悲!更に襲い来る玄の薙刀の一振り!もはやニンジャたちは絶体絶命である!
「グアーッ!!ヤラレターッ!」
 倒れた和累八ッ衆のニンジャはその身に蓄えたオブリビオンとしての力が制御不能になり爆発四散する!そうして見回りの者たちは全滅したのである。ひとまずの危機は去った。……見せ場を奪われた感じになってしまったナイアが何か言いたげであるが、すまない。ここは我慢してほしい。
「……それじゃあ、みんな猟兵なのね!」
「うんうん。助け合えるのは、いいこと……」
「そうね、きっとこれから他の猟兵も来るわ。そしたら合流して一気に攻め込みましょ」
「そうですね。グリモア猟兵が言うには、相当手強い相手のようですから……今のは奇襲でなんとかなりましたが」
 正面から戦えばどうなることか。かくして作戦会議を済ませた4人の乙女猟兵は二手に分かれて配置につく。他の猟兵達の突入に乗じてしかけるのだ。
 ……今は静かに、息を潜めて時を待つ。髑髏めいた不気味な青白い月だけが、彼女達を見守っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

聖護院・カプラ
【WIZ】
和累八ッ衆。力が正義であり、力のない者は生きる資格をもたないと言うのですか。
かつての私のような……いえ、それなら行いを改める事はできましょう。

今はとにかく、対話を行う為にルートの調査を進めねばなりませんね。
麓の村のヒトに『説得』を行い情報を聞き出しましょう。

自分はこの辺りの寺院を歩いて回っている僧であり、
この辺りに寺があったと聞いたが随分と前の情報しかなく行き方がわからず難儀していると。

此度の敵が根回しや口封じをしている可能性もあるので、こちらの事に感付かれそうなら深い情報を得るのは諦めます。
大丈夫です。
なに、何事も第一歩が上手くいくとは限らないのですから。


睦川・優桜
【WIZ】で挑戦します!

天下自在符を見せて猟兵の身分を明かしつつ、
フォーディメンション・ポケットから異世界製のちょっとしたお菓子を取り出して配ることで、
村人の警戒心を解いて【情報収集】しやすくします!

「\テッテケテッテテ~テテ~ン/フォーディメンション・ポケットー!」
(白い半月状のポケットを掲げながら、効果音を口も言って独特のイントネーションでユーベルコード名を宣言します!)

「よろしければお近づきのしるしにどうぞ!」


音羽・浄雲
※行動傾向は【WIZ】で行きます。

「戦乱の時代をまた繰り返そうとは捨ておくわけにはいきませんね」
戦乱と聞けば思うところはある。
元々の自分の出自を顧みれば自分も戦乱の中に生かされていた者ではあるが、故にこそ戦乱で失われるものを“識っている”。
それを思えば――再度自分の様な者を生み出さない為にも――彼の者の企みは断たねばならない。

「とはいえまずは情報収集でしょうか。さあさあ、おいきなさい」
逸る気持ちを抑え、印を結ぶと【口の裂けた細長い狐】の様な生き物が駆けていく。

「周囲の状況はあの子に任せて、わたくしは地道な諜報と参りましょう」
狐を見送ると、村人たちの話を聞きまわろうと浄雲も歩を進めるのだった。



「力が正義であり、力のない者は生きる資格をもたない……ですか」
「力が、正義……戦乱の時代をまた繰り返そうとは」
 聖護院・カプラ(f00436)と音羽・浄雲(f02651)は、和累八ッ衆(わるいやつしゅう)について想いを馳せる。カプラは元々ウォーマシンであり用心棒をしていたことがある。力こそが正義、という言葉に過去を思い返した。浄雲もまた戦乱の時代を生きた傭兵集団の出だ。彼女は戦乱という言葉の意味を誰よりも“識って”いる。何よりも、自分自身の身をもって。
 浄運の見たこの山の麓の村はとても平和で、のどかだった。年末年始の祝いの準備で賑わっている。……山寺に潜む悪鬼どもが解き放たれれば、この平穏と幸福は蹂躙され、屍山血河が築かれるだろう。浄雲の拳は決意に震える。自分の様な者を生み出さない為にも、今はもういない、大切な人たちのようにしないようにも――彼の者の企みは断たねばならない。だが、ここで浄雲ははやる気持ちを抑えて一度深呼吸。急いてはことを為損じる、とはよく言ったものだ。まずは情報収集が重要である。
「さあさあ、おいきなさい。まわりをすこし見ておいで」
 浄雲は印を結びユーベルコードを起動。彼女の使役する【口の裂けた細長い狐】……管狐と呼ばれるものであろうか。“遣い”が周囲の調査へと向かう。
 一方、睦川・優桜(f00071)は浄雲の見ていた村の年末年始の祝いの準備の中に混じり村人達と話をしていた。
「てってけてってって〜ん!ふぉーでぃめんしょんぽけっと〜!」
 明るい調子で歌うように声をあげ、ユーベルコードを起動する。眺めていた村人達は、なんだいこの白い風呂敷は。そいつで髪をくくって料理の手伝いでもしてくれるのかい、と首を傾ぐが優桜はにこー、と花咲くように明るく元気な笑顔でポケットの中に手を突っ込む。
「じゃじゃ〜ん!」
 そこから取り出されたのは……おお、見よ!あれなるは天下自在符!それはすなわち幕府によって保証された身分の証明である!それと、ちょこれえとだ。
 村人達は自在符に刻まれた徳川の家紋に畏れるが、優桜の朗らかな笑顔におされてすぐに態度を軟化させる。特に、彼女の持ち込んだちょこれえとは驚きと喜びをもって受け入れられた。
「それで!ちょっとみんなに聞きたいことがあるんです!」
 優桜はちょこれえとのお礼に、とおすそ分けしてもらったおはぎを頬張りながら村人たちに声をかける。そこへカプラと浄雲が合流。人々に聞き取り調査を行う流れとなったのである。

 村人たちとの対話の中心になったのはカプラだった。その堂々たる威容を村人たちは皆畏れ敬う様子だったのである。中には本物の大仏かと勘違いし、カプラに向かって手を合わせ念仏を唱える者まで出る始末であった。しかし、仏扱いされることはカプラはもう慣れっこだ。つとめて冷静に、彼は話を進める。
「実は私ども、この辺りの寺を回っている僧なのです」
 優桜と浄雲は旅の道連れである、と説明する。村人たちは優桜の振る舞いにより非常に好意的になっており、猟兵たちを不審がる者はいなかった。その上自在符に生き仏、もといロボ仏である。友好的な雰囲気だ。カプラは敵の斥候や工作員が村に潜んでいるのではないかと警戒していたが、心配はなさそうだった。戻ってきた浄雲の遣いの小狐も、近くに危険はないことを教える。そして、カプラは本題を切り出した。
「こちらから山に登ったところに、修行に良い山寺があるとききました」
「ああ、あの山奥のお堂のことだね」
「近道を書いた地図があるでよ。与助ぇ、ちともってきぃ」
「あいよぉ」
「どうも、たいへん助かります。親切はよい行いですね」
 ……拍子抜けするほど話はトントン拍子に進んだ。猟兵たちは村人たちの厚意により、スムーズに必要な情報を入手する。もともと、善良な人々なのだろう。おすそ分けにもらったおはぎをぱくりと食べながら、浄雲は一言、あまい、と呟いた。更に、遣いの狐が浄雲のおはぎをひとくちぺろり。きゅうと鳴く。そのおすそ分けを一口もらった優桜はそんな様子に、おいしーですね!と笑いかけ、束の間の休息で英気を養う。一方カプラは山寺への地図と、山寺自体の見取り図まで手に入れていた。突発的に開催されたカプラのいい行いを推奨する説法会が終わると、猟兵たちは情報を整理し、山寺へ向けて出発する。
 この善き人々の暮らす村に、血の河など流させない。決意を新たに強く胸に宿しながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

メルト・プティング
なるほど、状況はだいたいわかりました
ボクは当然【麓の村で情報を集める】ことで状況を有利に運びますよ!
なにせボクは実際カワイイ!そう!とても!カワイイですからね!

データベースで調べたところJK的かわいさが直撃するのはオトナの男性、そういった方々に絞って情報を集めましょう
そして完璧な計算に基づいたアピールポーズで情報を集めるのです!
こう、スカートを翻しつつ、上目遣いで!(ゴーグルかけてるけど!)
それでも足りないなら、ボクの胸部にあたる部分に体積を少し集めてこう、胸囲を少し増せばボクのカワイイ力が増してきっと情報を得られるはずです!

あ、情報入手できたら他の猟兵さんにお伝えしますよ
連携は実際大事です!


小野・通
私は得意分野ってことで、麓の村で情報を収集しようかしらねぇ
(誘惑とコミュ力)
(いそいそと旅の女性の格好になり)

もし、そこの方。こちらにお住まいでして?
私、あちらの山寺が霊験あらたかと聞きまして、お参りにいこうと思いますのよ
抜け道とかご存じ無いかしら?

……あら、奥様
旦那様とお話ししてるからってあんまり怖い顔しないで下さいましね
何かのご縁ですもの、外つ国の紅と白粉、それとお肌をスベスベにする軟膏ですわ。お受け取りになって下さいまし
(UDCアースで調達した化粧品と、ニ○アの大きな缶を差し出し)

奥様も、あちらの山寺のこと、何かご存じでして?
ご住職様だとか、お坊様だとかどんな方がいらっしゃるのかしら



「では、よろしいですね、小野さん」
「ええ、結構よ」
 一方その頃、2人の猟兵もまた行動を開始する。かたやブラックタールのメルト・プディング(f00394)。かたや妖狐の小野・通(f10508)である。メルトはJKであった。正確に言えば「JK」という概念のもつ“カワイイ”に強烈に影響を受けた実際カワイイ生き物であった。一方、通——もといお通さんはよい年嵩の妖狐である。御歳58を数え還暦も近いが、そこは流石に妖狐である。外見年齢はせいぜい三十路。女盛りの年頃である。(普段はカルチャーセンターで趣味の絵画や三味線を習う有閑生活を楽しんでいるおばあちゃんであるが、ここでは目を瞑りどうか外見年齢相応の美女として捉えてほしい)
 すなわち、ここに立つ2人の女子……?女子だ。女子である。女子は『男性を籠絡すること』を最大の得手としていた。可憐で元気なJKの魅力と、落ち着いた雰囲気で包容力のある老……もとい大人の魅力。例えるならば秒間100万発の高速必殺拳と100万t相当の破壊力をもつ必殺拳のダブルパンチである。並の男性であれば2秒でノックアウトだ。2人は情報を持ちうるであろう村の長の家にターゲットを定めていた。
 村長は壮年の男性であった。年末年始の祝いの準備のためか、村長の家の庭先には杵や臼が置かれ、手入れされている最中だ。2人が訪れたタイミングはちょうど休憩に入ったところだったのか、彼は縁側に腰掛け先に来ていた猟兵たちが村人と親交を深めている様子を穏やかに眺めている。
「ごきげんよう。こちら、よろしいかしら?」
 顔を覗かせたお通さんが、天下自在符をちらと見せながら笑顔で声をかける。その後ろから顔を出したメルトのバストは豊満であった。ブラックタール特有のバウンドボディの力である。彼女の身体は伸縮自在なのだ。これすっげええろいな。話を戻そう。そのようにしてバフをかけた状態のカワイイは非常に強烈である。メルトのカワイイは実際男性にとっては抗えない本能を叩きのめすパワをもっているのだ。2人が現れた時点で、勝負は既に決しているといえた。お前が男なのが悪い。
「それでですね、ボクたち、あのひとたちとおなじで山奥のお寺にお参りにいくんですよ!」
「ええ、そうなのよ。抜け道とか、ご存じないかしら?」
「ああ、それなら……」
 村長は洗いざらい話した。実はあの寺は戦乱の時代に建てられたものであり、いざという時砦にもなるように作られているのだという。とはいえ、猟兵やオブリビオンの関わらない人間同士の戦いのレベルの建築だ。猟兵たちの力をもってすれば壁や門を打ち壊して突入することは難しくない。が、それより重要なのは隠し通路の存在であった。山寺の近くには洞窟があり、実はそこから寺の庭先に繋がる抜け道が存在するのである。奇襲を仕掛けるにも有益な情報といえた。
「あなた」
「ヒッ」
 話の最中に背後から声をかけた年嵩の女は、村長の奥方であった。美少女と美女に挟まれてゴキゲンだった旦那を見下ろしながら、静かに威圧している。カカア天下であった。
「あら奥様。ごめんなさいね、旦那様をお借りしてしまって……」
 ここに対応するのはお通さんである。さすが女としての経験が長い女は違う。UDCアースで事前に調達していた化粧品やハンドクリームなどを奥方に渡す。怪訝な顔をする奥方だったがお通さんが実際に使い方を教えるとこれには奥方もニッコリ。旦那様もべた褒めだ。すっかり機嫌をなおした奥方はなんでも喋るようになる。カワイイメルトちゃんだったがこの手腕には驚かされた。勉強になります、と頷きながら情報収集を進めていく。
 山寺は普段は管理人の住職がいるのだが、本人は今年末年始の行事でこの村に訪れているのだという。準備もあって早めに来ていたため、寺は今は無人のはずだ。オブリビオンたちを覗けば。よかった、犠牲者はいないんですね、と2人はほっとする。ならば存分に暴れて大丈夫だろう。
 情報収集を終えた2人は村長夫妻に行儀よく挨拶し、他の猟兵たちとの合流に向かう。戦いの準備はできてきた。血栓の火蓋が落とされるのは、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

デブラ・ヘックシュバイン
POW

ほほう、山に文字通り悪い奴らがねェ。
承ったっす!

とは言え、細かい技能を持ち合わせている訳もなし…
ロープワークや追跡技術で真っ向勝負っす!
幸い、既に搦め手から攻めてる仲間もいるみたいっすからね。
その人たちから敵の目をそらす陽動も兼ねて、
あえて道なき道を目立ちながらガンガン進むっす!

そうして自分の体を痛めつけりゃあ、ボーイズの出番っすよお…
おっしゃあ手前ら! 戦争の時間だァ!!

ニンジャめいたアドリブ大歓迎



その頃である。
 デブラ・ヘックシュバイン(f03111)はそのパワを活かして全力で山寺へと突き進んでいた。コメディ映画めいた動作でドッタンバッタン大騒ぎしながら、月光の下を岩にぶつかり木をへし折りながら突き進む。
「山の上に悪いやつら……!やっつけろってことですよねぇ!承ったッスよぉ!」
 デブラは細かい作業や諜報活動などは不得手としている。不器用なのだ。ある意味ではまっすぐであるとも言えるだろう。だが、今回の行軍はただ無意味に派手にやらかしているわけではない。むしろ、これが仕事だとも言える。すなわち、味方を支援するための陽動である。既に現場の近くて待機している猟兵たちや、息を潜めながら同じく敵地へと向かう仲間たちがいる。デブラがこうしている間に、敵は注目するだろう。
「いくぜ、兄弟(ボーイズ)!」
 そして、彼女は鉄の臭いのするドッグタグの束を握りしめる。ここまで来るのにわざわざ自傷めいた無軌道な行動を続けていたのは意味があるのだ。【Dummy Danny Boys】。ユーベルコードの起動条件として!そうして、彼女を置いて先に逝きやがったバカヤロウどもの影法師が闇に紛れてゆっくりと浮かぶ。彼女“たち”は騒々しく月明かりの下を駆け抜け——そしてとうとう、目的の場所へと達した!

「おッらァァ!!!」

 山寺の門を、打ち破る!デブラをトップに据えた一個小隊のエントリーだ!
「何奴!?」
「スモトリだと!?」
「ドーモ!デブです!!手前ら、戦争の時間だァ!」
 形ばかりのアイサツもそこそこに討ち入ったデブラたち部隊は電撃作戦を展開!戦闘開始だ。年末年始の時期も関係なく修練を続けていた和累八ッ衆のニンジャたちは突然の襲撃にどよめくが、すぐにイクサの構えを取り応戦を開始する!そして、更にそこへ近づくいくつもの気配……デブラの部隊の突入を好機として、他の猟兵たちも動き出したのである!
 これより、血で血を洗う戦いが始まる。激戦になることは間違いないだろう。だが猟兵たちよ、恐れず突き進め!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


青白く不気味に輝く髑髏めいた月の下——今ここに、血戦の火蓋が切って落とされた。かたや、山寺に巣食った悪鬼。弱さは罪と蔑み、力ある者が正義であると叫ぶ者たち。すなわち、今一度泰平の世に戦乱を望みオブリビオン・和累八ッ衆(わるいやつしゅう)。対するは、人々の平和を守るため、それぞれの想いと理由を胸に戦う者たち。すなわち、数多の世界より集いし猟兵。
 デブラの突入を起点に、猟兵たちは戦場へと身を投じていく。だが、突然の襲撃にも和累八ッ衆のニンジャたちは怯まず応戦の構えをとっている。
「ほォ……我々を相手に討ち入る連中がいるとはな」
 ……奥に控えているのは、和累八ッ衆を束ねるオブリビオン、和累・八梅蔵(わるい・やばいぞう)である。だが奴は動こうとしていない。見定めようとしているのだ。猟兵たちが、自分と闘うだけの“価値”——すなわち強さをもっているかを。
「和累八ッ衆(わるいやつしゅう)よ!お前たちの修練の成果をここで見せるのだ!此奴らを1人残らず血祭りにあげよ!」
「拝累(ハイル)!」
「拝累!」
「拝累!」
「拝累!」
 和累八ッ衆の忍者達は一斉敬礼の姿勢をとり、そして統率のとれた動きで戦闘行動を開始する。
 戦いは既に始まっている。猟兵たちよ、得物を抜き、ユーベルコードを構えるのだ!
虎熊・月霞
 もう始まってるし……今から登場してもそこまで目立たないから、普通に出てってもいいよね?……うん、知ってた。
 メンドクサイ事は先に片付ける性分だからね、さっさと行ってサクッと終らしちゃおう。

 数も多いし【2回攻撃】で複数を斬りつけて行けば早めに終わるかな?まぁ僕はこれでも【怪力】だし威力は十分だと思うんだよね。いざとなったら紫電の【属性攻撃】とかもできるし。防御方面は【残像】使って攪乱したり【武器受け】で受け止めたりも出来るしね!

 どーも一人動いてないのがいるし、アレが和累八ッ衆の頭目か何かかな。こいつら片付けた後に出てくる気みたいだね。ニンジャだし奇襲とかに気をつけておこ。流石ニンジャ汚い。


ナイア・アルハズラット
ちょーっと当初の予定とは違ったけど!!
まぁ、結果オーライとしておきましょう。
先ほどの失態は、戦果で取り戻すわ。

ここから先は小細工抜きの力と技の応酬よ。
相棒の魔槍を使った《盗賊の瞬撃》そして《猟犬は標的を逃さない》を組み合わせた高速戦闘よ。
相手も大分素早そうだけど、速さなら私だって負けてないわ?
間合いに入れば《盗賊の瞬撃》での攻撃し。
距離と取ろうとするなら【槍投げ】からの《猟犬は標的を逃さない》で転移して近接戦に持ち込むわ。
可愛いだけじゃないって所、魅せてあげる。


桑原・こがね
意外と動じないのね。相当な自信があるみたいだけど、修行をしてきたのはこちらも同じ、負けないわ!

見得を切りたいわね。
「力を正義と頼むなら、力で負ければ本望か。ここに剣あり、こがねあり。修行の成果を示すがいい。その技全て切り捨てて、退治てくれようオブリビオン!」
ここで剣を掲げて雷鳴らすと決まると思うのよあたし。こう、演出?ってやつ?

戦闘はもちろんしっかりやるわ!忍法瞬断、恐ろしい技ね……。でも、あたしが見たところ弱点があるわ!剣撃そのものは鋭いけど、予備動作が大きいから読めなくはないし、距離を取って戦えば届かないしね!

行くわよ!あたしを見ろォ!



「連中、攻め込まれてるっていうのに意外と動じないのね……相当な自信があるみたいだけど」
 桑原・こがね(f03679)は戦場を見下ろして状況を確認する。一番手役はとられてしまったが、まだまだ活躍の出番はじゅうぶん残っている。そう、彼女だって実際修行は積んできているのである。負けはしない!
「さぁ、行くわよ月霞!」
「ええ……一番手じゃなくなったし、今から出て行ってもそんなに目立たないよ?普通に出て行っても……」
「いいから!行くわよ!」
「ええー……」
 そしてこがねに引っ張られるように戦場へと飛び込んで行くのは虎熊・月霞(f00285)である。
「まあ、メンドクサイ事は先に片付ける性分だからね……さっさと行ってサクッと終わらしちゃおう」
「そうそう!その意気よ!」
 こうして、剣豪娘たちが参戦する!

「どこの何者かも知らぬが……我々和累八ッ衆(わるいやつしゅう)にイクサを挑むとは!」
 ニンジャたちが忍者刀を構える。研鑽の末にユーベルコードの域まで達した剣の技を披露しようというのだ!
「フフフ。先程はちょーっと当初の予定とは違ったけど……」
 次いで戦場へ降り立ったナイア・アルハズラット(f04959)は先ほどの誘惑作戦が惜しくも失敗したことについて苦々しく思っていた。
 しかし、本番はここからだ。ナイアは 魔槍をその手の中に喚び出し、その感触を確かめる。ここより先は小細工なしの力と技の応酬だ。
「先ほどの失態は、戦果で取り戻すわ!」
「戦果だと!」
「我々に勝てるつもりでいるのか!」
 ユーベルコードを起動し、風を纏うニンジャたちが凄む。だが、ナイアは平然と立ち向かい、鼻で笑った。
「わるいやつでもニンジャでも負けないわよ。だって私、魔女ですもの?」
 瞳に刻まれた魔術式ーーミレナリィ・アイズが妖しく輝き、風の流れを“視て”取る。敵の動きは彼女の目をもってすれば決して追いきれぬものではない。とん、と地を蹴り駆け出して急加速。
「可愛いだけじゃないってところ、“魅せ”てあげる!」
「戯言を!」
 和累八ッ衆のニンジャが飛び出し、刃を振りかざす。がき、んッ!固いもの同士が激しくぶつかり合う音。忍者刀とナイアの魔槍が激突したのだ。
「なにッ!?」
「面妖な!」
「言ったでしょう?魔女だって!」
 面食らったのは和累八ッ衆である。女……しかも伝説に残る女傑や南蛮にいるといわれる屈強な女部族のようなものではなく、麗しき美貌の乙女が!研鑽を重ねたはずの一閃を弾いたのである!
 一合!続けざまにもう一合!馬鹿な。驚愕に目を見開くニンジャたちが声を漏らす。
「これで1人ッ!」
 その隙を突いて魔槍がニンジャを貫く!
「グアーッ!ヤラレター!」
 ニンジャはその身に内包したオブリビオンとしての力を制御不能になり爆発四散!爆炎を背にナイアは美しく髪をなびかせ、振り返りながら迫り来る次のニンジャを迎撃する!月明かりの下に赤い軌跡を残しながらニンジャたちと斬り結ぶその姿は、見る者たちを魅了する、まるで高速の舞踏であった。

「派手にやってくれちゃって!」
「数を減らしてくれるなら、こっちの仕事も楽になるよぉ」
「だめだめ、負けていられないわ!こっちもちゃんと名乗りをあげないと!」
 一方、こがねと月霞もまた和累八ッ衆との戦いを始めていた。ナイアへ向かうニンジャたちとは別のグループへと突撃を敢行!そして、剣戟が始まる!
「き、貴様ら……!この力、一体何者なのだ!!」
「待ってたわ、その台詞!!」
 突撃の勢いのままぶつかった忍者刀との鍔迫り合いを制し、だん、ッ!震脚!石畳の床へと強く足の裏を叩きつけ、こがねは自身の存在を高らかに主張する!そうだ!あたしを見ろォ!
「力を正義と頼むなら、力で負ければ本望か。ここに剣あり、こがねあり!」
「な、なんだと……!」
「こ、このイクサの真っ只中で、“見得”だと!?」
 驚き戸惑う和累八ッ衆!だが、そうでない者もいる。歌舞伎かぶれめ、と毒づきながら数名のニンジャがこがねを切り捨てようと……するも、遮られる!童子切の重い一撃!月霞の援護だ!
「やらせたげなよぉ」
「修行の成果を示すがいい。その技全て切り捨てて……退治てくれようオブリビオン!」
 こがねの掲げた剣が銀に輝く稲妻をまとう。決まった!あまりにも堂に入った見事な見得である。和累八ッ衆は困惑しながらも、戦場の視線はこがねに釘付けだ。
「こうなってると楽だねぇ」
 その隙に月霞はニンジャ達に切り掛かり、バシバシと叩き斬っていく。合理的だ。紫電閃刃!斬り伏せられたニンジャがまたしても爆発四散する。
「む……なかなかやるわね」
 一方ナイアは、自分とはまた違った魅力と存在感をもつこがねの姿にほんの少し対抗心をおぼえていた。話を戻そう。注目を集めた事でちょっと満たされた気持ちのこがねは戦闘を再開。ニンジャたちの剣技を見切り、その弱点を理解する。
「おそろしい威力と切れ味の技ね……!でも、予備動作がわかりやすいわ!間合いも狭い!」
「なに……こ、これだけの交錯で我々の剣技の弱点を!?」
 困惑するニンジャの隙をついて一閃!
「ヤラレター!!」
 爆発!また1人敵が減った。

「ほほォ……」
 ……和累・八梅蔵は、部下達が倒れて行く様子ですら愉快そうに眺めている。月霞はそれを横目でちらと見ながら警戒を強めていた。恐らく、部下が片付けられたら出てくるつもりなのだろうが……ニンジャを束ねる頭目である。きたない手段を使ってくるかもしれない。
 だが、それも今の状況を切り抜けてからだ。童子切の柄を握る手に力を入れなおし、彼女は次の敵へと向かう。
 ……戦いは、まだ続く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

音羽・浄雲
「血祭りにあがるのはそちらでしょう」
言葉に抑えきれない怒気を滲ませ妖魔忍者を睨みつけ印を結ぶ。
力にしか価値を見いだせない者たちはいつもこうだ、他者を蔑み、踏み躙り、奪い、蹂躙する……そんな気持ちに満たされ、心の底から湧き上がる怒りを炎に変える。

「この炎は我が身を焦がす怨みの劫火…弱きを挫く悪鬼共に地獄をなさん――音羽忍法【鬼火】!」
浄雲から怨念が型成す青白い炎が放たれる。
それはまるで意思を持っているかのように、浄雲の敵だけを燃やし尽くさんと踊り狂う。


不破・玄
皆結構テンション高い。感心です。

八梅蔵は様子見ではあるが油断は禁物。
私は隠れているその優位を捨てないで一撃を加えたい。
正面以外の場所から侵入し攻撃を仕掛けます。
其れまでは【迷彩】【忍び足】を用います。
先ず敵死角より【サイキックブラスト】を食らわします。
敵が複数密集しているなら遠距離よりサイコキャノンで射撃攻撃や【サイキックブラスト】で射撃しながら【範囲攻撃】で攻撃。複数に接近されたら薙刀で【範囲攻撃】【なぎ払い】対応。
孤立している敵なら薙刀で接近戦。敵の攻撃を【武器受け】で対応しつつ【目潰し】【二回攻撃】で慎重に対応したいところです。

修練によって得た技術みせてろ。
お前達の組織は今日で終わりだ!



「皆結構テンション高い。感心です」
 戦況を見下ろしながら不破・玄(f02910)はサイコキャノンを構える。先行したメンバーは良くも悪くもえらい目立つ。特にこがねの見得は見事なものであった。お陰で奇襲の準備をしているこちらはやりやすい。
 だが、懸念事項は頭目である和累・八梅蔵だ。油断は禁物。玄は油断なく敵の動向を伺う。

「拝累(ハイル)!」
「拝累・和累!」
「我々和累八ッ衆(わるいやつしゅう)の力でこの世に新たな秩序を敷くのだ!」
「拝累!」
「拝累!」
 和累八ッ衆のニンジャたちは声をあげ、自らを鼓舞する。右腕を高く掲げる敬礼の姿勢をとり、士気を高めようというのだ。
「力にしか価値をみいだせないたちが……」
 そこへ向き合うのは、音羽・浄雲(f02651)である。力のみに頼り、力が支配する世界……それは、力なき人々が蔑まれ、奪われ、蹂躙される……それを許すことはできない。
 浄雲は心の底から湧き上がる怒りに“文字通り”身を焦がす。
「わたくしたちを血祭りにあげる、と言いましたね……!いいえ、違います。血祭りにあがるのは、そちらの方でしょう!」
 青白く、炎が燃える。ユーベルコードの発現だ!音羽忍法・鬼火である!
「舞え!我が身を焦がす怨嗟の劫火よ!」
「何を馬鹿なことを!」
「我ら和累八ッ衆の炎で飲み尽くしてくれる!!」
「火だるまになるがいい!!イヤーッ!!」
 だが、敵のニンジャたちも対抗して印を結ぶ!それも1人や2人ではない……10人ものニンジャ達が一斉に発現させたユーベルコードは、おびただしい数の火球が合わさり膨大な熱量と化す!浄雲の鬼火とぶつかり拮抗!2つの鬼火がせめぎ合う!しかし、数は力か、ニンジャ達の鬼火の集合体はじわじわと押し込んでいく!危ない!
 そして爆轟!!凄まじい音があたりに響き渡り、炎に包まれた……ニンジャ達の断末魔!!
「グアアアアアアーーーーーッッッッッ!!!!」
「ヤヤヤヤララララレレレレタタタタターーーーー!!!!」
「……そんなに固まってちゃ、いい的です」
 玄である!敵の陣形の横っ腹、注意の向いていなかった死角からに放たれたサイキックブラストが奇襲めいた一撃として叩き込まれ。ニンジャたちをまとめて吹き飛ばしたのだ!
「おのれ!死角からの襲撃とはなんと卑劣な!」
「捨以世(シャイセ)!!」
(※捨以世とは、那智衆などで一部の者たちが使う戦国スラングの一種である。『世は捨てられるべし』。現世を呪う敗者の言葉であり、『ちくしょう』『くそったれ』と同様の意味で用いられる)
「ハッ。そのご大層な技術とかいうのを気がすむまで見せてろ。お前達の組織も、くだらない野望も!今日で全部終わりだ!」
 玄は強烈な闘志を燃やしながらユーベルコードを起動。敵意を向けるニンジャたちへサイキックブラストを叩き込み、薙刀を振り回して敵を叩き伏せながら戦場を駆ける!
「グアーッ!」
「ヤラレター!」
 玄の薙刀で倒されたニンジャたちが爆発!だが、その爆風の中からまたしてもニンジャが飛び出し玄に襲いかかる!
「イィーヤッ!」
「いいえ、許しません!」
「グアーッ!?」
 そして、そのニンジャもまた青白い鬼火に包まれ篝火めいて燃え上がった!浄雲の援護だ!猟兵の戦いは助け合い。玄と浄雲は目配せしあい、即興で連携しながら敵を駆逐していく。
 浄雲の鬼火が敵を牽制すれば玄がそこへ飛び込んで薙刀でとどめを刺す。玄を包囲する敵がいれば浄雲が即座に引き受け背中を守った。

 敵はじわじわと数を減らし、戦いは少しずつ佳境へと近づいてゆく。だが、首魁たる和累・八梅蔵は未だ動く気配はなかった——

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メルト・プティング
ふむふむ、隠し通路があるのですね。
ならばそれを使って奇襲を仕掛けましょう!
調べたところニンジャと戦う時はアイサツが必要らしいですが、アイサツ前に一撃アンブッシュはセーフらしいので何も問題はありませんね!

気配を殺して大勢に攻撃を仕掛けられる位置にこっそり移動して、ニンジャ達に【エレクトリカルパレード】です!
数には数をぶつけちゃいますよ!
というかですね、ニンジャの皆さん地味でカワイサが足りてないんですよ!
なのでキラキラでカワイイ満載のこの攻撃はボクの計算(?)によれば実際有効なのです!

あ、攻撃したらきちんとアイサツしないとですね?
ドーモ、和累八ッ衆の皆さん!カワイイ・メルトです!!


睦川・優桜
能力値【POW】、ユーベルコード【羅刹旋風】で勝負です!

「武術の腕の上達に喜びを得るだけならば、共感もできるのですが……」
「綺麗事だとしても、修練を重ねた武とは誰かを守るためにあるのだと私は信じます!」

なぎなたを振り回して【力を溜め】つつ、妖魔忍者たちの間合いへと入り込みます!
敵の忍者刀による攻撃は(判定ではなく演出的に使用する)無敵城塞で防御し、
羅刹由来の身体能力に日頃の鍛錬の成果をプラスした【怪力】でなぎなたを振り回し、
攻撃のために自分のごく近くに集まった忍者を【なぎ払い】ます!
「肉を切らせて骨を断つ!これぞ羅刹流クロスカウンターです!」


聖護院・カプラ
【WIZ】
和累八ッ衆...戦乱を世に望むと。
ならば猟兵はルール無視のオブビリオンに愛の掟で戦う戦士。
皆さん、彼らの目を覚ましてさしあげましょう!

忍法鬼火は強力なユーベルコードですが、扱いを間違えば己の身を焼きかねない諸刃の剣。
心頭滅却すれば火もまた涼しと言いますが、その領域まで貴方達は修行を行えていたでしょうか。

忍法が発生した瞬間、『存在感』から差した後光による『円相光』で動きを止め、火の熱さに和累八ッ衆が耐えられるか見ます。



「武術の腕の上達に喜びを得るだけならば、共感もできるのですが……」
「ええ。彼らはそうではありません。道を違え、戦乱の世を望むという者たち……。我らはそれに屈するわけにはまいりません」
「はい。その通りです!綺麗事だとしても、修練を重ねた武とは誰かを守るためにあるのだと私は信じます!」
「よい心がけです。ならば我々猟兵は、ルール無用のオブリビオンに愛の掟で戦う戦士!皆さん我々の手で彼らの目を覚まして差し上げましょう!」
 打ち壊された寺の門から突入したのは、睦川・優桜(f00071)と聖護院・カプラ(f00436)である。
「戯れ言を!」
「お前たちもすぐに我々和累八ッ衆(わるいやつしゅう)の力の前に屈することになるのだ!イヤーッ!!」
 和累八ッ衆のニンジャたちは一斉に2人の猟兵へと狙いを定め襲いかかる!だが、それに対して優桜は既にユーベルコードを起動していた。ぶぉん、と風を切る音。羅刹紋が輝き、薙刀を振りかざす。羅刹旋風である!
「アーイ!」
「とあっ!」
「アーイ!」
「ていっ!」
「イィーヤッ!!」
 がきんッ!剣戟の音と裂帛の気合が戦場に響き渡り、打ち合う刃を通して闘志がぶつかり合う!ここでユーベルコードの効果を活用!力まかせになぎ払う!
「肉を切らせて骨を断つ!これぞ羅刹流クロスカウンターです!」
 弾き飛ばす!しかし、次のニンジャたちが続けざまに押し寄せる。1対多ではやはり不利だ。ここでカプラが援護に入る!
「皆さん」
 後光が差す!カプラの存在感は数値にして150を超えている。これはすなわち、あらゆる猟兵の中でトップクラスであり、それはすなわちあらゆる世界においてもっとも圧倒的な存在感を醸し出しているということである。それはもはや伝説上の生物やUDCの領域だ。当然、声をかけただけで大抵の知性体は彼を無視することができない!
「そこだー!!」
「捨以世(シャイセ)!」
「グアーッ!ヤラレター!」
 敵ニンジャたちの視線がカプラへ集まった隙に優桜の薙刀が敵を打ち払う!断末魔とともに敵は石畳の地面の上を転がり爆発!
「拝累(ハイル)!」
 だが、ここまでの戦いを経ても和累八ッ衆(わるいやつしゅう)たちの戦意は落ちることはない。それは彼らの戦いへの執念とこれまでの研鑽による実力への自負があってのことだ。当初に比べて大きく数を減らしながらも、鬨の声をあげてニンジャたちは襲い来る!だが、その時である!
「夢見る世界へ〜……ご招待っ!」
 突如として戦場一帯を埋め尽くさんばかりに現れたのはこの戦場に似つかわしくもない、ぴよぴよぷうぷうと鳴くファンシー・カワイイ・キャラクターの群である!それらは一様にぴかぴかきらきらと光るLED電飾めいた照明を内蔵しており、山寺をテーマパークもかくやというほどエレクトリカルに照らし出している!
「エレクトリカル・パレードですよ!」
 ライトアップされた山寺の屋根上にカワイイを高めて仁王立ちしているのは、カワイイブラックタールJK、メルト・プディング(f00394)である!このパレードは彼女のユーベルコードによるアンブッシュ(奇襲)だ!
 メルトは事前調査によってこの山寺へ密かに通じている抜け道があることを知り、そこから密かに潜伏していたのだ。
「ニンジャの皆さんは地味でカワイイが足りてないんですよ!なのでキラキラカワイイ満載のこの攻撃はボクの計算によれば実際有効なのです!」
 彼女の確認したデータベースによれば、ニンジャとの戦いの際には事前にアイサツを必要としているが、アイサツ前のアンブッシュは合法である。奇襲の一発で斃れてしまう程度の実力ならば、礼を尽くすだけの価値もないのだ。話を戻そう。ぴかぴかと輝きながら戦場を駆け巡るエレクトリカルパレードは残存するニンジャたちに襲いかかる。ファンシーカラテが炸裂!
「ハハッ」
「グアーッ!!」
 甲高い声で笑うキャラクターのエレクトリカル・パンチが容赦なくニンジャを叩く!爆発するニンジャ!応戦する忍法鬼火でパレードのキャラクターが爆ぜ飛び光が消える!
「よそ見ばかりしているのはだめですよ!」
 ここで再び優桜の薙刀が唸る!
「グアーッ!」
 ここにきて、猟兵たちの活躍により大半のオブリビオンは消滅していた。メルトの呼び出したキャラクターたちもニンジャの応戦によって殆どが消滅している。
「ドーモ、和累八ッ衆のニンジャの皆さん!カワイイ(重要)メルトです!」
 パレードを終えたメルトは満足げに戦場へ降り立ち、礼儀正しくアイサツをした。
「ド、ドーモ……メルト・サン……」
「ドーモ……」
 応えるニンジャはもう数えるほどしかいない。だが、それでもまだ戦意が残っているのだ。最後に残った和累八ッ衆(わるいやつしゅう)のニンジャたちは、最後の力を結集し、印を結んで鬼火を喚ぶ!
 それはここまでの戦いの中で最も大きな炎となって燃え上がり、戦場を照らし出した!
「なるほど。凄まじい熱量です。……その鬼火はたしかに強力でしょう。しかし、それは一歩扱いを誤れば己の身をも焼きかねない諸刃の剣」
 そこに進み出たのはカプラである。ユーベルコード・円相光の発露だ。眩く輝く後光が凄まじい存在感を伴って戦場を照らし出し、ニンジャたちの動きを止める。
「心頭滅却すれば火もまた涼し——サムライエンパイアのコトワザですね。ですが、あなたがたはその領域まで至っていたでしょうか」
「アイエッ!?」
「ナンダト!?」
 ニンジャたちの集中が途切れる。カプラの存在感に気圧され、鬼火の術式を制御できなくなってきているのだ。そして、コントロールを失ったその極大の炎は——ニンジャたちの上へと、落ちる!
「グアアアアーーー!!」
「改めなさい」
 爆轟!自らの生み出した炎塊によって最後のニンジャたちが爆発四散し、そこには静寂が訪れる。
 そして——

「見事。実に見事であった!」
 喝采。
 和累八ッ衆(わるいやつしゅう)首魁、和累・八梅蔵(わるい・やばいぞう)が、とうとう腰をあげる。
「実に良い。実に素晴らしい!わしの育てた和累八ッ衆をこうも簡単に倒すとは……なんと素晴らしい実力!どうだ、わしと共に天下を取りに行かぬか?」
 ずし、と重く響く足音——カプラはそれに相対し、優桜とメルトもまた身構える。そしてオブリビオンはにやと笑い——
 髑髏めいた不気味に青白い月の下。決戦が、始まる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『仮面の武僧』

POW   :    末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


和累・八梅蔵は、力こそが全てであると主張し、戦国の時代に名を馳せ、そして滅びた大名である。八梅蔵は『選ばれた者こそが天下を取る』という主張によって勢力を伸ばした、那智衆(なちしゅう)傘下の大名でもあった。
 どん、ッ!手にした錫杖で石畳の床を衝く。衝撃により、山寺が揺れ——門前に据え付けられていた垂れ幕が降りる。そこには那智衆の一門であることを示す、“赤い布地に描かれた卍の紋”が描かれていた!(※ここに刻まれているのは斜めにも逆にもなっていない正しい卍であり、那智衆が武僧たちの集団から発展したことを示す意味合いで描かれています。ごあんしんください)

「さあ、我々を否定するというのであれば!このわしを倒し、お前たちの力を証明するがいい!!」
 空気を震わす雷鳴のごとき咆哮。八梅蔵は挑戦的に吼え、猟兵たちを睥睨する!
 さあ、ユーベルコードを起動せよ。この男を倒し、その野心を再び骸の海へと還すのだ!
聖護院・カプラ
【POW】
経を唱える事で自身を強化する...ですが止める訳にはいきません。
彼自身の教えに耳を傾けてこそ、反対を論ずる事ができるのです。
彼の攻撃を受けたら只では済まないでしょうが、『無敵城塞』の用意もあります。

我が身を差し出すという訳ではありません。
ここはオーガニック寺院...さすれば、奥にある物がある筈です。
それを用いれば彼の信ずる物を...!

兎に角にも、私は寺院の奥に吹き飛ばされるよう計算して攻撃を受けにいきます。
後をお願いします。


ナイア・アルハズラット
とうとう重い腰を上げたみたいね、親玉さん?
なーんだか、私には及ばないけど?目立つ子もいるみたいだし??
別に悔しくなんてないんだけれど……魅力で負けるのは我慢ならないし……ここは一番槍は私がもらうわ!!
一気に攻めるわ、相手の懐に飛び込んでの『猟犬は標的を逃がさない』の連撃でガンガン行くわよ!!
あんたの主義主張なんてどーでもいいのよ!大人しく私に退治されなさいな!

(哀れ、勝負を急いだナイアは得意なスピードで翻弄するのではなく、強引なパワー勝負に持ち込み、こう、なんか、いい感じBOSSさんの強さアッピルに使って頂けたらなと。ついでにフッ飛ばされたいなと。)



「ハアア……南無天載仁王金剛豪腕最強剛力超絶無敵……!」
 空気を震わす銅羅の音めいた凄まじい読経だ!これは八梅蔵のユーベルコード、末世読経である!響き渡る轟音に、山が震える!
「金剛……。やはり、彼の信ずるものは力、ということなのですね」
 聖護院・カプラ(f00436)は読み上げられる八梅蔵の経文を聴きながら、様子を伺っていた。……手をこまねいていたのではない。カプラはここに至っても正しい道を進むことをよしとしている。すなわち、敵を否定するために、敵の主張を、和累八ッ衆の首魁たる八梅蔵の信ずるものがいかなるものか見定めるためにその読経を敢えて聴いているのだ。
 だが、彼とは対照的に焦りを見せる猟兵もいた。ナイア・アルハズラット(f04959)だ。
「あんたの主義主張なんて、どーでもいいのよ!大人しく私に退治されなさいな!」
 ナイアは焦れていた。初手の作戦においては誘惑して潜入するという目論見が(途中までは間違いなくうまくいっていたが惜しくも)失敗し、続く和累八ッ衆との戦いでは十分な戦果を挙げたものの、彼女と同等か互角か、それくらいにすごい目立つ猟兵が注目を集めていたこともある。これは美しく魅力に秀でた美少女渡り鳥である彼女のプライドが不満を訴える事態だ。なお、重ねて申し上げるが実際彼女は猟兵として十分以上に活躍しているし仕事をしっかりとこなしている。ただ、ただ彼女自身のプライドが納得していないのだ。決して筆者が彼女を貶めたいわけではないことをここに明言させていただく。
 話を戻そう。そのような理由によってナイアは焦っていた。いや、全然悔しくないのだ。彼女はぜんぜんくやしがっていない。いいね?しかし、ナイアは麗しく高貴な者の務めとしてもっとも危険な先鋒の仕事を自ら果たそうとしているのである!
「ほう……勇敢な女子がいたものだ。クク、しかも美しい……どうだ。わしの妾にならぬか?」
「ご冗談!あんたみたいな男、こっちから願い下げよ!」
 ナイアが魔槍を投擲!これを八梅蔵は正面から受け止める!だがここでナイアのユーベルコードが発動。猟兵は、標的を逃さない!瞬間転移によって文字通り一瞬にしてナイアは八梅蔵の懐へと潜り込み追撃!中空でくるりと回転し蹴り足を顔面に叩き込む!
「グオ……」
 揺らぐ八梅蔵。その隙にナイアは魔槍を再び手に取り攻撃を再開する。高速の連撃が八梅蔵に襲いかかる!
「フフ、このまま首まで頂くわッ!」
 だが——
「ク、ク、ク!」
「なんです、って!?」
 錫杖を、振るう!凄まじい馬力だ。豪腕一閃!末世読経の効果により強化されたオブリビオンの力はナイアのパワーを凌駕していたのである!錫杖がナイアの槍を打ちはらい、その体勢を大きく崩される!まずい、膝をついてしまった。このままではやられる!
 ……真正面からのぶつかり合いという選択肢が彼女のミスだった。流石はオブリビオンの軍団を統べる首魁といったところである。その実力は圧倒的だ。
「そ、んな……」
「とどめを刺してやろうか。それともわしに恭順を誓うか?」
「誰が……!」
「ならばその身に刻んでやろう!わしの力を!!朱天龍鞭(しゅてるべん)!!」
 振りかざした錫杖が、風を裂く音と共に振り下ろされる!それはナイアの肉体を粉砕し死に至らしめんと迫り——
「させません!」
 ここでカプラが割って入る!!超防御形態であるユーベルコード、無敵城塞を起動してのカットインだ。ナイアを押し退け、オブリビオンが力任せに叩きつける全力の一撃を受け止める!
「むう……!フフハハハハ!素晴らしい!我が秘技、朱天龍鞭を正面から受けて立っているとは!」
「はい。あなた方の正義に屈するわけにはまいりませんので」
 装甲板を軋ませながらカプラは敵に相対する。彼の信念は強固だ。人々を護り、救うということについて、彼ほど一点の曇りもなくまっすぐに貫いている猟兵は珍しい。そして、その強力な意志こそが彼を支えていた。
「ならば、どこまで耐えられるか試してやろうではないか!貴様の信念とやらがなぁ!そぉれ!」
 ガオォォン!!轟音!八梅蔵の錫杖が激しくカプラを打ち据える!二撃!三撃!四、五、六!七、八九十!!カプラは耐える。耐え抜く!
「これでどうだァ!イィィィヤアアアアアーッ!!」
 爆轟めいた衝撃!!ついにカプラは衝撃を受けきれず、その巨躯が宙を舞う!彼の意志は強大な力の前に屈してしまったというのか!?——否、そうではない。カプラはその勢いのまま寺院の内部へと飛んでいく。
 これは彼の計算通りなのだ。ただ我が身を差し出したというわけではない。そこには彼の求める何かがあるはずなのだ。和累・八梅蔵の信念に相対するための、“何か“が——だが、これで僅かな時間であるが猟兵の1名が戦線を離れることになる。少しの間頼みます、という託すような視線をナイアは感じ取っていた。
「くっ……!」
 ナイアは一時後退する。今の自分は焦りすぎていた。冷静に、冷静になるのよ。敵の力は強大——悔しいが、自分だけの力では勝てないだろう。未だ余裕をもってせせら笑う敵の首魁から視線を外さず、ナイアは悔しげに歯噛みする。
「まだ、勝負はこれからよ……!」
「フハハハハ!そうだ、もっとわしを楽しませてみろ!」
 猟兵たちはそれぞれの武器を構え、次の一手を考える……そう、勝負はまだここからだ!戦いは続く!

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

虎熊・月霞
 よーやく親玉のお出ましみたいだね。まさかホントに全員倒されてから出て来るなんて、よほど腕に自信があるご様子で……まぁこっちとしては順番に処理出来て楽でいいけどもね。
 力信仰を否定するのに力を示すって何だかよく分からない事になってるけど、難しく考えなくていいかな?シンプルに行こう。
 勝った方が正しいって事で。

 読経を始めたら注意して慌てず攻撃を避けよう。わざわざ今から攻撃するって教えてくれてるんだしね。
 狛犬は、まぁ噛まれる前に【怪力】で顎を押え込めば何とかなるかな?もしくは顎の腱を斬れば噛めなくなるし。
 阿吽の金剛力士像は八梅蔵に攻撃を通せば良さそう?隙見て速攻で斬りつけに行った方がいいね。


不破・玄
私達の力を見切ったつもりか?

貴方に御されるような力では無い。私達の真の力を見せてあげましょう。

と言う感じながら、隠れつつ奇襲を狙う、
その後は距離を保つ事を心がけ遠距離攻撃対応でサイコキャノンで攻撃。
俺に近寄る力があるか?って感じだよ。

敵に遠距離攻撃があれば薙刀【武器受け】対応し反撃。
相手の意識がこちらに向く・接近なりする状況では【巫覡載霊の舞】を用いる。
この状態では薙刀の衝撃波がメイン攻撃となり、相手の出方によっては【範囲攻撃】を併用して金剛力士共々なぎ払ってあげましょう。

必要な力とは天下を取る力では無く。天下を治める力だと。
…どんな力なのかは知りませんが…

誰か知ってます?

アドリブ大歓迎です。


桑原・こがね
あなたも天下を取りに行くの?良いわよ、あたしの子分になるなら一緒に天下を取りに行きましょう!絶対服従よ!
その条件が飲めないなら、「不倶戴天(ともにてんをいただかず)」よ。ここで引導を渡してやるわ。

読経に秘密があるみたいね。あたしの銀雷を受けても唱えている余裕があるかしら?隙を与えず連打してやるわ!

こっちから近づく隙があれば、迷わず踏み込んで斬りつけるの。一撃に力を込めて思いっきり振り下ろしてやる!

味方との連携も考えないとね。お互い邪魔にならないように気をつけるわ。



「ほほォ……次はおなごばかりか」
「本当に腕に自信があるご様子で……まあ、こちらとしては順番に処理できて楽でいいけどもね」
「部下を捨て石にして私達の力を見切ったつもりか?」
「随分と余裕そうじゃない!失礼ね、あいつ!」
 一番手の猟兵たちに入れ替わって前線に切り込んだのは虎熊・月霞(f00285)、不破・玄(f02910)、桑原・こがね(f03679)の3名だ。
「クク……わしは強い者が好きだ。お前たちのようなおなごでも、わしの下につくというなら天下取りの後に相応の地位をくれてやるぞ!」
 八梅蔵は錫杖で地面を打ち鳴らし、猟兵たちへ言葉を投げかけながらも迎撃の体勢だ!片手で錫杖を構え、もう片方の手で印を結びながら読経する。再びユーベルコードによる自己強化を試みているのである!
「貴方に御されるような力では、ない!」
 玄はここで地を蹴り方向転換。八梅蔵の側面に回り込むように移動しながらサイキックを高める。
「力への信仰を否定するのに、力を示すっていうのもなんだかよくわからないねぇ」
 月霞は童子切の鍔を鳴らして鯉口を切る。抜刀の構えのまま八梅蔵へ真正面から進む。
「いいわよ!いいじゃない、天下取り!」
 ここで大胆な発言をしてみせたのはこがねである。周囲の猟兵たちもこれには驚く。だがこがねは堂々とした風情で更に言葉を続けるのだ。
「あたしの子分になるならね!それなら一緒に天下を取りに行きましょう!」
「フハハハハハハハ!愉快なことを言う!!気に入ったわ!“銀雷”!わしはおまえが欲しくなった!おまえは徹底的に教え込んでやろう!」
 こがねは月霞に併走し正面から八梅蔵へ迫る!
「うわぁ。すごいこと言っちゃってるよ……」
「その分こちらへの意識が向いていません。好機ですよ」
 月霞と玄は呆れたような声で言葉を交わしながらも攻撃開始。側面の死角からサイコキャノンの砲撃を仕掛ける。命中!だが八梅蔵はこゆるぎもしない。否、ダメージ自体は通っているのだ。効かなかったわけではない。だが、敵も流石に軍団を束ねる首級オブリビオンである。単純に、八梅蔵の耐久力が高いのだ。
「まぁ、難しく考えなくっていいよね……シンプルにいこう。勝った方が正しいってことで!」
 だが、砲撃を浴びたことで八梅蔵には隙ができる。その一瞬を突き、月霞が抜刀!紫電の速さで剣を振るう!
「私に服従する気はないようね!それなら不倶戴天(ともにてんをいただかず)よ!」
 月霞と入れ替わるように踏み込んだこがねが稲妻を纏うルーンの剣で八梅蔵へ一撃を加える!
「フゥン!」
 だがここで八梅蔵はユーベルコードを更に起動!狛犬噛みだ!腹部を狛犬の頭部へ変異させ、こがねの剣へと噛み付いたのである!
「これで武器を失ったな!」
「本当にそうかしらッ!」
 間髪入れずこがねは“次の武器”を手にする。サムライブレイドだ!一閃!切り裂かれた狛犬の顔が悲鳴をあげ、ルーンソードを取り落とす。
「予備の武器だと……!」
「あたしは万能なのよ!」
 こがねの戦い方は一般的にイメージされるサムライとしてはやや異質だ。伝説に謳われる剣豪には愛用の銘刀の逸話がつきものである。弁慶の岩融、義経の今剣。信長のへし切長谷部や頼光の童子切……だが、こがねはそうではない。逆説的に言えば、そうした銘刀がなくとも彼女は十二分に強いのだ。(ただし、あればあったで強いのはまちがいないのであるが)
「こっちも忘れてもらっちゃぁこまるよぉ」
「私達の真の力、存分に見せてあげます!」
 八梅蔵がこがねに気を取られている隙に玄はサイコキャノンで砲撃し、月霞は更に仕掛けていく!紫電一閃!閃光!一撃!
「小癪、な!」
 八梅蔵は咆哮とともに反撃!錫杖を振るう!強烈な豪腕の威力に月霞とこがねは一旦回避。後退して間合いをとる。そこで更に敵は印を結び新たなユーベルコードを起動!金剛力士の招来だ!
「和累(わるい)金剛!都宵(つよい)金剛!」
 2体の金剛像は咆哮!そして玄へと向かう!彼女の遠距離攻撃は着実に八梅蔵へとダメージを与え、徐々に追い詰めていたのだ。こうして金剛像を差し向けていることこそ、彼女を脅威と認識した証左である!
「……本当に必要なのは、そんな力なんかじゃない。本当に必要なのは、天下を“取る”力じゃなくて、天下を“治める”力だ!」
 玄は武具をサイコキャノンから薙刀へと持ち替え精神を集中。そして、舞う。ユーベルコード、巫覡載霊の舞だ。輝く神霊体の姿へと彼女は至り、手にした長柄を掲げる。ごぉ、ッ!圧倒!巫力を乗せた衝撃波が彼女へ迫っていた2体の金剛像へ襲いかかり、その動きを止める。続けてもう一撃!像にひびが入り、動きが鈍る!
「……まあ、どんな力かは知りませんが」
「ええー」
 呆れたような声を漏らしながら月霞が八梅蔵へ斬りかかる。紫電が迸り、苦悶に呻く八梅蔵!これにより金剛像は崩壊!
「誰か知ってます?」
「あたしは知ってるわ!」
「ええー」
「ヌゥ……!」
 傷を負った八梅蔵は仮面越しにその双眸をぎらぎらと輝かせながら態勢を立て直す。その瞳はこがねを見ていた。
「世を治める力とは……人の注目を集め、好かれる力よ!ほら今の将軍様もすごくかわいいじゃない?あれよ!そして当然、あたしも持っているわ!」
「「ええー……」」
 もう何度目かという呆れた声を漏らす月霞と、とうとう一緒に変な声が出てしまった玄である。だが、八梅蔵はこの答えが不満であった様子だ。ぎりぎりと歯を噛み鳴らす音。
「戯言をッッ!!!!」
「わぁ、怒った!」
 今日一番の怒号とともに、八梅蔵が錫杖を振るう!とんでもないパワーだ。相手は激怒した手負いの獣も同じである。これは手がつけられない。3人は目配せしあい一時後退。次の攻め手を伺うことになる。
 ……だが、この剣戟により、敵オブリビオンにはたしかにダメージが蓄積されていた。戦いは激しさを増しながら更に続いていく!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

音羽・浄雲
「何があろうとわたくしは貴方を否定しましょう」
【音羽忍法・鬼火】は使用している間高速移動と『敵のみを焼き払う炎を繰る』という力を得る代わりに、浄雲の命を削り続ける諸刃の剣だ。我が身を焦がすとはよく言ったもので、文字通り彼女は自らの命を燃やしていた。
それほどまでに浄雲は八梅蔵の行いを許せなかったのだ。

「さあ、狐火の舞をお見せしましょう!御代は貴方の命で結構!劫火に焼かれて涅槃に沈みなさい!」
轟!と一際炎が強くなり、彼の者の野望を灰燼に帰すべしと命の炎が燃え盛る。
浄雲はその思いに呼応するかの様な火炎を八梅蔵に放つと同時に、鎧通しにもにた音羽手裏剣を放った。


睦川・優桜
【POW】【鬼神変】で勝負です!

「力の多寡も、戦闘の勝敗も、正しさの証明になどなりません!」
「それでも罪なき人々に降りかかる苦難を払うため、貴方を倒します!」

力を制御している眼鏡を外し、羅刹としての真の姿である「白髪金眼の鬼」の姿を現します1
敵の動きを観察して【見切り】、攻撃を【武器受け】して受け流します!
返す刀で単純な【怪力】によって鬼の腕を振るい、攻撃します!

「貴方の技は羅刹の得意戦法と同質のもの!」
「見切りました!」



「オオオオオオオオオオッ!!」
 轟音!咆哮!手負いの獣と化した悪鬼、和累・八梅蔵が錫杖を振りかざしながら猟兵たちへと迫る!
「何があろうと……わたくしたちは、貴方を否定しましょう」
「そうです!力の多寡も、戦闘の勝敗も……正しさの証明にはなりません!」
 立ち向かうべく前に出た2人の猟兵は、睦川・優桜(f00071)と音羽・浄雲(f0265)だ。
 2人は八梅蔵の語る力による正義を明確に否定する。この戦いに自分たちが勝つことでさえ、正しさの証明にはならない、と叫びながら。
 浄雲は太平の世に力によって戦乱をもたらさんとする和累八ッ衆(わるいやつしゅう)の悪逆を許さない。彼女のユーベルコード、【音羽忍法・鬼火】は彼女の命そのものを削って発動する技である。文字通り身を焦がさんばかりの炎を纏い、浄雲は走った。一方、優桜もそれに併走しながら敵を追う。
 だが、ここで優桜の姿には異変が起こっていた。まず、彼女は眼鏡を放り捨てる。——眼鏡を?眼鏡とは本来、視力を矯正するためのものだ。古来のケンカの流儀においては顔を殴られた際にレンズが割れて顔をが傷つくことを避けるために外す習慣があったというが、視力低下は戦いに支障をきたす。一体彼女はどうしてしまったというのか?
 否、違う。優桜にとって、眼鏡とは視力を矯正する道具ではないのだ。羅刹の一族として未だ未熟さを残す彼女は、まじないをかけた眼鏡によってその力を制御していたのである。それを外すということは、すなわち。
「それでも……罪なき人々に降りかかる苦難を払うため、私たちが!貴方を倒します!」
 優桜は変生する。浮かび上がった羅刹紋が強く輝く。髪から色素が抜け、黒から白へと染まった。まばたきをひとつ。目を開いた瞬間、そこに輝くのは金色の瞳!それは、彼女の羅刹としての真の姿だ!
「狐火のおねえさん!あわせていきましょう!」
「ええ!先に仕掛けますよ……さあ!狐火の舞をお見せしましょう!」
 轟!激しく燃え盛るユーベルコードの炎が更に勢いを増す!八梅蔵は炎に囲まれ足を止める。
「この程度の見世物で!このわしを!」
「ええ、ええ!見世物で構いません!しからばお代は貴方の命で結構!」
 錫杖!強力な両腕で杖を振るうことで狐火の壁を切り裂いた!だが!
「ええええやああああああああッ!!!」
 そこで八梅蔵の視界を覆ったのは、肥大化した鬼の腕が自分に襲いかかってくる光景だ!鬼神変!真の姿を晒した優桜が全力をもって八梅蔵へ重たい一撃を叩き込むッ!ごが、ッ!!!骨の砕ける音が戦場に響く!これ以上ないクリーンヒットだ!余りの衝撃に、受けた八梅蔵の立つ地面が陥没し、小規模なクレーターを形成する!砕けた石畳の破片が舞った!
「お、ごッ……!ぐが、小娘がァッ!!」
 だが、敵は未だ倒れない。歯を食いしばり震脚!踏みとどまり、反撃の攻勢に出る!旋風を伴い錫杖の重い一撃が優桜を襲う!
「見切りました!」
「なに……!?」
 だが、優桜はこれを鬼神変の力によって異形化した腕で受け止め、受け流す!
「貴方の技は、羅刹の得意戦法と同質のもの!それであれば、私には読めます!」
「羅刹のお嬢さん、下がって!とどめはわたくしが!」
 浄雲の声に応じて優桜が一歩後退。追いすがろうと一歩を踏み出す八梅蔵へ……
「劫火に焼かれて、涅槃へ沈みなさい!」
「グアアアアアーーーッ!!」
 大きく燃え上がった狐火がまとわりつき、その身体を灼いてゆく!炎の中に沈むオブリビオン!彼の者の野望を灰燼へと帰すべく、浄雲の命を宿した炎が燃え上がる!更に駄目押しとばかりに手裏剣を投擲!“貫き秀次”の銘をもつその手裏剣は、鎧を貫くほどの鋭さと貫通力をもつ。これで終わりだ!炎の中へと音羽手裏剣が飛び込む!
「おおおおおおおおおおおおおお!!!」
「やりましたか!」
 後退しながら優桜は狐火の中に踊る敵の姿を見る。これだけの攻撃を浴びせているのだ、もう倒れても不思議ではない——
 否!優桜と浄雲は視線を外さない。油断は禁物だ。和累・八梅蔵は強力なオブリビオンである。警戒するに越したことはない。
 僅かな沈黙と静寂。ぱちぱちと炎が燃える音だけが山寺に響く。そして、僅かな時間を置き——警戒する猟兵たちの耳に、静かに、それは届いた。
「南無天載仁王金剛豪腕最強剛力超絶無敵……」
 地の底から響くかのような低い音で、“経文を唱えるオブリビオンの声”が!!
「ク、クク!わしは嬉しいぞ……これほどの、これほどの強敵に出会うことができ……わしは、歓喜に打ち震えている!!」
「そんな……!?」
「ええっ!?あんなのアリですか!?」
 ユーベルコード、末世読経は読経の時間に応じて戦闘力を増強する技だ。狐火に燃やされながらも、和累・八梅蔵はそれを唱えていた。八梅蔵は立ち上がる。笑いながら猟兵たちを睥睨する。
 だが、それは最後の炎だ。もはや朽ち果てる寸前の、風前の灯火だ。しかし、それであると同時に最大の業火だ。炎の中から足を踏み出した八梅蔵の肉体は、末世読経により最大にして最後の力を限界まで引き出し——倍ほどに、巨大化していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メルト・プティング
おお、なんかスゴイツヨイなオーラの人が出てきましたよ!?でもボクは負けません、今の時代はツヨイよりもカワイイだと思うので!!
……でもでもちょーっぴりおっかないので、ボクは正面切って戦う方々の援護をメインにしましょう。

というわけで、適度の距離をとってサイキック電撃による【マヒ攻撃】を牽制のために連射しますよっ!一撃一撃は軽くても、何度か当てれば動きは鈍ってくる……はず!多分!
他の猟兵さんの攻撃や【マヒ攻撃】の累積で八梅蔵さんに大きな隙ができたなら、チャンス!大技【目が電撃銃】を叩き込みましょう!この超高圧電流による感電、さしものスゴイツヨイな人でもただでは済まないハズ!
……フラグじゃないですよ?


聖護院・カプラ
【POW】
金剛力士は仏を守る護法善神の天部が1つ……!
その存在は金剛杵(仏敵を退散させる武器)でもありますが、仏と教徒を守る手段でもあります。
和累・八梅蔵が信ずる力は和累家の、那智衆の行いに力を与える物となっています。
それも元は教えを守る力だった筈ということです。
そしてそれは寺院の奥に安置されている。
いえ、されていなければいけない。曲がりなりにも、教えを説くのなら。

それは……大仏。
今ここに聖護院、『大仏建立の詔』にて寺院の仏と一心同体となり和累・八梅蔵に教えを説き直す存在となりましょう!

…皆さん、お待たせしました。
八梅蔵。先程、「拝累」と言いましたね。
貴方の「拝」む教え、私に見せてご覧なさい。


アンドレア・コンスタンス
苦戦しているようですね。御見かけしたのも何かの縁です、助力致しましょう。

まず怪我人を、優しさに満ち且つ心を鼓舞する音楽を其々の元に飛ばしたビットから流し治癒。
皆が危急を脱したら、スティグマから発する光を2連続の高速詠唱でボスの目に向けて撃ち込み行動を妨害してみる。

基本的に相手の攻撃は受けないよう後衛に位置取るようにはするが、受けてしまった場合は、らしくはないが激痛耐性で我慢しつつ味方に助けてもらい後で皆と一緒に治癒。

戦闘中に相手の攻撃の挙動を学習し、敵の動きから攻撃種類を先読みできるようにしたい。できたなら攻撃の種類を、発動前に味方に警告できるので。
他にはミレナリオを使う時の役にも立ちそう。


ナイア・アルハズラット
今のはダメよ、ナイア・アルハズラッド。
今のは酷い様だった……功を焦ったのもそうだが、何より美しくなかった。
一度深呼吸をして気持ちをリセットしないと……あの、仏像?さんに助けてもらった恩も返さないといけないしね。

打ち合って分かった事もある、私の攻撃は通るけど、そこまで効果的でもない。
スピードで翻弄して牽制するのも手だけど……ダメージを受けた今、接近戦も怖いわね。あのパワーは侮れないわ……。
なら、仕方ないわね……メインは譲ってあげる。
ちょっと地味だけど、魔女らしく、魔術をお見せしましょうか!
私は気の利くいい女、他人を立てる事だって出来るのよ?
私の魔術で縛ってあげる!この隙にやっちゃってくださいな!



「さあ、雌雄を決しようではないか……!」
「うわぁ、なんかスゴイツヨイな感じですよ!?」
 最後の炎を燃やし、強大な力をもって迫り来るオブリビオンの姿に、メルト・プディング(f00394)は息を呑む。ナイア・アルハズラット(f04959)は先の交錯で打ち合った際に痛めた身体に喝を入れ、高潔な意志でもって立ち上がりながら敵の姿を見据える。呼吸を一つ。
「大きくなったところで、変わらないわ……冷静にならないと」
 先の戦いは酷い有様だった。ダメよ、ナイア・アルハズラット。彼女は自戒する。功を焦ったのもそうだが、何より美しくなかった。深呼吸。気持ちを切り替える。助けられた恩もある。借りを作ったままではいられない。ナイア・アルハズラットの名にかけて、必ずこの戦いを勝利へと導いてみせる!
「あなたはメルトだったわね」
「ハイ!カワイイメルトちゃんです!」
「いくわよ。あのわるいやつをやっつけましょう!」
「アイ・マム!でもちょーっぴりおっかないので、ボクは遠距離戦でいきますよ!」
「そうね、正面からの打ち合いは私も不利だと思うわ」
 2人は一定の距離を取りながら敵を挟み撃ちにする陣形をとった。ナイアはさっき近接戦を挑んでわかったことがある。彼女の攻撃は通るのだが、そこまで効果的ではない。敵が巨大化した今では尚更だろう。しかもダメージを残したままの現状だ。八梅蔵のあのパワーは侮れない。よって、魔術による攻撃によって挑む!
「“アグゥア”!」
 “いずれ根源に至る断章”——魔術式を刻んだ魔導書を開き、彼女は素早く詠唱する。第一拘束術式アグゥア。輝く光が輪を形成し、八梅蔵の腕を縛る。
「“ツグゥア”!“イグゥア”!」
 続けて第二・第三拘束術式を展開。二重三重に生まれた光輪がオブリビオンを縛り、戒める!ユーベルコード・“ング・アルグァの三重拘束魔術結界”である!
「負けませんよ!ボクはカワイイので!」
そこへメルトが追撃する!サイキックによる電撃だ!ばち、と爆ぜる音が響き八梅蔵の身を焦がす!
「フハハハハ!どうしたどうした!!それで終わりかァ!!」
「くっ……!」
 八梅蔵は全身に力を漲らせ咆哮!その身を縛る戒めを砕き拘束から脱する!ナイアはダメージが響いていたためか、術式へ集中しきることができなかったのだ。そして八梅蔵は先の打ち合いの再現とばかりに巨大な錫杖を振り上げ——
「助けにきましたよ!」
 振り下ろされた錫杖が轟音をたてて地面を抉る!凄まじい攻撃だ。これを受ければいかに猟兵とてひとたまりもあるまい。ナイアはこれを受けてしまったのか?否!そうではない!
「苦戦しているようですね。助力いたしましょう!」
 ナイアを助け出したのは、アンドレア・コンスタンス(f10458)だ。彼女は防衛と治療に特化した性能をもつミレナリィドールである。人の多いところや賑やかな場所を見かけるとふらふらと近寄ってしまう性質があり——ここへ行き着いた、ということである。
「た、助かったわ」
 今日はなんだか見せ場をとられてばかりね。ナイアはなんとなく釈然としない様子であるが、危機を脱したことに安堵する。
「は、はやく戻ってくださいね!ボクだけだとちょーっと!ほんのちょーっと大変です!」
 一方メルトはオブリビオンの攻撃から逃げ回りながら電撃を浴びせていく。カワイイがピンチだ!
「まずは治療が必要じゃな」
「『じゃな』?」
「うむ。妾の聖者回路が起動しておるときはその影響で少々喋りが変わるのじゃ」
「聖者回路——珍しい個性ね」
「うむ。ではまず汝らの治療を始めよう。ビット射出。展開完了後、演奏を開始するのじゃ」
 アンドレアがユーベルコードを起動する。Speaker Bit。遠隔操作型の音響装置を射出し展開。そして優しくも穏やかな音楽が流れ出す。それは聴く者たちに力を与える希望の音色だ。ナイアは傷が塞がっていく感覚をおぼえる。
「あ、いいですねこの曲!ボクのライブラリに登録してもいいですか!」
 メルトがオブリビオンに応戦しながら軽口を叩き、もう何発目かもわからない電撃を浴びせる。だが八梅蔵は倒れるに至らない。回復したナイアとアンドレアが戦線に加わった。ナイアは再び拘束魔術結界にて動きを止め、アンドレアは敵の動向を注視する。行動パターンを記録しているのだ。
「そちら右です!」
「おっけーですよ!」
 メルトが攻撃手を担い、ナイアが拘束術式により妨害。アンドレアは戦況を眺めながら敵の動きを先読みして適宜警告——3人は連携しながら攻撃を続けていく。だが、まだもうひと押し。もうひと押しが足りていなかった。

 一方、先ほどの打ち合いの末に寺院の内部へと吹き飛ばされていた聖護院・カプラ(f00436)は遂に目的のものを見つけていた。
「金剛力士は仏を護る護法善神の天部がひとつ……。そして、それは彼ら和累家、ひいては那智衆が信じる力の源。それも元は教えを守る力だった筈です」
 カプラは向き合う——寺院の奥へ安置されていた、“それ”に。
 そうだ。金剛仁王像が、和累・八梅蔵が信仰する力の化身である金剛。それが守護しているものは何か。考えてみれば、それは明白である。
「では、ゆきましょう。開眼供養の儀!」
 そしてカプラは、ユーベルコードを起動した。

 大地が、鳴動する。
「なに……!?」
「ええっ、地震ですか!?こんなときに!?」
「いいえ、違うわ。これは……」
「寺院奥から、高エネルギー反応!これは……ものすごい徳です!!」
「「徳!?」」

《皆さん、お待たせしました》
 ずし、と重たい足音が響く。
 それは——間違いない!聖護院・カプラである。否、違う。それはカプラであるが、カプラではない。そこに現れたのは、ユーベルコード・『大仏建立の詔』によって巨大なロボへと合体を果たした姿だ!!そう、カプラはこのユーベルコードを起動するにあたり、大仏と合体することで最大のパワーを発揮するのである!!
《八梅蔵殿。先程、『拝累』と言いましたね》
 カプラが進む。八梅蔵がそれに向き合った。
《貴方の「拝」む教え、私に見せてごらんなさい》
「ク、ク、ク…………面白い。素晴らしい力だ。それでこそ、わしの戦いに相応しい!よかろう!我が“力”の教え、存分に味わうがいい!」
——地面を揺らし、2人が激突する!!

♩鋼鉄護聖ダイカプラーのテーマ(作詞・無限宇宙人 カノー星人)
 末法めいたこの時代 助けを求め君を呼ぶ
 僕らを救い出せるのは そう 君だけなんだ!
 Say Go!Say Go!後光が差す 鋼鉄護聖 ダイカプラー

「ヌオオオオオオ!!」
《もうお止しなさい》
 八梅蔵の錫杖がカプラを強烈に打ち据える。だがカプラは倒れはしない。誤った教えを正さなくてはならない。決意を込めて彼はゆく!
「すごいわね、あれ……」
「私もあんなに徳の高い聖者を見たのははじめてです」
「とにかく援護しましょう!」
 3人の猟兵はカプラと八梅蔵の戦いへ再び加わる!ナイアはもう一度拘束術式を発動!メインはあのロボに譲ってあげる。ちょっと地味だけど……いいえ、私は気の利くいい女!他人を立てることだってできるのよ!三つの光輪がオブリビオンを縛る!
「私も支援します!」
 アンドレアは再度展開したスピーカービットで演奏を開始し、戦場の猟兵たちを鼓舞!
「今ならイケそうですね!ビリビリのすっごいやつ、いきますよー!」
 ここでメルトがユーベルコードを起動!“最後のひと押し”がきている以上、ここで畳み掛けて終わらせるべきですね!ゴーグルへと電力を集中。“目が電撃銃(メガテーザーカノン)”だ!(※誤字や誤変換ではありません。ごあんしんください)メルトのゴーグルを射出口とし、膨大な量の電光が放たれ、八梅蔵を直撃する!
「グアアアアアーーーッ!!」
 苦悶の声!オブリビオンは身を捩り呻く!
《改めなさい》
 そしてカプラの背後からまばゆい後光が差し、八梅蔵を包み込んだ!
「オ、オオオ…………は、拝累…………那智、衆…………」
 おお、見よ!遂に和累八ッ衆首魁、和累・八梅蔵は力尽きる!
 彼は最後に腕を高く掲げた姿勢をとり、そのままゆっくりと地面へと倒れ————爆発した!

 いつしか夜は明け、朝日が山々の間から戦いの爪痕残る山寺を照らし出していた。
 猟兵たちはそれぞれ安堵のため息をつき、あるいは歓声をあげて勝利を祝う。
「せめて、安らかに」
 大仏との合体を解除したカプラは、登る日の光を浴びながら静かに祈った。

 こうして、山寺に巣喰ったオブリビオンたちとの戦いは幕を下ろす。猟兵たちの活躍により、屍の山も、血の河も生まれることなく物語はめでたしめでたしで終わるのだ。
 麓の村に戻れば年始の祝いで振る舞いが出るだろう。幾人かは村へと戻り、束の間の平和を噛みしめるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月04日


挿絵イラスト