エンパイアウォー③~天使倒し
「おらァ、ガンガン行くぞ、次だ次ィ」
戦場から帰ったばかりの猟兵も、これから新たに戦線に加わる猟兵も、構うことなく引っ張り込んで、グリモア猟兵の我妻・惇が説明を始める。
「魔空安土城目指して幕府軍が方々分かれて進ンでるンだがな」
三方ヶ原で討ち取った武田信玄以外の『第六天魔軍将』達が、サムライエンパイアを征服せんと、一大攻勢をかけてきた。それに伴い幕府軍は、諸藩の援軍を含めて総勢十万の兵をもって、総力をあげて織田信長の元に向かい、撃破すべく動き出した。そのうちの本隊が東海道を、中山道方面軍が中山道を通り、畿内への玄関口である関ヶ原へと向かう予定になっているのだが。
「今回は中山道方面、『信州上田城』の辺りな。魔軍将の軍神『上杉謙信』だかに獲られちまッてるンだわ」
要衝を押さえられては衝突は避けられない。中山道方面軍の潰滅を阻止する為には、猟兵の力で上杉軍の力を削ぐ必要がある。
「まァ、毎度おなじみの解決法で、一つよろしく頼まれてくれや」
淡々と、簡単に言い放つと、グリモア猟兵は急ぎ転送の準備を始めた。
「おッとそォだそォだ」
と、何かを思い出して向き直り、補足事項を話し始める。
「土地の都合でな、どうしても山ン中で戦うことになる。先に陣取ッてるのは敵の方だし、奇襲や待ち伏せなンぞには気を付けた方が良いかもな」
続けてにやりと笑い。
「俺はそォいうのはわかンねェけどな。得意な奴は逆にビビらせてやッても面白いンじゃねェか?」
底意地の良くないアドバイスをしながら、男は改めて転送の準備を整え、猟兵たちを送り出しはじめた。
相良飛蔓
お世話になっております。相良飛蔓と申します。お読みいただきありがとうございます。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
基本は集団戦で、敵の主力となる強力な部隊の攻略を行います。猟兵の襲撃で戦力を失えば、不利を悟った上杉軍は撤退します。
オープニングにも触れている通り、山岳地帯における行動や奇襲のための工夫があればより戦闘を有利に運べるかもしれません。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『万能従者型・渡来の天使』
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POW : 天使の一撃
単純で重い【天使の斧】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : くるくる回る天使の輪
自身が装備する【天使の車輪】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 兄弟の危機を見過ごせない!
自身が戦闘で瀕死になると【新たな別の渡来の天使】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:つばき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラモート・アンゲルス
外界や異文化の存在は大体鬼や悪魔と呼ぶです。ですから天使ではないですね
天高く舞い上がった後は、UC【万人の理想像】で巨大な岩に変身して【無敵城塞】で身を固めて自然落下するです。
落ちれば何体か押しつぶせると思うですが、これはまだ序の口、地面と衝突した勢いで吹き飛んだ敵をUC【蜘蛛の糸】で動きを止めつつ、【ジャッジメント・クルセイド】で撃ち落としていくです。
●天使礫
「外界や異文化の存在は大体鬼や悪魔と呼ぶです。ですから天使ではないですね」
ラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)は、その目に捉えた『天使』達の聖性を否定する。いかにも彼らはオブリビオンであり、一般に言われる神の使いのようなものではないだろう。哨戒を行う彼らの動きを確かめると、ラモートは天高く舞い上がった。
「万人、『』を思う姿はただ一人同じものなし」
元は定まった形のない概念である彼女は、ただいまは巨岩の形を取って、さらに併せて無敵城塞も行使して、敵団の頭上にて自由落下を始めた。硬く重く大きな岩が轟音を為しながら接地して、いくらかの敵を圧し潰し、いくらかの敵を吹き飛ばす。
「おまえ、よくも兄弟を」
巨岩のラモートは、クッションを経てミンチになった兄弟とやらを踏みながら先の人型へと形を戻す。奇襲を受けつつも難を逃れ、やや遠巻きに呪詛を投げかける天使たち。数体を失ったとはいえ到底少ないとは言えない人数である。
「悪人いえど善行をなす心あり」
そんな敵群による堅固な包囲の完成を待たず、周囲が光に包まれた。立て続けに行使されたラモートのユーベルコードは、救うを試す象徴たる、天より垂れる蜘蛛糸の具現。善意の感情を強める光を放ち、そうして膨らんだ善心により対象の動きを縛り捕えるものである。しかしてそれは救いのためでなく、以て慈悲なき裁きのために。しかし――
「それがどうした」
縛られた敵たちは、さしたる時間を掛けることなく、それぞれがその糸を振りほどき、毟り払う。彼らの善意は、その力を凌駕するほどには大きなものではなかったようだ。もしかしたら、神の意志を粛々と代行する機構としての彼らの中に、心そのものが介在する余地がないのかもしれない。
「まがい物め」
嘲弄と戦斧の切先を向けて迫り来る敵に対し、苦渋の色を浮かべた猟兵は幾らかの被害を受けながらもその囲みより抜け出した。
苦戦
🔵🔴🔴
ヴィリヤ・カヤラ
奇襲出来たら良いけど、
ここは出たとこ勝負でいってみようか。
【跳飛】を使って木の上を移動するね、
開けた場所なら人数の多い敵も居やすいかなと思うから、
木が密集していない所を『情報収集』で
周りの状況を調べつつ探索、
後は『第六感』に頼ってみる感じかな。
誰かが先に戦闘してたら急いで向かうね。
こっちが見つけても、相手に見つかっても
初手は『高速詠唱』で【氷晶】を
着弾点で爆発させて使うね。
後はUCも使いつつ木から下りて
鋼糸の刻旋で攻撃していくけど、
囲まれないように注意して動くね。
敵からの攻撃は避けるか、武器で敵や周りの物を
盾代わりにして防ぐように頑張ってみるよ。
どのくらい減らしたら撤退してくれるのかな?
●神足通
ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)は木の間を縫い、木の上を飛んで空を駆けた。大人数の敵がいるなら広い場所であろうか。当たりを付けながら探索する。
(奇襲出来たら良いけど、ここは出たとこ勝負でいってみようか)
と、聞こえてきた轟音。重量物が落下するようなそれは、もしも彼女が地上にいれば、強い振動も共に伝えたことだろう。この場所からそう遠くはない。既に始まっている戦闘を察知して、ヴィリヤは速やかにその音のもとへ。
辿り着いてみれば、そこではすでに一人のオラトリオと複数の天使たちが戦端を開いていた。多勢に無勢と防戦に回る猟兵は押されながら樹上のヴィリヤの足元へと近付いてくる。優勢の油断はオブリビオンたちを、徐々に一つ所に密集させて。
「氷よ射抜け」
そこへ樹上の死角よりユーベルコードが放たれた。二百を超える氷の刃が、敵兵たちの足元を頭上を四肢を胴を、かすめるように貫くように斬り裂くように敷き詰めるように、殺到しては爆裂した。先陣を切った敵を満遍なく傷害する、それは冷たくも苛烈な攻撃。でありながら、瀕死の個体がさらに兄弟を呼び寄せて、数を減じた様子はない。
数多の爆発の収まった地上へ、術者のヴィリヤが飛び降りる。そして速やかに樹の陰に逃れ、少数の利を活かして攻撃と追跡を防いで動き回る。
「おまえ、おとなしく…」
しばらくの後、ようやくヴィリヤの背に手を掛けようとした一人の天使だったが、そこで気付く。そしてそれはもう遅い。
『ばづんっ』
という感触と同時に背に掛けるべき手を失った敵を前に、猟兵は鋼糸・刻旋を引き寄せて、樹々の間に巡らせたトラップワイヤーを引き揚げる。程なく迫るさらなる追手の振り降ろす斧に、もう一度くいっと手元を引き寄せると、先の一人が吊り上げられて――
「どのくらい減らしたら撤退してくれるのかな?」
刃は盾とされた天使に深々と刺さり、斧持つそれの首元にも、刻旋が赤を一筋刻んでいた。
大成功
🔵🔵🔵
尾崎・ナオ
山岳地帯で、奇襲される可能性がある、と。どこに出るか予測できないにしても、なるべく有利な場所を確保したいってもんだ。奇襲を受ける可能性があるなら、奇襲をする事も出来るんじゃないかな、と逆転の発想をしてみる!
真の姿は黒猫。勿論今は人型だけど、山岳地帯なら木は沢山あると予測。木登りは得意なんだよね。頑丈で折れにくく、重さを掛けても揺れない枝を【第六感】で探して木登りしよか。ささっと登って、静かに、ただ静かに待つ。
敵の姿が確認出来たら、可能な限り距離を取った状態で【指定UC】で攻撃。10秒の集中は、息をひそめて、静かに。
あちらは空を飛ぶようだ、注意しなきゃ。敵SPDが飛んでくる前に仕留めてしまおう。
●天使隠し
尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は黒猫である。これは別に、どうみても人型の彼女が実はケットシーであるとかではなく、真の姿のことである。その事実は彼女のルーツとして、気分屋で軽薄で捉えどころがないというその性格に、色濃く特徴を示している。
(奇襲を受ける可能性があるなら、奇襲をする事も出来るんじゃないかな)
そして、猫性は性格面だけではない。身体面においては、身軽で隠密性に優れ、勘も良い。折れず揺れない枝を見分けてはするすると難なく高い樹を登り、目立たぬように静かに静かに腰掛けた。敵の地の利を逆手にとって、自身の好条件として利用してやろう。こういった抜け目のなさも、猫的と言えようか。
哨戒であるか追跡であるかは分からぬが、しばらく待つとその視界の中に何体もの天使たちが横切りだした。進んだり止まったり、移動そのものを目的としているわけではないようだ。根気よく観察を続ければ、後尾に遅れる者があり。取り残されたそれに、狙撃手は気付かれるべくもない笑顔を向け。
「…はい、もらった~ぁ」
射出された一矢は、ユーベルコードの補助を得た正確な軌道でもって、吸い込まれるように標的の側頭部を撃ち抜いた。
樹木の枝葉に隠されていた天使たちが、倒れたそれに遅れて駆け寄り周囲を見回すその状況に、ナオは少し眉を顰めた。遠くで声は聞こえないが、こちらを指さす姿からどうやら発見されたらしい。幾体かが飛び上がって天使の輪を複製しながら向かって来る。狙いを定める10秒間はどうやらもう貰えないようだ。
となれば仕方ない。猟兵は得物を持ち替えた。構えた黒いガトリングは、ハードな駆動音を響かせながら次々と敵に傷を負わせていく。しかし残らず倒し切るには至らず、充分な距離まで詰め寄られ、天使の輪が射出された。ナオは小さく嘆息し、そのまま的になることを嫌い、躱しながら狙撃地点の枝より飛び降り――森の樹々のあわいへと、紛れて消えた。
成功
🔵🔵🔴
トール・テスカコアトル
「……ま、待てぃ!」
何者かと聴かれたら、なのりましょう
「ト、トールは、トール・テスカコアトル!……ヒーローだ!覚悟しろ!」
足が震えてる?……武者震いだよ!分かってよ!
「う、うぅっ……こわくっても、ほっておけないんだよ!ヒーローだもん!」
【勇気】をだすぞ!
「……変身!」
『説明しよう!勇気をもって恐怖に打ち克ち、戦場臨むとき!トールは勇気の戦士に覚醒するのだ!』
「……燃えろ!ブレイブ・ハート!トールの勇気は火力だよ!」
勇気の力をブレイブ・キャノンに充填
「戦場の神を見せてやる……トールの勇気は!破壊力!……ファイア!」
撃つ!撃つ!撃つ!
軍勢を丸ごと吹き飛ばすくらい【力】を込めて
「……戦争、いくない」
ラモート・レーパー
御礼参りだー!
(装備【常夜の世界】で戦場は夜)
UC【万人の理想像】で山よりも大きな巨人に変身し、UC【ウィル・オー・ウィスプ】を発動した状態で戦場を平手打するよ。
相手を送るのは摩訶鉢特摩地獄。寒さのあまり身体が裂けて流血し、その血すらすぐに凍りつく世界で苦しんでもらう。
●天使颪
未だオラトリオの少女を追跡する敵も多く、苦境は続いているようだ。
「……ま、待てぃ!」
そこに朗々たる声が響く。声に振り向いた天使たちの視線の先では、おとなしそうなドラゴニアンの少女が一斉に注意を向けられてたじろいでいた。およそ脅威を感じない姿に、斧と一緒に怪訝な表情を差し向けて。
「おまえも猟兵か」
「ト、トールは、トール・テスカコアトル!……ヒーローだ!覚悟しろ!」
指さしながらもその少女、トール・テスカコアトル(ブレイブトール・f13707)の足は震えている。
「……武者震いだよ!分かってよ!」
ということらしい。しかし今にも泣きだしそうな顔で睨みつけるその様子に、さしもの天使たちも戸惑っているようだ。
「う、うぅっ……こわくっても、ほっておけないんだよ!ヒーローだもん!」
傷ついた仲間を、困っている人を放ってなんておけるものか。だって怖いに決まってるから。怖いから、だから――
「……変身!」
だから、ブレイブトールの出番なのだ!
携えた一つの石「ニギ=アラ」が眩いばかりの光を放つ。恐怖に打ち克つ一つの意思が、その結晶に反応し、トールは勇気の戦士へと覚醒した。
「……燃えろ!ブレイブ・ハート!トールの勇気は火力だよ!」
雰囲気を変じた猟兵に呑まれていた天使たちだったが、我に返れば眼前の相手はその武装へとエネルギーを充填している。これはどう考えても、まずい。
「させないよ」
斧を振りかぶった天使が飛び出し、トールが眼前にて交差させた両腕へと振り下ろす。その一撃は骨肉へと食い込むことなく、硬い音を響かせて跳ね返された。勇気の力を防御力とするブレイブ・アーマーに死角は、ない。
「御礼参りだー!」
と、どこか禍々しくも元気な声が、トールの背後から上がる。気が付けばオラトリオの少女の姿はなく、入れ替わるように羅刹の少女が笑っていた。彼女を中心に…おそらくは彼女を中心に、周囲を塗りつぶすように闇が広がっていき、見る間に夜が辺りを包む。
「万人、『』を思う姿はただ一人同じものなし」
先にも聞こえたような文言。警戒心から咄嗟に空を仰ぎ見た天使たちは、上田の城ごと覆わんばかりの、ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)の凄烈なる笑みを見た。
そうこうする間に、トールのブレイブ・キャノンのエネルギーは充分なものとなった。
「戦場の神を見せてやる……トールの勇気は!破壊力!」
夜の帳を斬り裂いて、輝く勇気の炎が奔る。熱い力はとめどなく、天使の群れを焼き払う。
「……ファイア!」
号令とともにひと際強い閃光が、まとまる敵を吹き飛ばした!
立ち上がれぬ敵へも、立ち上がった敵へも、続く攻撃は容赦がない。
「冥府の門よ。『』の呼びかけに応じその門を開け!」
巨大化したラモートはその手をゆっくりと振り上げ、多くの敵が倒れ伏すそこを、平手で叩きつけた。まるで幼子が小虫の命を玩弄するかのようにして、叩き潰す。もはや抵抗できないそれらは、先に巨岩に潰された者らのように、挽き潰された無残な姿を見せるのだろう―――と、巨人が手を上げると、そこには一体の躯もなく、元から何もなかったかのように綺麗なものであった。
彼女の行使したユーベルコード・ウィル・オー・ウィスプは、その手に触れた抵抗しない対象を、別の場所に吸い込んでしまうものである。その行き先は『摩訶鉢特摩地獄』、現世にあり得ぬ猛烈な寒さが皮膚を裂き、そうして噴き出す血すらもまた凍りつくような、極寒の世界である。
ラモートは、またその手をゆるりと持ち上げた。
「引け、いったん引け!」
誰が言ったかは定かではないが、思った者は一人ではないだろう。恐怖心が彼らにどれほどあるのかは分からないが、それでなくても負傷者の多い現状において、この状況はあまりにも分が悪い。
逃げ去る彼らを深追いせずに、ラモートは能力を解除して、元の少女の姿へ戻る。見届けたトールも変身を解き、また頼りない雰囲気を取り戻す。眼前にて好戦的に笑う羅刹の娘を見ながら、そのドラゴニアンはぽつりと、呟いた。
「……戦争、いくない」
かくして、違った恐怖を一人の猟兵に覚えさせながらも、とりあえず上杉軍に被害を与え撃退することに成功した。いくない戦争を早く終わらせるためにも、戦え、負けるな、猟兵たち。
大成功
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